【実施例】
【0011】
[第1実施例]
図1及び
図2は、この発明に係る検知装置を設けた洗浄装置を備えた泥水処理システムSを示す。
【0012】
泥水処理システムSは、脱水処理装置3と、この脱水処理装置3の上に設けられた洗浄装置20とを備えている。
【0013】
脱水処理装置3は、図示しないベース部上に互いに所定距離離間した位置に設けられた受板18及び押板19と、この受板18と押板19との間に配列された複数のフィルタ体10とを備えている。
【0014】
受板18には、受板18に設けた泥水の圧送用の穴18H(
図6参照)が設けられている。
【0015】
押板19は、図示しないシリンダ装置によってベース部上を左右方向(
図1において)に移動可能となっている。
【0016】
複数のフィルタ体10の両側方には、フィルタ体10の配列方向(
図1において左右方向)に沿って複数の支柱4…(
図2参照)が前記ベース部に立設されている。各支柱4の中間部には、支柱4の外側に配置された支柱5の下部が固定されており、この支柱5…は支柱4…よりも上方に延びている。各支柱5の上部には、洗浄装置20の走行用のレール21,21が横架されている。
【0017】
また、各支柱4の上部には、サイドバー17,17が横架され、このサイドバー17,17に複数のフィルタ体10が移動可能に支持されている。
[フィルタ体]
各フィルタ体10は、
図3に示すように、長方形状のろ板11(
図2参照)と、このろ板11の一方の面の周縁部と他方の面の周縁部に沿って設けた環状のシール部12,12と、ろ板11の両面のシール部12,12に囲まれる部分に設けたネット13,13と、ろ板11とネット13,13とシール部12の全体を覆った布フィルタ(フィルタ)14などから構成されている。
【0018】
そして、下部のシール部12Bとろ板11との間に幅広の通水路D1が形成されている。
【0019】
各ろ板11の一方の面の布フィルタ14は、ろ板11の中央部の穴11A(
図2参照)を通して他方の面の布フィルタ14に接続されており(
図6参照)、その穴11Aの内周面が布フィルタ14の一部によって覆われている。
【0020】
これらフィルタ体10と受板18及び押板19とによって、空間V1,V2がそれぞれ形成されており、受板18の穴18Hと、各ろ板11の穴11Aとが空間V2,V1を介して連通している。なお、
図6は、各フィルタ体10を受板18と押板19との間に隙間なく配置した場合の水平断面を示す。
【0021】
ろ板11の両側方には、
図2に示すように、金属製の取手15,15が固定されており、取手15,15は両側方のシール部12A,12A及び布フィルタ14(
図3参照)を貫通して露出している。一方の取手15には、金属製の被検知板(被検知部材)16が取り付けられている。
【0022】
取手15,15は、フィルタ体10の両側方に沿って横架された一対のサイドバー17,17上に移動可能に乗せられている。すなわち、フィルタ体10は、取手15,15を介してサイドバー17,17に支持され、このサイドバー17,17に沿って移動可能となっている。
【0023】
各フィルタ体10は、図示しない移動機構によりサイドバー17,17に沿って一つずつ移動されるようになっている。
【0024】
受板18の左側面18Aには、フィルタ体10と同様に、ネット13とシール部18Sと布フィルタ18Nとが設けられている。下部のシール部18Saと受板18の左側面18Aとの間には幅広の通水路D2が形成されている。
【0025】
同様に、押板19の右側面19Aにも、ネット13、シール部19S及び布フィルタ19N(
図6参照)が設けられ、幅広の通水路(図示せず)が形成されている。また、押板19の一方の側面には、フィルタ体10と同様に取手15A(
図1参照)が設けられており、この取手15Aに被検知板16Aが取り付けられている。
[洗浄装置]
洗浄装置20は、レール21,21に沿って移動する走行機(移動体)30と、走行機30に設けられた洗浄機40と、フィルタ体10の位置を検知する検知装置50とを備えている。
[走行機]
走行機30は、
図1及び
図2に示すように、レール21,21上を走行する車輪31,31を設けた四角形状のベース枠体32を有し、このベース枠体32には、スプロケット47を保持する保持枠体33が設けられている。また、ベース枠体32の両側方には、下方に延びたカバー板35,35が取り付けられており、一方のカバー板35の下部の左端部(
図1において)に検知装置50が取り付けられている。
【0026】
走行機30は、レール21,21の一端部に設けた図示しない駆動機構によってレール21,21上を走行するようになっている。
[洗浄機]
洗浄機40は、水を噴出するノズル41と、このノズル41を上下動させる昇降機構42とを有している。
【0027】
