(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して説明した本発明の各実施例により、本発明の構成、作用及び他の特徴が容易に理解されるであろう。以下で説明する各実施例は、本発明の技術的特徴が3GPPシステムに適用された例である。
【0017】
この明細書ではLTEシステム及びLTE−Aシステムを用いて本発明の各実施例を説明するが、これは例示に過ぎない。従って、本発明の各実施例は、上記の定義に該当するいずれの通信システムにも適用することができる。
【0018】
また、この明細書では、基地局の名称がRRH(remote radio head)、eNB、TP(transmission point)、RP(reception point)、中継器(relay)などの包括的な用語で使用されている。
【0019】
図2は3GPP無線接続網の規格に基づく端末とE−UTRANの間の無線インターフェースプロトコルの制御平面及び使用者平面の構造を示す図である。制御平面は端末(User Equipment;UE)とネットワークが信号を管理するために用いる制御メッセージが送信される通路を意味する。使用者平面はアプリケーション階層で生成されたデータ、例えば、音声データ又はインターネットパケットデータなどが送信される通路を意味する。
【0020】
第1の階層である物理階層は、物理チャネル(Physical Channel)を用いて上位階層に情報送信サービス(Information Transfer Service)を提供する。物理階層は上位にある媒体接続制御(Medium Access Control)階層とは送信チャネル(Transport Channel)を介して連結される。この送信チャネルを介して媒体接続制御階層と物理階層の間でデータが移動する。送信側と受信側の物理階層の間では物理チャネルを介してデータが移動する。物理チャネルは時間と周波数を無線リソースとして活用する。具体的には、物理チャネルは、下りリンクにおいて、OFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)方式で変調され、上りリンクにおいては、SC−FDMA(Single Carrier Frequency Division Multiple Access)方式で変調される。
【0021】
第2の階層である媒体接続制御(Medium Access Control;MAC)階層は、論理チャネル(Logical Channel)を介して上位階層である無線リンク制御(Radio Link Control;RLC)階層にサービスを提供する。第2の階層のRLC階層は信頼性のあるデータ送信を支援する。RLC階層の機能はMAC内部の機能ブロックにより具現されることもできる。第2の階層のPDCP階層は帯域幅が狭い無線インターフェースにおいてIPv4或いはIPv6のようなIPパケットを効率的に送信するために不要な制御情報を減らすヘッダ圧縮(Header Compression)の機能を果たす。
【0022】
第3の階層である最下部に位置する無線リソース制御(Radio Resource Control;RRC)階層は、制御平面でのみ定義される。RRC階層は無線ベアラ(Radio Bearer)の設定、再設定及び解除に関連して論理チャネル、送信チャネル及び物理チャネルの制御を担当する。無線ベアラは端末とネットワークの間のデータ伝達のために第2の階層により提供されるサービスを意味する。このために、端末とネットワークのRRC階層は互いにRRCメッセージを交換する。端末とネットワークのRRC階層の間にRRC連結(RRC Connected)がある場合、端末はRRC連結状態(Connected Mode)であり、そうではない場合はRRC休止状態(Idle Mode)である。RRC階層の上位にあるNAS(Non−Access Stratum)階層は、セッション管理(Session Management)と移動性管理(Mobility Management)などの機能を果たす。
【0023】
