(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために実施例について説明する。
A.装置構成 :
図1には、本実施例の携帯端末位置検出装置100を搭載した車両1の大まかな構造が示されている。図示されるように、車両1の車室内には、4箇所に受信アンテナ10が搭載されている。すなわち、運転席2aの近くには受信アンテナ10aが搭載され、助手席2bの近くには受信アンテナ10bが搭載され、後部座席2cから右方向の位置には受信アンテナ10cが、後部座席2cから左方向の位置には受信アンテナ10dが搭載されている。
尚、運転席2a、助手席2b、後部座席2cを特に区別する必要がない場合は、単に座席2と称するものとする。受信アンテナ10a、10b、10c、10dについても同様に、これら受信アンテナ10a、10b、10c、10dを区別する必要がない場合は、単に受信アンテナ10と称するものとする。
【0010】
これらの受信アンテナ10は、それぞれに接続ケーブル11によって携帯端末位置検出装置100に接続されているが、それぞれの接続ケーブル11は、受信アンテナ10と携帯端末位置検出装置100とを単純に接続しているわけではない。例えば、運転席2aの近くに搭載された受信アンテナ10aと携帯端末位置検出装置100とを接続する接続ケーブル11aは、途中の部分が、運転席2aの座面および背もたれ面を蛇行するように配線されている。そして、この蛇行する部分が、後述する補助アンテナ20aを形成している。
助手席2bの近くに搭載された受信アンテナ10bと携帯端末位置検出装置100とを接続する接続ケーブル11bについても同様に、途中の部分が助手席2bの座面および背もたれ面を蛇行するように配線されて、補助アンテナ20bを形成している。
【0011】
更に、受信アンテナ10cと携帯端末位置検出装置100とを接続する接続ケーブル11cや、受信アンテナ10dと携帯端末位置検出装置100とを接続する接続ケーブル11dについても同様に、途中の部分が、それぞれ後部座席2cの右側および左側で蛇行することによって、それぞれ補助アンテナ20c、20dを形成している。
また、携帯端末位置検出装置100に接続された接続ケーブル11eは、いずれの受信アンテナ10にも接続されていないが、接続ケーブル11eの先端側が、後部座席2cの中央の座面および背もたれ面で蛇行するように配線されることによって、補助アンテナ20eを形成している。
【0012】
図2(a)には、携帯端末位置検出装置100と受信アンテナ10a(あるいは受信アンテナ10b)とを接続する接続ケーブル11a(あるいは接続ケーブル11b)が、運転席2a(あるいは助手席2b)の座面および背もたれ面の上を蛇行するように配線されることによって、補助アンテナ20a(あるいは補助アンテナ20b)が形成されている様子が例示されている。
また、
図2(b)には、携帯端末位置検出装置100と受信アンテナ10cとを接続する接続ケーブル11cが、後部座席2cの右側の座面および背もたれ面の上を蛇行するように配線されることによって、補助アンテナ20cが形成されている様子が例示されている。携帯端末位置検出装置100と受信アンテナ10dとを接続する接続ケーブル11dについても同様に、後部座席2cの左側の座面および背もたれ面の上を蛇行するように配線されることによって、補助アンテナ20dが形成されている。
更に、接続ケーブル11eについては、後部座席2cの中央の座面および背もたれ面の上を蛇行するように配線されることによって、補助アンテナ20eが形成されている。
ここで、接続ケーブル11を蛇行させることによって形成される補助アンテナ20とは次のようなものである。
【0013】
一般的に、受信アンテナ10は広い受信可能範囲を有しており、携帯端末などの電波発信源が数メートル以上、離れた距離にある場合でも、電波発信源からの電波を受信することができる。
図3(a)には、指向性を有する受信アンテナ10の受信可能範囲10sが概念的に表されている。
