(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6697547
(24)【登録日】2020年4月28日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】追加的トラックを備えた半導体パワーデバイスおよび半導体パワーデバイスを製造する方法
(51)【国際特許分類】
H01L 25/07 20060101AFI20200511BHJP
H01L 25/18 20060101ALI20200511BHJP
H01L 21/60 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
H01L25/04 C
H01L21/92 602A
H01L21/60 311S
【請求項の数】17
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2018-517303(P2018-517303)
(86)(22)【出願日】2015年9月30日
(65)【公表番号】特表2018-530920(P2018-530920A)
(43)【公表日】2018年10月18日
(86)【国際出願番号】EP2015072540
(87)【国際公開番号】WO2017054855
(87)【国際公開日】20170406
【審査請求日】2018年8月13日
(73)【特許権者】
【識別番号】517388783
【氏名又は名称】アジャイル・パワー・スイッチ・3・ディー−インテグレイション・エイ・ピー・エス・アイ・3・ディー
(73)【特許権者】
【識別番号】518108771
【氏名又は名称】イ・エール・テ・サン・テグジュペリ(ア・ウ・エス・ウ)
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファーブル,ジャック・ピエール・アンリ
(72)【発明者】
【氏名】レイネス,ジャン−ミシェル・フランシス
(72)【発明者】
【氏名】リバ,ラファエル
(72)【発明者】
【氏名】デュ・トリュー・ドゥ・テルドンク,ベルナール・ジョゼ・シャルル
【審査官】
庄司 一隆
(56)【参考文献】
【文献】
特開2010−098000(JP,A)
【文献】
特開2014−143276(JP,A)
【文献】
特開2013−206902(JP,A)
【文献】
国際公開第2013/021750(WO,A1)
【文献】
特開2015−002229(JP,A)
【文献】
米国特許第06911724(US,B1)
【文献】
特開2014−099574(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0160044(US,A1)
【文献】
米国特許第08102032(US,B1)
【文献】
中国特許出願公開第1602139(CN,A)
【文献】
特開2015−076442(JP,A)
【文献】
特開2013−110174(JP,A)
【文献】
特開2012−209388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 25/07
H01L 21/60
H01L 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体パワーデバイス(100、300)であって、
− 第1のパターニングされた導電層(112、113、412)を備えた第1の基板(110、400)であって、第1の基板(110、400)が、第1のパターニングされた導電層(112、113、412)がその上に提供されている第1の表面(111)を有する、第1の基板(110、400)と、
− 第2のパターニングされた導電層(122、422)と第1の表面(111)に面した第2の表面(121)とを備えた第2の基板(120、450)であって、第2のパターニングされた導電層(122、422)が第2の表面(121)の上に提供されている、第2の基板(120、450)と、
− 第1のパターニングされた導電層(112、113、412)と第2のパターニングされた導電層(122、422)との間に配置されたスイッチング半導体素子(115)であって、第1のパターニングされた導電層の上に提供されている、スイッチング半導体素子(115)と、
− 導電性トラック(132、432)と誘電材料の層(131、431)との積層(130、430)であって、誘電材料の層(131、431)が、少なくとも部分的に、第1のパターニングされた導電層(112、113、412)または第2のパターニングされた導電層(122、422)の上に提供されており、導電性トラック(132、432)を、積層(130、430)がその上に提供されている前記パターニングされた導電層(112、122、113、412、422)から絶縁する、積層(130、430)と、
− 相互接続構造(140、141、440、440’、441、441’)であって、
− 一方の側におけるスイッチング半導体素子(115)のベースまたはゲートと、他方の側における導電性トラック(132、432)との間に電気的接続を提供する第1の銅製ボール(140、440)と、
− 一方の側における、スイッチング半導体素子(115)のドレイン、ソース、エミッタまたはコレクタのうちの少なくとも1つと、他方の側における第2のパターニングされた導電層(122、422)との間に電気的接続を提供する第2の銅製ボール(141、441)とを備える相互接続構造(140、141、440、440’、441、441’)と、
を備える、半導体パワーデバイス(100、300)。
【請求項2】
誘電材料の層(131、431)が、導電性トラック(132、432)と、積層がその上に提供されている前記パターニングされた導電層(112、122、113、412、422)との間で、少なくとも20ボルトの絶縁破壊電圧を有する、請求項1に記載の半導体パワーデバイス(100、300)。
【請求項3】
追加的導電性トラック(333)と誘電材料の追加的層(331)との追加的積層(330)をさらに備えており、誘電材料の追加的層(331)が、第1のパターニングされた導電層(112、113、412)または第2のパターニングされた導電層(122、422)の上に提供されており、追加的導電性トラック(333)を、追加的積層(330)がその上に提供されている前記パターニングされた導電層(112、122、113、412、422)から絶縁する、請求項1または2に記載の半導体パワーデバイス(100、300)。
【請求項4】
誘電材料が、エポキシ樹脂、酸化物材料、またはソルダレジストを含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体パワーデバイス(100、300)。
【請求項5】
誘電材料の層(131、431)が、エポキシ樹脂の2つの層を備える、請求項4に記載の半導体パワーデバイス(100、300)。
【請求項6】
導電層トラック(132、432)が、金属、または、導電性であるトラックを取得するためにある量の導電性粒子がその中に提供されているエポキシ樹脂を備えている、請求項1から5のいずれか一項に記載の半導体パワーデバイス(100、300)。
【請求項7】
導電性トラック(132、432)が固体多孔性銀を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の半導体パワーデバイス(100、300)。
【請求項8】
第1の基板(110、400)と第2の基板(120、450)との少なくとも一方がセラミック支持層を備える、請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体パワーデバイス(100、300)。
【請求項9】
スイッチング半導体素子(115、415、465、465’、465’’)が、ワイドバンドギャップ半導体材料に基づくトランジスタを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の半導体パワーデバイス(100、300)。
【請求項10】
ワイドバンドギャップ半導体材料がSiC、GaNまたはダイヤモンドを含む、請求項9に記載の半導体パワーデバイス(100、300)。
【請求項11】
導電性トラック(132、432)が、
− 半導体パワーデバイス(100、300)に埋め込まれたセンサ素子と、
− 半導体パワーデバイス(100、300)に埋め込まれた埋込ドライバ素子と、
− 前記パターニングされた導電層(112、122、113、412、422)の電圧が感知されなければならない特定の感知位置(L)における第1のパターニングされた導電層(112、113、412)または第2のパターニングされた導電層(122、422)と、