ネットワークから端末にデータを送信する下り送信チャネルとしては、システム情報を送信するBCH(Broadcast Channel)、ページングメッセージを送信するPCH(Paging Channel)、使用者トラフィックや制御メッセージを送信する下りSCH(Shared Channel)などがある。下りマルチキャスト又は放送サービスのトラフィック又は制御メッセージの場合、下りSCHを介して送信され、又は特の下りMCH(Multicast Channel)を介して送信されることができる。なお、端末からネットワークにデータを送信する上り送信チャネルとしては、初期制御メッセージを送信するRACH(Random Access Channel)、使用者トラフィックや制御メッセージを送信する上りSCH(Shared Channel)がある。送信チャネルの上位にありかつ送信チャネルにマッピングされる論理チャネル(Logical Channel)としては、BCCH(Broadcast Control Channel)、PCCH(Paging Control Channel)、CCCH(Common Control Channel)、MCCH(Multicast Control Channel)、MTCH(Multicast Traffic Channel)などがある。
【0024】
図3は3GPPシステムに用いられる物理チャネル及びこれらを用いた一般的な信号送信方法を説明する図である。
【0025】
端末は、電源がオンになったり新たにセルに進入した場合は、基地局と同期を合わせるなどの初期セル探索(Initial cell search)作業を行う(S301)。このために、端末は基地局から主同期チャネル(Primary Synchronization Channel; P−SCH)及び副同期チャネル(Secondary Synchronization Channel;S−SCH)を受信することによって基地局と同期を合わせ、セルIDなどの情報を得ることができる。その後、端末は基地局から物理放送チャネル(Physical Broadcast Channel)を受信してセル内の放送情報を得ることができる。なお、端末は初期セル探索段階において下りリンク参照信号(Downlink Reference Signal;DL RS)を受信して下りリンクチャネル状態を確認することができる。
【0026】
初期セル探索を終了した端末は、物理下りリンク制御チャネル(Physical Downlink Control Channel;PDCCH)及び該PDCCHに載せられた情報によって物理下りリンク共有チャネル(Physical Downlink Control Channel;PDSCH)を受信することによって、より具体的なシステム情報を得ることができる(S302)。
【0027】
一方、基地局に最初に接続したか或いは信号伝送のための無線リソースがない場合は、端末は、基地局に対して任意接続過程(Random Access Procedure;RACH)を行うことができる(段階S303〜段階S306)。このために、端末は、物理任意接続チャネル(Physical Random Access Channel;PRACH)を介して特定シーケンスをプリアンブルとして伝送し(S303及びS305)、PDCCH及び対応するPDSCHを介してプリアンブルに対する応答メッセージを受信することができる(S304及びS306)。競争基盤のRACHの場合、さらに衝突解決手順(Contention Resolution Procedure)を行うことができる。
【0028】
上述した手順を行った端末は、その後、一般的な上り/下りリンク信号伝送の手順として、PDCCH/PDSCH受信(S307)及び物理上りリンク共有チャネル(Physical Uplink Shared Channel;PUSCH)/物理上りリンク制御チャネル(Physical Uplink Control Channel;PUCCH)の送信(S308)を行う。特に、端末は、PDCCHを介して下りリンク制御情報(Downlink Control Information;DCI)を受信する。ここで、DCIは、端末に対するリソース割り当て情報などの制御情報を含み、その使用目的に応じてフォーマットが互いに異なる。
【0029】
一方、端末が上りリンクを通じて基地局に伝送したり又は端末が基地局から受信したりする制御情報は、下り/上りリンクACK/NACK信号、CQI(Channel Quality Indicator)、PMI(Precoding Matrix Index)、RI(Rank Indicator)などを含む。3GPP LTEシステムの場合、端末は上述したCQI/PMI/RIなどの制御情報をPUSCH及び/又はPUCCHを介して伝送することができる。
【0030】
図4は、LTEシステムで使用される無線フレームの構造を例示する図である。
【0031】
図4を参照すると、無線フレームは10ms(327200×Ts)の長さを有し、10つの均等なサイズのサブフレームで構成されている。各々のサブフレームは1msの長さを有し、2つのスロットで構成されている。各々のスロットは0.5ms(15360×Ts)の長さを有する。ここで、T
Sはサンプリング時間を示し、T
S=1/(15kHz×2048)=3.2552×10
