(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記圧電構造を、前記電気泳動層の少なくとも1つのセクションと圧電材料で満たされている空間とを有する部分に、分割する工程をさらに含む、請求項5に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明者らは、電気泳動表示装置を動作させるためのバッテリーソース若しくは有線の電力供給を必要としない、ある圧電電気泳動表示装置の構造デザインを見出した。そのため、そのような電気泳動表示装置の組み立ては簡略化される。
【0016】
圧電現象とは、付加された機械的応力に反応して固体材料内に電荷が蓄積されることである。本発明に適している材料には、ポリビニリデン(PVDF)、水晶(SiO
2)、ベルリナイト(AlPO
4)、ガリウムオルトリン酸塩(GaPO
4)、トルマリン、チタン酸バリウム(BaTiO
3)、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化アルミニウム(AlN)、タンタル酸リチウム、ケイ酸ランタンガリウム、酒石酸カリウムナトリウム、及び、任意の他の知られた圧電材料が含まれていてもよい。
【0017】
図1〜10は、本発明の様々な構造デザインを示している。
【0018】
図1において、4つの導電層(C1〜C4)が存在する。C1とC2との間に第1圧電材料層(P1)が挟まれており、C3とC4との間に第2圧電材料層(P2)が挟まれている。C2とC3との間に電気泳動層(E)が挟まれている。圧電材料P1及びP2は、機械的応力が加えられたとき、C1及びC2とC3及びC4との間にそれぞれ電圧ポテンシャル差が発生する。C2とC3との間の電圧ポテンシャル差は、電気泳動層Eを駆動させる。
【0019】
本発明の明細書において、”電気泳動層”は、電気泳動流体で充填されたマイクロコンテナーを備えていてもよい。当該マイクロコンテナーは、マイクロカプセル(米国特許第5,930,026号に記載されている)、若しくは、マイクロカップ(米国特許第6,930,818号に記載されている)であってもよい。電気泳動流体は、溶媒若しくは溶媒混合物に分散された1又は2以上のタイプの荷電色素粒子を含む。
【0020】
”電気泳動層”若しくは”電気泳動フィルム”なる用語は、プラスティックの基板層(例えばPET)や導電層(例えばITO)を含まないことに留意すべきである。それゆえ、”電気泳動層若しくはフィルム”は、”基板レス電気泳動層若しくはフィルム”と称される。”電気泳動層若しくはフィルム”なる用語のより詳細が以下のセクションに示されている。
【0021】
図1の圧電電気泳動表示装置は様々な方法で作製してもよい。例えば、ラミネート加工により、一の圧電材料層を2つの導電層により挟んでもよい。別の態様では、2つの導電層間に挟まれた圧電材料は商業的に入手されてもよい。その後、電気泳動層(E)をC3−P2−C4の上に形成してもよく、C1とC2との間に挟まれた他の圧電材料層(P1)が電気泳動層(E)を覆うように積層される。別の態様では、電気泳動層が、ラミレート加工により、二対の導電層−圧電素子−導電層間に挟まれていてもよい。
【0022】
図2のデザインは、導電層C1及びC4が導電体ライン(C)により接続されている点を除いて
図1のものと同様である。このケースにおいて、C1及びC4は、同じ電圧ポテンシャルを有する。導電体ラインは、導電層C1及びC4の両方に接触するように折り曲げて接続されたライン若しくは導電性シート材料であってもよい。
【0023】
図3は、代替のデザインを示している。電気泳動層(E)は、導電層C1とC2との間に挟まれており、それとは別に、圧電材料層(P)が、導電層C3とC4との間に挟まれている。しかしながら、導電層C1とC3とは、導電体ラインCを介して接続されており、導電層C2とC4とは、導電体ラインC’を介して接続されている。このケースにおいて、C1とC2との間の電圧ポテンシャル差は、圧電材料に機械的応力が加えられたときに圧電材料が発生させるC3とC4との間の電圧ポテンシャル差と同じである。
【0024】
上述のように、2つの導電層(C3及びC4)間に挟まれている圧電材料(P)は、商業的に入手可能である。2つの導電層(C1及びC2)間に挟まれている電気泳動層は、既知の方法により作製してもよい。
