(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
水路を形成する内筒(1)と、内筒(1)の外周面に回転自在且つ前後方向へ進退移動自在に設けた外筒(2)と、内筒(1)の内方に配設され、先端部にデフレクター(3)を設けたスピンドル(4)とを具備し、外筒(2)の進退移動によって放水状態を棒状放水又は噴霧放水に切り替え可能な消火用ノズルにおいて、前記消火用ノズルは、消火用ノズルの基端部に設けられ、消火用ホース(H)の先端部に接続されると共に、開閉機能及び流量調整機能を有するバルブ(5)と、消火用ノズルの先端部に設けられ、他の消火用ホース(H)の基端部に設けた雌型金具(6)に着脱自在に接続される雄型金具(7)と、消火用ノズルの先端部に着脱自在に設けられ、雄型金具(7)の外周面に嵌合されて雄型金具(7)を覆って保護すると共に、外筒(2)と一緒に回転する保護体(26)とを備え、前記雄型金具(7)は、雌型金具(6)に挿入される外筒(2)と、外筒(2)の先端部外周面に設けられ、雌型金具(6)に設けた複数の爪(19)に着脱自在に係止される環状突部(2b)と、外筒(2)にスライド自在に外嵌され、雌型金具(6)の各爪(19)と外筒(2)の環状突部(2b)との係止を外す押し輪(23)とを備え、また、前記保護体(26)に、外筒(2)に設けた止めネジ(8)が挿入係止される切欠き(27a)を設けたことを特徴とする消火用ノズル。
前記バルブ(5)は、内筒(1)の基端部に接続され、内筒(1)の水路に連通する水路を有するバルブボディ(10)と、バルブボディ(10)に回転自在に設けられ、バルブボディ(10)の水路に連通可能な通路(11a)を有し、バルブボディ(10)の水路を開閉する弁体(11)と、弁体(11)に設けられ、弁体(11)を回転操作する開閉レバー(12)とを備え、前記開閉レバー(12)は、バルブボディ(10)の水路を全開する全開位置と、バルブボディ(10)の水路を全閉する全閉位置と、バルブボディ(10)の水路と弁体(11)の通路(11a)の開口面積を変化させる流量調整位置とに亘って揺動自在に構成されていることを特徴とする請求項1に記載の消火用ノズル。
前記バルブボディ(10)の水路の上流側内周面に、消火用ホース(H)の先端部に設けたネジ式の接続金具(13)又は管そう(34)のネジ式のノズル結合部(35)が着脱自在に螺着される雌ネジ(10b)を形成したことを特徴とする請求項2に記載の消火用ノズル。
前記バルブボディ10の上流側端部に、消火用ホース(H)の先端部に設けた差込み式の雄型金具(7)が着脱自在に接続される差込み式の雌型金具(6)を設けたことを特徴とする請求項2に記載の消火用ノズル。
【背景技術】
【0002】
一般に、消防法においては、木造製の小規模建築物は、敷地の所有権が違えば、1棟ごとに消防設備の要否を判断するため、住居として使用している場合には、消火設備の設置の対象になっていない。
【0003】
そのため、木造製の小規模建築物が密集している地域では、ひとたび火災が発生すると、非常に大規模な火災になる可能性がある。
また、多くの木造住宅が密集する歴史的景観のある町並みや、文化財が多く存在する地域においては、古い木造建築物を残すために、区画整理がされていないことから、道路幅員が狭い場所があり、消防署が近くにあっても、消防車が通行できないため、消防隊の到着までに時間がかかって被害が拡がることがある。
【0004】
そこで、木造製の建築物が密集している地域においては、公設の水道本管に設置されている屋外消火栓設備を使用して防災力を高めるようにしている。
【0005】
しかし、前記屋外消火栓設備は、消火栓に接続する消火用ホースの口径が65mmと大きいため、水圧や水量が非常に大きくなり、これを使用して有効な消火活動や消火訓練、散水を行うのは、操作方法を習得している消防職員や消防団員に限られ、訓練を受けていない一般の市民が使用するには、極めて危険が伴うと云う問題があった。
【0006】
そのため、ビルなどでは、消火用ホースの口径を40mm、30mm、25mmと屋外消火設備の消火用ホースに比べて細くし、水圧や水量も小さくして、一般市民が初期消火活動を行えるものとして、屋内消火栓設備を設置している。
また、歴史的景観のある町並みや、文化財が多く存在する地域においては、地域の消火活動に使用する目的として、道路や地域の共有地に屋内消火栓を設置し、初期消火活動を地域住民が担う体制を整備している地域が数多くある。
【0007】