−8(約33ns)のように表示される。スロットは時間領域において複数のOFDMシンボルを含み、周波数領域において複数のリソースブロック(Resource Block;RB)を含む。LTEシステムにおいて、1つのリソースブロックは12つの副搬送波×7(6)つのOFDMシンボルを含む。データが送信される単位時間であるTTI(Transmission Time Interval)は、1つ以上のサブフレーム単位で決められることができる。上述した無線フレームの構造は例示に過ぎず、無線フレームに含まれるサブフレームの数、サブフレームに含まれるスロットの数及びスロットに含まれるOFDMシンボルの数は多様に変更可能である。
【0032】
図5は、下りリンク無線フレームにおいて1つのサブフレームの制御領域に含まれる制御チャネルを例示する図である。
【0033】
図5を参照すると、サブフレームは14つのOFDMシンボルで構成されている。サブフレームの設定によって最初の1〜3つのOFDMシンボルは制御領域として使用され、残りの13〜11つのOFDMシンボルはデータ領域として使用される。図面において、R1〜R4は、アンテナ0〜3に対する基準信号(Reference Signal(RS)又はPilot Signal)を示す。RSは制御領域及びデータ領域とは関係なく、サブフレーム内に一定のパターンで固定される。制御チャネルは制御領域のうちRSが割り当てられないリソースに割り当てられ、トラフィックチャネルもデータ領域のうちRSが割り当てられないリソースに割り当てられる。制御領域に割り当てられる制御チャネルとしては、PCFICH(Physical Control Format Indicator CHannel)、PHICH(Physical Hybrid−ARQ Indicator CHannel)、PDCCH(Physical Downlink Control CHannel)などがある。
【0034】
PCFICHは物理制御フォーマット指示子チャネルであって、サブフレームごとにPDCCHに使用されるOFDMシンボルの数を端末に知らせる。PCFICHは最初のOFDMシンボルに位置し、PHICH及びPDCCHに優先して設定される。PCFICHは4つのREGで構成され、夫々のREGはセルIDに基づいて制御領域内に分散される。1つのREGは4つのREで構成される。REは1つの副搬送波×1つのOFDMシンボルで定義される最小物理リソースを示す。PCFICH値は帯域幅によって1〜3又は2〜4の値を指示し、QPSK(Quadrature Phase Shift Keying)で変調される。
【0035】
PHICHは物理HARQ(Hybrid−Automatic Repeat and request)指示子チャネルであって、上りリンク伝送に対するHARQ ACK/NACKを運ぶために使用される。即ち、PHICHはUL HARQのためのDL ACK/NACK情報が伝送されるチャネルを示す。PHICHは1つのREGで構成され、セル特定にスクランブルされる。ACK/NACKは1ビットで指示され、BPSK(Binary phase shift keying)で変調される。変調されたACK/NACKは拡散因子(Spreading Factor;SF)=2又は4に拡散される。同一のリソースにマッピングされる複数のPHICHはPHICHグループを構成する。PHICHグループに多重化されるPHICHの数は拡散コードの数によって決定される。PHICH(グループ)は周波数領域及び/又は時間領域でダイバーシティの利得を得るために3回繰り返される。
【0036】
PDCCHは物理下りリンク制御チャネルであって、サブフレームの最初のn個のOFDMシンボルに割り当てられる。ここで、nは1以上の整数であって、PCFICHによって指示される。PDCCHは1つ以上のCCEで構成される。PDCCHは伝送チャネルであるPCH(Paging channel)及びDL−SCH(Downlink−shared channel)のリソース割り当てに関連する情報、上りリンクスケジューリンググラント(Uplink Scheduling Grant)、HARQ情報などを各端末又は端末グループに知らせる。PCH(Paging channel)及びDL−SCH(Downlink−shared channel)はPDSCHを介して伝送される。よって、基地局と端末は一般的に、特定の制御情報又は特定のサービスデータを除いては、PDSCHを介してデータを夫々伝送及び受信する。
【0037】
