(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明のシート状印刷物を実施するための形態を、図面に示す実施例1及び実施例2に基づいて説明する。
【0010】
(実施例1)
まず、実施例1のシート状印刷物の構成を、
図1〜
図5に基づいて説明する。
【0011】
実施例1のシート状印刷物1は、
図1に示す展開時に内側に起立領域が立ち上がるポップアップカードであり、
図2に示すように、シート本体10と、内面シート20と、を有している。
ここで、シート本体10及び内面シート20は、いずれも厚紙により形成され、表面や裏面の任意の位置には、任意の図柄や文字等の印刷が施されている。なお、各シート10、20の材質は厚紙に限定されるものではなく、合成樹脂などのシート、膜、薄板など、厚みの薄い可撓性の面状材であればよい。また、各シート10、20は、互いに異なる材質によって形成されてもよい。
【0012】
シート本体10は、長方形に形成された紙片であり、谷折線11を中心に谷折りされ、二つ折り状態に折り畳み可能になっている。
【0013】
内面シート20は、
図2に示すように、接着層30を介してシート本体10の内側面12に貼り付けられる紙片である。ここで、シート本体10の内側面12とは、シート本体10を谷折線11で折り畳んだときに内側となる面である。また、実施例1では、内面シート20は、谷折線11を挟んで配置された第1内面シート20aと、第2内面シート20bと、を有しており、この第1,第2内面シート20a,20bによって内側面12の全面が覆われている。
【0014】
接着層30は、シート本体10の内側面12に設けられ、接着剤が塗布される接着領域31と、接着剤が塗布されない非接着領域32と、を有している(
図2参照)。内面シート20は、接着層30の接着領域31に対向する部分がシート本体10の内側面12に接着され、シート本体10を開いたときに内側面12上に残される残置領域21となる。また、この内面シート20は、非接着領域32に対向する部分が、シート本体10を開いたときに内側面12から起立する起立領域22となる。
【0015】
起立領域22は、
図3に示すように、谷折線11を挟んで配置された第1メイン起立領域22aと第2メイン起立領域22bからなる一対のメイン起立領域と、谷折線11を挟んで配置された第1側方起立領域22cと第2側方起立領域22dからなる一対の側方起立領域と、谷折線11を挟んで配置された第3側方起立領域22eと第4側方起立領域22fからなる一対の側方起立領域と、を有している。ここで、第1側方起立領域22cと第2側方起立領域22dからなる一対の側方起立領域と、第3側方起立領域22eと第4側方起立領域22fからなる一対の側方起立領域とは、谷折線11の延伸方向に間隔をおいて設けられている。
【0016】
第1メイン起立領域22aは、第1内面シート20aに設けられ、第1切断部23a及び第1軸側縁部24aによって残置領域21に対して区画されて、シート本体10を開いたときに第1軸側縁部24aを軸にして起立する。また、第1メイン起立領域22aの表面には、第1メイン接着部25aが形成されている。
【0017】
第1切断部23aは、内面シート20をカットする切込線であり、ここでは、谷折線11の延伸方向に対して平行に延びると共に、両端が内面シート20の周縁に至るまで延びている。また、この第1切断部23aは、中間部に鉤状に屈曲した部分が二か所設けられ、第1メイン起立領域22aが一部拡大されている。
【0018】
第1軸側縁部24aは、内面シート20をカットする切込みとカットしないアンカット部が交互に形成されたミシン目であり、第1切断部23aと谷折線11との間に形成されている。これにより、第1軸側縁部24aは、第1メイン起立領域22aを区画する縁部のうち、谷折線11側の縁部に沿って形成されることとなる。また、この第1軸側縁部24aは、ここでは谷折線11の延伸方向に対して平行に延在され、両端が内面シート20の周縁に至るまで延びている。
【0019】