しかし、屋内消火栓も水道と比べると水圧、水量が大きいことと、ホースの引き出しやノズルの操作などを円滑に行うには、訓練が必要とされていることから、定期的に消火訓練を行っているが、時間的な制約などによって地域住民全員が参加できない場合もあり、操作の習熟度に個人差が出ることになる。
【0008】
そこで、消火訓練の延長として、個人が日常的に道路への散水や植栽への灌水に使用することを奨励している地域もあるが、水道に比べて水圧や水量が大きいことから、使用に不安感を持ってしまい、日常の使用を敬遠するために、十分に行われていないのが現状である。
【0009】
一方、消火設備に用いる消火用ノズルには、様々な種類があり、大きく分けると、棒状放水式と、噴霧放水式と、両者を組み合わせたものがある(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4及び特許文献5参照)。
【0010】
棒状放水式は、ノズル先端から放射される水流が連続した棒状になっており、放水圧力の強弱により距離が進むにつれて水滴状の飛沫になり、消火が必要な地点に着水させる。
【0011】
また、噴霧放水式は、ノズル先端に水流方向を変化させる開口又は段差を設け、水流をノズル内部でいろいろな方向に変化させることで、あらかじめ小さな粒状にして先端より放射するもので、水粒は先端の構造により様々な大きさに変化させることができる。
【0012】
前記棒状放水式と噴霧放水式の違いは、放水時における放水方向と、逆方向に作用する反力の大きさと、放水する水の角度調整の機能の有無である。
【0013】
ノズル先端における放水圧力が同じ場合、放水時における反力の違いは、ノズル先端部で粒状になって放水されることによりエネルギーが分散される噴霧放水式に比べると、ノズルの先端から放射される水流が連続してつながっている棒状放水式の方が大きくなる。
【0014】
現在、初期消火用として位置づけされている屋内消火栓設備に使用されている消火用ノズルには、放水作業を容易にすることを目的として噴霧放水式を採用しているものがある。
【0015】
しかし、噴霧放水式の消火用ノズルであっても、消火活動に使用するためには、水道の蛇口からでる水量及び水圧に比べると大きくなっており、地域住民が使用し難いと云う問題がある。
【0016】
更に、実際の消火活動時における問題として、消火設備の設置位置によっては、入り組んだ路地や建物の奥まで消火用ホースが届かない場所もあり、初期火災の段階で鎮火させることができないことが想定される。
【0017】
この問題を解決するには、消火用ホースに長いものを使用すれば良いが、消火用ホースの引き出しや取り扱いに大きな負担がかかることになり、むやみに長い消火用ホースを使用すれば、実際の消火活動が行えないこともある。また、消火設備の設置場所を増やせば、景観を損なうと共に、工事費や機器購入費が高騰してしまうと云う問題があった。
【0018】
別の対処方法としては、近接する消火設備の消火用ホースのみを取り出し、消火活動を行っている消火栓の延長用ホースとして接続することで出火地点に到達することは可能であるが、その操作は消火設備の消火栓格納箱に設置されている開閉弁を閉止したことを確認した後、消火活動を行っているホース先端のノズルを外し、延長するホースを消火活動に使用しているホースに接続して延長用ホースの先端に先ほど外した消火用ノズルを装着してから、再び開閉弁を開くという手順になる。
【0019】
そのため、この操作を迅速に行うには、開閉弁の操作を行う者が必要になる他、入り組んだ路地等では、ノズルを操作する者から消火栓格納箱を見渡すことが困難であることも想定されるため、曲がり角毎に開閉弁の閉止と再度送水するための確認に人員を要することになる。
もし、これらの人員が確保できない場合には、確認作業に時間を要することは勿論だが、誤ったタイミングでの開閉弁の開放により、怪我等の事故が発生することになる。
【0020】
尚、特開2000−84109号公報(特許文献6)には、ホースの先端部に設けたノズルに別のホースを接続できる消火用噴射ノズルが記載されているが、この消火用噴射ノズルは、ノズル先端部に別のホースを接続する際に、ノズル先端部に継手雄部材を新たに接続しなければならず、迅速な所期消火活動を行えないことになる。また、この消火用噴射ノズルの先端部には、細径のホースしか接続できないので、水圧、水量が小さくなり、消火に支障を来たすことになる。更に、この消火用噴射ノズルは、直射放水の際に、消火用噴射ノズル内に形成した水路と直噴水路と直噴用吐出路とがストレートに連通するようになっているため、放水反力が大きくなって操作し難いことになる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜
