特許第6697611号(P6697611)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6697611
(24)【登録日】2020年4月28日
(45)【発行日】2020年5月20日
(54)【発明の名称】高活性NK細胞、およびその利用
(51)【国際特許分類】
   A61K 35/17 20150101AFI20200511BHJP
   C12N 5/0783 20100101ALI20200511BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20200511BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20200511BHJP
   A61K 47/68 20170101ALI20200511BHJP
   A61P 31/00 20060101ALI20200511BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20200511BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20200511BHJP
【FI】
   A61K35/17 A
   C12N5/0783
   A61P43/00 105
   A61K39/395 D
   A61K39/395 N
   A61K39/395 C
   A61K39/395 L
   A61P43/00 121
   A61K47/68
   A61P31/00
   A61P35/00
   A61P35/02
【請求項の数】4
【全頁数】19
(21)【出願番号】特願2019-94305(P2019-94305)
(22)【出願日】2019年5月20日
(62)【分割の表示】特願2017-95288(P2017-95288)の分割
【原出願日】2017年5月12日
(65)【公開番号】特開2019-137696(P2019-137696A)
(43)【公開日】2019年8月22日
【審査請求日】2019年5月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596029111
【氏名又は名称】米満 吉和
(73)【特許権者】
【識別番号】516061713
【氏名又は名称】株式会社ガイアバイオメディシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】米満 吉和
(72)【発明者】
【氏名】原田 結
(72)【発明者】
【氏名】寺石 紘司
【審査官】 横田 倫子
(56)【参考文献】
【文献】 韓国公開特許第2012−0090485(KR,A)
【文献】 国際公開第2017/042393(WO,A1)
【文献】 国際公開第2012/176796(WO,A1)
【文献】 国際公開第2017/042395(WO,A1)
【文献】 特表2006−528627(JP,A)
【文献】 血液内科, 2017 Jan, Vol.74 No.1, p.51-57
【文献】 BIO Clinica, 2015, Vol.30 No.3, p.243-247
【文献】 Retrovirorogy, 2015, Vol.12 Suppl 1, p.No.023
【文献】 Frontiers in Immunology,2015年 7月,Vol. 6, Article 368,pp. 1-15
【文献】 Scandinavian Journal of Immunology,2007年,Vol. 65,pp. 126-138
【文献】 J Immunol, 2015, Vol.194, p.3513-3525
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 35/00
A61K 39/00
A61K 47/00
A61P
C12N 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗体が結合したNK細胞の集団を含む医薬組成物であって、NK細胞の集団が、健常人由来末梢血単核球から、CD3ビーズ(CliniMACS CD3, ミルテニーバイオテク社, カタログ番号130-017-601)、LDカラム(ミルテニーバイオテク,130-042-901)及び分離バッファー(0.5%ヒトAB型血清 (非働化処理したもの)、2mM EDTAを含むPBS)を用いてCD3陽性細胞を除去した細胞集団を、NK培地I(5%ヒトAB型血清(非働化処理したもの)を添加したコスメディウム008(コスモバイオ,COS-008))で14日間培養して得られ、下記(1)および(3)の特徴を備えるNK細胞の集団である、医薬組成物:
(1)CD16陽性、CD56高発現性、かつCD57陰性である。
(3)該NK細胞をエフェクター細胞(E)とし、K562細胞を標的細胞(T)として混合比(E:T)1:1で共培養した場合の細胞傷害活性が50%以上である。
【請求項2】
NK細胞の集団が、CD56陽性であり、かつCD57陰性であるNK細胞を60%以上含む、請求項に記載の医薬組成物。
【請求項3】
(1)および(3)の特徴を備えるNK細胞が、さらに下記(2)の特徴を備える、請求項またはに記載の医薬組成物:
(2)NKG2C陽性、NKG2A陰性〜低発現性、およびCD94陽性である。
【請求項4】
抗体依存性細胞傷害(Antibody-Dependent-Cellular-Cytotoxicity、ADCC)を誘導するための、請求項のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い細胞傷害活性を有するナチュラルキラー細胞(NK細胞)とその利用に関する。
【背景技術】
【0002】
ナチュラルキラー細胞(NK細胞)は、自然免疫の主要因子として働く細胞傷害性のリンパ球である。ヒト末梢血NK細胞は、CD16陽性であり、CD56を低いレベルで発現していること、CD57陽性であることが知られている(非特許文献1、2)。
【0003】
NK細胞による細胞傷害の機構の一つとして、抗体依存性細胞傷害(Antibody dependent cellular cytotoxicity、ADCC)が知られている。NK細胞はその細胞表面上にFc受容体(CD16)を有するが、ADCCは、NK細胞がFc受容体を介して標的細胞に結合した抗体に結合し、標的細胞の傷害を行う機構である。
【0004】
NK細胞は腫瘍細胞やウイルス感染細胞の拒絶において重要である。患者自身から採取したNK細胞を、外での培養により数百倍〜数千倍に増殖・活性化させ、患者に戻すNK細胞療法が、副作用の比較的少ない治療方法として注目されている。通常、正常な成人の末梢血の1回のアフェレーシスからは約1×1010個の単核球が回収でき、末梢血単核球中のNK細胞の構成比率を約7%とすると、7×108個のNK細胞が得られる。一方、患者の体重を60kgとすると、6×106個〜4.8×109個のNK細胞が必要であるといわれる。そこで、ドナーから得たNK細胞を培養増幅して、標的細胞を死滅させるのに十分なNK細胞を得る技術の開発が進められている。例えば、特許文献1は、NK細胞を含む細胞集団を調製するステップと、NK細胞を含む細胞集団からT細胞を除去するステップと、除去された残りの細胞を、2500IU/mLないし2813IU/mLのIL−2だけをサイトカインとして含む培地でフィーダー細胞を用いることなく培養するステップとを含むことを特徴とする、NK細胞の増幅方法を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−27385号公報(特許第5572863号)
