(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記光活性剤が、350nm〜420nmの波長の入射光での励起によって、光励起状態に活性化されることができる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
前記光活性剤の光励起状態が、前記光活性剤の基底状態より100kJ/mol以上大きいエネルギーを有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
前記光活性部分が、キサントン、キサンテン、チオキサントン、チオキサンテン、フェノチアジン、フルオレセイン、ベンゾフェノン、アロキサジン、イソアロキサジン、フラビン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
前記親水性部分が、アルキレンオキサイドオリゴマー、アルキレンオキサイドポリマー、アルキレンオキサイドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、エチレンイミン、及びこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の消費者製品組成物。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、光活性部分及び親水性部分を含む光活性剤に関する。更に本発明は、光活性剤、電子受容体及び有益活性剤前駆体を含む、光触媒性消費者製品組成物にも関する。そのうえ更に本発明は、光活性剤、電子受容体及び有益活性剤前駆体を使用して、表面を洗浄する及び/若しくは漂白する方法、並びに、表面を消毒する若しくは殺菌する、並びに/又はバイオフィルムを除去する方法を提供するための方法に、関する。
【0014】
光活性剤
本発明の水溶性光活性剤は、光活性部分及び親水性部分を含む。本発明の目的において、「親水性部分」という用語は、水に引き寄せられて、水に溶解して、均一溶液を形成する部分を意味する。一実施形態において、親水性部分は、水溶性オリゴマー(oligimers)、水溶性ポリマー及び水溶性コポリマーからなる群から選択される。好ましい一実施形態では、親水性部分は、アルキレンオキサイドオリゴマー(oligimers)、アルキレンオキサイドポリマー、アルキレンオキサイドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、多糖、2−エチル−2−オキサゾリン、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ビニルピリジン−N−オキシド、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物、マレイン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、エチレンイミン、及びこれらの混合物からなる群から選択されることができる。1つの特に好ましい実施形態において、親水性部分は、アルキレンオキシドオリゴマー(oligimer)ポリマー、アルキレンオキシドオリゴマー(oligimer)コポリマー、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、アクリルアミド、セルロース、及びこれらの混合物からなる群から選択されることができる。本発明の目的において、「光活性部分」という用語は、光子を吸収して、それによって励起状態(一重項又は三重項)を形成することができる、有機共役部分を意味する。しかし、「光活性部分」という用語は、電荷移動励起状態を意味しないことが理解されるであろう。本明細書で開示されるように、光活性部分は、周知のように、単一部分、又は2つ、3つ、4つ又は他の任意の数の部分の組み合わせを含むことができることが更に理解されるであろう。
【0015】
本発明の一実施態様では、光活性部分は、1,1'−ビフェニル−4,4'−ジアミン、1,1'−ビフェニル−4−アミン、ベンゾフェノン、1,1'−ビフェニル−4,4'−ジオール、1,1'−ビフェニル−4−アミン、1,1'−ビフェニル−4−オール、1,1':2',1''−テルフェニル、1,1':3',1''−テルフェニル、1,1':4',1'':4'',1'''−クアテルフェニル、1,1':4',1''−テルフェニル、1,10−フェナントロリン、1,1'−ビフェニル、1,2,3,4−ジベンズアントラセン、1,2−ベンゼンジカルボニトリル、1,3−イソベンゾフランジオン、1,4−ナフトキノン、1,5−ナフタレンジオール、10H−フェノチアジン、10H−フェノキサジン、10−メチルアクリドン、1−アセトナフトン、1−クロロアントラキノン、1−ヒドロキシアントラキノン、1−ナフタレンカルボニトリル、1−ナフタレンカルボキシアルデヒド、1−ナフタレンスルホン酸、1−ナフタレノール、2(1H)−キノリノン、2,2'−ビキノリン、2,3−ナフタレンジオール、2,6−ジクロロベンズアルデヒド、21H,23H−ポルフィン、2−アミノアントラキノン、2−ベンゾイルチオフェン、2−クロロベンズアルデヒド、2−クロロチオキサントン、2−エチルアントラキノン、2H−1−ベンゾピラン−2−オン、2−メトキシチオキサントン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2−メチル−9(10−メチル)−アクリジノン、2−メチルアントラキノン、2−メチルベンゾフェノン、2−ナフタレンアミン、2−ナフタレンカルボン酸、2−ナフタレノール、2−ニトロ−9(10−メチル)−アクリジノン、9(10−エチル)−アクリジノン、3,6−アクリジンジアミン(qcridinediamine)、3,9−ジブロモペリレン、3,9−ジシアノフェナントレン、3−ベンゾイルクマリン、3−メトキシ−9−シアノフェナントレン、3−メトキシチオキサントン、3'−メチルアセトフェノン、4、4'−ジクロロベンゾフェノン、4、4'−ジメトキシベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4'−フルオロアセトフェノン、4−メソキシベンゾフェノン、4'−メチルアセトフェノン、4−メチルベンズアルデヒド、4−メチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、6−メチルクロマノン、7−(ジエチルアミノ)クマリン、7H−ベンズ[de]アントラセン−7−オン、7H−ベンゾ[c]キサンテン−7−オン、7H−フロ[3,2−g][1]ベンゾピラン−7−オン、9(10H)−アクリジノン、9(10H)−アントラセノン、9(10−メチル)−アクリジノン、9(10−フェニル)−アクリジノン、9,10−アントラセンジオン、9−アクリジンアミン、9−シアノフェナントレン、9−フルオレノン、9H−カルバゾール、9H−フルオレン−2−アミン、9H−フルオレン、9H−チオキサンテン−9−オール、9H−チオキサンテン−9−オン、9H−チオキサンテン−2,9−ジオール、9H−キサンテン−9−オン、アセトフェノン、アクリデン、アクリジン、アクリドン、アントラセン、アントラキノン、アントロン、α−テトラロン、ベンズ[a]アントラセン、ベンズアルデヒド、ベンズアミド、ベンゾ[a]コロネン、ベンゾ[a]ピレン、ベンゾ[f]キノリン、ベンゾ[ghi]ペリレン、ベンゾ[rst]ペンタフェン、ベンゾフェノン、ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル、クリセン、コロネン、ジベンズ[a、h]アントラセン、ジベンゾ[b、def]クリセン、ジベンゾ[c、g]フェナントレン、ジベンゾ[def、mno]クリセン、ジベンゾ[def、p]クリセン、DL−トリプトファン、フルオランテン、フルオレン−9−オン、フルオレノン、イソキノリン、メトキシクマリン、メチルアクリドン、ミヒラーケトン、ナフタセン、ナフト[1,2−g]クリセン、N−メチルアクリドン、p−ベンゾキノン、p−ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラクロロ、ペンタセン、フェナントレン、フェナントレンキノン、フェナントリジン、フェナントロ[3,4−c]フェナントレン、フェナジン、フェノチアジン、p−メトキシアセトフェノン、ピラントレン、ピレン、キノリン、キノキサリン、リボフラビン5'−(二水素リン酸塩)、チオキサントン、チミジン、キサンテン−9−オン、キサントン、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0016】
