特許第6697553号(P6697553)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6697553
(24)【登録日】2020年4月28日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】スプレー工具電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/053 20060101AFI20200511BHJP
   B05B 5/025 20060101ALI20200511BHJP
   H02P 9/00 20060101ALI20200511BHJP
   H02P 101/15 20150101ALN20200511BHJP
【FI】
   B05B5/053
   B05B5/025 B
   B05B5/025 A
   H02P9/00 F
   H02P101:15
【請求項の数】25
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2018-528325(P2018-528325)
(86)(22)【出願日】2016年11月30日
(65)【公表番号】特表2019-500206(P2019-500206A)
(43)【公表日】2019年1月10日
(86)【国際出願番号】US2016064278
(87)【国際公開番号】WO2017095963
(87)【国際公開日】20170608
【審査請求日】2018年7月30日
(31)【優先権主張番号】62/261,728
(32)【優先日】2015年12月1日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/364,197
(32)【優先日】2016年11月29日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515198670
【氏名又は名称】カーライル フルイド テクノロジーズ,インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ ポール バルツ
(72)【発明者】
【氏名】テート ラッセル スワンソン
【審査官】 塩屋 雅弘
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−011329(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0277463(US,A1)
【文献】 国際公開第2015/126789(WO,A1)
【文献】 特表2015−516294(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05B 1/00−3/18
5/025
5/053
7/00−9/08
H02P 9/00
101/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプレーを静電帯電させるために電力を生成するように構成されたタービン発電機と、
該タービン発電機からの前記電力を監視し、1つ以上のセンサから受信したフィードバックに基づいて前記タービン発電機への気体流を変動させるように気体供給装置に命令するように構成されたコントローラと、
前記タービン発電機からの前記電力を静電スプレー工具の少なくとも1つの電気構成要素に対してワイヤレスで伝送するように構成された誘導充電システムと、
を含む静電スプレー工具を含む、システム。
【請求項2】
前記タービン発電機を有する電力モジュールを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記電力モジュールが前記コントローラおよびユーザーインターフェースを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記電力モジュールが電力貯蔵ユニットを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項5】
前記誘導充電システムによって、前記電力貯蔵ユニットをワイヤレス充電するように構成された充電用ユニットを含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
タービン発電機が、前記電力貯蔵ユニット内に貯蔵された電力を用いてモータ駆動式ファンとして選択的に動作するように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項7】
前記電力モジュールが前記静電スプレー工具に対して取外し可能な形で結合されている、請求項2に記載のシステム。
【請求項8】
前記電力モジュールが、静電スプレー工具のハンドルに前記電力モジュールを取外し可能な形で組付けるように構成されたハンドルマウントを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記電力モジュールが、前記静電スプレー工具のバレルに対して前記電力モジュールを取外し可能な形で組付けるように構成されたバレルマウントを含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記コントローラが、電流制御モードまたは電圧制御モードで前記静電スプレー工具を選択的に動作させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記コントローラが、液体スプレーモードまたは粉末スプレーモードで前記静電スプレー工具を選択的に動作させるように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記静電スプレー工具が、前記スプレーを静電帯電させるために前記タービン発電機から前記電力を受電するように構成されたカスケード電圧増倍器を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
スプレー工具を支援するように構成されたスプレー工具支援モジュールを含むシステムにおいて、前記スプレー工具支援モジュールが、
複数の巻線を有するモータ発電機を含む回転子−固定子アセンブリに結合された複数のブレードを含む電力供給装置と、
前記電力供給装置に結合されたコントローラであって、タービン発電機モードまたはモータ駆動式ファンモード、電流制御モードまたは電圧制御モード、液体スプレーモードまたは粉末スプレーモード、センサーフィードバック制御モードまたは手動制御モードまたはこれらの組合せで電力供給装置を作させるように構成されているコントローラと、
を含むシステム。
【請求項14】
前記コントローラが、電流制御モードまたは電圧制御モードで前記電力供給装置を作させるように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記コントローラが、液体スプレーモードまたは粉末スプレーモードで前記電力供給装置を作させるように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記コントローラが、前記センサーフィードバック制御モードまたは手動制御モードで前記電力供給装置を作させるように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記コントローラが、前記タービン発電機モードまたは前記モータ駆動式ファンモードで前記電力供給装置を選択的に動作させるように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記スプレー工具支援モジュールが電力貯蔵ユニットを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記スプレー工具支援モジュールがユーザーインターフェースを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項20】
前記スプレー工具支援モジュールが、前記スプレー工具に結合するように構成された流体出力および電力出力を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項21】
前記コントローラが前記スプレー工具の静電スプレープロセスを制御するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項22】
前記コントローラが、スプレー工具支援モジュールにより生成された電力を監視し、1つ以上のセンサから受信したフィードバックに基づいて前記スプレー工具支援モジュールに対する流体流を変動させるよう流体供給装置に命令するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項23】
前記スプレー工具を含み、前記スプレー工具が粉末スプレー工具を含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項24】
流体流および粉末流を受入れるように構成された粉末スプレー工具であって、粉末スプレーを出力するように構成されている、粉末スプレー工具と、