図8は本発明の第1の実施形態に係る消火用ノズルを示し、当該消火用ノズルは、多くの木造住宅が密集する町並みや、地域の防災用として設置される消火設備に用いられるものであり、消火用ホースHの先端部に接続されて消火設備として必要な水圧、水量を確保しつつ、操作の習熟を目的とした日常の散水用として低水圧、低水量に切り替えて使用することができ、また、消火活動時において消火用ホースHの長さが不足する場合に、消火用ホースHの先端部に接続した消火用ノズルを外すことなく、消火用ノズル自体に他の消火用ホースHを簡単且つ容易に接続でき、しかも、消火用ノズルの開閉状況を外見から容易に判別することができるようにしたものである。
【0031】
尚、消火設備は、道路脇や道路に面している建物の軒先、地域の共有地等に設置されており、開閉可能な消火栓格納箱(図示省略)内に消火栓弁(図示省略)や消火用ホースH、消火用ノズル等を収納して成る。
【0032】
前記消火用ノズルは、
図1〜
図8に示す如く、水路を形成する内筒1と、内筒1の外周面に回転自在且つ前後方向へ進退移動自在に螺着された外筒2と、内筒1の内方に配設され、先端部にデフレクター3を設けたスピンドル4と、消火用ノズルの基端部に設けられ、開閉機能及び流量調整機能を有するバルブ5と、消火用ノズルの先端部に設けられ、他の消火用ホースHの基端部に設けた雌型金具6に着脱自在に接続される雄型金具7とを備えており、外筒2を内筒1に対して進退移動させることによって、放水状態を棒状放水若しくは噴霧放水に切り替え可能となり、また、バルブ5を操作することによって、通水状態(全開状態)、閉止状態(全閉状態)、流量調整状態に切り替え可能となっている。
ここで前後方向とは、消火用ノズルの軸心方向を言い、消火用ノズルの先端部側(
図1〜
図3の左側)を前方、消火用ノズルの基端部側(
図1〜
図3の右側)を後方と言う。
【0033】
前記内筒1は、金属材により筒状に形成されており、内方にスピンドル4が配設される筒状の小径部分1aと、小径部分1aに連設されて小径部分1aよりも大きい径の筒状の大径部分1bとを備えている(
図3参照)。
【0034】
また、内筒1の小径部分1aの中間部外周面には、外筒2が回転自在且つ前後方向へ進退移動自在に螺着される雄ネジ1cが形成されていると共に、内筒1の大径部分1bの内周面には、バルブ5のバルブボディ10が着脱自在に螺着される雌ネジ1dが形成されている(
図3参照)。
【0035】
更に、内筒1の小径部分1aの外周面には、外筒2の基端部に設けた止めネジ8の先端部が遊嵌状態で嵌合される環状溝1eが形成されている(
図3参照)。
【0036】
前記外筒2は、金属材により筒状に形成されており、内筒1の小径部分1aの外周面に回転自在且つ前後方向へ進退移動自在に螺着されている。この外筒2の中間部内周面には、内筒1の雄ネジ1cに回転自在且つ前後方向へ進退移動自在に螺着される雌ネジ2aが形成されている(
図3参照)。
【0037】
また、外筒2の基端部には、先端部が内筒1の環状溝1e内に遊嵌状態で嵌合される止めネジ8が設けられている。この止めネジ8は、外筒2が前方へ移動したときに内筒1の環状溝1eの一端面に当接して外筒2の前方への移動を規制するものである(
図4(イ)参照)。
【0038】
前記スピンドル4は、内筒1内に前後方向へ若干量だけ移動自在に配設されており、スピンドル4の先端部には、外筒2の内周面との間で環状の水路を形成する環状のデフレクター3がビス9により固定されている(
図3参照)。尚、デフレクター3の外径は、外筒2の内径よりも小径に形成され、外筒2の内周面に当接しないようになっている。そのため、デフレクター3では、内筒1の水路を閉鎖できないようになっている。
【0039】
また、スピンドル4の基端部には、スピンドル4を内筒1内に保持して内筒1とスピンドル4との間に環状の水路を形成すると共に、内筒1の内周面に形成した環状の段部に係止される放射状の羽根部4aが形成されている。
【0040】
前記バルブ5は、
図3及び
図5に示す如く、内筒1の基端部に接続され、内筒1の水路に連通する水路を有するバルブボディ10と、バルブボディ10に回転自在に設けられ、バルブボディ10の水路に連通可能な通路11aを有し、バルブボディ10の水路を開閉する弁体11と、弁体11に設けられ、弁体11を回転操作する開閉レバー12とを備えており、開閉レバー12を揺動操作することによって、通水状態(全開状態)、閉止状態(全閉状態)、流量調整状態に切り替え可能となっている。即ち、バルブ5は、開閉機能及び流量調整機能を有している。
