(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明のハニカム構造体の実施の形態について詳述する。なお、本発明のハニカム構造体は、以下の実施の形態に特に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、種々の設計の変更、修正、及び改良等を加え得るものである。
【0020】
本実施形態のハニカム構造体1は、
図1〜
図3に示すように、コージェライト等のセラミックス材料を用いて形成されたハニカム基材10と、ハニカム基材10と同様にセラミックス材料を用い、当該ハニカム基材10の基材外周面11の一部に形成されたフランジ部20とを主に備えている。
【0021】
ハニカム基材10は、全体が円柱状を呈し、一方の端面12aから他方の端面12bまで延びる流体の流路を形成する複数のセル13を区画形成する格子状の隔壁14と、基材外周面11の少なくとも一部を被覆してなるハニカム外壁15とを備えている。
【0022】
一方、フランジ部20は、ハニカム基材10の中心軸C(
図1参照)と一致する中心軸を有し、ハニカム外壁15の一部に取設され、当該ハニカム外壁15から外周方向に沿って同心円状に突設した略円環状の部材によって構成されている。フランジ部20は、ハニカム基材10と同様に、一方のフランジ端面21aから他方のフランジ端面21bまで延びる流体の流路を形成する複数のフランジセル22を区画形成する格子状のフランジ隔壁23と、フランジ外周面24の全体を被覆するフランジ外壁25とを有している。
【0023】
更にフランジ部20は、ハニカム基材10の基材外周面11に形成されたハニカム外壁15及び当該ハニカム外壁15と平行に配されたフランジ外壁25の両端部26a,26bと所定の傾斜角度で接続する一対のテーパー部27と、当該テーパー部27の間のフランジ外壁25のフランジ外壁長さV(
図3参照)に相当するフランジ本体とを含んで構成されている。なお、
図1及び図
3において、一対のテーパー部27の傾斜面(フランジ端面21a,21bに相当)にそれぞれ表れるフランジセル22及びフランジ隔壁23の構成については、図示を簡略化するため省略している。ここで、フランジ外壁25のフランジ外壁長さVと、フランジ外壁25を挟んだ一対のフランジ端面21a,21bのそれぞれのフランジ端面長さV1,V2を合わせたものが、フランジ部長さWとなる(
図3参照)。また、ハニカム基材10の基材外周面11
からフランジ部20のフランジ外壁25までをフランジ部厚さHと定義する。
【0024】
本実施形態のハニカム構造体1において、テーパー部27を有するフランジ部20は、ハニカム基材10の一方の端面12aから他方の端面12bに至る軸方向の長さL(ハニカム長さ)に対し、一方の端面12a側から約1/5程度の位置にある。換言すると、入口側端面(一方の端面12aに相当)からの距離X(
図3参照)で離間した位置からフランジ部20が設けられている。更に、ハニカム基材10の他方の端面12bから軸方向の長さLの1/2以上の範囲に、ハニカム基材10の基材外周面11に対してハニカム外壁15を設けない“未外壁領域R1”を有している。
【0025】
これに対し、上記未外壁領域R1以外のハニカム基材10の基材外周面11にはハニカム外壁15を設けた“外壁領域R2”を有している。ここで、未外壁領域R1におけるハニカム基材10のハニカム径D1に対し、ハニカム外壁15が設けられた外壁領域R2におけるハニカム基材10のハニカム径D2は、ハニカム外壁厚さに相当する分だけ大きくなっている(
図2及び
図3参照)。
【0026】
前述したように、ハニカム基材10のハニカム外壁15は、ハニカム基材を所望のハニカム径(ハニカム径D1に相当)まで切削加工した後、外部に剥き出しとなった基材外周面11に外周コート材(図示しない)を施与し、乾燥させることによって形成されている。
【0027】
更に詳細に説明すると、本実施形態のハニカム構造体1において、ハニカム基材10は、ハニカム外壁15を設けない未外壁領域R1が、基材外周面11の総面積に対し、10〜90%の範囲である。更に好ましくは、未外壁領域R1は、総面積に対して40〜80%の範囲である。ここで、基材外周面11の総面積とは、
図3に示すように、未外壁領域R1と、フランジ部20を挟んでハニカム外壁15が設けられた二箇所の外壁領域R2との各領域面積の合計である。
【0028】