の少なくとも1つに電気的に結合されている、請求項1から10のいずれか一項に記載の半導体パワーデバイス(100、300)。
【請求項12】
電力を電気モータに提供するためのモータドライバであって、電気モータに提供された電流をスイッチングするために、請求項1から11のいずれか一項に記載の半導体パワーデバイス(100、300)を備える、モータドライバ。
【請求項13】
多相電気信号を電気モータに提供するように構成されており、多相電気信号の各位相のために、請求項1から11のいずれか一項に記載の半導体パワーデバイス(100、300)の少なくとも1つを備える、請求項12に記載のモータドライバ。
【請求項14】
半導体パワーデバイスを製造する方法(500)であって、
− スイッチング半導体素子と第1のパターニングされた導電層とを備えた第1の基板を取得するステップ(502)であって、第1の基板は、第1のパターニングされた導電層がその上に提供されている第1の表面を有している、第1の基板を取得するステップ(502)と、
− 第2のパターニングされた導電層と第2の表面とを備えた第2の基板を取得するステップ(504)であって、第2のパターニングされた導電層は第2の表面の上に提供されており、スイッチング半導体素子が、第1のパターニングされた導電層と第2のパターニングされた導電層との間に配置され、第1のパターニングされた導電層の上に提供されている、第2の基板を取得するステップ(504)と、
− 導電性トラックと誘電材料の層との積層を、少なくとも部分的に、第1のパターニングされた導電層の上にまたは第2のパターニングされた導電層の上に製造するステップ(506)であって、誘電材料の層が、導電性トラックを、積層がその上に製造されパターニングされた導電層から絶縁する、積層を製造するステップ(506)と、
− 導電性材料の相互接続構造を取得するステップ(520)であって、相互接続構造は、第1の銅製ボールと、第2の銅製ボールとを備える、導電性材料の相互接続構造を取得するステップ(520)と、
− 第1のパターニングされた導電性層、スイッチング半導体素子の表面、導電性トラック、または第2のパターニングされた導電層のうちの1つの上に、相互接続構造を提供するステップ(522)と、
− 第1の表面が第2の表面に面し、少なくとも、
− 第1の銅製ボールが、一方の側におけるスイッチング半導体素子のベースまたはゲートと、他方の側における導電性トラックとの間に電気的接続を提供し、
− 第2の銅製ボールが、一方の側における、スイッチング半導体素子のドレイン、ソース、エミッタまたはコレクタのうちの少なくとも1つと、他方の側における第2のパターニングされた導電層との間に電気的接続を提供するように、
第1の基板と対向するように第2の基板を組み立てるステップ(524)と、
を備える、方法。
【請求項15】
導電性トラックと誘電材料の層との積層を製造するステップ(506)が、
− 第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の上に、誘電材料のパターニングされた層を提供するステップ(506)と、
− 誘電材料のパターニングされた層の上に導電性トラックを提供する(514)ステップと、
を備える、請求項14に記載の半導体パワーデバイスを製造する方法(500)。
【請求項16】
誘電材料のパターニングされた層を提供するステップ(506)が、
− 導電性トラックと誘電材料の層との積層がその上に製造されなければならない前記基板の第1の表面または第2の表面の上に、誘電材料のパターニングされていない層を提供するステップ(510)と、
− 誘電材料のパターニングされていない層の上にパターニングされたエッチング保護層を提供するステップ(511)と、
− パターニングされたエッチング保護層が存在しない場所の誘電材料のパターニングされていない層をエッチングにより除去するステップ(512)と、
− パターニングされたエッチング保護層を取り除くステップ(513)と、
を備える、請求項15に記載の半導体パワーデバイスを製造する方法(500)。
【請求項17】
誘電材料のパターニングされた層の上に導電性トラックを提供する(514)ステップが、
− 誘電材料のパターニングされた層の上に焼結される材料を提供するステップ(516)と、
− 導電性トラックを取得するために、誘電材料のパターニングされた層が提供されている前記パターニングされた導電層を備える前記基板を焼結するステップ(518)と、
を備える、請求項15または16に記載の半導体パワーデバイスを製造する方法(500)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体パワーデバイスと、そのようなデバイスを製造する方法とに関する。パワーデバイスは、比較的高い電流をスイッチングする、および/または、比較的高い電圧でスイッチングすることができる。そのような電流は、1から数百アンペアのオーダーにあり得るし、そのような電圧は、数百から数千ボルトのオーダーにあり得る。
【背景技術】
【0002】
発行された米国特許出願US2004/207968A1号は、参照により本明細書に組み入れられるが、いくつかのパワースイッチを有するパワースイッチングモジュールを開示している。それぞれのパワースイッチは、共に、電流を導通させ信号をそれらの表面のうちの少なくとも1つにおいて提供するために複数の導電性領域を有する第1の基板と第2の基板とを備える。絶縁ゲートバイポーラトランジスタが、第1の基板の導電性領域の上に提供される。これらのトランジスタの一方の側は、トランジスタのコレクタであり、このコレクタは、第1の基板の導電性領域に直接的に結合されている。これらのトランジスタの反対側は、エミッタとゲートとを備える。導電性の円柱によって形成された相互接続構造が、エミッタおよびゲートと、第2の基板の特定の導電性領域との間に提供される。引用された特許出願の
図3に示され、その明細書に記載されているように、第2の基板60の導電性領域64は、エミッタが結合されている導電性領域であるのだが、比較的大きな電流を導通させなければならないために、比較的大きい。しかし、ゲートも同様に信号を受け取らなければならないので、別個の導電性領域(引用されている特許出願の
図3では参照番号が付されていない)が、導電性領域の内部に製造される。この別個の導電性領域は、導電性領域の間における比較的大きなギャップによって、導電性領域64から絶縁されている。実際の実施形態では、製造上の特徴の結果として、ギャップは1ミリメートル幅であり、別個の導電性領域が存在する層は、高い電流を導通させることを可能にするために比較的厚く、結果的には、導電性領域64と別個の導電性領域との間に製造されなければならないギャップは、同様に比較的幅が広くなる。これは、複数の短所をもたらす。たとえば、エミッタとゲートとの間の距離がギャップのサイズに適合しなければならないために、トランジスタは、比較的大きくならなくてはならない。あるいは、エミッタと、エミッタが接続されなければならない導電性領域64との間で用いられることが可能な相互接続構造の量が小さすぎることになるのだが、その理由は、大きなギャップが、相互接続構造が提供されていないエミッタの部分によって補償されるからである。より小さな相互接続構造は、高すぎる抵抗値を生じさせることになり、また、第2の基板に向かう熱伝導が小さすぎることになってしまう場合があり得る。複数の寄生効果が、相対的に幅が広いギャップから得られるし、また、ゲートに接続された導電性領域64が、エミッタに接続された導電性領域64によって包囲されているという事実からも得られる。さらに、導電性領域64の内部では、導電性領域64が局所的にははるかに小さな断面積を有するために、電流密度の変動が大きすぎてしまう場合があり得る。少なくとも、ゲートに接続された別個の導電性領域が、パワースイッチの最大のパフォーマンスを制限してしまうのである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/207968号明細書
