特許第6697220号(P6697220)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6697220
(24)【登録日】2020年4月28日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】フラップ装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 11/04 20060101AFI20200511BHJP
【FI】
   B60K11/04 C
【請求項の数】9
【外国語出願】
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-8266(P2015-8266)
(22)【出願日】2015年1月20日
(65)【公開番号】特開2015-137099(P2015-137099A)
(43)【公開日】2015年7月30日
【審査請求日】2017年11月20日
(31)【優先権主張番号】TO2014U000007
(32)【優先日】2014年1月20日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】518263944
【氏名又は名称】ジョンソン エレクトリック インターナショナル アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ダヴィデ ヴォルピン
(72)【発明者】
【氏名】クラウディオ プロヴェンツァーノ
【審査官】 中島 昭浩
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許第06106228(US,A)
【文献】 特開2012−224153(JP,A)
【文献】 実開昭50−141025(JP,U)
【文献】 特開平02−247438(JP,A)
【文献】 特開2013−086630(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0002298(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 11/04
F01P 7/10
F01P 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持構造体に形成される通路と、
前記通路を閉鎖する下降停止位置と、前記通路を開放する上昇作動位置との間で、作動水平軸の周りに枢動可能に、前記支持構造体に嵌合されることによって、空気流が前記通路内を所定の方向に流れることができるようになっているシャッタであって、前記水平軸に近い側の第1の端部及び前記第1の端部に対向し前記水平軸から遠い側の第2の端部を有するシャッタと、
前記シャッタの前記支持構造体に対向する第1の端部の表面に形成され、前記シャッタが停止位置にあるときに、前記支持構造体に形成される当接面に当接するように構成されている2つの突起と、を備える、自動車の熱交換器のファンユニットの支持構造体のためのフラップ装置であって、
前記シャッタは、使用時に、前記所定の方向に該シャッタに衝突する空気流の作用で、下降停止位置から上昇作動位置の方に枢動し、前記空気流が作用しなくなると、重力によって下降停止位置の方に戻ることによって、前記突起を前記当接面に接触させ、
前記シャッタが重力によって戻って各突起が前記当接面に接触するときに、前記第2の端部は前記支持構造体の対応する形成体から離間して、前記第2の端部の前記対応する形成体への衝撃を防ぎ、
前記2つの突起は、前記第1の端部の、前記水平軸に平行な方向に沿った両端部に形成されている、ことを特徴とするフラップ装置。
【請求項2】
前記シャッタの前記第1の端部は端縁を有し、該端縁は、停止位置において、前記通路の一側面となる前記支持構造体の部分に対向し、該部分から離間しており、前記端縁に2つの突起が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のフラップ装置。
【請求項3】
前記突起が前記当接面に接触した時点では、前記第2の端部が前記支持構造体の対応する形成体に接触しないことを特徴とする、請求項2に記載のフラップ装置。
【請求項4】
前記突起の各々は、前記シャッタと一体に形成され、一体構造になっていることを特徴とする、請求項1、2又は3に記載のフラップ装置。
【請求項5】
前記突起の各々は弾性変形可能であることを特徴とする、請求項1、2、3又は4に記載のフラップ装置。
【請求項6】