好ましくは、光活性部分は、キサントン、キサンテン、チオキサントン、チオキサンテン、フェノチアジン、フルオレセイン、ベンゾフェノン、アロキサジン、イソアロキサジン、フラビン、これらの誘導体、及びこれらの混合物からなる群から選択される。好ましい一実施形態では、光活性部分はチオキサントンである。
【0017】
本発明の消費者製品組成物のための他の適切な水溶性光活性剤は、フルオレセイン及びその誘導体を含み、好ましくはハロゲン置換フルオレセイン、より好ましくは、ジブロモフルオレセイン、ジヨード(diodo)フルオレセイン、ローズベンガル、エリトロシン、エオシン(例えばEosin Y)などのブロモ−及びヨード−フルオレセインを含む。
【0018】
本発明の更なる態様としては、光活性剤が好ましくは、光活性剤の重量に対して、光活性部分の約35%未満、約30%、約25%、約20%、約15%、約10%、約5%、約3%及び約2%を含むことである。したがって、光活性剤は好ましくは、光活性剤の重量に対して、親水性部分の少なくとも約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、約97%、及び約98%を含む。一態様では光活性剤は、光活性剤の重量に対して、光活性部分(例えばチオキサントン)の約2%未満を含み、及び、光活性剤の重量に対して、親水性部分(例えばポリエチレングリコール)の少なくとも約98%を含む。理論に束縛されるものではないが、かかる光活性剤は、水溶性であるだけでなく、親水性部分又は他の任意の非光活性部分により付与される立体障害の理由から、凝集にも抵抗すると考えられている。
【0019】
本発明の他の更なる別の態様は、光活性部分が、約350nm〜約750nm、好ましくは、約350nm〜約420nm、約350nm〜約750nm、約350nm〜約600nm、約350nm〜約420nm、及び約380nm〜約400nmの間の吸収バンドを有する。
【0020】
別の実施形態では、光活性部分は、約420nm〜約720nm、約500nm〜約700nm、約500nm〜約650nm、及び約500nm〜約600nmの間の吸収バンドを有しない。この実施形態では、約500ppm濃度の水溶液で使われるとき、光活性剤は、人間の眼に実質的に無色であることが理解されるであろう。
【0021】
本発明の更に別の態様では、光活性剤が、350nm超、好ましくは約350nm〜約750nm、より好ましくは約350nm〜約420nmの間の波長の入射光での励起によって、光励起状態に活性化されることができる。一実施形態において、光励起状態の寿命は、約0.5ナノ秒超、1ナノ秒超、10ナノ秒超、50ナノ秒超、100ナノ秒超、300ナノ秒超、及び500ナノ秒超である。別の実施形態では、光活性剤の光励起状態は、光活性剤の基底状態より、約100kJ/mol以上大きい、150kJ/mol以上大きい、200kJ/mol以上大きい、及び300kJ/mol以上大きいエネルギーを有する。
【0022】
光活性剤は、一実施形態では「一重項状態」に、別の実施形態では「三重項状態」に励起されており、この用語は両方とも、従来技術で周知である。
【0023】
更に別の実施形態においては、本発明は、下式を有する光活性剤に関する。
【0024】
【化2】
式中、
Xは、C、O、NH、C=O、CH
2、CHR''、CR''R'''、S、SO及びSO
2からなる群から選択され、
Yは、C、O、NH、C=O、CH
2、CHR''、CR''R'''、S、SO及びSO
2からなる群から選択され、
R'、R''又はR'''は、−H、又は、酸素、窒素、硫黄、ハロゲン及び炭化水素からなる群から選択される部分を含む置換基の群から選択されてもよく、
R'、R''又はR'''のうちの少なくとも1つは、親水性部分Rを更に含み、
Rは、水溶性オリゴマー(oligimers)、水溶性ポリマー及び水溶性コポリマーからなる群から選択され、
mは、0〜8の整数であり、
置換基R'、R''及びR'''の合わせた分子量は、400原子質量単位(AMU)より大きい。
【0025】
上述の式で示すように置換基R'が、光活性剤の置換基が0〜8の任意の数の置換分を含むことができること、及び、これらの置換基が光活性剤の周辺炭素原子に共有結合できること、を反映することが当業者によって理解され得る。m>1の場合、複数のR'基は、酸素、窒素、硫黄、ハロゲン及び炭化水素からなる群から選択される部分を含む置換基の群から独立して選択することができる。
【0026】
一実施形態では、Rは、アルキレンオキサイドオリゴマー(oligimers)、アルキレンオキサイドポリマー、アルキレンオキサイドコポリマー、エチレングリコール、ビニルアルコール、ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、セルロース、カルボキシメチルセルロース、キトサン、デキストラン、多糖、2−エチル−2−オキサゾリン、メタクリル酸ヒドロキシエチル、ビニルピリジン−N−オキシド、ジアリルジメチルアンモニウム塩化物、マレイン酸、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、イソプロピルアクリルアミド、スチレンスルホン酸、ビニルメチルエーテル、ビニルホスホン酸、エチレンイミン、及びこれらの混合物からなる群から選択されることができる。
【0027】
水素を置換し得る、並びに炭素及び水素原子のみを含有する、R'、R''及びR'''部分は、当技術分野において既知のとおり、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルジエニル基、シクロアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ペナンスリル基、フルオリル基、ステロイド基、及びこれらの基の互いとの組み合わせ、並びにアルキレン基、アルキリデン基及びアルキリジン基などの多価炭化水素基との組み合わせを含む、任意の炭化水素部分を含む。かかる基の特定の非限定的な例は、
【0028】
【化3】
であり、
nはそれぞれ独立して、0〜22として選択される。
【0029】
水素を置換できる酸素原子を含有するR'、R''及びR'''部分は、ヒドロキシ、アシル又はケト、エーテル、エポキシ、カルボキシ及びエステル含有基を含む。かかる酸素含有基の特定の非限定的な例は、
【0030】
【化4】
nはそれぞれ独立して、0〜22として選択される。
【0031】
水素を置換できる硫黄原子を含有するR'、R''及びR'''部分は、硫黄含有酸並びに酸エステル基、チオエーテル基、メルカプト基及びチオケト基を含む。かかる硫黄含有基の特定の非限定的な例は、
【0032】
【化5】
nはそれぞれ独立して、0〜22として選択される。
【0033】
水素を置換できる窒素原子を含有するR'、R''及びR'''部分としては、アミノ基、ニトロ基、アゾ基、アンモニウム基、アミド基、アジド基、イソシアネート基、シアノ基及びニトリル基が挙げられる。かかる窒素含有基の特定の非限定的な例は、
NH
2、−NH
3+、−NH(CH
2)
nCH
3、−N((CH
2)
nCH
3)
2、−(CH
2)
nNH(CH
2)
nCH
3、−(CH
2)
nN((CH
2)
nCH
3)
2、−CH
2CONH
2、−CH
2CONH(CH
2)
nCH
3、−CH
2CON(CH
2)
nCH
3)
2、−NRH
2+、−NH−R、−NR
2、−(CH
2)
nNH−R、−(CH
2)
nNR
2、−(CH
2)
nCONH−R、−(CH
2)
nCONR
2、−(CH
2)
nCON
3、−(CH
2)
nCH=NOH、−CN、−CH(CH
2)
nNCO、−(CH
2)
nNCO、−NΦ、−ΦN=NΦOH、及び≡N
nはそれぞれ独立して、0〜22として選択される。
【0034】