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Manfred Goetz et al、「Comparison of Silicon Nitride DBC and AMB Substrates for different applications in power electronics」、第57−65頁、PCIM Europe conference、Nuremberg、2013年5月14−16日(ベルリンのVDE Verlagにより出版)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的の1つは、よりよいパフォーマンスを有する半導体パワーデバイスを提供することである。この目的のため、本発明の一態様に従い、特許請求の範囲において定義される半導体パワーデバイスが、提供される。この目的のため、本発明の別の態様に従い、特許請求の範囲において定義される半導体パワーデバイスを製造する方法が、提供される。従属請求項では、実施形態が定義されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、半導体パワーデバイスを提供する。この半導体パワーデバイスは、第1の基板と、第2の基板と、積層と、相互接続構造とを備える。第1の基板は、スイッチング半導体素子と、第1のパターニングされた導電層とを備える。第1の基板は、第1のパターニングされた導電層がその上に提供されている第1の表面を有する。スイッチング半導体素子は、第1のパターニングされた導電層の上に提供される。第2の基板は、第2のパターニングされた導電層と、第1の表面に面した第2の表面とを備える。第2のパターニングされた導電層は、第2の表面の上に提供される。積層は、導電性トラックと誘電材料の層とを備える。誘電材料の層は、少なくとも部分的に、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の上に提供されており、導電性トラックを、積層がその上に提供されている前記パターニングされた導電層から絶縁する。相互接続構造は、少なくとも1つの電気的接続を、一方の側における、第1のパターニングされた導電層、スイッチング半導体素子の表面、または導電性トラックと、他方の側における、第2のパターニングされた導電層または導電性トラックとの間に、提供するためのものである。
【0007】
導電性トラックは、その上にそれが提供されているパターニングされた導電層から絶縁された別個のトラックである。よって、低いまたは中程度の電流信号を搬送し得る完全に独立で追加的なトラック/ワイヤが提供され、それにより、パターニングされた導電層は、高電流を搬送するために最適化され得るのであって、低電流信号を搬送するためのトラック(および、トラックの間のギャップ)によって中断される必要がない。完全に独立とは、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の設計が、比較的低い電流信号を伝送するワイヤを有する必要性によってどのような影響も受けない、という意味である。この結果として、効果が得られるのであって、その理由は、高電流信号が、抵抗値が比較的低く維持され自己インダクタンスも比較的低いような最適な方法で、パターニングされた導電層によって導通され得るからである。さらに、基板と平行な方向においてみられるように、導電性トラックとその導電性トラックがその上に提供されているパターニングされた導電層との間には、ギャップが存在せず、したがって、比較的小さなトランジスタが用いられ得る、または、いずれかのトランジスタ端子(たとえば、ソース、ドレイン、エミッタ、またはコレクタ)を、直接的に、または、相互接続構造によって、パターニングされた導電層に接続するのにトランジスタの最大領域が用いられ得る。また、この結果として、抵抗値がより低くなり、自己インダクタンスも低下する。それはまた、熱がトランジスタから離れて第1の基板および第2の基板に最適な方法で輸送され得ることを意味する。換言すると、半導体パワーデバイスのパフォーマンスは向上し、より高い最高のパフォーマンスを有する。
【0008】
誘電材料の層は、導電性トラックと第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層との間に十分な電気的絶縁を提供するのに十分な厚さを有していなければならないが、実際の実施形態では、誘電材料の層は、基板、パターニングされた導電層、および相互接続構造の厚さと比較すると、依然として比較的薄い、ということがわかる。また、導電性トラックは、比較的薄いのであるが、その理由は、その意図された使用は、低電流信号を搬送することであるからである。積層の追加的な高さは、たとえば、導電性トラックへの接続を生じさせるための、適合されたより小さなサイズを有する相互接続構造における相互接続要素を用いることによって、補償され得る。よって、半導体パワーデバイスの厚さは、導電性トラックと誘電材料の層との積層を導入することの結果として増加することはない。
【0009】
第1のパターニングされた導電層は、特定の第1のパターンに配列された導電性領域を備える。これは、半導体パワーデバイスの全体的設計によって定義されたまたはその全体的設計と関係する形状と場所とを有する、1つまたは複数の電気的に分離された導電性領域が存在することを意味する。たとえば、スイッチング半導体素子に1つまたは複数の電流信号を提供するようにするために、スイッチング半導体素子の位置および構造はどこに導電性領域を設計されなければならないのか、を定義する。これは、また、導電性領域が特定の第2のパターンに従って配列されている第2のパターニングされた導電層にも適用される。導電性トラックと誘電材料の層との積層は、特定の第3のパターンに従って、配列される。特に、特定の第3のパターンは、トラックを定義する細長い領域のパターンを含み得る。一般に、特定の第1のパターンと、特定の第2のパターンと、特定の第3のパターンとは、異なったパターンであるが、相互に強い関係を有しているのであり、その理由は、これらは、スイッチング半導体素子および半導体パワーデバイスの電気回路と共に実装するからである。
【0010】
一般に、導電性トラックは、比較的長い時間期間の間、比較的小さな電流信号を導通させるのに適しているのであるが、比較的より短い時間期間の間では、中程度のサイズの電流信号が導電性トラックによって導通され得る、ということに注意すべきである。たとえば、導電性トラックが、スイッチング半導体素子のスイッチングの瞬間に、スイッチング半導体素子のゲートとの間で電流を導通させる場合には、その電流は、数十分の1ナノ秒の間、20アンペアであり得る。
【0011】
任意選択であるが、誘電材料の層は、導電性トラックと、積層がその上に提供されている前記パターニングされた導電層との間で、少なくとも20ボルトの絶縁破壊電圧を得るための厚さを有する。そのような絶縁破壊電圧は、導電性トラックによって導通される信号が、第1のパターニングされた導電層および/または第2のパターニングされた導電層の電圧/電流に直接的に関係しないときには、有用である。たとえば、導電性トラックがトランジスタのゲートを制御するための信号を搬送するときには、この信号は、第1のパターニングされた導電層および/または第2のパターニングされた導電層の電圧から20ボルトよりも大きく逸脱し得るのであり、結果的に、信頼性の高い絶縁が提供されなければならない。
【0012】
任意選択であるが、半導体パワーデバイスは、さらに、追加的な導電性トラックと誘電材料の追加的な層との追加的な積層を備える。誘電材料の追加的層は、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の上に提供されており、追加的導電性トラックを、追加的積層がその上に提供されている前記パターニングされた導電層から絶縁する。こうして、半導体パワーデバイスは、導電性トラックと誘電材料の層との1つまたは複数の積層を備え得る。また、積層は、第1のパターニングされた導電層もしくは第2のパターニングされた導電層の上に提供され得るか、または、両方のパターニングされた導電層の上に分布され得る。複数のスイッチング半導体素子が、半導体パワーデバイスのすべての実施形態において存在し得るということ、そして、これらのスイッチング半導体素子は、第1のパターニングされた導電層もしくは第2のパターニングされた導電層のいずれかに結合され得るのであって、または、第1の組が第1のパターニングされた導電層の上に提供され得るのであり、第2の組が第2のパターニングされた導電層の上に提供され得る、ということに注意すべきである。
【0013】
任意選択であるが、誘電材料は、エポキシ樹脂、(シリコン酸化物などの)酸化物材料、またはソルダレジストを含む。エポキシ樹脂は、取り扱いが容易な材料であり、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層に容易に適用されることが可能である。さらに、既に比較的薄い層のエポキシ樹脂が、十分に高い絶縁破壊電圧を提供するのであるが、これは、絶縁破壊電圧が適切に定義された(well−defined)最小の絶縁破壊電圧よりも大きい必要がある場合に、特に有益である。たとえば、0.6マイクロメートルの厚さのエポキシ樹脂の層は、50ボルトを超える電圧に耐えることが可能である。ソルダレジストは、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層に、容易に適用されることが可能である。ソルダレジストは、SAC305のソルダ層を停止させるのに用いられるのであるが、その理由は、このソルダレジストは、非常に悪いぬれ性を有しているために、ソルダ層が、逆によいぬれ性を有するメタライゼーションの上に閉じ込められるからである。電子素子および、または電子デバイスを製造する分野では、多くの経験と技術が、ソルダレジストのそのような層を第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層に適用するために利用可能である。また、これらの材料は、特定の時間期間の間は比較的高い温度に耐えることが可能であり、これは、半導体パワーデバイスの動作の間に有利であるが、その理由は、そのような動作の間は、半導体パワーデバイスは比較的熱くなる場合があり得るからである。また、半導体パワーデバイスの製造の間は、たとえば、焼結のためには比較的高い温度が用いられることがあり得るが、これらの材料は、また、短い時間期間の間はこのような温度に耐えることが可能である。