また、受信アンテナ10で受信された電波は、接続ケーブル11を介して受信装置(本実施例では携帯端末位置検出装置100)に送信される。そして実際には、この接続ケーブル11も、接続ケーブル11を中心として5センチメートル前後の受信可能範囲を有している。電波発信源が接続ケーブル11から10センチメートル以上離れていると、電波発信源からの電波を受信できなくなるので、通常は見過ごされているが、電波発信源が接続ケーブル11から数センチメート程度の距離に存在する場合には、接続ケーブル11でも電波を受信することが可能となる。
そこで、
図3(b)に示したように、接続ケーブル11の一部を面状に蛇行させておく。こうすれば、接続ケーブル11の蛇行面を中心として両面側に、それぞれ5センチメートル前後の厚さの受信可能範囲を有する補助アンテナ20を形成することができる。
尚、本実施例では、接続ケーブル11の途中の部分が、座席2の座面および背もたれ面を蛇行するものとして説明するが、座面あるいは背もたれ面の何れか一方を蛇行させることによって補助アンテナ20を形成することとしてもよい。
【0014】
また、
図4には、本実施例の携帯端末位置検出装置100の大まかな内部構造が示されている。図示されるように、携帯端末位置検出装置100は、受信強度検出部101と、受信有無判断部102と、存在位置算出部103と、存在位置決定部104と、携帯端末位置出力部105とを備えている。
尚、これらの「部」は、本実施例の携帯端末位置検出装置100が、車室内に存在する携帯端末の存在位置を検出する機能に着目して、携帯端末位置検出装置100の内部を便宜的に分類した抽象的な概念である。従って、携帯端末位置検出装置100の内部が、これらの「部」に物理的に区分されていることを表すものではない。これらの「部」は、CPUで実行されるコンピュータープログラムとして実現することもできるし、LSIを含む電子回路として実現することもできるし、更にはこれらの組合せとして実現することもできる。
【0015】
受信強度検出部101は、接続ケーブル11a〜11dを介して受信アンテナ10a〜10dに接続されている。このため、受信アンテナ10a〜10dが携帯端末からの電波を受信すると、その電波が接続ケーブル11a〜11dを介して伝達されて、受信アンテナ10a〜10dでの電波の受信強度を検出することができる。尚、
図1および
図2を用いて前述したように、接続ケーブル11a〜11dは、途中の一部分が蛇行した状態で配線されることによって補助アンテナ20a〜20dを形成している。
受信有無判断部102は、接続ケーブル11a〜11dを介して補助アンテナ20a〜20dに接続されており、補助アンテナ20a〜20dが電波を受信すると受信有無判断部102に伝わるようになっている。このため、受信有無判断部102は、補助アンテナ20a〜20dが携帯端末の電波を受信したか否かを判断することが可能となっている。また、受信有無判断部102には、接続ケーブル11eを介して補助アンテナ20eも接続されている。このため、受信有無判断部102は、補助アンテナ20eが携帯端末の電波を受信したか否かも判断することができる。
【0016】
存在位置算出部103は、受信有無判断部102から、補助アンテナ20a〜20eで携帯端末の電波が受信されたか否かの判断結果を取得する。そして、補助アンテナ20a〜20eでは携帯端末の電波が受信されていなかった場合には、受信アンテナ10a〜10dのそれぞれで受信された電波の受信強度に基づいて、携帯端末の存在位置を算出する。すなわち、それぞれの補助アンテナ20a〜20dでの電波の受信強度が分かれば、携帯端末までの距離を推定することができ、それぞれの補助アンテナ20a〜20dから携帯端末までの距離が分かれば、携帯端末の存在位置を算出することができる。
一方、補助アンテナ20a〜20eで携帯端末の電波を受信した旨の判断結果を受信有無判断部102から受け取った場合には、存在位置算出部103では携帯端末の存在位置は算出しない。
【0017】
存在位置決定部104も、上述した存在位置算出部103と同様に、補助アンテナ20a〜20eで携帯端末の電波が受信されたか否かの判断結果を、受信有無判断部102から取得する。そして、補助アンテナ20a〜20eの何れかで携帯端末の電波を受信していた場合には、その受信アンテナ10a〜10dが配置されている位置を、携帯端末の存在位置として決定する。例えば、補助アンテナ20aで携帯端末の電波を受信していた場合であれば、受信アンテナ10aは運転席2aに配置されているから、携帯端末の存在位置を運転席2aに決定する。