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Lorenzo,M.、Blood、116:3689(2010)
【非特許文献2】有馬靖佳、日本造血細胞移植学会雑誌、第3巻、第1号:12(2014)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らの検討によると、末梢血から得られる初代のNK細胞はCD16高発現性であるが、NK細胞をエフェクター細胞(E)とし、K562細胞を標的細胞(T)として混合比(E:T)1:1で共培養した場合の細胞傷害活性は、10〜20%程度である。細胞傷害活性がより高いNK細胞があれば望ましい。
【0008】
また、多くの抗体医薬は、NK細胞によるADCC活性をその作用機序の一つとしている。NK細胞がADCC活性を発揮するためには、NK細胞表面にあるCD16が抗体依存性細胞傷害を誘導可能な抗体に結合することが必要である。しかしながら、抗体医薬とNK細胞療法とを効果的に組み合わせることに関する報告は、これまでに無い。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下を提供する:
[1] 下記(1)および(2)の特徴を備えるNK細胞、またはその集団:
(1)CD16陽性、CD56高発現性、かつCD57陰性である。
(2)NKG2C陽性、NKG2A陰性〜低発現性、およびCD94陽性である。
[2] CD16高発現性であるNK細胞の集団、およびCD16低発現性であるNK細胞の集団を含む、1に記載の集団。
[3] CD16高発現性である、1に記載のNK細胞、またはその集団。
[4] CD16低発現性である、1に記載のNK細胞、またはその集団。
[5] さらに下記(3)の特徴を備える、1〜4のいずれか1項に記載のNK細胞、またはその集団:
(3)該NK細胞をエフェクター細胞(E)とし、K562細胞を標的細胞(T)として混合比(E:T)1:1で共培養した場合の細胞傷害活性が50%以上である。
[6] 下記を含む、1〜5のいずれか1項に記載のNK細胞またはその集団の調製方法:
初代NK細胞の集団を、IL−2を含む培地、または無血清培地で培養する工程。
[7] 初代NK細胞の集団が、CD3陽性細胞を除去する工程を経たものである、6に記載の調製方法。
[8] 1〜5のいずれか1項に記載のNK細胞の集団、および医薬として許容される添加物を含む、医薬組成物。
[9] NK細胞の集団、および治療上有効量の抗体を含む、医薬組成物。
[10] NK細胞の集団が、1〜5のいずれか1項に記載のNK細胞の集団である、9に記載の医薬組成物。
[11] 抗体が、抗体依存性細胞傷害(Antibody-Dependent-Cellular-Cytotoxicity、ADCC)を誘導可能なものである、9または10に記載の医薬組成物。
[12] 抗体の少なくとも一部がNK細胞に結合している、9〜11のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】培養14日目のNK細胞における、主な細胞表面マーカーの発現。CD16の発現は2峰性であった。
図2A】14日目のNK細胞の、CD56とCD16による特徴づけ。14日目のNK細胞は、CD56high/CD16highNK細胞((i)集団)と、CD56high/CD16lowNK細胞((ii)集団)を含んでいた。
図2B】14日目のNK細胞の特徴。通常Stage5(活性化型、あるいは成熟型)のマーカーとされるCD57の発現はみられなかった。
図2C】14日目のNK細胞の特徴。NKG2C陽性、NKG2A陰性〜低発現性、CD94陽性であった。
図3】無血清、CTS添加培地を用いて培養した14日目のNK細胞。NK細胞全体に占める(i)群 の割合を高めることができた。
図4】(i)群および(ii)群の細胞傷害活性。(i)群、(ii)群とも、細胞傷害活性は50%を超えた。
図5】(i)群および(ii)群の細胞傷害活性。Dinutuximab添加群では、さらに高い細胞傷害活性がみられた。
図6】抗体医薬+NK細胞の効果。モガムリズマブ に関しては、premix群で最も高い細胞傷害活性がみられた。
図7】モガムリズマブとインキュベートしたNK細胞の解析結果。NK細胞にモガムリズマブが結合していることが確認できた。(i)群のみならず、モガムリズマブが高濃度である条件では(ii)群にもモガムリズマブを結合させることができた。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[NK細胞、NK細胞集団]
本発明は、下記(1)の特徴を備えるNK細胞、またはその集団を提供する:
(1)CD16陽性、CD56高発現性、かつCD57陰性である。
上記のNK細胞、またはその集団は、また下記(2)の特徴を備える:
(2)NKG2C陽性、NKG2A陰性〜低発現性、およびCD94陽性である。
上記のNK細胞、またはその集団は、さらに下記(3)の特徴を備えていてもよい:
(3)該NK細胞をエフェクター細胞(E)とし、K562細胞を標的細胞(T)として混合比(E:T)1:1で共培養した 場合の細胞傷害活性 が50%以上である。
【0012】
NK細胞は、T細胞受容体(TCR)、T細胞普遍的マーカーであるCD3、および膜免疫グロブリンであるB細胞受容体を発現していない大型の顆粒性リンパ球であり、通常ヒトではCD16陽性であり、かつCD56陽性である。NK細胞であるか否かは、当業者であれば、細胞表面マーカーの発現パターン等に基づき容易に判断することができる。NK細胞は、細胞傷害活性を有し、この細胞傷害活性の有無や程度は、公知の種々の方法で測定することができる。NK細胞というときは、特に記載した場合を除き、末梢血NK細胞、初代NK細胞、培養NK細胞、活性化NK細胞、本発明により得られるNK細胞等、種々のNK細胞を包含する。
【0013】
<細胞集団>
細胞集団とは、複数個の細胞、例えば1×105cells以上の細胞で構成される一群をいう。NK細胞の集団は、50%を超える純度(純度(%)=NK細胞の個数/全細胞の個数×100)でNK細胞を含む集団である。NK細胞は、ヒトの抹消血中では、通常リンパ球の10〜30%を占める。すなわち、末梢血中での純度は50%以下であることは明らかである。したがって、NK細胞の集団は、天然には存在しないといえる。NK細胞の集団はまた、様々な細胞密度に調製することができる。例えば、1×105cells/mL以上に調製することができる。
【0014】
本発明により提供されるNK細胞の集団におけるNK細胞の純度は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。NK細胞の集団に含まれるNK細胞の数は、好ましくは1×106cells以上であり、より好ましくは5×106cells以上であり、さらに好ましくは1×107cells以上である。NK細胞の集団に含まれるNK細胞の数はまた、ヒトへの投与に適した1×106cells〜1×1010cellsとすることができる。また、NK細胞の集団における細胞密度は、1×105cells/mL以上であり、好ましくは2×105cells/mL以上であり、より好ましくは5×105ells/mL以上であり、さらに好ましくは1×106cells/mL以上である。細胞密度の上限値は、例えば1×1010cells/mL以下とすることができる。NK細胞の集団における細胞密度はまた、培養や凍結保存に適した1×106〜1×108cells/mLとすることができ、またヒトへの投与に適した1×105〜1×109cells/mLとすることができる。
