特許第6697582号(P6697582)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6697582
(24)【登録日】2020年4月28日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】イントラ予測動画符号化方法および装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 19/593 20140101AFI20200511BHJP
   H04N 19/436 20140101ALI20200511BHJP
【FI】
   H04N19/593
   H04N19/436
【請求項の数】10
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2018-560660(P2018-560660)
(86)(22)【出願日】2017年8月9日
(65)【公表番号】特表2019-515606(P2019-515606A)
(43)【公表日】2019年6月6日
(86)【国際出願番号】CN2017096632
(87)【国際公開番号】WO2018040868
(87)【国際公開日】20180308
【審査請求日】2018年11月15日
(31)【優先権主張番号】201610799819.8
(32)【優先日】2016年8月31日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517212835
【氏名又は名称】北京奇▲芸▼世▲紀▼科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Beijing Qiyi Century Science & Technology Co., Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100146950
【弁理士】
【氏名又は名称】南 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】朱 洪波
【審査官】 坂東 大五郎
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0249735(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 19/00−19/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画像符号化の間に、現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行し、
水平方向に隣接した2つの符号化ブロックにおいて動画像符号化が同時に実行されるとき、当該2つの符号化ブロックの中の左から右への第1の符号化ブロックが第1の符号化ブロックであり、当該2つの符号化ブロックの中の左から右への第2の符号化ブロックが第2の符号化ブロックであり、
前記第1の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記第1の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記第1の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記第2の符号化ブロックの左端の画素列に基づいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けし、
前記第2の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記第1の符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記第2の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行しないステップを備える動画像符号化イントラフレーム予測方法。
【請求項2】
前記双方向予測が、更に、動画像符号化の間に、前記現在の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、重み付けするステップを備える請求項1に記載の動画像符号化イントラフレーム予測方法。
【請求項3】
前記現在の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測が、前記現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と前記現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とに基づいて実行され、この場合に、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、
前記現在の符号化ブロックにおいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測が、前記現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と前記現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とに基づいて実行され、この場合に、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行され、
前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測の両方が実行されている予測を重み付けするステップを備える、
請求項1に記載の動画像符号化イントラフレーム予測方法。
【請求項4】
垂直方向と水平方向に隣接した4つの符号化ブロックにおいて動画像符号化を同時に実行するとき、左上の符号化ブロックがA符号化ブロックであり、右上の符号化ブロックがB符号化ブロックであり、左下の符号化ブロックがC符号化ブロックであり、右下の符号化ブロックがD符号化ブロックであり、
前記A符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記A符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記A符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記B符号化ブロックの左端の画素列と前記C符号化ブロックの上端の画素行に基づいて前記A符号化ブロックにおいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、前記左方向と上方向のイン
トラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けし、
前記B符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記A符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記B符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記D符号化ブロックの上端の画素行に基づいて前記B符号化ブロックにおいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けし、
前記A符号化ブロックの下端の画素行と前記C符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記C符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記D符号化ブロックの左端の画素列に基づいて前記C符号化ブロックにおいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けし、
前記B符号化ブロックの下端の画素行と前記C符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記D符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行しない、
請求項3に記載の動画像符号化イントラフレーム予測方法。
【請求項5】
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するために使用される左方向と上方向のイントラフレーム予測ユニットと、
前記現在の符号化ブロックにおいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するために使用される右方向と下方向のイントラフレーム予測ユニットと、
水平方向に隣接した2つの符号化ブロックにおいて動画像符号化が同時に実行されるとき、当該2つの符号化ブロックの中の左から右への第1の符号化ブロックが第1の符号化ブロックであり、当該2つの符号化ブロックの中の左から右への第2の符号化ブロックが第2の符号化ブロックであり、
前記第1の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記第1の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記第1の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記第2の符号化ブロックの左端の画素列に基づいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けし、