【0041】
具体的には、前記バルブボディ10は、金属材により略十字型筒状に形成されており、内筒1の水路にストレートに連通する直線状の水路を有している。
【0042】
また、バルブボディ10の先端部外周面には、内筒1の雌ネジ1dに着脱自在に螺着される雄ネジ10aが形成されていると共に、バルブボディ10の基端部内周面(水路の上流側内周面)には、消火用ホースHの先端部に設けたネジ式の接続金具13が着脱自在に螺着される雌ネジ10bが形成されている(
図3参照)。
【0043】
更に、バルブボディ10の外面には、
図1及び
図2に示す如く、開閉レバー12の揺動角度を規制する円弧状の切欠き部10cが形成されている。この切欠き部10cは、切欠き部10cの一方の端面に開閉レバー12が当接したときには、バルブ5が全開状態(
図5(イ)及び(ロ)参照)となり、切欠き部10cの他方の端面に開閉レバー12が当接したときには、バルブ5が全閉状態(
図5(ハ)及び(ニ)参照)となり、切欠き部10cの両端面の間に開閉レバー12が位置するときには、バルブ5が流量調整状態(
図5(ホ)及び(ヘ)参照)となるようにバルブボディ10に形成されている。
【0044】
前記弁体11は、金属材により軸状に形成されており、弁体11の中間部には、バルブボディ10の水路に連通可能な通路11aが弁体11の軸心に直交する姿勢で形成されていると共に、弁体11の両端には、小径の操作軸部11bが突出形成されている(
図3参照)。
【0045】
そして、前記弁体11は、バルブボディ10に小径の操作軸部11bがバルブボディ10の外方へ突出する状態で且つバルブボディ10の水路に直交する姿勢で軸心廻りに回転自在に支持されており、バルブボディ10に螺着した環状の弁体押え14によりバルブボディ10から抜け止めされている。
【0046】
また、前記弁体11は、後述する開閉レバー12で軸心廻りに回転操作することによって、弁体11の通路11aとバルブボディ10の水路とが完全に合致して水路を全開する全開位置(
図5(イ)及び(ロ)参照)と、弁体11の通路11aとバルブボディ10の水路とが完全にずれて水路を全閉する全閉位置(
図5(ハ)及び(ニ)参照)と、弁体11の通路11aとバルブボディ10の水路との開口面積が変化する流量調整位置(
図5(ホ)及び(ヘ)参照)とを取り得るようになっている。
【0047】
前記開閉レバー12は、棒状の金属材をコ字状に折り曲げることにより形成されており、その両端部が弁体11の操作軸11bに外周面から挿入され、レバー用止めネジ15により抜け止めされている。この開閉レバー12は、バルブボディ10に形成した切欠き部10cによりその揺動角度が規制されており、バルブボディ10の水路を全開する全開位置(
図5(イ)及び(ロ)参照)と、バルブボディ10の水路を全閉する全閉位置(
図5(ハ)及び(ニ)参照)と、バルブボディ10の水路と弁本体の通路11aの開口面積を変化させる流量調整位置(
図5(ホ)及び(ヘ)参照)とに亘って前後方向へ揺動自在に構成されている。
【0048】
このように構成されたバルブ5は、開閉レバー12を消火用ノズルの前方へ倒してバルブボディ10の切欠き部10cの前方側端面に当接させると、弁体11の通路11aとバルブボディ10の水路とが完全に合致してバルブボディ10の水路を全開する全開位置(
図5(イ)及び(ロ)参照)となり、また、開閉レバー12を消火用ノズルの後方へ倒してバルブボディ10の切欠き部10cの後方側端面に当接させると、弁体11の通路11aとバルブボディ10の水路とが完全に不一致となってバルブボディの水路を全閉する全閉位置(
図5(ハ)及び(ニ)参照)となり、更に、開閉レバー12をバルブボディ10の切欠き部10cの両端面の間に位置させると、バルブボディ10の水路と弁体11の通路11aの開口面積が変化する流量調整位置(
図5(ホ)及び(ヘ)参照)となる。
【0049】
尚、上記の実施形態においては、開閉レバー12をコ字状に形成したが、他の実施形態においては、開閉レバー12をL字状又は直線の棒状に形成しても良い。
【0050】
また、上記の実施形態においては、開閉レバー12を前方へ倒すと、全開位置となり、開閉レバー12を後方へ倒すと、全閉位置となるようにしたが、他の実施形態においては、
図6に示す如く、開閉レバー12の位置を変え、開閉レバー12を後方へ倒すと、全開位置(
図6(イ)参照)となり、開閉レバー12を前方へ倒すと、全閉位置(
