(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
車両を格納する格納空間と、車両出入り部を遮蔽することが可能な幅と所定の厚さを有し前記車両出入り部を開閉するゲートと、前記ゲートを昇降する昇降手段と、前記ゲートの姿勢を安定させるバランス手段を有し
前記昇降手段は、前記ゲートに直接的または間接的に接続された昇降用索条体と昇降用索条体を移動させる昇降駆動機構を有し、
前記バランス手段は、少なくとも2個のバランス用回転体と、バランス用索条体を有し、前記2個のバランス用回転体は前記ゲートの一部に幅方向に距離をあけて設置されており、
前記バランス用索条体の中間部分が前記2個のバランス用回転体と係合すると共にバランス用索条体の前記係合部分を離れた部位の一方側は前記ゲートの幅方向の一端側であって下方にのび、バランス用索条体の前記係合部分を離れた部位の他方側は前記ゲートの幅方向の他端側であって上方にのびる駐車装置において、
前記昇降用索条体の前記ゲートに対する接続位置を通過する垂線と、当該接続位置に近い側のバランス用回転体の中心を通る垂線とが実質的に一致していることを特徴とする駐車装置。
昇降用索条体の前記ゲートに対する接続位置は、バランス用索条体の下方にのびる部分と係合するバランス用回転体の中心と、ゲートの幅方向で実質的に一致していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の駐車装置。
【背景技術】
【0002】
限られた面積の土地を有効利用し、より多数の自動車を駐車させる装置として、機械式立体駐車装置が知られている。
機械式立体駐車装置は、自動車を立体的に駐車させる装置である。代表的な機械式立体駐車装置は、自動車を載置するパレットと、このパレットを昇降させる昇降装置を有している。また装置内に自動車を出し入れする車両出入り部がある。
そして車両出入り部から機械式立体駐車装置内に自動車を導入し、パレットに自動車を載置し、パレットを昇降して所定の階に自動車を配置する。
またパズル式立体駐車装置と称されるものは、パレットを昇降させるだけでなく、パレットを横行させる機能も有している。
立体駐車装置は、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
前記した様に立体駐車装置は、自動車を載置するパレットを有し、このパレットを昇降させて自動車を上下に立体的に収容する。
立体駐車装置のパレットはこの様に上下に昇降するので、昇降時に人が立ち入ると危険である。
例えばパレットに人が乗っている状態でパレットを昇降させると、パレットの揺れによって人が転ぶことがある。またパレットを上昇させる際に建屋とパレットとの間に体が挟まれる危険もある。
またパレットが上階の位置にあり、自動車を出庫するためにパレットを降下させる際、パレットの降下位置に人が入るのは危険である。
そのため車両出入り部には特許文献2の様にゲートが設けられていることが多い。
【0004】
ゲートには、左右に移動して車両出入り部を開閉する形式のものや、上下に昇降して車両出入り部を開閉する形式のものがある。
上下に昇降する形式のゲートの代表的な機構は、チェーンやワイヤー等の昇降用索条体をゲートに接続してゲートを吊り下げ、モータでチェーン等を巻き上げてゲートを上昇させるものである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図8(a)に示すゲート100をチェーン101等でつり下げて、ゲート100を昇降させる形式の駐車装置では、
図8(b),(c)の様に昇降時にゲート100が横に傾く場合がある。即ち
図8(b),(c)の様にゲート100を正面から見た際に、水平であるべき上辺102及び下辺103が傾斜姿勢となってしまう。
この問題を解決する方策として、
図9の様なバランスチェーン106を装着したゲート200が知られている。
バランスチェーン106は、
図9の様に、構造物110に両端が固定されたものである。即ちバランスチェーン106は、一端側がゲート200の一方の縦辺107近傍の下の下側固定部115で構造物110に固定され、他端側をゲート200の他方の横辺108近傍の上の上側固定部116で構造物110に固定されている。