前記第2の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記第1の符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記第2の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行しないイントラフレーム予測ユニットと、
を備える動画像符号化イントラフレーム予測装置。
【請求項6】
前記現在の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けするために使用される重み付けユニットを備える請求項に記載の動画像符号化イントラフレーム予測装置。
【請求項7】
前記左方向と上方向のイントラフレーム予測ユニットが、更に、前記現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と前記現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とに基づいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するために使用され、この場合に、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、
前記右方向と下方向のイントラフレーム予測ユニットが、更に、前記現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と前記現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とに基づいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するために使用され、この場合に、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される、
請求項またはに記載の動画像符号化イントラフレーム予測装置。
【請求項8】
プロセサと、通信インタフェースと、メモリと、通信バスとを備え、
前記プロセサと前記通信インタフェースと前記メモリとが、前記通信バスを介して互いに通信し、
前記メモリが、コンピュータプログラムを記憶するために使用され、
前記プロセサが、前記メモリに記憶されているプログラムを実行することによって請求項1ないしのいずれか1項に記載の動画像符号化イントラフレーム予測方法を実行するために使用される、
電子装置。
【請求項9】
命令を記憶し、当該命令がコンピュータで実行されるとき、当該コンピュータが請求項1ないしのいずれか1項に記載の動画像符号化イントラフレーム予測方法を実行することができる読み取り可能なコンピュータ記憶媒体。
【請求項10】
命令を含み、当該命令がコンピュータで実行されるとき、当該コンピュータが請求項1ないしのいずれか1項に記載の動画像符号化イントラフレーム予測方法を実行することができるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、「イントラ予測動画符号化方法および装置」という名称で2016年8月31日に中華人民共和国の知識産権局に出願された中国特許出願第201610799819.8号に対する優先権を主張し、参照によってその全体をここに統合する。
【0002】
本出願は、動画像符号化の分野に関し、特に動画像符号化イントラフレーム予測方法および動画像符号化イントラフレーム予測装置に関する。
【背景技術】
【0003】
H.264の高圧縮ディジタル動画像コーデック規格から、イントラフレーム予測符号化は動画像イントラフレームブロック符号化の主流技術になった。そのような技術では、現在の符号化ブロックの予測は、その左に隣接した列と上方に隣接した行から1つの方向に直線的に予測される。図1に示すように、現在の符号化ブロックは8×8のブロックであり、三角形で示される画素は現在のブロックの左に隣接した参照画素と上方に隣接した参照画素である。イントラフレーム予測は最初に方向を規定し、それから現在のブロックにおける各行または列がこの方向に従ってその左に隣接した列と上方に隣接した行から得られる。図1に示される6番目の行は、図中に点で示されるように、図1に示される方向に従って上方に隣接する行の画素位置にマッピングされる。これらの点は整数画素ではないので、それらは既知の整数画素、すなわち図中に示される三角形の画素に従って補間アルゴリズムによってそれらのサブピクセル座標に基づいて計算される必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
既存のイントラフレーム予測に存在する1つの問題は、予測の参照画素がブロックの左に隣接した位置と上方に隣接した位置にあり、距離が遠くなるにつれて予測の相関が低くなるので、距離が遠い現在のブロックの右の画素と下方の画素に対して予測精度が高くなく、従って符号化効率が低下することが明らかであることである。
【0005】
高い予測精度の動画像符号化イントラフレーム予測方法と動画像符号化イントラフレーム予測装置を提供することは、解決されるべき緊急の問題となった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態は、動画像符号化イントラフレーム予測方法と動画像符号化イントラフレーム予測装置を提供し、予測の参照画素から離れた現在の動画像符号化ブロックの画素が低い予測精度を有するという先行技術の欠点を解消し、現在の動画像符号化ブロックの高い予測精度を実現する。
【0007】
上記問題を解決するために、本発明は、次ぎのステップを有する動画像符号化イントラフレーム予測方法を開示する。:
動画像符号化の間に、現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレー
ム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行し、
水平方向に隣接した2つの符号化ブロックにおいて動画像符号化が同時に実行されるとき、当該2つの符号化ブロックの中の左から右への第1の符号化ブロックが第1の符号化ブロックであり、当該2つの符号化ブロックの中の左から右への第2の符号化ブロックが第2の符号化ブロックであり、
前記第1の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記第1の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記第1の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記第2の符号化ブロックの左端の画素列に基づいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けし、
前記第2の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記第1の符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記第2の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行しないステップ。
【0008】
本発明に係る方法では、
前記双方向予測が、更に、動画像符号化の間に、前記現在の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、重み付けするステップを備える。
【0009】
本発明に係る方法では、
前記現在の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測が、前記現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と前記現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とに基づいて実行され、この場合に、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、
前記現在の符号化ブロックにおいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測が、前記現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と前記現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とに基づいて実行され、この場合に、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行され、
前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測の両方が実行されている予測を重み付けする。
【0011】
本発明に係る方法では、
垂直方向と水平方向に隣接した4つの符号化ブロックにおいて動画像符号化を同時に実行するとき、左上の符号化ブロックがA符号化ブロックであり、右上の符号化ブロックがB符号化ブロックであり、左下の符号化ブロックがC符号化ブロックであり、右下の符号化ブロックがD符号化ブロックであり、
前記A符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記A符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記A符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記B符号化ブロックの左端の画素列と前記C符号化ブロックの上端の画素行に基づいて前記A符号化ブロックにおいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けし、