図6(ロ)参照)となるようにしても良い。この場合、開閉レバー12がバルブボディ10の切欠き部10cの両端面の間に位置するときには、流量調整位置(
図6(ハ)参照)となる。
【0051】
前記雄型金具7は、他の消火用ホースHの基端部に設けた差込み式の雌型金具6に着脱自在に接続される差込み式の雄型金具7であり、この差込み式の雄型金具7には、例えば、消火用ホースHと消火栓弁等の連結及び分離をワンタッチで行える従来公知の町野式(登録商標)結合金具の雄型金具7が使用されている。
【0052】
具体的には、前記雌型金具6は、
図7及び
図8に示す如く、一端部に消火用ホースHに連結される筒状の連結部16aを有すると共に、他端部に連結部16aよりも大径で且つ連結部16aに連なる筒状の受け口部16bを備えた雌型本体16と、雌型本体16の受け口部16bの開口部分に皿ビス17により固定された環状の爪座18と、雌型本体16の受け口部16b内に位置して環状の爪座18に等角度毎に配設され、爪座18の内方へ突出可能な円弧状の複数の爪19と、各爪19を雌型本体16の受け口部16bの内方へ附勢する複数枚の板バネ20と、受け口部16bの内周面に嵌め込まれたU型パッキン21と、雌型本体16の受け口部16b外周面に嵌合した環状のゴムバンド22とから成る。
【0053】
一方、前記雄型金具7は、
図3、
図7及び
図8に示す如く、雌型金具6に挿入される外筒2と、外筒2の先端部外周面に螺着され、雌型金具6に設けた複数の爪19に着脱自在に係止される環状突部2bと、外筒2に前後方向へスライド自在に外嵌され、雌型金具6の各爪19と外筒2の環状突部2bとの係止を外す筒状の押し輪23とから成る。尚、環状突部2bは、外筒2と一体的に形成しても良い。
【0054】
また、押し輪23は、外筒2に前後方向へスライド自在で且つ外筒2に対して回転自在に外嵌されており、雌型金具6と雄型金具7の連結を解除する機能を有している。
【0055】
尚、
図3において、24aは内筒1とバルブボディ10との間をシールするOリング、24bは内筒1と外筒2との間をシールするOリング、24cはバルブボディ10と弁体11との間をシールするOリング、24dは外筒2と環状突部2bとの間をシールするOリング、25aはバルブボディ10と弁体11との間をシールするパッキン、25bはバルブボディ10と弁体11との間及び弁体11と弁体11押えとの間をシールするパッキン、25cはバルブボディ10と接続金具13との間をシールするパッキンである。
【0056】
而して、上述した消火用ノズルは、外筒2を内筒1に対して回転させ、外筒2を内筒1に対して後退させると、内筒1内を通過した水流は、先端のデフレクター3に当たり、進行方向が変化しながら外筒2とデフレクター3との間から消火用ノズルの軸線に対して所望の角度を持って放射される。このときの水流は、デフレクター3に当たった際に空気が混入されるため、消火用ノズルから噴霧状態で放射される(
図4(ロ)参照)。
尚、噴霧の角度は、外筒2の先端部とデフレクター3との位置により変化し、外筒2が内筒1に対して後退するに従い放水角度が大きくなる。
【0057】
また、外筒2を内筒1に対して回転させ、外筒2を内筒1に対して前進させると、内筒1内を通過した水流は、外筒2が内筒1に対して前進するに従い放水角度が小さくなり、外筒2の先端部内周面とデフレクター3との間に形成される水路が消火用ノズルの軸線と平行になった時点で放水角度が無くなり、消火用ノズルから棒状状態で放射される(
図4(イ)参照)。
【0058】
棒状放水の状態で外筒2を内筒1に対して更に前進させると、外筒2に設けた止めネジ8が内筒1の環状溝1eの一端面に当接し、外筒2の前方への移動が規制される。このとき、消火用ノズルは、外筒2の内径をデフレクター3の外径よりも大径に形成しているため、外筒2を前進させても、デフレクター3に当接することがなく、棒状放水が継続されることになる。
【0059】
そして、前記消火用ノズルは、噴霧放水の状態又は棒状放水の状態において開閉レバー12を全開位置と全閉位置との間で揺動操作すると、バルブボディ10の水路と弁体11の通路11aの開口面積が漸次変化し、大流量から小流量まで無段階で流量調整を行える。
【0060】
消火用ノズルと他の消火用ホースHとを接続する場合には、開閉レバー12を揺動操作して消火用ノズルを全閉状態にし、この状態で雄型金具7を構成する外筒2の先端部を他の消火用ホースHの基端部に設けた差込み式の雌型金具6の環状の爪座18に差し込む。そうすると、外筒2の先端が爪座18の内方へ突出している爪19に当接するが、爪19の内面が傾斜面となっているために外筒2の押圧力によって爪19が板バネ20の弾性力に抗して外方へ押し広げられる。これにより、外筒2の先端部は、爪座18内に順次差し込まれて行く。
