特許第6697078号(P6697078)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6697078
(24)【登録日】2020年4月27日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】加熱型香味吸引具
(51)【国際特許分類】
   A24F 47/00 20200101AFI20200511BHJP
【FI】
   A24F47/00
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2018-528146(P2018-528146)
(86)(22)【出願日】2016年7月20日
(86)【国際出願番号】JP2016071277
(87)【国際公開番号】WO2018016030
(87)【国際公開日】20180125
【審査請求日】2018年10月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004569
【氏名又は名称】日本たばこ産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】特許業務法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古殿 雄一
【審査官】 大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】 韓国登録特許第10−1329162(KR,B1)
【文献】 特開昭60−064194(JP,A)
【文献】 特表2015−504668(JP,A)
【文献】 実開平02−102995(JP,U)
【文献】 実公昭47−042455(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F47/00
F28F1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸い口を有し、全体形状が筒形をなすケーシングと、
前記ケーシング内に設けられた香味発生源と、
前記ケーシング内に設けられ、前記香味発生源を電気加熱するヒータと、
を備え、
前記ケーシングのうち、少なくとも前記ヒータが配置されている位置の外周面に、放熱を促す金属製の凹凸パターンが設けられており、
前記凹凸パターンにおける突起の頂部に断熱材が設けられている、
加熱型香味吸引具。
【請求項2】
前記ケーシングの長手方向において、前記凹凸パターンが形成される凹凸パターン配置区間の中央領域部に前記ヒータが配置されている、請求項1に記載の加熱型香味吸引具。
【請求項3】
前記凹凸パターンは、前記ケーシングの外周面に配列された複数の突起を含む、請求項1又は2に記載の加熱型香味吸引具。
【請求項4】
前記ケーシングの長手方向における吸い口端から所定区間にわたり、前記凹凸パターンが設けられていない凹凸パターン非配置区間が形成されている、請求項1から3の何れか一項に記載の加熱型香味吸引具。
【請求項5】
前記凹凸パターンにおける突起の高さ寸法が突起の幅寸法よりも大きい、請求項1から4の何れか一項に記載の加熱型香味吸引具。
【請求項6】
前記凹凸パターンにおける突起は、頂部に向けて先細り形状を有している、請求項1から5の何れか一項に記載の加熱型香味吸引具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱型香味吸引具に関する。
【背景技術】
【0002】
シガレットや葉巻などの喫煙物品は、たばこ葉の燃焼により、たばこの香味成分を含む煙(エアロゾル)を発生させる代表的な香味吸引具である。また、近年では、電熱コイル等を有する電気ヒータから発生する熱によって香味発生源を加熱し、香味発生源の燃焼や熱分解を伴うことなく香味を吸引可能な香味吸引具が種々提案されている。
【0003】
この種の加熱型香味吸引具としては、吸い口を有し、発生した空気流を吸い口に向けて誘導する筒形のケーシングと、ケーシング内に配置された香味発生源と、香味発生源を電気加熱するヒータと、を備えた電子シガレットが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0246032号明細書