前記B符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記A符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記B符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記D符号化ブロックの上端の画素行に基づいて前記B符号化ブロックにおいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けし、
前記A符号化ブロックの下端の画素行と前記C符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記C符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記D符号化ブロックの左端の画素列に基づいて前記C符号化ブロックにおいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けし、
前記B符号化ブロックの下端の画素行と前記C符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記D符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行しない。
【0012】
上記問題を解決するために、本発明は動画像符号化イントラフレーム予測装置を開示する。この場合、その装置は以下を有する。:
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するために使用される左方向と上方向のイントラフレーム予測ユニットと、
前記現在の符号化ブロックにおいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するために使用される右方向と下方向のイントラフレーム予測ユニットと、
水平方向に隣接した2つの符号化ブロックにおいて動画像符号化が同時に実行されるとき、当該2つの符号化ブロックの中の左から右への第1の符号化ブロックが第1の符号化ブロックであり、当該2つの符号化ブロックの中の左から右への第2の符号化ブロックが第2の符号化ブロックであり、
前記第1の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記第1の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記第1の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記第2の符号化ブロックの左端の画素列に基づいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行し、前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けし、
前記第2の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と前記第1の符号化ブロックの右端の画素列に基づいて前記第2の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行し、前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行しないイントラフレーム予測ユニット
【0013】
その装置は、更に、以下を有する。:
前記現在の符号化ブロックにおいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測および前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けするために使用される重み付けユニット。
【0014】
本発明に係る装置では、
前記左方向と上方向のイントラフレーム予測ユニットが、更に、前記現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と前記現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とに基づいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するために使用され、この場合に、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて前記左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、
前記右方向と下方向のイントラフレーム予測ユニットが、更に、前記現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と前記現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とに基づいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するために使用され、この場合に、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて前記右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。
【0015】
本発明は、また、電子装置を開示する。その電子装置はプロセサと通信インタフェースとメモリと通信バスとを備え、前記プロセサと前記通信インタフェースと前記メモリとが前記通信バスを介して互いに通信し、
前記メモリが、コンピュータプログラムを記憶するために使用され、
前記プロセサが、前記メモリに記憶されているプログラムを実行することによって上述した動画像符号化イントラフレーム予測方法を実行するために使用される。
【0016】
本発明は、また、読み取り可能なコンピュータ記憶媒体を開示する。この場合、読み取り可能なコンピュータ記憶媒体はそこに命令を記憶し、当該命令がコンピュータで実行されるとき、コンピュータは上述した動画像符号化イントラフレーム予測方法を実行することができる。
【0017】
本発明は、また、命令を含むコンピュータプログラムを開示する。この場合、当該命令がコンピュータで実行されるとき、コンピュータは上述した動画像符号化イントラフレーム予測方法を実行することができる。
【0018】
本発明の実施形態に係る動画像符号化イントラフレーム予測方法と動画像符号化イントラフレーム予測装置は、動画像符号化の間に現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行し、重み付けすることができる。現在の符号化ブロックと予測の参照画素の間の距離が近いので、予測の相関が高く、従って現在の動画像符号化ブロックの高い予測精度が達成され、符号化効率が改善される。
【0019】
本発明の実施形態に係る技術的解決策または先行技術をもっと明白に説明するために、次の図面が、本発明の実施形態または先行技術の説明に使用され、以下に簡潔に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】先行技術の動画像符号化イントラフレーム予測の概略図である。
図2】本発明の動画像符号化イントラフレーム予測方法の実施形態に係るステップのフローチャートである。
図3】水平方向に隣接した2つの符号化ブロックが同時に符号化されるときの本発明の動画像符号化におけるイントラフレーム予測の概略図である。
図4】垂直方向と水平方向に隣接した4つの符号化ブロックが同時に符号化されるときの本発明の動画像符号化におけるイントラフレーム予測の概略図である。
図5】本発明の動画像符号化イントラフレーム予測装置の実施形態に係る構成のブロック図である。
図6】本発明の電子装置の実施形態に係る構成のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施形態の添付図面を参照して本発明の実施形態における技術的解決策を以下に説明する。
【0022】
現在の動画像符号化ブロックにおける高精度の予測を達成し、符号化効率を改善するために、本発明の実施形態は動画像符号化イントラフレーム予測方法を提供する。
本発明の実施形態で提供される動画像符号化イントラフレーム予測方法は、以下に記載される。
【0023】
本発明の実施形態に係る動画像符号化イントラフレーム予測方法のステップのフローチャートが図2に示される。
本実施形態に係る方法は、次ぎのステップを有する。:
ステップ101:動画像符号化の間に、現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行する。
ステップ102:現在の符号化ブロックにおいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する。
ステップ103:符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を重み付けする。
【0024】
本実施形態では、現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とが両方とも存在するとき、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とに基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とのいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とが両方とも存在するとき、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とのいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