【0014】
任意選択であるが、誘電材料の層は、エポキシ樹脂の2つの層を備える。エポキシ樹脂の1つの層には、いくつかのピンホールまたは他の脆弱な領域が存在し、2つの層を相互の上に提供することが、誘電材料のより信頼性できる層を生じさせるということがあり得る。
【0015】
任意選択であるが、導電性トラックは、銀などの金属を含む。あるいは、導電性トラックは、導電性トラックを取得するためにある量の導電性粒子が提供されているエポキシ樹脂を備えており、任意選択であるが、この導電性粒子は銀粒子を含む。提示された材料は、比較的容易に、たとえば焼結技術により、誘電材料の層に適用されることが可能である。さらに、それらは、十分に高い導電率を有しており、したがって、半導体パワーデバイスを流れる低電流信号を運ぶのに適している。任意選択であるが、導電性トラックは、固体多孔性銀を含む。特に、銀が誘電材料の上に焼結されると、焼結プロセスの後に残される材料は固体であり、多孔性であり、銀を含む。
【0016】
任意選択であるが、第1の基板と第2の基板との少なくとも一方は、セラミック支持層を備える。セラミック支持層は、基板に強度を提供し、スイッチング半導体素子から離れて半導体パワーデバイスの外側表面に向かって熱が移動されることが可能であるように、多くの場合に、熱伝導性を有する。任意選択であるが、セラミック支持層の第1の表面では、パターニングされた導電層が提供され、セラミック支持層の第2の対向する表面では、金属層が提供される。セラミック支持層の第2の対向する表面における金属層も、同様に、パターニングされていることがあり得る。
【0017】
任意選択であるが、スイッチング半導体素子は、ワイドバンドギャップ半導体材料に基づくトランジスタを備える。歩留りの問題のために、トランジスタは、多くの場合に、比較的小さなサイズで製造されるが、これは、トランジスタのドレイン、エミッタ、ソース、またはコレクタがトランジスタのゲートと比較的小さな表面を共用しなければならず、したがって、ドレイン、エミッタ、ソース、またはコレクタもまた比較的小さいことを意味する。積層は、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層に適用されるので、ゲートに、そして、ドレイン、エミッタ、ソース、またはコレクタの少なくとも1つに接続する接触領域または相互接続構造の間の距離が縮小される(第1の基板および/または第2の基板と平行な方向において見られるように)。よって、最大の数の相互接続構造が用いられることが可能である、または、最大の接触面積が得られる。したがって、最適な電気的および熱的接触が、これらのトランジスタに対して作られることが可能であり、それらのサイズが比較的小さいという事実は、もはや、そのようなトランジスタの格別な短所ではない。任意選択であるが、ワイドバンドギャップ半導体材料は、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、またはダイヤモンドを含む。
【0018】
任意選択であるが、導電性トラックは、i)半導体スイッチングデバイスのゲートまたはベース、ii)半導体パワーデバイスに埋め込まれたセンサ素子、iii)半導体パワーデバイスに埋め込まれた埋込ドライバ素子、および/または、iv)パターニングされた導電層の電圧が感知されなければならない特定の感知位置における第1のパターニングされた導電層もしくは第2のパターニングされた導電層に電気的に結合されている。半導体スイッチングデバイスのゲートまたはベースに提供されなければならない信号は、一般的に、低電流信号である。導電性トラックは、そのような信号を提供するのに適している。上で論じられたように、導電性トラックは、また、第1のパターニングされた導電層および/または第2のパターニングされた導電層がゲートおよびベースへの信号を搬送する構造を備えていなくてはならないということを不要にするのであって、それにより、第1のパターニングされた導電層および/または第2のパターニングされた導電層は、その全体を、スイッチング半導体素子のドレイン、エミッタ、ソース、および/またはコレクタとの間で比較的高い電流信号を搬送するために用いられることが可能になる。センサ要素および/または埋込ドライバ要素への信号は、一般に、低いまたは中程度の電流信号である。そのような信号が第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の一部を通過して搬送されない場合には、これらの第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層が、先に論じられたように、高電流のために最適に用いられることが可能である。この効果については、既に論じられている。
【0019】
また、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の特定の感知位置/場所の電圧が知られていなければならない、ということもあり得る。この場合には、導電性トラックが、その特定の感知位置/場所において、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層に結合され得る。これは、誘電材料の層を通過するスルーホールを提供して、そのスルーホールを導電性材料(任意選択であるが、導電性トラックの材料と同じ材料)を用いて充填することによって、なされ得る。これは、また、特定の感知位置/場所における導電性トラックと第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層との間に、相互接続構造の相互接続要素を提供することによっても、なされ得る。特に、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の一方の上に積層が提供され、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の他方の上に特定の感知位置/場所が提供されるときには、相互接続構造が、電気的接続を提供するための効果的で効率的な方法であり得る。また、特定の感知位置/場所では、導電層は、誘電材料の層を超えて延長し、誘電材料の層の側面にも提供され、それによって、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層への電気的接続を提供するようなこともあり得る。導電性トラックが第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の特定の感知位置/場所に電気的に結合されなければならない場合には、誘電材料の層の絶縁破壊電圧は、たとえば数ボルトなど、比較的低く保たれることが可能である、ということに注意すべきである。そのような状況では、導電性トラックの信号と第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層との間の電圧差は、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の内部において可能な電圧差より大きいことはない。
【0020】