【特許文献2】中国実用新案第203828066号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記加熱型香味吸引具においては、ヒータによって香味発生源を加熱する際に発生した熱がケーシング内に籠り易く、ケーシング内に蓄積された熱の影響で香味吸引具における各部品や香味発生源等に悪影響を及ぼす虞があった。
【0006】
本発明は、上記した実情に鑑みてなされてものであって、その目的は、ヒータによって香味発生源を電気加熱する際に発生した熱がケーシング内に籠り難い加熱型香味吸引具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、加熱型香味吸引具におけるケーシングのうち、少なくともヒータが配置されている位置の外周面に放熱を促す金属製の凹凸パターンを設けるようにした。
【0008】
より詳しくは、本発明に係る加熱型香味吸引具は、吸い口を有し、全体形状が筒形をなすケーシングと、前記ケーシング内に設けられた香味発生源と、前記ケーシング内に設けられ、前記香味発生源を電気加熱するヒータと、を備え、前記ケーシングのうち、少なくとも前記ヒータが配置されている位置の外周面に、放熱を促す金属製の凹凸パターンが設けられている。本発明においては、ケーシングの外周面に突起をパターン状に配設することによって凹凸パターンを形成しても良いし、ケーシングの外周面に例えば切削加工等を施して凹部をパターン状に配設することによって凹凸パターンを形成しても良い。
【0009】
また、本発明に係る加熱型香味吸引具は、前記ケーシングの長手方向において、前記凹凸パターンが形成される凹凸パターン配置区間の中央領域部に前記ヒータが配置されていても良い。
【0010】
ここで、前記凹凸パターンは、前記ケーシングの外周面に配列された複数の突起を含んでいても良い。
【0011】
また、本発明に係る加熱型香味吸引具は、前記ケーシングの長手方向における吸い口端から所定区間にわたり、前記凹凸パターンが設けられていない凹凸パターン非配置区間が形成されていても良い。
【0012】
ここで、本発明に係る加熱型香味吸引具は、前記凹凸パターンにおける突起の高さ寸法が突起の幅寸法よりも大きくても良い。
【0013】
また、本発明に係る加熱型香味吸引具において、前記凹凸パターンにおける突起は、頂部に向けて先細り形状を有していても良い。
【0014】
また、本発明に係る加熱型香味吸引具は、前記凹凸パターンにおける突起の頂部に断熱材が設けられていても良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ヒータによって香味発生源を電気加熱する際に発生した熱がケーシング内に籠り難い加熱型香味吸引具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、実施形態1に係る電子シガレットの外観図である。
図2図2は、実施形態1に係る電子シガレットの外観図である。
図3図3は、実施形態1に係る電子シガレットの内部構造図である。
図4A図4Aは、実施形態1に係る電子シガレットのケーシングにおける外周面を展開して表した概念図である。
図4B図4Bは、実施形態1に係る電子シガレットのケーシングに設けられた突起の斜視図である。
図5A図5Aは、実施形態1に係る凹凸パターンを構成する突起の形状のバリエーションを示す図である。
図5B図5Bは、実施形態1に係る凹凸パターンを構成する突起の形状のバリエーションを示す図である。
図6図6は、実施形態1の変形例1に係る電子シガレットを示す図である。
図7図7は、実施形態1の変形例2に係る電子シガレットを示す図である。
図8図8は、実施形態1の変形例3に係る電子シガレットを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
ここで、本発明に係る加熱型香味吸引具の実施形態について、図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成要素の寸法、材質、形状、その相対配置等は、特に特定的な記載がない限りは、発明の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0018】
<実施形態1>
図1図3は、実施形態1に係る加熱型香味吸引具の一例としての電子シガレット1の概略図である。図1及び図2は、実施形態1に係る電子シガレット1の外観図である。図3は、実施形態1に係る電子シガレット1の内部構造図である。