一方、補助アンテナ20a〜20eで携帯端末の電波を受信していなかった場合は、存在位置決定部104で携帯端末の存在位置を決定することはない。
【0018】
携帯端末位置出力部105は、存在位置算出部103および存在位置決定部104に接続されている。そして、存在位置算出部103が携帯端末の存在位置を算出した場合には、算出された存在位置を取得し、存在位置決定部104が携帯端末の存在位置を決定した場合には、決定された存在位置を取得して、外部に出力する。
また、存在位置算出部103が携帯端末の存在位置を算出しておらず、且つ、存在位置決定部104が携帯端末の存在位置を決定していない場合は、携帯端末が存在しない旨を外部に出力する。
【0019】
このように、本実施例の携帯端末位置検出装置100では、受信アンテナ10と補助アンテナ20とを併用して携帯端末の存在位置を検出する。このため、車室内に搭載する受信アンテナ10の搭載箇所を増やさなくても、十分な精度で、携帯端末の存在位置を検出することができる。もちろん、受信アンテナ10に加えて補助アンテナ20が追加されているが、補助アンテナ20は受信アンテナ10の接続ケーブル11の一部分に過ぎないので、受信アンテナ10を追加する場合に比べれば、補助アンテナ20は遙かに簡単に追加することができる。
以下では、このようなことを実現するために、本実施例の携帯端末位置検出装置100が携帯端末の存在位置を検出する処理に付いて説明する。
【0020】
B.携帯端末位置検出処理 :
図5には、本実施例の携帯端末位置検出装置100で実行される携帯端末位置検出処理のフローチャートが示されている。
図示されるように携帯端末位置検出処理では、先ず初めに、車室内での携帯端末の存在位置を検出するか否かを判断する(S100)。本実施例では、一定時間(例えば3秒)が経過する度に存在位置を検出するものとして説明するが、他のプログラムから要請があった場合に、携帯端末の存在位置を検出するようにしても良い。
その結果、携帯端末の存在位置を検出しないと判断した場合は(S100:no)、同じ判断(S100)を繰り返すことによって待機状態となる。
【0021】
これに対して、携帯端末の存在位置を検出すると判断した場合は(S100:yes)、受信アンテナ10a〜10dで受信された携帯端末の電波を、受信アンテナ10a〜10dのそれぞれから取得する(S101)。続いて、補助アンテナ20a〜20eで受信された携帯端末の電波を、補助アンテナ20a〜20eのそれぞれから取得する(S102)。
【0022】
ここで、受信アンテナ10aと補助アンテナ20aとは、どちらも接続ケーブル11aによって携帯端末位置検出装置100に接続されているので、受信アンテナ10aで受信された電波も、補助アンテナ20aで受信された電波も、接続ケーブル11aを介して携帯端末位置検出装置100に入力されている。しかし、受信アンテナ10aで受信した電波と、補助アンテナ20aで受信した電波とは、電波の受信強度に基づいて簡単に区別することができる。すなわち、
図3を用いて前述したように、補助アンテナ20aが電波を受信可能な範囲は、補助アンテナ20aからの距離が、5センチメートル前後以内の範囲に限られる。これに対して受信アンテナ10aが電波を受信可能な範囲は、受信アンテナ10aからの距離が数メートル前後の範囲に達し、多くの場合は、受信アンテナ10aから携帯端末までは1メートル以上、離れている。
【0023】
そして、一般に、電波の受信強度は、電波の発信源(ここでは携帯端末)までの距離が遠くなるほど小さくなるから、受信アンテナ10aで受信した電波の受信強度は、補助アンテナ20aで受信した電波の受信強度に比べて、大幅に小さくなる。従って、接続ケーブル11aから入力された電波の大きさが、所定の閾値よりも大きかった場合は、その電波は補助アンテナ20aで受信されたものと判断することができ、逆に、閾値よりも小さかった場合は、受信アンテナ10aで受信されたものと判断することができる。
同様なことは、接続ケーブル11bを介して接続された受信アンテナ10bおよび補助アンテナ20bや、接続ケーブル11cを介して接続された受信アンテナ10cおよび補助アンテナ20cや、接続ケーブル11dを介して接続された受信アンテナ10dおよび補助アンテナ20dについても、全く同様に当て嵌まる。