本発明の別の実施態様によると、半導体パワーデバイスを製造する方法が、提供される。この方法は、i)スイッチング半導体素子と第1のパターニングされた導電層とを備えた第1の基板を取得するステップであって、第1の基板は、第1のパターニングされた導電層がその上に提供されている第1の表面を有しており、スイッチング半導体素子が、第1のパターニングされた導電層の上に提供されている、第1の基板を取得するステップと、ii)第2のパターニングされた導電層と第2の表面とを備えた第2の基板を取得するステップであって、第2のパターニングされた導電層は第2の表面の上に提供されている、第2の基板を取得するステップと、iii)導電性トラックと誘電材料の層との積層を、少なくとも部分的に、第1のパターニングされた導電層の上にまたは第2のパターニングされた導電層の上に製造するステップであって、誘電材料の層が、導電性トラックを、積層がその上に製造されパターニングされた導電層から絶縁する、積層を製造するステップと、iv)導電性材料の相互接続要素を取得するステップと、v)第1のパターニングされた導電層、スイッチング半導体素子の表面、導電性トラック、または第2のパターニングされた導電層のうちの1つの上に、相互接続要素を提供するステップと、vi)第1の表面が第2の表面に面し、一方の側における第1のパターニングされた導電層、スイッチング半導体素子の表面または導電性トラックと、他方の側における第2のパターニングされた導電層または導電性トラックとの間に、少なくとも1つの電気的接続が取得されるように、第1の基板と対向するように第2の基板を組み立てるステップと、を備える。
【0021】
上述の方法は、上で論じられた半導体パワーデバイスを製造するためのものである。この方法は、上で論じられた半導体パワーデバイスの実施形態と同じ利点と効果とを提供する。
【0022】
任意選択であるが、導電性トラックと誘電材料の層との積層を製造するステップは:第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の上に、誘電材料の(パターニングされた)層を提供するステップと、誘電材料の(パターニングされた)層の上に導電性トラックを提供するステップとを備える。
【0023】
任意選択であるが、誘電材料の(パターニングされた)層を提供するステップは、導電性トラックと誘電材料の層との積層がその上に製造されなければならない前記基板の第1の表面または第2の表面の上に、誘電材料のパターニングされていない層を提供するステップと、誘電材料のパターニングされていない層の上にパターニングされたエッチング保護層を提供するステップと、パターニングされたエッチング保護層が存在しない場所の誘電材料のパターニングされていない層を、エッチングにより除去するステップと、パターニングされたエッチング保護層を取り除くステップとを備える。このエッチング技法は、誘電材料のパターニングされた層を製造する際に、コスト効率がよく、正確である。あるいは、スクリーン印刷または伝統的な印刷などの、印刷による方法が、用いられることもあり得る。
【0024】
任意選択であるが、誘電材料の(パターニングされた)層の上に導電性トラックを提供するステップは、誘電材料の(パターニングされた)層の上に焼結される材料を提供するステップであって、任意選択で、焼結される材料の提供がスクリーン印刷技術を用いて提供される、焼結される材料を提供するステップと、導電性トラックを取得するために、誘電材料の(パターニングされた)層がその上に提供されている前記パターニングされた導電層を備えた前記基板を焼結するステップとを備える。そのような焼結の技法は、導電性トラックを製造するために効果的で正確である。焼結される材料は、金属粒子(たとえば、銀粒子)および何らかの有機材料(たとえば、接合剤、分散剤、コーティング材料、その他)など、導電性材料の粒子を含む。あるいは、焼結される材料を、誘電材料のパターニングされた層の上に提供するために、他の印刷技法が用いられる。
【0025】
本発明のこれらのおよびそれ以外の態様は、以下に説明される実施形態を参照することから明らかであり、また、明瞭になるだろう。図面は、以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】半導体パワーデバイスの一実施形態の概略的な分解図である。
【
図2】
図1の半導体パワーデバイスの実施形態の直線II−II’に沿った概略的な断面図である。
【
図3】半導体パワーデバイスの別の実施形態の概略的な断面図である。
【
図4b】
図4aの第1の基板が取り付けられなければならない第2の基板の概略的な平面図である。
【
図4c】
図4aおよび4bそれぞれの第1の基板と第2の基板とを備えており組み立てられた半導体パワーデバイスの概略的な側方図である。
【
図5】半導体パワーデバイスを製造する方法の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
異なる図面において同じ参照番号を有する項目は、同じ構造的特徴および同じ機能を有する、または、同じ信号である、ということに注意すべきである。そのような項目の機能および/または構造が既に説明されている場合には、詳細な説明において、それらの説明を反復することは必要ない。
【0028】
図1は、半導体パワーデバイス100の一実施形態の分解図を、概略的に提示している。半導体パワーデバイス100は、第1の基板110と、第2の基板120と、積層130と、相互接続構造140、141とを備える。
【0029】
第1の基板110は、第1のパターニングされた導電層112、113がその上に提供されている第1の表面111を備える。第1の基板110は、また、第1のパターニングされた導電層112、113の表面の上に提供されたスイッチング半導体素子115を備える。特に、
図1の例では、第1のパターニングされた導電層は、2つの別個の導電性領域112、113によって形成される。第1のパターニングされた導電層のパターンは、2つの別個の導電性領域112、113の形状と、これらの導電性領域112、113が第1の表面111の上に提供されている場所とによって、形成される。
【0030】
図1の例では、スイッチング半導体素子115は、たとえば、トランジスタである。トランジスタの表面におけるドレイン、ソース、エミッタ、またはコレクタのうちの少なくとも1つは、第1のパターニングされた導電層112、113と接触している。スイッチング半導体素子115は、別の表面を有するが、この別の表面は、第1のパターニングされた導電層112、113に結合された表面と対向する。この別の表面は、トランジスタのゲートと、トランジスタのドレイン、ソース、エミッタ、またはコレクタのうちの別の1つとを有し得る。実際の実施形態では、ゲート電極とエミッタまたはソース電極とは、トランジスタの同じ側にあり、ドレインまたはコレクタは、トランジスタの反対側にあることに注意すべきである。しかし、実施形態は、このタイプのトランジスタに限定されない。論じられている実施形態において、すべての電極が同じ側にあるトランジスタが、用いられることもあり得る。論じられている実施形態では、ゲート電極がトランジスタの一方の側にあり他の電極がトランジスタの反対側にあるようなトランジスタが、用いられることもあり得る。
【0031】
多くの場合、導電性領域112、113は、特定の電圧に結合されているか、または、それらの領域は、ある電流を導通させなければならない。しかし、すべての導電性領域112、113が、そのような電圧に結合されている、または、電流を導通させなければならない、ということは必要ない。第1のパターニングされた導電層の導電性領域112、113が、浮遊電圧を有するために接続されていないということもあり得る。
【0032】
第2の基板120は、第1の表面111に向かう方向に面している第2の表面121を備える。第2の基板120は、第2の表面121の上に提供されている第2のパターニングされた導電層122を備える。以上の議論に応じて、第1のパターニングされた導電層の特徴は、第2のパターニングされた導電層にも適用され得るのであり、たとえば、第2のパターニングされた導電層122は、複数の導電性領域を備える。
図2では、ただ1つの導電性領域122が、第2のパターニングされた導電層を形成している。第2のパターニングされた導電層のパターンは、この単独の導電性領域122の形状と第2の表面121におけるその位置とによって、形成される。
【0033】
積層130は、導電性トラック132と、誘電材料の層131とを備える。誘電材料の層131は、少なくとも部分的には、第1のパターニングされた導電層112、113の上に、または、第2のパターニングされた導電層122の上に、提供されている。誘電材料の層131は、導電性トラック132を、積層130がその上に提供されているパターニングされた導電層112、113、122から絶縁する。
【0034】
任意選択で、誘電材料の層131は、導電性トラック132と積層130がその上に提供されているパターニングされた導電層との間に少なくとも20ボルトの絶縁破壊電圧を得るための最小の厚さを、少なくとも有する。任意選択で、誘電材料の層131は、導電性トラック132と積層130がその上に提供されているパターニングされた導電層との間に少なくとも30ボルトの絶縁破壊電圧を得るための最小の厚さを、少なくとも有する。任意選択で、誘電材料の層131は、導電性トラック132と積層130がその上に提供されているパターニングされた導電層との間に少なくとも50ボルトの絶縁破壊電圧を得るための最小の厚さを、少なくとも有する。