【0025】
特に、現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するステップは、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とに基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するステップを含むことができる。その場合、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないときには、存在する画素行または画素列のみに基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、対応する画素列と画素行が両方とも存在しないときには、左方向と上方向のイントラフレーム予測は実行されない。
【0026】
すなわち、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とが両方とも存在するとき、それは、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックと上方に隣接した符号化ブロックが両方とも存在することを示し、そのとき、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とに基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行されることができる。現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列が存在しないとき、それは、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックが存在しないこと、および現在の符号化ブロックが画像フレームの左端の符号化ブロックであり得ることを示し、そのとき、現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行のみに基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行されることができる。現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行が存在しないとき、それは、現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックが存在しないこと、および現在の符号化ブロックが画像フレームの上端の符号化ブロックであり得ることを示し、そのとき、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列のみに基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列も現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行も存在しないとき、それは、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックも上方に隣接した符号化ブロックも存在せず、現在の符号化ブロックが画像フレームの左上隅の符号化ブロックであり得ることを示し、そのとき、左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行することはできない。
【0027】
現在の符号化ブロックにおいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するステップは、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するステップを含むことができる。その場合、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないときには、存在する画素行または画素列のみに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行され、対応する画素列も対応する画素行も存在しないときには、右方向と下方向のイントラフレーム予測は実行されない。
【0028】
すなわち、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とが両方とも存在するとき、それは、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックと下方に隣接した符号化ブロックが両方とも存在することを示し、そのとき、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行されることができる。現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列が存在しないとき、それは、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックが存在しないこと、および現在の符号化ブロックが画像フレームの右端の符号化ブロックであり得ることを示し、そのとき、現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行のみに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行が存在しないとき、それは、現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックが存在しないこと、および現在の符号化ブロックが画像フレームの下端の符号化ブロックであり得ることを示し、そのとき、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列のみに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列も現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行も存在しないとき、それは、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックも下方に隣接した符号化ブロックも存在せず、現在の符号化ブロックが画像フレームの右下隅の符号化ブロックであり得ることを示し、そのとき、右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行することはできない。
【0029】
方法に係る本実施形態では、動画像符号化の間に、現在の符号化ブロックに対して、左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測が実行され、重み付けされる。現在の符号化ブロックと予測の参照画素の間の距離が近いので、予測の相関が高く、従って現在の動画像符号化ブロックの高い予測精度が達成され、符号化効率が改善される。
【0030】
本発明の実施形態の実現方法として、上述した現在の符号化ブロックは水平方向に隣接した2つの符号化ブロックである。この場合、左から右への第1の符号化ブロックが第1の符号化ブロックであり、左から右への第2の符号化ブロックが第2の符号化ブロックである。;
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
第1の符号化ブロックに対して、第1の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と第1の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;第2の符号化ブロックの左端の画素列に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
第2の符号化ブロックに対して、第2の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と第1の符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。
【0031】
図3は、水平方向に隣接した2つの符号化ブロックが同時に符号化されるときの本発明の動画像符号化におけるイントラフレーム予測の概略図を示す。すなわち、現在の符号化ブロックは水平方向に隣接した2つの符号化ブロックを含む。
図3に示すように、これらの水平方向に隣接した2つの符号化ブロックに対して同時に動画像符号化を実行するとき、左から右への第1の符号化ブロックが第1の符号化ブロックであり、左から右への第2の符号化ブロックが第2の符号化ブロックである。;T0は第1の符号化ブロックと第2の符号化ブロックの上方に隣接したブロックの下端の画素行であり、T0は本実施形態における既知の参照画素行である。;L0は第1の画素ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列であり、L0は本実施形態における既知の参照画素列である。;R1は第1の符号化ブロックの右端の画素列である。;L2は第2の符号化ブロックの左端の画素列である。
