特許第6697949号(P6697949)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6697949
(24)【登録日】2020年4月30日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】金型締付装置
(51)【国際特許分類】
   B21D 5/02 20060101AFI20200518BHJP
   B21D 37/14 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
   B21D5/02 F
   B21D37/14 A
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-99069(P2016-99069)
(22)【出願日】2016年5月17日
(65)【公開番号】特開2017-205781(P2017-205781A)
(43)【公開日】2017年11月24日
【審査請求日】2019年2月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】きさらぎ国際特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100094064
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 明
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 信広
【審査官】 豊島 唯
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−085340(JP,A)
【文献】 特開2005−074429(JP,A)
【文献】 特開平08−010852(JP,A)
【文献】 特開2012−055934(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3000974(JP,U)
【文献】 特開2014−034042(JP,A)
【文献】 特開2015−120185(JP,A)
【文献】 中国特許出願公開第102397921(CN,A)
【文献】 国際公開第2015/186706(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 5/01 − 5/02
B21D 37/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホルダ本体に支持されたプレスブレーキのパンチ又はダイから成る金型を、緩めたり締めたりする締め板による締付状態を表示する手段を設け
上記締付状態表示手段は、ホルダ本体が取り付けられているベースに設けられており、
該締付状態表示手段は、締め板の直下であって前記締付部材の近傍における両側で締付部材に関して左右対称位置に、又は締め板の長手方向全体に沿って帯状に若しくは締め板の長手方向の両端で締付部材に関して左右対称位置にそれぞれ設けられている
ことを特徴とする金型締付装置。
【請求項2】
上記締付状態表示手段は、ベース上であって締め板の直下に形成された凹部と該凹部内に設けられて一定の色彩で塗装された塗装物から成る請求項1記載の金型締付装置。
【請求項3】
上記締付状態表示手段は、前記締め板がホルダ本体に対して圧着されている状態を表示する圧着状態表示手段も兼ねる請求項1記載の金型締付装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は金型締付装置、特にプレスブレーキのような曲げ加工機のパンチとダイといった金型の締め付け状態を表示する手段を備えた金型締付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、曲げ加工装置、例えばプレスブレーキには、WO2015/186706号公報に開示されているように、パンチ(上金型)とダイ(下金型)から成る金型が使用されている(同公報、即ち下記の特許文献1の段落番号0001)。
【0003】
