特許第6697060号(P6697060)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6697060
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】空気入りタイヤのビード補強装置
(51)【国際特許分類】
   B60C 15/06 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   B60C15/06 A
   B60C15/06 Q
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-230361(P2018-230361)
(22)【出願日】2018年12月7日
(65)【公開番号】特開2019-218043(P2019-218043A)
(43)【公開日】2019年12月26日
【審査請求日】2018年12月7日
(31)【優先権主張番号】10-2018-0069011
(32)【優先日】2018年6月15日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514040088
【氏名又は名称】ハンコック タイヤ アンド テクノロジー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】HANKOOK TIRE & TECHNOLOGY CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100130111
【弁理士】
【氏名又は名称】新保 斉
(72)【発明者】
【氏名】キム、ギョン ホ
【審査官】 鏡 宣宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−67183(JP,A)
【文献】 特開2015−39970(JP,A)
【文献】 特開2001−121928(JP,A)
【文献】 特開2011−240834(JP,A)
【文献】 特開2011−42230(JP,A)
【文献】 特開2012−20657(JP,A)
【文献】 特開2012−148682(JP,A)
【文献】 特開2002−79814(JP,A)
【文献】 特表2010−517865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 15/00−15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤとホイールとが当接する部分であってタイヤの円周を形成するビード部と、
前記ビード部を内側から外側まで包み込むように形成され、タイヤの全体の骨格を形成するカーカス部と、
前記ビード部の外側面の全面を包み込むように形成されたビード補強材部と、を備え
前記ビード部の側面の一部と当接するように配置されるゴムシート部をさらに備え、
前記ビード補強材部は、前記ビード部の外側面の全部を包み込むように形成された第1の外側ビード補強材部と、前記ビード部の内側面の全部を包み込むように形成された第1の内側ビード補強材部と、を備える第1のビード補強材部であり、
前記ゴムシート部は、前記第1の外側ビード補強材部と前記第1の内側ビード補強材部との間に位置し、前記ビード部の外側面または内側面の一部を包み込むように構成される第1のゴムシート部であり、
前記第1のゴムシート部は、前記第1の内側ビード補強材部の上部終端よりもさらに突出するように形成される
ことを特徴とする空気入りタイヤのビード補強装置。
【請求項2】
前記第1の内側ビード補強材部の上部終端が前記第1の外側補強材部の上部終端よりもさらに突出するように形成される
請求項1に記載の空気入りタイヤのビード補強装置。
【請求項3】
前記第1のゴムシート部は、前記ビード部の外側面及び内側面を包み込むように形成された
請求項1に記載の空気入りタイヤのビード補強装置。
【請求項4】
タイヤとホイールとが当接する部分であってタイヤの円周を形成するビード部と、
前記ビード部を内側から外側まで包み込むように形成され、タイヤの全体の骨格を形成するカーカス部と、
前記ビード部の外側面の全面を包み込むように形成されたビード補強材部と、を備え
前記ビード部の側面の一部と当接するように配置されるゴムシート部をさらに備え、