この場合、第1の符号化ブロックを符号化するとき、上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行T0と第1の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列L0に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。;第2の符号化ブロックの左端の画素列L2に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。そして、左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測が重み付けされる。
第2の符号化ブロックを符号化するとき、第2の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行T0と第1の符号化ブロックの右端の画素列R1に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。;右方向と下方向のイントラフレーム予測は実行されない。
【0032】
具体的な計算式は、次ぎの通りである。:
式1:R1=P(L0, T0, dir0)*q + (1-q)*P(L2, dir0) + rsdl0
式2:L2=P(R1, T0, dir1)+rsdl1
ここで、Pはイントラフレーム予測演算を示す。dir0は現在の予測方向である。P(L0,T0,dir0)はdir0の方向にL0とT0を参照してR1のイントラフレーム予測ベクトルを生成することを意味する。
P(L2,dir0)はdir0の方向にL2を参照してR1の予測を生成することを意味する。qは、0より大きく、1より小さい定数であり、重み付け予測を示す。すなわち、R1の予測は既知のL0とT0および右のL2の重み付け予測から得られる。rsdl0とrsdl1は、残差ベクトルであり、予測された第1の符号化ブロックから第1の符号化ブロックを減算することによって得られる残差に、DCT変換、量子化、逆量子化、および逆DCT変換を実行することによって得られる。一方、L2の予測はR1とT0に従って生成される。上記2つの式には2つのみ未知のベクトル、すなわちR1とL2がある。式1の中のL2を式2で置き換えて、その式を解くことによってR1を解くことができる。それから、第2の符号化ブロックをR1とT0に従って得ることができ、それと同時にL2が得られ、それから第1の符号化ブロックが解かれる。
【0033】
更に、本実施形態では、第1の符号化ブロックの元の画素ブロックからそのイントラフレーム予測ブロックを減算することによって得られる差に変換−量子化−逆量子化−逆変換を実行して再構成残差ブロックを取得し、それからその再構成残差ブロックの右端の列を取ることによってrsdl0が得られる。再構成残差ブロックの右端の列がrsdl0である。
第2の符号化ブロックの元の画素ブロックからそのイントラフレーム予測ブロックを減算することによって得られる差に変換−量子化−逆量子化−逆変換を実行して再構成残差ブロックを取得し、それからその再構成残差ブロックの左端の列を取ることによってrsdl1が得られる。再構成残差ブロックの左端の列がrsdl1である。
第1の式におけるP(L0,T0,dir0)は方向dir0に従ってL0とT0によって生成された第1の符号化ブロックの予測の右端の列を示し、P(L2,dir0)はL2と方向dir0によって生成された予測の右端の列を示す。P(R1,T0,dir1)は方向dir1に従ってR1とT0によって生成された第2の符号化ブロックの予測の左端の列を示す。
【0034】
上記は、残差ベクトルおよび左と上方の画素のソースが既に利用できるという条件の下で実行されるイントラフレーム予測である。
最初の符号化では、左と上方の隣接した行と列、および元の2つの現在の画素ブロック、すなわち、第1の符号化ブロックと第2の符号化ブロックのみがある。このとき、最後以外のブロックに対して実際には双方向予測を実行することが必要とされるので、第1の符号化ブロックと第2の符号化ブロックの予測は直接生成される。ここで、最初に予測を生成するとき、最も左と上方の行と列に加えて、全ての残りは元の画素を使って予測を生成し、それから重み付けし、その予測から元の画素を減算することによって取得される差に変換−量子化−逆量子化−逆変換を実行して再構成された残差、すなわちrsdlを得る。
【0035】
本実施形態では、現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測の双方向予測が実行され、重み付けされる。現在の符号化ブロックと予測の参照画素の間の距離が近いので、予測の相関が高く、従って現在の動画像符号化ブロックの高い予測精度が達成され、水平方向に隣接した4つの符号化ブロックが同時に符号化され、符号化効率が更に改善される。
【0036】
本発明の実施形態の実現方法として、上述した現在の符号化ブロックは垂直方向と水平方向に隣接した4つの符号化ブロックである。この場合、左上の符号化ブロックがA符号化ブロックであり、右上の符号化ブロックがB符号化ブロックであり、左下の符号化ブロックがC符号化ブロックであり、右下の符号化ブロックがD符号化ブロックである。;
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
A符号化ブロックに対して、A符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とA符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;B符号化ブロックの左端の画素列とC符号化ブロックの上端の画素行に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
B符号化ブロックに対して、B符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とA符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;D符号化ブロックの上端の画素行に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
C符号化ブロックに対して、A符号化ブロックの下端の画素行とC符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;D符号化ブロックの左端の画素列に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
D符号化ブロックに対して、B符号化ブロックの下端の画素行とC符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。
【0037】
図4は、垂直方向と水平方向に隣接した4つの符号化ブロックが同時に符号化されるときの本発明の動画像符号化におけるイントラフレーム予測の概略図を示す。すなわち、現在の符号化ブロックは垂直方向と水平方向に隣接した4つの符号化ブロックを含む。
図4に示すように、垂直方向と水平方向に隣接したこれらの4つの符号化ブロックに対する動画像符号化を同時に実行するとき、左上の符号化ブロックがA符号化ブロックであり、右上の符号化ブロックがB符号化ブロックであり、左下の符号化ブロックがC符号化ブロックであり、そして右下の符号化ブロックがD符号化ブロックである。
T0はA符号化ブロックとB符号化ブロックの上方に隣接したブロックの下端の画素行であり、T0は本実施形態における既知の参照画素行である。;L0はA画素ブロックとC画素ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列であり、L0は本実施形態における既知の参照画素列である。;R1はA符号化ブロックの右端の画素列である。;B1はA符号化ブロックの下端の画素行である。;L2はB符号化ブロックの左端の画素列である。;B2はB符号化ブロックの下端の画素行である。;T3はC符号化ブロックの上端の画素行である。;R3はC符号化ブロックの右端の画素列である。;L4はD符号化ブロックの左端の画素列である;T4はD符号化ブロックの上端の画素行である。
【0038】
A符号化ブロックを符号化するとき、その上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行T0とその左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列L0に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。;そして、B符号化ブロックの左端の画素列L2とC符号化ブロックの上端の画素行T3に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。そして、左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測が重み付けされる。
B符号化ブロックを符号化するとき、その上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行T0とA符号化ブロックの右端の画素列R1に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。;そして、D符号化ブロックの上端の画素行T4に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。そして、左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測が重み付けされる。