【0015】
<特徴(1)>
本発明により提供されるNK細胞、またはその集団は、CD16高発現性であるか、またはCD16低発現性である。また、本発明により提供されるNK細胞の集団は、CD16高発現性であるNK細胞の集団、およびCD16低発現性であるNK細胞の集団の双方を含んでいてもよい。双方を含む細胞集団は、フローサイトメトリー法でCD16に関して解析すると、二峰性となる。また、本発明により提供されるNK細胞、またはその集団は、CD56高発現性である。CD56は、NK細胞のマーカーとして有用な抗原であることが知られている。さらに本発明により提供されるNK細胞、またはその集団は、CD57の発現はみられない。CD57は、Stage5(活性化型、あるいは成熟型)のマーカーとして知られている。
【0016】
CD16等のマーカーに関し、陽性であることは、+で表され、陰性であることは−で表されることがある。例えば、CD16陽性は、CD16+と表され、CD16陰性は、CD16-と表されることがある。陽性は、高発現性である場合と低発現性である場合を含む。高発現性であることは、high、brightと表されることがある。例えば、CD16高発現性は、CD16high、CD16brightと表されることがある。低発現性であることは、low、dimと表されることがある。例えば、CD16低発現性は、CD16low、CD16dimと表されることがある。
【0017】
陽性、陰性、高発現性、低発現性は、フローサイトメトリー法により得られるチャートに基づき、判断することができる。チャートに現れる位置は、機器の電圧設定、感度設定、使用抗体クローン、染色条件、使用色素等により変動することがあるが、当業者であれば、得られたチャートにおいて一群と認められる細胞集団を切り分けないように適宜線引きすることができる。
【0018】
目的のマーカーの発現が、陽性であるか陰性であるかの判断には、アイソタイプ・コントロール(Isotype control)抗体を用いた場合をネガティブ・コントロールとして用いて判断することができる。Isotype control抗体は特定の抗原とは反応しない抗体である。一般に、抗体を用いた実験においては、ターゲット以外のタンパク質との非特異的な結合や、細胞表面上の Fc レセプターとの結合によって、バックグラウンドが発生する可能性がある。ネガティブ・コントロールとなる抗体を使用した系と比較することにより、目的の抗原に対する一次抗体の反応が特異的であることが明確になる。またバックグラウンドの影響が排除され、シグナルの強さを正確に解釈することができる。
【0019】
目的のマーカーの発現の程度(低発現性であるか、高発現性であるか)は、同一条件で測定した対照細胞の結果との比較により、判断することができる。対照細胞の例は、本願明細書の実施例の項に記載したprimary NKのような、末梢血から得た、実質的な培養を行なっていないNK細胞である。
【0020】
例えば、あるNK細胞の集団におけるCD16の発現の程度は、フローサイトメトリーを用い、その細胞集団におけるCD16発現量を、末梢血から得た実質的な培養を行なっていないNK細胞の集団(対照。CD16高発現性であることが知られている。)におけるCD16発現量と比較し、対照と同等の発現が見られる場合は高発現性であると判断し、対照細胞より発現が低い場合は低発現性であると判断することができる。
【0021】
またCD56に関しては、一般に、stage4のNK細胞(幹細胞から、pro−NK、pre−NK、immature−NKの段階を経た、若いNK細胞。)はCD56brightであり、stage5のNK細胞(stage4 のNK細胞の中で転写因子MCM4が活性化すると、NK細胞はstage5に分化する。)はCD56dimと理解されている。したがって、あるNK細胞の集団におけるCD56の発現の程度は、stage4のNK細胞の集団、およびstage5のNK細胞の集団の少なくとも一方との比較により、判断してもよい。
【0022】
これまで知られているNK細胞と本発明により得られるNK細胞の特徴を、以下にまとめた(非特許文献1、2参照)。
【0023】
【表1】
【0024】
上図は、フローサイトメトリー法で、CD16およびCD56について評価した場合に得られるチャートの概念図である。a〜dと非特許文献1で報告されている図中の細胞とは、次のように対応する。
a:CD56bright,CD94+++,KIR-,CD16-,perforin+-
b:CD56dim,CD94++,KIR-,CD16+-,perforin+
c:CD56dim,CD94+,KIR+-,CD16+,perforin++
d:CD56dim,CD94+-,KIR+,CD16++,CD57+,perforin+++
【0025】
末梢血から得られる初代の(primary)NK細胞は、CD16高発現性である。また、一般に、CD16高発現性であるNK細胞は、CD56dim/CD57+であることが知られている。これまでにCD16high/CD56high/CD57-のNK細胞は報告されていない。
【0026】
<特徴(2)>
本発明によって提供されるNK細胞はまた、NKG2C陽性、NKG2A陰性〜低発現性、およびCD94陽性である。NKG2A陰性〜低発現性CD94の発現は、NK細胞の大部分に見られる。CD94は、NKG2ファミリーの分子の一つとジスルフィド結合して、MHCクラスI分子に対する受容体を形成する。NKG2Cは主にNK細胞に発現しており、NK細胞の活性化に関与し、CD94/NKG2Cヘテロダイマーが活性化受容体として機能することが知られている。CD94/NKG2Aヘテロダイマーは、MHCクラスIに対する抑制性受容体である。NKG2A陰性〜低発現性は、NKG2A陰性である場合、NKG2Aのごく弱い発現がある場合、およびNKG2A低発現性である場合を含む。
【0027】
本発明により提供されるNK細胞、またはその集団は、本発明者らの検討によると、非特許文献1により報告されているNK細胞(上記a〜d参照)との比較では、CD94++、KIR+、かつperforim+++である。
【0028】
本発明により提供されるNK細胞、またはその集団は、(2)の特徴に加えて、または(2)の特徴に変えて、下記(2−1)により、既存のNK細胞、またはその集団と区別することができる。
(2−1)KIR(s)(Killer cell Immunoglobulin−like Receptor(s))陽性である。
【0029】
KIR(s)陽性とは、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL4、KIR2DL5、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、およびKIR3DS1からなる群より選択される少なくとも一つが陽性であることをいう。
【0030】
本発明により提供されるNK細胞、またはその集団は、(2)の特徴に加えて、または(2)の特徴に変えて、下記(2−2)により、既存のNK細胞、またはその集団と区別することができる。