前記ビード補強材部は、前記ビード部の外側面の全部を包み込むように形成された第2の外側ビード補強材部と、前記ビード部の内側面の一部を包み込むように形成された第2の内側ビード補強材部と、を備える第2のビード補強材部であり、
前記ゴムシート部は、前記ビード補強材部が包み込んでいない前記ビード部の内側面を包み込むように構成される第2のゴムシート部である
ことを特徴とする空気入りタイヤのビード補強装置。
【請求項5】
前記第2のゴムシート部は、前記第2の外側ビード補強材部の上部終端よりもさらに突出するように形成された
請求項4に記載の空気入りタイヤのビード補強装置。
【請求項6】
前記第2の外側ビード補強材部の上部終端が前記ビード部の上部終端よりもさらに突出するように形成される
請求項4に記載の空気入りタイヤのビード補強装置。
【請求項7】
前記第2の内側ビード補強材部は、前記ビード部の内側面を包み込むように形成される
請求項4に記載の空気入りタイヤのビード補強装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気入りタイヤのビード補強装置に関し、さらに詳しくは、低い偏平率を有するタイヤに対して軽量化と動特性の向上を図るためにタイヤのビード部の外側の全面を包み込むビード補強装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車メーカー及び自動車部品メーカーは、自動車の進一歩した走行性能に対応し、かつ、車両の見栄えを向上させるなどの様々な目的のために、超高性能タイヤ(UHPT)の適用を速やかに拡大している。超高性能タイヤとは、メーカー別に基準の相違があるとはいえ、一般に、高速走行に特化した16インチ以上のリム径と55以下の低偏平率を有するタイヤのことをいう。
【0003】
このような55以下の低い偏平率は、高速の走行条件下で優れた操縦安定性を示し、かつ、抜群の制動能を有することから、車両に並外れた安全性能を提供する。時速240km/h以上の高速の走行条件下で安定したドライビング性能を提供するために、近年、複数の自動車メーカー及び自動車部品メーカーは、タイヤの動特性の向上のためのタイヤビードの補強技術への取り組みを行っている。
【0004】
タイヤのビードは、タイヤをリムに固定する部分を意味し、前記ビードからタイヤのサイドウォールにわたってのビードフィラー部分の剛性は、タイヤの動的性能に大きな影響を及ぼす。とりわけ、高速走行に特化して設計される超高性能タイヤにおいては、タイヤの動的性能が非常に重要であるため、タイヤのビード部が特に重要である。
【0005】
但し、タイヤは、自動車に取り付けられて長時間走行する場合、走行中に発生する各種の内圧と荷重に耐えることを余儀なくされるため、ビードの耐久性及び性能の低下などの問題が生じることが懸念される。そこで、このような問題を防ぐために、タイヤビードの耐久性及び動特性の向上のためにビードを補強するための技術が提案されてきた。
【0006】
従来の特許文献1(発明の名称:ビード部の耐久性が向上された空気入りタイヤ)には、ビード部を補強材で包み込むことでビード部において発生し得る変形及び応力の集中を緩和させ、ビード部の耐久性を向上させる技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献2(発明の名称:ビード部の補強材を備えた重荷重用タイヤ)には、ビード部の内部面に補強材を設けることにより、重荷重用タイヤの使用に当たって、タイヤカーカスの端部に発生するセパレーションを防止する技術が開示されている。
【0008】
但し、前記従来の特許技術によるビードの補強は、ビード部の外側面の全体を包み込んでいないタイプまたは一部のみを包み込むタイプであり、これは、高偏平率を有するタイヤにおいては有用であるとはいえ、超高性能タイヤの主流となっている低偏平率タイヤにおいては使えないか、あるいは、たとえ使えるとしても、その使用の効率性が非常に低いという問題がある。
【0009】
したがって、低偏平率のタイヤに適するようにビードを補強し、かつ、タイヤの動特性の向上と軽量化を図るための新たな技術の提示が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】大韓民国登録特許第10−1760876号公報