前記流体流を介して電力を生成するように構成されたタービン発電機であって、流体駆動式タービンに対して駆動結合された発電機であるタービン発電機と、
前記タービン発電機に結合されたコントローラであって、タービン発電機モードまたはモータ駆動式ファンモードで前記タービン発電機を動作させるように構成されているコントローラと、
を含むシステム。
【請求項25】
前記コントローラが、電流制御モードまたは電圧制御モードで前記タービン発電機を作させるように構成されている、請求項24に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照により全体が本明細書に組込まれている、2015年12月1日出願の「スプレー工具電力供給システムおよび方法」という名称の米国仮特許出願第62/261,728号に対する優先権およびその利益を主張するものである。
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により全体が本明細書に組込まれている、2015年12月1日出願の「スプレー工具電力供給システムおよび方法」という名称の米国仮特許出願第62/261,728号に対する優先権およびその利益を主張するものである。
【背景技術】
【0002】
静電スプレー工具などのスプレー工具は、自動車両などの標的物体上にコーティング材料をスプレーするために使用可能である。静電気は、標的物体上へのスプレーの移送効率を増大する一助となる。残念なことに、静電スプレー工具が使用する電気は電力コードを通して送出され得、これにより、静電スプレー工具の移動性は制限され、配電網などの局所電力源が必要になる。その上、スプレー工具上に追加の重量が加わることで、移動性が削減され、スプレー工具を取扱う上での快適性も低減し、同様にスプレーコーティングの品質の低下がひき起こされる可能性もある。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態において、システムは、スプレーを静電帯電させるために電力を生成するように構成されたタービン発電機を有する静電スプレー工具を含むことができる。スプレー工具は同様に、タービン発電機由来の電力を監視し、1つ以上のセンサから受信したフィードバックに基づいてタービン発電機への気体流を変動させるように気体供給装置に命令するように構成されたコントローラも含んでいてよい。
【0004】
一実施形態において、システムは、スプレー工具を支援するように構成されたスプレー工具支援モジュールを含み得る。スプレー工具支援モジュールは、複数の巻線を有する回転子−固定子アセンブリに結合された複数のブレードを含み得る。スプレー工具支援モジュールは同様に、タービン発電機に結合されたコントローラを含むこともでき、ここでコントローラは、タービン発電機モードまたはモータ駆動式ファンモード、電流制御モードまたは電圧制御モード、液体スプレーモードまたは粉末スプレーモード、センサーフィードバック制御モードまたは手動制御モードまたはこれらの組合せで電力供給装置を選択的に動作させるように構成されている。
【0005】
一実施形態において、システムは、流体流および粉末流を受入れるように構成された粉末スプレー工具であって、粉末スプレーを出力するように構成されている、粉末スプレー工具を含むことができる。システムは同様に、流体流を介して電力を生成するように構成されたタービン発電機であって、流体駆動式タービンに対して駆動結合された発電機を含み得る。
【0006】
本開示のこれらのおよび他の特徴、態様および利点は、添付図面を参照して以下の詳細な説明を読んだ時点で、より良く理解されることになる。なお図面全体を通して、類似の文字は類似の部品を表わしている。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】スプレー工具支援モジュール(例えば電力モジュール)を有する静電スプレー工具の一実施形態のブロック図である。
図2】タービン発電機を有する静電スプレー工具の一実施形態の概略図である。
図3】スプレー工具支援モジュール(例えば電力モジュール)を有する静電スプレー工具の一実施形態の概略図である。
図4図2のタービン発電機を有する図3の電力モジュールの一実施形態の概略図である。
図5図2のタービン発電機のタービンの一実施形態の概略的前面図である。
図6図2のタービン発電機の一実施形態の概略的側面図である。
図7】ハンドルに結合されたスプレー工具支援モジュール(例えば電力モジュール)を有する静電スプレー工具の一実施形態の概略図である。
図8】バレルに結合されたスプレー工具支援モジュール(例えば電力モジュール)を有する静電スプレー工具の一実施形態の概略図である。
図9】誘導充電システムの一実施形態のブロック図である。
図10】タービン制御システムの一実施形態のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の1つ以上の具体的実施形態について、以下で説明する。これらの実施形態の簡潔な説明を提供する目的で、本明細書中には、実際の実装の全ての特徴が説明されない可能性がある。あらゆるエンジニアリングまたは設計プロジェクトの場合と同様、このような実際の実装の開発においては、実装毎に変動し得るシステム関連およびビジネス関連の制約に対する適合性などの開発者の特定の最終目的を達成するために、多くの実施ー特別の決断を下さなければならない。その上、このような努力は、複雑で時間のかかるものである可能性があるものの、それでも本開示の利益を受ける当業者にとって設計、組み立ておよび製造についての日常的仕事であると考えられる、ということを認識すべきである。
【0009】
本開示のさまざまな実施形態の要素を紹介する場合、冠詞「一つ」および「前記」は、1つ以上のその要素が存在することを意味するように意図されている。「〜を備える」、「〜を含む)」および「〜を有する」なる用語は、包含的であり、列挙された要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味するように意図されている。動作パラメータおよび/または環境条件の例はいずれも、開示される実施形態の他のパラメータ/条件を除外するものではない。
【0010】
本開示の実施形態は、静電スプレー工具システムの構成要素に電力を供給するように構成されたタービン発電機(タービン駆動式発電機)を有する静電スプレー工具システムを含む。例えば一実施形態においては、気体供給装置が気体(例えば空気)をタービン発電機に導き、これにより、電力を生成するため発電機に結合されたタービンの回転が誘発される。タービン発電機は、タービン発電機によって生成された電力を受電する静電スプレー工具システム内のさまざまな電子構成要素に結合されてよい。一実施形態において、タービン発電機は、独立型電力モジュール、スプレー機器に固定的に結合されているかまたはスプレー機器とモノブロックである統合型電力モジュール、取外し可能な電力モジュール、またはそれらの任意の組合せであり得る電力モジュール(例えばタービン発電機電力モジュール)の内部に位置付けされてよい。電力モジュールは、例えばハンドル、本体、バレル、流体連結器、流体導管、重力送りスプレーカップ、サイフォンカップ、またはその任意の組合せに対して取外し可能な形でまたは固定的に結合する静電スプレー工具(例えばスプレーガン)に取外し可能な形でまたは固定的に結合するように構成されてよい。電力モジュールは、同様に、ベルト、カバーオール、ズボン、シャツ、ジャケット、ベスト、ショルダーストラップ、バックパック、ファニーパック、腕章、安全帽またはその任意の組合せなどの、ユーザウェアラブルマウントまたは衣類に対して取外し可能な形でまたは固定的に結合されてよい。ウェアラブルマウントには、ベルクロ(登録商標)カップリング、フックおよびループカップリング、スナップカップリング、磁気カップリング、ボタンまたはその任意の組合せを含み得る、取外し可能なマウントまたはストラップが含まれていてよい。電力モジュールは同様に、例えばエアコンプレッサ、圧縮空気タンク、圧縮空気導管、工具箱、スプレー室、スプレー工具を有するロボットアームまたはアセンブリ、または他のスプレー支援機器などの他の工具または機器に対して取外し可能な形でまたは固定的に結合されてもよい。電力モジュールは、スプレー工具の移動性、制御および性能の改善を助けるためのさまざまな特徴部を含むことができる。例えば、電力モジュールは、重量削減特徴部、例えば軽量プラスチックまたは複合材料(例えば炭素繊維複合材)で作られたタービンブレードおよび他の構成要素などを含むことができる。電力モジュールは同様に、制御システム(例えばプロセッサおよびメモリを有するコントローラ)、通信回路(例えば無線通信回路)、センサ(例えば流量センサ、電圧センサ、電流センサ、近接センサなど)またはその任意の組合せを含むかまたはそれらと結合することもできる。いくつかの実施形態において、制御システムは、(例えばセンサを介して)タービン発電機の出力(例えば電流および電圧)を監視し、センサからのフィードバックに基づいて付随する機器(例えば気体供給装置、電子構成要素)を調整するように構成されてよい。例えば制御システムは、カスケード増倍器が追加の電力を使用し得ることを決定することができ、したがって制御システムは、タービン発電機に対する気体供給を増大させてタービン発電機からのより大量の発電を可能にするよう気体供給装置のコンプレッサに対して信号を送ることができる。したがって、制御システムは静電スプレー工具システムを監視し、タービン発電機からの電力出力を連続的に調整することができる。