(2−2)NKp44陽性、NKp30高発現性、およびNKp46高発現性からなる群より選択されるいずれか1つ、好ましくはいずれか2つ、好ましくはすべてを満たす。
【0031】
NKp44は、通常、初代のNK細胞では陰性である。NKp30は、MHC非拘束性の細胞障害を惹起するNK特異的な標的受容体であり、NKp46、NKp44とともに、これまでに同定されているNatural Cytotoxicity Receptor(NCR)の一つである。NKp30の発現は、NKp46と並行しており、NKp46brightであるNK細胞はNKp30brightであることが知られている。また、NKp30brightであることは、細胞障害活性が高いことに相関することが知られている。本発明により提供されるNK細胞、またはその集団が(2−2)により特徴づけられることは、本願明細書の実施例1および図1を参照することができる。
【0032】
なお、NK細胞の分化段階ごとの表面マーカーの発現パターンに関しては、次の文献を参照することができる。
非特許文献3:Luetke-Eversloh M., M. Killig, C. Romagnani. 2013. Signatures of human NK cell development and terminal differentiation. Front. Immunol. 4: 499.PubMedGoogle Scholar
【0033】
<特徴(3)>
本発明により提供されるNK細胞、またはその集団は、高い細胞傷害活性を発揮しうる。細胞傷害活性とは、特に記載した場合を除き、対象細胞(エフェクター細胞、E)の標的細胞(T)に対する溶解能を指す。細胞傷害活性は、エフェクター細胞により死に至った標的細胞の百分率(%)で表すことができ、次式により求められる。
【0034】
(エフェクター細胞と共培養した場合の細胞死−自然細胞死(陰性コントロール))/(最大細胞死(陽性コントロール)−自然細胞死(陰性コントロール))×100
【0035】
細胞傷害活性の測定に際しては、一般的には、エフェクター細胞の細胞傷害活性の程度等に応じ、エフェクター細胞と標的細胞の混合比(E:T)、エフェクター細胞と標的細胞の共培養の時間は、用いる細胞の種類や活性の強さに応じて適宜とすることができる。NK細胞をエフェクター細胞とするとき、標的細胞は、K562細胞、急性骨髄性白血病細胞、慢性骨髄性白血病細胞の場合があるが、これらに限定されない。エフェクター細胞と標的細胞、生細胞と死細胞は、放射性物質、蛍光色素等で標識した抗体等の試薬により、区別し、また定量することができる。NK細胞をエフェクター細胞とするときの細胞傷害活性は、例えばK562細胞を標的細胞とし、E:T=1:0.05〜10、好ましくは1:0.1〜5とし、インキュベート時間を0.5〜18時間、好ましくは1〜12時間の条件で測定することができる。
【0036】
本発明によって提供されるNK細胞、またはその集団は、標的細胞をK562細胞とし、E:T=1:1で混合し、1〜3時間、より特定すると2時間、共培養した場合の細胞傷害活性が50%以上であり、60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましい。
【0037】
末梢血から得られる初代のNK細胞は、細胞傷害活性が低い。これまでにCD16high/CD56high/CD57-であり、かつ細胞傷害活性が高いNK細胞は報告されていない。
【0038】
[NK細胞、またはその集団の調製方法]
本発明は、上記のNK細胞またはその集団の、下記を含む調製方法を提供する:
初代NK細胞の集団を、IL−2を含む培地で培養する工程。
【0039】
<初代NK細胞>
本発明の調製方法において、初代NK細胞の集団は、被験者から採取された血球細胞から単核球を分離する工程によって得ることができる。血球細胞は、末梢血、臍帯血、骨髄および/またはリンパ節から採取される場合がある。血球細胞は末梢血からアフェレーシス法により採取される場合がある。
【0040】
本発明の調製方法において、初代NK細胞の集団は、胚性幹細胞、成体幹細胞および人工多能性幹(iPS)細胞からなるグループから選択されるいずれかの幹細胞由来の造血幹細胞と、臍帯血由来の造血幹細胞と、末梢血由来の造血幹細胞と、骨髄血由来の造血幹細胞と、臍帯血単核球と、末梢血単核球とからなる群から選択される少なくとも1種類の細胞から調製される場合がある。初代NK細胞集団のドナーである被験者は、レシピエントである患者自身か、該患者の近縁者か、患者とは血縁関係のない者かに由来する場合がある。被験者は、健常者と、疾患に罹患した患者との場合がある。NK細胞は、レシピエントの主要組織適合性抗原(MHC)と、キラー免疫グロブリン様受容体(Killer Immunoglobulin−like Receptor:KIR)とが不一致であるドナーに由来する場合がある。
【0041】
本発明の調製方法において、初代NK細胞の集団からは、T細胞が除去されていてもよい。T細胞の除去は、CD3陽性細胞を除去する工程によって達成される場合がある。
【0042】
本発明のNK細胞の調製方法は、初代NK細胞の集団から造血前駆細胞を除去する工程を含む場合がある。NK細胞を含む細胞集団から造血前駆細胞を除去する工程は、CD34陽性細胞を除去する工程によって達成される場合がある。
【0043】
初代NK細胞の集団は、当業者に知られたさまざまな手順を用いて調製することができる。例えば、臍帯血および末梢血のような血液から単核球を回収する際には、比重遠心法を用いることができる。またNK細胞は、免疫磁気ビーズを用いて採取することができる。さらに初代NK細胞の集団は、細胞表面マーカーに対する特異的抗体で免疫蛍光染色を行い、FACS(Fluorescence activated cell sorter)またはフローサイトメーターを用いて単離・同定できる。また、初代NK細胞の集団は、Invitrogen社から販売されるDynal社製Dynabeads(商標)や、ミルテニーバイオテック社のCliniMACS(商標)を含むがこれらに限定されない免疫磁気ビーズを用いて、細胞表面抗原CD3および/またはCD34を発現する細胞を分離除去して調製されてもかまわない。また、T細胞および/または造血前駆細胞に対する特異的結合パートナーを利用して、T細胞および/または造血前駆細胞を選択的に傷害または死滅させる場合がある。なお、T細胞を除去する工程は、他の細胞タイプ、例えば、造血前駆細胞、B細胞および/またはNKT細胞をT細胞とともに除去する工程であってもかまわない。造血前駆細胞を除去する工程は、他の細胞タイプ、例えば、T細胞、B細胞および/またはNKT細胞を造血前駆細胞とともに除去する工程であってもかまわない。
【0044】
<培地>
初代NK細胞の集団を培養するために用いる細胞培養用培地は、KBM501培地(コージンバイオ株式会社。IL−2を1,750JRU/ml含む。ヒトNK細胞Primary Culture用)、CellGro SCGM培地(セルジェニックス、岩井化学薬品株式会社)、X−VIVO15培地(ロンザ、タカラバイオ株式会社)、コスメディウム008 (コスモバイオ。IL−2を1,750JRU/ml含む。ヒトNK細胞Primary Culture用)、CTS AIM V Medium GibcoTM CTSTM AIM VTM Medium(サーモフィッシャーサイエンティフィック。T細胞および樹状細胞を増殖・操作するための既知組成の無血清培地)、CTS OpTmizer T Cell Expansion Basal Medium(サーモフィッシャーサイエンティフィック。ヒトTリンパ球の成長および増殖用)、IMDM、MEM、DMEM、RPMI−1640等を含むが、これらに限定されない。