【特許文献2】大韓民国登録特許第10−1127637号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前記のような課題を解決するために、本発明は、タイヤの耐久性と動的性能を向上させるために、従来のビード補強材を用いたビードの補強方法を低い偏平率を有するタイヤにも拡大して適用すべく、タイヤのビード部の外側面の全面を補強材で包み込むビード補強装置を提供することを目的とする。
【0012】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述の技術的課題に限定されるものではなく、言及していない他の技術的課題は、以下の記載から本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者に明確に理解される。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記のような目的を達成するために、本発明は、タイヤとホイールとが当接する部分であってタイヤの円周を形成するビード部と、前記ビード部を内側から外側まで包み込むように形成され、タイヤの全体の骨格を形成するカーカス部と、前記ビード部の外側面の全面を包み込むように形成されたビード補強材部と、を備える空気入りタイヤのビード補強装置を提供する。
【0014】
本発明の実施形態において、前記ビード部は、中心に鋼線から形成されたビードワイヤと、前記ビードワイヤを包み込むように形成されたビードフィラーと、を備えることを特徴としてもよい。
【0015】
本発明の実施形態において、前記ビード部の側面の一部と当接するように配置されるゴムシート部をさらに備えることを特徴としてもよい。
【0016】
本発明の実施形態において、前記ビード補強材部は、テキスタイル材質からなることを特徴としてもよい。
【0017】
本発明の実施形態において、前記ビード補強材部は、前記ビード部の外側面の全部を包み込むように形成された第1の外側ビード補強材部と、前記ビード部の内側面の全部を包み込むように形成された第1の内側ビード補強材部と、を備える第1のビード補強材部であることを特徴としてもよい。
【0018】
本発明の実施形態において、前記ビード補強材部は、前記ビード部の外側面の全部を包み込むように形成された第2の外側ビード補強材部と、前記ビード部の内側面の一部を包み込むように形成された第2の内側ビード補強材部と、を備える第2のビード補強材部であることを特徴としてもよい。
【0019】
本発明の実施形態において、前記ゴムシート部は、前記ビード補強材部の間に位置し、前記ビード部の外側面または内側面の一部を包み込むように構成される第1のゴムシート部であることを特徴としてもよい。
【0020】
本発明の実施形態において、前記第1のゴムシート部は、前記第1の内側ビード補強材部の終端よりもさらに突出するように形成されることを特徴としてもよい。
【0021】
本発明の実施形態において、前記第1の内側ビード補強材部の上部終端が前記第1の外側補強材部の上部終端よりもさらに突出するように形成されることを特徴としてもよい。
【0022】
本発明の実施形態において、前記第1のゴムシート部は、前記ビード部の外側面及び内側面を包み込むように形成されたことを特徴としてもよい。
【0023】
本発明の実施形態において、前記ゴムシート部は、前記ビード補強材部が包み込んでいない前記ビード部の内側面を包み込むように構成される第2のゴムシート部であることを特徴としてもよい。
【0024】
本発明の実施形態において、前記第2のゴムシート部は、前記第2の外側ビード補強材部の上部終端よりもさらに突出するように形成されたことを特徴としてもよい。
【0025】
本発明の実施形態において、前記第2の外側ビード補強材部の上部終端が前記ビード部の上部終端よりもさらに突出するように形成されることを特徴としてもよい。
【0026】
本発明の実施形態において、前記第2の内側ビード補強材部は、前記ビード部の内側面を包み込むように形成されることを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0027】
前記のような構成を有する本発明の効果は、低い偏平率を有するタイヤに適したビード補強装置を提供することにより、従来の技術と比較して、タイヤの軽量化及びタイヤの動的性能の向上を図ることである。
【0028】
そして、本発明の他の効果は、ビード補強材の材質としてテキスタイルを適用し、ビードの耐久性の増大と、管理的な側面からの効率性とを図るとともに、ビード補強材の間にゴムシートを適用し、異種物質の適用に伴う半製品の剥離現象を未然に防ぐことである。
【0029】