そして、この金型、例えばダイを、搖動体(締め板)3を用いて固定支持体(ホルダ本体)2(特許文献1の図1)に締め付けるクランプ装置1が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2015/186706号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このようなクランプ装置1、即ち、金型締付装置1は、ハンドルレバー54(特許文献1の図1図4)の操作で締め板3を機械本体の前後方向に搖動させることにより、支持する金型と締め板3間の隙間CU(特許文献1の図2)を広げたり狭めたりしながら、該金型を着脱自在に支持する操作装置5を有する。
【0006】
ところが、この操作装置5においては、専用のハンドルレバー54(特許文献1の図1(b))の位置によって締め板3がアンクランプ状態にあるかクランプ状態にあるかを見分けることができるが、専用のハンドルレバー54は加工時にワークと干渉することがあり、そのために、代わりに六角ボルト等の締付部材を締付具である六角レンチ等を用いて回転させることにより、締め板3を搖動させる場合がある。
【0007】
また、前記従来技術においては、ホルダ本体2(特許文献1の図2)に対して締め板3を時計方向に搖動させることにより、締め板3を緩める、即ちアンクランプ状態にし、反対に締め板3を反時計方向に搖動させることにより(特許文献1の図3図4)、締め板3を締める、即ちクランプ状態にする。
【0008】
ところが、締め板3の搖動運動は、作業者(特許文献1の図2図4の右側に位置する)から見れば、機械本体の前後方向(特許文献1の図2における左右方向)の僅かな動きである。
【0009】
従って、専用のハンドルレバー54(特許文献1の図1(b))を用いないで締め板3を操作した場合には、締め板3がアンクランプ状態にあるかクランプ状態にあるかが分からず、即ち締付状態がはっきり見分けることができず、締付状態の識別性が低下している。
【0010】
本発明の目的は、位置により締め板がアンクランプ状態にあるかクランプ状態にあるが分かる専用のハンドルレバーを設けることなく、締付状態表示手段(クランプ状態インジケータ)を設けることにより、その締付状態表示手段を見ているだけで、締め板の締付状態をはっきり見分けることができ、締付状態の識別性を向上させるようにした金型締付装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は、請求項1に記載したように、
ホルダ本体4(図1)に支持されたプレスブレーキ1のパンチP又はダイDから成る金型を、緩めたり締めたりする締め板5による締付状態を表示する手段7を設けたことを特徴とする金型締付装置9という技術的手段を講じている。
【0012】
上記本発明によれば、従来のようにワークとの干渉が発生する可能性がある専用のハンドルレバーを設けることなく、締付状態表示手段7を設けたことにより(例えば図5(A))、締め板5(図3(A))をホルダ本体4に対して時計方向に搖動させれば、締め板5の下部がホルダ本体4に近づくので、該締め板5の直下から締付状態表示手段7が露出し、作業者Sにとって目視可能となり、締め板5が緩んだ状態にあることが明確に分かり(図12のステップ101〜103)、反対に、締め板5(図4(A))をホルダ本体4に対して反時計方向に搖動させれば、締め板5の下部がホルダ本体4から遠ざかるので、該締め板5の直下に締付状態表示手段7が隠れてしまい、作業者Sにとって目視不能となり、締め板5が締めた状態にあることが明確に分かり(図12のステップ104〜106)、従って、締め板5がアンクランプ状態にあるかクランプ状態にあるかがはっきり見分けられるので、締付状態の認識性が向上した。
【発明の効果】
【0013】
上記のとおり、本発明によれば、位置により締め板がアンクランプ状態にあるかクランプ状態にあるかが分かる専用のハンドルレバーを設けることなく、締め板の締付状態表示手段(クランプ状態インジケータ)を設けたことにより、その締付状態表示手段を見ているだけで、締め板の金型に対するアンクランプ状態やクランプ状態がはっきり見分けられるので、締付状態の認識性が向上するという作用・効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態を示す全体斜視図である。
図2図1の正面図である。
図3】本発明による締め板5を緩めた状態の説明図である(アンクランプ)。
図4】本発明による締め板5を締めた状態の説明図である(クランプ)。
図5】本発明による締付状態表示手段7の第1実施例〜第3実施例を示す図である。
図6図5の構造を示す図である。
図7】本発明による締付状態表示手段7の第4実施例を示す図である。
図8図7の構造を示す図である。