【0045】
培地には、インターロイキン−2(IL−2)が、本発明の目的を達成できる濃度で添加される場合がある。IL−2の濃度は、2500IU/mL〜2813IU/mLの場合がある。IL−2は、ヒトのアミノ酸配列を有することが好ましく、安全上、組換えDNA技術で生産されることが好ましい。IL−2の濃度は、国内標準単位(JRU)および国際単位(IU)で示される場合がある。1IUが約0.622JRUであるから、既存の培地の1750JRU/mLは、約2813IU/mLに相当する。
【0046】
培地には、被験者の自家血清、BioWhittaker社その他から入手可能なヒトAB型血清や、日本赤十字社から入手可能な献血ヒト血清アルブミンが添加される場合がある。自家血清およびヒトAB型血清は1ないし10%の濃度で添加されることが好ましく、献血ヒト血清アルブミンは1ないし10%の濃度で添加されることが好ましい。
【0047】
培地には、NK細胞の増幅効果を損なわないことを条件として、適切なタンパク質、サイトカイン、抗体、化合物その他の成分が含まれる場合がある。サイトカインは、インターロイキン3(IL−3)、インターロイキン7(IL−7)、インターロイキン12(IL−12)、インターロイキン−15(IL−15)、インターロイキン−21(IL−21)、幹細胞因子(SCF)、および/または、FMS様チロシンキナーゼ3リガンド(Flt3L)の場合がある。IL−3、IL−7、IL−12、IL−15、IL−21、SCFおよびFlt3Lは、ヒトのアミノ酸配列を有することが好ましく、安全上、組換えDNA技術で生産されることが好ましい。
【0048】
培地は、無血清培地であることが好ましい。無血清培地は、血清アルブミン、トランスフェリン、およびインスリンを含んでいることが好ましい。リンパ球を培養するための無血清培地が開発、市販されており、本発明においてそれらを利用することができる。無血清培地の好ましい例の一つは、基礎培地に、ヒトT 細胞の増殖をサポートする組成として市販されているCTS Immune Cell SR(サーモフィッシャーサイエンティフィック)を添加したものである。
【0049】
培地の交換は、所望のNK細胞の細胞数が得られることを条件として、培養開始後いつ行われてもかまわないが、3〜5日毎が好ましい。
【0050】
培養の際に用いる培養容器は、商業的に入手可能なディッシュ、フラスコ、プレート、マルチウェルプレートを含むが、これらに限定されない。培養条件は、NK細胞の増幅効果を損なわないことを条件として特に限定されないが、37°C、5%CO2および飽和水蒸気雰囲気下の培養条件が一般的である。培地で培養する期間が長いほどより多くのNK細胞が得られるので有利である。培養期間は、NK細胞を所望の細胞数まで増幅することを条件として、特に限定されない。
【0051】
培養により得られた所定のNK細胞の集団は、目的のNK細胞に加えて、NK細胞前駆体、T細胞、NKT細胞、造血前駆細胞等を含む場合がある。培養後、目的のNK細胞、またはその集団が、例えば比重遠心法、免疫磁気ビーズ、FACS、フローサイトメトリー等を用いて選択される場合がある。例えば、抗CD3抗体、抗CD16抗体、抗CD34抗体、抗CD56抗体、抗CD69抗体、抗CD94抗体、抗CD107a抗体、抗KIR3DL1抗体、抗KIR3DL2抗体、抗KIR2DL3抗体、抗KIR2DL1抗体、抗KIR2DS1抗体、抗KIR2DL5抗体、抗NKp46抗体、抗NKp30抗体、抗NKG2D抗体等を用いて、目的のNK細胞、またはその集団が選択的に分離される場合がある。抗体は、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体等の場合がある。目的のNK細胞、またはその集団の選択は、T細胞、NKT細胞、造血前駆細胞その他の細胞を選択的に除去して行われる場合がある。
【0052】
[NK細胞またはその集団の利用]
本発明は、NK細胞の集団、および医薬として許容される添加物を含む、医薬組成物を提供する。本発明はまた、NK細胞の集団、および治療上有効量の抗体を含む、医薬組成物を提供する。医薬として許容される添加物としては、例えば等張化剤、pH調整剤、緩衝剤、安定化剤、凍結保護剤、抗生物質等を例示できる。具体的には、水、エタノール、塩化ナトリウム、ブドウ糖、アルブミン等が挙げられる。本発明の医薬組成物に含まれるNK細胞の集団は、上記の、本発明によって提供されるNK細胞の集団であることが好ましい。また本発明の医薬組成物に含まれるNK細胞の集団は、CD16高発現性であってもよく、いずれの場合であっても、細胞傷害活性が高いNK細胞の集団であることがより好ましい。
【0053】
本発明の医薬組成物に用いる抗体は、抗体医薬品として使用可能なものであることが好ましい。また、抗体依存性細胞傷害(Antibody−Dependent−Cellular−Cytotoxicity、ADCC)を誘導可能なものであることが好ましい。本発明の医薬組成物に用いる抗体は、マウス抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体のいずれでもよいが、ヒト化抗体、またはヒト抗体であることが好ましい。用いる抗体はまた、修飾されていてもよく、ポテリジェント技術(IgGのFc領域のフコースを除去)により作成されたものであってもよい。
【0054】
抗体医薬品として用いられており、本発明の医薬組成物に用いることのできる抗体の具体例としては、ibritumomabtiuxetan、iodine131、catumaxomab、blinatumomab、muromonab−CD3、abciximab、rituximab、basiliximab、infliximab、cetuximab、brentuximab、siltuximab、dinutuximab、obiltoxaximab、daclizumab、palivizumab、trastuzumab、gemtuzumab、alemtuzumab、omalizumab、efalizumab、bevacizumab、natalizumab、tocilizumab、ranibizumab、eculizumab、certolizumabpegol、mogamulizumab、pertuzumab、trastuzumab、obinutuzumab、vedolizumab、pembrolizuma、idarucizumab、mepolizumab、elotuzumab、daratumumab、ixekizumab、reslizumab、adalimumab、panitumumab、golimumab、ustekinumab、canakinumab、ofatumumab、denosumab、ipilimumab、belimumab、raxibacumab、ramucirumab、nivolumab、secukinumab、evolocumab、alirocumab、およびnecitumumabを挙げることができる。
【0055】