第1メイン接着部25aは、接着剤を介して第2メイン起立領域22bに形成された第2メイン接着部25bに接着される領域である。この第1メイン接着部25aは、第1メイン起立領域22aを区画する縁部のうち、谷折線11側の縁部とは反対側の縁部に沿うと共に、谷折線11の延伸方向に対して平行に延びている。なお、この第1メイン接着部25aは、第1切断部23aに沿って第1メイン起立領域22aの一部が拡大した部分に設けられると共に、第1メイン接着部25aに沿って第1ミシン目26aが設けられている。そして、第1メイン接着部25aは、第1切断部23a及び第1ミシン目26aに囲まれている。
【0020】
第2メイン起立領域22bは、第2内面シート20bに設けられ、第2切断部23b及び第2軸側縁部24bによって残置領域21に対して区画されて、シート本体10を開いたときに第2軸側縁部24bを軸にして起立する。また、第2メイン起立領域22bの表面には、第2メイン接着部25bが形成されている。
【0021】
第2切断部23bは、内面シート20をカットする切込線であり、ここでは、第2内面シート20bのほぼ中央位置に、平面視で谷折線11側に開放したコ字状となるように形成されている。
【0022】
第2軸側縁部24bは、内面シート20をカットする切込みとカットしないアンカット部が交互に形成されたミシン目であり、第2切断部23bと谷折線11との間に形成されている。これにより、第2軸側縁部24bは、第2メイン起立領域22bを区画する縁部のうち、谷折線11側の縁部に沿って形成されることとなる。また、この第2軸側縁部24bは、谷折線11の延伸方向に対して平行に延在され、第2切断部23bの端部を結んでいる。
【0023】
第2メイン接着部25bは、接着剤を介して第1メイン接着部25aに接着される領域である。この第2メイン接着部25bは、第2メイン起立領域22bを区画する縁部のうち、谷折線11側の縁部とは反対側の縁部に沿うと共に、谷折線11の延伸方向に対して平行に延びている。
【0024】
第1側方起立領域22cは、第1内面シート20aの谷折線11側の縁部に沿って設けられ、第3切断部23c及び第3軸側縁部24cによって残置領域21に対して区画されて、シート本体10を開いたときに第3軸側縁部24cを軸にして起立する。また、第1側方起立領域22cの表面には、第1側方接着部25cが形成されている。さらに、この第1側方起立領域22cの谷折線11の延伸方向に沿った長さL1は、谷折線11から第2軸側縁部24bまでの長さL2と同じ長さに設定されている。
【0025】
第3切断部23cは、内面シート20をカットする切込線であり、第1軸側縁部24aと谷折線11との間に形成されている。ここでは、第3切断部23cは、一部が第1軸側縁部24aと重なり、一部が谷折線11の延伸方向に対して直交する方向に延びている。
【0026】
第3軸側縁部24cは、内面シート20をカットする切込みとカットしないアンカット部が交互に形成されたミシン目であり、第1軸側縁部24aと第2軸側縁部24bとの間に形成され、一対のメイン起立領域(第1,第2メイン起立領域22a,22b)の間に配置されている。この第3軸側縁部24cは、谷折線11の延伸方向に対して直交する方向に延在され、第3切断部23cの端部につながっている。また、この第3軸側縁部24cと第3切断部23cとの交点xは、第1軸側縁部24aから離れた位置に形成されている。
【0027】
第1側方接着部25cは、接着剤を介して第2側方起立領域22dに形成された第2側方接着部25dに接着される領域である。
【0028】
第2側方起立領域22dは、第2内面シート20bに設けられ、第4切断部23d及び第4軸側縁部24dによって残置領域21に対して区画されて、シート本体10を開いたときに第4軸側縁部24dを軸にして起立する。また、第2側方起立領域22dの表面には、第2側方接着部25dが形成されている。
【0029】
第4切断部23dは、内面シート20をカットする切込線であり、一部が第1軸側縁部24aと第2軸側縁部24bとの間に形成され、残りの部分がシート本体10を折り畳んだときに第1側方起立領域22cが重なる位置に形成されている。この第4切断部23dによって、ここでは内面シート20が帯状にカットされている。