【0011】
ここで図面に目を向けると、図1は、物体16を少なくとも部分的にコーティングするために静電帯電したスプレー14(例えば液体、粉末、液体/粉末混合物)を適用するように構成されたスプレー発生器12を含む静電スプレー工具システム10の一実施形態である。静電帯電したスプレー14は、液体コーティング材料または粉末コーティング材料(例えば塗料)などの、静電噴霧に好適な任意の物質であり得る。さらに、スプレー発生器12は、コーティング調製システム18を含む。図1にさらに例示されるように、静電スプレーシステム10は気体供給装置20(例えば空気供給装置)、材料供給装置22およびスプレー工具支援モジュール24(例えば電力モジュール24)を含む。電力モジュール24は、電力供給装置26を含む。一実施形態において、電力供給装置26は、気体供給装置20による補給を受けるタービン発電機62(例えばタービン駆動式発電機)を含む。気体供給装置20は、気体導管29を介してスプレー発生器12に結合された気体出力28を有する。同様にして、材料供給装置22は、材料導管31を介してスプレー発生器12に結合された材料出力30を有する。一実施形態において、コーティング調製システム18は、材料供給装置22からの粉末を捕捉して材料スプレーを生成するために気体供給装置20からの気体を使用する粉末混合システムを含んでいる。しかしながら、いくつかの実施形態において、コーティング調製システム18は、材料供給装置22からの材料を霧化して材料スプレーを生成するために気体供給装置20からの気体を使用する霧化システムを含むことができる。例えば霧化システム18は、材料システムに向かって気体噴流を適用し、こうして材料の流れを材料スプレーへと粉砕または霧化することができる。一実施形態において、コーティング調製システム18は、回転アトマイザ(例えば回転ベルカップアトマイザ)、空気圧アトマイザ、エアレスまたは油圧アトマイザ、ノズルまたは別の好適なアトマイザを含むことができる。さらに、気体供給装置20は、窒素、二酸化炭素、空気、別の好適な気体またはその任意の組合せを供給し得る内部または外部気体供給装置であり得る。例えば、気体供給装置20は、静電スプレー工具システムの上または内部に直接組付けられる加圧気体カートリッジ(例えばCO2カートリッジ)であってよく、あるいは、気体供給装置20は、別個の加圧気体タンクまたは気体コンプレッサ(例えばエアコンプレッサ)であり得る。一実施形態において、材料供給装置22は、内部または外部材料供給装置を含んでいてよい。例えば、材料供給装置22は、重力送り容器またはカップ、サイフォン送り容器またはカップ、または加圧材料容器またはタンクを含むことができる。重力送り容器は、スプレー工具システム10の最上部に(例えば入力ポートにおいて)結合され得、こうして材料は容器からスプレー工具システム10内へ重力を介して流れることになる。サイフォン送り容器は、スプレー工具システム10の底部に結合されてよく、こうして、スプレー工具システム10を通して気体流(例えば空気)を用いて容器から材料が吸い上げられるかまたは吸引されることになる。さらに、材料供給装置22は、液体コーティング材料(例えば塗料、ステイン、プライマ、クリアコートなど)、水、粉末コーティング、化学薬品、殺生物剤(例えば殺虫剤および/または農薬)、殺菌剤、薬剤または静電スプレーコーティング用の任意の他の好適な材料を保持し格納するように構成され得る。
【0012】
図1にさらに例示されるように、静電スプレー工具システム10は、電源電圧40、カスケード電圧増倍器42および増倍された電力44を含む。一実施形態において、電力供給装置26は、交流電流として電源電圧40を供給し得る。電力供給装置26は、カスケード電圧増倍器42に対して電源電圧40を供給し、このカスケード電圧増倍器は、流体(例えば液体、気体、固体またはそれらの組合せ)を静電帯電させるのに好適な何らかの電圧(例えば増倍された電力44)を生成する。例えば、カスケード電圧増倍器42は、スプレー発生器12に対しおおよそ25kV〜85kVまたはそれ以上の電圧で、増倍された電力44を印加することができる。例えば、増倍された電力44は、少なくともおおよそ25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100kV以上であり得る。ここで分かるように、カスケード電圧増倍器42はダイオードおよびコンデンサを含むことができ、一実施形態においては、カスケード電圧増倍器42は取外し可能であり得る。一実施形態において、カスケード電圧増倍器42は同様に、スプレー発生器12に印加される電源電圧40を正電圧と負電圧の間で切換えるように構成されたスイッチング回路を含むこともできる。さらに、スプレー発生器12は、材料供給装置22から受取った材料を帯電させるために増倍された電力44を受電する。増倍された電力44内の電流は低く、およそ10〜100マイクロアンペア程度であり得、したがって電荷は本質的にDC静電荷である。コーティングすべき物体16の上に、反対の電荷を作り出すこともできる。
【0013】
同様に図1に例示されているように、静電スプレー工具システム10はさらにモニターシステム46と制御システム48を含み、これらのシステムの各々は、電力供給装置26により電力供給され得る1つ以上の電子構成要素を有し得る。モニターシステム46および制御システム48は、別個にまたは合同で、プロセッサ、メモリおよび以下で詳述するさまざまなモニターおよび制御機能を実施するためにメモリ上に記憶されプロセッサにより実行可能であるソフトウェアコードまたは命令を含み得る。モニターシステム46は、さまざまな動作パラメータおよび条件を監視するためにカスケード電圧増倍器42およびスプレー発生器12に結合され得る。例えば、モニターシステム46は、電源電圧40の電圧出力を監視するように構成されてよい。同様にして、モニターシステム46は、カスケード電圧増倍器42により出力される増倍された電力44を監視するように構成され得る。その上、一実施形態においては、モニターシステム46を用いて、スプレー発生器12および/またはコーティング調製システム18の動作モードを監視することができる。例えば、モニターシステム46は、スプレー発生器12のカスケードが電圧制御モードまたは電流制御モードのいずれで動作しているかを決定することができる。さらに、モニターシステム46は、静電帯電したスプレー14の電圧を監視するように構成されてよい。いくつかの実施形態において、モニターは、静電スプレー工具の配向を検出する能力を有する加速度計を含むことができる。その上、モニターシステム46は、トリガ位置、ハンドル上のユーザのグリップ、材料の流れ、スプレー工具の配向(例えばデバイスが使用されていない側にある)、またはユーザが静電スプレーシステムを用いて噴霧していないことの標示であり得る他の任意の因子など、静電スプレーシステム10が動作中であるか否かを標示する他のさまざまなインジケータを監視することができる。
【0014】
制御システム48は同様に、モニターシステム46に結合され得る。一実施形態において、制御システム48は、ユーザがモニターシステム46によって収集された情報に基づいてさまざまな設定値および動作パラメータを調整できるようにするべく構成されていてよい。具体的には、ユーザは、制御システム48に結合されたユーザーインターフェース50を用いて、設定値またはパラメータを調整することができる。例えば、制御システム48は、電圧制御モードまたは電流制御モード、粉末スプレーモードまたは液体スプレーモード、材料特異的制御モード(例えば、ポリマー、シリコーン、セラミック、塗料など)、標的物体制御モード(例えば自動車、医療、工業、消費者製品など)、フィードバック制御モード(例えば電流、電圧、スプレー液滴サイズ、スプレー移送効率、標的物体までの距離、環境条件(例えば温度、湿度など)に基づく自動調整)、またはそれらの任意の組合せなどの複数の動作モードの中からユーザが選択できるようにするべく構成されていてよい。制御システム48は、ディスプレイ(例えばタッチスクリーンディスプレイ)、ボタン、ダイアル、ノブ、スイッチ、表示灯またはその任意の組合せなど、入力および出力を有するユーザーインターフェース50を含むことができる。ユーザーインターフェース50は、例えば、電源スイッチ、スタートボタン、動作調整器(電圧、電流、気体流または気体圧力)、モードセレクタ、動作ディスプレイ(例えば電圧、電流、気体流又は気体圧力)またはその任意の組合せを含むことができる。例えば、動作調整器、例えば電圧調整器、電流調整器、および気体調整器(例えば気体流および/または空気圧力調整器)などは、電圧、電流、気体流量および気体圧力の増分的または連続的調整を有し得る。一実施形態において、制御システム48(ユーザーインターフェース50を含む)は、電力モジュール24、静電スプレーシステム10またはその組合せに対して取外し可能な形でまたは固定的に結合されるか、それらと統合されるかまたはそれらの一部を成すことができる。一実施形態において、制御システム48および電力モジュール24は、別個であるものの互いに通信可能な形で結合されていてよく、例えば静電スプレーシステム10に対して取外し可能な形でまたは固定的に結合された別個の構成要素であり得る。制御システム50は同様に、無線周波数(RF)通信回路、Bluetooth(登録商標)通信回路または他の任意の好適な通信回路などの有線通信回路および無線通信回路を含むことができる。制御システム50の通信回路は、静電スプレーシステム10および/または電力供給24が互いの間でおよびエアコンプレッサ、材料供給装置タンク、スプレー室10内の他の静電スプレーシステム、またはその任意の組合せなどの他のスプレー機器との間でセンサデータおよび制御信号を交換できるようにし得る。
