【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の目的は、従来技術と比較して、車両への電力伝達を改善する方法を提供することである。この目的は、請求項1に記載の方法によって少なくとも部分的に達成される。
【0006】
本発明の第1の態様によれば、車両の道路に沿って個別に制御される充電セグメントから充電電流を受け取る充電ユニットを備えた、車両への電力伝達を制御する方法が提供される。この方法は、道路に沿った充電セグメントの充電電流モードを示す信号を受信するステップと、車両前方の少なくとも1つの充電セグメントが無効充電モードで提供されて現在充電電流を提供できないか否かを判定するステップと、無効充電モードで提供される充電セグメントに車両が到達するまでの時間を計算するステップと、計算された時間の所定時間内に車両への電力伝達を遮断するステップと、を含んでいる。
【0007】
「充電電流モード」という用語は、以下の説明全体を通して、充電セグメントの動作モード、即ち、充電電流を提供できるか否かを意味すると理解すべきである。従って、充電電流モードは、充電セグメントの位置に車両が到達したときに、充電セグメントが充電電流を車両に供給することができる「有効充電モード」か、充電セグメントの位置に車両が到達したときに、何らかの理由で、充電セグメントが充電電流を車両に供給することができない「無効充電モード」か、のいずれかである。充電電流モードの受信信号は、静的情報並びに動的情報の両方に関することができる。静的情報としては、例えば、先行車両の停止、充電セグメントの故障などに関するものとすることができる。動的情報としては、例えば、前方交通の減速などによって発生する状況に関するものとすることができる。従って、何らかの理由で、例えば、充電セグメントが故障していて、車両が到達したときに充電電流を供給できなければ、充電セグメントは「無効充電モード」で提供することができる。充電セグメントは、他の理由、例えば、充電セグメントにおける交通状況が、交通渋滞などによって、車両が比較的低速で走行したり停止したりしている場合、そのような状況では、例えば、人が道路を歩いて誤って充電セグメントに触れるリスクが増大する可能性があるので、「無効充電モード」で提供することができる。
【0008】
車両への電力伝達とは、車両のバッテリ又は任意の他のエネルギー貯蔵装置が、充電ユニット及び道路の充電セグメントによって充電されることを意味すると理解すべきである。車両は、以下でさらに説明するように、導電的に(conductively)充電されたり、電磁誘導で(inductively)充電されたりしてもよい。「車両への電力伝達」という用語はまた、充電セグメントから車両へと電流が供給されて、車両を直接推進することを含むと理解すべきである。理解を容易にするため、以下では主に、車両を充電することに関して、車両への電力伝達を説明する。従って、車両を推進及び車両のエネルギー貯蔵装置を充電するための両方、又は、その代わりに、充電若しくは車両を推進するためだけに、電流を伝達することができる。
【0009】
道路に沿った充電セグメントの充電電流モードを示す信号は、道路に沿って「無効充電モード」で提供される充電セグメントを含んだ、各充電セグメントから無線通信で送信することができ、例えば、車両のコントロールユニットによって受信することができる。当業者に知られている任意の好適な技術として、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi、3G/4G、レーザー信号、超音波信号などの無線通信を使用することができる。また、本発明は、各充電セグメントが車両に信号を直接送信する状況に限らず、充電セグメントは、同様に、各充電セグメントの情報を含む信号を分析して車両に信号を無線で送信する中央コントロールユニットへと、無線又は有線のいずれかで信号を提供してもよい。他の代替例ももちろん考えられ、例えば、道路の連続する充電セグメント間の連鎖(chain)として、車両のコントルールユニットが信号を受信するまで、信号を送信することができる。
【0010】
さらに、「車両への電力伝達を遮断」という用語は、例えば、道路の充電セグメントからの充電電流を受け取ることを車両の充電ユニットが中止する前に、車両のエネルギー貯蔵装置の充電が遮断されたことを意味すると理解すべきである。道路の充電セグメントから車両が充電電流を導電的に受け取る場合、充電ユニットが地面の上方に上昇される前、即ち、充電ユニット及び充電セグメントが相互に接触しなくなる前に、車両の充電が遮断される。従って、車両のコントロールユニットは、充電ユニットが道路の帯電している充電セグメントと接触しているにもかかわらず充電を遮断する。
【0011】