C符号化ブロックを符号化するとき、A符号化ブロックの下端の画素行B1とその左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列L0に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。;そして、D符号化ブロックの左端の画素列L4に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。そして、左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測が重み付けされる。
D符号化ブロックを符号化するとき、B符号化ブロックの下端の画素行B2とC符号化ブロックの右端の画素列R3に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。;右方向と下方向のイントラフレーム予測は実行されない。
【0039】
A符号化ブロックに対する具体的な計算式は、次ぎの通りである。:
式1:B1=P(L0, T0, dir2)*q2 + (1-q2)*P(T3, L2, dir2) + rsdl2
式2:R1=P(L0, T0, dir2)*p2 + (1-p2)*P(T3, L2, dir2) + rsdl3
ここで、rsdl2とrsdl3は残差ベクトルである。A符号化ブロックに対して、1つのあるdir2の双方向予測が得られ、その予測ブロックから元のブロックを減算することによって得られる残差ブロックに、DCT−量子化−逆量子化−IDCT演算を実行して再構成された残差ブロックを得て、それから再構成された残差ブロックの下端の行、すなわちrsdl2を取り、再構成された残差ブロックの右端の列、すなわちrsdl3を取る。P(L0,T0,dir2)自体は方向dir2に従ってL0とT0によって生成されたA符号化ブロックの予測を示すが、本実施形態の式1において、それは実際には方向dir2に従ってL0とT0によって生成されたA符号化ブロックの予測から取られた下端の行を示す。一方、式2におけるP(L0,T0,dir2)は方向dir2に従ってL0とT0によって生成されたA符号化ブロックの予測から取られた右端の列を示す。
【0040】
同様に、B符号化ブロック、C符号化ブロック、およびD符号化ブロックの式が記載されることができる。B符号化ブロックに対して、その予測は、R1、T0に基づく左方向と上方向の予測およびT4に基づく右方向と下方向の予測を重み付けすることから得られる。それらの式は次の通りである:
式3:L2=P(R1, T0, dir3)*q3 + (1-q3)*P(T4, dir3)+rsdl4
式4:B2=P(R1, T0, dir3)*p3 + (1-p3)*P(T4, dir3)+rsdl5
【0041】
C符号化ブロックに対して、それは、L0、B1に基づく左方向と上方向の予測およびL4に基づく右方向と下方向の予測を重み付けすることから得られる双方向予測を使う。それらの式は次の通りである:
式5:T3=P(L0, B1, dir4)*q4 + (1-q4)*P(L4, dir4)+rsdl6
式6:R3=P(L0, B1, dir4)*p4 + (1-p4)*P(L4, dir4)+rsdl7
【0042】
D符号化ブロックに対して、それは、一方向の予測、すなわちB2とR3に基づく左方向と上方向の予測を使う。それらの式は次の通りである:
式7:T4=P(B2, R3, dir5)+rsdl8
式8:L4=P(B2, R3, dir5)+rsdl9
本実施形態には、8つのベクトル式があり、8つの未知のベクトルがある。それで、式は解かれることができる。
【0043】
上記は、残差ベクトルおよび左と上方の画素のソースが既に利用できるという条件の下でのイントラフレーム予測である。
最初の符号化では、左と上方の隣接した行と列、および元の4つの現在の画素ブロック、すなわち、A符号化ブロック、B符号化ブロック、C符号化ブロック、およびD符号化ブロックのみがある。このとき、最後以外のブロックに対して実際には双方向予測を実行することが必要とされるので、A符号化ブロック、B符号化ブロック、C符号化ブロック、およびD符号化ブロックの予測は直接生成される。ここで、最初に予測を生成するとき、最も左と上方の行と列に加えて、全ての残りは元の画素を使って予測を生成し、それから重み付けし、その予測から元の画素を減算することによって取得される差に変換−量子化−逆量子化−逆変換を実行して再構成された残差、すなわちrsdlを得る。
【0044】
本実施形態では、現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測の双方向予測が実行され、重み付けされる。現在の符号化ブロックと予測の参照画素の間の距離が近いので、予測の相関が高く、従って現在の動画像符号化ブロックの高い予測精度が達成され、水平方向に隣接した4つの符号化ブロックが同時に符号化され、符号化効率が更に改善される。
【0045】
上述した方法の実施形態に対応して、本発明の実施形態は、また、動画像符号化イントラフレーム予測装置を提供する。本発明の実施形態で提供される動画像符号化イントラフレーム予測装置が以下に記載される。
【0046】
図5は、本発明に係る動画像符号化イントラフレーム予測装置の構成のブロック図を示す。
本実施形態に係る動画像符号化イントラフレーム予測装置1は、左方向と上方向のイントラフレーム予測ユニット2、右方向と下方向のイントラフレーム予測ユニット3、および重み付けユニット4を含む。この場合において、:
左方向と上方向のイントラフレーム予測ユニット2は、現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するために使用される。:例えば、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とが両方とも存在するときには、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とに基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行する。;その場合、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないときには、存在する画素行または画素列のみに基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;対応する画素列も対応する画素行も存在しないときには、左方向と上方向のイントラフレーム予測は実行されない。;
右方向と下方向のイントラフレーム予測ユニット3は、現在の符号化ブロックにおいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するために使用される。:例えば、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とが両方とも存在するときには、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行する。;その場合、対応する画素列または画素行のいずれか一方が存在しないときには、存在する画素行または画素列のみに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行され、;対応する画素列も対応する画素行も存在しないときには、右方向と下方向のイントラフレーム予測は実行されない。
重み付けユニット4は、左方向と上方向のイントラフレーム予測ユニット2によって出力される左方向と上方向のイントラフレーム予測の予測結果と、右方向と下方向のイントラフレーム予測ユニット3によって出力される右方向と下方向のイントラフレーム予測結果とを重み付けするために使用される。
【0047】
本実施形態に係る動画像符号化イントラフレーム予測装置1は、上述した方法の実施形態に対応する動画像符号化イントラフレーム予測方法を実行するために使用され、対応する方法の実施形態の有利な効果を有する。そして、その記載は省略する。
【0048】
また、本発明の実施形態は、図6に示す電子装置を提供する。それはプロセサ601と、通信インタフェース602と、メモリ603と、通信バス604とを有する。この場合、プロセサ601と通信インタフェース602とメモリ603とは、通信バス604を介して互いに通信する。
メモリ603は、コンピュータプログラムを記憶するために使用される。;
プロセサ601は、メモリ603に記憶されているプログラムを実行することによって次のステップを実行するために使用される。:
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行し、予測結果を得るステップ;
得られた予測結果を重み付けするステップ。
【0049】
上述した電子装置に含まれる通信バスは、PCI(Peripheral Component Interconnect)バスまたはEISA(Extended Industry Standard Architecture)バス等であることができる。この通信バスはアドレスバス、データバス、制御バスなどに分類されることができる。表示しやすくするために、図には1本の太いラインのみが示されるが、それは1つのバスまたは1種類のバスのみがあることを意味しない。
通信インタフェースは、上述した電子装置と他の装置との間の通信のために使用される。
メモリは、RAM(random access memory)を含んでもよいし、または少なくとも1つのディスクメモリのようなNVM(non−volatile memory)を含んでもよい。また、任意には、メモリは上述したプロセサから離れて置かれた少なくとも1つの記憶装置であってよい。