【0025】
図4において、電気泳動層Eと圧電材料層(P)とは導電層をシェアしている。図示されているように、電気泳動層(E)及び圧電材料層(P)の両方は、導電層C1とC2との間に挟まれている。それゆえ、圧電材料により発生する電圧ポテンシャル差は、電気泳動層Eを駆動させるために使用されるであろう。
【0026】
図4の圧電−電気泳動構造は様々な方法で作製されてもよい。例えば、圧電材料(P)及び電気泳動層(E)が別々に導電層(C2)の上に形成されてもよく、最終的に、他の導電層(C1)が圧電材料及び電気泳動層の両方を覆うように積層される。
【0027】
別の態様では、電気泳動層がC2の上に形成され、その後電気泳動層の一部が除去され、その後、除去された電気泳動層により占有されていたスペースが圧電材料により充填される。その後、第2導電層(C1)が圧電材料及び電気泳動層の両方を覆うように積層される。
【0028】
図面において、圧電材料と電気泳動層との間にはギャップが存在しているようである。しかしながら、このギャップは必須ではない。換言すれば、電気泳動層は圧電材料に直接接触していてもよい。
【0029】
図5において、電気泳動層E及び圧電材料層(P)は、共通底面導電層C3をシェアしている。しかしながら、上側の導電層C1及びC2は別体であり、結果として、導電体ラインCが導電層C1及びC2に接続することが必要とされる。C1とC2とが接続されるため、このデザインのオペレーションは
図4のものと同様である。
【0030】
図5の構造は、2つの分離された導電層(C1及びC2)が、電気泳動層(E)及び圧電材料(P)のそれぞれを覆って積層されていることを除いて、
図4の構造と同じ方法で作製してもよい。
【0031】
図6において、3つの導電層C1〜C3が存在する。圧電材料層(P)は、導電層C1とC2との間に挟まれており、電気泳動層(E)は、導電層C2とC3との間に挟まれている。電気泳動層は、C2とC3との間の電圧ポテンシャル差により駆動される。
【0032】
このデザインにおける電気泳動層(E)は、複数の層のセットC2−P−C1の上に形成されていてもよく、他の導電層C3が電気泳動層(E)の上に積層されている。
【0033】
図7におけるデザインは、導電層C1及びC3が導電体ライン(C)を介して接続されていることを除いて、
図6のものと同様である。
【0034】
図8において、電気泳動層(E)は、2つの圧電材料層(P1及びP2)の間に挟まれている。圧電層に機械的応力が加えられた状態で、電気泳動層を駆動するように電界を発生させる。
【0035】
図9及び10は、U形状の圧電−電気泳動デザインを示している。
【0036】
図9において、最初、圧電材料は一の導電層C3と、反対サイドにおける2つの導電層C1及びC2と、の間に挟まれている。導電層C1とC2とは互いに接触していない。電気泳動層(E)は、導電層の1つ(C1若しくはC2)の上部のみに配置されている。圧電−電気泳動表示装置を作製するため、この具体例において、パネルのC2−P−C3サイドは、電気泳動層(E)を覆うように折り曲げられる。このケースにおいて、機械応力が圧電材料層(P)に加えられているとき、導電層C1とC2との間に電圧ポテンシャル差が発生し、これにより、電気泳動層は駆動される。
【0037】
図10は、電気泳動層(E)が、実質的に、圧電材料(P)の長さに亘って延在していることを除いて、同様のデザインを示している。また、この具体例において、パネルが折り曲げられU字構造とされているとき、導電層C1とC2との間に、折り曲げられた電気泳動層が存在している。折り曲げられた電気泳動層は、
図9のものと同じように駆動しうる。
【0038】
1以上の圧電材料層が存在する上述のデザインのいずれかにおいて、様々な層に含まれる材料は同じであってもよいし、若しくは、異なっていてもよい。
【0039】
”電気泳動層若しくはフィルム”又は”基板レス電気泳動層若しくはフィルム”の作製が
図11a及び11bに示されている。上述したように、本願の明細書において、”電気泳動層若しくはフィルム”又は”基板レス電気泳動層若しくはフィルム”は、導電層及び/又は導電層に取り付けられた基板層(導電層が積層されているPET層等)を有しない。
【0040】