本発明の医薬組成物に用いる抗体は、CD16に親和性の高いものであることが好ましい。また、本発明の医薬組成物において、抗体の少なくとも一部は、NK細胞に結合していることが好ましい。本発明者らの検討によると、抗体としてポテリジェント技術を用いて作成されたモガムリズマブ(mogamulizumab)を用いた場合、NK細胞と標的細胞との共培養中に抗体を存在させた系と、予めNK細胞と抗体とを混合し、標的細胞と共培養する前にNK細胞を洗浄した後に(細胞に結合していない抗体が除去される)共培養を行った系とでは、後者において、より高い細胞傷害活性が見られた。その一方で、同条件でdinutuximabを用いた場合には、予めNK細胞と抗体とを混合しておくことによる効果が見られなかった。このことは、CD16に親和性の高い抗体であれば、予めNK細胞と混合しておくことによりNK細胞に抗体が結合することにより高いADCC活性が発揮されうるということを示唆している。なお、条件を検討すれば、dinutuximabでも同様の効果が得られる可能性があると考えられる。
【0056】
本発明の医薬組成物は、用時に調製されることがある。例えば、本発明の医薬組成物は、NK細胞の集団と抗体とを別の容器に保持した状態で維持し、対象への投与の直前〜数時間前に、混合することにより調製することができる。
【0057】
本発明の医薬組成物は、NK細胞集団と抗体とを混合した後、NK細胞と結合していない抗体を除去する工程を経て、調整されていてもよい。すなわち、本発明の医薬組成物の好ましい態様の一つは、NK細胞と抗体を含むが、抗体はNK細胞に結合しており、NK細胞に結合していない抗体が実質的に含まれないものである。
【0058】
抗体医薬品の多くは静脈内投与後、ADCC活性による抗腫瘍効果を示すとされる。その一方で、ADCC活性を発揮する際にはNKの他に単球/マクロファージや好中球も動員される。そしてNK細胞以外のエフェクターは、正常細胞とがん細胞とを区別せずにADCC活性を示し、それは副作用の発現にもつながっていると考えられる。本発明においては、NK細胞と抗体とを、投与前に混合することで、NK細胞に予め抗体を装備させる。そのためエフェクターがNK細胞に限定され、投与する抗体の量を減じることができ、また副作用の低減にも極めて有効であると考えられる。
【0059】
本発明の医薬組成物は、本発明の調製方法によって調製されるNK細胞と異なるHLA遺伝子型を有する、患者に投与される場合がある。
【0060】
医薬組成物は、典型的には、NK細胞を溶液に懸濁した形態である。NK細胞を懸濁するための溶液は、例えば、 DMSOを含む凍結用保護液、生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、培地、血清等が一般的である。溶液は、医薬品および医薬部外品として薬学的に許容される担体を含む場合がある。
【0061】
本発明の医薬組成物は、感染症、または癌を治療するために用いられる場合がある。本発明の医薬組成物はまた、NK細胞に感受性を有するさまざまな疾患の治療および/または予防に適用することができる。疾患は、例えば、口腔癌、胆嚢癌、胆管癌、肺癌、肝臓癌、大腸癌、腎臓癌、膀胱癌、白血病や、ウイルス、細菌等による感染症を含むが、これらに限定されない。本発明の細胞療法は、単独か、あるいは外科療法、化学療法、放射線療法、抗体医薬品等と組み合わせて実施される場合がある。本発明の医薬組成物を用いた細胞療法において、NK細胞は、例えば、静脈、動脈、皮下、腹腔内等へ投与される場合がある。
【0062】
本発明の医薬組成物の製造は、医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理規則に適合した条件(good manufacturing practice、GMP)および再生医療等製品の製造管理および品質管理の基準(Good Gene,Cellular,and Tissue−based Products Manufacturing Practice、GCTP)で実施されることが好ましい。
【0063】
本発明において、臍帯血および末梢血の全血の採取と、自家血清の調製と、全血からの単核球の調製と、該単核球の培養前後の細胞数の測定と、培養前後の単核球中のNK細胞、T細胞、造血前駆細胞その他の細胞タイプの構成比率の測定と、NK細胞の増幅倍率の算出と、測定誤差や有意性についての統計解析とは、当業者に周知のいかなる方法を使用して実施されてもかまわない。
【0064】
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除および置換を行うことができる。
【実施例】
【0065】
[実施例1]
健常人ボランティアから採血を実施、フィコール(GEヘルスケア, 17144002)を用いて得た末梢血単核球を分取した。得られた末梢血単核球にCD3 beads※1を添加・懸濁し、4℃, 15分間インキュベート後、分離バッファー1※2を加えてよく懸濁し、300 x g、10分間、遠心分離を行った。上清を除去し、1 mLの分離バッファーに懸濁し、分離バッファー 2 mLをあらかじめ添加して湿らせたLDカラム(ミルテニーバイオテク, 130-042-901)に添加して、LDカラムからの溶出液を回収した。さらに分離バッファー 1 mLをLDカラムに添加し、溶出液を回収した。その後2回カラムをwashし、回収された液中の細胞数をカウントし、総細胞数を算出した。500 x g、5分間、遠心分離を行い、上清を除去後、5 x 105 細胞/mLとなるようにNK培地I※3に懸濁した。一部の細胞をフローサイトメーター測定用に回収し(ここで回収した細胞を「Primary NK」と表す。)、残りの細胞を培養した。培養は、6ウェルプレート(サーモフィッシャーサイエンティフィック, 140675)または、T-75フラスコ(サーモフィッシャーサイエンティフィック, 156499)を用いて、CO2インキュベーターで行った(37℃, 5% CO2)。培養5日目および9日目に培養液の一部を取り細胞数をカウントし、細胞密度が5 x 105 細胞/mLになるようにNK培地Iを添加した。14日目に細胞を回収し(ここで回収した細胞を「Day 14」と表す。)、一部の細胞を用いてフローサイトメーターで細胞表面抗原の測定を行った。残りの細胞は、STEM-CELLBANKER GMP grade(タカラバイオ, CB045)に懸濁後、-80℃で保存した。
【0066】
回収した細胞を以下の抗体で染色した:
BV421標識抗ヒトCD56抗体(Biolegend, 318328)、PerCP/C5.5標識抗ヒトCD3抗体(Biolegend, 300430)、APC標識抗ヒトNKp30抗体(Biolegend, 325209)、PE標識抗ヒトNKp44抗体(Biolegend, 325107)、FITC標識抗ヒトNKp46抗体(Biolegend, 331921)、PE-Cy7標識抗ヒトNKG2D抗体(Biolegend, 320811)、PE-Cy7標識抗ヒトCD16抗体(Biolegend, 302015)、APC標識抗ヒトCD69抗体(Biolegend, 310910)、FITC標識抗ヒトCD94抗体(Biolegend, 305504)、FITC標識抗ヒトCD14抗体(Biolegend, 325604)、PE標識抗ヒトNKG2C抗体(R&D, FAB138P)、APC標識抗ヒトNKG2A抗体(Milteni Biotec, 130-098-809)、PerCP Cy5.5標識抗ヒトCD94抗体(Biolegend, 305514)、APC標識抗ヒトCD57抗体(Biolegend, 359610)を1μg/mLの濃度で4℃、30分間染色後、遠心分離(500 xg, 5分間, 4℃)し、上清を除去し、PBS(和光純薬工業)に懸濁後、フローサイトメーター(BD LSRFortessa, BDバイオサイエンス社)を用いて測定を行い、FlowJoソフトウェア(TreeStar)で解析した。