【0024】
図6には、受信アンテナ10からの電波と、補助アンテナ20からの電波とが、接続ケーブル11を介して入力される様子が概念的に示されている。図示されるように、受信アンテナ10からの電波と、補助アンテナ20からの電波とは、受信強度が大きく違うので、予め適切な閾値強度を設定しておけば、受信アンテナ10からの電波と、補助アンテナ20からの電波とは、容易に区別することができる。
そこで、S101では、携帯端末位置検出装置100に接続されている接続ケーブル11a〜11dのそれぞれについて、所定の閾値強度よりも受信強度が小さな電波を検出することによって、受信アンテナ10a〜10dで受信された電波を取得する。
また、S102では、携帯端末位置検出装置100に接続されている接続ケーブル11a〜11eのそれぞれについて、所定の閾値強度よりも受信強度が大きな電波を検出することによって、補助アンテナ20a〜20eで受信された電波を取得する。
【0025】
続いて、携帯端末位置検出装置100は、補助アンテナ20からの電波を取得したか否かを判断する(
図5のS103)。S101およびS102で複数の携帯端末からの電波を取得していた場合には、それぞれの携帯端末について、補助アンテナ20からの電波が取得されているか否かを判断する。例えば、S101およびS102では、2つの携帯端末A,Bからの電波が取得されたものとする。そして、このうちの携帯端末Aについては、受信アンテナ10および補助アンテナ20からの電波が取得されているが、携帯端末Bについては、受信アンテナ10からの電波は取得されているが、補助アンテナ20からの電波は取得されていないものとする。このような場合、S103では、携帯端末Aについては「yes」と判断されるが、携帯端末Bについては「no」と判断されることになる。
【0026】
その結果、補助アンテナ20からの電波を取得していなかった場合は(S103:no)、今度は、受信アンテナ10からの電波を取得したか否かを判断する(S104)。そして、受信アンテナ10からの電波も取得していなかった場合は(S104:no)、車室内に携帯端末が存在していないと考えられるので、その旨を外部に出力する(S109)。
【0027】
これに対して、受信アンテナ10からの電波を取得していた場合は(S104:yes)、それぞれの受信アンテナ10a〜10dで取得された電波の受信強度を、受信アンテナ10a〜10dから携帯端末までの距離に返還する(S105)。前述したように,電波の受信強度は、アンテナから電波の発信源までの距離が大きくなるほど強度が小さくなるから、電波の受信強度が分かれば、発信源(ここでは携帯端末)までの距離を求めることができる。
【0028】
そして、こうして得られた各受信アンテナ10a〜10dから携帯端末までの距離に基づいて、携帯端末の存在位置を算出した後(S106)、得られた携帯端末の存在位置を外部に出力する(S108)。複数の受信アンテナ10から携帯端末までの距離に基づいて、携帯端末の存在位置を算出する方法は周知であるため、ここでは説明を省略する。
【0029】
以上では、補助アンテナ20からの電波を取得していないと判断した場合に(S103:no)、受信アンテナ10で受信した電波の受信強度に基づいて、携帯端末の存在位置を算出する方法について説明した。
これに対して、補助アンテナ20からの電波を取得していた場合には(S103:yes)、電波を取得した補助アンテナ20が配置されている位置を、携帯端末の存在位置として決定する(S107)。例えば、携帯端末からの電波を取得した補助アンテナ20が補助アンテナ20aであった場合、補助アンテナ20aは運転席2aに配置されているので(
図1および
図2を参照)、携帯端末の存在位置は運転席2aであると決定する。また、補助アンテナ20で複数の携帯端末の電波を取得していた場合には、それぞれの携帯端末について、存在位置を決定する。
こうして携帯端末の存在位置を決定したら、決定した存在位置を外部に出力した後(S108)、処理に先頭に戻って、再び、携帯端末の存在位置を検出するか否かを判断する(S100)。
【0030】