【0061】
外筒2の環状突部2bが爪19を越える位置まで差し込まれると、爪19が板バネ20の弾性力により爪座18の内方へ突出し、外筒2の環状突部2bの背面側へ係止され、これにより雌型金具6と雄型金具7とは抜け止めされた状態に接続される(
図8参照)。
【0062】
消火用ノズルの先端部に他の消火用ホースHが接続されたら、開閉レバー12を揺動操作して消火用ノズルを全開状態とし、放水作業を行う。
【0063】
また、消火用ノズルと他の消火用ホースHとの接続を解除する場合には、開閉レバー12を揺動操作して消火用ノズルを全閉状態にし、雄型金具7の押し輪23を外筒2の先端部側へスライド移動させる。そうすると、押し輪23の先端部が爪19の傾斜面を押し、爪19が板バネ20の弾性力に抗して外筒2の環状突部2bの外径よりも外方へ押し広げられ、環状突部2bと爪19の係止が外れる。これによって、雄型金具7を雌型金具6から引き抜くことができる。
【0064】
このように、上述した消火用ノズルは、開閉機能及び流量調整機能を有するバルブ5を備えているため、バルブ5を操作することによって、消火活動時には、消火設備として必要な水圧、水量を確保でき、また、操作の習熟を目的とした日常の散水時には、低水圧、低水量に切り替えて使用することができ、地域住民が安全且つ良好に散水作業を行える。
【0065】
また、消火用ノズルは、流量調整機能を有するバルブ5を備えているため、バルブ5を操作することによって、大流量から小流量まで無段階で流量調整を行え、しかも、棒状放水時及び噴霧放水時においても、バルブ5を操作することによって、無段階で流量を調整することができる。
【0066】
更に、消火用ノズルは、バルブ5の開閉レバー12の位置を確認することによって、消火用ノズルの開閉状況を外見から容易に判別することができる。また、消火用ノズルは、開閉レバー12をコ字状に形成しているため、消火栓格納箱(図示省略)内への収納時に水量を操作する開閉レバー12を消火栓格納箱内に設けたフック(図示省略)に掛ける機構とすることで、消火用ノズルを確実に全閉状態で消火栓格納箱に収納することができる。
【0067】
加えて、消火用ノズルは、消火用ノズルの先端部側に他の消火用ホースHの基端部に設けた雌型金具6に着脱自在に接続される雄型金具7を設けているため、消火活動時において消火用ホースHの長さが不足する場合には、近くの別の消火設備から消火用ホースHとノズルを借用し、取り出した消火用ホースHの基端部を消火用ノズルの雄型金具7に接続することによって、消火用ホースHを延長することができる。特に、消火用ホースHを延長する際には、消火用ノズルからの放水を一旦停止する必要があるが、開閉レバー12の位置によって、消火用ノズルの開閉状況を容易に判別することができるため、消火用ノズルの通水再開時には、消火用ノズルの開閉状態を容易に判断することができるので、至極便利である。また、他の消火用ホースHを接続する際には、消火用ノズルを取り外すことなく、他の消火用ホースHを接続することができると共に、消火栓格納箱内の消火栓弁を閉止することなく、消火用ノズルに設けたバルブ5で水流を止めることができるため、誤ったタイミングでの消火栓弁の開放による事故を防止することができ、迅速で有効な消火活動を行える。
【0068】
図9〜
図13は本発明の第2の実施形態に係る消火用ノズルを示し、当該消火用ノズルは、水路を形成する内筒1と、内筒1の先端部外周面に回転自在且つ前後方向へ進退移動自在に螺着された外筒2と、内筒1の内方に配設され、先端部にデフレクター3を設けたスピンドル4と、消火用ノズルの基端部に設けられ、開閉機能及び流量調整機能を有するバルブ5と、消火用ノズルの先端部に設けられ、他の消火用ホースHの基端部に設けた雌型金具6に着脱自在に接続される雄型金具7と、消火用ノズルの先端部に着脱自在に設けられ、雄型金具7の外周面に回転不能に嵌合されて雄型金具7を覆って保護する保護体26とを備えており、保護体26を回転操作して外筒2を内筒1に対して進退移動させることによって、放水状態を棒状放水若しくは噴霧放水に切り替え可能となり、また、バルブ5を操作することによって、通水状態、閉止状態、流量調整状態に切り替え可能となっている。
【0069】
前記消火用ノズルは、第1の実施形態に係る消火用ノズルに保護体29を加えたものであり、保護体26以外の構成(内筒1、外筒2、スピンドル4、バルブ5等)は、第1の実施形態に係る消火用ノズルのものと同一形状、同一構造に構成されているため、ここではその詳細な説明を省略する。