【0019】
電子シガレット1は、本体部2と、カトマイザ部3とに着脱自在になっている。図1は、本体部2およびカトマイザ部3が一体となっている状態を示している。図2は、本体部2およびカトマイザ部3が分離された状態を示している。ここで、符号20は本体部2のケーシング(以下、「第1ケーシング」という)、符号30はカトマイザ部3のケーシング(以下、「第2ケーシング」という)である。以下、第1ケーシング20と第2ケーシング30を総称する場合には単に「ケーシングCS」と呼ぶ。電子シガレット1のケーシングは、全体形状が筒形(棒状)をなしている。本明細書において、「ケーシング」との用語は、電子シガレット1の各種部品を収容する筐体としての意味であり、例えば「シェル」、「ハウジング」等と称呼されても良い。
【0020】
本体部2の第1ケーシング20内には、バッテリ21、電子制御部22、吸引検知センサ23等が収容されている。また、本体部2の一端側には、LED24が設けられている。バッテリ21は、例えばリチウムイオン二次電池等といった充電式電池であっても良い。電子制御部22は、電子シガレット1全体を制御するコンピュータである。電子制御部22は、例えばプロセッサ、メモリ等を実装する回路基板(図示せず)を有するマイクロプロセッサであっても良い。
【0021】
第1ケーシング20は、例えば有底円筒状のシェルであって、底面20a側からLED24、電子制御部22、バッテリ21、吸引検知センサ23が配置されている。そして、第1ケーシング20の上端側には、本体部2をカトマイザ部3と着脱自在とするための第1係合部25が設けられている。また、第1ケーシング20の上端には、外気を内部に取り入れるための切欠きである第1吸気孔26が設けられている。
【0022】
次に、カトマイザ部3について説明する。カトマイザ部3は、ヒータユニットとカートリッジ部が一体となったアセンブリである。カトマイザ部3の第2ケーシング30は、例えば有底円筒状のシェルであって、その上端面30aの中央部には吸引孔である吸い口31が穿設されている。カトマイザ部3はマウスピースを兼ねており、喫煙者は、第2ケーシング30の上端側を咥えて吸引することで、カトマイザ部3内で生成されたエアロゾルを吸い口31から吸い込むことができる。なお、カトマイザ部3の吸い口端側は、喫煙者が咥え易いように上端側に向かって先細り形状となっていても良い。
【0023】
カトマイザ部3における第2ケーシング30の下端側には、カトマイザ部3を本体部2と着脱自在とするための第2係合部32が設けられている。カトマイザ部3の第2係合部32は、本体部2の第1係合部25と係合およびその解除が可能である。本体部2の第1係合部25とカトマイザ部3の第2係合部32との係合手段は特に限定されず、本実施形態では、ねじ接続方式を採用している。但し、ネジ接続方式に代えてスリーブ部材を介した接続、例えば嵌合接続等といった公知の接続手段を用いることができる。また、図2に示すように、第2ケーシング30の下端部には、外気を内部に取り入れるための切欠きである第2吸気孔37が設けられている。この第2吸気孔37は、本体部2にカトマイザ部3が装着された状態で、本体部2における第1吸気孔26と連通し、これらが組み合わさることで空気取り入れ口AIを形成する。
【0024】
次に、カトマイザ部3の内部構造について詳しく説明する。カトマイザ部3における第2ケーシング30の内部は2重筒構造となっており、筒状の隔壁33によって、第2ケーシング30の内部空間がエアロゾル生成液を貯留するカートリッジ部34と、内部通路39とに隔てられている。カートリッジ部34には、エアロゾル生成液を含浸させたコットン繊維等の液供給部材38が配置されている。また、エアロゾル生成液は、加熱されることでエアロゾルを生成する液体であり、本実施形態では香料を含んだポリオールが採用されているが特に限定されない。例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ニコチン液、水、香料等の混合液であっても良い。
【0025】