本実施例の携帯端末位置検出装置100は、以上のような処理を繰り返すことによって車室内での携帯端末の存在位置を検出する。このため、車室内での受信アンテナ10の搭載位置を5箇所以上に増やさなくても、正確に携帯端末の存在位置を検出することができる。この理由について、
図7を用いて説明する。
図7には、車室内に2人の乗員が搭乗した様子が例示されている。2人の乗員とも携帯端末5を携帯しているが、運転席2aに座っている乗員はズボンの尻ポケットに携帯端末5aを入れており、助手席2bに座っている乗員は携帯端末5bを手に持っている。
【0031】
一般的に、携帯端末から放出される電波は、障害物に遭遇すると減衰する。特に、人体を通過すると大きく減衰する。このため、助手席2bに存在する携帯端末5bからの電波は、障害物(特に人体)で大きく減衰することなく受信アンテナ10a〜10dに到達するが、運転席2aに存在する携帯端末5aの電波は、人体を通過する際に大きく減衰してしまう。その結果、電波の受信強度に基づいて、それぞれの受信アンテナ10a〜10dから携帯端末5a、5bまでの距離を求めると、携帯端末5bまでの距離については比較的正確に求めることができるが、携帯端末5aまでの距離については大きな誤差を含むこととなって、携帯端末5aについては誤った存在位置を求めてしまう。
従来は、こうした事態の発生を避けるために、車室内で受信アンテナ10を搭載する箇所を増やしておき、その中の幾つかの受信アンテナ10では、障害物(特に人体)の影響で電波が大きく減衰しても、残りの受信アンテナ10を用いて正しい存在位置を求められるようにする必要があった。
【0032】
これに対して、本実施例では、
図2(a)を用いて前述したように、運転席2aの座面および背もたれ面に補助アンテナ20aが配置されている。そして、
図3を用いて前述したように、補助アンテナ20aは、補助アンテナ20aが配置された面(ここでは、運転席2aの座面および背もたれ面)から5センチメートル前後の範囲内に存在する発信源からの電波を受信する。従って、補助アンテナ20aは、
図7に例示した携帯端末5a(すなわち、ズボンの尻ポケットに入れられた携帯端末5a)からの電波を受信することができる。また、上述したように補助アンテナ20aが電波を受信可能な範囲は狭いので、補助アンテナ20aが携帯端末5aの電波を受信したと云うことは、取りも直さず、携帯端末5aが、補助アンテナ20aの配置位置(ここでは、運転席2aの座面および背もたれ面)の直ぐ近くに存在することに他ならない。
【0033】
もちろん、運転席2aに座った乗員が、携帯端末5aを尻ポケットに入れているとは限らない。例えば、胸ポケットに入れている場合も起こり得る。あるいは、携帯端末5aをウエストポーチに入れて、そのウエストポーチが腹部に来るようにしている場合もある。しかし、これらの場合は、助手席2bに存在する携帯端末5bのように、乗員が手で持っている場合と大きな違いはないので、受信アンテナ10a〜10dで電波を受信することによって、存在位置を正しく検出することができる。また、携帯端末5aを入れたウエストポーチを背中側に廻していた場合には、運転席2aの背もたれ面に配置された部分の補助アンテナ20aで、携帯端末5aを検出することができる。
【0034】
このように、運転席2aの座面および背もたれ面に補助アンテナ20aを配置しておけば、運転席2aに座った乗員がどのような態様で携帯端末5aを携帯していた場合でも、受信アンテナ10a〜10dあるいは補助アンテナ20aを用いて、携帯端末5aの存在位置を正確に検出することができる。
また、助手席2bや、後部座席2cに乗員が座っている場合でも、全く同様なことが当て嵌まる。このため、本実施例の携帯端末位置検出装置100は、車室内での受信アンテナ10の搭載箇所を増やさなくても、車室内に存在する携帯端末の位置を正確に検出することが可能となる。
【0035】
C.変形例 :
上述した本実施例には、幾つかの変形例が存在する。以下では、これらの変形例について、本実施例との相違点に焦点をあてて簡単に説明する。
【0036】
C−1.第1変形例 :
上述した本実施例の補助アンテナ20は、座席2の座面や背もたれ面に20aに配置されているものとして説明した。