制御された自動的な電力伝達の遮断、例えば、無効充電モードで提供される充電セグメントからの最適距離での充電を車両が計画して実行することができるという利点がある。従って、充電セグメントを有する道路を走行しているとき、充電を増やす略最大時間の間、車両は充電することができる。また、車両の充電を制御可能に遮断することは、車両が無効な充電セグメントに到達したとき、車両が充電しようとし続ける場合に起こり得る充電の予期せぬ切断に関して有益である。そのような充電の予期せぬ切断は、充電ユニットと無効な充電セグメントの間でアーク放電を受けるリスクを増加させる可能性があるので、電気的な問題のリスクを増大させてしまう。車両のオペレータの能力/経験に依存しない、自動システムが提供されるというさらなる利点がある。このため、車両のオペレータは、車両の充電を中止するタイミングを能動的に制御する必要はない。従って、オペレータは、その代わりに、現在の交通状況に集中することができる。
【0012】
例示的な実施形態によれば、この方法は、無効充電モードで提供される充電セグメントに車両が到達するまでの時間を連続的に計算することができる。
【0013】
これによって、無効充電モードで提供される充電セグメントに到達するまでの時間の最新情報を車両が受け取ることができる。この時間は、例えば、車速が低下して無効充電モードで提供される充電セグメントに到達するまでの時間が長くなると、車両が長くなった時間だけ充電できる車速変化によって変化することができる。また、以下で説明するように、充電セグメントが無効充電モードから有効充電モードへと変化した場合、車両が充電を遮断しないと決定できることに利点がある。
【0014】
例示的な実施形態によれば、この方法は、無効充電モードで提供される充電セグメントの少なくとも1つについて、充電電流モードの変化を示す信号を受信するステップと、車両前方の少なくとも1つの充電セグメントが無効充電モードから有効充電モードへと変化したか否かを判定するステップと、車両前方の他の充電セグメントの1つが無効充電モードで提供されるか否かを判定するステップと、無効充電モードで提供される充電セグメントに車両が到達するまでの時間を再計算するステップと、を含むことができる。
【0015】
「無効充電モードから有効充電モードへの変化」という用語は、車両に充電電流を供給できないと以前判定された充電セグメントが、充電電流を供給できると判定されたことを意味すると理解すべきである。これによって、有効な充電セグメントに到達したとき、車両の充電を遮断する必要はない。充電セグメントは、無効充電モードで提供される充電セグメントにおいて従前の交通渋滞が解消されて、有効充電モードで充電セグメントが提供される交通状況に基づいて、無効充電モードから有効充電モードへと変化することができる。
【0016】
従って、車両は、車両前方の充電セグメントの充電電流モードの更新情報を連続的に受信して、車両の充電を遮断するまでの時間を更新するという利点がある。従って、無効充電モードで提供される充電セグメントに車両が到達するまでの時間を再計算するステップは、車両の充電を遮断するステップの前に実行される。
【0017】
例示的な実施形態によれば、この方法は、無効充電モードで提供される車両前方の複数の充電セグメントを示す信号を受信するステップと、無効充電モードで提供される複数の充電セグメントに車両が到達したと判定されたときに車両の充電状態を判定するステップと、判定された充電状態で車両を推進することができる距離を計算するステップと、無効充電モードで提供される複数の充電セグメントの累積距離が計算された距離より長ければ、車両の代替的な充電方法を示す信号を提供するステップと、を含むことができる。
【0018】
これによって、有効充電モードで提供される充電セグメントに到達するまで、車両の現在の充電レベルでは車両を推進できないと判定された場合、車両の代替的な充電方法が提案される。従って、道路のあまりにも多い充電セグメントが無効充電モードで提供されていても、車両のエネルギー貯蔵装置は、車両を推進できるように代替的な充電を必要とすることができる。このため、充電状態は、例えば、車両のエネルギー貯蔵装置の充電レベルとして理解すべきである。
【0019】
例示的な実施形態によれば、この方法は、道路の最後に来る充電セグメントから信号を受信するステップと、道路の最後に来る充電セグメントの先端部に車両が到達する前の所定時間内に車両への電力伝達を遮断するステップと、を含むことができる。
【0020】
これによって、車両への電力伝達は、充電セグメントが設けられた道路に到達する前の短い時間で遮断される。従って、最後に来る充電セグメントの先端部は、車両の走行方向で見て、最後の来る充電セグメントの長手方向の最終部分であることを意味すると理解すべきである。
【0021】