符号35は、カートリッジ部34に貯留されているエアロゾル生成液を直接ないし間接的に吸い上げ、保持するウィックである。ウィック35は、例えばガラス繊維糸を撚ったものであってもよい。ウィック35は、毛細管構造を有しており、毛細管現象を利用して、カートリッジ部34に貯留されているエアロゾル生成液を直接、或いは、コットン繊維からなる液供給部材38を介してこれに含浸されているエアロゾル生成液を間接的に吸い上げ、保持することができる。なお、ウィック35は、隔壁33に設けられた一対の保持孔(図示せず)を挿通した状態で隔壁33に保持されている。図3に示すように、ウィック35は、内部通路39の横断面を横断するように架け渡されており、その両端部はカートリッジ部34の内部に延びると共にコットン繊維からなる液供給部材38に接触した態様で設けられている。
【0026】
また、図3に示すように、ウィック35には、電熱コイルを有する電気ヒータ36が巻き付けられている。ウィック35は、電気ヒータ36の電熱コイルを支持する芯材としての機能も有する。電気ヒータ36は、ウィック35の長手方向中央部を少なくとも部分的に包囲しており、通電されることで電気ヒータ36が作動すると、ウィック35が加熱される結果、ウィック35に保持されているエアロゾル生成液が蒸発する。
【0027】
ここで、電子制御部22およびバッテリ21は電気配線を介して接続されており、バッテリ21から電気ヒータ36への通電が電子制御部22によって制御される。ここで、電子シガレット1は、本体部2に配置されている吸引検知センサ23によって喫煙者による吸い口(吸引口)31の吸引(パフ)を検知することで喫煙者の喫煙要求を検知することができる。例えば、喫煙者が吸い口31を吸引すると、外部の空気が空気取り入れ口AIからケーシングCSの内部に取り込まれる。このときのケーシングCS内部の圧力変化に基づいて、吸引検知センサ23は喫煙者による吸い口31の吸引を検知することができる。吸引検知センサ23によって喫煙者による吸い口31の吸引が検知されると、電子制御部22はバッテリ21から電気ヒータ36へと給電させ、ウィック35を加熱することでエアロゾル生成液を蒸発させる。
【0028】
なお、吸引検知センサ23として、喫煙者の吸引によって生じる負圧を検知する感圧センサや熱式流量計(MEMSフローセンサ等)を用いても良い。また、吸引検知センサ23の代わりに、喫煙者からの操作を受け付ける喫煙スイッチ(図示せず)を電子シガレット1のケーシングCSに設けても良い。この場合、喫煙スイッチは、電子制御部22と電気配線を介して接続され、喫煙スイッチがオンの状態に操作されたことを電子制御部22は検知する。喫煙スイッチがオンの状態のときに、電子制御部22はバッテリ21から電気ヒータ36に通電させることで、エアロゾル生成液を蒸発させることができる。
【0029】
また、図2に示すように、第2ケーシング30の下端部には、外気を内部に取り入れるための切欠きである第2吸気孔37が設けられている。この第2吸気孔37は、本体部2にカトマイザ部3が装着された状態で、本体部2における第1吸気孔26と連通し、これらが組み合わさることで空気取り入れ口AIを形成する。
【0030】
上記のように電子シガレット1は、喫煙者による吸い口31の吸引を検知すると、電気ヒータ36に対する通電を行うことでウィック35を加熱し、ウィック35に保持されているエアロゾル生成液を蒸発(気化)させる。また、喫煙者が吸い口31を吸引することで、空気取り入れ口AIからケーシング内に流入した空気は、カトマイザ部3における内部通路39の内端に導かれる。内部通路39の外端は吸い口31が設けられており、内部通路39に流入した空気は、吸い口31に向かって内部通路39を流れる。ここで、図3に示すように、内部通路39の途中には、電気ヒータ36を保持するウィック35が、内部通路39の横断するように架設されている。喫煙者が吸い口31を吸引した際、電気ヒータ36がウィック35を加熱することで蒸発(気化)したエアロゾル生成液は、内部通路39を流れる空気と混合されることでエアロゾルを生成する。このように、内部通路39において生成されたエアロゾルは、内部通路39を介して吸い口31に導かれ、喫煙者は吸い口31からエアロゾルを吸引することができる。
【0031】
上記のように構成される電子シガレット1は、ウィック35に保持されている香味発生源であるエアロゾル生成液を電気ヒータ36によって加熱するため、電気ヒータ36によって大量の熱が発せられる場合がある。ここで、ケーシングCS内部に多量の熱が籠ってしまうと、ケーシングCS内に収容されている各部品、例えば電子制御部22や、カートリッジ部34に貯留されているエアロゾル生成液に影響を及ぼす虞がある。そこで、本実施形態における電子シガレット1のケーシングCSは、電気ヒータ36が発した熱を外部に逃がし易い構造を採用している。