【0067】
※1: CliniMACS CD3, ミルテニーバイオテク社, カタログ番号130-017-601 (1 x 107細胞あたり5μ)
※2: 0.5%ヒトAB型血清 (コスモバイオ, 12181301, を56℃で30分の非働化処理したもの)、2mM EDTA(サーモフィッシャーサイエンティフィック, 15575-020)を含むPBS
※3: 5%ヒトAB型血清(コスモバイオ, 12181301, を56℃で30分の非働化処理したもの)を添加したコスメディウム008(コスモバイオ, COS-008)
【0068】
結果を図1に示した。14日目のNK細胞は、NKp46やNKp30、NKG2Dなどの活性化型レセプターを強発現する、いわゆる高活性化NK細胞の様相を呈した。その一方で、CD16の発現は2峰性であった。
【0069】
[実施例2]
実施例1に記載の方法で細胞の調製を行った。培養開始時の細胞と培養終了時(培養14日目)の細胞の一部を回収し、フローサイトメーターで細胞表面抗原の測定を行った。
回収した約1x105個の細胞をBV421標識抗ヒトCD56抗体、PerCP/C5.5標識抗ヒトCD3抗体、PE-Cy7標識抗ヒトCD16抗体、APC標識抗ヒトCD69抗体、FITC標識抗ヒトCD14抗体を1μg/mLの濃度で4℃、30分間染色後、遠心分離(500 xg, 5分間, 4℃)し、上清を除去し、適量のPBSに懸濁後、フローサイトメーター(BD LSRFortessa, BDバイオサイエンス社)を用いて測定を行い、FlowJoソフトウェアで解析した。CD3陰性CD56陽性の細胞をNK細胞とし、CD16とCD56で展開してNK細胞上のCD16の発現を解析した。
【0070】
結果を図2A〜Cに示した。14日目のNK細胞は、CD56high/CD16highNK細胞((i)集団)と、CD56high/CD16lowNK細胞((ii)集団)を含み(図2A)、また通常Stage5(活性化型、あるいは成熟型)のマーカーとされるCD57の発現はみられなかった(図2B)。14日目のNK細胞はさらに、NKG2C陽性、NKG2A陰性〜低発現性、CD94陽性であるという特徴を備えることが分かった(図2C)。
【0071】
[実施例3]
実施例1に記載の方法を一部改変して細胞の調製を行った。具体的には、分離バッファー2※4を使用し、NK培地II※5を用いて培養を行った。培養開始時の細胞と培養終了時(培養14日目)の細胞の一部を回収し、実施例2に記載の方法で測定および解析を行った。
【0072】
※4: 0.5% CTSTM Immune Cell SRTM(サーモフィッシャーサイエンティフィック, A25961-01、以下CTSとする)、2mM EDTAを含むPBS
※5: 5%のCTSを添加したコスメディウム008培地(コスモバイオ, COS-008)
【0073】
結果を図3に示した。CTSを添加した無血清培地により、NK細胞全体に占める(i)集団の割合を高めることができた。
【0074】
[実施例4]
《K562(標的細胞)の調製》
K562細胞(ヒト慢性骨髄性白血病細胞株)を10%FBS(ニチレイバイオサイエンス, 171012-500ML)および100ユニットのペニシリン、100μg/mLのストレプトマイシン(ナカライテスク, 26253-84)を含むRPMI1640培地(和光純薬工業, 189-02025)(以下、10%FBS/RPMI1640とする))にて1x106cells/ mlの濃度で調製した。調製したK562細胞に、DiOC18 (Sigma, D4292-20MG) を終濃度が30μMとなるように添加し、37℃で10分間反応させた。遠心分離(400 xg, 5分間, 室温)後、上清を除去し、10%FBS/RPMI1640を添加、懸濁した。この洗浄工程を3回繰り返し、最終的に10%FBS/RPMI1640を用いて2x 106 cells/mLとなるように調製した。
【0075】
《NK細胞(エフェクター細胞)の調製》
健常人ボランティアから実施例1に記載の方法で得られた細胞を回収洗浄後、10%FBS/RPMI1640にて懸濁し、同培地で1x106cells/ mlの濃度で調製した。調製した細胞懸濁液をPE-Cy7標識抗ヒトCD16抗体(1μg/mL)で4℃、30分間染色後、遠心分離(500 g, 5分間, 4℃)し、上清を除去した。細胞を10%FBS/RPMI1640で懸濁後、2x107 cells/ml の濃度で同培地を用いて調製し、フローサイトメーター(セルソーター SH800, SONY)で細胞表面抗原の測定を行い、CD16の発現程度を確認した。CD16highNK細胞とCD16dimNK細胞を同セルソーターでソーティングし、10%FBS/RPMI1640を7ml満たした15mlコニカルチューブにそれぞれ回収した。回収後、遠心分離(500 g, 5分間, 4℃)し、上清を除去後、10%FBS/RPMI1640にて懸濁し、同培地で2x106 cells/ mlの濃度で調製した。
【0076】
《細胞傷害活性の測定》
ソーティングを行なっていないNK細胞とK562細胞の群、CD16highNK細胞とK562細胞の群、CD16dimNK細胞とK562細胞の群、それぞれのNK細胞のみの計5群と、陰性コントロールとしてK562細胞のみの群、陽性コントロールとしてK562細胞を10%ホルマリンで固定した群も用意した。NK細胞とK562細胞は、細胞比で1:1となるように96ウェルプレートに添加、混合し、37℃で2時間、共培養した。このとき、まずK562細胞をプレートに添加し、次に200μg/mlのAPC標識抗ヒトCD107a抗体※6(Biolegend, 328620)を終濃度1μg/mlとなるように添加し、最後に各NK細胞を添加した。培養後、遠心分離(500 g, 5分間, 4℃)し、上清を除去後、PBSで希釈した7-AAD溶液(Beckman Coulter, A07704)を添加、懸濁し、室温で10分間インキュベートした。フローサイトメーター(BD LSR Fortessa、BDバイオサイエンス社)を用いて測定を行い、FlowJoソフトウェアで解析した。
【0077】
細胞傷害活性は、次式で計算した。なお、以下の実施例でも同様に計算した。
(エフェクター細胞とインキュベートした場合の標的細胞の細胞死−自然細胞死(陰性コントロール))/(最大細胞死(陽性コントロール)−自然細胞死(陰性コントロール))×100
【0078】
※6: CD107aはNK細胞内顆粒に存在し、脱顆粒(パーフォリン、グランザイム放出)時に細胞膜表面上に移行するので、CD107aが陽性であるということは、
対象をNKが攻撃したことを間接的に示す。
【0079】
《結果》
結果を図4に示した。(i)群、(ii)群とも、細胞傷害活性が50%を超えた。
【0080】
[実施例5]
《IMR32細胞(標的細胞)の調製》