【0035】
積層130は、部分的には、第2のパターニングされた導電層の導電性領域122の上に提供されており、第2の表面121と部分的に接している、ということに注意すべきである。導電性トラック132における「トラック」という用語は、この導電性トラックがワイヤまたは線路の特徴を有することを示唆している、ということにさらに注意すべきである。導電性トラック132は、その形状が第2の表面121の上に射影されるときには、細長い形状を有する。さらに、積層130の層131、132は、少なくとも一方の基板の上で特定の形状と特定の位置とを有し得る、ということに注意すべきである。よって、積層130の層131、132は、パターニングされた層を有し得る。
【0036】
任意選択で、誘電材料の層131は、エポキシ樹脂もしくは酸化物材料(これは、多くの場合に、パッシベーション層として用いられる)を備えており、または、誘電材料131はソルダレジストである。酸化物材料の例は、これに限定されることはないが、酸化ケイ素などである。エポキシ樹脂は特定の場合に効果的であり得る比較的優れた誘電的挙動を有する、ということが知られている。たとえば、エポキシ樹脂のある製造業者によると、エポキシ樹脂の0.6マイクロメートルの厚さの層は、50ボルトを超える電圧に耐え得る。別の任意選択の実施形態では、誘電材料の層131は、2層のエポキシ樹脂を備える。エポキシ樹脂の層は、絶縁破壊電圧という観点から見ると、いくつかの脆弱な領域を、または、ピンホールさえも有し得る。2つの層を上下に用いることにより、脆弱な領域の量が著しく減少され、残存している脆弱な領域の脆弱性も、より低下している。
【0037】
任意選択で、導電性トラックは、これに限定されることはないが、銀などの金属を含む。あるいは、導電性トラックは、そのエポキシ樹脂の層が導電性を有するほど十分に導電性粒子が分散されているエポキシ樹脂の層で作られる。これらの導電性粒子は、銀粒子であり得る。特に、高い導電率を有する金属が好ましい。たとえば、導電性トラックは、銅または銀を含む。任意選択では、導電性トラックは、固体多孔性銀を含む。固体多孔性銀は、焼結プロセスの結果であり得る。焼結される材料が、誘電材料の層131の上に提供されることがあり得る。そのような焼結される材料は、銀粒子(たとえば、少なくとも85%)と、接合剤、分散剤、コーティング材料として作用する他の有機化合物とを含む。その後で、誘電材料131と焼結される材料との層がその上に提供されている基板110、120が、比較的低温(たとえば、摂氏300度未満)で、焼結される。その結果、他方の有機化合物がほとんど燃焼して失われるまたは蒸発し、銀粒子が局所的に融合することにより、固体多孔性銀が生じる。固体多孔性銀は、高い融点(理論的には、純粋の銀の場合には、摂氏961度)を有しており、よい導体である。
【0038】
相互接続構造は、一方の側における第1のパターニングされた導電層112、113、スイッチング半導体素子115の表面、または導電性トラック132と、他方の側における第2のパターニングされた導電層122または導電性トラック132との間に、少なくとも1つの電気的接続を提供する。実際に、
図1の半導体パワーデバイス100では、相互接続構造は、2つの導電性相互接続要素140、141を備える。
図1の特定の例では、相互接続要素140、141は、球の形状をしている。一実施形態では、他の形状もまた可能である。別の実施形態では、相互接続要素は、ハンダ接合によって、形成される。相互接続要素140は、スイッチング半導体素子115の表面と導電性トラック132との間に電気的接続を形成し、他方の相互接続要素141は、スイッチング半導体素子115の表面と第2のパターニングされた導電層122との間に電気的接続を形成する。
【0039】
たとえば、
図1に示されているように、相互接続要素140は、スイッチング半導体素子115のゲートに接続し、他方の相互接続要素141は、スイッチング半導体素子115のドレイン、ソース、エミッタ、またはコレクタのうちの少なくとも1つに接続する。こうして、導電性トラック132は、スイッチング半導体素子を制御するのに用いられる信号を導通させる。これらの信号は、一般に、低電力信号であり、スイッチング半導体素子115が別の導通状態に切り換わる時間的瞬間における数十ミリ秒の間に、数十アンペアという中程度のサイズの電流を導通させ得る。
【0040】
実際の実施形態では、導電性トラック132は、半導体パワーデバイス100の外部ピンに、直接にまたは間接に結合される。また、第1および第2の導電層112、113、122は、外部ピンまたは他のタイプの外部コネクタに、直接にまたは間接に結合される。
【0041】
図2は、直線II−II’に沿った、
図1の半導体パワー100デバイスの実施形態の断面図を概略的に提示している。この断面図では、上で論じられたすべての要素を見ることが可能である。相互要素140、141は、これら2つの相互接続要素の間での短絡を防止するために、離隔されている様子が見られるが、その理由は、これらが異なる信号を導通させるからである。また、
図2においては、2つの相互接続要素140、141が相互に対して比較的近接しており、相互接続要素140、141のサイズと、短絡を防止するためのそれらの間での安全な距離とを考慮すると、可能な限り近接している。従来技術による実施形態と比較すると、相互接続要素140、141の間に大きなギャップを有することは、もはや要求されない。第2の基板120と平行な方向で見ると、導電性トラック132と第2のパターニングされた導電層122との間には、ギャップが存在しない。したがって、比較的大きなスイッチング半導体素子115を有することは要求されず、または、ある場合には、スイッチング半導体素子115が比較的大きい場合には、たとえば、比較的大きな電流信号である信号を導通させるために、より多くの相互接続要素が提供されることがあり得る。
【0042】
スイッチング半導体素子115は、トランジスタ、電界効果トランジスタ(FET)、MOS電界効果トランジスタ(MOSFET)、サイリスタ、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)、ダイオード、または別の適切なスイッチング半導体素子であり得る。第1の基板110および/または第2の基板120は、これらに限定されることはないが、シリコン、シリコンカーバイト、ガリウムヒ素、窒化ガリウム、ダイヤモンドベースの半導体材料、またはそれ以外の適切な半導体材料などの半導体材料で作られた要素を含む他の電子素子を、さらに備える。他の適切な半導体材料の例としては、これらに限定されることはないが、抵抗、コンデンサ、インダクタ、センサ、集積回路(たとえば、駆動回路)、またはそれ以外の適切な電子素子が含まれる。
【0043】
スイッチング半導体素子115がトランジスタであるときには、スイッチング半導体素子115は、ワイドバンドギャップ半導体材料を含む。任意選択では、このワイドバンドギャップ半導体材料は、これらに限定はされないが、シリコンカーバイド(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、またはダイヤモンドを含む。特に、これらの材料のトランジスタの製造プロセスは、トランジスタが比較的大きいときには、何らかの歩留り問題を生じるために、このような材料の場合には、比較的小さなトランジスタが、好まれる。既に論じられたように、積層130が、比較的小さなトランジスタの使用を可能にする。
【0044】
基板120、130は、熱伝導性を有し電気的絶縁性を有する材料(たとえば、セラミックス)と、第1および第2のパターニングされた導電層と他のルーティングとのための導電率の高い材料(たとえば、金属)との複数の層から製造され得る。セラミックスの例には、これらに限定されることはないが、窒化アルミニウム(AlN)、酸化アルミニウム(Al
2O
3)、窒化ケイ素(Si
3N
4)が含まれる。基板の他の例は、Si
3N
4であり、これは、たとえば、銅またはアルミニウムのパターニングされた層である、2つのパターニングされた金属層の間に挟まれている。典型的には、関連の分野では、このような基板は、ダイレクトボンド銅(DBC)基板または活性金属接合/ろう付け(AMB)基板と称される。さらに、適切な材料は、Manfred Goetz他による論文である、「Comparison of Silicon Nitride DBC and AMB Substrates for different applications in power electronics」、第57−65頁、PCIM Europe conference、Nuremberg、2013年5月14−16日(ベルリンのVDE Verlagにより出版)に記載がある。Goetz他によるこの論文は、参照により本明細書に組み入れられる。