例示的な実施形態によれば、この方法は、無効充電モードで提供される充電セグメントに車両が到達するまでの計算された時間が、所定の臨界時間(critical time period)内にあると判定されると、車両への電力伝達の遮断を早めるステップを含むことができる。これによって、地面の上方に充電ユニットを上昇させることによって、電力伝達を遮断することができる。従って、充電電流は、早められた遮断によって充電が遮断されたとき、充電セグメントと車両の充電ユニットとの間に依然として充電電流を提供することができる。
【0022】
例示的な実施形態によれば、充電ユニットは、道路に沿った個別に制御される充電セグメントから誘電充電電流(conductive charge current)を受け取ることができる。
【0023】
これによって、充電ユニットは、車両の下方に配置され、充電が所望されるときに道路に向かって制御可能に誘導されることができる。同様に、上述したように、充電ユニットは、所望されれば地面の上方に制御可能に上昇させることができる。通常の動作中、上述した充電の遮断は、充電ユニットを地面から上昇させることによって行われない。むしろ、充電の遮断は、例えば、充電ユニットが地面の上方に上昇する前に、車両のエネルギー貯蔵装置の充電を制御可能にオフすることによって行われる。
【0024】
充電ユニットのさらなる詳細は、本発明の第5の態様に関して以下で説明する。
【0025】
本発明の第2の態様によれば、車両の道路に沿った個別に制御される充電セグメントから充電電流を受け取るように構成された充電ユニットを備えた、車両への電力伝達を制御するように構成されたコントロールユニットが提供される。このコントロールユニットは、道路に沿った充電セグメントの充電電流モードを示す信号を受信し、車両前方の少なくとも1つの充電セグメントが無効充電モードで提供されて現在充電電流を供給できないか否かを判定し、無効充電モードで提供される充電セグメントに車両が到達するまでの時間を計算し、車両の充電システムに制御信号を送信して計算された時間の所定時間内に車両への電力伝達を遮断するように構成されている。
【0026】
第2の態様の効果及び特徴は、第1の態様に関して上述したものと大部分類似している。
【0027】
本発明の第3の態様によれば、プログラムがコンピュータで実行されたときに、第1の態様に関する上述の任意のステップを実行する、プログラムコード手段を含んだコンピュータプログラムが提供される。
【0028】
本発明の第4の態様によれば、プログラム製品がコンピュータで実行されたときに、第1の態様に関する上述の任意のステップを実行する、プログラム手段を含んだコンピュータプログラムを保持するコンピュータ可読媒体が提供される。
【0029】
第3の態様及び第4の態様の効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関して上述したものと大部分類似している。
【0030】
本発明の第5の態様によれば、道路に沿った個別に制御される充電セグメントから電流を受け取るように構成された充電ユニットを備えた車両であって、本発明の第2の態様の上記説明に記載されたコントロールユニットを備えた車両が提供される。電流は、好ましくは、充電電流である。
【0031】
例示的な実施形態によれば、充電ユニットは、道路に沿った個々に制御される充電セグメントから電流を導電的に受け取るように構成することができる。車両のエネルギー貯蔵装置の導電充電は、部品重量が比較的小さく、充電ユニットと道路の充電セグメントとの間の電気的な使用効率が比較的高いので有益である。
【0032】
例示的な実施形態によれば、充電ユニットは、道路に沿った充電セグメントに向かって制御可能に誘導されるように配置することができる。
【0033】
例示的な実施形態によれば、充電ユニットは、車両のはしご型フレームの下方に配置され、道路の地面に配置された充電セグメントに向かって制御可能に誘導されるように構成することができる。これによって、車両は、地面に配置された充電セグメントから充電電流を受け取る。しかしながら、充電セグメントは、例えば、道路のガードレールに配置できることを理解するべきである。そのような状況では、充電ユニットは、好ましくは、車両の側面に配置されている。もちろん、他の代替例も考えられる。
【0034】
第5の態様のさらなる効果及び特徴は、本発明の第1の態様に関して上述したものと大部分類似している。
【0035】
本発明のさらなる特徴及び利点は、添付の特許請求の範囲及び以下の説明を検討すれば明確になるであろう。当業者であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の異なる特徴を組み合わせることで、以下に説明するもの以外の実施形態を生み出すことができることを理解されたい。