【0015】
図2は、静電スプレー工具60(例えば液体および/または粉末スプレー工具、例えばスプレーガン)を例示する図1の静電スプレー工具システム10の一実施形態の略図である。静電スプレー工具60は、スプレー発生器12、材料供給装置22(例えば液体コーティング材料、粉末コーティング材料など)、電源電圧40、および材料出力30を有する。例示された実施形態内の材料供給装置22は、静電スプレー工具60の下側に入るが、例えば重力送り容器、材料供給装置に結合された材料ポンプ、サイフォンカップ、加圧材料タンク、加圧材料ボトルまたは他の任意の好適なタイプの材料供給装置システムによるなど、任意の好適な方法で静電スプレー工具60に入るように構成されていてよい。その上、材料供給装置22は、携帯式であるかまたは固定された場所にあるように構成されていてよい。さらに、静電スプレー工具60は、静電帯電したスプレー14を作り出すように構成されている。
【0016】
図2中でさらに例示されるように、電力モジュール24の電力供給装置26を介して電源電圧40として静電スプレー工具60に対し電力が提供される。上述のように、例示された実施形態において、電力供給装置26は、気体出力28由来の気体流の少なくとも一部分からの運動エネルギーを電気に変換するように構成されたタービン発電機62(例えば流体駆動形タービン発電機)を含む。図示されるように、タービン発電機62は、シャフト66を介してタービンブレード65の1つ以上の段(例えばタービンブレードの第1、第2および第3段)を有する流体駆動形タービン64に対して駆動結合された発電機63を含む。タービンブレード65は、導管29からの流体流(例えば気体流または出力28)に応答して回転軸61を中心にして回転して、発電機63が回転し電気(例えば電源電圧40)を生成するように駆動するべく構成されている。気体出力28由来の気体流は、空気、不活性気体(例えば窒素)、二酸化炭素またはその任意の組合せを含むことができる。電源電圧40は、静電スプレー工具60のさまざまな構成要素に電力を提供するために使用され得る。例示された実施形態において、電力供給装置26は同様に、電力貯蔵ユニット67とコントローラ68とを含むこともできる。電力貯蔵ユニット67は、1つ以上のコンデンサ、充電式バッテリまたはその任意の組合せを含むことができる。電力貯蔵ユニット67は、タービン発電機62に対し電気的に結合され、例えばタービン発電機62を通して気体流を使用しない動作期間中など、後で静電スプレー工具60が使用するために電気を貯蔵するように構成されている。制御システム48の全てまたは一部を含み得るコントローラ68は、スプレー工具60の動作を監視し制御するように構成されている。
【0017】
一実施形態において、電力貯蔵ユニット67は、コントローラ68、カスケード電圧増倍器42、電子機器70および/またはスプレー工具60のための搭載型空気供給装置を提供するように構成されたモータ駆動式ファンに電力を供給するように構成され得る。一実施形態において、ユニット62は、タービン発電機またはモータ駆動式ファンとして選択的に動作する多機能デバイスであり得る。例えば、ユニット63は、例えば電力貯蔵ユニット67を介してユニット63に電流が供給された場合にモータとして選択的に動作するか、または例えばブレード65の回転を介して回転するように誘発された場合に発電機として選択的に動作するモータ発電機であり得る。さらなる例によると、ユニット64は、例えばモーターモードのユニット63のように、モータにより回転するように駆動された場合にファンとして選択的に動作するか、または例えばブレード65に対抗する気体または空気流のように流体流によって回転するように誘発された場合にタービンとして選択的に動作するファン−タービンであり得る。モータ発電機63のモーターモードにおいて、ユニット63は、ブレード65(例えばファンモードにおけるユニット64)を回転させ、こうしてスプレー工具60を通って空気流を強制するため、電力貯蔵ユニット67および/または配電網から電力を引き込むことができる。モータ発電機63の発電機モードにおいて、ユニット63は、気体流(例えば空気流)がブレード(例えばタービンブレードのユニット64)を回転させ、これらのブレードが次にシャフト66とユニット63の回転を駆動することによって発電することができる。タービン発電機としての動作中、ユニット62は、同様に電力貯蔵ユニット67に充電または再充電しながら、スプレー工具60およびさまざまな構成要素に対して電力を供給することができる。コントローラ68は、タービン発電機62から電力貯蔵ユニット67およびスプレー工具60のさまざまな電子機器への電力の分配を選択的に制御するように構成されてよい。例えば、コントローラ68は、充電を目的として電力貯蔵ユニット67に対して剰余電力を導く一方で、スプレー工具60への電力を電流および/または電圧の上下閾値の範囲内で制御するように構成されていてよい。モータ駆動式ファンとしての動作中、ユニット62は、電力貯蔵ユニット67内に貯蔵された電力を介してスプレー工具60を通して好適な気体流(例えば空気流)を提供することができ、一方ユニット67も同様に、スプレー工具60内の他の電子機器(例えばコントローラ68、カスケード電圧増倍器42、電子機器72など)に対して電力を供給することができる。このようにして、ユニット62は、スプレー工具60の可搬性および融通性を増大させながら、多数の機能を提供する。ユニット62の多重モードおよび機能性を考慮すると、電力モジュール24は、電力、流体出力(例えば空気流などの気体流)、またはその組合せを提供することによりスプレー工具60を支援するように構成されているスプレー工具支援モジュールとして説明可能である。換言すると、ユニット62を有する電力供給装置26は、電気および/または流体流としてスプレー工具60に対して動力を供給するように構成されてよく、したがって、電力供給装置26は、ユニット62の両方の動作モード(例えばタービン発電機またはモータ駆動式ファン)を網羅するように意図されている。
【0018】
電力モジュール24(電力供給装置26を含む)は、静電スプレー工具60、導管29、上流側気体コンプレッサまたはタンク、ユーザーマウントまたはウェアラブル構造または衣類(例えばベスト、ファニーパック、バックパック、シャツ、ジャケット、ズボン、カバーオールなど)またはその任意の組合せなどの、機器との関係において取外し可能なユニット、固定したユニットまたは統合型アセンブリであり得る。したがって、電力モジュール24は、1つ以上の取外し可能な組付け用特徴部69、例えばレセプタクルに嵌合する1つ以上の電気/機械的プラグ、スロット内に捕捉されるフック、ベルクロ(登録商標)、スナップ構造、ラッチ、ボタン、クランプ、ストラップ、摩擦嵌めまたは締まり嵌めまたはその任意の組合せを、電力モジュール24と機器の間に含むことができる。或る実施形態において、電力モジュール24は、一群のスプレー工具60、一群のウェアラブル構造または衣類、またはその任意の組合せなどの複数の異なる機器に対し取外し可能な形で結合するように構成されてよい。例えば、図2に例示されているように、電力モジュール24は、スプレー工具60内のレセプタクル70の中に取外し可能な形で組付けられてよく、カバー71により取外し可能な形で覆われていてよい。カバー71は、ヒンジ式カバー、ネジ締め式カバー、スナップ式カバーまたはその任意の組合せであってよい。レセプタクル70およびカバー71は同様に、レセプタクル70の内部に電力モジュール24を封止し、これにより水分、破片または他の汚染物質の侵入をことごとく遮断するように構成された1つ以上のシールまたはガスケットを含むこともできる。
【0019】
図示されているように、静電スプレー工具60は、電源電圧40からの電気出力が供給される電子機器アセンブリ72を含む。電子機器アセンブリ72は単独で、またはコントローラ68と組合せた形で、上述のモニターシステム46および/または制御システム48の全てまたは一部を含み得る。電子機器アセンブリ72は、コントロールパネル73に電気的に結合され得る。一実施形態において、コントロールパネル73は、上述のユーザーインターフェース50内に含まれ得る。例えば、コントロールパネル73は、ユーザが静電スプレー工具60のさまざまな動作パラメータを調整し静電スプレー工具60をオンオフ切換えできるようにするボタン、スイッチ、ノブ、ダイアルおよび/またはディスプレイ74(例えばタッチスクリーン)を含むことができる。