【0007】
またゲート200の表面には、バランス用スプロケット111,112が回転可能に取り付けられている。そしてバランスチェーン106の中間部が二つのバランス用スプロケット111,112と係合している。
バランスチェーン106の係合経路は次の通りである。
即ちバランスチェーン106は、一端側がゲート200の一方の縦辺107近傍の下の下側固定部115に固定され、上に立ち上がって前記縦辺107側に設けられたバランス用スプロケット111に上側から係合して方向を水平方向に変え、ゲート200の上辺121に沿ってのびる。そしてゲート200の他方の横辺108側に設けられたバランス用スプロケット112に下側から係合して方向を垂直方向に変え、上側固定部116に至り、バランスチェーン106の他端側が上側固定部116に固定されている。
【0008】
一方、ゲート200を吊り下げるチェーン120等の昇降用索条体は、ゲート200の上辺121であって、ゲート200の一方の縦辺107近傍に接続されている。
【0009】
図9のゲート200は、チェーン120を巻き上げることによって上昇する。
ここで、チェーン120によって構成される昇降用索条体は、ゲート200の一方の縦辺107近傍を上方に持ち上げる。
そのためゲート200は、矢印Aの様に、チェーン120によって左側(縦辺107側)が上方に向かって荷重を受ける。
一方、ゲート200の右側(横辺108側)に注目すると、バランスチェーン106のバランス用スプロケット112と上側固定部116間によって、ゲート200は上方に向かって荷重を受ける。
そのため昇降用索条体たるチェーン120によってゲート200の左側が上方に荷重を受け、バランスチェーン106の右側によってゲート200の右側が上方に荷重を受ける。そのためゲート200に掛かる左右の荷重がバランスし、ゲート200の上辺121は水平姿勢を保つ。
【0010】
しかしながら、この構成によると、ゲート200が前後(厚さ方向)に傾斜するという問題がある。即ちゲート200がお辞儀姿勢をとってしまう場合がある。
具体的に説明すると、
図10(a)の様にゲート200を側面側から見た際に、
図10(a)の様に垂直であるべき縦辺107,108が、
図10(b)の様に傾斜姿勢となってしまう。そのためゲート200を昇降させる際に、ゲート200が構造物110に片当たり状態となり、ゲート200の昇降が円滑性を欠くこととなる。
即ちゲート200を昇降させる際に、ゲート200の一部が構造物110に局所的に強く当たり、ゲート200の動きが不安定となる。
【0011】
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、昇降時にゲートが傾斜しにくく、正規の姿勢を保つことができ、ゲートが円滑に昇降する駐車装置を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するための請求項1に記載の発明は、車両を格納する格納空間と、車両出入り部を遮蔽することが可能な幅と所定の厚さを有し前記車両出入り部を開閉するゲートと、前記ゲートを昇降する昇降手段と、前記ゲートの姿勢を安定させるバランス手段を有し、前記昇降手段は、前記ゲートに直接的または間接的に接続された昇降用索条体と昇降用索条体を移動させる昇降駆動機構を有し、前記バランス手段は、少なくとも2個のバランス用回転体と、バランス用索条体を有し、前記2個のバランス用回転体は前記ゲートの一部に幅方向に距離をあけて設置されており、前記バランス用索条体の中間部分が前記2個のバランス用回転体と係合すると共にバランス用索条体の前記係合部分を離れた部位の一方側は前記ゲートの幅方向の一端側であって下方にのび、バランス用索条体の前記係合部分を離れた部位の他方側は前記ゲートの幅方向の他端側であって上方にのびる駐車装置において、前記昇降用索条体の前記ゲートに対する接続位置を通過する垂線と、当該接続位置に近い側のバランス用回転体の中心を通る垂線とが実質的に一致していることを特徴とする駐車装置である。
【0013】
ここで「索条体」とは、曲がり方向の自由度が高く、且つ相当の引っ張り強度を有する部材の総称である。「索条体」にはチェーン、ワイヤー、ロープ、ベルト等が含まれる。