上述したプロセサは、CPU(Central Processing Unit)、NP(Network Processor)などを含む汎用プロセサであることができる。;また、それは、DSP(Digital Signal Processing)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field−Programmable Gate Array)または他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲート、またはトランジスタ論理デバイス、ディスクリートハードコンポーネントであることができる。
【0050】
本実施形態で提供される解決策では、電子装置による動画像符号化のときに左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測が現在の符号化ブロックに対して実行され、それらが重み付けされることが分かる。現在の符号化ブロックと予測の参照画素の間の距離が近いので、予測の相関が高く、従って現在の動画像符号化ブロックの高い予測精度が達成され、符号化効率が改善される。
【0051】
この場合に、現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とが両方とも存在するとき、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とに基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とのいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とが両方とも存在するとき、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とのいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
【0052】
この場合において、上記現在の符号化ブロックは水平方向に隣接した2つの符号化ブロックであり、左から右への第1の符号化ブロックが第1の符号化ブロックであり、左から右への第2の符号化ブロックが第2の符号化ブロックである。;
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
第1の符号化ブロックに対して、第1の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と第1の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;第2の符号化ブロックの左端の画素列に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
第2の符号化ブロックに対して、第2の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と第1の符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。
【0053】
この場合において、上記現在の符号化ブロックは、垂直方向と水平方向に隣接した4つの符号化ブロックであることができ、左上の符号化ブロックがA符号化ブロックであり、右上の符号化ブロックがB符号化ブロックであり、左下の符号化ブロックがC符号化ブロックであり、そして右下の符号化ブロックがD符号化ブロックである。
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
A符号化ブロックに対して、A符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とA符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;B符号化ブロックの左端の画素列とC符号化ブロックの上端の画素行に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
B符号化ブロックに対して、B符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とA符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;D符号化ブロックの上端の画素行に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
C符号化ブロックに対して、A符号化ブロックの下端の画素行とC符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;D符号化ブロックの左端の画素列に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
D符号化ブロックに対して、B符号化ブロックの下端の画素行とC符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。
【0054】
本発明によって提供される他の実施形態では、また、読み取り可能なコンピュータ記憶媒体が命令を記憶し、その命令がコンピュータで実行されるとき、コンピュータが上述したいずれかの実施形態で記載された動画像符号化イントラフレーム予測方法を実行できることが提供される。
この場合において、上述した動画像符号化イントラフレーム予測方法は、次ぎのステップを含むことができる。
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行し、予測結果を得るステップ;
そして、得られた予測結果を重み付けするステップ。
【0055】
本実施形態で提供される解決策では、動画像符号化の間に左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測が現在の符号化ブロックに対して実行され、重み付けが実行されることが分かる。現在の符号化ブロックと予測の参照画素の間の距離が近いので、予測の相関が高く、従って現在の動画像符号化ブロックの高い予測精度が達成され、符号化効率が改善される。
【0056】
この場合に、現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とが両方とも存在するとき、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とに基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とのいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とが両方とも存在するとき、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とのいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
【0057】
この場合において、上記現在の符号化ブロックは水平方向に隣接した2つの符号化ブロックであり、左から右への第1の符号化ブロックが指定された第1の符号化ブロックであり、左から右への第2の符号化ブロックが指定された第2の符号化ブロックである。;
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
第1の符号化ブロックに対して、第1の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と第1の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;第2の符号化ブロックの左端の画素列に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
そして、第2の符号化ブロックに対して、第2の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と第1の符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。
【0058】
この場合において、上記現在の符号化ブロックは、垂直方向と水平方向に隣接した4つの符号化ブロックであることができ、左上の符号化ブロックがA符号化ブロックであり、右上の符号化ブロックがB符号化ブロックであり、左下の符号化ブロックがC符号化ブロックであり、そして右下の符号化ブロックがD符号化ブロックである。
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
A符号化ブロックに対して、A符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とA符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;B符号化ブロックの左端の画素列とC符号化ブロックの上端の画素行に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
B符号化ブロックに対して、B符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とA符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;D符号化ブロックの上端の画素行に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
C符号化ブロックに対して、A符号化ブロックの下端の画素行とC符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;D符号化ブロックの左端の画素列に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