【0032】
以下、電子シガレット1の放熱構造について説明する。図1図3に示すように、電子シガレット1におけるケーシングCSの外周面には、放熱を促す金属製の凹凸パターンBPが設けられている。凹凸パターンBPは、ケーシングCSの外周面に規則的に配列された複数の突起5を含んで構成されている。図4Aは、実施形態1に係る電子シガレット1のケーシングCSにおける外周面を展開して表した概念図である。図4Bは、実施形態1に係る電子シガレット1のケーシングCSに設けられた突起5の斜視図である。本実施形態において、凹凸パターンBPを構成する突起5は、図4Bに示すように四角柱形状を有しているが、図5Aおよび図5Bに例示するバリエーションのように他の形状を有していても良い。図5Aは、円柱形状を有する突起5を例示したものである。図5Bは、釣鐘型形状(お椀型形状)を有する突起5を例示したものである。
【0033】
なお、図1〜3に示す符号6は、ケーシングCSの外周壁を示したものである。凹凸パターンBPを構成する複数の突起5は、ケーシングCSの外周壁6の外周面6aに突設されている。また、図1図3から明らかなように、ケーシングCSのうち、少なくとも電気ヒータ36が配置されている位置(範囲)の外周面6aに金属製の凹凸パターンBPが設けられている。つまり、本実施形態における電子シガレット1は、電気ヒータ36の側方を覆うように、ケーシングCSの外周面6aに金属製の凹凸パターンBPが配置されている。ここで、凹凸パターンBPをケーシングCSの外周面6aに設けることでケーシングCSの表面積、つまり放熱面積を好適に増やすことができる。しかも、凹凸パターンBPを伝熱性の優れた金属製とすることで、凹凸パターンBPによる放熱を促進することができる。
【0034】
その結果、電子シガレット1におけるケーシングCS内部に熱が籠り難くなり、ケーシングCS内に収容されている各部品、例えば電子制御部22や、カートリッジ部34に貯留されているエアロゾル生成液に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。更に、本実施形態によれば、ケーシングCSの外周面6aに複数の突起5を配列することで凹凸パターンBPを形成するようにしたので、ケーシングCS内部の熱を好適に放熱すると同時に、電子シガレット1を把持する喫煙者の指とケーシングCSの外周面6aとの接触面積を小さくすることができる。これにより、電子シガレット1を把持する喫煙者の指に熱が伝わり難くなり、喫煙者に不快感を与え難くすることができるという効果を奏する。
【0035】
ここで、ケーシングCSの長手方向において、凹凸パターンBPが形成される区間を「凹凸パターン配置区間Z1」(図1を参照)と呼ぶ。本実施形態では、凹凸パターン配置区間Z1の長手方向における中央部に、電気ヒータ36を配置するようにしている。これによれば、電子シガレット1(ケーシングCS)の長手方向において、最も温度が高くなり易い位置を中心として、凹凸パターンBPをバランス良く配置することができ、電気ヒータ36による発熱を効率的に外部(大気中)に放熱することができる。従って、電子シガレット1におけるケーシングCS内に熱がより一層籠り難くすることができる。なお、凹凸パターンBP(突起5)を形成する材料は金属製であれば良く、特に限定されないが例えばステンレス、アルミニウム等であっても良い。
【0036】
ここで、ケーシングCSの外周面6aに凹凸パターンBPを設けることに拠る放熱面積(表面積)の増加率について計算する。条件例としては、電子シガレット1の直径(ケーシングCSの外周壁6の外径)を10mm、凹凸パターン配置区間Z1を30mm、突起5の形状を1辺1mmの立方体、隣接する突起5同士の離れ寸法を1mmとした場合、放熱面積(表面積)の増加率は約202%となる。本実施形態において、ケーシングCSの外周面6aに凹凸パターンBP(突起5)を設けることに拠るケーシングCSの表面積の増加率が20%以上であると、放熱性の観点から好ましい。
【0037】