また、「実質的に一致」とは、両垂線が完全に一致している場合はもちろん含まれているが、両垂線の位置が多少ずれている場合も含まれている。すなわち、両垂線が、昇降用索条体の外接円の直径の範囲で離間している場合も含まれている。
【0014】
請求項1に記載の発明では、昇降用索条体のゲートに対する接続位置を通過する垂線と、当該接続位置に近い側のバランス用回転体の中心を通る垂線とが実質的に一致しているので、ゲートの厚さ方向にモーメントが作用しない、又は作用しにくい。そのため、ゲートが厚さ方向に傾斜することがない、又は傾斜しにくい。すなわち、ゲートは、鉛直方向に垂直姿勢を維持した状態で昇降する。
よって、ゲートが周辺の他の部材と接触しにくく、他の部材との間に作用する摩擦力の低減化を図ることができる。その結果、ゲートを駆動するのに要する消費電力を最小限に抑制することができる。
【0015】
請求項2に記載の発明は、前記ゲートは水平壁と当該水平壁に対して垂直に垂下する垂下壁を有し、前記水平壁と垂下壁によって囲まれる空間があり、当該空間の水平方向の両端が開口し、バランス用索条体の中間部分は前記空間内にあって一方の開口から入って他方の開口に抜ける状態で設置され、前記空間に前記2個のバランス用回転体があり、前記バランス用索条体は一方のバランス用回転体の上側及び他方のバランス用回転体の下側と係合し、昇降用索条体はゲートの前記水平壁に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の駐車装置である。
【0016】
請求項2に記載の発明では、ゲートの水平壁と垂下壁とで仕切られた空間に2個のバランス用回転体があり、昇降用索条体はゲートの前記水平壁に接続されているので、昇降用索条体の水平壁に接続された部位の直下に、バランス用回転体を配置することができる。そのため、昇降用索条体の水平壁に接続された部位を通る垂線と、バランス用回転体の中心を通る垂線とを容易に一致させることができる。よって、ゲートは鉛直姿勢を維持し易い。
【0017】
請求項3に記載の発明は、前記昇降駆動機構は、駆動側回転体と、従動側回転体と、前記駆動側回転体を回転させる駆動装置を有し、前記昇降用索条体は、両端がある状態または環状であって無端であり、昇降用索条体の両端または中間部がゲートに接続され、中間部が前記駆動側回転体と、従動側回転体に掛け渡されており、溝状の断面形状部を有する一対の支柱を有し、当該一対の支柱によって囲まれる空間を前記ゲートが昇降し、前記昇降用索条体及びバランス用索条体が前記各支柱の溝状の断面形状部内を通過することを特徴とする請求項1又は2に記載の駐車装置である。
【0018】
請求項3に記載の発明では、昇降駆動機構は、駆動側回転体と、従動側回転体と、駆動側回転体を回転させる駆動装置を有し、昇降用索条体は、両端がある状態または環状であって無端であり、昇降用索条体の両端または中間部がゲートに接続され、中間部が前記駆動側回転体と、従動側回転体に掛け渡されているので、駆動装置を駆動すると昇降用索条体が走行し、ゲートが昇降する。
また、溝状の断面形状部を有する一対の支柱を有し、当該一対の支柱によって囲まれる空間をゲートが昇降し、昇降用索条体及びバランス用索条体が各支柱の溝状の部位内を通過するので、格納空間に対して車両が出入りする際に、昇降用索条体とバランス用索条体が邪魔にならない。すなわち、車両が格納空間に対して円滑に出入りすることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明は、昇降用索条体の前記ゲートに対する接続位置は、バランス用索条体の下方にのびる部分と係合するバランス用回転体の中心と、ゲートの幅方向で実質的に一致していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の駐車装置である。
【0020】
ここで「実質的に一致」とは、昇降用索条体の前記ゲートに対する接続位置と、バランス用索条体の下方にのびる部分と係合するバランス用回転体の中心とが、ゲートの幅方向で完全に一致している場合はもちろん含まれているが、両者の位置が多少ずれている場合も含まれている。すなわち、両者が、昇降用索条体の外接円の直径の範囲で離間している場合も含まれている。