ノズル41は、ケーブルベア(登録商標)43の先端部に取り付けられた保持部材44に保持されており、このノズル41の接続口41Aがホース45(
図2参照)の先端部に接続されている。ホース45の後端部(図示せず)は洗浄水の供給口(図示せず)に接続され、ノズル41の上下動や走行機30の移動位置に拘りなく、ノズル41から洗浄水を噴出させることができるようにホース45は配設されている。
【0028】
昇降機構42は、
図2に示すように、モータM1と、このモータM1によって回転する駆動スプロケット46Aと、従動スプロケット46Bと、両スプロケット46A,46Bを巻回したチェーンVBと、従動スプロケット46Bと一体に回転していくスプロケット47(
図1参照)と、左右方向(
図1において)延びたガイドロッド48等とを有している。
【0029】
ケーブルベア43の後端部はガイドロッド48の先端部(
図1において右端部)に固定され、ケーブルベア43の後端部を含む一部43Aがガイドロッド48上に配置され、また、ケーブルベア43がスプロケット47を巻回して保持部材44を吊り下げている。
【0030】
保持部材44が
図1に示す上昇位置にあるときケーブルベア43は
図1に示す二点鎖線で示すようになり、保持部材44が最下方位置まで下降されると、ケーブルベア43は一点鎖線で示すようになる。
[検知装置]
検知装置50は、
図4に示すように、カバー板35に一端部が軸部材51Jにより軸支された回動板51と、この回動板51の他端部に取り付けられた近接センサ(検知手段)52と、回動板51に取り付けられたガイド板(ガイド部材)60とを有している。
【0031】
回動板51は、
図5に示すように断面がL字状に形成されており、そのL字状の底部を形成する底壁部51Aに近接センサ52が装着されている。また、回動板51の立設壁部51Bの中間部には、円弧状のガイド穴53が形成されている。ガイド穴53は、回動板51の軸部材51Jを中心にした円弧となっており、このガイド穴53には、カバー板35に設けたピン54がガイド穴53に沿って相対移動可能に挿入されている。
【0032】
回動板51は、軸部材51Jを中心にして回動可能となっており、この回動により回動板51の他端部は上下動することになる。また、回動板51は、自身の重量やガイド板60の重さにより、常に
図4において反時計回りに回動する力が働くようになっているが、スプリングなどを使用して強制的に反時計回りに付勢するようにしてもよい。
[ガイド板]
ガイド板60は、回動板51の先端部に設けられた一対の長孔55,55に挿入されたネジN,Nによって回動板51に固定されている。このネジN,Nを緩めることにより、ガイド板60は長孔55,55に沿って上下方向に移動可能となり、この移動により、近接センサ52に対するガイド板60の上下方向の位置調整が可能となっている。
【0033】
また、ガイド板60は、下面が円弧状に形成されたガイド面61を有しており、近接センサ52の検知部52Aから所定距離L1だけ真下に離間した位置に対応したガイド面61上の位置に検知位置P1が設定されている。この検知位置P1に被検知板16がくると、近接センサ52は被検知板16を検知するように、ガイド板60の回動板51に対する取付位置が調整されている。
【0034】
ここでは、近接センサ52の検知範囲を示す検知特性曲線Tの最下部位置Taとガイド板60の検知位置P1とが高さ方向に対して一致するように、ガイド板60の取付位置が調整されている。
【0035】
実際には、検知位置P1が検知特性曲線T内に少し入った状態に設定されており、検知位置P1を含む狭い領域が検知範囲となっているが、ここでは、説明の便宜上、検知特性曲線Tの最下部位置Taとガイド板60の検知位置P1とが一致しているとして説明していく。
【0036】
ガイド板60のガイド面61は、検知位置P1から左右方向(
図4において)に離れるほど検知特性曲線Tから離れるように形成されている。これにより、その検知位置P1から離れたガイド面61上の位置で、近接センサ52が被検知板16を検知してしまうことが防止され、検知位置P1のみで近接センサ52が被検知板16を検知するようになる。
【0037】
ガイド面61の検知位置P1とガイド面61の最上部位置P2との高さ方向の距離は、被検知板16の組み付け誤差や寸法誤差などに拘りなく、全ての被検知板16の上端部がガイド面61に当接可能となるように設定されている。
[動 作]
次に、上記のように構成される泥水処理システムS及び洗浄装置20の動作について説明する。
【0038】
先ず、
図6に示すように押板19を図示しないシリンダ装置によって受板18方向へ移動させて、フィルタ体10のシール部12同士や受板18及び押板19のシール部18S,19Sとフィルタ体10のシール部12とをそれぞれ密着させる。