【0030】
第4軸側縁部24dは、内面シート20をカットする切込みとカットしないアンカット部が交互に形成されたミシン目であり、第1軸側縁部24aと第2軸側縁部24bとの間に形成され、一対のメイン起立領域(第1,第2メイン起立領域22a,22b)の間に配置されている。さらに、この第4軸側縁部24dは、第3軸側縁部24cよりもシート本体10の中心に近い位置に形成されている。この第4軸側縁部24dは、谷折線11に対して傾斜する方向に延在され、第4切断部23dの端部を結んでいる。
【0031】
第2側方接着部25dは、接着剤を介して第1側方接着部25cに接着される領域であり、第2側方起立領域22dの先端に形成されている。なお、この実施例1では、第2側方接着部25dに沿って第2ミシン目26dが設けられ、第2側方接着部25dは、第4切断部23d及び第2ミシン目26dに囲まれている。
【0032】
第3側方起立領域22eは、第1内面シート20aの谷折線11側の縁部に沿って設けられ、第5切断部23e及び第5軸側縁部24eによって残置領域21に対して区画されて、シート本体10を開いたときに第5軸側縁部24eを軸にして起立する。また、第3側方起立領域22eの表面には、第3側方接着部25eが形成されている。さらに、この第3側方起立領域22eの谷折線11の延伸方向に沿った長さL3は、谷折線11から第2軸側縁部24bまでの長さL2と同じ長さに設定されている。
【0033】
第5切断部23eは、内面シート20をカットする切込線であり、第1軸側縁部24aと谷折線11との間に形成されている。ここでは、第5切断部23eは、一部が第1軸側縁部24aと重なり、一部が谷折線11の延伸方向に対して直交する方向に延びている。
【0034】
第5軸側縁部24eは、内面シート20をカットする切込みとカットしないアンカット部が交互に形成されたミシン目であり、第1軸側縁部24aと第2軸側縁部24bとの間に形成され、一対のメイン起立領域(第1,第2メイン起立領域22a,22b)の間に配置されている。この第5軸側縁部24eは、谷折線11の延伸方向に対して直交する方向に延在され、第5切断部23eの端部につながっている。また、この第5軸側縁部24eと第5切断部23eとの交点yは、第1軸側縁部24aから離れた位置に形成されている。
【0035】
第3側方接着部25eは、接着剤を介して第4側方起立領域22fに形成された第4側方接着部25fに接着される領域である。
【0036】
第4側方起立領域22fは、第2内面シート20bに設けられ、第6切断部23f及び第6軸側縁部24fによって残置領域21に対して区画されて、シート本体10を開いたときに第6軸側縁部24fを軸にして起立する。また、第4側方起立領域22fの表面には、第4側方接着部25fが形成されている。
【0037】
第6切断部23fは、内面シート20をカットする切込線であり、一部が第1軸側縁部24aと第2軸側縁部24bとの間に形成され、残りの部分がシート本体10を折り畳んだときに第3側方起立領域22eが重なる位置に形成されている。この第6切断部23fによって、ここでは内面シート20が帯状にカットされている。
【0038】
第6軸側縁部24fは、内面シート20をカットする切込みとカットしないアンカット部が交互に形成されたミシン目であり、第1軸側縁部24aと第2軸側縁部24bとの間に形成され、一対のメイン起立領域(第1,第2メイン起立領域22a,22b)の間に配置されている。さらに、この第6軸側縁部24fは、第5軸側縁部24eよりもシート本体10の中心に近い位置に形成されている。この第6軸側縁部24fは、谷折線11に対して傾斜する方向に延在され、第6切断部23fの端部を結んでいる。
【0039】
第4側方接着部25fは、接着剤を介して第3側方接着部25eに接着される領域であり、第4側方起立領域22fの先端に形成されている。なお、この実施例1では、第4側方接着部25fに沿って第3ミシン目26fが設けられ、第4側方接着部25fは、第6切断部23f及び第3ミシン目26fに囲まれている。
【0040】