本発明の効果は、前記効果に限定されるものではなく、本発明の詳細な説明または特許請求の範囲に記載されている発明の構成から推論可能なあらゆる効果が含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】空気入りタイヤの一般的な構造を示す模式図
図2】(a)は、従来の技術であるビード部の外側面を包み込んでいないタイプのビード補強装置の断面図であり、(b)は、従来の技術であるビード部の外側面の一部のみを包み込むタイプ(Half Bead Packing)のビード補強材に対する断面図
図3】本発明の一実施形態により、ビード部の外側面と内側面を全部包み込むタイプ(Full Bead Packing)のビード補強装置の断面図
図4】本発明の一実施形態により、ビード部の外側面を全部包み込み、内側面の一部のみを包み込むタイプ(Mixed Bead Packing)のビード補強装置の断面図
図5】(a)は、40mmのビードフィラーに対して従来の技術であるHBPビード補強を適用したタイヤの重量を示す表、(b)は、20mmのビードフィラーに対して本発明の一実施形態に係るFBPビード補強を適用したタイヤの重量を示す表
図6】(a)は、40mmのビードフィラーに対して従来の技術であるHBPビード補強を適用した場合と、20mmのビードフィラーに対して本発明の一実施形態に係るFBPビード補強を適用した場合とのタイヤ・コーナーリング・スティフネス(Cornering stiffness)を比較した実験データのグラフ、(b)は、40mmのビードフィラーに対して従来の技術であるHBPビード補強を適用した場合と、20mmのビードフィラーに対して本発明の一実施形態に係るFBPビード補強を適用した場合とのタイヤピークグリップ(Peak grip)を比較した実験データのグラフ
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、添付図面を参照して本発明について説明する。しかしながら、本発明は、様々な異なる形態で実現され得るので、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、図面において、本発明を明確に説明するために説明に関係のない部分は省略し、明細書全体を通して類似の部分には類似の符号を付した。
【0032】
明細書全体を通して、ある一部分が他の部分と「連結(接続、接触、結合)」されているという場合、それには「直接連結」されているものだけでなく、その間にさらに他の部材を介して「間接的に連結」されているものも含まれる。また、ある一部分がある構成要素を「含む」という場合、それは特に断らない限り他の構成要素を除外するものではなく、他の構成要素をさらに備えることを意味するものである。
【0033】
本発明に用いられる用語は、単に特定の実施形態について説明するために用いられるものであり、本発明を限定しようとする意図はない。単数の表現には、文脈からみて明らかに他の意味を有さない限り、複数の言い回しを含む。本発明における「含む」、「有する」などの用語は、明細書に記載されている特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせが存在することを示すものであり、1つまたはそれ以上の他の特徴、数字、ステップ、動作、構成要素、部品またはそれらの組み合わせの存在または付加可能性を予め排除するものではない。
【0034】
以下、添付図面を参照し、本発明について詳細に説明する。
【0035】
本発明に係る空気入りタイヤの補強装置を、添付図面を参照してさらに詳しく説明する。
【0036】
図1には、一般的な空気入りタイヤの構造が示されている。空気入りタイヤは、大きく、路面と直接的に接触し、厚いゴム層から構成されたトレッド1と、タイヤの骨格に相当し、車両の荷重に耐える役割を果たすカーカス2と、タイヤをリムに取り付ける役割を果たすビード3と、から構成される。
【0037】
タイヤの前記ビード3からタイヤの側面であるサイドウォールにわたっての部分の剛性は、タイヤの動的性能に直接かつ甚大な影響を及ぼす。但し、タイヤは、長時間走行をしながら発生する各種の荷重に耐えることを余儀なくされるため、前記ビード3に耐久性の低下及び変形などが生じることがあり、このような問題は、タイヤの動的性能の低下につながる。
【0038】
そこで、前記ビード3を補強することにより、タイヤの動的性能を向上させ、前記ビード3に応力が集中することを防いで耐久性を保つための技術が望まれる。