尚、第1の実施形態に係る消火用ノズルと同じ部材、部位には、同一の参照番号を付している。
【0070】
前記保護体26は、
図11及び
図12に示す如く、雄型金具7の外周面及び内筒1の基端部外周面に嵌合された金属製の保護筒27と、保護筒27の外周面に嵌着されたゴム製の筒状の保護カバー28とから成る。
【0071】
また、保護筒27の内周面には、二本の抜け止め用ゴムリング29が設けられていると共に、保護筒27の基端部には、外筒2に設けた止めネジ8の外側端部が挿入係止されるスリット状の切欠き27aが保護筒27の軸線に沿って形成されている。そのため、保護体26は、雄型金具7の外周面に嵌合したときに、抜け止め用ゴムリング29により雄型金具7から抜け止めされ、また、切欠き27aと止めネジ8の係止により外筒2と一緒に回転可能となる。
【0072】
更に、保護カバー28の外周面には、保護カバー28の軸線方向に沿う滑り防止用溝28aが保護カバー28の円周方向に一定間隔ごとに形成されている。この滑り防止用溝28aにより保護体26の回転操作を円滑且つ容易に行える。
【0073】
而して、前記消火用ノズルは、他の消火用ホースHを接続する場合には、開閉レバー12を揺動操作して消火用ノズルを全閉状態にし、その後、保護体26を消火用ノズルの先端部から引き抜く。
【0074】
次に、消火用ノズルを全閉状態にした状態で雄型金具7を構成する外筒2の先端部を他の消火用ホースHの基端部に設けた差込み式の雌型金具6の環状の爪座18に差し込み、雄型金具7と雌型金具6とを接続する。
【0075】
消火用ノズルの先端部に他の消火用ホースHが接続されたら、開閉レバー12を揺動操作して消火用ノズルを全開状態とし、放水作業を行う。
【0076】
また、消火用ノズルと他の消火用ホースHとの接続を解除する場合には、開閉レバー12を揺動操作して消火用ノズルを全閉状態にし、雄型金具7の押し輪23を操作して雄型金具7を雌型金具6から引き抜いた後、保護体26を消火用ノズルの先端部に嵌める。
【0077】
上述した第2の実施形態に係る消火用ノズルも、第1の実施形態に係る消火用ノズルと同様の作用効果を奏することができる。特に、この消火用ノズルは、消火用ノズルの先端部に設けた雄型金具7を覆って保護する保護体26を備えているため、雄型金具7が変形したり、損傷したりするのを防止することができ、その結果、雄型金具7を他の消火用ホースHの基端部に設けた雌型金具6に確実且つ良好に接続することができる。また、この消火用ノズルは、外筒2よりも大径の保護体26を備えているため、外筒2の回転操作を行い易くなる。
【0078】
図14は本発明の第3の実施形態に係る消火用ノズルを示し、当該消火用ノズルは、水路を形成する内筒1と、内筒1の先端部外周面に回転自在且つ前後方向へ進退移動自在に螺着された外筒2と、内筒1の内方に配設され、先端部にデフレクター3を設けたスピンドル4と、消火用ノズルの基端部に設けられ、開閉機能及び流量調整機能を有するバルブ5と、消火用ノズルの先端部に設けられ、他の消火用ホースHの基端部に設けた雌型金具6に着脱自在に接続される雄型金具7とを備えており、外筒2を回転操作して外筒2を内筒1に対して進退移動させることによって、放水状態を棒状放水若しくは噴霧放水に切り替え可能となり、また、バルブ5を操作することによって、通水状態、閉止状態、流量調整状態に切り替え可能となっている。
【0079】
前記消火用ノズルは、第1の実施形態に係る消火用ノズルのバルブ5をボールコック形式のバルブ5に変えたものであり、ボールコック形式のバルブ5以外の構成(内筒1、外筒2、スピンドル4等)は、第1の実施形態に係る消火用ノズルのものと同様構造に構成されているため、ここではその詳細な説明を省略する。
尚、第1の実施形態に係る消火用ノズルと同じ部材、部位には、同一の参照番号を付している。
【0080】
前記ボールコック形式のバルブ5は、内筒1の基端部に接続され、内筒1の水路に連通する水路を有するバルブボディ10と、バルブボディ10に回転自在に設けられ、バルブボディ10の水路に連通し得る通路11aを有し、バルブボディ10の水路を開閉する弁体11と、弁体11に設けられ、弁体11を回転操作する開閉レバー12とを備えており、開閉レバー12を揺動操作することによって、通水状態(全開状態)、閉止状態(全閉状態)、流量調整状態に切り替え可能となっている。
【0081】