次に、実施例1のシート状印刷物1の作用を説明する。
実施例1のシート状印刷物1は、配布時にはシート本体10が谷折線11を中心にして谷折りされ、内側面12を内側に二つ折りに閉じられている。このとき、シート本体10の外側面が表紙及び裏表紙として露出し、この外側面に印刷された図柄や文字等の情報を目視することができる。
【0041】
そして、シート本体10を開くと、
図1に示すように、シート本体10の内側面12に貼り付けられた内面シート20が露出し、この内面シート20に印刷された図柄や文字等の情報を目視することができる。
【0042】
さらに、シート本体10を開いていくときには、
図5に示すように、内面シート20の第1内面シート20aがシート本体10と共に持ち上がり、この第1内面シート20aに設けられた第1メイン起立領域22a、第1側方起立領域22c、第3側方起立領域22eが残置領域21と共に引き上げられる。
【0043】
このとき、第1メイン起立領域22aには、谷折線11を挟んで第2内面シート20bに設けられた第2メイン起立領域22bが接着されている。そのため、この第2メイン起立領域22bは、第1メイン起立領域22aに連動して引き上げられ、第2軸側縁部24bを軸にして第2内面シート20bの残置領域21から起立する。一方、第1メイン起立領域22aは、第1切断部23aによって残置領域21から切り離されている。このため、この第1メイン起立領域22aは、シート本体10の動きに追従することなく、第2メイン起立領域22bに引っ張られ、第1軸側縁部24aを軸にして第1内面シート20aの残置領域21から起立する。
【0044】
これにより、この第1メイン起立領域22aと第2メイン起立領域22bによって、シート本体10の中央には、内側面12から突出した立体が形成される。しかも、この一対のメイン起立領域(第1メイン起立領域22a,第2メイン起立領域22b)では、それぞれ第1軸側縁部24a,第2軸側縁部24bが谷折線11側の縁部に沿って形成され、且つ、谷折線11側の縁部とは反対側の縁部に沿って第1メイン接着部25a,第2メイン接着部25bが形成されている。
【0045】
そのため、一対のメイン起立領域(第1メイン起立領域22a,第2メイン起立領域22b)は、第1軸側縁部24a,第2軸側縁部24bを軸として起立した際、第1,第2メイン接着部25a,25bが谷折線11に対向する。そして、第1メイン起立領域22aと第2メイン起立領域22bとシート本体10に囲まれた空間Hが生じる。また、谷折線11の延伸方向に対し、第1軸側縁部24a,第2軸側縁部24b,第1メイン接着部25a,第2メイン接着部25bがいずれも平行に延在されている。これにより、この空間Hでは、谷折線11の延伸方向に直交する側方が開放している。
【0046】
これに対し、第1側方起立領域22cには、谷折線11を挟んで第2内面シート20bに設けられると共に、第4切断部23dによって残置領域21から切り離された第2側方起立領域22dが接着されている。そのため、この第2側方起立領域22dは、
図5に示すように、第1側方起立領域22cに連動して引き上げられ、第4軸側縁部24dを軸にして第2内面シート20bの残置領域21から起立する。一方、第1側方起立領域22cは、第3切断部23cによって残置領域21から切り離されている。このため、この第1側方起立領域22cは、シート本体10の動きに追従することなく、第2側方起立領域22dに引っ張られ、第3軸側縁部24cを軸にして第1内面シート20aの残置領域21から起立する。
【0047】
このとき、一対の側方起立領域(第1側方起立領域22c,第2側方起立領域22d)では、それぞれ第3軸側縁部24c,第4軸側縁部24dが第1メイン起立領域22aと第2メイン起立領域22bとの間に配置されている。そのため、この第1側方起立領域22c及び第2側方起立領域22dは、第3軸側縁部24c,第4軸側縁部24dを軸にして起立した際、
図4に示すように、第1メイン起立領域22aと第2メイン起立領域22bとシート本体10に囲まれた空間H内に引き込まれる。そして、この一対の側方起立領域(第1側方起立領域22c,第2側方起立領域22d)は、第1,第2側方接着部25c,25bが接着した状態で空間H内に起立して配置される。