本実施形態のハニカム構造体1において、フランジ部20の位置をハニカム基材10の一方の端面12a側から約1/5程度の位置にあるものを示したが、これに限定されるものではなく、ハニカム基材10の軸方向の長さLの任意の位置に設定することができる。すなわち、総面積に対して、上記数値範囲で未外壁領域R1が設けられているものであれば構わない。
【0029】
ハニカム構造体1におけるフランジ部20は、既に説明したように、ハニカム構造体1を製造する過程や、微粒子捕集フィルタ等として用いるために、缶体の内部に収容するキャニングの工程において、ハニカム構造体をロボットアーム等によって把持するための被把持部としての機能を有している。更に、排ガス浄化用触媒担体や微粒子捕集フィルタ等として使用する場合に、缶体の内部に収容されたハニカム構造体と当該缶体とが直接あるいは把持材を介して接触する箇所である。
【0030】
したがって、缶体と非接触の状態でハニカム基材は内包されており、収容後(キャニング後)は、ハニカム基材10のハニカム外壁15は実用上の必要性はほとんどない。すなわち、缶体に収容されるまでの間に、ハニカム構造体1の強度を一定以上保証し、キャニング時や搬送時等に加わる衝撃によって隔壁等の破損を防ぐことができるものであればよい。
【0031】
そこで、本発明のハニカム構造体1は、ハニカム基材10の基材外周面11の一部に敢えてハニカム外壁15を設けない未外壁領域R1を有し、ハニカム構造体1の強度を必要最低限の状態にしている。そのため、基材外周面11の総面積に対する比率を上記範囲に特定している。
【0032】
ここで、総面積に対する未外壁領域R1の比率が10%より低い場合、ハニカム基材10の基材外周面11のほとんどにハニカム外壁15が存在することとなり、未外壁領域R1を有することによる効果、特にハニカム構造体1の軽量化に寄与する効果を得ることがほとんどできない。熱容量を減少させる効果も低くなる。
【0033】
一方、基材外周面11の総面積に対する未外壁領域R1の比率が90%より高い場合、基材外周面11のほとんどがハニカム外壁15を備えないことになり、ハニカム構造体1の強度が著しく低下するおそれがある。そのため、キャニング時や搬送時等の衝撃によってハニカム構造体1が破損する危険性が大きくなる。したがって、総面積に対する未外壁領域R1の比率を上記の通り、10%〜90%の範囲にしている。更に、当該比率を40%〜80%の範囲とすることにより、未外壁領域R1を有する効果及びハニカム構造体1の実用上の十分な強度を確保するために最適な条件とすることができる。
【0034】
更に、基材外周面11に未外壁領域R1を有することで、ハニカム外壁15をわざわざ構築するための作業を簡易化及び効率化することができ、作業時間の短縮等を図ることができる。加えて、基材外周面11に施与する外周コート材の使用量を大幅に削減することが可能となり、製造コストを抑制することができる。更に、外周コート材を乾燥させ、ハニカム外壁を形成するための乾燥等の各工程の時間を減らすことができる。
【0035】
また、ハニカム外壁15を有しないことで、未外壁領域R1の部分を用いて排気ガス等の浄化処理を行うことも可能となる。すなわち、従来のハニカム構造体と比較し、セル13と排気ガス等との接触面積を増やすことが可能となり、排気ガス等の浄化効率を向上させることができる。加えて、ハニカム構造体1の未外壁領域R1のセル13に対し、所定の配設基準に従って目封止部(図示しない)を有するものであってもよい。これにより、更に浄化性能の向上が期待される。
【0036】
ここで、本実施形態のハニカム構造体1を構成するための、ハニカム構造体の製造方法は特に限定されるものではない。すなわち、従来から周知のフランジ部を備えるハニカム構造体を製造するための手法を流用することができる。例えば、フランジ部20を含んだハニカム径の大きなハニカム成形体を押出成形し、乾燥及び焼成等の工程を経て、本実施形態のハニカム構造体1のベースとなるハニカム構造体(図示しない)を予め製造する。
【0037】
その後、当該ハニカム構造体に対し、フランジ部20に相当する部分を残しつつ、構造体外周面を切削し、円柱状のハニカム基材10のハニカム径D1になるまで加工を行う。これにより、円柱状のハニカム基材10と、基材外周面11の一部から突設され、ハニカム基材10と一体的に形成されたフランジ部20とを有するハニカム構造体1を形成することができる。
【0038】