水素を置換できるハロゲン原子を含有するR'、R''及びR'''部分としては、クロロ基、ブロモ基、フルオロ基、ヨード基、及び水素又はペンダントアルキル基がハロ基によって置換されて安定な置換部分を生成する、前述の部分のいずれかが挙げられる。かかるハロゲン含有基の特定の非限定的な例は、−Cl、−Br、−I、−(CH
2)
nCOCl、−ΦF
5、−ΦCl、−CF
3、及び−(CH
2)
nΦBrである。
【0035】
水素を置換し得る上述の部分はいずれも、一価置換において又は多価置換における水素の損失によって、互いに置換されて、有機化合物又はラジカル中の水素を置換できる別の一価部分を形成できることが理解される。
【0036】
本明細書で使用するとき、「Φ」はフェニル環を表す。
【0037】
光触媒性組成物
本発明はまた、上で詳細に説明したように、光活性剤、電子受容体及び有益活性剤前駆体を含む、消費者製品組成物などの光触媒性組成物に関する。本発明で使用する場合、消費者製品組成物は、ビューティケア組成物、布地ケア組成物及びホームケア組成物並びにヘルスケア組成物を含む。ビューティケア組成物は一般に、脱色、発色、着色、コンディショニング、育毛、脱毛、育毛遅延、シャンプ、スタイリングを含む毛髪処理;脱臭剤及び制汗剤;パーソナルクレンジング;カラー化粧品;消費者使用のためのクリーム、ローション及び他の局所塗布製品の塗布を含む肌処理に関する製品及び/又は方法;並びに、毛髪、皮膚及び/若しくは爪の外観を強化するための経口投与物質に関する製品並びに/又は方法;並びに剃毛のための組成物を含む。布地ケア及びホームケア組成物は一般に、布地、硬質表面、並びに、カーケア、食器洗浄、布地柔軟剤(軟化剤を含む)、洗濯洗剤、洗濯及びすすぎ添加剤及び/又はケア、硬質表面洗浄及び/又は処理、並びに消費者用又は業務用の他の洗浄などの、布地ケア及びホームケアの領域の任意の他の表面を処理する組成物を含む。口腔ケア組成物は一般に、口腔又はそれに関連する口腔状態の任意の軟組織及び/又は硬組織で使用する組成物を含み、例えば、抗カリエス性組成物、抗菌性組成物、抗歯垢チューインガム組成物、口臭組成物、菓子類、歯磨き剤/練り歯磨き、義歯組成物、トローチ剤、リンス液、及び歯増白組成物を含む。
【0038】
光触媒性消費者製品組成物は、水溶液、固体であってもよく、又はフィルムなどの材料に組み込まれてもよい。別の実施形態では、光触媒性消費者製品組成物の個別の成分は、水溶液及びフィルムなどの材料の両方に組み込まれることができる。一実施形態において、光活性剤は、フィルムに含まれることができ、電子受容体及び/又は有益活性剤前駆体は、水溶液に含まれることができる。この特定の実施形態において、光活性剤を含むフィルムが、表面に適用されることができ、並びに、電子受容体及び有益活性剤前駆体を含む水溶液が、別に適用されることができることが理解されるであろう。
【0039】
しかし、光触媒性消費者製品組成物が水性組成物である場合、前記組成物は、組成物の重量に対して、1%〜99%の水を含むことができる。したがって、光触媒性消費者製品組成物は、濃縮された又は希釈された形態であり得ることが理解されるであろう。水の全体又は一部が、エタノール、グリコール、グリコールエーテル、グリセリン、水溶性酢酸塩及びアルコールなどの別の溶媒と置き換えることが可能であることが、更に考察される。
【0040】
上記したとおり、本発明は、光活性剤、電子受容体及び有益活性剤前駆体を含む、光触媒性消費者製品組成物に関する。かかる実施形態において、光触媒が、可視波長の光による活性化を介して、一重項及び/又は三重項状態に励起され得ることが理解されるであろう。可視光への暴露後、活性化された一重項及び/又は三重項状態の光触媒により誘発されて、有益活性剤前駆体が有益活性剤に変換し得ることも理解されるであろう。光触媒が、光により活性化されることなく、有益活性剤前駆体によって不活性であることが理解されるであろう。
【0041】
光触媒性消費者製品組成物は、光、例えば、可視光、紫外線及び/又は赤外線に反応するシステムである。好ましい一実施形態では、前記システムは、可視光に反応する。本実施形態では、光源から光触媒への光子移動が、効果的有益剤の作製のための進展に対する反応を許容し、いくつかの実施形態では該効果的有益剤は、洗浄、消毒若しくは殺菌、及び/又は漂白若しくは増白のために機能してもよい。
【0042】
電子受容体
本発明の光触媒性消費者製品組成物は、電子受容体を含む。光化学的に誘導された電子の移動が、試薬の化学転化(例えば、有益剤前駆体物質の有益活性剤への転化)を生じる可能性があり、並びに、有益剤前駆体物質の酸化をもたらして、有益な結果、例えば洗浄、消毒、漂白及び/又は増白を提供することができる有益活性剤を作製する可能性があるという点で、光触媒の還元及び酸化化学反応が従来のエネルギー移動光化学とは異なることを当業者は理解するであろう。
【0043】
本発明の目的において「電子受容体」という用語は、「光活性剤が光励起状態及び/又は1電子還元状態にあるとき、光活性剤から電子を受容する化合物又は部分」として定義される。この電子移動プロセスは通常、非常に迅速かつ可逆的なプロセスである。
【0044】
励起した光活性剤から電子を受容する電子受容体の能力は一般的に、Turro、N.J.V.Ramamurthy及びJ.C.Scaiano「Principles of Molecular Photochemistry:An Introduction」Chapter7、p.41(University Science Books 2009、Paperback edition)に記載されている。ギブズ自由エネルギー(δG)が0未満であるとき、反応物質間の反応が望ましいと理解されている。
【0045】
前記反応プロセスは、
図1に概略的に示されている。
図1に示すように、反応1(図の右半分)は、有益活性剤前駆体から励起状態の光活性剤への電子移動(これにより有益活性剤を形成する)、それから本明細書に記載される、光活性剤の1電子還元型から電子受容体への電子移動、が発生する反応を示す。
図1に示すように、反応2(図の左半分)は、励起状態の光活性剤から電子受容体への電子移動、それから光活性剤の1電子酸化型から有益活性剤前駆体への電子移動(これにより有益活性剤を形成する)、が発生する反応を示す。すべての場合について、電子移動におけるギブズ自由エネルギーは、0未満でなければならない。光活性剤の光活性化された状態(「光活性剤
*」)への転化は、光吸収により開始されて、それは反応中も存在すると理解される。
【0046】
光触媒性消費者製品組成物を含む種の間のいかなる電子移動も、反応している種の間に発生する有効なブラウン衝突を更に必要とすること、並びに、光化学的に励起状態の光活性剤と、光触媒性消費者製品組成物(例えば電子受容体)を含む任意の種の間の有効な電子移動も更に、光活性剤の励起状態の寿命、光活性剤の濃度、及び電子受容体の濃度に依存する可能性があることを、当業者は更に理解するであろう。
【0047】
本発明の電子受容体は、光活性剤が光励起状態及び/又は還元状態にあるとき、光活性剤から電子を受容する任意の種であり得る。電子受容体は、光活性剤とのブラウン衝突を可能にする十分な濃度の光触媒性消費者製品組成物中に存在しなければならず、それは、光活性剤の濃度、及び光活性剤の光化学的な励起状態の寿命を与える。
【0048】
好適な電子受容体は、以下からなる群から選択されることができる。
ビオロゲン:例えば、メチルビオロゲン;
ビピリジウム:例えば、2,2'ビピリジニウム、3,3'ビピリジニウム、3,4'ビピリジニウム;
キノン:例えば、p−ベンゾキノン、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン、テトラヒドロキシ−1,4−キノン水和物、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、t−ブチルヒドロキノン、アントラキノン、ジアミノアントラキノン、アントラキノン−2−スルホン酸;
多環式芳香族炭化水素:例えば、ナフタレン、アントラセン、ピレン、ジシアノベンゼン、ジシアノナフタレン、ジシアノアントラセン、ジシアノピレン;
遷移金属塩:例えば、二塩化クロロペンタアミンコバルト、硝酸銀、硫酸鉄、硫酸銅; ナノ粒子半導体:例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、セレン化カドミウム;