PDSCHのデータはどの端末(1つ又は複数の端末)に伝送されるものであり、各々の端末がどのようにPDSCHデータを受信してデコードするかに関する情報などが、PDCCHに含まれて伝送される。例えば、特定PDCCHが“A”というRNTI(Radio Network Temporary Identity)でCRCマスキングされており、“B”という無線リソース(例、周波数位置)及び“C”というDCIフォーマット、即ち伝送形式情報(例、伝送ブロックサイズ、変調方式、コーディング情報など)を用いて伝送されるデータに関する情報が、特定のサブフレームを介して伝送されると仮定する。この場合、セル内の端末は、自分が有しているRNTI情報を用いて検索領域でPDCCHをモニタリングして、即ち、ブラインドデコードして、“A”RNTIを有する1つ以上の端末があれば、上記端末はPDCCHを受信し、受信したPDCCHの情報を通じて“B”と“C”により指示されるPDSCHを受信する。
【0038】
図6は、LTEシステムで使用される上りリンクサブフレームの構造を示す図である。
【0039】
図6を参照すると、上りリンクサブフレームは、制御情報を運ぶPUCCH(Physical Uplink Control CHannel)が割り当てられる領域と、使用者データを運ぶPUSCH(Physical Uplink Shared CHannel)が割り当てられる領域とに分けられる。サブフレームの中間部分がPUSCHに割り当てられ、周波数領域においてデータ領域の両側部分がPUCCHに割り当てられる。PUCCH上に伝送される制御情報としては、HARQに使用されるACK/NACK、下りリンクチャンネル状態を示すCQI(Channel Quality Indicator)、MIMOのためのRI(Rank Indicator)、上りリンク資源割り当て要請であるSR(Scheduling Request)などがある。1つの端末に対するPUCCHは、サブフレーム内の各々のスロットで互いに異なる周波数を占める1つの資源ブロックを使用する。即ち、PUCCHに割り当てられる2つの資源ブロックは、スロット境界で周波数ホッピング(frequency hopping)される。特に、
図6は、m=0であるPUCCH、m=1であるPUCCH、m=2であるPUCCH、m=3であるPUCCHがサブフレームに割り当てられることを例示している。
【0040】
ミリメートル波長(millimeter wave,mmW)では波長が短くなって、同じ面積に多数のアンテナ要素を設けることができる。例えば、1cm程度の波長を有する30GHz帯域においては4by4cmのパネルに0.5λ(波長)間隔で2D配列形態である総64個(8×8)のアンテナ要素を設けることができる。よって、mmWでは、多数のアンテナ要素を使用してビーム形成の利得を高めてカバレッジを増加させるか、或いは処理量(throughput)を高めることができる。
【0041】
この場合、アンテナ要素ごとに送信パワー及び位相を調節できるようにTXRU(transceiver unit)を有すると、周波数リソースごとに独立的なビーム形成が可能になる。しかし、100余個の全てのアンテナ要素にTXRUを設けることは費用面で実効性が乏しい。従って、1つのTXRUに多数のアンテナ要素をマッピングし、アナログ位相シフター(analog phase shifter)でビーム方向を調節する方式が考えられる。かかるアナログビーム形成方式では、全帯域において1つのビーム方向のみを形成するので、周波数選択的なビーム形成が難しいという短所がある。
【0042】
デジタルビーム形成とアナログビーム形成の中間形態として、Q個のアンテナ要素より少ない数のB個のTXRUを有するハイブリッドビーム形成(hybrid BF)が考えられる。この場合、B個のTXRUとQ個のアンテナ要素の連結方式によって差はあるが、同時に送信可能なビーム方向はB個以下に制限される。
【0043】
図7はTXRUとアンテナ要素の連結方式の一例を示す図である。
【0044】
図7の(a)はTXRUがサブ−アレイ(sub−Array)に連結された方式を示す。この場合、アンテナ要素は1つのTXRUにのみ連結される。一方、
図7の(b)はTXRUが全てのアンテナ要素に連結された方式を示す。この場合、アンテナ要素は全てのTXRUに連結される。
図7においてWはアナログ位相遷移器により乗じられる位相ベクトルを示す。即ち、Wによりアナログビーム形成の方向が決定される。ここで、CSI−RSアンテナポートとTXRUとのマッピングは、1−to−1又は1−to−多であることができる。
【0045】
なお、送信端(即ち、基地局)と受信端(即ち、UE)が正確なチャネル情報を分かっていると、該当チャネル情報に基づいて最適のビームを選択して、該当ビームでデータを伝送することが最適の動作になる。しかし、通信環境によってはかかる動作が不可能であったり、可能にするためには過渡なオーバーヘッドが発生したりすることがある。