【0039】
この後、受板18の穴18Hから泥水をポンプによって圧送する。この圧送により受板18の穴18Hや各フィルタ体10の穴11Aを介して、フィルタ体10等によって形成された各空間V1,V2に泥水が送り込まれていく。
【0040】
各空間V1,V2に送り込まれた泥水は、布フィルタ14,18N,19Nにより泥と水に分離され、この分離された水が布フィルタ14,18N,19Nの内側にあるネット13や、このネット13によって形成されたろ板11と布フィルタ14との間の空間を通り、さらに、フィルタ体10の通水路D1(
図3参照)や受板18の通水路D2と、押板19の通水路(図示せず)から下方に排水されていき、
図3に示すように、泥だけが各空間V1,V2等に残留し、脱水されていく。
【0041】
この脱水の後、押板19を後退(
図6において左方向へ移動)させるとともに、各フィルタ体10を図示しない移動機構により移動させて、フィルタ体10とフィルタ体10との間を広げていく。これにより、各空間V1,V2にある脱水された泥の塊である脱水ケーキが落下していく。
【0042】
落下した脱水ケーキを除去した後、布フィルタ14の洗浄を行う洗浄工程へ進む。
【0043】
洗浄工程では、最初に、例えば
図1に示すように、押板19とフィルタ体10′との間を所定距離離間させ、このフィルタ体10′の後方(
図1において右方向)には各フィルタ体10,10を
図1に示すように配置させておく。各フィルタ体10の移動は図示しない移動機構により行う。
【0044】
次に、駆動機構によって洗浄装置20の走行機30をレール21に沿って移動させていく。この移動により、検知装置50の近接センサ52が押板19の被検知板16Aを検知すると、走行機30はその位置に停止される。なお、駆動機構の制御は図示しない制御装置によって行われ、制御装置は、近接センサ52の検知に基づいて駆動機構を制御する。
【0045】
走行機30が停止されると、昇降機構42(
図2参照)により洗浄機40が下降されていく。洗浄機40は、
図1に示すようにフィルタ体10′と押板19のシール部19Sとの間を下降していき、この下降とともに洗浄機40のノズル41から水を噴出させて、押板19の布フィルタ19Nとフィルタ体10′の布フィルタ14(
図3参照)を洗浄していく。なお、昇降機構42の制御やノズル41の水の噴出などの制御は上記の制御装置によって行う。
【0046】
この洗浄の終了後、洗浄機40は
図1の実線位置へ上昇され、フィルタ体10′が移動機構により押板19のシール部19Sに当接する位置まで移動される。この後、駆動機構により走行機30が右方向(
図1において)へ移動されていき、検知装置50の近接センサ52がフィルタ体10′の被検知板16を検知すると、その位置に走行機30が停止される。
【0047】
次いで、昇降機構42により洗浄機40が下降され、フィルタ体10′とフィルタ体10″との間を下降していく。この下降の際に、洗浄機40のノズル41から水が噴出されていき、フィルタ体10′の布フィルタ14とフィルタ体10″の布フィルタ14とが洗浄されていく。
【0048】
これら動作が繰り返し行われて、各フィルタ体10の布フィルタ14が洗浄されていく。
[検知装置の動作]
次に、検知装置50の動作について説明する。
【0049】
いま、例えば
図4に示すように、被検知板16Aを検知する位置から検知装置50が右方向(
図4において)へ移動して
図7に示す位置へ移動すると、被検知板16′の上端部16aがガイド板60のガイド面61の位置Paに当接する。さらに、検知装置50が右方向へ移動していくと、被検知板16′の上端部16aがガイド板60のガイド面61上を相対的に摺動移動していくことになる。
【0050】
この摺動移動の際に、ガイド板60は上方向の力を受け、回動板51は軸部材51Jを中心にして時計回りに回動していく。この回動により、ガイド板60及び近接センサ52が上昇され、ガイド板60は被検知板16′の上端部16aを乗り上げて移動していくことになる。すなわち、被検知板16′の上端部16aがガイド板60のガイド面61上を摺動しならが検知位置P1へ移動していくことになる。
【0051】
被検知板16′の上端部16aが検知位置P1に移動すると、近接センサ52は被検知板16を検知し、走行機30は停止される。
【0052】
この場合、
図8に示すように、被検知板16″の上端部16aが被検知板16Aの上端部より高い位置に位置し、その上端部16aが近接センサ52に衝突するような位置にある場合であっても、回動板51は軸部材51Jを中心にして時計回りに大きく回動して、ガイド板60が被検知板16″の上端部16aの上に乗り上げていくので、被検知板16″の上端部16aが近接センサ52の検知部52Aに衝突してしまうことが防止され、近接センサ52の破損が防止される。