過硫酸塩:例えば、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム;
ニトロキシルラジカル:例えば、(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−イル)オキシ、ジメチルチオ尿素、テトラニトロメタン、リチウム、アセト酢酸ナトリウム及びアセト酢酸カリウム、オキサロ酢酸;
アスコルビン酸塩:例えば、アスコルビン酸ナトリウム;
フェノール:2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、4−メトキシフェノール;
その他:4−メチルモルホリンN−オキシド、4−t−ブチルカテコール、アロプリノール、ピリドキサル5'−リン酸塩、塩酸ピリドキサル、安息香酸ナトリウム、硝酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、二原子酸素;及び、
それらの混合物。
【0049】
好適な電子受容体に関して、二原子酸素は、大気から組成物への酸素の溶解、特に水性液体組成物への溶解の理由から、組成物中に存在することができる電子受容体である。大部分の水性液体組成物は、電子移動プロセスを可能にする電子受容体として、二原子酸素の十分な含有量を有しうる。これは、成分として組成物内への他の電子受容体の追加により強化されることができる。固体組成物(又は他の実質的に無水の組成物)に関して、かかる組成物は通常、電子移動プロセスを可能にする十分な濃度の二原子酸素を有していない。したがって、水溶液中の二原子酸素の存在の理由から、組成物への追加成分として電子受容体を含有しない固体組成物は、それでもなお水溶液への固体組成物の溶解の際、光化学的に活性があり得る(例えば、水に溶解しない固体洗剤組成物は、電子移動プロセスを可能にする十分な濃度の二原子酸素を含有する水溶液を形成できる)。したがって、本発明は、成分として組成物に添加される電子受容体を必要とせずに、水溶性光活性剤及びオキシハライトを含む固体組成物を包含する。かかる固形組成物は、二原子酸素が電子受容体として機能し得る水への溶解において、光活性化され得る。
【0050】
好適な電子受容体に関して、二酸化チタンなどのナノ粒子半導体が比較的低濃度で使用されて、消費者製品組成物の重量に対して、好ましくは約1%未満、好ましくは0.5%未満、好ましくは0.1%未満、好ましくは0.05%未満、好ましくは0.01%未満で、電子受容体として機能し得る。より高濃度で、かかる材料は、光活性剤として効率的に機能できるが、しかし本発明のナノ粒子半導体の使用は好ましくは十分に低濃度であり、その結果、前記材料は、電子受容体の代わりに顕著な利点及び機能を大勢の消費者に提供するための光活性剤として機能しない。
【0051】
光触媒性消費者製品組成物は、好ましくは水性組成物であり、電子受容体は、好ましくは上述の群のうちの1つ以上から選択される水溶性種である。
【0052】
有益活性剤前駆体
本発明の光触媒性消費者製品組成物は、有益活性剤前駆体を含む。本発明の光触媒性消費者製品組成物に使用され、適切な光に暴露される(例えば本発明の方法で)とき、有益活性剤前駆体は有益活性剤(例えば二酸化塩素)に変化する。有益活性剤は、有益活性剤前駆体の1電子酸化生成物(類)である。
【0053】
本発明の一態様において、有益活性剤前駆体は、以下の式による1つ以上の種から選択される材料である。
A[XO
n]
m
式中、
Aは、一価のカチオン、二価のカチオン、及び三価のカチオンからなる群から選択され、Aは、有機カチオン又は無機カチオンであることができ、好ましくはAは、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、クロム、銅、鉄、リチウム、カリウム、ルビジウム、マグネシウム、マンガン、モリブデン、ニッケル、ナトリウム、チタン、バナジウム、亜鉛、アンモニウム、アルキル−アンモニウム、アリール−アンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択され、より好ましくはAは、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
Xは、塩素、臭素、ヨウ素、及びこれらの混合物からなる群から選択され、
nは、1、2、3、又は4、好ましくはnは、2、3、又は4であり、
mは、1、2、又は3である。
【0054】
本発明の有益活性剤前駆体は、好ましくはオキシハライトであり、好ましくは、次亜塩素酸塩、亜塩素酸塩、塩素酸塩、過塩素酸塩、次亜臭素酸塩、亜臭素酸塩、臭素酸塩、過臭素酸塩、次亜ヨウ素酸塩、亜ヨウ素酸塩、ヨウ素酸塩、過ヨウ素酸塩及びこれらの混合物からなる群から選択される。好適な有益活性剤前駆体は、ナトリウム亜塩素酸塩、ナトリウム亜臭素酸塩、ナトリウム亜ヨウ素酸塩、カリウム亜塩素酸塩、カリウム亜臭素酸塩、カリウム亜ヨウ素酸塩、ナトリウム塩素酸塩、ナトリウム臭素酸塩、ナトリウムヨウ素酸塩、カリウム塩素酸塩、カリウム臭素酸塩、カリウムヨウ素酸塩、ナトリウム次亜塩素酸塩、ナトリウム次亜臭素酸塩、ナトリウム次亜ヨウ素酸塩、ナトリウム過塩素酸塩、カリウム過塩素酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。少なくとも一態様において、有益活性剤前駆体は、次亜塩素酸塩などのハイポハライトではない。
【0055】
一態様では、有益活性剤前駆体は、亜塩素酸塩でもよい。有益活性剤前駆体としての用途に適している亜塩素酸塩の具体例は、亜塩素酸ナトリウム(NaClO
2)である。この実施形態では、光活性化された光触媒への電子の移動による亜塩素酸塩の活性化は、有益活性二酸化塩素(ClO
2)の形成をもたらす。二酸化塩素は、強力な殺生物剤及び漂白剤である。塩類に加えて、種々の他の前駆体の形態が、本明細書で考察される。
【0056】
任意の添加剤
本発明の光触媒性消費者製品組成物はまた、追加の補助添加剤も含有し得る。これら追加成分の明確な性質及びその組み込み濃度は、組成物の物理的形態及びそれが使用される洗浄、殺菌及び/又は増白作業の明確な性質に依存する。後述のいくつかの補助添加剤が、光活性特性及び/又は電子受容体特性を有することは理解されるであろうが、かかる添加剤が、上述の成分を置き換えないことも更に理解されるであろう。
【0057】
好適な光触媒性消費者製品組成物及びそのための補助添加剤は、2014年1月24日出願、米国特許出願第61/930,993号、名称「CONSUMER PRODUCT COMPOSITIONS」(代理人整理番号13057P)に詳細が記載されている。
【0058】
使用法
本発明は更に、表面を洗浄すること、染みを漂白すること(歯を白くすることを含む)、表面を消毒する及び/又は殺菌すること、表面などからバイオフィルムを除去することなどの利点を提供するために、組成物の本発明の光活性剤を使用する方法に関する。
【0059】
したがって、本発明は表面を洗浄する方法を包含し、前記方法は、本発明の光活性剤を含む組成物で表面に接触することと、組成物を、好ましくは約350nm超の波長を有する光に暴露することとを含む。利用される光は、自然光源又は人工光源のものであり得る。
【0060】
本発明は更に、染みを漂白する方法を包含し、前記方法は、本発明の光活性剤を含む組成物で染みに接触することと、組成物を光に、好ましくは約350nm超の波長を有する光に暴露することとを含む。
【0061】
本発明は更に、表面を消毒する方法を包含し、前記方法は、本発明の光活性剤を含む組成物で表面に接触することと、組成物を光に、好ましくは約350nm超の波長を有する光に暴露することとを含む。
【0062】
本発明は更に、表面からバイオフィルムを除去する方法を包含し、前記方法は、本発明の光活性剤を含む組成物でバイオフィルムに接触することと、組成物を光に、好ましくは約350nm超の波長を有する光に暴露することとを含む。
【0063】
本発明は、染みのついた布地を洗浄する方法にも関し、前記方法は、洗浄を必要とする染みのついた布地に、上で詳述される少なくとも0.001ppmの光活性剤を有する、上で詳述される光活性剤を含む組成物で接触することと、その後、処理した布地の表面を約300ナノメートル超、好ましくは約350ナノメートル超、好ましくは約400ナノメートル超、最高約550ナノメートル、好ましくは最高500ナノメートル超の最小波長帯を有する光源に暴露することと、を含む。