請求項4に記載の発明では、昇降用索条体のゲートに対する接続位置が、バランス用索条体の下方にのびる部分と係合するバランス用回転体の中心と、ゲートの幅方向で実質的に一致している。すなわち、昇降用索条体のゲートに対する接続位置は、バランス用索条体の下方にのびる部分と係合するバランス用回転体の中心の実質的に真上にある。
そのため、ゲートの幅方向の一方側における、ゲートの上方に作用する力と下方に作用する力によっては、ゲートにモーメントが作用しない。そのため、ゲートの幅方向のバランスをとり易い。すなわち、昇降用索条体のゲートに対する接続位置が、一方側のバランス用回転体の中心よりもゲートの幅方向の外側又は内側に偏っていないため、ゲートが幅方向に傾きにくい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の駐車装置は、ゲートが厚さ方向に傾斜することがない、又は傾斜しにくい。そのため、ゲートが周辺の他の部材と接触しにくく、他の部材との間に作用する摩擦力の低減化を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら説明する。
図1に示す様に、駐車装置1は、4階建ての機械式立体駐車装置であり、複数台の自動車(車両)を駐車することができる格納空間2を有している。
格納空間2には、自動車を載置する載置台25が複数設けられている。各載置台25は、図示しない駆動機構によって左右方向と上下方向にパズル式に移動が可能である。
また、駐車装置1の1階(地上階)部分には、格納空間2に自動車を出入りさせる車両出入り部3a〜3dが設けられている。
【0024】
自動車の入庫時には、図示しない駆動機構によって、空いている載置台25が地上階に移動し、車両出入り部3a〜3dのいずれかを介して自動車が格納空間2に入って載置台25上に載置される。また、自動車の出庫時には、図示しない駆動機構によって当該自動車が載置された載置台25が地上階に移動し、当該載置台25上の自動車は、車両出入り部3a〜3dのいずれかを介して格納空間2から駐車装置1の外部へ出る(出庫する)ことができる。
【0025】
この様な駐車装置1は、車両出入り部3a(3b〜3d)の両側に配置された支柱21,22、ゲート4、昇降装置5(昇降手段)、バランス機構部6(バランス手段)を有している。以下、ゲート4の動作に関わる各構成について説明する。
【0026】
図1,
図6に示す様に、支柱21,22は、垂直に起立しており、所定の間隔を開けて配置されている。支柱21,22は、駐車装置1の前面側に配置されており、駐車装置1の骨格の一部を成す部材である。すなわち、支柱21,22は、駐車装置1に作用する荷重を支持する主要な部材であり、例えばH型鋼等の強度の高い素材が採用されている。
本実施形態では、車両出入り部3(3a〜3d)が駐車装置1の地上階の4箇所に設けられており、支柱21,22にH型鋼が採用されている。
【0027】
隣接する車両出入り部3(例えば、車両出入り部3aと3b)の間に配置されたH型鋼は共用されている。具体的には、
図1に示す様に駐車装置1を正面側から見て、車両出入り部3aの右側の支柱22と、車両出入り部3bの左側の支柱21は共通のH型鋼で構成している。すなわち、車両出入り部3aと車両出入り部3bの間に配置されたH型鋼の一方側(左側)を車両出入り部3aの支柱22として利用し、当該H型鋼の他方側(右側)を車両出入り部3bの支柱21として利用している。
【0028】
図6に示す様に、H型鋼の一対のフランジ部と、各フランジ部を繋ぐウェブとで支柱21,22の溝部23(溝状の断面径状部)が構成されている。H型鋼のウェブ部分が溝部23の底部を構成している。
離間した一対のH型鋼で構成された支柱21,22の各溝部23と、当該離間して対向する支柱21,22の間の空間によって、一つの車両出入り部3(例えば車両出入り部3a)の空間24(一対の支柱によって囲まれる空間)が構成されている。空間24は、支柱21,22と、
図6に示す破線で仕切られた空間であり、ゲート4が昇降移動する空間である。
【0029】