前記突起の各々は中空であることを特徴とする、請求項5に記載のフラップ装置。
【請求項7】
ファンを受容するように構成される開口部と、
支持構造体を貫通する通路と、
空気が前記通路内を一方向にのみ流れるように構成されるフラップ装置と、
を備える、熱交換器のためのファンユニットの支持構造体であって、
前記フラップ装置は、請求項1〜6のいずれか1つに記載のものであることを特徴とする支持構造体。
【請求項8】
開口部と、空気が流れるための通路とを有する支持構造体と、
前記開口部に配置されるファンと、
空気が前記通路内を一方向にのみ流れるように構成されるシャッタを有するフラップ装置と、
を備える、自動車の熱交換器のためのファンユニットであって、
前記フラップ装置は、請求項1〜6のいずれか1つに記載のものであることを特徴とするファンユニット。
【請求項9】
前記ファンは電動ファンであることを特徴とする、請求項8に記載のファンユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の熱交換器のファンユニットのためのフラップ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
より詳細には、本発明は、通路が形成されている支持構造体を備えるフラップ装置に関し、ここで、タブ状シャッタ又はフラップは、シャッタ又はフラップが通路を閉鎖する下降停止位置と、シャッタ又はフラップが通路を開放する上昇作動位置との間で、シャッタの第1の端部側の作動水平軸の周りに枢動可能に嵌合されるので、空気流が通路内を所定の方向に流れることができる。シャッタ又はフラップは、使用時に、前記所定の方向に該シャッタ又はフラップに衝突する空気流の作用で、下降停止位置から上昇作動位置の方に枢動し、この空気流が作用しなくなると、重力によって停止位置の方に戻るように構成されている。シャッタ又はフラップは、該シャッタ又はフラップが停止状態になると、支持構造体の関連ストッパ面に衝突するようになされた少なくとも1つの支持部を有する。
【0003】
添付図面の図1は、自動車の熱交換器(ラジエータ)のための電動ファンユニット1を示す。このファンユニットは、電動ファン(全体を4で示す)が嵌合される円形の開口部3を有する板状の支持構造体又はカウル2を備える。
【0004】
公知のように、電動ファン4は電気モータ(図1では見えない)を備え、電気モータのロータは、複数の湾曲ブレード7が延びている中心ハブ6を備える回転ファン又はインペラ5に連結され、ブレード7の末端は外周リング8に結合される。
【0005】
図1に例示する実施形態において、支持構造体又はカウル2は、そのコーナー部に、それぞれ、フラップ装置(まとめて9で示す)を有し、各フラップ装置9は、それぞれ、実質的に矩形状のタブ状シャッタ又はフラップ11に関連する実質的に矩形の通路10を有する。
【0006】
各フラップ装置9において、タブ状シャッタ又はフラップ11は、シャッタ又はフラップ11が関連通路10を閉鎖する下降停止位置(図1及び3に示す)と、シャッタ又はフラップ11が関連通路10を開放する上昇作動位置(一部を図3において破線で示す)との間で、作動水平軸X−Xの周りに枢動可能なので、空気流が通路内を所定の(実質的に水平)方向に流れることができる。各シャッタ又はフラップ11の枢軸X−Xは、その第1の端部11a側にある。
【0007】
シャッタ又はフラップ11は、使用時に、前記所定の方向にシャッタ又はフラップ11に衝突する空気流の作用で、下降停止位置から上昇作動位置の方に枢動し、この空気流が作用しなくなると、重力によって停止位置の方に戻るように構成されている。
【0008】
従来技術の解決法(添付図面の図2及び3参照)において、軸X−Xから離れたシャッタ又はフラップ11の他端又は第2の端部11bは、シャッタ又はフラップ11が停止状態になると、支持構造体又はカウル2の関連当接面2aに衝突するようになされたストッパ要素(図3において11cで示す)を有する。
【0009】
シャッタ又はフラップ11の第1の端部11aは、端縁12(図2及び3)を有し、端縁12は、停止状態において、開口部又は通路10の一側面となる支持構造体又はカウル2の部分2b(図3)に対向し、部分2bから離間している。
【0010】
図1の装置9のシャッタ又はフラップ11は、使用時に、自動車が前進するとシャッタ又はフラップ11に衝突する空気流の作用で、停止位置から開放された作動位置に変位しやすい。この空気流が作用しなくなると、すなわち、自動車が減速して停車すると、シャッタ又はフラップは、重力の作用で閉鎖された停止位置に戻る。