【0064】
本発明は更に、表面を洗浄する方法にも関し、該方法は、洗浄を必要とする表面に、上で詳述される少なくとも0.001ppmの光活性剤を有する、上で詳述される本発明の光活性剤を含む組成物で接触することと、その後、表面を約300ナノメートル超、好ましくは約350ナノメートル超、最高約550ナノメートル、好ましくは最高500ナノメートル超の最小波長帯を有する光源に暴露することと、を含む。
【0065】
本発明は更に、歯及び義歯(口腔の内側若しくは外側)を含有する、口腔を処理する又は洗浄する方法にも関し、前記方法は、処理又は洗浄を必要とする口腔(歯若しくは義歯を含む)に、上で詳述される少なくとも0.001ppmの光活性剤を有する、上で詳述される本発明の光活性剤を含む組成物で接触することと、その後、歯又は義歯を、約300ナノメートル超、好ましくは約350ナノメートル超、最高約550ナノメートル、好ましくは最高500ナノメートル超の最小波長帯を有する光源に暴露することと、を含む。
【0066】
容器類
本発明の光活性剤を含む組成物は、使用のため組成物を送達するための任意の好適な容器類に詰められ得る。しかし、光活性剤が光を吸収する、したがって使用前に有益活性剤が活性化するのを防止するために、容器が構造化され得ることが理解されるであろう。一態様では、容器は、不透明であり得る。別の態様では、容器は、消費者が容器を通して組成物を見ることができるように、ガラス若しくは又はプラスチック製の透明な又は半透明な容器であり得る。別の態様では、容器は、使用前に、消費者が組成物を見ることができるように、及び/又は組成物を活性化することができるように開けられ得る、並びに、その後保管中、光活性剤が光を吸収するのを防止するために閉じることができる、1つ以上の窓を含むことができる。好ましい一態様では、容器は、ポリエチレンテレフタレート、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、又はこれらの組み合わせで構成されてもよい。更に、好ましくは、組成物がキャップの開口部を通ってボトルを出るように、容器は、容器の上部にあるキャップを介して投与されてもよい。一態様では、キャップの開口部もまた、投与し易くするのを助けるためのスクリーンを含んでもよい。
【0067】
亜塩素酸塩クエンチ試験方法
本発明の光活性剤は、次のプロセスによって、適合性の評価を行った。
【0068】
光活性剤の励起に好適な波長は、任意の好適なUV/Vis分光光度計のUV/Visスペクトルを記録することと、350nm〜750nmの範囲の吸収バンドを確認することと、によって測定される。
【0069】
定常状態蛍光は、最初に、Horiba Jobin Yvon製Fluorolog3(モデル番号FL3−22)蛍光分光光度計を使用して測定され、光活性剤の蛍光スペクトルを得る。活性剤により作製された蛍光が、構造の蛍光量子収率に応じて変化することは、当業者によって理解されるであろう。光活性剤は、広い濃度範囲(1ppm〜10,000ppm)でスクリーニングされて、近似の最大の定常状態蛍光を生じる濃度を決定する。
【0070】
蛍光クエンチは、亜塩素酸ナトリウムの濃度範囲(1000ppm〜100,000ppm)で、上記のとおりに決定された濃度の光活性剤の溶液を製造することによって、示される。
【0071】
光活性剤がナトリウム亜塩素酸ナトリウム1%溶液に溶解しているとき、定常状態蛍光が少なくとも10%減少する(毎秒計数に基づく)場合、本発明の光活性剤は好適であるとみなされる。
【0072】
インジゴカルミン漂白試験方法
亜塩素酸塩の存在下で、減少した定常状態蛍光を示す光活性剤は、有益活性二酸化塩素の生成について評価される。活性剤溶液(上述した濃度)は、漂白指標として20ppmインジゴカルミンを含有する、1%亜塩素酸ナトリウム水溶液に調製される。
【0073】
溶液は、光活性剤の励起状態生成のための励起波長の光、及び10分の光暴露後得られたUV/Visスペクトルの光に暴露される。インジゴカルミンの可視吸収ピークの強度の減少が使用されて、亜塩素酸ナトリウムの存在下での光活性剤の漂白有効性を測定する。インジゴカルミン吸収ピーク強度が、亜塩素酸塩を含有しない制御溶液を上回るまで減少した場合、本発明の光活性剤は、好適であるとみなされる。
【実施例】
【0074】
光活性剤の実施例
以下は、本発明の、種々の水溶性有機光活性剤及びその合成の非限定的な実施例である。
【0075】
9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸塩化物
13.25gの9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸と、電磁攪拌棒と、を含んでいる乾燥した500mLの1口回収フラスコを、ファイアストンバルブ(発生したHClを捕集するための、水を通るバブラー出口を備える)に接続された乾式凝縮器に取り付ける。250mLのチオニルクロリドを添加した後、前記系は、真空/窒素の循環を5回行い、窒素正圧下に置く(懸濁固形分)。5時間の還流後、塩化チオニルは、ロータリーエバポレーターを使用して60℃で減圧下で除去される。フラスコ壁上の残留固体は、こすり落とされ、粉砕されて、室温で一晩真空下(40Pa(0.3mmHg))に置かれる。アルゴンを導入すると同時に真空が破られて、フラスコ口上にアルゴン流を維持する一方で、ガラス棒及びスパチュラを用いて、固体が粉砕される。一晩の真空処理を繰り返して、11.92gのピンクがかった固体酸塩化物を得る。
【0076】
チオキサントン−PEG(10,000)エステル結合物
オーブン乾燥したガラス製品を用いて、434.0gのポリ(エチレングリコール)(MW 10,000)が、機械的撹拌機、凝縮器(窒素/真空注入口を最上部に備える)、並びに温度コントローラ及び加熱マントルに接続されたテフロン熱電対を備える、3Lの3つ口丸底フラスコ内に置かれる。前記系は、窒素と真空との間を循環して、窒素雰囲気下に置かれる。
【0077】
0.64gの4−(ジメチルアミノ)ピリジン及び6.3mLのトリエチルアミンの添加後、続いて、500mLの無水塩化メチレンを添加する。混合物が撹拌されて物質を溶解するように、前記系を、窒素と真空との間で循環して、再び窒素雰囲気下に置く。無水塩化メチレン1160mLの9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−カルボン酸塩化物11.92gの懸濁液を、反応混合物内に移す。ピンクの固体懸濁混合物がすぐに不透明かつ褐色になるように、前記系は、窒素と真空との間を循環し、再び窒素雰囲気下に置かれる。周囲条件で3時間撹拌した後、混合物は、40℃で更に48時間撹拌される。反応混合物は、pH3の水溶液(飽和塩化ナトリウム水溶液2部と水1部とを混合して、0.1N塩酸塩でpH調整することによって調製される)100mLで2度抽出される。得られたエマルションは、分離に約1時間要する。300mLの飽和塩化ナトリウム水溶液で有機相を洗浄した後、300gの硫酸ナトリウム上で一晩乾燥する。吸引ろ過された後、溶媒はロータリーエバポレーターを使用して減圧下で除去されて、フラスコからこすり落とされて、乳鉢と乳棒ですりつぶされた379.9gの黄色がかった固体を得る。すりつぶされた固体は、1600mLの水と混合する前、一晩24Pa(0.18mmHg)の真空下に置かれる。この濁った溶液を、2つのガラス繊維パッドに通して吸引ろ過して、1817.2gの黄緑色の水溶液が得られて、その一部を凍結乾燥した後、19.0重量パーセントの固体が見いだされる。得られた光活性剤は、約380nmの好適な励起波長を示し、光活性剤の重量に対して光活性部分の約2%を含む。
【0078】
アントラキノン−mPEG(550)エステル結合物
5.08gのポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(mPEG−550;M
n ca 550、T