【0048】
また、第3側方起立領域22e及び第4側方起立領域22fについても同様である。すなわち、第3側方起立領域22eには、谷折線11を挟んで第2内面シート20bに設けられると共に、第6切断部23fによって残置領域21から切り離された第4側方起立領域22fが接着されている。そのため、この第4側方起立領域22fは、
図5に示すように、第3側方起立領域22eに連動して引き上げられ、第6軸側縁部24fを軸にして第2内面シート20bの残置領域21から起立する。一方、第3側方起立領域22eは、第5切断部23eによって残置領域21から切り離されている。このため、この第3側方起立領域22eは、シート本体10の動きに追従することなく、第4側方起立領域22fに引っ張られ、第5軸側縁部24eを軸にして第1内面シート20aの残置領域21から起立する。
【0049】
このとき、一対の側方起立領域(第3側方起立領域22e,第4側方起立領域22f)では、それぞれ第5軸側縁部24e,第6軸側縁部24fが第1メイン起立領域22aと第2メイン起立領域22bとの間に配置されている。そのため、この第3側方起立領域22e及び第4側方起立領域22fは、第5軸側縁部24e,第6軸側縁部24fを軸にして起立した際、
図4に示すように、第1メイン起立領域22aと第2メイン起立領域22bとシート本体10に囲まれた空間H内に引き込まれる。そして、この一対の側方起立領域(第3側方起立領域22e,第4側方起立領域22f)は、第3,第4側方接着部25e,25fが接着した状態で空間H内に起立して配置される。
【0050】
そして、このように、第1側方起立領域22c及び第2側方起立領域22dと、第3側方起立領域22e及び第4側方起立領域22fとが、それぞれ空間H内に起立して配置されることで、空間Hの側方が第1側方起立領域22cや第3側方起立領域22eによってほぼ塞がれることになる(
図4参照)。この結果、空間Hの開放した側方を目立たなくして、見栄えの向上をはかることができる。
【0051】
また、この実施例1では、第1側方起立領域22cと第2側方起立領域22dからなる一対の側方起立領域と、第3側方起立領域22eと第4側方起立領域22fからなる一対の側方起立領域とが、谷折線11の延伸方向に間隔をおいて設けられている。これにより、空間Hの両側に側方起立領域を設けることができ、この空間Hの開放した側方をさらに目立たなくして、見栄えの向上をはかることができる。
【0052】
さらに、この実施例1では、第1側方起立領域22cにおいて、第3切断部23cの一部が第1軸側縁部24aと重なっていると共に、谷折線11の延伸方向に沿った長さL1が、谷折線11から第2軸側縁部24bまでの長さL2と同じ長さに設定されている。これにより、第1側方起立領域22cが起立した際、この第1側方起立領域22cの周縁部が一対のメイン起立領域(第1メイン起立領域22a,第2メイン起立領域22b)に接触する。
【0053】
また、第3側方起立領域22eにおいて、第5切断部23eの一部が第1軸側縁部24aと重なっていると共に、谷折線11の延伸方向に沿った長さL3が、谷折線11から第2軸側縁部24bまでの長さL2と同じ長さに設定されている。これにより、第3側方起立領域22eが起立した際、この第3側方起立領域22eの周縁部が一対のメイン起立領域(第1メイン起立領域22a,第2メイン起立領域22b)に接触する。
【0054】
これにより、第1側方起立領域22c及び第3側方起立領域22eによって、空間Hの内部で一対のメイン起立領域(第1メイン起立領域22a,第2メイン起立領域22b)を支持することができる。そのため、一対のメイン起立領域(第1メイン起立領域22a,第2メイン起立領域22b)の起立状態を安定させ、シート本体10を開いたときの見栄えをさらに向上させることができる。
【0055】