しかし、補助アンテナ20を配置する位置は、必ずしも座席2の座面や背もたれ面に限られるわけではない。例えば、受信アンテナ10a〜10dで受信されるまでに電波が減衰してしまうような位置(すなわち、受信アンテナ10a〜10dの死角となる位置)に補助アンテナ20を配置しておけば、受信アンテナ10の数を増やさなくても、携帯端末5の存在位置を正確に検出することができる。
【0037】
図8には、車両の床面に補助アンテナ20が配置されている様子が例示されている。車両の床面は、受信アンテナ10a〜10dの側から見て、座席2やダッシュボードの奥にある。このため、携帯端末5を入れた鞄などが床面に置かれた場合、携帯端末5からの電波は座席2や座席2に座った乗員によって遮られて、受信アンテナ10a〜10dで受信されるまでの間に電波の強さが減衰してしまう。
そこで、
図8に例示するように、車両の床面に補助アンテナ20を配置しておけば、このような場合でも携帯端末5の存在位置を正確に検出することができる。
【0038】
あるいは、受信アンテナ10a〜10dの死角とならない位置であっても、補助アンテナ20を配置することによって、携帯端末5の存在位置を、より一層精度良く検出することも可能である。
例えば、
図9に示すように、携帯端末5を非接触で充電するための充電プレート3が搭載されている場合、この充電プレート3に携帯端末5を載せる面の裏側に補助アンテナ20を配置する事としても良い。こうすれば、充電プレート3に載せられた携帯端末5の存在位置をピンポイントで検出することが可能となる。
【0039】
C−2.第2変形例 :
上述した本実施例の補助アンテナ20は、受信アンテナ10と携帯端末位置検出装置100とを接続する接続ケーブル11の途中の一部分を蛇行させて配線することによって形成されているものとして説明した。
しかし、接続ケーブル11を蛇行させた部分をユニット化しておき、受信アンテナ10と携帯端末位置検出装置100とを接続する接続ケーブル11の途中に、ユニット化した補助アンテナ20を組み込むようにしても良い。
【0040】
図10には、補助アンテナ20がユニット化された第2変形例が例示されている。図示されるように、第2変形例の補助アンテナ20は、柔軟な素材で形成された平らなパッド21の内部に、接続ケーブル11を蛇行させた状態で配線することによって形成されている。また、蛇行させた接続ケーブル11の両端は、パッド21の外部に引き出されると共に、それぞれの端部にはコネクター13が取り付けられている。
そして、このような補助アンテナ20同士をコネクター13によって接続し、更には、携帯端末位置検出装置100からの接続ケーブル11や、受信アンテナ10からの接続ケーブル11ともコネクター13を用いて接続する。
このようにすれば、長い接続ケーブル11を車室内で配線しなくても、コネクター13を用いて接続することで、簡単に補助アンテナ20を取り付けることが可能となる。
【0041】
C−3.第3変形例 :
また、上述した本実施例の補助アンテナ20は、接続ケーブル11を蛇行させて配線することによって形成されているものとして説明した。
しかし、接続ケーブル11を蛇行させる代わりに、導電性材料によって箔状あるいは板状に形成された部材を用いて補助アンテナ20を形成しても良い。
【0042】
図11には、導電性材料によって形成された箔状のシート12を接続ケーブル11の途中に組み込むことによって、補助アンテナ20を形成した様子が例示されている。このようなシート12を補助アンテナ20として用いた場合でも、シート12の表面から5センチメートル前後の範囲内であれば、携帯端末5からの電波を受信することができる。このため、接続ケーブル11を蛇行させて形成した補助アンテナ20と同様なメカニズムによって、携帯端末5の存在位置を検出することが可能となる。
【0043】
C−4.第4変形例 :
また、上述した本実施例の補助アンテナ20は、接続ケーブル11を蛇行させて配線することによって形成されているものとして説明した。
しかし、接続ケーブル11は面状に配線させることができれば、必ずしも蛇行させる必要はなく、例えば、
図12に例示したように、接続ケーブル11を渦巻き状に配線することによっても補助アンテナ20を形成することが可能である。
【0044】
以上、本実施例および各種の変形例について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することができる。