【0046】
具体的には、単一の送信端が同一のデータを複数の受信端に伝送するマルチキャストやブロードキャストの場合、各受信端ごとの最適のビームが異なるので、1つの最適のビームを選択することが不可能である。或いは、たとえ受信端が1つだけであっても、送信端又は受信端が高速で移動する場合には最適のビームも高速で変わるので、これを追跡するためには多いシグナリングオーバーヘッドが必要である。よって、かかる問題がある場合は、送信端と受信端が相対的に良好であると判断されるビームを複数個選択し、同一のデータを各々のビームで繰り返して伝送する動作が効果的である。特に、アナログビーム形成が適用される場合には、1時点で1つのビームを使用できるので、上記動作は1つのデータを複数回、例えば、様々なTTIにかけて伝送し、各伝送時点で使用するビームを変更するように動作することができる。
【0048】
以下、下りリンクにおいて基地局が単一のデータを異なるビームで繰り返して伝送する具体的な動作を説明する。
【0049】
基地局はスケジューリングメッセージを通じて同一のデータが伝送されるビームのパターンを予め端末に知らせることができる。これを受信した端末は、まずスケジューリングメッセージを通じて該当データが自分が受信する必要のあるデータであるか否かを優先的に把握した後、現在の状態で自分に最適であると判断されるビームを用いて該当データが伝送される時点にのみ選択的にデータ受信を試みる。この過程により、端末が自分に最適ではないビームを使用する時点でデータ受信を試みることを防止して、受信成功確率が低いにもかかわらず電力消耗を増加させる問題を解決することができる。特に、かかる方法は、基地局が端末に現在の下りリンク伝送に対するビーム、即ちプリコードに加えて、未来の下りリンク伝送に対するプリコードに関する情報も提供するという点で意味がある。
【0050】
もし、端末が自分に最適なビームが使用される時点で受信を試みたが、受信に失敗した場合、同一のデータを伝送する他の特定の時点で使用するビームも一定水準の品質を期待できる場合には、該当時点(例えば、二番目に良いビームを使用する時点)でも受信を試みることにより、僅かな電力消耗で受信性能を向上させることができる。これを一般化して、端末は1つのデータを一定回数のビームで複数回受信を試みるように規定することができる。具体的には、端末は基地局が同一のデータを伝送するN個のビームのうち、受信品質が良いと判断されるM個のビームでは全部受信を試みるように動作することができる。或いは、端末は一定の品質水準(例えば、該当ビームを使用する参照信号(reference signal)で測定されたRSRP(Reference Signal Received Power)やRSRQ(Reference Signal Received Quality)が一定の水準)以上になる全てのビームで受信を試みるように規定することができる。
【0051】
かかる動作において、端末が受信を試みるビームの数や受信品質の基準は基地局が設定する。勿論、端末はこのように予め決定された数のビームでデータを受信することができ、予め決定された数の全てのビームで受信を試みる前に特定のデータ受信に成功した場合には、同一のデータを伝送する未だ受信を試みていない他のビームについては受信を中断して電力消耗を減らすことができる。
【0052】
この動作において、1回のスケジューリングメッセージは1つのパケットを伝送する複数のビームパターンをスケジューリングすることもできるが、スケジューリングメッセージのオーバーヘッドを減らし、スケジューリングメッセージの受信に消耗される電力を減らすために、1回のスケジューリングメッセージが複数のパケットに対するビームパターンをスケジューリングすることもできる。後者の場合、スケジューリングメッセージの伝送間隔が相対的に長くなり、端末が1回のスケジューリングメッセージを受けた状態で移動して最適のビームが変化することができる。この場合、端末は移動中であっても変更された最適のビームを使用する伝送でデータ受信を試みるように自分の動作を変更しなければならない。
【0053】
上述した動作を行うために、端末は特定の時点でどのビームの基地局伝送がどのような品質で受信されるかを予測しなければならない。これは端末が各々のビームで伝送するRSを測定することにより可能になるが、具体的には以下の方法がある。
【0054】
−ビーム−特定の測定(measurement)用途のRS(MRS)を使用する方法
【0055】