支柱21,22の溝部23内には、支柱21,22の長手方向に沿ってのびるガイド部材45が固定されている。ガイド部材45は、起立片部46とフランジ部47とを有している。フランジ部47は、溝部23の底部にねじ止めされており、起立片部46は、溝部23から起立している。すなわち、支柱21,22に設けられたガイド部材45の起立片部46は、支柱21,22と対向する支柱22,21側へ起立している。また、起立片部46は、上下方向(天地方向)にのびている。
【0030】
溝部23内には、昇降装置5(昇降手段)が設置されている。
昇降装置5(昇降手段)は、駆動輪18(駆動側回転体)、従動輪19(従動側回転体)、モータ20(駆動装置)、及び昇降用索条体7を備えている。
駆動輪18(駆動側回転体),従動輪19(従動側回転体),モータ20(駆動装置)によって、昇降用索条体7を移動させる昇降駆動機構8が構成されている。
駆動輪18は、支柱22における、ゲート4の揚程以上の高さ位置(高所)に設置されており、モータ20で回転駆動される。また、支柱22の下部(低所)には従動輪19(従動側回転体)が設けられている。
さらに、支柱22には、駆動輪18よりも若干下の高さ位置にリミットスイッチ51が設けられている。
【0031】
駆動輪18と従動輪19には、昇降用索条体7(昇降手段)が架け渡されている。昇降用索条体7は、例えば、チェーン,ロープ,ワイヤー,ベルト等で構成されている。昇降用索条体7の一端は、後述のゲート4の上端(水平壁部14a)の固定部材40(接続位置)に接続されており、他端はゲート4の下部に設けた固定部材44に接続されている。すなわち、昇降用索条体7は、両端がある状態で各々の端部がゲート4の上部側と下部側に接続されており、昇降用索条体7とゲート4は環状に接続されている。昇降用索条体7には張力が作用している。また、昇降用索条体7を環状に構成し(すなわち無端とし)、その一部(中間部)にゲート4を固定し、昇降用索条体7が移動するとゲート4も移動するようにしてもよい。昇降用索条体7は、ゲート4に対して直接接続してもよく、また、他部材を介して間接的に接続してもよい。
【0032】
昇降用索条体7の特定の部位には、位置決め片54が設けられている。駆動輪18が回転して昇降用索条体7が移動し、位置決め片54がリミットスイッチ51によって検出される高さ位置にくると、リミットスイッチ51がこれを検出し、駆動輪18の回転に規制がかかる様になっている。例えば、ゲート4が全開となるときに、位置決め片54はリミットスイッチ51によって検出される。
また、ゲート4が全閉となるときにリミットスイッチ51によって検出される別の位置決め片を昇降用索条体7に設けてもよい。
【0033】
また、支柱22の溝部23内には、後述のバランス用索条体10の一端を固定する下部固定部52が設けられており、支柱21の溝部23内には、バランス用索条体10の他端を固定する上部固定部53が設けられている。
下部固定部52は、支柱22の溝部23内の低所に設けられている。すなわち下部固定部52は、全閉状態となったゲート4の上部フレーム28(スプロケット9a)の高さより低い高さ位置に配置されている。上部固定部53は、全開状態となったゲート4(スプロケット9b)よりも高い位置に配置されている。
支柱22側に設けられた下部固定部52と、支柱21側に設けられた上部固定部53は、支柱21と支柱22を最短距離で結ぶ同一の鉛直面内に配置されている。
【0034】
次に、ゲート4の構造について説明する。
ゲート4は、車両出入り部3を遮蔽することができる幅と所定の厚さを有している。
図2に示す様に、ゲート4は、2つの縦フレーム26a,26b,下部フレーム27,上部フレーム28,本体部29等を有している。
【0035】
縦フレーム26a,26bは、上下方向にのびる四角柱形状の中実又は中空の支柱部材であり、ゲート4の両側部分を構成する部材である。各縦フレーム26a,26bは、互いに離間して平行に配置されている。
【0036】
各縦フレーム26a,26bには、
図2,
図5に示す様に、ガイドローラ30,31が設けられている。ガイドローラ30,31は、同様の構成を有しており、上下に離間して各々縦フレーム26a,26bに固定されている。すなわち、縦フレーム26a,26bの上方側にはガイドローラ30が配置されており、下方側にはガイドローラ31が配置されている。