具体的には、前記バルブボディ10は、金属材により筒状に形成されており、内筒1の水路にストレートに連通する直線状の水路を有している。
【0082】
また、バルブボディ10の先端部内周面には、内筒1の基端部外周面に形成した雄ネジ1fに着脱自在に螺着される雌ネジ10dが形成されていると共に、バルブボディ10の基端部内周面(水路の上流側内周面)には、消火用ホースHの先端部に設けたネジ式の接続金具13が着脱自在に螺着される雌ネジ10bが形成されている(
図14参照)。
【0083】
前記弁体11は、金属材によりボール状に形成されており、弁体11の中心部には、バルブボディ10の水路に連通し得る通路11aが形成されていると共に、弁体11の外面には、矩形状の係止穴11cが形成されている(
図14参照)。この弁体11は、バルブボディ10にパッキン30を介して回転自在に支持されている。
【0084】
前記弁体11は、後述する開閉レバー12で係止穴11cを通る中心線廻りに回転操作することによって、弁体11の通路11aとバルブボディ10の水路とが完全に合致して水路を全開する全開位置と、弁体11の通路11aとバルブボディ10の水路とが完全にずれて水路を全閉する全閉位置と、弁体11の通路11aとバルブボディ10の水路との開口面積が変化する流量調整位置とを取り得るようになっている。
【0085】
前記開閉レバー12は、金属材により棒状に形成されており、バルブボディ10に回転自在に支持されたステム
31を介して弁体11を全開位置、全閉位置、流量調整位置にそれぞれ回転操作できるようになっている。尚、図示していないが、棒状の開閉レバー12に、消火栓格納箱内に設けたフックに挿入係止れる係止穴(図示省略)を形成したり、或いは、開閉レバー12をフックに掛けられる形状としても良い。この場合には、消火用ノズルの消火栓格納箱(図示省略)内への収納時に開閉レバー12を消火栓格納箱内に設けたフック(図示省略)に掛けることができ、消火用ノズルを確実に全閉状態で消火栓格納箱に収納することができる。
【0086】
前記ステム31は、金属材により棒状に形成されており、バルブボディ10に複数のOリング32を介して回転自在に挿通支持されている。このステム31の先端部は、矩形状に形成されて弁体11の係止穴11cに嵌合され、また、ステム31のバルブボディ10から突出する基端部には、開閉レバー12の先端部が嵌合されて固定ピン33により抜け止めされている(
図14参照)。
【0087】
このように構成されたバルブ5は、開閉レバー12をバルブボディ10の軸線に沿うように揺動させると、弁体11の通路11aとバルブボディ10の水路とが完全に合致してバルブボディ10の水路を全開する全開位置となり、また、開閉レバー12をバルブボディ10の軸線と直交するように揺動させると、弁体11の通路11aとバルブボディ10の水路とが完全に不一致となってバルブボディ10の水路を全閉する全閉位置となり、更に、開閉レバー12を全開位置と全閉位置との間に位置させると、バルブボディ10の水路と弁体11の通路11aの開口面積が変化する流量調整位置となる。
【0088】
尚、上記の実施形態においては、開閉レバー12をバルブボディ10の軸線に沿うように揺動させると、全開位置となり、開閉レバー12をバルブボディ10の軸線と直交するように揺動させると、全閉位置となるようにしたが、他の実施形態においては、開閉レバー12をバルブボディ10の軸線に沿うように揺動させると、全閉位置となり、開閉レバー12をバルブボディ10の軸線と直交するように揺動させると、全開位置となるようにしても良い。
【0089】
また、上記の実施形態においては、消火用ノズルの外筒2を直接回転操作するようにしているが、他の実施形態においては、消火用ノズルの先端部に保護体26を被せ、保護体26により外筒2を回転操作するようにしても良い。
【0090】
上述した第3の実施形態に係る消火用ノズルも、第1の実施形態に係る消火用ノズルと同様の作用効果を奏することができる。
【0091】
図15は消火用ノズルの接続方法の他の例を示し、消火用ノズルの基端部に管そう34のネジ式のノズル結合部35を接続したものである。尚、管そう34の基端部には、他の消火用ホースHの基端部に設けた雌型金具6と同様構造の差込み式の雌型金具6が設けられている。
【0092】
図16は消火用ノズルの接続方法の他の例を示し、消火用ノズルの基端部に他の消火用ホースHの基端部に設けた差込み式の雌型金具6と同様構造の差込み式の雌型金具6を設けたものであり、消火用ホースHの先端部に設けた差し込み式の雄型金具7が着脱自在に接続されるようにしたものである。