基地局は周期的或いは非周期的にMRS(measurement-RS)を伝送し、異なるビームを用いて時間/周波数リソースの位置、及び/又はRSシーケンスが異なるMRSを伝送する。端末はMRSを受信することによりどのビームがどのような品質で受信されるかを推定することができる。この場合、スケジューリングメッセージにおいてビームパターンに対するシグナリングは、どの時点でどのMRSと同一のビーム形成が使用されるのかを知らせる形態になる。この方法は、MRSは端末の位置移動に対するビーム変換の動作がどうせ測定されなければならないという点では、データ受信に最適なビームを決定する測定にさらなる電力消耗がないという長所がある。
【0056】
−データ伝送に使用されたDM−RS(demodulation reference signal)を使用する方法
【0057】
端末はまずスケジューリングメッセージで指定したリソース上において、実際データの復調のために伝送されるDM−RSを測定する。そうすると、今後基地局の伝送において同じビームを使用する時点での品質を把握することができる。この場合、スケジューリングメッセージにおいてビームパターンに対するシグナリングは、単純に同一のビーム形成が使用される時点の集合を知らせ、異なる集合では異なるビーム形成が印加されることを端末が期待する形態であることができる。この方法は、少なくとも初期には端末が基地局が伝送する全てのビームに対するDM−RS測定を行わなければならないので電力消耗が増えるが、基地局がMRSに関係なくより柔らかくビームを選択できるという長所がある。
【0058】
一方、特定の場合、複数の基地局が同一のデータを同一のリソースに一緒に伝送することにより端末の受信電力を高める動作を行うことができる。これをSFN(single frequency network)伝送という。本発明の動作がSFN伝送を行うネットワークに適用される場合、端末はSFN伝送に参与する基地局が選択したビームの組み合わせのうち、最適のものを選択して受信を試みることができる。特に、ビーム−特定のMRSを使用する場合には、基地局はスケジューリングメッセージを通じて各時点でどの基地局がどのMRSと同一のビーム形成を使用しながらSFNを行うかを知らせることができる。端末は各基地局のMRSを測定し、そこにスケジューリングメッセージの情報を活用して、各時点で各基地局の伝送が結合して示される受信品質を推定することができる。例えば、SFN伝送に対する受信RSRPは、各基地局MRSのRSRPの合計から推定することができる。
【0059】
上述したように、同一のデータを複数のビームで伝送する動作は、ネットワークが端末の正確な位置やチャネル情報を把握できない場合に効果的である。かかる特徴に基づくと、本発明の動作を、特定の端末が基地局との通信に問題が発生した場合にフォールバック(fallback)動作として活用することができる。
【0060】
具体的には、端末は自分が連結された基地局との通信(或いは基地局との通信に使用するように設定されたビームを用いた通信)に問題が発生したことを把握した場合、例えば、RSRPやRSRQが一定水準以下になるか或いは制御チャネルの受信成功率が一定水準以下になると予測されるなどの場合、或いはかかる状況が一定の時間/回数続く場合、端末は該当基地局/該当ビームの伝送のみを受信することではなく、様々なビーム及び/又は基地局が伝送する信号も受信するように動作することができる。
【0061】
また、基地局は特定の端末に信号を伝送したが持続的に応答がない場合(例えば、下りリンクデータを伝送したがHARQ−ACKが受信されないか、或いは上りリンクグラントを伝送したが上りリンクデータが受信されない場合)、該当端末との通信に問題が発生したと判断して様々なビームを使用して該当端末への通信を試みることができ、さらに周辺の基地局からの伝送も試みることができる。
【0062】
このためには、このようなフォールバックの場合にどのような形態でネットワークが伝送を試みるかを予め規定しておく必要があり、さらにどの基地局がどのビームを用いてどの時点/リソースで伝送を試みるかを設定する必要がある。端末はフォールバック動作に入ると、かかる設定に基づいて各時点/リソースで決定された基地局の決定されたビームに対して受信動作を行うことができる。勿論、様々な基地局からのSFN伝送もフォールバック用途として使用可能である。
【0064】
以下、上りリンクにおいて端末が単一のデータを異なるビームで繰り返して伝送する具体的な動作について説明する。
【0065】
端末は上りリンク伝送のために基地局から上りリンクグラントを受け、この上りリンクグラントには上りリンク伝送に対するスケジューリングメッセージが含まれている。従って、基地局は端末との通信において、1つの最適のビームを選択することが難しいと判断された場合には、単一のデータ送信に複数のビームを使用するようにスケジューリングすることができ、特にアナログビーム形成が適用されるなどの状況では、異なる時点で異なるビームを使用するようにスケジューリングすることができる。