このとき、ハニカム基材10の基材外周面11は、切削加工によってセル13及び隔壁14の一部が外部に対して剥き出しとなっている。そこで、ハニカム外壁15を設ける外壁領域R2に対し、外周コート材の施与が行われる。このとき、外周コート材の施与が行われない部分(未外壁領域R1)には、マスキング処理が行われ、外周コート材が基材外周面11に付着しないような対策が施される。これにより、ハニカム基材10の基材外周面11において、ハニカム外壁15が設けられない未外壁領域R1及びハニカム外壁15が設けられた外壁領域R2の二つの領域を含む、フランジ部20を備えるハニカム構造体1が形成される。また、フランジ部20の一方のフランジ端面21aおよび他方のフランジ端面21b、あるいは、テーパー部27において、フランジ隔壁23の端部に外周コート材を施与することによりフランジ隔壁23の強度を向上させて、当該フランジ隔壁23の破損を防いでも良い。更には、切削加工によってフランジ部20の外周を切削した後、外周コート材を施与しても良い。これにより、フランジ部20の径をより精度良く作成できる。
【0039】
本発明のハニカム構造体1は、
図1〜
図3に示すようなハニカム基材10とフランジ部20とを有するものに特に限定されるものではなく、未外壁領域R1及び外壁領域R2の配置及び形状等を任意に設定することができる。
【0040】
例えば、フランジ部41の両側の一方の端面42a及び他方の端面42b側にそれぞれ未外壁領域を設定したハニカム構造体40a(
図4A参照)、或いは、ハニカム基材43の軸方向の長さLの中央部分に未外壁領域R1を有するハニカム構造体40b(
図4B参照)であっても構わない。
【0041】
一方、本実施形態のハニカム構造体1において、フランジ部20が一対のテーパー部27を備えるものを例示したが、これに限定されるものではない。例えば、フランジ端面51a,51bをそれぞれハニカム基材52の基材外周面53に対して直交するようにしたフランジ部長さW及びフランジ部厚さHのフランジ部54を有し、ハニカム基材52の他方の端面55b側に未外壁領域R1を有し、一方の端面55a側からの距離に相当する入口端面からの距離Xの外壁領域R2を有するハニカム構造体50a(
図5A参照)や、上記フランジ部54を備え、ハニカム基材52の軸方向の長さLに対して中央部分に未外壁領域R1を有するハニカム構造体50b(
図5B参照)であっても構わない。
【0042】
更に、基材外周面61に直交するフランジ端面62a,62bを備えるフランジ部63を有し、当該フランジ部63を挟み込むように両側に一対の未外壁領域R1を有し、ハニカム基材64の他方の端面65b側の近傍に外壁領域R2を有するハニカム構造体60a(
図6A参照)や、上記フランジ部63を備え、ハニカム基材64の一方の端面65a側と、他方の端面65b側の一部とに未外壁領域R1をそれぞれ有するハニカム構造体60b(
図6B参照)であっても構わない。
【0043】
更に、基材外周面71に直交するフランジ端面72a,72bを備えるフランジ部73を有し、当該フランジ部73からそれぞれ離間した一方の端面74a及び他方の端面74bの近傍に一対の未外壁領域R1を有し、フランジ部73の両側近傍にそれぞれ外壁領域R2を有するハニカム構造体70a(
図7A参照)や、ハニカム基材75における未外壁領域R1及び外壁領域R2の境界がハニカム基材75の軸方向に対して傾斜した傾斜境界部76を有するハニカム構造体70b(
図7B参照)、或いは、ハニカム基材82の中心軸に対し、偏心した位置にフランジ部81のフランジ中心軸が設定され、他方の端面83b側に未外壁領域R1を有し、一方の端面83a側に外壁領域R2を有するハニカム構造体80(
図8参照)であっても構わない。
【0044】
上記の
図4A〜
図8まで示したそれぞれのハニカム構造体40a,40b,50a,50b,60a,60b,70a,70b,80は、いずれも基材外周面53等の総面積に対する未外壁領域R1の比率が上記範囲に限定されており、使用する用途及び発揮する性能に応じて、種々選択し、任意のハニカム構造体40a等を採用することができる。
【0045】
加えて、外部にセル13が露出した本実施形態のようなハニカム構造体1等に対し、必要に応じて、ハニカム構造体1の一方の端面12a及び他方の端面12bに対し、一つずつ位置をずらし交互にセル13に目封止部(図示しない)を有するハニカム構造体を構成するものであっても構わない。
【0046】
以下、本発明のハニカム構造体の実施例について説明するが、本発明のハニカム構造体は、これらの実施の形態に限定されるものではない。
【実施例】
【0047】
(実施例1)