しかも、この実施例1では、第1メイン起立領域22aの第1軸側縁部24a及び第2メイン起立領域22bの第2軸側縁部24bが、それぞれ谷折線11の延伸方向に対して平行に延びている。また、第1側方起立領域22cの第3軸側縁部24cと、第3側方起立領域22eの第5軸側縁部24eは、いずれも谷折線11の延伸方向に対して直交する方向に延びている。
【0056】
これにより、シート本体10を開いたときに、第1メイン起立領域22a,第2メイン起立領域22b,第1側方起立領域22c,第3側方起立領域22eによって直方体の立体を形成することができる。
【0057】
なお、この実施例1では、第1メイン接着部25aに沿った第1ミシン目26aが設けられている。そのため、第1メイン起立領域22aのうち、第1メイン接着部25aが設けられた部分を第1ミシン目26aで折り曲げ、第2メイン起立領域22bに沿わせることができる。これにより、第1,第2メイン起立領域22a,22bの撓みや曲りを防止して、この第1,第2メイン起立領域22a,22bの接着位置を直角にすることができる。
【0058】
さらに、ここでは、第1側方起立領域22cにおいて、第3切断部23cの一部が第1メイン起立領域22aの第1軸側縁部24aに沿うと共に、この第3切断部23cと第3軸側縁部24cとの交点xが、第1軸側縁部24aから離れた位置に形成されている。また、第3側方起立領域22eにおいても、第5切断部23eの一部が第1メイン起立領域22aの第1軸側縁部24aに沿うと共に、この第5切断部23eと第5軸側縁部24eとの交点yが、第1軸側縁部24aから離れた位置に形成されている。
【0059】
これにより、第1側方起立領域22cや第3側方起立領域22eが起立する際、第1メイン起立領域22aに引っかかりにくくなり、円滑に起立することができる。
【0060】
(実施例2)
実施例2のシート状印刷物は、一対の側方起立領域を一組だけ設けた例である。以下、
図6及び
図7に基づいて、実施例2のシート状印刷物の構成を説明する。
【0061】
実施例2のシート状印刷物1Aは、
図7に示すように、シート本体10と、内面シート20と、を有し、内面シート20には、残置領域41と起立領域42とが設けられている。そして、起立領域42は、谷折線11を挟んで配置された第1メイン起立領域42aと第2メイン起立領域42bからなる一対のメイン起立領域と、谷折線11を挟んで配置された第1側方起立領域42cと第2側方起立領域42dからなる一対の側方起立領域と、を有している。
【0062】
この実施例2におけるシート本体10及び内面シート20は、実施例1と同様であるため、詳細な説明を省略する。
【0063】
第1メイン起立領域42aは、第1内面シート20aに設けられ、第1切断部43a及び第1軸側縁部44aによって残置領域41に対して区画されて、シート本体10を開いたときに第1軸側縁部44aを軸にして起立する。また、この第1メイン起立領域42aの表面には、第1メイン接着部45aが形成されている。
【0064】
第2メイン起立領域42bは、第2内面シート20bに設けられ、第2切断部43b及び第2軸側縁部44bによって残置領域41に対して区画されて、シート本体10を開いたときに第2軸側縁部44bを軸にして起立する。また、この第2メイン起立領域42bの表面には、第2メイン接着部45bが形成されている。
【0065】
そして、実施例1と同様に、第1軸側縁部44a及び第2軸側縁部44bは、それぞれ谷折線11側の縁部に沿って形成され、谷折線11側の縁部とは反対側の縁部に沿って第1,第2メイン接着部45a,45bが形成されている。
【0066】
また、この実施例2では、第1メイン起立領域42a及び第2メイン起立領域42bが、内面シート20の周縁のうち、谷折線11に直交する方向の一方の周縁に沿って形成されている。
【0067】
第1側方起立領域42cは、第1内面シート20aの谷折線11側の縁部に沿って設けられ、第3切断部43c及び第3軸側縁部44cによって残置領域41に対して区画されて、シート本体10を開いたときに第3軸側縁部44cを軸にして起立する。また、第1側方起立領域42cの表面には、第1側方接着部45cが形成されている。さらに、この第1側方起立領域42cの谷折線11の延伸方向に沿った長さL4は、谷折線11から第2軸側縁部44bまでの長さL5と同じ長さに設定されている。