【0066】
特徴的に、異なるビームで伝送されるデータ伝送は実際に最適である単一のビームのみでも受信可能でなければならないので、たとえ異なる時点で異なるビームで伝送されたとしてもHARQ動作は単一のHARQプロセスで行われ、RV(redundancy version)も複数のビームにおいて同様に適用されなければならない。ここで、単一のHARQプロセスで行われるとは、基地局が特定の時点でのデータ伝送を成功的に受信した場合、端末は同一のデータを異なるビームで伝送する動作を以前に上りリンクグラントで受信したとしても取り消す動作を含むことができる。
【0067】
上りリンク動作のためのスケジューリングにおいて、基地局は端末が使用する上りリンク送信ビーム(他の意味で、プリコーディング行列)を直接指定することができるが、これが難い場合は、端末をして直接設定するように動作することができる。一例として、端末がMRSの受信過程を通じて、基地局が特定のMRSの送信ビーム形成に使用されたビームに対応する受信ビームを用いて受信を試みっているという情報を把握できる場合は、自分が使用する最適の送信ビーム形成が何であるかを決定することができる。特に、これは、TDDシステムのように下りリンクチャネルと上りリンクチャネルが同一であると仮定する場合よりも有用である。
【0068】
従って、基地局は自分が各時点で受信を試みる時に使用する受信ビームが特定のMRSの送信ビームと同一であるという情報を端末に知らせ、端末は該当時点では基地局が該当MRSの送信ビームに対応する受信ビームで受信を試みる時に最適の(即ち、受信ビームに対応する)送信ビームで送信するように動作することができる。このような最適の送信ビームは、該当MRSの受信時に受信電力が最大になる受信ビームに対応する送信ビームに設定される。
【0069】
さらに、基地局は端末に同じビームを用いて同一のデータを複数回繰り返して伝送するように指示し、その後、各時点で受信ビームを変更しながら受信するように動作することができる。この場合、1番目の時点での受信ビームが正確に設定されなかった場合には有効な受信信号を得ることができないので、2番目の時点での受信のみで受信に成功しなければならない。従って、たとえ端末が同一のデータを伝送しても送信時点ごとにチャネルコーディングのRVを変更せず維持するように動作することが好ましい。たとえ基地局が4種類の受信ビームで受信を試みながら、各々の受信ビームで2回の繰り返し受信を通じてカバレッジの向上を図る場合は、端末が伝送するパターンは以下の表1のように示される。
【0071】
表1を参照すると、端末はまず1番目のRV(表1においてRV X)を繰り返して伝送し、基地局はビームを変更しながら受信を試みる。その後、2番目のRVを再び繰り返して伝送する時、基地局も再びビームを変更しながら受信する。これにより、同一の受信ビームで伝送される2つのRVが相対的に時間差を有することになり、時間ドメインにおける好ましいダイバーシティの利得を得ることができる。勿論、基地局は、RV Xの受信過程において特定のビームで信号を強く受信したことが把握されると、RV Yの受信過程においては該当特定のビームに受信ビームを固定するか、或いは該当特定のビームと類似するビームに受信ビームを固定及び調節することができる。
【0072】
図8は本発明の実施例により端末が基地局に上りリンク信号を送信する一例を説明するフローチャートである。
【0073】
図8を参照すると、段階801において端末はまず基地局から互いに異なる送信ビームが適用された2つ以上の参照信号を2つ以上のTTI上で順次的に受信し、その後、段階803において、互いに異なる送信ビームを用いて基地局の受信ビームパターンを確認する。特に、この場合、下りリンクチャネルと上りリンクチャネルが同一であると仮定する。
【0074】
次に、段階805において、端末は基地局の受信ビームパターンに関する情報を用いてTTI単位で定義される上りリンク送信ビームパターンを決定する。また、段階807において、端末は基地局に上りリンク信号を上りリンク送信ビームパターンに従ってTTI単位で順次的に繰り返して送信する。このように、順次的繰り返し送信の間に基地局から上りリンク信号に対する肯定の応答が受信されると、順次的繰り返し送信を中断することができる。
【0075】
図9は本発明の一実施例による通信装置を示すブロック構成図である。
【0076】
図9を参照すると、通信装置900はプロセッサ910、メモリ920、RFモジュール930、ディスプレイモジュール940及び使用者インターフェースモジュール950を含む。
【0077】