【0020】
カスケード電圧増倍器42は、電力供給装置26から(例えばタービン発電機62を介して)電気出力(例えば電源電圧40)を受取り、増倍された電力44をスプレー発生器12に供給する。一実施形態において、増倍された電力44は、一定の概略値(例えば45、65または85kV)に予め設定可能である。したがって、一実施形態において、高圧電力(例えば増倍された電力44)は、少なくともおおよそ40、50、60、70、80、90または100kVであり得る。いくつかの実施形態は、上限と下限の間で高圧電力を変動させるために、コントロールパネル73を使用することができる。例えば、一実施形態において、高電圧は、おおよそ10〜200kV、10〜150kV、10〜100kVの間、またはその中の任意の下位範囲間で変動可能であり得る。その後、スプレー発生器12は、静電帯電したスプレー14を生成する目的で電荷を創出するためにカスケード電圧増倍器42からの増倍された電力44を使用する。
【0021】
タービン発電機62に関して以上で説明したように、例示された静電スプレー工具60は、空気圧アダプタ76(例えばクイックリリース式導管コネクタ)に結合された気体導管を通して気体供給装置20の気体出力28から気体流を受取る。一実施形態において、気体導管29は、静電帯電した材料スプレー14の霧化、タービン発電機62を介した電気出力の生成などのために、気体出力28(例えば空気流)からスプレー発生器12までの気体流を提供する。その上、以上では空気流について説明したものの、いくつかの実施形態では、気体出力28からの気体流は、不活性気体(例えば窒素)、二酸化炭素、大気、他の任意の圧縮空気、またはその組合せを含み得る。図示されているように、静電スプレー工具60はさらに、アダプタ76からスプレー工具60および電力供給装置26を通ってバルブアセンブリ80まで延在する気体通路78を含む。バルブアセンブリ80はさらにトリガアセンブリ82に結合されていてよく、このトリガアセンブリは、一次または主トリガ81および1つ以上の二次またはサブトリガ、ボタンまたはスイッチ83を含み得る。以下で論述するように、主トリガ81は、スプレー14を生成するためにスプレー工具60を通してさまざまな流れ(例えば気体流、液体流、粉末流など)を制御するように構成され得る。二次トリガ83は、動作モード、電圧、電流、気体流対コーティング材料流の比率またはその任意の組合せなどのスプレー工具60の他のパラメータを制御するように構成されてよい。二次トリガ83は、機械式トリガ、電気式トリガ、ワイヤレストリガ、電気配線されたトリガ、またはその任意の組合せであってよい。二次トリガ83のこれらの機能は、トリガアセンブリ82の主トリガ81の一次的機能に追加されるものである。
【0022】
例えば、トリガアセンブリ82の主トリガ82は、バルブアセンブリを通して気体出力28から気体流を開始させるために使用可能である。例えば、主トリガ81の一実施形態はバルブアセンブリ80内の1つのバルブを開放して、気体出力28からスプレー工具60を通ってタービン発電機62までの気体の流れを可能にすることができる。さらに、バルブアセンブリ80は、上部材料通路84および下部材料通路86に結合され得る。一実施形態において、上部材料通路84は、重力送り供給装置(例えば重力送り容器またはカップ)に結合するように構成されてよい。図2にさらに例示されるように、下部材料通路86は、材料アダプタ88を介して材料出力30を通り静電スプレー工具60内に材料供給装置22からの材料を受入れることができる。静電スプレー工具システム10は同様に、静電スプレー工具60に解除可能な形でしっかり固定され得るキャップ90も含んでいてよい。いくつかの実施形態においては、キャップ90を静電スプレー工具60から取外して、材料通路86をカバーし封止する重力送り供給装置(例えば重力送り容器)を代りにしっかり固定することが可能である。
【0023】
動作中、ユーザが主トリガ81を起動させた時点で、気体流は、気体出力28からバルブアセンブリ80を通って開始する。さらに、主トリガ81の起動は、材料供給装置22からバルブアセンブリ80を通る流体流(例えば液体流、粉末流または両方)を開始させる。気体および流体流は、コーティング調製システム18に入る。コーティング調製システム18は、スプレー14を帯電させるためのカスケードを含むことができる。例えば、カスケードは、物体16の電荷とは反対の電荷をスプレー14に提供することができる。結果として、スプレー14により提供されるコーティングの品質を高めることができる。しかしながら、いくつかの実施形態においては、コーティング調製システム18は、材料供給装置22によって供給される材料を霧化するために気体出力28からの気体を使用する霧化アセンブリを含むことができる。その上、霧化アセンブリは、空気圧アトマイザ、回転アトマイザ、エアレスアトマイザ、通路チャンバ、ノズル、または静電帯電したスプレーのために材料を霧化するように構成された別の好適なアトマイザを含んでいてよい。霧化アセンブリにより生成されるスプレーは、スプレー発生器12を通過して、帯電した材料スプレー14を生成する。一実施形態において、静電スプレー工具60はさらに、あらゆる関連する安全性規則に適合するように、アース接地源を収容し得る。しかしながら、いくつかの実施形態において、電子機器アセンブリ72、タービン発電機62などは、引火性または可燃性材料を有する部域内で本質的に安全である(例えばNFPA Class I Div.Iの規準に適合する)ように、特別に設計され得る。
【0024】
静電スプレー工具60の例示された実施形態はさらに、静電スプレー工具60のバレル94とハンドル96の間にピボットアセンブリ92を含む。ここで分かるように、ピボットアセンブリ92は、ハンドル96とバレル94の相互関係における回転を可能にし、したがってユーザは、直線構成と傾斜構成の間で静電スプレー工具60の構成を選択的に調整することができる。例示されているように、静電スプレー工具60は、傾斜構成で配設され、ここでハンドル96は、バレル94に対して交差するように角度が付いている。静電スプレー工具60をこのように操作できる能力は、さまざまな利用分野において静電スプレー14を応用する上でユーザの助けとなり得る。すなわち、静電スプレー工具60の異なる構成は、異なる環境または状況において放出を適用するのにより便利または適切であり得る。
【0025】
図3は、1つ以上の組付け用特徴部69を有する電力モジュール24の一実施形態をさらに例示する、図1および2の静電スプレー工具システム10の一実施形態の概略図である。静電スプレー工具システム10は、気体供給装置20、電力モジュール24、100、および静電スプレー工具60を含む。図4を参照して以下でさらに詳細に説明するように、電力モジュール24、100は、気体アダプタ104を介して気体供給装置20から気体吸入102を受取る。同じく以下で論述するように、電力モジュール100は、気体出力28からの気体流を気体アダプタ106を介して、電源電圧40を電気アダプタ108を介して供給する。電力モジュール24、100はさらに、電力モジュール100をオペレータに組付けできるようにするための組付け用部分110(例えば組付け用特徴部69)を含み得る。例示された実施形態は、ストラップ(例えばベルト)として組付け用部分110を示しているが、組付け用部分110は同様に、バックパック、ポーチ、ブラケットまたは携帯式にまたは固定場所で組付けるための何らかの他の好適な組付け用特徴部の少なくとも一部分であるように構成されてもよい。図2を参照して以上で詳述したように、静電スプレー工具60は、空気圧アダプタ76を介して気体出力28を受取り電力供給装置26(例えばタービン発電機62)を介して電源電圧40を受取りながら、静電帯電したスプレー14を放出する。例示された実施形態において、静電スプレー工具60は同様に、気体出力28を通した空気の流れを開始するためのトリガアセンブリ82も有する。その上、静電スプレーシステム10の一実施形態は、明確さのために図3からは省略されている接地回路を含んでいてよい。
【0026】