図9】本発明による締付状態表示手段7の応用例を示す図である。
図10】本発明の適用例を示す側面図である。
図11図10の斜視図である。
図12】本発明の動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を、実施の形態により添付図面を参照して、説明する。
【0016】
図1は本発明の実施の形態を示す全体斜視図である。
【0017】
図1の金型締付装置9は、金型の一例であるダイDを支持するホルダ本体4と、その前面4Bに取り付けられた締め板5により構成されている。
【0018】
この場合、上記ダイDは、よく知られているように、プレスブレーキ(図10図11)に使用され、後述するパンチPと協働してワークW(図10)に曲げ加工を施す。
【0019】
上記ホルダ本体4は(図1)、ボルトとナット(共に図示省略)によりベース3に固定され、ベース3は、後述する下部テーブル2に取り付けられている。
【0020】
また、ホルダ本体4は、長手方向(X軸方向)に一体的に設けられ、該ホルダ本体4には、同様に長手方向に段差部4Aが形成され、該段差部4Aには、上記ダイDが支持される。
【0021】
上記段差部4Aには、ダイ当接面4Cが垂直状に設けられ、該ダイ当接面4Cには、ダイDの作業者S側とは反対側の一側面DCが当接するようになっている(図3(A)、図4(A))。
【0022】
このホルダ本体4(図1)の段差部4Aのダイ当接面4Cに平行して、該ホルダ本体4の前面4Bには、既述した締め板5が長手方向(X軸方向)に複数分割して取り付けられている(図2)。
【0023】
上記複数分割された締め板5のそれぞれは、支持部材6を介してホルダ本体4に圧着されている。
【0024】
上記各締め板5には(図1図2)、複数個の開口部6Aが形成され、各開口部6Aには、図3(A)や図4(A)に示すような弾性部材14(例えば皿ばね)を貫通する支持部材6が設けられ、該支持部材6は例えばボルトであってその軸はホルダ本体4側のねじ穴15にねじ込まれている。
【0025】
この構成により、前記ボルト6が皿ばね14を締め付けることにより、皿ばね14が一定のばね力を発揮し、締め板5をホルダ本体4に対して圧着するようになっている。
【0026】
そして、上記ホルダ本体4に対して圧着された締め板5は、後述する締付部材8、例えば六角ボルト(図1図2)を回転させることにより、搖動する(図3図4)。
【0027】
既述したように、本発明においては、締め板5(図1図4)がホルダ本体4に対して圧着されていると共に、締め板5がホルダ本体4に対して搖動自在である(図3図4)。
【0028】
しかし、このことは、従来からよく知られており、前者の圧着機構は特許文献1の段落番号0018に、後者の搖動機構は引用文献1の段落番号0019〜0025、図1図4等に開示され、詳細な説明は省略する。
【0029】
そして、本発明と従来技術(特許文献1)との大きな相違点は、締め板5を操作する場合に本発明では汎用の締付具12である例えば六角レンチ12(図1図3図4)用いるのに対して従来技術では専用のハンドルレバー54(特許文献1の図1図4)を用い、また、本発明では締め板5のアンクランプ状態やクランプ状態を表示するクランプ状態インジケータ(締付状態表示手段7)を設け、六角レンチ12と同時に使用することである。
【0030】
以下、前記締付状態表示手段7を詳述する。
【0031】
この締付状態表示手段7は(図1)、締め板5のホルダ本体4に対する締め付け状態を表示する手段であり、ホルダ本体4が取り付けられているベース3に設けられている場合(図5)と、締め板5を操作する締付部材8に設けられている場合(図7)とがある。
【0032】
先ず、ベース3(図5)に設けられている場合には、締め板5の直下であって(図6)締付部材8の近傍における両側で締付部材8に関して左右対称位置に(図5(A))、又は締め板5の長手方向(X軸方向)全体に沿って帯状に(図5(B))若しくは締め板5の長手方向の両端で締付部材8に関して左右対称位置に(図5(C))それぞれ設けられている。
【0033】
そして、既述したように、作業者S(図3)が六角レンチ12を用いて締め板5をホルダ本体4に対して時計方向に搖動させれば、締め板5の下部がホルダ本体4に近づくので、該締め板5の直下から締付状態表示手段7が露出し、作業者Sにとって目視可能となり(図12のステップ101〜103)、締め板5が緩んだ状態にあることが明確に分かる。
【0034】