コージェライト化原料に、造孔材、有機バインダ及び水を添加して成形原料とした。成形原料を、混合、混練して円柱状の坏土を調製した。有機バインダとしては、メチルセルロースを用い、コージェライト化原料100質量部に対して5質量部添加した。水は分散媒として添加し、成形原料全体に対して10質量%となるように添加した。コージェライト原料は、焼成によりコージェライトとなる原料である。具体的には、シリカ(SiO
2)が42〜56質量%、アルミナ(Al
2O
3)が30〜45質量%、マグネシア(MgO)が12〜16質量%の範囲に入る化学組成となるように「所定の原料」が混合されたセラミックス原料である。ここで、「所定の原料」は、タルク、カオリン、仮焼カオリン、アルミナ、水酸化アルミニウム、及びシリカのうちから選択された原料である。
【0048】
次に、所定の口金を用いて坏土を押出成形し、複数のセルを区画形成する隔壁と、この隔壁と同時に一体で押出成形された外周壁とを備えるハニカム成形体を得た。ハニカム成形体は、セル形状(セルの延びる方向に直交する断面におけるセルの形状)が正方形で、全体形状が円柱形であった。
【0049】
次に、得られたハニカム成形体を、誘電乾燥及び熱風乾燥で乾燥させ、その後、最高温度1420℃で100時間焼成してハニカム焼成体を作製した。
【0050】
得られたハニカム焼成体は、隔壁厚さが100μmであり、セル密度が95セル/cm
2であった。また、ハニカム焼成体の隔壁の気孔率は、55%であった。また、ハニカム焼成体の平均細孔径は、15μmであった。ハニカム焼成体は、直径が225mm、セルの延びる方向における長さが260mmの円柱形で、外壁厚さは0.6mmであった。なお、気孔率及び平均細孔径は水銀ポロシメータで測定した値である。
【0051】
次に、得られたハニカム焼成体の外周部分を、ハニカム基材及びフランジ部が形成されるように研削した。この時、フランジ部となる部分の外周は研削しなかった。これにより、ハニカム基材とフランジ部とが形成された。ハニカム焼成体の外周部分を研削する方法としては、ハニカム焼成体を回転させるとともに「ダイヤモンドをまぶした砥石」を回転させながら、この砥石をハニカム焼成体の外周部に押し当てる方法とした。フランジ部の端面には、傾斜角をつけなかった。つまり、フランジ部の両端面をテーパー状としなかった。
【0052】
研削後のハニカム基材の外周の一部に、
図5Aに示すようなパターンで、未外壁領域の割合が10%となるように外周コート材を塗布した。
【0053】
なお、外周コート壁を塗布する際に、フランジ部の両方の端面にもヘラを用いて外周コート材をフランジ隔壁の端部に塗布し、その後乾燥させて、外周コート材を施与した。
【0054】
フランジ部の両方の端面およびハニカム基材における外周コート材の厚さは1mmであった。これによりハニカム基材の外壁形成部の直径(ハニカム径D2)は210mmとなった。この時、未外壁領域の直径(ハニカム径D1)は208mmであった。なお、外壁形成部と未外壁領域の直径が等しくなるように、予め外周コートの厚さ分だけ外壁形成部の直径を小さく研削しておいても良いことは言うまでもない。
【0055】
(実施例2〜15、比較例1〜6)
実施例1と同様の方法で、下記表1に記載した構造となるようにセル密度、壁厚や未外壁領域の割合を変えたものを製作した。実施例4、5および比較例1は、フランジ外壁長さVが10mm、フランジ端面長さV1,V2がそれぞれ5mmとなるように製作した。また、実施例8および実施例9は、ハニカム焼成体の直径が230mmのものを研削してハニカム基材およびフランジ部を形成した。研削後のハニカム基材の外周に、表1に示すパターンおよび未外壁領域の比率となるように外周コート材を塗布した。
【0056】
なお、実施例12から15および比較例5、6は、ハニカム基材の中心軸に対しフランジ中心軸を0.2mm偏心して製作した。偏心させることにより、缶体に収納後振動等によりハニカム構造体が回転しにくくなるため好ましい。偏心量は0.1mmから5 mm程度であれば良い。
【0057】
得られたハニカム構造体について、以下に示す方法で、「浄化性能試験」および「外観チェック」を行った。その結果を下記の表1に示す。
【0058】
まず、得られた構造体の隔壁に、触媒を担持した。触媒としては、白金(Pt)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)を質量比で1:0.5:4(Pt:Rh:Pd)の比率で含み、アルミナ及びセリアを主成分とするものを用いた。触媒の担持量としては、150g/Lとした。触媒の担持量(g/L)とは、ハニカム構造体の単位体積(1L)あたりに担持される触媒の量(g)のことである。
【0059】