図5に示す様に、ガイドローラ30,31の円周面には各々環状溝30a,31aが設けられている。ガイドローラ30,31は軸32,42を備えている。軸32,42は、軸受部材33,43を介して縦フレーム26a,26bに固定されている。すなわち、ガイドローラ30,31は、軸32,42を中心に回転可能に縦フレーム26a,26bに固定されている。
図2に示す様に、出庫方向(入庫方向とは逆方向)から見て左側の縦フレーム26aには、ガイドローラ31よりも下の部位に固定部材44が設けられている。固定部材44は、昇降用索条体7の端部を固定する機能を有している。
【0037】
下部フレーム27は、各縦フレーム26a,26bの下部を連結する部材であり、ゲート4の下部を構成する部材である。下部フレーム27は、断面略L字状の長尺状の部材であり、例えば、山型鋼で構成することができる。下部フレーム27と各縦フレーム26a,26bは、溶接又はボルト締め等の固定手段で固定されている。下部フレーム27には、本体部29を支持する支持部材34が固定されている。
【0038】
上部フレーム28は、各縦フレーム26a,26bの上部を連結する部材であり、ゲート4の上部を構成する部材である。上部フレーム28は、断面略コの字形状を呈する長尺状の部材であり、例えば溝型鋼で構成することができる。すなわち、上部フレーム28は、上部水平壁部14a(水平壁),下部水平壁部14b,垂直壁部15(垂下壁)を有している。上部水平壁部14aと下部水平壁部14bは上下に離間して平行であり、両者は対向している。また、上部水平壁部14aと下部水平壁部14bは、垂直壁部15によって連結されている。垂直壁部15は、上部水平壁部14aと直交して連続している。また、垂直壁部15は、上部水平壁部14aから垂直に垂下して下部水平壁部14bと連続している。
上部フレーム28と各縦フレーム26a,26bは、溶接又はボルト締め等の固定手段で固定されている。
【0039】
上部フレーム28の内部には、空間16が形成されている。すなわち空間16は、上部水平壁部14a,下部水平壁部14b,垂直壁部15で仕切られた長尺状の空間である。
図3に示す様に、上部フレーム28の両端には開口17a,17bが形成されており、開口17a,17bによって空間16の両端は開口している。空間16内には、バランス用索条体10の中間部分が配置されている。また、バランス用索条体10は、開口17aから空間16内に入って、開口17bから空間16の外に抜けている。
【0040】
空間16内には、
図3に示す様に、バランス用索条体10をガイドするガイド部材38a,38bが設けられている。すなわち、ガイド部材38a,38bは、上部フレーム28の中央部分に設けられている。ガイド部材38aは、上部水平壁部14aの天面に一体固着されており、ガイド部材38bは、下部水平壁部14bの底面に一体固着されている。ガイド部材38a,38bは、上下に配置されており、両者の間には、後述のバランス用索条体10をちょうど通過させることができる隙間39が形成されている。すなわち隙間39は、
図3で見て左側が右側よりも若干高い傾斜した通路であり、傾斜したバランス用索条体10と同様に傾斜している。隙間39は、バランス用索条体10をガイドし、バランス用索条体10の移動を安定させることができる。
【0041】
上部フレーム28の上部水平壁部14aの上面の一方の端部(
図3で見て左端部)には、昇降用索条体7の一端を固定する固定部材40が設けられている。すなわち、ゲート4に対する昇降用索条体7の接続位置には固定部材40が設けられている。固定部材40は、上部フレーム28における縦フレーム26a側に設けられている。
また、縦フレーム26aの中間部分には、昇降用索条体7の他端を固定する固定部材44が設けられている。固定部材40と固定部材44は、同一鉛直線上に配置されている。
【0042】
以上説明した縦フレーム26a,26b,下部フレーム27,上部フレーム28によって、四角形の枠が構成されている。この枠内には、本体部29が配置されている。
【0043】
本体部29は、鋼製又はステンレス鋼製の格子状の部材であり、外形形状が正面視して四角形を呈している。本体部29の上部は、上部フレーム28に対して図示しない固定部材を介して固定されている。また、本体部29の下部は、下部フレーム27の支持部材34によって支持されている。
【0044】
次に、バランス機構部6(バランス手段)について説明する。