図4は、内部構成要素をさらに例示する、図3の電力モジュール24、100の一実施形態の概略図である。電力モジュール24、100は、組付け用部分110(例えばストラップなどの組付け用特徴部69)、ハウジング120、気体流スイッチ122(例えば空気流スイッチ)、タービン発電機62および気体調節器124を含む。ハウジング120は、剛性または可撓性で、組付け用部分110と共に使用するのに好適な任意のサイズであり得る。さらに、ハウジング120は、噴霧される塗料または溶剤由来の汚染に対する内部構成要素(例えばタービン発電機62)の保護を提供するように構成され得る。タービン発電機62は、ペルトンタイプ発電機または何らかの他の好適な流体駆動式発電機(例えば空気駆動式タービン発電機)を含むことができる。さらに、電力モジュール24、100は、同様に、タービン発電機62への空気流を制御するための流れコントローラ126も含んでいてよい。いくつかの実施形態において、流れコントローラ126は、制御システム48、コントローラ68またはその組合せの中に組込まれてよい。さらに、一実施形態において、流れコントローラ126はタービン発電機62内への空気の流量を、電源電圧40に所望の電力レベルを得るためにタービン発電機62と共に使用するのに好適な予め設定された圧力まで削減する調節器を含んでいてよい。いくつかの実施形態において、流れコントローラ126の調節器は、代りに何らかの内部的制限ケイパビリティ(例えば電力制限回路)により電圧出力を制限するのにタービン発電機62に依存することによって、省略することが可能である。例えば、タービン発電機62は、その出力電圧を電源電圧40の所望のレベルに、内部的に制限することができる。したがって、タービン発電機62は、タービン気体吸入128から直接、未調節の空気流を受取る一方で、恒常な所望の電圧を供給することができる。上述の実施形態のいずれにおいても、電源電圧40は、図1および2のカスケード電圧増倍器42に対して充分な電力を提供するために望まれる所望のレベルに制限される。一実施形態において、気体吸入102は、タービン発電機62および気体出力28の両方に適切な空気圧を供給するのに充分であり得る。したがって、気体吸入102は、少なくともおよそ0.241、0.275、0.310、0.344、0.379、0.413、0.448MPa以上の圧力下にあってよい。例示された実施形態において、気体流スイッチ122は、気体吸入102を受取り、気体吸入102の少なくとも一部分をタービン気体吸入128に導き、気体吸入102の少なくとも一部分を出力130に導く。
【0027】
例示された実施形態において、出力130は空気流を調節器124まで導き、この調節器は、空気流を気体出力28に調節するように構成されている。例示された実施形態において、調節器124は、ハウジング120の外側に位置付けされている。いくつかの実施形態は、ハウジング120の内部に、ハウジング120の一部分として、または代替的には図2のスプレー工具60の内部に調節器124を位置付けするように構成されている。調節器124は、気体出力28に提供される空気圧を、図1〜3の静電帯電したスプレー14を噴霧するために最適な範囲に制限することができる。調節器124は、ユーザが、特定の利用分野に好適な気体出力28の圧力を選択できるようにするべく構成された、予め設定されたまたは調整可能な空気調節器であってよい。気体出力28中の一定の圧力の好適性に影響を及ぼす変数としては、図1の物体16からの図2のスプレー工具60の距離、霧化性能、スプレー特性、ユーザの選好性、および/または所望のコーティング材料の物性、が含まれ得る。空気流がハウジング120(例えば気体出力28)を退出する場合、それは気体アダプタ106を介して行なわれてよい。
【0028】
例示された実施形態において、電力モジュール24、100は、1つ以上の入力133、インジケータ134およびディスプレイ135を有するユーザーインターフェースパネル132を含む。入力133は、セレクタダイアル、トグルスイッチ、ボタン、スライディングセレクタ、レベル調整器、ディジタイザパッドまたはタッチスクリーンまたはその任意の組合せを含み得る。インジケータ134は、スピーカおよびライト(例えば発光ダイオード、電球など)の音響および/または視覚的インジケータを含み得る。ディスプレイ135は、液晶ディスプレイ(LDS)、タッチスクリーンディスプレイ、またはその任意の組合せを含み得る。こうして、ユーザーインターフェースパネル132は、電圧、電流、気体流量(例えば空気流量)、残存するコーティング材料のレベルまたは百分率、コーティング材料の流量、電力貯蔵ユニット67内の貯蔵電力レベル、環境条件(例えば温度、湿度または空気品質)、スプレー工具60と標的物体の間の距離、標的物体の表面との関係におけるスプレー工具60の角度、またはその任意の組合せなどのスプレー工具システム10のさまざまな動作パラメータを表示および/または標示することができる。さらに、ユーザーインターフェースパネル132は、電圧、電流、気体流量(例えば空気流量)、コーティング材料の流量、スプレー工具60と標的物体の間の所望の距離、標的物体の表面との関係におけるスプレー工具60の所望の角度、またはその任意の組合せなどの、スプレー工具システム10のさまざまな動作パラメータのユーザによる調整および/または自動制御による調整(例えばコントローラ68を介したもの)を可能にすることができる。例えばユーザーインターフェースパネル132は、手動動作制御モード、コントローラ68によるセンサーフィードバックに基づく制御モード、コントローラ68を介した予め設定された動作モード、またはその任意の組合せのユーザによる選択を可能にすることができる。ユーザーインターフェースパネル132は同様に、電圧制御モードまたは電流制御モード、液体スプレーモードまたは粉末スプレーモードまたはその任意の組合せのユーザによる選択を可能にすることもできる。一実施形態において、インジケータおよび/またはディスプレイ135は、電力モジュール24、100および/またはスプレー工具60の動作モードを表わす通知をオペレータに提供するように構成されていてよい。例えば、インジケータ134は、電力モジュール100の現在の動作モードを標示するために異なる色を有するライト(例えば発光ダイオード、電球など)であってよい。例えば、インジケータ134は、タービン発電機62がスプレー工具60に電力を供給している間は緑色、電力モジュール100がスプレー工具60上に不適切に設置されている間(例えば正しく整列されていない、しっかり固定されていないなど)は黄色、タービン発電機62が電力を生成していない間は赤色であり得る。さらなる例によると、インジケータ134の異なる色は、電圧制御モード、電流制御モードまたは電圧と電流の組合せ制御モードを標示し得る。さらなる例によると、インジケータ134の異なる色は、液体スプレーモードまたは粉末スプレーモード、静電モードまたは非静電モード、バッテリ駆動モード(電力貯蔵ユニット67を介した)、または発電モード(例えばタービン発電機62を介した)、手動制御モードまたはセンサ制御モード、またはその任意の組合せを標示することができる。したがって、オペレータは、スプレー工具60を使用している間、電力モジュール100の動作モードを迅速に識別することができる。
【0029】
図5は、回転軸61を中心にして円周方向に位置付けされたブレード65を有するタービン発電機62のタービン64の一実施形態の前面図である。ブレード65は、気体供給装置20からの気体の運動エネルギーに起因して、回転軸61を中心にして第1の方向140および/または第2の方向142に回転するように構成されている。一実施形態において、ブレード65は、ブレード65の回転を容易にするために、空気力学的形状の本体および縁部(例えば湾曲した、反ったおよび/またはエアフォイル形状の本体および縁部)を含むことができる。すなわちブレード65の形状は、回転軸61を中心とした回転を増強するように特に選択され得る。例えば、ブレード65は、1つの圧力範囲(例えばスプレー14について所望される圧力範囲)内で動作するように設計され得る。
【0030】
その上、タービン64(ブレード65を含む)、シャフト66および/またはタービン発電機72のいずれかの回転または静止構成要素は、タービン発電機62の重量を削減するために軽量材料で形成されてよい。例えば、軽量材料には、軽量プラスチック、発泡材、合金鋼、アルミニウム、複合材料、および/または他の任意の好適な軽量材料が含まれ得る。さらなる例によると、複合材料は、マトリクス材料中に分布した補強材料(例えば粒子、繊維、メッシュ、グリッドまたは構造)を含むことができる。補強材料には、金属、プラスチック、ファブリック、セラミック、ガラス、カーボン、アラミド、玄武岩またはその任意の組合せが含まれ得、一方マトリクス材料には、プラスチックまたはポリマー、例えばエポキシ、ビニルエステル、ポリエステル熱硬化性プラスチック、フェノールホルムアルデヒド樹脂またはその任意の組合せが含まれ得る。複合材料には、例えば、炭素繊維強化ポリマーまたはガラス強化プラスチックなどが含まれ得る。
【0031】
さらに、タービン64(ブレード65を含む)、シャフト66および/またはタービン発電機72の任意の回転または静止構成要素は同様に、コーティング材料例えば耐摩耗性コーティング、耐浸食性コーティング、耐腐食性コーティング、疎水性コーティング、硬質コーティング(例えば下層にある材料よりも高硬度)、低摩擦コーティングまたはその任意の組合せを含むことができる。例えばブレード65は、ブレード65上の水分(例えば水)を削減してブレード65の寿命を潜在的に改善するために、疎水性コーティングを含むことができる。その上、ブレード65は、気体供給装置20の動作温度の衝撃を潜在的に低減させるためおよび/またはブレード65が回転軸61を中心にして回転するにつれて摩擦を削減するための、他のコーティングを含むことができる。例えば、タービン64(ブレード65を含む)のコア、シャフト66および/またはタービン発電機72のいずれかの回転または静止構成要素は、発泡材などの低比重材料で作製されてよく、一方コーティングはコアを封入し、コアのための強度、剛性および構造的支持を提供する。コーティングは、金属、プラスチック、セラミックまたはその任意の組合せを含むことができる。例えば、コーティングは、炭化物コーティング(例えば炭化タングステン)、酸化アルミニウムコーティング、セラミックコーティングまたはその任意の組合せを含み得る。