ここで、電子シガレット1のケーシングCSにおいて、吸い口31が設けられている方の端部を「吸い口端3a」と呼ぶ。本実施形態における電子シガレット1は、ケーシングCSの長手方向における吸い口端3aから所定区間にわたり、凹凸パターンBPが設けられていない凹凸パターン非配置区間Z2(図1を参照)が形成されている。このように、ケーシングCSの吸い口端3a側の領域に、凹凸パターンBPを配置しないようにすることで、電子シガレット1の吸い口31を喫煙者が咥えた際に、ケーシングCSにおける凹凸パターン配置区間Z1の外周面6aに配置されている金属製の凹凸パターンBPに口が触れることを抑制することができる。なお、凹凸パターン非配置区間Z2の長さは特に限定されないが、20mm以上とすることが好ましい。即ち、ケーシングCSの吸い口端3aから少なくとも20mmの区間は凹凸パターンBPを設けないようにすることで、電子シガレット1を咥えた際に、喫煙者の唇が凹凸パターンBPに触れることを効果的に回避することができる。
【0038】
また、本実施形態における電子シガレット1においては、図4図5に示すように、凹凸パターンBPにおける突起5の高さ寸法HSが幅寸法WSよりも大きいことが好ましい。このように、突起5の幅寸法WSに比べて高さ寸法HSを相対的に大きくすることで、ケーシングCSの外周面6aに凹凸パターンBPを設けることに拠るケーシングCSの表面積(放熱面積)を、より一層増加させることができる。従って、電子シガレット1におけるケーシングCS内の熱を、より一層外部に放熱し易くなる。
【0039】
また、上記のように、凹凸パターンBPにおける突起5の幅寸法WSに比べて高さ寸法HSを大きくすることで、突起5の頂面(頂部)5a(図4図5を参照)の面積(以下、「頂部面積ST」という)に比べて、突起5の側面(側部)5b(図4図5を参照)の面積(以下、「側部面積SS」という)を相対的に大きくすることができる。つまり、突起5の表面積全体に占める側部面積SSの割合を大きくすることができる。これによれば、電子シガレット1を喫煙者が把持した際、指と突起5の接触面積を小さくすることができ、喫煙者の指に対して突起5の熱がより一層伝わり難くすることができる。更に、上記のように突起5の表面積全体に占める側部面積SSの割合を大きくすることで、突起5の側面5bから優先的に放熱することができるようになる。これによれば、突起5における頂面5aの温度が高くなり難くなり、電子シガレット1を把持する喫煙者に不快感を一段と与え難くすることができる。
【0040】
また、図5Bに示すように、凹凸パターンBPにおける突起5は、頂面(頂部)5aに向けて先細り形状を有していると、電子シガレット1を喫煙者が把持した際、喫煙者の指と突起5の接触面積をより一層小さくすることができる。従って、喫煙者の指に対して突起5の熱がより一層伝わり難くすることができる。
【0041】
また、本実施形態に係る電子シガレット1において、凹凸パターンBPを構成する突起5の頂面(頂部)5aに断熱材7が設けられていると好適である(図5(a)を参照)。凹凸パターンBPを構成する突起5の頂面5aに設けられる断熱材7は、例えば断熱塗料(断熱コーティング材料)等であっても良い。突起5の頂面5aに断熱塗料等を塗布することで、突起5の頂面5aの断熱性を高めることができる。これによれば、ケーシングCS内において電気ヒータ36が発した熱を突起5の側面5bから優先的に外部へ逃がしつつも、頂面5aが熱くなることを積極的に抑制することができる。従って、喫煙者の指に突起5の熱がより一層伝わり難くなり、喫煙者に不快感を与えることを好適に抑制できる。なお、突起5の頂面5aをコーティングする断熱塗料の種類はとくに限定されないが、例えば断熱性の高いセラミックスをエマルジョン化(微粒子を乳化、混合)した塗料を挙げることができる。
【0042】
なお、本実施形態に係る電子シガレット1において、ケーシングCSの外周面6aに複数の突起5を一定間隔で規則的に配列しているが、これには限定されない。例えば、ケーシングCSの外周面6aに配列される複数の突起5同士の間隔は、一定間隔でなくても良い。図6は、実施形態1の変形例1に係る電子シガレット1Aを示す図である。図6に示す電子シガレット1Aは、凹凸パターン配置区間Z1の中央領域部Z1aに電気ヒータ36の電熱コイルを配置するようにしている点は図1〜3に示す態様と同様であるが、凹凸パターン配置区間Z1の中央領域部Z1aとその両側に位置する端部領域部Z1bとにおいて、突起5同士の間隔(ピッチ)を変更することとした。
【0043】