電気泳動層若しくはフィルムは、マイクロコンテナー(米国特許第6,930,818号に記載されているマイクロカップ、若しくは、米国特許第5,930,026号に記載されているマイクロカプセル等。これらの文献は本明細書において引用することにより援用する。)内において充填された電気泳動流体と、機能的なサポートを提供するため電気泳動流体を支持する任意の誘電体層と、を備える。この誘電体層には、例えば、バインダー材料、マトリックス材料、接着層、シーリング層、プライマー層若しくは任意の他の電極保護層が含まれる。
【0041】
マイクロカップベースの電気泳動層の場合において、マイクロカップが、基板層の上に形成されており、その後、電気泳動流体で充填され密閉される。マイクロカプセルベースの電気泳動層の場合において、中に電気泳動流体が含まれているマイクロカプセルがバインダー材料と混合され、混合物が基板層上にコートされる。
【0042】
上述されたマイクロカップベースの若しくはマイクロカプセルベースの電気泳動アセンブリーのための両方の製造プロセスが、連続したフォーマット(continuous format)の上において実行してもよい。マイクロカップベースの電気泳動層は、ロール−トゥー−ロール連続プロセス(roll-to-roll continuous process)により製造されてもよい。結果として、マイクロカップ若しくはマイクロカプセル技術のいずれかにより形成された電気泳動層は、ウェブ方向(web direction)に沿って連続しており、若しくは、実質的に連続している。これは、ウェブ方向に沿って電気泳動層の意図的な分裂(intentional disruption)が存在しないことを意味している。仮に任意の分裂が存在する場合、通常、それは、非常に小さい領域を含み、当該プロセスの欠点の結果としてのみ存在する。
【0043】
図11に示されているように、電気泳動層(110)は、基板層(112)と、リリースライナー(111)とに挟まれている。基板層(112)は、電極層(不図示)と、任意ではあるが、例えばリリース層(112a)等の他の層と、を含んでいてもよい。リリースライナー(111)は、任意であるが接着層(111a)を備える電気泳動層の上に積層されている。
【0044】
基板レス電気泳動層若しくはフィルムを形成するため、基板層(112)と、当該基板層に関連する層と、を除去する。これは、機械的手段(擦ること(scraping)等)により実行してもよい。基板層自体がリリース特性を有していてもよい。仮に任意のリリース層(112a)が基板層(112)と電気泳動層(110)との間に存在する場合、及び、そのケースにおいて、リリース層(112a)は、レーザー、UV光、熱等により、基板層(112)のリリースを誘発(trigger)してもよい。リリース層(112a)は、凹凸加工(embossing)の間、マイクロカップの形成のため充分な把持力が与えられるように調整され、必要であれば、それらからリリースすることができる。
【0045】
基板層を電気泳動層から離れるように剥離することも可能である。
【0046】
また、リリースライナー(111)を剥離してもよい。接着層(111a)は、それが存在する場合、電気泳動層の上に残っていてもよい。仮に元々のアセンブリー内に接着層がない場合、分離された電気泳動層を移送するときに接着層を後で塗布してもよい。
【0047】
基板層(112)を任意の他の層及びリリースライナーに沿って除去した後、残っている電気泳動層は、所望の寸法の小片に切断してもよい。カッティングは、キスカッティング(kiss cutting)等により実行してもよい。
【0048】
図11bは、基板レス電気泳動層若しくはフィルムの製造の代替のシーケンスを示している。このケースにおいて、基板層(112)を他の任意の層及びリリースライナー(111)に沿って除去する前にカッティングを行う。
【0049】
図12において、分離された電気泳動層が導電層(123)に移送される。電気泳動層(120)の間のスペースは、その後、圧電材料(121)により充たされる。圧電材料は、コーティング、印刷、若しくは、変換プロセスのいずれかにより、ウェブ上の空のスペースに組み入れられる(integrated into)。圧電材料は、少なくとも電気泳動材料が存在しない領域を占有するであろう。そのいくつかのセクションは、非連続電気泳動材料と重ね合わされていてもよい。また、圧電材料は、電気泳動層を移送してくる前に、最初に積層させることも可能である。いずれかのプロセスは、ストップ−アンド−ゴー方式(stop-and-go fashion)若しくは連続方式で実行してもよい。圧電材料と電気泳動層とを交互に形成したパターンを有する最終製品をその後カットし、