触媒を担持したハニカム構造体に、非熱膨張性のセラミックマットを巻きつける。このセラミックマットは、フランジ部に巻きつける。そして、セラミックマットが巻きつけられたハニカム構造体を、2分割されたステンレス製(SUS430)の缶体に収納した後、溶接して、缶体内にハニカム構造体を収納した試験用の缶体を組み立てる。このようにして作製した、ハニカム構造体を収納した缶体(試験用の缶体)を排ガス浄化装置として試験に供した。
【0060】
[浄化性能試験]
2.0Lガソリンエンジン車をシャーシダイナモ上で走行させ、実施例1〜15、及び比較例1〜6を用いた排ガス浄化装置の浄化性能の評価を行った。具体的には、2.0Lガソリンエンジン車を欧州NEDCモードで運転し、欧州NEDCモード走行中における、排ガス中の、炭化水素(HC)、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NO
X)の排出量(単位:g/km)を測定した。実施例1〜15、及び比較例1〜3の排ガス浄化装置について、セル密度および壁厚が同じものを基準として以下のA〜Dの評価基準で評価した。即ち、実施例1〜11および比較例1〜3は比較例4を基準とし、実施例12、13は比較例5を基準とし、実施例14、15は比較例6を基準として評価した。
【0061】
基準の比較例4、5または6の排ガス浄化装置のHC排出量、CO排出量、NO
X排出量に対する、評価対象の排ガス浄化装置のHC排出量、CO排出量、NO
X排出量の比率(百分率)により、評価を行うこととする。以下、評価対象の排ガス浄化装置のHC排出量、CO排出量、及びNO
X排出量の上記比率(百分率)を総称して、「排出量比率」ということがある。
【0062】
[浄化性能の評価基準]
A:評価対象の排ガス浄化装置のHC排出量、CO排出量、及びNO
X排出量の排出量比率のうち、最も値の大きな排出量比率が、93%以下である。
B:評価対象の排ガス浄化装置のHC排出量、CO排出量、及びNO
X排出量の排出量比率のうち、最も値の大きな排出量比率が、93%を超え、96%以下である。
C:評価対象の排ガス浄化装置のHC排出量、CO排出量、及びNO
X排出量の排出量比率のうち、最も値の大きな排出量比率が、96%を超え、99%以下である。
D:評価対象の排ガス浄化装置のHC排出量、CO排出量、及びNO
X排出量の排出量比率のうち、最も値の大きな排出量比率が、99%を超える。
【0063】
なお、浄化性能の評価において、「A」の場合は、浄化性能は、特に良好であるといえる。「B」の場合は、浄化性能は、より良好であるといえる。「C」の場合は、浄化性能は、良好であるといえる。「D」の場合は、浄化性能は実質的に略変化なし又は悪化しているといえる。
【0064】
[浄化性能試験後のハニカム構造体の外観チェック]
前記浄化性能試験後におけるハニカム構造体の外観を目視でチェックし、触媒担持、缶体への収納、組み立てから浄化性能試験の間における破損状況を観察し次の評価基準で評価した。
【0065】
[外観チェックの評価基準]
A:破損等の異常が全く見られなかった。
B:破損があるが破損部分の最大寸法が1mm未満であり、2箇所以下であった。
C:破損があるが破損部分の最大寸法が2mm未満であり、3箇所以下であった。
D:破損があり破損部分の最大寸法が2mm以上であった。
【0066】
なお、浄化性能試験後のハニカム構造体の外観チェックにおいて、「A」は全く問題なく特に良好であり、「B」の場合、破損は限定的なものであり実用上の問題は無く、より良好であるといえる。「C」の場合は、実用上の問題は無く良好であるといえる。「D」の場合は実用上問題となる可能性がある。破損箇所はすべてハニカム外壁が設けられていない未外壁領域であった。
【0067】
浄化性能試験および浄化性能試験後の外観チェックから総合評価を行った。実施例1〜15及び比較例1〜6のハニカム構造体の構成、フランジ部形状、未外壁領域の割合、及び各性能評価の結果をまとめたものを下記表1に示す。
【0068】
【表1】
【0069】
表1に示すような結果を得た。実施例1〜15のハニカム構造体は、比較例1〜6のハニカム構造体に比べ良好な結果が得られた。なお、前記セルに所定の配列基準で、例えば、一方の端面と他方の端面において互い違いになるように交互に目封止部を有する排ガス浄化用のフィルタとして用いることもできる。また、ハニカム構造体は一体で成形されたものではなく、四角形などの多角形のセグメントを接着層などで組み合わせたものでも良いし、炭化珪素等の他のセラミックス材料を用いても良い。