【0045】
第1および第2の導電層112、113、122、および/または相互接続要素140、141は、これらに限定されないが、銅またはアルミニウムなどの金属で作られ得るが、それだけではなく、他の金属または他の導電性材料からも作られ得る。任意選択であるが、パターニングされた導電層112、113、122、および/または相互接続要素140、141が作られている材料は、前記層112、113、122と相互接続要素140、141とが、半導体パワーデバイス100から離れる方向へ熱が伝導することができる場所(たとえば、ヒートシンクへのインタフェース)に向かう熱の分散および伝導に寄与するような、優れた熱伝導体である。
【0046】
図1および
図2の例では、積層130の導電性トラック132は、スイッチング半導体素子115のゲートに電気的に結合されている。本発明の実施形態は、導電性トラック132のそのような使用に限定されることはない。別の実施形態では、半導体パワーデバイスはセンサを備えており、導電性トラックは、そのセンサに直接的または間接的に結合される。別の実施形態では、半導体パワーデバイスは、埋込ドライバ要素(ドライバ回路)を備えており、導電性トラックは、その埋込ドライバ要素に結合される。積層130の別の使用が、
図3のコンテキストで論じられる。
【0047】
図1および
図2の例では、積層130は、部分的に第2のパターニングされた導電層の上に、部分的に第2の表面の上に提供されている。他の実施形態では、積層130は、完全に第2のパターニングされた導電層の上に提供される。他の実施形態では、積層130は、部分的にまたは完全に第1のパターニングされた導電層の上に提供される。他の実施形態では、複数の積層が存在していて、それら複数の積層が、先に論じられた積層130と同じ性質を有する。これらの複数の積層は、相互から電気的に絶縁され得るのであって、たとえば、抵抗、コンデンサ、もしくはインダクタなどの電気素子を経由して、または、たとえば、相互接続構造の相互接続要素を経由して、相互に対して、直接的または間接的にも結合され得る。これら複数の積層のうちのいくつかは、部分的にまたは完全に第1のパターニングされた導電層112、113の上に提供され得るのであり、他の積層は、部分的にまたは完全に第2のパターニングされた導電層122の上に提供され得る。
【0048】
図3は、半導体パワーデバイス300の別の実施形態の断面図を概略的に提示している。半導体パワーデバイス300は、
図1および
図2の半導体パワーデバイス100と類似しており、誘電材料の追加的な層331と、追加的な導電性トラック332とを備える追加的な積層330を有する。半導体パワーデバイス300の一実施形態では、追加的な導電性トラックが、第1のパターニングされた導電層の導電性領域113のうちの1つに電気的に結合される。導電性領域113の特定の感知位置Lにおいて、電圧が感知されなければならない。この目的のために、追加的な導電性トラックは、特定の感知位置Lに近い導電性領域113に結合される。電気的結合は、誘電材料の追加的層331におけるスルーホールにおいて提供される導電性材料332を経由して、得られる。導電性材料332は、金属であり得るし、追加的導電性トラック332の材料と同じ材料であり得る。そのような材料の実施形態と、誘電材料の追加的な層331と追加的な導電性トラックとの特徴の実施形態とは、
図1および
図2のコンテキストで既に論じられた。追加的な積層330は、導電性領域113における電圧を感知するのに用いられるが、そのような追加的な積層330の実施形態は、この例だけに限定されない、ということに注意すべきである。追加的な積層330は、また、ソースまたはエミッタ電圧を感知するために、導電性領域112の上に提供され得る。追加的な積層330は、また、ドレインまたはコレクタ電圧を感知するために、導電性領域122の上に提供され得る。
【0049】
図4aは、第1の基板400の平面図を概略的に提示している。提示されている図は、見る者が第1のパターニングされた導電層412に向かう方向を見ているときの見る方向に従っている。第1の基板400は、第1のパターニングされた導電層412がその上に提供されているセラミック支持層410を備える。第1のパターニングされた導電層412は、銅の層である。3つの電源コネクタ402が第1のパターニングされた導電層412の導電性領域に結合される。第1のパターニングされた導電層412の導電性領域では、8個のトランジスタ415が提供されており、それらのゲート電極404とエミッタ電極403とが図示されている。第1のパターニングされた導電層412の上には、また、導電性トラック(その表面が
図4aに示されている)の(パターニングされた)積層430と、導電性トラックと第1のパターニングされた導電層412との間に配置された誘電層とが提供されている。
【0050】
図4bは、
図4aの第1の基板400がそれに対して取り付けられなければならない第2の基板450の平面図を、概略的に提示している。提示されている図は、見る者が第2のパターニングされた導電層422に向かう方向を見ているときの、見る方向に従っている。第2の基板450は、銅である第2のパターニングされた導電層422がその上に提供されているセラミック支持層420を備える。第2の基板450は、また、3つの電源コネクタ452を備え得るか、または、別の実施形態では、電源コネクタ452は不在である。任意選択の電源コネクタ452は、第2のパターニングされた導電層422に結合される。また、8つのトランジスタ465が、第2のパターニングされた導電層422の上に提供される。第2の基板450は、また、導電性トラック(その表面が
図4bに示されている)の(パターニングされた)積層480と、導電性トラックと第2のパターニングされた導電層422との間に配置された誘電層とを備える。
図4bでは、第2の基板450には、たとえば、銅製ボール440、441および一群の銅製ボール454である相互接続要素が、既に提供されている。銅製ボール440は、積層480の導電性トラックに電気的に結合されており、ゲート信号を、第1の基板400のトランジスタのうちの1つに提供するためのものである。他方で、銅製ボール441は、第2のパターニングされた導電層422のある領域に電気的に結合されており、第1の基板400のトランジスタの1つゲート信号を、第1の基板400のトランジスタのうちの1つのエミッタから電流を提供するまたは受け取るためのものである。第1の基板400が第2の基板450の上で組み立てられるときには、
図4aに図示されている表面は、
図4bに図示されている第2の基板450の表面に面する位置に、配置されなければならない。また、相互接続要素(たとえば、一群の銅製ボール454)のグループは、
図4aの8つのトランジスタ415に対して、直接的に対向するように配置される。
【0051】
図4cは、
図4aおよび4bそれぞれの第1の基板400と第2の基板450とを備えており組み立てられた半導体パワーデバイスの側面図を概略的に提示している。
図4aおよび4bでは、IVを用いて指示されている矢印が、描かれている。この矢印は、第1の基板400と第2の基板450とのどちらの側が
図4cに示されているのかを指示している。
図4cの底部では、組み立てられた半導体パワーデバイスの一部が、拡大されている。
図4cでは、セラミック支持層410と、第1のパターニングされた導電層412と、電源コネクタ402と、第2のパターニングされた導電層422と、セラミック支持層420と、トランジスタ465’および465’’と、相互接続要素440’および441’と、積層430とが、示されている。トランジスタ465’および465’’と、相互接続要素440’と、相互接続要素441’とは、
図4bの8つのトランジスタ465と、
図4bの相互接続要素440、441とに、それぞれ、類似している。拡大部分には、積層430が、導電性トラック432と、導電性トラック432と第2のパターニングされた導電層422との間に配置された誘電層431とを有することが示されている。拡大部分には、トランジスタ465’’のゲート接点404’も、示されている。相互接続要素440’は、ゲート接点404’と積層430の導電性トラック432との間の電気的接続を、形成する。
【0052】
図4aから4cでは、相互接続要素440、440’は、相互接続要素441、441’の非常に近くに配置されることが可能であり、よって、トランジスタ415、465、465’、465’’のゲート電極404は、同じトランジスタ415、465、465’、465’’のエミッタ403の近くに位置決めされ得る、および/または、いくつかの相互接続要素441、441’は、トランジスタ415、465、465’、465’’のエミッタとの間で電流を導通させるのに用いられることが可能である、ということを見ることができる。さらに、