通信装置900は説明の便宜のために示したものであり、一部モジュールは省略可能である。なお、通信装置900は必要なモジュールをさらに含むこともできる。通信装置900において一部モジュールはより細分化されたモジュールに区分することができる。プロセッサ910は図面を参照して例示した本発明の実施例による動作を行うように構成される。具体的には、プロセッサ910の詳しい動作は
図1乃至
図8に示された内容を参照できる。
【0078】
メモリ920はプロセッサ910に連結され、オペレーティングシステム、アプリケーション、プログラムコード、データなどを貯蔵する。RFモジュール930はプロセッサ910に連結され、基底帯域信号を無線信号に変換するか或いは無線信号を基底帯域信号に変換する機能を果たす。このために、RFモジュール930はアナログ変換、増幅、フィルタリング及び周波数上り変換又はこれらの逆過程を行う。ディスプレイモジュール940はプロセッサ910に連結され、様々な情報をディスプレイする。ディスプレイモジュール940はLCD(Liquid Crystal Display)、LED(Light Emitting Diode)、OLED(Organic Light Emitting Diode)のような既知の要素を使用できるが、これらに限られない。使用者インターフェースモジュール950はプロセッサ910に連結され、キーパッド、タッチスクリーンなどのような既知の使用者インターフェースの組み合わせで構成されることができる。
【0079】
以上に説明した実施例は本発明の構成要素及び特徴が所定形態に結合されたものである。それぞれの構成要素又は特徴は別に明示的に言及しない限り、選択的なものに考慮しなければならない。それぞれの構成要素又は特徴は他の構成要素や特徴と組み合わせられない形態に実施することができる。また、一部の構成要素及び/又は特徴を組み合わせて本発明の実施例を構成することも可能である。本発明の実施例で説明する動作の順序は変更可能である。ある実施例の一部の構成や特徴は他の実施例に含まれることができ、あるいは他の実施例の対応する構成又は特徴に取り替えられることができる。請求範囲で明示的な引用関係がない請求項を組み合わせて実施例を構成するか出願後の補正によって新たな請求項として含ませることができるのはいうまでもない。
【0080】
この明細書にて説明した基地局により行われる特定の動作は、場合によってはその上位ノード(upper node)により行われることができる。即ち、基地局を含む複数のネットワークノード(network nodes)からなるネットワークにおいて端末との通信のために行われる様々な動作は、基地局又は基地局以外の他のネットワークノードにより行われることができる。基地局は固定局(fixed station)、NodeB、eNodeB(eNB)、アクセスポイント(access point)などの用語に代替できる。
【0081】
本発明に係る実施例は多様な手段、例えば、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はこれらの結合などによって具現できる。ハードウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、1つ又はそれ以上のASICs(application specific integrated circuits)、DSPs(digital signal processors)、DSPDs(digital signal processing devices)、PLDs(programmable logic devices)、FPGAs(field programmable gate arrays)、プロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサなどによって具現される。
【0082】
ファームウェアやソフトウェアによる具現の場合、本発明の一実施例は、以上で説明した機能又は動作を行うモジュール、手順、関数などの形態で具現することができる。ソフトウェアコードはメモリユニットに格納してプロセッサによって駆動することができる。メモリユニットはプロセッサの内部又は外部に位置し、既に公知された多様な手段によってプロセッサとデータをやり取りすることができる。
【0083】
本発明は本発明の特徴を逸脱しない範囲内で他の特定の形態に具体化されることができるのは当業者に明らかである。したがって、前記詳細な説明はすべての面で制限的に解釈されてはいけなく、例示的なものに考慮されなければならない。本発明の範囲は添付の請求範囲の合理的解釈によって決定されなければならなく、本発明の等価的範囲内でのすべての変更は本発明の範囲に含まれる。