【0032】
その上、例示された実施形態は4枚のブレード65を含んでいるものの、いくつかの実施形態では、タービン発電機62の動作を増強させるために、1、2、3、5、6、7、8、9、10枚または任意の好適な数のブレード65が存在していてよい。例えば、タービン発電機62の重量を低減させるために、少数のブレード65しか使用しない場合もある。しかしながら、一実施形態においては、タービン発電機62のより速い回転速度を可能にし、こうして電力出力を増大させるために、より多くのブレード65を使用することができる。ブレード65の数、ブレード65の形状、ブレード65の製造材料およびブレード65のピッチは、予想される動作条件に対応するためおよび/またはタービン発電機62の操作性を高めるために特別に選択され得る。
【0033】
図6は、タービン発電機および/またはモータ駆動式ファンとして機能し得るユニット62の一実施形態の概略的側面図である。以下の論述においては、タービン発電機62が参考とされているが、それでも本開示は、モータ駆動式ファンにも同様に適用可能であるものとして意図されている。例示された実施形態において、タービン発電機62は、シャフト66を介して発電機63に結合されたタービン64(ブレード65を含む)を含む。例示されたタービン64は、シャフト66に結合されハウジングまたはシュラウド144に取り囲まれたタービンブレード65の第1、第2および第3段を含む。発電機63は、固定子148の内部に配置された回転子146を含み、ここで回転子146はシャフト66に対し駆動結合され、タービンブレード65の複数段を通過する流体によりひき起こされる回転(すなわちタービン64の回転)により駆動される。一実施形態において、固定子148は、永久磁石、電磁石などであり得、一方回転子146は、界磁コイルまたは界磁巻線として作用する。回転子146が固定子148の内部で回転するにつれて、電荷(例えば電源電圧40)が生成される。この目的で、配線で接続された電力源(例えば都市配電網または発電機に接続された電力源)および/またはバッテリパックへの接続無くスプレー工具60を動作させるための電気出力を生成するのに、気体供給装置20を使用することができる。上述のように、いくつかの実施形態において、タービン発電機62は、ペルトンタイプの発電機(例えば衝動タービン)、反動タービン、DCモータ、ACモータなどであり得る。ユニット62は同様に、モータ駆動式ファンとして動作することもでき、したがってユニット63はモータ(またはモーター発電機)を表わし、ユニット64はファン(またはファン−タービン)を表わすことができる。回転子146および固定子148は、電動モータおよび/または発電機として機能することを可能にするため、任意の数および配設の巻線を含むことができる。こうして、電力供給装置26は、複数の巻線を有する回転子−固定子アセンブリ145に結合された複数のブレード65を有するものとして説明され得、ここでこの回転子−固定子アセンブリ145はモータ、発電機または選択的にモータまたは発電機として動作できるモータ発電機であってよい。
【0034】
図7は、スプレー工具60の一実施形態の概略的側面図であり、ここで電力モジュール24、100は、ハンドルマウント(例えばコネクタ160)を介してスプレー工具60のハンドル96に結合されたモジュール式構成要素(例えば取外し可能な構成要素)である。例示された実施形態において、電力モジュール24、100は1つ以上の組付け用特徴部69(例えば電気−機械式コネクタ160)を介して、スプレー工具60のハンドル96に対して、例えばハンドル96の底部に対して取外し可能な形で結合または組付けされる。図示されるように、コネクタ160は、凸部162が電力モジュール24、100上に位置付けされハンドル96中に形成された溝164の中にスナップおよび/またはクリップ嵌合するさねはぎ継ぎコネクタである。しかしながら、いくつかの実施形態においては、凸部162は、ハンドル上に位置付けされてよく、溝164は電力モジュール24、100内に形成されてよい。さらに、例示された実施形態は、さねはぎ継ぎコネクタを含んでいるものの、いくつかの実施形態においては、コネクタ160は、ネジ式連結、ボルト式連結、干渉コネクタ、スライスコネクタ、クランプコネクタ、磁気コネクタなどを含み得る。電力モジュール24、100はハンドル96に結合されているため、いくつかの実施形態において、ハウジング120は、オペレータによるハンドル96の操作および移動性を可能にするため、軽量材料で形成され得る。例えば、ハウジング120は、射出成形プラスチック、複合材料などから形成されてよい。
【0035】
その上、電力モジュール24、100のコネクタ160は、内部通路(例えば出力130)がスプレー工具60内部に位置付けされた構成要素と整列するような形で電力モジュール100を位置付けするように、特別に選択され得る。例えば、出力130は、気体供給20がスプレー工具60に進入できるようにするため、調節器124および/または気体通路78と整列させられてよい。さらに、いくつかの実施形態においては、電力モジュール24、100のスプレー工具60に対する整列が所望の配向にあるか否かを決定するため、電力モジュール24、100および/またはスプレー工具60内に1つ以上のセンサを位置付けすることができる。例えば、センサは、電力モジュール24、100が整列不良である間、制御システム48に対し信号を中継することができる。さらに、制御システム48は、電力モジュール24、100か整列不良である間に点灯するように、インジケータ134に命令することができる。したがって、電力モジュール24、100は、動作中スプレー工具60に電気出力を提供するためにハンドル96に対して取外し可能な形で取付けられてよい。
【0036】
図2に関連して以上で論述したように、電力モジュール24、100は、電力貯蔵ユニット67、例えば1つ以上の充電式バッテリを含むことができる。充電式バッテリは、電力モジュール24、100と統合されているかまたは電力モジュールから取外し可能である。システム10は、電力モジュール24、100を受入れ電気機械式コネクタ160と連結するように構成されている充電レセプタクルまたはクレードル168内に電気機械式コネクタ167を有する充電器166を含むことができる。いくつかの実施形態において、充電器166は、電磁場を用いてワイヤレスで電力モジュール24、100のバッテリを充電するように構成された誘導充電アセンブリを含むことができる。例示されているように、充電器166は、配電網から電力を受電する電気コンセントと結合するように構成された電気コードを含む。いくつかの実施形態において、充電器166は、配電網に対しアクセスできない場所における充電を提供するための電力貯蔵ユニット67(例えば1つ以上の充電式バッテリ)を含む。
【0037】
図8は、電力モジュール100がバレルマウント(例えばコネクタ160)を介してバレル94に結合されているスプレー工具60の一実施形態の概略的側面図である。図示されているように、電力モジュール100は、タービン発電機62を介してスプレー工具60に電気出力を供給するべく、バレル94(ノズルの上流側またはキャップの上流側)に結合するように構成されている。例示された実施形態においては、コネクタ160が電力モジュール100とスプレー工具60間の取付けおよび取外しを可能にする。その上、上述したように、電力モジュール100は、スプレー工具60の操作および運動を可能にするため、軽量材料で形成されていてよい。
【0038】
図9は、スプレー工具60に対して(例えばスプレー工具60のカスケード電圧増倍器に対して、スプレー工具60の電子機器アセンブリに対して)電源電圧40を提供するために使用される誘導充電システム170の一実施形態のブロック図である。上述のように、タービン発電機62は、気体出力28から気体流を受取り、回転軸61を中心としたタービン64の回転を介して電源電圧40を生成するように構成されている。例示された実施形態において、電源電圧40は、送電コイル172に向かって導かれる。送電コイル172は、タービン発電機62上(例えばタービン発電機のハウジング上)に位置付けされてよい。ここで分かるように、送電コイル72は、導電性材料(例えば銅)から形成され、誘導結合を介して受電コイル174に対しギャップを横断してワイヤレスで電源電圧40を伝送するように構成されていてよい。その後、電源電圧40は、スプレー工具60の動作中に使用するため、整流器176、調節器178および電子機器アセンブリ72および/またはカスケード電圧増倍器42に導かれ得る。
【0039】