IMR32細胞(ヒトMYCN増幅神経芽腫細胞株)を10%FBS/RPMI1640にて1x106cells/ mlの濃度に調製した。調製したK562細胞に、DiOC18 (Sigma, D4292-20MG) を終濃度が30μMとなるように添加し、37℃で10分間反応させた。遠心分離(400 xg, 5分間, 室温)後、上清を除去し、10%FBS/RPMI1640を添加、懸濁した。この洗浄工程を3回繰り返し、最終的に10%FBS/RPMI1640を用いて2x 106 cells/mLとなるように調製した。
【0081】
《NK細胞(エフェクター細胞)の調製》
健常人ボランティアから実施例1に記載の方法で得られた細胞を回収洗浄後、10%FBS/RPMI1640にて懸濁し、同培地で1x106cells/ mlの濃度に調製した。調製液をPE-Cy7標識抗ヒトCD16抗体 (1μg/mL) で4℃、30分間染色後、遠心分離(500 g, 5分間, 4℃)し、上清を除去した。細胞を10%FBS/RPMI1640で懸濁後、2x107 cells/ml の濃度に同培地で調製し、フローサイトメーター(セルソーター SH800, SONY)で細胞表面抗原の測定を行い、CD16の発現程度を確認した。CD16highNK細胞とCD16dimNK細胞を同セルソーターでソーティングし、10%FBS/RPMI1640を7ml満たした15mlコニカルチューブにそれぞれ回収した。回収後、遠心分離(500 g, 5分間, 4℃)し、上清を除去後、10%FBS/RPMI1640にて懸濁し、同培地で2x106 cells/ mlの濃度に調製した。
【0082】
《細胞傷害活性の測定》
ソーティングを行なっていないNK細胞とK562細胞の群、CD16highNK細胞とK562細胞の群、CD16dimNK細胞とK562細胞の群、それぞれのNK細胞のみの計5群と、陰性コントロールとしてK562細胞のみの群、陽性コントロールとしてK562細胞を10%ホルマリンで固定した群も用意した。NK細胞とK562細胞は、細胞比で1:1となるように96ウェルプレートに添加、混合し、37℃で2時間、共培養した。
【0083】
このとき、まずIMR32細胞をプレートに添加し、次に100μg/mlにPBSで調製したdinutuximab(商品名Unituxin、United Therapeutics社)を1μlずつ添加し(dinutuximab添加群)、次に200μg/mlのAPC標識抗ヒトCD107a抗体を終濃度1μg/mlとなるように添加し、最後に各NK細胞を添加した。共培養後、遠心分離(500 g, 5分間, 4℃)し、上清を除去後、PBSで希釈した7-AAD溶液(Beckman Coulter, A07704)を添加、懸濁し、室温で10分間インキュベートした。フローサイトメーター(BD LSR Fortessa, BDバイオサイエンス社)を用いて測定を行い、FlowJoソフトウェアで解析した。
【0084】
《結果》
結果を図5に示した。Dinutuximab添加群では、さらに高い細胞傷害活性がみられた。
【0085】
[実施例6]
《細胞の調製》
実施例1の方法で得られたNK細胞を、4μg/mLの濃度のモガムリズマブ(ポテリジオ(登録商標)点滴静注20mg, 協和発酵キリン)を含むNK培地Iに懸濁し、37℃, 20分間インキュベートした。遠心分離(500 xg, 5分間, 室温)後、上清を除去し、10%FBS/RPMI1640を添加・懸濁後、遠心分離(500 xg、5分間、室温)し、上清を除去し、2 x 106 cells/mLとなるように10%FBS/RPMI1640で調製し、NK+モガムリズマブ (premix)とした。
【0086】
Hut78細胞(ヒトTリンパ腫細胞株)に、終濃度が1μMとなるようにDiOC18 (Sigma, D4292-20MG)を添加し、37℃で10分間反応させた。遠心分離(500 xg, 5分間, 室温)後、上清を除去し、10%FBS/RPMI1640を添加・懸濁した。この洗浄工程を3回繰り返し、最終的に10%FBS/RPMI1640を用いて2 x 106 cells/mLとなるように調製した。
【0087】
《細胞傷害活性の測定》
NK細胞1に対してHut 78細胞を5(細胞数比)とする群、NK細胞1に対してHut 78細胞を5(細胞数比)とした上で終濃度4μg/mLとなるようにモガムリズマブを添加した群、NK+モガムリズマブ (premix) 1に対してHut 78細胞を5(細胞数比)とした群の、計3群を用意した。細胞比1:5で96ウェルプレートに添加、混合し、37℃で2時間共培養した。陰性コントロールとして、Hut 78細胞のみの群、陽性コントロールとしてHut 78 を10%ホルマリンで固定した群も用意した。2時間の共培養後、遠心分離(500 xg, 5分間, 室温)し、上清を除去し、PBSで6倍に希釈した7-AAD溶液(Beckman Coulter, A07704)を60μL/ウェルで添加、懸濁し、室温で10分間インキュベートした。フローサイトメーター(BD LSRFortessa, BDバイオサイエンス社)を用いて測定を行い、FlowJoソフトウェアで解析した。
【0088】
《IMR32細胞の調製、細胞傷害活性の測定》
上記Hut78での実験に即して行った。条件が異なるのは、使用した細胞株がIMR32である点、使用した抗体がdinutuximabである点、NK細胞と腫瘍細胞の細胞数比が1:10である点、である。
【0089】
《結果》
結果を図6に示した。モガムリズマブに関しては、NK+モガムリズマブ(premix)群で最も高い細胞傷害活性がみられた。多くの抗体医薬はNK細胞の抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性をその作用機序の一つとしているが、予めNK細胞と抗体医薬とを混合しておくことの有効性が示唆された。
【0090】
[実施例7]
実施例1に記載の方法で得られたNK細胞をSTEM-CELLBANKER GMP grade(タカラバイオ, CB045)を用いて凍結した後、解凍してNK培地IIを用いて37℃のCO2インキュベーターで終夜培養を行った。細胞を1mM EDTA(サーモフィッシャーサイエンティフィック, 15575-020)を含むPBSで剥がし、丸底の96ウェルプレート(IWAKI)に1x105個ずつ分注し、遠心分離(500 x g, 5分間, 室温)後、上清を除去し、100μLのモガムリズマブ溶液(終濃度: 0μg/mL、1μg/mL、10μg/mL、100μg/mL、1,000μg/mL)を添加、懸濁し、室温で1時間インキュベートした。遠心分離(500 x g, 5分間, 室温)後、上清を除去し、300μLのPBSで3回洗浄操作を行った(500 x g, 5分間, 室温)。次に、染色用の抗体溶液(BV421標識抗ヒトCD56抗体、PerCP/C5.5標識抗ヒトCD3抗体、PE-Cy7標識抗ヒトCD16、PE標識抗ヒトIgG Fc抗体(SouthernBiotech, 2043-09)を添加、懸濁し4℃で30分間反応させた。遠心分離(500 x g, 5分間, 室温)後、上清を除去し、100μLのPBSを添加、懸濁し、フローサイトメーター(BD LSRFortessa, BDバイオサイエンス社)を用いて測定を行い、FlowJoソフトウェアで解析した。
【0091】
結果を図7に示した。NK細胞にモガムリズマブが結合していることが確認できた。(i)群のみならず、モガムリズマブが高濃度である条件では(ii)群にもモガムリズマブを結合させることができた。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4
図5
図6
図7