【0011】
上記の公知の解決法の場合、シャッタ又はフラップは、例えばエンジンを切って運転者や乗員が自動車から降りてそのドアを閉めるときに、うるさい閉扉音を発生する。
【0012】
この問題は、従来の熱機関を有する自動車だけでなく、ラジエータ、バッテリパック等のための冷却ファンを必要とする単なる電気運転又はハイブリッド運転システムを有する自動車にも影響を及ぼす。このようなフラップ装置は、自動車のエンジンによって駆動されるファンを有するファンユニットと共に用いられる場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
従って、上記の従来技術の解決法の欠点を克服することができるフラップ装置が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明によれば、前記及び他の目的は、上記の型のフラップ装置において、閉鎖位置において上記当接面に接触するように、枢軸付近又は支持構造体上で、シャッタ又はフラップの前記第1の端部に、少なくとも1つのストッパ突起を形成することによって達成される。
【0015】
一実施形態において、前記シャッタ又はフラップの前記第1の端部は端縁を有し、該端縁は、停止状態において、前記通路の一側面となる前記支持構造体又はカウルの部分に対向し、該部分から離間しており、前記シャッタ又はフラップは、前記端縁に、前記支持構造体又はカウルのストッパに衝突するようになされた、好適には前記シャッタ又はフラップの枢軸側にある少なくとも1つのストッパ突起を有しており、その結果、この衝突は著しく低速で行われる。そして、これに応じて、このような衝突によって発生する雑音の強さは低減され、実質的に無視できる。
【0016】
従って、本発明は、その一態様において、支持構造体に形成される通路と、シャッタが前記通路を閉鎖する下降停止位置と、シャッタが前記通路を開放する上昇作動位置との間で、シャッタの第1の端部側の作動水平軸の周りに枢動可能に、前記支持構造体に嵌合されることによって、空気流が前記通路内を所定の方向に流れることができるようになっているタブ状シャッタと、前記シャッタの前記第1の端部及び前記支持構造体の一方に形成されており、前記シャッタが停止位置にあるときに、前記シャッタの前記第1の端部及び前記支持構造体の他方に形成される当接面に当接するように構成されている少なくとも1つのストッパ突起とを備える、自動車の熱交換器のファンユニットの支持構造体のためのフラップ装置を提供し、ここで、前記シャッタは、使用時に、前記所定の方向に該シャッタに衝突する空気流の作用で、下降停止位置から上昇作動位置の方に枢動し、前記空気流が作用しなくなると、重力によって停止位置の方に戻ることによって、前記ストッパ突起を前記当接面に接触させる。
【0017】
前記シャッタの前記第1の端部は端縁を有し、該端縁は、停止位置において、前記通路の一側面となる前記支持構造体の部分に対向し、該部分から離間しており、前記シャッタは、前記端縁に、前記シャッタの下降停止位置を規定するように前記支持構造体の前記部分に衝突するようになされた少なくとも1つのストッパ突起を有することが好ましい。
【0018】
前記シャッタには、2つのストッパ突起が形成されていることが好ましい。
【0019】
前記ストッパ突起は、前記シャッタと一体に形成され、一体構造になっていることが好ましい。
【0020】
前記ストッパ突起は弾性変形可能であることが好ましい。
【0021】
前記ストッパ突起は中空であることが好ましい。
【0022】
本発明は、第2の態様によれば、ファンを受容するように構成される開口部と、支持構造体を貫通する通路と、空気が前記通路内を一方向にのみ流れるように構成される上記のフラップ装置とを備える、熱交換器のためのファンユニットの支持構造体を提供する。
【0023】
本発明は、第3の態様によれば、開口部と空気が流れるための通路とを有する支持構造体と、前記開口部に配置されるファンと、空気が前記通路内を一方向にのみ流れるように構成されるシャッタを有する上記のフラップ装置とを備える、自動車の熱交換器のためのファンユニットを提供する。
【0024】
前記ファンは電動ファンであることが好ましい。
【0025】
複数の通路が設けられ、各通路は、それぞれ、フラップ装置を有することが好ましい。
【0026】