図4aから4cでは、積層430と積層480とは半導体パワーデバイスの全体的厚さを増加させることはない、ということを見ることができるが、その理由は、対向するスイッチング半導体素子(たとえば、トランジスタ415、465、465’、465’’)への接続を形成するのに、わずかにより小さな銅製のボールが用いられ得るからである。
【0053】
図4a、4b、4c、および4cのコンテキストで論じられた要素の代替物とさらなる特徴の実施形態とは、
図1から3の図の記載において見いだされることが可能である。これらの要素の効果および利点は、
図1から3のコンテキストにおいても既に論じられてきた。
図4aから4cは、半導体パワーデバイスの一実施形態を提示するが、半導体パワーデバイスの実施形態は、
図4aから4cに提示されている詳細に限定されることはない。たとえば、トランジスタの個数は変動し得る。また、積層の第1のパターニングされた導電層と第2のパターニングされた導電層とのパターンは、異なり得る。また、半導体パワーデバイスは、低いおよび/もしくは中程度の電流信号を受け取るまたは提供するために、より少ないまたはより多い電源コネクタもしくは外部ピンを有することがあり得る。
【0054】
半導体パワーデバイスの上述した実施形態は、パッケージの中に提供されることがあり得る。複数の半導体パワーデバイスが、たとえば非常に高い電流をスイッチングするために、単一のパッケージの中に含まれることがあり得る。そのようなパッケージは、たとえば、電力を電気モータに供給するための1相のまたは3相のパワーインバータを形成し得る。このパッケージは、受動的なまたは能動的な冷却を、提供し得る。米国特許出願US2004/0207968は、特定の回路における半導体パワーデバイスとこのパッケージとの使用とに関するいくつかの詳細を論じている。特に、このパワーインバータが電気モータを駆動するのに用いられるときには、このようなパワーインバータに対する別の用語は、モータドライバである。
【0055】
図5は、半導体パワーデバイスを製造する方法500の一実施形態を、概略的に提示している。方法500は:i)段階502において、スイッチング半導体素子と第1のパターニングされた導電層とを備えた第1の基板を取得するステップであって、第1の基板は、第1のパターニングされた導電層がその上に提供されている第1の表面を有しており、スイッチング半導体素子が、第1のパターニングされた導電層の上に提供されている、第1の基板を取得するステップと、ii)段階504において、第2のパターニングされた導電層と第2の表面とを備えた第2の基板を取得するステップであって、第2のパターニングされた導電層は第2の表面の上に提供されている、第2の基板を取得するステップと、iii)段階506において、導電性トラックと誘電材料の層との積層を、少なくとも部分的に、第1のパターニングされた導電層の上にまたは第2のパターニングされた導電層の上に製造するステップであって、誘電材料の層が、導電性トラックを、積層がその上に製造されている前記パターニングされた導電層から絶縁する、積層を製造するステップと、iv)段階520において、導電性材料の相互接続要素を取得するステップと、v)段階522において、第1のパターニングされた導電層、スイッチング半導体素子の表面、導電性トラック、または第2のパターニングされた導電層のうちの1つの上に、相互接続要素を提供するステップと、vi)段階524において、第1の表面が第2の表面に面し、一方の側における第1のパターニングされた導電層、スイッチング半導体素子の表面または導電性トラックと、他方の側における第2のパターニングされた導電層または導電性トラックとの間に、少なくとも1つの電気的接続が取得されるように、第1の基板と対向するように第2の基板を組み立てるステップとのフローを備える。
【0056】
図5には、複数の段階が直線的な順序で提示されているが、方法500の実施形態は、そのような直線的な順序に制限されない。いくつかの段階が並列的に処理されることがあり得るし、または、それらが相互に依存しない限り、別の順序で処理されることがあり得る。たとえば、第2の基板が、第1の基板よりも前に取得される場合もあり得る。たとえば、積層が、少なくとも部分的には、第1のパターニングされた導電層の上に製造されなければならない場合には、第2の基板は、積層を製造した後にも、取得され得る。
【0057】
取得され、製造され、提供され、または組み立てられる、上述の方法500のいくつかの要素の実施形態が、上で論じられている。
【0058】
第1のパターニングされた導電層、スイッチング半導体素子の表面、導電性トラック、または第2のパターニングされた導電層のうちの1つの上に相互接続要素を提供することは、その相互接続要素を、それぞれの層または表面にハンダ付けすることを含み得る。段階524において第2の基板を第1の基板と対向するように組み立てることは、また、相互接続要素を、第1のパターニングされた導電層、スイッチング半導体素子の表面、導電性トラック、または第2のパターニングされた導電層のうちの1つにハンダ付けすることを含み得るのであって、たとえば第1の基板を第2の基板に固定して、第1の基板と第2の基板との間に要求されるギャップを保持するための他の作用を含み得る。
【0059】
任意選択であるが、段階506において導電性トラックと誘電材料の層との積層を製造するステップは:段階508において、第1のパターニングされた導電層または第2のパターニングされた導電層の上に、誘電材料のパターニングされた層を提供するステップと、段階514において、誘電材料のパターニングされた層の上に導電性トラックを提供するステップとを含む。任意選択であるが、提供された誘電材料の層は、導電性トラックと積層がその上に製造されているパターニングされた導電層との間で、20ボルトの最小絶縁破壊電圧を得るための最小の厚さで製造される。
【0060】
任意選択であるが、段階508において誘電材料のパターニングされた層を提供するステップは、段階510において、導電性トラックと誘電材料の層との積層がその上に製造されなければならない前記基板の第1の表面または第2の表面の上に、誘電材料のパターニングされていない層を提供するステップと、段階511において、誘電材料のパターニングされていない層の上にパターニングされたエッチング保護層を提供するステップと、段階512において、パターニングされたエッチング保護層が存在しない場所の誘電材料のパターニングされていない層をエッチングにより除去するステップと、段階513において、パターニングされたエッチング保護層を取り除くステップとを含む。このエッチングの技法は、誘電材料のパターニングされた層を製造する際に、コスト効率がよく、正確である。あるいは、印刷による方法が、用いられることもあり得る。
【0061】
任意選択であるが、段階514において、誘電材料のパターニングされた層の上に導電性トラックを提供するステップは、段階516において、誘電材料のパターニングされた層の上に焼結される材料を提供するステップであって、任意選択で、焼結される材料の提供がスクリーン印刷技術を用いて提供される、焼結される材料を提供するステップと、段階518において、導電性トラックを取得するために、誘電材料のパターニングされた層がその上に提供されているパターニングされた導電層を備える基板を焼結するステップとを含む。このような焼結の技法は、導電性トラックを製造する際に、コスト効率がよく、正確である。焼結される材料は、金属粒子(たとえば、銀粒子)および何らかの有機材料(たとえば、接合剤、分散剤、コーティング材料、その他)など、導電性材料の粒子を含む。あるいは、焼結される材料を、誘電材料のパターニングされた層の上に提供するために、他の印刷技法が用いられる。
【0062】
上述の実施形態は、本発明を限定するのではなく例証しており、当業者であれば多くの代替的な実施形態を設計することができるだろう、ということに注意すべきである。
【0063】
特許請求の範囲では、括弧の間に配置されたどの参照符号も、特許請求の範囲を限定するものとして解釈されてはならない。動詞「comprise(備える、含む)」とその変化形とは、ある請求項に記載されているもの以外の要素またはステップの存在を排除しない。要素に先立つ冠詞「a」または「an」は、そのような要素が複数個存在することを排除しない。本発明は、複数の別個の要素を備えたハードウェアによって、そして、適切にプログラムされたコンピュータによって、実装され得る。複数の手段を列挙しているデバイスの請求項では、これらの手段のうちのいくつかが、ハードウェアのうちの全く同一の項目によって具現化され得る。ある手段が相互に異なる従属請求項に記載されているという事実があるからと言って、それは、これらの手段の組合せを有利に用いることが不可能であることを意味しない。