【0068】
第2側方起立領域42dは、第2内面シート20bに設けられ、第4切断部43d及び第4軸側縁部44dによって残置領域41に対して区画されて、シート本体10を開いたときに第4軸側縁部44dを軸にして起立する。また、第2側方起立領域42dの表面には、第2側方接着部45dが形成されている。
【0069】
そして、この実施例2においても、第3軸側縁部44c及び第4軸側縁部44dは、第1軸側縁部24aと第2軸側縁部24bとの間に形成され、一対のメイン起立領域(第1,第2メイン起立領域42a,42b)の間に配置されている。また、第4軸側縁部44dの方が、第3軸側縁部24cよりも内面シート20の周縁に近い位置に形成されている。
【0070】
次に、実施例2のシート状印刷物1Aの作用を説明する。
実施例2のシート状印刷物1Aでは、シート本体10を開いたとき、第1メイン起立領域42aと第2メイン起立領域42bとが、第1,第2メイン接着部45a,45bを接着した状態で起立し、この起立した第1,第2メイン起立領域42a,42bによって空間Hが形成される。
【0071】
ここで、第1メイン起立領域42a及び第2メイン起立領域42bは、内面シート20の周縁のうち、谷折線11に直交する方向の一方の周縁に沿って形成されている。これにより、空間Hは、一方の側方が内面シート20の周縁に沿い、他方の側方がシート本体10の内側に向かって開放する(
図6参照)。
【0072】
一方、第1,第2側方起立領域42c,42dは、第1,第2側方接着部45c,45dが接着した状態で、それぞれ第3軸側縁部44c,第4軸側縁部44dを軸にして起立する。このとき、第3,第4軸側縁部44c,44dがいずれも第1メイン起立領域42aと第2メイン起立領域42bとの間に配置されているため、この第1,第2側方起立領域42c,42dは、起立したときに空間H内に引き込まれる。
【0073】
しかも、この実施例2では、第4軸側縁部44dの方が、第3軸側縁部24cよりもシート本体10の周縁に近い位置に形成されているので、第1側方起立領域42cは、シート本体10の内側に向かって開放している空間Hの側方に近い位置に起立する。これにより、空間Hのシート本体10の内側に向かって開放した側方を目立たなくして、見栄えの向上を図ることができる。
【0074】
以上、本発明のシート状印刷物を実施例1及び実施例2に基づいて説明してきたが、具体的な構成については、これらの実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
【0075】
上記実施例1及び実施例2では、内面シート20が一層である例を示したが、内面シート20を二層以上の複数層のシート材によって形成してもよい。この場合では、起立領域22の強度の向上を図ることができる。
【0076】
また、実施例1では、一対の側方起立領域を二組設けた例を示したが、谷折線11を挟んで設ける一対の側方起立領域を三組以上設けてもよい。
【0077】
さらに、実施例1では、第1軸側縁部24a等の各軸側縁部をミシン目によって形成する例を示したが、起立領域22を屈曲させやすくすればよいので、例えばエンボス加工による折曲線や、アンカット部を点状に残した切り込み等で形成してもよい。
【0078】
また、実施例1では、接着層30が、接着剤が塗布される接着領域31と、接着剤が塗布されない非接着領域32と、を有し、内面シート20のうち、非接着領域32に対向する部分を起立領域22にする例を示した。しかしながら、非接着領域は、例えばシート本体10の全面に接着剤を塗布した後、起立領域22に対向する部分に上塗り印刷やコーティングをすることで粘着力を取り除く方法によって形成してもよい。
【0079】
そして、実施例1では、第1メイン起立領域22a及び第2メイン起立領域22bを区画する第1,第2切断部23a,23bや、第1,第2軸側縁部24a,24が谷折線11の延伸方向に対して平行或いは直交する方向に延びる例を示したが、これに限らない。起立領域22のデザインに応じて任意の形状とすることができる。