ここで、添付図面の図を参照して、単なる例示として本発明の好ましい実施形態を説明する。図において、1つより多い図に現れる同一の構造体、要素又は部品は、一般に、それらが現れる全ての図において同じ参照番号で表記される。図内に示される構成部品及び構造部の寸法は、一般に、便宜のため及び提示の明確さのために選択されたものであり、必ずしも縮尺通りではない。図を以下に列挙する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】複数のフラップ装置を備える電動ファンユニットの正面図である。
図2】従来技術の装置のシャッタ又はフラップを示す図である。
図3図2の線III−IIIに沿った断面図である。
図4】本発明による装置のシャッタ又はフラップの正面斜視図である。
図5図4の線V−Vに沿った実質的に断面図である。
図6図4においてVIで示す詳細部を示す部分斜視図である。
図7図4においてVIIで示す詳細部を示す部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図4〜7は、本発明によるフラップ装置9を示す。図4〜7において、前述の部品及び要素と同一又はそれらに相当する部品及び要素には、前述の説明で用いたものと同じ参照番号が付されている。
【0029】
本発明による解決法において、シャッタ又はフラップ11の前記第1の端部11aの端縁12には、少なくとも1つのストッパ突起13が設けられており、ストッパ突起13は、シャッタ又はフラップ11自体と一体化されていることが好ましい(特に、図5〜7参照)。
【0030】
図示の実施形態において、軸X−X側のフラップ11の端部11aの端縁12は、その両端に1つずつ、2つのストッパ突起13を有する。
【0031】
ストッパ突起13は、シャッタ又はフラップ11が下降停止位置になると、支持構造体又はカウル2の部分2bに衝突するように形成されている。実際に、シャッタ又はフラップ11の停止位置を規定するのは、支持構造体又はカウル2の部分2bに対するストッパ突起13の当接である。従って、部分2bは、ストッパ突起が当接する当接面を構成する。
【0032】
図5から明らかなように、フラップ11が下降停止状態のときに、その下部末端部11cは、支持構造体又はカウル2の対応する形成体2aからわずかに離間している。
【0033】
すなわち、本発明による解決法において、シャッタ又はフラップ11の下部末端部11cが支持構造体の部分2aに衝突することができる前に、1つ又は複数のストッパ突起13が支持構造体2の部分2bに当接する。
【0034】
1つ又は複数のストッパ突起13と軸X−Xとの間の距離は、従来技術の装置においてシャッタ又はフラップ11の下部末端部11cが形成体2aに衝突する点から軸X−Xを離す距離よりも著しく小さいので、支持構造体2に対するシャッタ又はフラップ11の衝突の周速が著しく低減される。従って、これに応じて、発生する雑音の強さが低減される。
【0035】
さらに、ストッパ突起の1つ又は各々を中空等に形成して、ストッパ突起に弾性変形性を付与することによって、ストッパ突起が対応する当接面に接触することにより発生する雑音をさらに低減することができる。
【0036】
本発明の原理を維持するとすれば、本出願の形態及び実施形態の詳細内容は、本発明の範囲を制限するものではなく単なる例示として説明して示したものから幅広く変更でき、本発明が同様の革新的な原理を用いて同様の有用性を達成する全ての実施形態に及ぶことは当然である。例えば、ストッパ突起を支持構造体の部分2bに形成し、シャッタの第1の端縁12に形成される当接面に衝突するように構成してもよい。
【0037】
本出願の説明及び請求項において、動詞「備える」、「含む」、及び「有する」、並びにその変形形態は、説明する要素又は特徴の存在を規定するために包括的な意味で使用され、追加の要素又は特徴の存在を排除するものではない。
【0038】
明確にするために別個の実施形態に関連して説明されている本発明の特定の特徴は、1つの実施形態において組み合わせて提供してもよいことは分かることである。逆に、簡潔にするために1つの実施形態に関連して説明されている本発明の種々の特徴は、個別に又はそれらを適当に組み合わせて提供してもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 電動ファンユニット1
2 支持構造体又はカウル
2a 当接面
2b 当接面
3 開口部
4 電動ファン
5 インペラ
6 ハブ
7 ブレード
8 外周リング
9 フラップ装置
10 通路
11 シャッタ又はフラップ
11a 第1の端部
11b 第2の端部
11c 下部末端部
12 端縁
13 ストッパ突起
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7