【0039】
図2は、従来のビード補強装置を示すものであり、ビードの外側面の一部のみをビード補強材で包み込むタイプ(Half Bead Packing)のビード補強装置に関する断面図である。
【0040】
このようなタイヤビードの補強は、ビード補強材を用いてタイヤビードを包み込むことで、フランジ部の大きな変形から前記ビード部を保護し、応力が集中しないようにして、全体的な耐久性を向上する。なお、前記ビードの補強によって剛性が高くなるので車両の変形を極力抑え、また、車両の操縦性を向上することで、車両の安定性に寄与することができる。
【0041】
但し、図示の前記従来のビード補強材及びビード補強方法は、高い偏平率を有するタイヤには有効であるのに対し、偏平率の低いタイヤに対しては使えないか、あるいは、たとえ使えるとしても、その効率性が格段に低い。
【0042】
タイヤの偏平率とは、タイヤの断面の高さを断面の幅で割って100を掛けた比率のことをいい、他の用語ではシリーズとも呼ばれる。一般に、偏平率が高ければ、乗車感が良いというメリットはあるが、高速走行をしたり、コーナーを曲がったりするとき、操縦安定性、制動能などの側面からみて安定感に劣るため、偏平率の低いタイヤを高性能のタイヤとして分類している。
【0043】
最近、自動車及び自動車の部品の市場には、高性能を誇る様々な車両がリリースされ、これに伴い、その性能をサポートできる超高性能タイヤ(UHPT)が速い速度で商用化に乗り出している。メーカーごとに基準が異なるとはいえ、超高性能タイヤ(UHPT)とは、一般に、リム径16インチ以上、偏平率55以下、及び速度等級V等級(240km/h)以上の条件を満たすタイヤのことをいう。
【0044】
超高性能タイヤ(UHPT)は、偏平率が低く、かつ、サイドウォールが強くてタイヤの横滑りや後退が少なくなるので、制動能が良くなり、スタンディングウェーブ現象が減って走行可能な最大の限界速度が高くなる。なお、速い走行に最適化したブロック性能を有するとともに、熱の発生率も低く設計され、高速走行を行っても安定的な乗車感を保つ。
【0045】
したって、超高性能タイヤの性能に対応し、タイヤビード部の動的性能と耐久性の向上を図るために、低い偏平率を有するタイヤビード部を補強する技術へと関心が引き寄せられている。
【0046】
本発明は、従来のビード補強装置及びビード補強方法を超高性能タイヤ(UHPT)の主流となっている低偏平率タイヤに拡張した形態であって、タイヤの軽量化及びタイヤの動的性能の向上を図るとともに、従来の技術が抱えていた色々な欠点を補うためのタイヤのビード補強装置を提供する。
【0047】
図3及び図4は、本発明の一実施形態により、ビード部100の外側面の全面をビード補強材部200で包み込むビード補強装置に対する断面図である。
【0048】
前記ビード部100は、タイヤとホイールとが当接する部分であって、前記タイヤをリムに連結する役割を果たす。前記ビード部100は、タイヤの円周に沿ってリング状に形成され、中心に鋼線から形成されたビードワイヤ110と、前記ビードワイヤ110を包み込むように形成されたビードフィラー120と、から構成される。
【0049】
従来のビード補強方法のビード補強材の材質としては、主にスチール材(Steel)、アラミド材(Aramid)またはナイロン材(Nylon)のうちのいずれか一種が挙げられる。これとは異なり、本発明の一実施形態に係る前記ビード補強材部200は、テキスタイル(Textile)材質からなることを特徴としてもよい。
【0050】
前記ビード補強材部200の材質としてテキスタイル材(Textile)を採用する場合、従来の補強材料と比較し、前記ビード部100の本来のビード補強の目的である耐久性の向上効果に加えて、相対的にその製造及び管理が容易であるというメリットがある。
【0051】
本発明は、低い偏平率を有するタイヤに特化したものである点に鑑みたとき、前記ビード部100の高さが10mm以上、かつ、20mm以下である場合に適用し易い。但し、前述したように、前記ビード部100の高さを限定することではなく、必要に応じて、様々な高さのビード部100に対して適用可能である。
【0052】
また、本発明の一実施形態により、前記ビード補強材部200の間、または前記ビード補強材部200と前記カーカス部400との間にゴムシート部300を設けてもよい。前記ゴムシート部300をさらに設けることは、前記ビード補強材部200で前記ビード部100を包み込むことにより発生し得る半製品の剥離現象を未然に防ぐのに効果を奏する。