上述のように、整流器176は、交流電流を直流電流に変換するために使用され得る。例えば一実施形態において、タービン発電機62は交流電流を送電コイル172に提供して、これにより受電コイル174まで延在する磁場を生成することができる。その結果として、タービン発電機62からのエネルギーは、受電コイル174および、この受電コイルに電気的に結合された電子機器アセンブリ72に伝送され得る。しかしながら、電子機器アセンブリ72は、動作電力として直流電流を利用することができる。したがって整流器174は、交流電流を直流電流に変換することができる。その上、タービン発電機62からのエネルギーは、調節器178を介して制御可能である。例えば、タービン発電機62からの電源電圧40を下流側電子機器が利用できるようにするため、エネルギーを逓減させるかまたは絞ることができる。誘導充電システム170を利用することにより、付随する電力回路間の物理的連結を削減し、こうして摩耗および/または劣化の可能性を低減することができる。その上、誘導充電システム170が電力モジュール100からスプレー工具60まで電力を移送するためにコイル172、174間の直接的接続を利用しないことから、電力モジュール100がモジュール式構成要素である実施形態においては、電源電圧40の移送および整列を改善することができる。
【0040】
図10は、タービン発電機62によって生成される電力を制御するべく気体供給装置20および/または電源電圧40のパラメータを監視するためにセンサ192が利用される、タービン制御システム190の一実施形態のブロック図である。例えば、例示されている実施形態において、気体流センサ194は、気体供給装置20の気体出力28からタービン発電機62までの気体流を監視するように構成されている。一実施形態において、タービン64は、タービン64を駆動する気体出力28の量がより多いものであるために回転軸61を中心にしてより高速で回転するように構成され得る。その結果として、気体供給装置20からの異なる流量が、タービン発電機62により生成される電源電圧40の量に影響を及ぼし得る。例示された実施形態において、気体流センサ194は、制御システム48に対し通信可能な形で結合される。図示されているように、制御システム48は、メモリ198およびプロセッサ200を有するコントローラ196(例えばコントローラ68などの電子コントローラ)を含む。メモリ198は、大容量記憶装置、フラッシュメモリデバイス、着脱式メモリ、または他の任意の非一時的コンピュータ可読媒体(例えば信号だけでない)であり得る。付加的におよび/または代替的に、上述のメモリ198と類似の方法で命令またはルーチンを少なくとも集合的に記憶する少なくとも1つの有形の非一時的コンピュータ可読媒体を含む追加の好適な製造品中に、これらの命令を記憶することができる。コントローラ68、196は、静電スプレー工具システム10の動作パラメータ(例えば気体流量、電圧、電力消費量、タービン回転速度)を表わす信号をセンサ192、194から受信するように構成されていてよい。信号は、メモリ198上に記憶された命令を利用して、プロセッサ200により評価されてよい。さらに、コントローラ68、196は、静電スプレー工具システム10のさまざまな構成要素(例えば気体供給装置20、カスケード電圧増倍器42、電力モジュール24など)に対して信号を送って、センサ192から受信した信号に基づいて静電スプレー工具システム10の動作条件を調整することができる。
【0041】
その上、コントローラ196は、静電スプレー工具システム10の動作パラメータを修正するためにさまざまなセンサ192からの情報を利用することができる。例えば、電圧センサ202をタービン発電機62とカスケード電圧増倍器42の間に位置付けして、カスケード電圧増倍器42からの増倍された電力44を監視することができる。一実施形態において、コントローラ196は、電源電圧40の値を表わす信号を電圧センサ202から受信する。メモリ198は、スプレー工具60の構成要素を動作させ、スプレー14に充電するなどのために、電源電圧40の最小および/または最大電圧値に対応する閾値を含むことができる。電源電圧40の値が所望のものより低い(例えば閾値未満である)実施形態において、コントローラ196は、気体出力28から気体タービン62に向かって気体流を増大させて、気体タービン62を加速させ、より多くの電力を生成するよう気体タービン62を誘発するために、気体供給装置20(例えばコンプレッサ)に対して信号を出力することができる。その上、いくつかの実施形態においては、電圧センサ202をカスケード電圧増倍器42の下流側および/またはスプレー発生器12の下流側に位置付けすることができる。したがって、電源電圧40を複数の場所で監視して、タービン発電機62が所望の電力レベルを出力しているか否かを決定することができる。
【0042】
さらに、一実施形態において、センサ192は、スプレー工具60の動作モードを決定するように構成され得る。すなわち、センサ192および制御システム48は、スプレー工具60が電流制御状態または電圧制御状態のいずれで動作しているかを決定するために利用可能である。例えば、材料出力30が液体である実施形態において、カスケード電圧増倍器42は、電圧制御状態で動作することができる。換言すると、タービン発電機62からの出力は、電圧に変換され得、カスケード電圧増倍器42は、それに供給される電圧の量により制御される。その結果として、電圧出力の擾乱および/または急上昇は、望ましくないスプレー14をもたらし得る。センサ192を介して電源電圧40および/または増倍された電力44を監視することにより、タービン発電機62に対する調整(例えばタービン64の減速またはスピードダウン)で、カスケード電圧増倍器42に対する調整を介したスプレー14の変更および制御を可能にすることができる。しかしながら、いくつかの実施形態においては、スプレー工具60は、電流制御状態で動作してよい。例えば、材料出力30が固体粒子材料(例えば粉末)である実施形態において、カスケード電圧増倍器42は、電流制御状態で動作し得る。換言すると、タービン発電機62からの出力は、スプレー工具60の動作を改変するために調整され得る制御された電流に(例えば整流器176を介して)変換され得る。例えば、コントローラ196は、センサ192を介してスプレー14を監視し、カスケード電圧増倍器42に対するより高い電流が所望のスプレー条件を提供すると考えられることを決定できる。その結果として、コントローラ196は、気体供給装置20に対して信号を出力して、タービン発電機62に対する気体出力28を増大させ、これによりタービン発電機62からの出力を増大させることができる。その上、いくつかの実施形態において、コントローラ196は、スプレー工具60の動作を調整するために、整流器176、調節器178、または静電スプレー工具システム10の他の任意の構成要素に対して信号を出力することができる。
【0043】
以上で詳述したように、タービン制御システム190は、静電スプレー工具システム10の動作中、タービン発電機62の動作を監視し調節するように構成される。例えば、一実施形態において、タービン発電機62は、気体供給装置20の気体出力28から気体流を受取ってタービン64を駆動し電気出力(例えば電源電圧40)を生成する。タービン制御システム190は、静電スプレー工具システム10の周りに位置付けされたセンサ192、194、202から1つ以上の信号を受信することができる。例えば、センサ192、194は、静電スプレー工具システム10の一部の電気構成要素についての低電力レベルを表わす信号を制御システム190に対し送ることができる。その結果として、コントローラ190は、気体出力28を増大させるための信号を気体供給装置20(例えば気体供給装置20のコンプレッサ)に送り、これによりタービン64をより高速で回転するように駆動して、タービン発電機62はより多くの電気出力を生成することができる。その結果、制御システム190は静電スプレー工具システム10の動作を監視し、充分な電力が静電スプレー工具システム10を動作させることができるようにタービン発電機62の動作を調整することができる。
【0044】
以上の論述では、静電スプレー工具60とは別個のおよび/またはこの静電スプレー工具から取外し可能な電力モジュール24、100が企図されているものの、いくつかの実施形態は、電力モジュール24、100の少なくとも一部分を静電スプレー工具60と恒久的に組合せるかまたは静電スプレー工具内に統合させることができる。その上、本明細書では、いずれかのデバイスまたはシステムの製作および使用およびいずれかの組込まれた方法の実施を含めて、いかなる当業者でも本発明を実践できるようにするため、最良の形態を含めた実施例が使用されている。本発明の特許可能な範囲は請求項により定義されており、当業者が気付く他の実施例を含むことができる。このような他の実施例は、それがクレームの文字通りの言語と相違しない構造要素を有する場合、または請求項の文字通りの言語と非実質的な差異しかない同等の構造要素を含む場合に、請求項の範囲内に入るものとして意図される。
図1
図2
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図4
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図8
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図10