【0053】
この場合、検知位置P1と近接センサ52の検知部52Aまでの距離L1は変わらないので、近接センサ52は被検知板16を確実に検知することになる。
【0054】
逆に、
図8Aに示すように、被検知板16Bの上端部16a′が被検知板16Aの上端部より低い位置、すなわち、近接センサ52が被検知板16を検知することができないような位置にある場合、回動板51は軸部材51Jを中心にして反時計回りに回動して、被検知板16Bの上端部16a′がガイド板60のガイド面61に当接し、その上端部16a′はガイド板60のガイド面61に沿って検知位置P1へ案内されることになる。
【0055】
このため、近接センサ52は被検知板16Bの上端部16a′を検知することができる。
【0056】
このように、検知装置50は、被検知板16の取付精度や寸法誤差などによって、従来のように被検知板16の上端部16aが衝突する位置や検知できない位置にあっても、衝突することなく被検知板16を確実に検知することができる。
【0057】
また、ガイド板60のガイド面61の検知位置P1に、被検知板16の上端部16aがきたときのみ近接センサ52が被検知板16を検知するものであるから、走行機30の移動方向に対する検知装置50の検知位置の精度を向上させることができ、走行機30の停止位置の精度を向上させることができる。
[第2実施例]
図9は第2実施例の検知装置150を示す。この検知装置150は、近接センサ52を取り付けたL字板151と、このL字板151の背面に固定されたガイド板160と、このガイド板160を上下動自在に保持するとともにカバー板35に固定された基板162とを有している。
【0058】
L字板151は、L字板151に設けた長孔152,152を通したネジ153,153よりガイド板160にネジ止めされている。このネジ153,153の調整により、L字板151はガイド板160に対して上下動可能となっており、第1実施例と同様に位置調整が可能となっている。
【0059】
ガイド板160は、第1実施例のガイド板60のガイド面61と同じガイド面161を有し、ガイド板60と同様に検知位置P1が設定されている。
【0060】
基板162には、近接センサ52を挟む位置に上下方向に延びた長孔162H,162Hが形成され、L字板151をネジ止めしたネジ153,153がその長孔162H,162Hを貫通しており、ネジ153,153の先端部にナット170を螺合させて、ネジ153,153が長孔162H,162Hから抜けないようになっている。また、ネジ153,153は長孔162H,162Hに沿って相対的に移動自在となっている。
【0061】
これにより、近接センサ52を取り付けたL字板151及びガイド板160は一体となって基板162に対して上下動自在に取り付けられており、第1実施例の検知装置50と同様の効果を得ることができる。
【0062】
この第2実施例においても、L字板151及びガイド板160を図示しないスプリングによって常に下方に付勢するようにしてもよい。このようにすることにより、ガイド板60のガイド面61に被検知板16の上端部16aを確実に摺動移動させることができる。
【0063】
第2実施例では、L字板151をガイド板160に取り付けるネジ153,153を利用して基板162に上下動自在に取り付けているが、これに限らず、例えば、ガイド板160に一対のピンを固定し、この一対のピンの先端部を基板162の長孔162H,162H内を上下動自在に貫通させ、この一対のピンの先端部に抜け止め防止用の防止板を固定して、近接センサ52を取り付けたL字板151及びガイド板160を一体的に基板162に対して上下動自在に取り付けるようにしてもよい。
【0064】
すなわち、近接センサ52を取り付けたL字板151及びガイド板160が上下動自在に基板162に取り付けられていれば、どのような構造であってもよい。
【0065】
上記実施例は、いずれもガイド板60,160のガイド面61,161は円弧状に形成されているが、これに限らず、例えば、検知位置P1が最下部位置となる2つの直線状の傾斜面で形成してもよい。この場合、検知位置P1を平坦状にするのが好ましい。
【0066】
上記実施例は、いずれも検知装置50,150がフィルタ体10に設けた被検知板16(16A)を検知する場合について説明したが、これに限らず、他の装置の被検知板を検知するようにしてもよい。
【0067】
また、検知装置50,150は、検知位置の精度が要求されるセンサとして使用することもできる。
【0068】
この発明は、上記実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲の発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。