【0053】
図3は、本発明の一実施形態により、前記ビード部100の外側面の全面と内側面の全面を両方とも第1のビード補強材部210で包み込むタイプ(Full Bead Packing)のビード補強装置に対する断面図である。前記第1のビード補強材部210は、前記ビード部100の外側面を包み込む第1の外側ビード補強材部211と、前記ビード部100の内側面を包み込む第1の内側ビード補強材部212と、から構成される。
【0054】
本発明の一実施形態により、前記第1のビード補強材部210の間に第1のゴムシート部310を設けてもよい。前記第1のゴムシート部310は、前記第1のビード補強材部210の間に位置し、前記ビードフィラー120の側面の一部を包み込むように構成されてもよい。
【0055】
本発明を適切に適用するために、図3に示す長さc1は、モールドプロファイル(Mold profile)及び規格により選択的に適用可能であり、長さa1及びd1は、約5mmに、長さb1は、約7mmにすることが好ましい。
【0056】
図4は、本発明の一実施形態により、前記ビード部100の外側面の全面と内側面の一部を両方とも第2のビード補強材部220で包み込むタイプ(Mixed Bead Packing)のビード補強装置に対する断面図である。前記第2のビード補強材部220は、前記ビード部100の外側面を包み込む第2の外側ビード補強材部221と、前記ビード部100の内側面を包み込む第2の内側ビード補強材部222と、から構成される。
【0057】
前記タイプにより、第2のビード補強材部220が包み込んでいない前記ビード部100の内側面の一部と前記カーカス部400との間に第2のゴムシート部320を適用し、包み込まれていない前記ビード部100の内側面を前記第2のゴムシート部320が包み込むように構成されてもよい。
【0058】
本発明の一実施形態を適切に適用するために、図4に示す長さc2は、モールドプロファイル(Mold profile)及び規格により選択的に適用可能であり、長さa2及びd2は、約5mmに、長さb2は、約3mmにすることが好ましい。
【0059】
但し、本発明の前記ビード補強材部200及び前記ゴムシート部300の適用位置または各長さなどは、前述した事項に何等限定されるものではなく、本発明を適切に適用するために適宜変更してもよい。
【0060】
本発明の適用に伴う具体的な効果は、以下、図5及び図6に示す表とグラフを用いて詳しく説明する。
【0061】
図5は、40mmのビードフィラーに従来の技術であるビード部の一部の面を包み込むタイプ(Half Bead Packing)のビード補強を適用したときのタイヤ重量を示す表(a)と、20mmの前記ビードフィラー120に本発明に係る前記ビード部100の全面を包み込むタイプ(Full Bead Packing)のビード補強を適用したときのタイヤ重量を比較した表(b)を示す。
【0062】
前記の表(a)に示すように、従来の補強技術によってビードを補強したタイヤの総重量は1.666kgであり、前記の表(b)に記載されているように、本発明によってビードを補強したタイヤの総重量は1.413kgである。
【0063】
前記実験表(a)及び表(b)の結果から明らかなように、低偏平率のタイヤ、つまり、断面の高さが低いタイヤに対して従来の技術によるビード補強(Half Bead Packing)を適用したタイヤに比べて、本発明によるビード補強(Full Bead Packing)を適用したタイヤの方が、200g以上の軽量効果を奏することが分かる。
【0064】
図6のグラフ(a)は、垂直荷重(Normal load)に伴う40mmのビードフィラーに、従来の技術であるビード部の一部の面を包み込むタイプ(Half Bead Packing)のビード補強を適用した場合と、20mmの前記ビードフィラー120に、本発明に係る前記ビード部100の全面を包み込むタイプ(Full Bead Packing)のビード補強を適用した場合とのコーナーリングスティフネス(Cornering stiffness)を比較した実験データを示す。
【0065】