m=20℃)と、0.113gの4−(ジメチルアミノ)ピリジンと、1.4mLのトリエチルアミンと、40mLの塩化メチレンと、電磁攪拌棒と、を含んでいる、100mLの丸底フラスコを、ファイアストンバルブ(真空及び窒素導入のため)に接続された凝縮器に取り付ける。窒素雰囲気下で撹拌すると共に、2.50gのアントラキノン−2−塩化カルボニルを室温で添加し、次に混合物を加熱して、48時間還流する。冷却して、塩化メチレンを更に50mLを添加した後、混合物は、50mLの1M HClと、50mLの水で2回、抽出される。前記有機溶液を、硫酸マグネシウム上で乾燥する。吸引ろ過後、溶媒は、ロータリーエバポレーターを用いて、45℃で減圧下で除去される。淡いベージュ色の固体残留物が115mLの水に溶解され、紙フィルタパッド下のガラス繊維パッドに通して吸引ろ過される濁った溶液を提供する。凍結乾燥によって、10重量%の水溶液を作成するために溶解されている、粘着性のベージュの固体4.1gを得た。得られた光活性剤は、約450nmの好適な励起波長を示して、光活性剤の重量に対して光活性部分約27%を含む。
【0079】
アントラキノン−mPEG(2000)エステル結合物
18.47gのポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(mPEG−2000、1,500g;M
n ca 2000、T
m=52℃)と、0.112gの4−(ジメチルアミノ)ピリジンと、1.4mLのトリエチルアミンと、105mLの塩化メチレンと、電磁攪拌棒と、を含んでいる、100mLの丸底フラスコを、ファイアストンバルブ(真空及び窒素導入のため)に接続された凝縮器に取り付ける。窒素雰囲気下で撹拌すると共に、2.50gのアントラキノン−2−塩化カルボニルが室温で添加されて、次に混合物は加熱されて、48時間還流する。冷却して、塩化メチレンを更に50mLを添加した後、混合物は、50mLの1M HClと、50mLの水で2回、抽出される。前記有機溶液を、硫酸マグネシウム上で乾燥する。吸引ろ過後、溶媒は、ロータリーエバポレーターを用いて、45℃で減圧下で除去される。淡いベージュ色の固体残留物(16.66g)が、666mLの水に溶解され、紙フィルタパッド下でガラス繊維パッドに通して吸引ろ過される濁った溶液を提供する。凍結乾燥によって、10重量%の水溶液を作成するために溶解した、淡黄色の固体12.75gが得られる。得られた光活性剤は、約435nmの好適な励起波長を示し、光活性剤の重量に対して光活性部分の約9%を含む。
【0080】
Gantrez−ナフチルメチルアミド結合物
5.075gのGantrez(無水物形態、M
w 216,000、M
n 80,000)と、125mLのテトラヒドロフランと、電磁攪拌棒と、を含んでいる250mLの丸底フラスコを、ファイアストンバルブ(真空及び窒素導入のため)に接続された凝縮器に取り付け、次に撹拌及び加熱して、窒素雰囲気下で還流する。ポリマーは、ある程度溶解される。室温まで冷却した後、1.32gのトリエチルアミンを加えて、淡い紫色が発色する溶液から生じる若干の固体を得る。1.02gの1−ナフチレンメチルアミンの添加によってより濃い紫色がもたらされて、混合物は26時間窒素雰囲気下で、室温で撹拌される。1.0N水酸化ナトリウム水溶液(58.5mL)を反応物にゆっくり添加して、混合物は、室温で更に17時間撹拌される。二相混合物は、100mLの水が入った1Lフラスコに移されて、ロータリーエバポレーターを使用して、減圧下で50℃で濃縮される。追加の3サイクルを実行して、水100mLを添加し、濃縮して5.22gの褐色/黄色の固体を得る。この残留物は、105mLの水に溶解され、吸引ろ過され、ろ液は凍結乾燥されて、5重量%水溶液に希釈される、軽量固体7.41gを提供する。得られた光活性剤は、約405nmの好適な励起波長を示して、光活性剤の重量に対して光活性部分約11%を含む。
【0081】
2−(2−アミノエチル)−1H−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3(2H)−ジオン
100mLの丸底フラスコに、電磁攪拌棒とともに20mLのエチレンジアミンを入れる。5.00gの1,8−ナフタル酸無水物と30mLのピリジンとのスラリーをエチレンジアミンに添加し、フラスコに空気冷却器を取り付けて、得られたスラリーを撹拌して、アルゴン雰囲気下で23時間60℃まで加熱して、室温で更に24時間置く。それから反応混合物を、1Lビーカの水350mLに注入して撹拌し、得られた固体を4種ろ紙で吸引ろ過して、漏斗の水3X40mLで洗浄される。ろ過した固体は、6時間真空下で乾燥して(40Pa(0.3mmHg))、3.767gのオフホワイトの粉、2−(2−アミノエチル)−1H−ベンゾ[de]イソキノリン−1,3(2H)−ジオンを得る。
【0082】
Gantrez−ナフチレンアミド接合体
3.00gのGantrez(無水物形態、M
w 216,000、M
n 80,000)と、75mLのテトラヒドロフランと、電磁攪拌棒と、を含んでいる500mLの丸底フラスコを、ファイアストンバルブ(真空及び窒素導入のため)に接続された空気冷却器に取り付け、次に撹拌して、アルゴン下で60℃まで加熱する。ポリマーを溶解して、均一溶液を得る。室温まで冷却した後、1.1mLのトリエチルアミンを添加して、赤みがかった色が発色する溶液から生じる若干の固体が得られる。室温まで冷却した後、0.924gの2−(2−アミノエチル)−1H−ベンゾ[de]イソキノリン−1、3(2H)−ジオンを添加し、前記系を、アルゴンで再びパージして、その後60℃で20時間撹拌する。自由に撹拌する、若干の懸濁物質を含む紫色の溶液を、室温まで冷却して、35mLの1.0N NaOHを添加して、茶色の粘着性物質の沈殿をもたらす。室温で2.5時間後、50mLのメタノールを添加して、アルゴン下で一晩室温で撹拌を続ける。不溶性粘着性材料を含む混合物はその後、55℃のロータリーエバポレーターを使用して減圧下で濃縮する前に、加熱されて4時間穏やかに還流する。200mLの水の添加とその後の濃縮の後、残留物は、55℃の水300mLで撹拌される。溶解した大部分の残留物と濁った溶液が吸引ろ過されて、一方、4種ろ紙/ガラス繊維パッド/4種ろ紙の層の90mmブフナー漏斗上で暖めて、透明な(やや黄褐色の)溶液を得る。凍結乾燥することによって、0.026g/mLの溶液を作るために水に溶解する、オフホワイトの発泡体6.0gを得た。
【0083】
1−ナフトイル−4−mPEGセミカルバジド結合物
メトキシポリ(エチレングリコール)イソシアン酸塩(1.025g、MW約2000)を、電磁攪拌棒を備える、10mLの丸底フラスコに入れて、2mLの塩化メチレンに溶解する。塩化メチレン2mLに1−ナフトエ酸ヒドラジド0.186gを加えた懸濁液を撹拌する一方で、フラスコに蓋をして、かつ光を保護する箔で覆い、室温で撹拌を続ける。6日後、溶媒を、ロータリーエバポレーターを使用して減圧下で除去して、1.90gの白色固体を得る。この物質を、100mLの水に溶解/懸濁する。この溶液を、不純物を取り除くために3種ろ紙に通してろ過して、ピンクがかった色合いの綿毛状の白色固体1.09gを得る。この物質を、総体積100mLの水に再度溶解させて、0.0107g/mLの水溶液を得る。
【0084】
ナフチレンメチル−mPEG(2000)尿素結合物
メトキシポリ(エチレングリコール)イソシアン酸塩(1.025g、MW約2000)を、電磁攪拌棒を備える、10mLの丸底フラスコに入れて、2mLの塩化メチレンに溶解する。0.184gの1−ナフチレンメチルアミンを加えて撹拌する一方で、フラスコに蓋をして、かつ光を保護する箔で覆い、室温で撹拌を続ける。4日後、溶媒を、ロータリーエバポレーターを使用して減圧下で除去して、1.12gの白色固体を得る。この物質を50mLの水に溶解して、濁った均一溶液(pH7)を作成する。この溶液を、不純物を取り除くために3種ろ紙に通してろ過して、それから水で希釈して、総体積70mLにする。溶液の一部を凍結乾燥して、溶液が0.0133g/mLの濃度であることを測定する。
【0085】
デンプン−ナフタレンカルバミン酸塩結合物