図3〜5に示されているような圧電−電気泳動アセンブリーを作製してもよい。
【0050】
また、一又は複数の導電層、及び、一又は複数の圧電材料層で基板レス電気泳動層若しくはフィルムを積層し、
図1、2及び6〜8に示されているような構造を組み立てることも可能である。
【0051】
図11〜12に例示されているプロセスは、フィルムのロールとすること(integration of a roll of film)を可能とする。このフィルムのロール上において、電気泳動層は、非電気泳動材料(この場合において圧電材料)により、ウェブ方向に沿って繰り返し割り込むように形成されている(repeatedly interrupted)。電気泳動材料の割り込み形成が意図的に行われ、電気泳動材料に近接して非電気泳動材料が配置される。分離された電気泳動層は、シャープな境界を有する明確に規定された形状を備えていてもよく、例えば、矩形の形状がウェブ方向にストリップを覆っていてもよい。
【0052】
本発明は、その特定の実施の形態に関して述べられているけれども、本発明の真の精神若しくは範囲を逸脱しない限り様々な変更を行ってもよく、等価なものと置き換えてもよいことは当業者により理解されるはずである。さらに、特定の状況、材料、組成、プロセス、一又は複数のプロセスステップを本発明の目的、精神、及び、範囲に適合させるため、多くの修正を行ってもよい。そのような全ての修正は、これに添付されたクレームの範囲内にあることを表している。
本明細書の開示内容は、以下の態様を含み得る。
(態様1)
電気泳動層、導電層、及び、圧電材料層を含む圧電−電気泳動表示装置。
(態様2)
上記電気泳動層、及び、上記圧電材料層は、上記導電層をシェアする態様1記載の表示装置。
(態様3)
上記電気泳動層、及び、上記圧電材料層は、導電体ラインを介して、上記導電体をシェアする態様2記載の表示装置。
(態様4)
(a)第1導電層と第2導電層との間に挟まれている第1圧電材料層と、
(b)第3導電層と第4導電層との間に挟まれている第2圧電材料層と、
(c)上記第2導電層と上記第3導電層との間に挟まれている電気泳動層と、を備える態様2記載の表示装置。
(態様5)
上記第1導電層と上記第4導電層とが接続されている態様4記載の表示装置。
(態様6)
第1導電層と第2導電層との間に上記電気泳動層が挟まれており、
第3導電層と第4導電層との間に上記圧電材料層が挟まれており、
上記第1導電層と上記第3導電層とが接続され、
上記第2導電層と上記第4導電層とが接続されている態様2記載の表示装置。
(態様7)
上記電気泳動層及び上記圧電材料層の両方が2つの導電層の間に挟まれている態様1記載の表示装置。
(態様8)
第1導電層と第3導電層との間に上記電気泳動層が挟まれており、
第2導電層と上記第3導電層との間に上記圧電材料層が挟まれており、
上記第1導電層と上記第2導電層とが接続されている態様2記載の表示装置。
(態様9)
第1導電層と第2導電層との間に上記圧電材料層が挟まれており、
上記第2導電層と第3導電層との間に上記電気泳動層が挟まれている態様2記載の表示装置。
(態様10)
上記第1導電層と上記第3導電層とが接続されている態様9記載の表示装置。
(態様11)
上記電気泳動層が、マイクロカップベースである態様1記載の表示装置。
(態様12)
上記電気泳動層が、マイクロカプセルベースである態様1記載の表示装置。
(態様13)
2つの圧電材料層に挟まれている電気泳動層を備える、圧電−電気泳動表示装置。
(態様14)
第1導電層と第2導電層との間に挟まれている電気泳動層と、
一方のサイドにおいて、上記第1導電層及び上記第2導電層と接触し、他方のサイドにおいて、第3導電層と接触している圧電材料層と、を備え、
上記圧電材料層と上記第3導電層は折り曲げられ、U字状に形成されているU字形状圧電−電気泳動表示装置。
(態様15)
上記電気泳動層は折り曲げられていない態様14記載の表示装置。
(態様16)
上記電気泳動層は折り曲げられている態様14記載の表示装置。
(態様17)
上記電気泳動層はマイクロカップベースである態様14記載の表示装置。
(態様18)
上記電気泳動層はマイクロカプセルベースである態様14記載の表示装置。