そして、D符号化ブロックに対して、B符号化ブロックの下端の画素行とC符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。
【0059】
本発明によって提供される他の実施形態では、また、命令を含むコンピュータプログラムであって、コンピュータで実行されるときに、その命令によりコンピュータが上述したいずれかの実施形態で記載された動画像符号化イントラフレーム予測方法を実行することができるコンピュータプログラムが提供される。
この場合において、上述した動画像符号化イントラフレーム予測方法は、次のステップを含むことができる。:
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行し、予測結果を得るステップ;
そして、得られた予測結果を重み付けするステップ。
【0060】
本実施形態で提供される解決策では、動画像符号化の間に左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測が現在の符号化ブロックに対して実行され、重み付けが実行されることが分かる。現在の符号化ブロックと予測の参照画素の間の距離が近いので、予測の相関が高く、従って現在の動画像符号化ブロックの高い予測精度が達成され、符号化効率が改善される。
【0061】
この場合に、現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とが両方とも存在するとき、現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とに基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列と現在の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とのいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とが両方とも存在するとき、現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
現在の符号化ブロックの右に隣接した符号化ブロックの左端の画素列と現在の符号化ブロックの下方に隣接した符号化ブロックの上端の画素行とのいずれか一方が存在しないとき、存在する画素行または画素列のみに基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測を実行するステップ。;
【0062】
この場合において、上記現在の符号化ブロックは水平方向に隣接した2つの符号化ブロックであり、左から右への第1の符号化ブロックが指定された第1の符号化ブロックであり、左から右への第2の符号化ブロックが指定された第2の符号化ブロックである。;
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
第1の符号化ブロックに対して、第1の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と第1の符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;第2の符号化ブロックの左端の画素列に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
そして、第2の符号化ブロックに対して、第2の符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行と第1の符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。
【0063】
この場合において、上記現在の符号化ブロックは、垂直方向と水平方向に隣接した4つの符号化ブロックであることができ、左上の符号化ブロックがA符号化ブロックであり、右上の符号化ブロックがB符号化ブロックであり、左下の符号化ブロックがC符号化ブロックであり、そして右下の符号化ブロックがD符号化ブロックである。
現在の符号化ブロックにおいて左方向と上方向のイントラフレーム予測および右方向と下方向のイントラフレーム予測を含む双方向予測を実行する上記ステップは、以下を含むことができる。:
A符号化ブロックに対して、A符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とA符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;B符号化ブロックの左端の画素列とC符号化ブロックの上端の画素行に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
B符号化ブロックに対して、B符号化ブロックの上方に隣接した符号化ブロックの下端の画素行とA符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;D符号化ブロックの上端の画素行に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
C符号化ブロックに対して、A符号化ブロックの下端の画素行とC符号化ブロックの左に隣接した符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行され、;D符号化ブロックの左端の画素列に基づいて右方向と下方向のイントラフレーム予測が実行される。;
そして、D符号化ブロックに対して、B符号化ブロックの下端の画素行とC符号化ブロックの右端の画素列に基づいて左方向と上方向のイントラフレーム予測が実行される。
【0064】
上記実施形態では、ソフトウェア、ハードウェア、ファームウェア、またはそれらのいずれかの組合せによって全体的に、または部分的に実装されることができる。ソフトウェアを使うことによって実装されるとき、コンピュータプログラムの形で全体的に、または部分的に実装されることができる。前記コンピュータプログラムは、1つ以上のコンピュータ命令を含む。そのコンピュータプログラム命令がコンピュータにロードされ、実行されるとき、本発明の実施形態に従って記載されたプロセスまたは機能が全体的に、または部分的に生成される。そのコンピュータは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、コンピュータネットワーク、または他のプログラマブルデバイスであることができる。コンピュータ命令は、読み取り可能なコンピュータ記憶媒体に記憶され、または1つの読み取り可能なコンピュータ記憶媒体から他の読み取り可能なコンピュータ記憶媒体に送信されることができ、例えば、コンピュータ命令は、(同軸ケーブル、光ファイバ、デジタル加入者回線(DSL)のような)有線モードまたは(赤外線、無線、マイクロウエーブなどのような)無線モードを使って、ウェブサイトステーション、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタから他のウェブサイトステーション、コンピュータ、サーバ、またはデータセンタに送信されることができる。読み取り可能なコンピュータ記憶媒体は、コンピュータがアクセスできる利用可能な媒体、または1つ以上の利用できる媒体の統合を含むサーバ、データセンタなどのようなデータ記憶装置であることができる。利用可能な媒体は、(フロッピーディスク、ハードディスク、磁気テープのような)磁気媒体、(DVDのような)光媒体、または(SSD(Solid State Disk)のような)半導体媒体などであることができる。
【0065】
上述した装置の実施形態は例示に過ぎない。分離された構成要素として示されたユニットは物理的に分離されていてもいなくてもよく、ユニットとして示された構成要素は物理的なユニットであってもなくてもよい。すなわち、それは1つの場所に配置されることも、複数のネットワークユニットに分散されることもできる。本実施形態の解決策の目的を達成するために、実際の必要に応じてモジュールの一部またはすべてが選択されることができる。通常の当業者は、いかなる創造的な努力もなしに理解し、実装するであろう。
【0066】
上述した実施形態の記載で、それらの当業者は、様々な実施形態をソフトウェアと必要な一般的ハードウェアプラットフォームによって実現することができ、もちろんハードウェアによって実現することができることは明白であろう。この理解に基づいて、上記技術的解決策は基本的に、または先行技術に寄与する技術的な解決策の一部は、ソフトウェア製品の形で具体化されることができる。;様々な実施形態または実施形態のいくつかの部分に記載された方法を実行するために、コンピュータソフトウェア製品は、(ROM/RAM、磁気ディスク、またはコンパクトディスクなどのような)読み取り可能なコンピュータ記憶媒体に記憶され、(パーソナルコンピュータ、サーバ、ネットワークデバイスなどであることができる)コンピュータデバイスを有効にする多数の命令を含むことができる。
【0067】
最後に、上記実施形態は、単に本発明の技術的な解決策を例示するために使用されており、それらを制限することを意図しないことが注意されるべきである。;上記実施形態を参照して本発明を詳細に説明したが、上記実施形態に記載された技術的解決策は修正され、またはその技術的な特徴の一部を同等のものに置き換えられることができ、一方これらの修正または置き換えは本発明の様々な実施形態の技術的な解決策の精神および範囲から逸脱しないことを通常の当業者は理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6