THF 13mLの1−ナフチルイソシアン酸塩0.676gの溶液を、電磁攪拌棒を備える100mLの丸底フラスコのデンプン(Aldrichカタログ番号85652)3.24gに添加する。フラスコに、空気冷却器を取り付けて、アルゴン下で3日間60℃まで加熱する。混合物を、40℃で減圧下で濃縮して(ロータリーエバポレーター)、水100mLにスラリー化させて、再び濃縮して、更に繰り返す。得られた残留物を、水300mLにスラリー化させて、蒸気浴で加熱して、それから遠心分離して、大部分の固体から分離する。次に水溶液を吸引ろ過して、凍結乾燥して、0.70gの白い繊維状の固体を得る。この固体の0.307g部分を、300mLの水に懸濁させて(蒸気加熱によって)、室温まで冷却して、それから一晩放置して、固体を沈殿させる。次に水溶液を、吸引ろ過して、300mLまで希釈する。本溶液の一部が、凍結乾燥されて、溶液が0.00083g/mLの濃度であると測定される。得られた光活性剤は、約330nmの好適な励起波長を示す。
【0086】
mPEG(2000)−ナフタレン酸無水物結合物
固体試薬、0.300gの1,8ナフタレン無水物と3.90gのポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(mPEG−2000、1.500g、M
n ca 2000、T
m=52℃)を、電磁攪拌棒を備える100mLの丸底フラスコに、アルゴン下で乾式混合した。フラスコを24時間加熱することで、撹拌する固体の部分的な流体懸濁が得られた。冷却前に、内容物を、更に150℃で15時間加熱した。固体の塊を粉砕して、100mLの水に溶解/懸濁する。固体の微細懸濁液を、4種ろ紙上のガラス繊維パッドに通して吸引ろ過して、凍結乾燥して、0.067g/mL溶液を作るために水で希釈される3.0gの固体を得る。得られた光活性剤は、約380nmの好適な励起波長を示し、光活性剤の重量に対して光活性部分の約9%を含む。
【0087】
ポリ(ビニルアルコール)−ナフタレンカルバミン酸塩結合物
ポリビニルアルコール1.38g(40%加水分解、MW72,000)を計量して、電磁攪拌棒を備える25mLのフラスコに入れる。14mLのテトラヒドロフラン(THF)を添加して、ポリマーを膨潤/懸濁する。THF 1mL中の1−ナフチルイソシアン酸塩0.338gを添加して、アルゴン雰囲気下に置いて、光を遮断するために箔で覆い、4日間室温で撹拌する。20mLの1.0N水酸化ナトリウム水溶液を添加して、粘性スラリーを60mLのメタノール内に移動して撹拌する。室温で23時間撹拌した後、混合物を、空気冷却器を取り付けた1Lフラスコに移し、アルゴン下で60℃で16時間撹拌する。混合物を、50℃で減圧下で濃縮して(ロータリーエバポレーター)、水200mLに再度スラリー化して(pH11溶液)、再び濃縮する。得られた残留物を、水150mLにスラリー化させて、吸引ろ化して、透明な黄色がかった溶液を得る。凍結乾燥した後、1.685gの綿毛状の白色粉を得て、水で希釈して、0.164g/mLの溶液とする。得られた光活性剤は、約330nmの好適な励起波長を示し、光活性剤の重量に対して光活性部分の約19%を含む。
【0088】
ベンゾフェノン−mPEG(2000)カルバミン酸塩結合物
4−イソシアナトベンゾフェノン(0.138g)とポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(mPEG−2000、1.500g、M
n ca 2000、T
m=52℃)を、10mLのフラスコに電磁攪拌棒によってアルゴン雰囲気下で混合した。混合物を80℃の油浴に設置して、撹拌することで混合物を溶解して、桃色のスラリーを得る。17.5時間撹拌した後、混合物を室温まで冷却して、140mLの水にある程度溶解される固体の塊を形成する。4種紙の上のガラス繊維パッドを通して吸引ろ過した後、透明な水溶液を得る。この溶液を凍結乾燥することで、綿毛状の白色固体1.53gを得た。この固体を水で希釈して、0.0263g/mLの溶液を得る。得られた光活性剤は、約425nmの好適な励起波長を示し、光活性剤の重量に対して光活性部分の約8%を含む。
【0089】
ナフタレン−mPEG(500)カルバミン酸塩結合物
1−ナフチルイソシアネート(0.338g)とポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(mPEG−550、1.30g、M
n ca 550、T
m=20℃)を、10mLのフラスコに電磁攪拌棒によってアルゴン雰囲気下で混合して、光を遮蔽するために箔で覆い、室温で4日間撹拌した。混合物を、水80mLに希釈して、15分間撹拌する。濁った溶液を3種ろ紙に通して吸引ろ過して、透明な水溶液を得る。この溶液を凍結乾燥して、無色油1.65gを得、これを水で希釈して、0.0412g/mLの溶液を提供する。得られた光活性剤は、約337nmの好適な励起波長を示し、光活性剤の重量に対して光活性部分の約23%を含む。
【0090】
アクリジンアミドによって官能化されたポリ(アクリル酸)
9−アミノアクリジン0.427gを計量して、電磁攪拌棒を備える25mLの2ツ口丸底フラスコに入れて、アルゴン雰囲気下に設置した。10mLのジオキサンを加えて、得られた懸濁液を、アルゴン下で一晩室温で撹拌した。トリエチルアミン(0.50mL)を、9−アミノアクリジン/ジオキサン懸濁液に添加する。熱電対プローブ及び電磁攪拌棒を備える、25mLの2ツ口丸底フラスコに、4.00gのポリ(塩化アクリロイル)溶液(ジオキサン中25%、つまり1.00gのポリマー、ポリマーMW約10,000)を入れて、アルゴン雰囲気下に設置して、8℃まで冷却する(濃化する)。冷水浴を除去して、それから9−アミノアクリジン/ジオキサンスラリーを漏斗により一度に添加して、混合物をアルゴン雰囲気下に放置する。混合物は、直ちに固体で濃厚になり、温度は25℃まで上昇して、5分間かかって鎮静した。撹拌を補助するために、更に5mLのジオキサンを添加する。混合物を80℃まで加熱して、アルゴン下で撹拌を23時間続ける。フラスコの側部に付着していた固体をこすり落として、全内容物は、12.8mLの1.0N水酸化ナトリウム溶液を用いて500mLに移されて、混合物を一晩磁気的に撹拌する。追加の1.0N水酸化ナトリウム2.0mLを、pH7〜8の微細固体懸濁液に加える。1時間後、追加の1.0N水酸化ナトリウム2.0mLを、pH9懸濁液に加える(この時点で、より少ない懸濁物質)。得られたpH11の混合物を、室温で3日間撹拌して、pHを9〜10に下げる。前記試料は、減圧下で濃縮される(ロータリーエバポレーター、40℃)。水50mLを残留物に加えた後、それを再び濃縮して、この工程が繰り返される。残留物は100mLの水に懸濁して、4種紙に通して吸引ろ過する。濁ったろ液は、水で300mLまで希釈されて、ガラス繊維パッドを最上部に備える4種紙を通してろ過して、凍結乾燥されているより透明な溶液を得る。得られた黄色の粘着性繊維状固体1.15gを、水で希釈して0.0144g/mLの溶液を提供する。得られた光活性剤は、約395nmの好適な励起波長を示し、光活性剤の重量に対して光活性部分の約31%を含む。
【0091】
ナフタレンメチルアミドによって官能化されたポリ(アクリル酸)
電磁攪拌棒を備える、25mLの2ツ口丸底フラスコに、4.00gのポリ(塩化アクリロイル)溶液(ジオキサン中25%、つまり1.00gのポリマー、ポリマーMW約10,000)を加えて、アルゴン雰囲気下に設置する。テトラヒドロフラン2mL中0.346gの1−ナフチレンメチルアミンと0.32mLのトリエチルアミンの溶液を、撹拌しながら5分間かけてポリマー/ジオキサン混合物に加える。溶液は、固体懸濁液を急速に形成する。室温で24時間撹拌した後、反応物を100mLフラスコに移して、19.8mLの1.0Mの水酸化ナトリウム溶液を加え、フラスコは蓋をして(アルゴン下ではない)、それからクリーム色のスラリーを、室温で16.5時間撹拌する。2mLの1.0N塩酸を添加した後、前記混合物を40℃の減圧下で濃縮して(ロータリーエバポレーター)、再び50mLの水に懸濁して、約30mLに濃縮して、pH7〜8の懸濁液を得る。1.0mLの1.0N NaOHの次の添加後に、pHが9〜10になるまで、1.0N塩酸(約1mL)の滴下添加が続く。更に水30mLを加えて、混合物を50℃の減圧下で濃縮して(ロータリーエバポレーター)、2.14gの残留物を得る。この残留物を、水100mLに部分的に溶解/懸濁して、不溶物は吸引ろ過により除去される。得られたpH7〜8の溶液を凍結乾燥して、白色粘着性繊維状固体1.78gを得、これを水で希釈して0.022g/mLの溶液を提供する。得られた光活性剤は、約320nmの好適な励起波長を示し、光活性剤の重量に対して光活性部分の約1%を含む。
【0092】