コーナーリングスティフネス(Cornering stiffness)とは、タイヤのスリップ角とサイドフォースとの関係に伴うスリップ角0°においてサイドフォースが起きる微分値のことをいう。進行し続けているタイヤの方向を切り換える場合に発生する力の大きさの目安となり、自動車の操縦安定性に影響を及ぼす要素である。一般に、コーナーリングスティフネス(Cornering stiffness)が高くなればなるほど、タイヤは優れた動的性能を有する。
【0066】
図6のグラフ(b)は、垂直荷重(Normal load)に伴う40mmのビードフィラーに、従来の技術であるビード部の一部の面を包み込むタイプ(Half Bead Packing)のビード補強を適用した場合と、20mmの前記ビードフィラー120に、本発明に係る前記ビード部100の全面を包み込むタイプ(Full Bead Packing)のビード補強を適用した場合とのピークグリップ(Peak grip)を比較した実験データを示す。
【0067】
前記グラフ(a)を基準として構造別の影響も多少なりとも異なるとはいえ、本発明に係るビード補強による場合、コーナーリングスティフネス(Cornering Stiffinss)が概ね5〜15%以上高くなることを確認できる。前記グラフ(b)の結果から、本発明に係るビード補強による場合、ピークグリップ(Peak grip)もまた高くなることを確認できる。
【0068】
コーナーリングスティフネス(Cornering stiffness)が5%以上高くなる効果は、通常、タイヤの構成化合物の変更などによらなくては現われ難い変化の度合いと言えるもので、前記実験データの結果から、本発明による場合、従来の技術よりもタイヤの動的性能の向上において顕著に優れた効果があることが分かる。
【0069】
本発明の適用に伴う静特性に対する効果を、以下に提示された表1によって詳しく説明する。
【0070】
【表1】
【0071】
前記の表1の結果から、本発明に係るビード補強を適用する場合、従来の技術による場合と比較して、Kd値の変化によってタイヤのねじれ剛性(Distortional stiffness)が約51%高くなり、かつ、Kv値の変化によって垂直剛性(Vertical stiffness)が約22%低くなることを確認することができる。
【0072】
したがって、高さの低いビードフィラーに本発明に係るビード補強を適用することにより、垂直方向の静剛性が低くなり、その結果、全体的にタイヤが衝撃を吸収する特性であるエンベロープ(Enveloping)特性及び車両の安定感(Comfort)などが向上する効果が見込まれる。
【0073】
これにより本発明による場合、従来の技術に提示したタイヤビード部の補強装置及びビード補強方法を低い偏平率を有するタイヤにも拡張適用して、タイヤの軽量化及び静動特性の向上を図ることができ、かつ、従来の技術が抱えていた色々な欠点を補う役割をも果たすことができる。
【0074】
本発明の一実施形態により、前記ビード補強材部200をテキスタイル(Textile)から構成することにより、耐久性能に加えて、管理しやいというメリットを有することができ、前記ビード部100の内側または外側の補強の間に前記ゴムシート部300を適用し、異種物質の適用に伴う剥離現象を未然に防ぐことができる。
【0075】
前述した本発明の説明は例示のためのものであり、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想や必須の特徴を変更することなく、他の具体的な形態に容易に変形できることを理解するであろう。よって、前述の実施形態はあくまで例示的なものであり、限定的なものでない。例えば、単一型で説明された各構成要素を分散して実施してもよく、同様に分散したものと説明された構成要素を結合された形態に実施してもよい。
【0076】
本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲により示され、特許請求の範囲の意味及び範囲、並びにその均等概念から導かれるあらゆる変更または変形された形態も本発明に含まれる。
【符号の説明】
【0077】
1:トレッド
2:カーカス
3:ビード
100:ビード部
110:ビードワイヤ
120:ビードフィラー
200:ビード補強材部
210:第1のビード補強材部
211:第1の外側ビード補強材部
212:第1の内側ビード補強材部
220:第2のビード補強材部
221:第2の外側ビード補強材部
222:第2の内側ビード補強材部
300:ゴムシート部
310:第1のゴムシート部
320:第2のゴムシート部
400:カーカス部
図1
図2
図3
図4
図5
図6