図3に示す様に、バランス機構部6は、バランス用索条体10とスプロケット9a,9b(バランス用回転体)を有している。
スプロケット9a,9bは、ゲート4の上部フレーム28の空間16の両端付近に設けられている。すなわち、スプロケット9a,9bは、ゲート4の幅方向に間隔を置いて設けられている。
また、
図3,
図4に示す様に、スプロケット9aの一部は、開口17aから幅方向に突出しており、スプロケット9bの一部は、開口17bから幅方向に突出している。すなわち、スプロケット9aは、
図3,
図4で見てゲート4の左端から突出しており、スプロケット9bは、
図3,
図4で見てゲート4の右端から突出している。
【0045】
図3,
図5に示す様に、昇降用索条体7を固定する固定部材40(接続位置)の直下に、スプロケット9aが配置されている。すなわち、昇降用索条体7のゲート4に対する接続位置の垂線V1と、スプロケット9aの中心12を通る垂線V2が一致している。
換言すると、垂線V1と垂線V2は、ゲート4の厚さ方向(
図5における左右方向)に一致した位置にある。すなわち、固定部材40に連結された昇降用索条体7の垂線V1と、スプロケット9aの中心12を通る垂線V2は、
図5に示す様に、ゲート4の厚さ方向に一致している。
【0046】
垂線V1と垂線V2のゲート4の厚さ方向の距離をLとすると、本実施形態では距離Lはゼロであり、両垂線V1,V2は厚さ方向に一致している(
図5)。当然ながら、距離Lはゼロであるのが最も好ましいが、距離Lには許容範囲がある。すなわち、距離Lは、昇降用索条体7の外接円13(
図4)の範囲であれば差し支えがない。
【0047】
固定部材40は、ゲート4の厚さ方向の重心位置に設けられており、垂線V1は、ゲート4の厚さ方向の重心を通っている。
【0048】
バランス用索条体10は、例えば、チェーン,ロープ,ワイヤー,ベルト等で構成されている。バランス用索条体10の長さは、一端が下部固定部52に固定されており、他端が上部固定部53に固定されており、途中の部位(中間部分)がゲート4に固定されたスプロケット9a,9b(バランス用回転体)に係合した状態で張力が付与される長さに調整されている。スプロケット9a,9bとバランス用索条体10は、下部固定部52と上部固定部53と同一の鉛直面内に配置されている。
【0049】
図3に示す様に、スプロケット9a,9bは、軸35a,35bを有している。軸35a,35bが、垂直壁部15に設けられた図示しない軸受を介して回転可能に支持されている。すなわち、軸35a,35bは、スプロケット9a,9bの中心12を貫通している。
軸35a,35bは、両端支持されている。
すなわち、本実施形態では、上部フレーム28の両端付近に支持板37a,37bが固定されている。支持板37a,37bは、上部フレーム28の断面略コの字の開口部分を閉塞している。すなわち、支持板37a,37bは、垂直壁部15と離間して対向する部材である。なお、
図3では、支持板37a,37bの描写は省略している。
軸35a,35bは、垂直壁部15と支持板37a,37bの間に配されて、図示しない軸受を介して回転可能に両端支持されている。すなわち軸35a,35bは、上部フレーム28に回転可能に支持されている。
【0050】
以上の様な構造を有するゲート4が、駐車装置1の車両出入り部3に設置されている。
すなわち、
図5に示す様に、昇降用索条体7の一端が、ゲート4の上部フレーム28側の固定部材40に固定されており、昇降用索条体7の他端が、ゲート4の一方側の縦フレーム26の固定部材44に固定されている。昇降用索条体7は、上方では駆動輪18に懸架されており、下方では従動輪19に懸架されている。昇降用索条体7には張力が作用している。
【0051】
また、
図3に示す様に、バランス用索条体10の中間部分が、ゲート4のスプロケット9a(バランス用回転体)の上側を通り、スプロケット9b(バランス用回転体)の下側を通るように、スプロケット9a,9bに懸架されている。すなわち、バランス用索条体10の中間部分は、スプロケット9a,9bに係合している。
【0052】
バランス用索条体10の一方側の端部は、ゲート4の幅方向の一端側(縦フレーム26a側)であって、下方にのびており、支柱22に設けられた下部固定部52(