フルオレセイン−mPEG(550)結合物
フルオレセイン5−イソチオシアネート(0.226g)とポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(mPEG−550、1.20g、M
n ca 550、T
m=20℃)を、10mLフラスコに電磁攪拌棒によってアルゴン雰囲気下で混合した。混合物を120℃の油浴に設置して、撹拌して、オレンジ色の懸濁液を得る。この温度で6日後、混合物はほぼ均一であり、室温まで冷却されている。残留物は水100mLに溶解され、18時間後、溶液を遠心分離して、未溶解物質を除去する。上澄みを分離して、水を凍結乾燥により除去して、1.051gの黄色の油を得、これを水に溶解して、結合物の0.0104g/mL溶液を提供する。得られた光活性剤は、約490nmの好適な励起波長を示し、光活性剤の重量に対して光活性部分の約41%を含む。
【0093】
フルオレセイン−mPEG(2000)結合物
フルオレセイン5−イソチオシアネート(0.226g)とポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(mPEG−2000、1,500g、M
n ca 2000、T
m=52℃)を、10mLフラスコに電磁攪拌棒によってアルゴン雰囲気下で混合した。混合物を100℃の油浴に設置して、撹拌することで、mPEG−2000が溶解してオレンジ色の懸濁液を提供する。この温度で3日後、混合物はほぼ均一であり、室温まで冷却されている。残留物は水200mLに溶解され、18時間後、未溶解固体を真空ろ過によって除去した。水を凍結乾燥より除去して、1.514gの黄色がかったオレンジ色の固体を得、これを水に溶解して結合物の0.014g/mL溶液を提供する。得られた光活性剤は、約460nmの好適な励起波長を示し、光活性剤の重量に対して光活性部分の約12%を含む。
【0094】
Gantrez−アミノアクリジンアミド結合物
250mLの丸底フラスコに、0.972gの9−アミノアクリジンとTHF 23mlを入れる。氷水浴で冷却する一方で、窒素雰囲気下で撹拌する。乾燥した注射器を介して、ヘキサンの2.5Mブチルリチウム溶液1.5mlをフラスコに移す。氷浴を取り除いて、室温で20分間撹拌を続ける。2.925gのGantrez(無水物形態、M
w 216,000、M
n 80,000)を計量して、THF 140mlを加えた。若干の物質は、溶解していないままだった。混合物を室温で反応フラスコに注入する。トリエチルアミン1mlを加える。加熱して、還流する。35日間還流を続けて、室温まで冷却する。1.0N水酸化ナトリウム水溶液(35mL)を反応フラスコにゆっくり添加して、混合物を、室温で更に16時間撹拌する。二相混合物は、100mLの水が入った1Lフラスコに移されて、ロータリーエバポレーターを使用して、減圧下で50℃で濃縮される。追加の3サイクルを実行して、水50mLを添加し、濃縮して、6.7gの黄褐色/褐色の固体を得る。この残留物は、200mLの水に溶解され、吸引ろ過されて、ろ液は凍結乾燥されて、軽量固体6.55gを提供する。この試料のアリコート1.0139gは、H
2O20mlで希釈されて、5重量%水溶液を得る。
【0095】
フェノチアジン−mPEG(2000)カルバミン酸塩結合物
電磁攪拌棒を備えており、ファイアストンバルブ(真空及び窒素導入のため)に接続された凝縮器に取り付けた、250mLの丸底フラスコに、7.58gのポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(mPEG−2000、M
n ca 2000、T
m=52℃)と90mLの塩化メチレンを室温で加える。窒素下で撹拌する一方で、1.0009gのフェノチアジン−10−塩化カルボニルを室温で加える。無色の溶液は、若干の沈殿を伴ってピンク色に変化した。混合物に、0.0471gの4−(ジメチルアミノ)ピリジンと0.58mLのトリエチルアミンを加える。混合物を、96時間加熱して還流する。混合物はより濃くなり、スラリーがフラスコの底に観察された。冷却して、塩化メチレンを更に50mLを添加した後、混合物は、20mLの1M HClと、50mLの水で2回、抽出される。前記有機溶液を、硫酸マグネシウム上で乾燥する。吸引ろ過後、溶媒は、ロータリーエバポレーターを用いて、46℃で減圧下で除去される。固体残留物(9.10g)は400mLの水に溶解され、ガラス及び紙繊維フィルタパッドの組み合わせに通して吸引ろ過される、乳白色溶液を提供する。凍結乾燥することで、真白な固体7.16gを得た。固体のアリコート1.0085gを、H
2O10mlに溶解して、10重量%水溶液を得る。
【0096】
Gantrez−ナフトエ酸ヒドラジドジアシルヒドラジン結合物
4.20gのGantrez(無水物形態、M
w 216,000、M
n 80,000)と、125mLのテトラヒドロフランと、電磁攪拌棒と、を含んでいる250mLの丸底フラスコを、ファイアストンバルブ(真空及び窒素導入のため)に接続された凝縮器に取り付けて、室温で窒素下で撹拌する。ポリマーを、溶解した。次にフラスコに、室温で、1−ナフトエ酸1.0019gとトリエチルアミン0.60gを加える。最初にすべての試薬は溶液中にあったが、時間とともに紫色の混合物になった。混合物を48時間加熱して還流し、それから室温まで冷却する。1.0N水酸化ナトリウム水溶液(48.5mL)を反応物にゆっくり添加して、混合物は、室温で更に16時間撹拌される。二相混合物は、100mLの水と50mLのTHFが入った1Lフラスコに移されて、ロータリーエバポレーターを使用して、減圧下50℃で濃縮される。追加の3サイクルを実行して、水75mLを添加し、濃縮して、7.72gの黄褐色/褐色の固体を得る。この残留物は、200mLの水に溶解され、吸引ろ過され、ろ液は凍結乾燥されて、軽量固体6.63gを提供する。この試料のアリコート1.07gは、10重量%水溶液まで希釈される。
【0097】
先に例示されている各光活性剤は、上で記載する、亜塩素酸塩クエンチ試験方法及びインジゴカルミン漂白試験方法の両方による好適な光活性剤であるとわかる。
【0098】
本明細書全体を通じて記載されるあらゆる最大数値限定は、それよりも小さいあらゆる数値限定を、あたかもこうしたそれよりも小さい数値限定が本明細書に明確に記載されているかのように含むことが理解されるべきである。本明細書の全体を通して与えられるすべての最小の数値限定は、それよりも高い数値限定を、そのようなより高い数値限定があたかも本明細書に明示的に記載されているかのように包含する。本明細書の全体を通して与えられるすべての数値範囲は、そのようなより広い数値範囲内に入るより狭いすべての数値範囲を、そのような狭い数値範囲があたかもすべて本明細書に明示的に記載されているかのように包含する。
【0099】
本明細書に開示される寸法及び値は、列挙された正確な数値に厳しく制限されるものとして理解されるべきでない。それよりむしろ、特に指定されない限り、こうした各寸法は、列挙された値とその値周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することを意図する。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0100】
あらゆる相互参照又は関連特許若しくは特許出願を含む、本明細書に引用されるすべての文献は、明白に除外される又は別の方法で限定されない限り、本明細書中に参照によりすべてが組み込まれる。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明すべてを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更には、本明細書における用語のいずれかの意味又は定義が、参考文献における同一の用語のいずれかの意味又は定義と相反する限りにおいて、本明細書でその用語に与えられた意味又は定義を優先するものとする。
【0101】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱せずに、他の様々な変更及び修正を行うことができることは当業者には明白であろう。したがって本発明の範囲に含まれるすべてのこうした変更及び改変を付属の特許請求の範囲において網羅するものである。