図6に示す例では、凹凸パターン配置区間Z1の中央領域部Z1aにおける突起5同士の間隔が、端部領域部Z1bにおける突起5同士の間隔よりも小さな寸法に設定されている。これにより、ケーシングCSの凹凸パターン配置区間Z1において、端部領域部Z1bよりも中央領域部Z1aの方が、突起5を高密度に配置することができる。これによれば、ケーシングCSにおける凹凸パターン配置区間Z1のうち、電気ヒータ36が配置される位置に対応する中央領域部Z1aにおいて突起5の配置密度を最も高くすることができるため、電気ヒータ36からの発熱をより好適に外部に放熱することができる。
【0044】
以上、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明に係る加熱型香味吸引具は、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者にとって自明である。例えば、上述した実施形態1における電子シガレット1は、カートリッジ部34に配置したコットン繊維等からなる液供給部材38にエアロゾル生成液を含浸させる形態でエアロゾル生成液を貯留していたが、所謂リキッドタンクにエアロゾル生成液を貯留するタンク式を採用しても良く、エアロゾル生成液を蒸発させるアトマイザとリキッドタンクとを別体に構成しても良い。また、上述までの実施形態においては、電子シガレット1におけるケーシングCSの外周壁6の外周面6aに突起5をパターン状に凸設することによって凹凸パターンBPを形成する例を説明したがこれには限定されない。例えば、ケーシングCSの外周壁6の外周面6aに例えば切削加工等を施して凹部をパターン状に凹設することによって凹凸パターンBPを形成しても良い。この場合、ケーシングCSの外周面6aに、例えば一定間隔に複数の凹部を凹設しても良い。その際、隣接する凹部同士の間に、突起5が形成されることになり、凹部と突起5の組み合わせによって凹凸パターンBPが形成されることになる。
【0045】
また、例えば、図7に示す変形例2に係る電子シガレット1Bのように、カトマイザ部3におけるカートリッジ部34の後段に、たばこ葉を収容するたばこカートリッジ8を配置しても良い。図7は、電子シガレット1Bにおけるカトマイザ部3側のみを部分的に示している。たばこカートリッジ8の前端面8aと後端面8bは、カトマイザ部3で生成されたエアロゾルを通過せることができるように構成されている。カトマイザ部3で生成されたエアロゾルは、前端面8aからたばこカートリッジ8内に流入する。そして、たばこカートリッジ8内をエアロゾルが通過する際にたばこ成分や香料成分を受け取ったエアロゾルを、後端面8bから喫煙者は吸引することができる。このようなタイプの電子シガレット1Bにおいても、実施形態1と同様な放熱構造を採用することで、電気ヒータ36による発熱を外部へ好適に放熱することができる。
【0046】
また、本発明は、図8に示すような電子シガレットにも適用することができる。図8は、変形例3に係る電子シガレット1Cを示す図である。図8は、円筒形の電子シガレット1Cをその長手方向に切断した場合の縦断面図である。電子シガレット1Cは、バッテリ101、たばこ充填物102を収容するポッド103、電気ヒータ104、マウスピース105を有する。たばこ充填物102をポッド103に充填し、電気ヒータ104によってポッド103内のたばこ充填物102を加熱することでエアロゾルを発生させ、マウスピース105から吸引することができる。図8に示す例においても、ケーシングCSのうち、電気ヒータ104が配置されている位置の外周面6aに金属製の複数の突起5を含む凹凸パターンBPが設けられている。これにより、電気ヒータ104による発熱を外部へ好適に放熱することができる。
【符号の説明】
【0047】
1・・・電子シガレット(加熱型香味吸引具)
2・・・本体部
3・・・カトマイザ部
5・・・突起
20・・第1ケーシング
21・・バッテリ
22・・電子制御部
23・・吸引検知センサ
24・・収容キャビティ
30・・第2ケーシング
31・・吸い口
32・・液供給部材
34・・カートリッジ部
35・・ウィック
36・・電気ヒータ
38・・液供給部材
39・・内部通路
CS・・ケーシング
BP・・凹凸パターン
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6
図7
図8