図6)に固定されている。また、バランス用索条体10の他方側の端部は、ゲート4の幅方向の他端側(縦フレーム26b側)であって、上方にのびており、支柱21に設けられた上部固定部53(
図6)に固定されている。
図6では、上部固定部53を描写する都合上、支柱21の一部を切り欠いて描写している。
【0053】
ゲート4の縦フレーム26a,26bに設けられたガイドローラ30,31は、支柱21,22に設けられたガイド部材45と係合している。すなわち、
図4に示す様に、ガイド部材45の起立片部46が、ガイドローラ30,31の環状溝30a,31aに係合している。これにより、ゲート4は、鉛直方向に沿って移動可能にガイドされている。
【0054】
ゲート4は、駐車装置1の車両出入り部3a(3b〜3d)に設けられており、空間24内に配置されている。そして、モータ20を正回転させるとゲート4は空間24(
図6)内を上昇し、閉鎖状態のゲート4を開くことができる。また、モータ20を逆回転させると、ゲート4は空間24内を下降し、車両出入り部3a(3b〜3d)を閉鎖することができる。
【0055】
すなわち、
図1に示す様に、車両出入り部3a(3b〜3d)を閉鎖しているゲート4を開く際には、モータ20を正回転させる。昇降用索条体7は、ゲート4の縦フレーム26a側(
図3で見て左側)のみに設けられており、ゲート4の縦フレーム26a側のみを牽引することができる。
【0056】
一方、バランス用索条体10は、ゲート4の上部フレーム28内の空間16内を通過し、ゲート4の縦フレーム26b側を支持している。すなわち、バランス用索条体10は、縦フレーム26a側のスプロケット9aの上側から懸架され、さらに縦フレーム26b側のスプロケット9bの下側に懸架されて、ゲート4に対して、
図3で見て反時計回りにモーメントを生じさせ、ゲート4の姿勢を左右水平に維持する。この状態でモータ20が駆動すると、ゲート4は、バランス用索条体10によって左右方向の姿勢が水平状態を維持したまま昇降する。
【0057】
また、昇降用索条体7の垂線V1と、スプロケット9aの軸35aを通る垂線V2は、ゲート4の厚さ方向(入庫方向又は出向方向であって、
図5で見て左右方向)に実質的に一致している。さらに、昇降用索条体7は、ゲート4の厚さ方向の重心を通っている。そのため、ゲート4は、鉛直姿勢を維持した状態で昇降することができる。
【0058】
ここで、「実質的に一致している」とは、垂線V1と垂線V2のゲート4の厚さ方向の距離が、昇降用索条体7の外接円13の範囲を含むことを意味している。
昇降用索条体7がゲート4に付与する力は、垂線V1に沿って上方向に作用しており、バランス用索条体10がゲート4に付与する力は、垂線V2に沿って下方向に作用しており、垂線V1と垂線V2は、昇降用索条体7の外接円13の範囲内にある。そのため、昇降用索条体7がゲート4に付与する力と、バランス用索条体10がゲート4に付与する力とを釣り合わせることができる。すなわち、昇降用索条体7による上方向の力が相対的に大きい場合にはゲート4が上昇し、バランス用索条体10による下方向の力が相対的に大きい場合にはゲート4が下降し、両力が釣り合っているときにはゲート4は停止している。
【0059】
本実施形態では、昇降用索条体7の一端がゲート4の上端に固定されており、他端がゲート4の下部に固定されている例を示したが、昇降用索条体7の代わりに環状(無端)の昇降用索条体を使用することもできる。すなわち、無端の昇降用索条体の一部にゲート4を固定し、昇降用索条体とゲート4が一体に昇降するように構成することもできる。
【0060】
そして、昇降用索条体7のゲート4を固定した側の垂線V1からスプロケット9aの垂線V2までのゲート4の厚さ方向の距離が、昇降用索条体7の外接円13の範囲となるように、垂直方向の昇降用索条体7と略水平方向のバランス用索条体10が交差していてもよい。
【0061】
また、ゲート4の固定部材40は、ゲート4(上部水平壁部14a)の端部ではなく、
図7に示す様に、ゲート4(上部水平壁部14a)の端部から中央側に離れた箇所に設けることもできる。すなわち、ゲート4に昇降用索条体7を固定する固定部材40(接続位置)の垂線V1と、スプロケット9aの中心を通る垂線V2とがゲート4の幅方向にずれていてもよい。