反対に、作業者S(図4)が同様に六角レンチ12を用いて締め板5をホルダ本体4に対して反時計方向に搖動させれば、締め板5の下部がホルダ本体4から遠ざかるのでその下部に締付状態表示手段7が隠れてしまい、作業者Sにとって目視不能となり(図12のステップ104〜106)、締め板5が締めた状態にあることが明確に分かる。
【0035】
この場合、締付状態表示手段7の構造は、図6に示すように、ベース3に形成された凹部10と、該凹部10内に設けられて一定の色彩で塗装された塗装物11から成る。
【0036】
この場合、塗装物11のみであると、搖動する(図3図4)締め板5の下部がベース3を擦ると、塗装物11が消えてしまうので、それを回避するのに凹部10の中に塗装物11を設けたのであり、この凹部10は円形である。
【0037】
そして、上記塗装物11は例えば赤色に塗装されており、締め板5がアンクランプ状態や(図3)クランプ状態にある場合に(図4)、作業者Sにとっては前記締付状態表示手段7が容易に目視可能(図12のステップ103)又は目視不能(図12のステップ106)といった視覚動作を即座に起こすことができる。
【0038】
即ち、一般には、色の三要素として色相、明度、彩度があるが、そのうちの彩度は鮮やかさを表す要素であり、前記赤色が最も鮮やかであるといわれている。
【0039】
その結果、作業者S(図1)にとっては締付状態表示手段7が目視可能か不能かという視覚動作を即座に起こすことが可能となり(図12のステップ103又はステップ106)、締め板5のアンクランプ状態やクランプ状態を迅速に判断できる(図3図4)。
【0040】
一方、締付状態表示手段7が締付部材8(図7)に設けられている場合には、該締付部材8の頭部8A外周に沿って設けられている。
【0041】
そして、既述したように、同様に作業者S(図7)が六角レンチ12を用いて締め板5をホルダ本体4に対して時計方向に搖動させれば(図3(A)に相当)、操作した締付部材8の頭部8Aが作業者S側に露出し、その外周に設けられた締付状態表示手段7が作業者Sにとって目視可能となり(図12のステップ101〜103)、締め板5が緩んだ状態にあることが明確に分かる。
【0042】
反対に、作業者S(図7)が同様に六角レンチ12を用いて締め板5をホルダ本体4に対して反時計方向に搖動させれば(図4(A)に相当)、操作した締付部材8の頭部8Aが(図4)締め板5内に没入するので該締付部材8の頭部8A外周に設けられた締付状態表示手段7が隠れてしまい、作業者Sにとって目視不能となり(図12のステップ104〜106)、締め板5が締めた状態にあることが明確に分かる。
【0043】
上記の場合、締付状態表示手段7の構造は、図8に示すように、締付部材8の頭部8A外周に形成された凹部10と、該凹部10内に設けられて一定の色彩で塗装された塗装物11から成る。
【0044】
そして、同様に上記塗装物11は例えば赤色に塗装されており、締め板5がアンクランプ状態にある場合に(図7)、作業者Sにとっては該作業者S側に露出した締付部材8の頭部8A外周に設けられた締付状態表示手段7が容易に目視可能となっている(図12のステップ103)。
【0045】
他方、既述した締付状態表示手段7は、前記締め板5がホルダ本体4に対して圧着されている状態を表示する圧着状態表示手段をも兼ね備えている。
【0046】
即ち、既述したように(図1図4)、締め板5は支持部材6を介してホルダ本体4に圧着されているが、その支持部材6が貫通する弾性部材である皿ばね14(図3図4)が陳腐化するので新たなものと交換する場合がある。
【0047】
そして、皿ばね14を新たなものと交換した場合にも、例えば6本の支持部材6が貫通する皿ばね14の全てのばね力が均一な場合には、次のようになる。
【0048】
即ち、皿ばね14の全てのばね力が均一な場合には、締め板5(図3(A))をホルダ本体4に対して緩めた、つまりアンクランプ状態としたときには、締め板5を上から見ると図9(A)に示されるようになってホルダ本体4に平行となり、例えば締付部材8の両側の左右対称位置の締付状態表示手段7が共に等しい大きさで目視可能となる。
【0049】
つまり、図9(A)のように、両側の左右対称位置の締付状態表示手段7が同じ大きさに目視可能であれば、締め板5のホルダ本体4に対する圧着状態は正常である。
【0050】
反対に、皿ばね14を新たなものと交換した場合にも、例えば6本の支持部材6が貫通する皿ばね14のうちの一部のばね力が不均一な場合には、次のようになる。
【0051】
即ち、皿ばね14のうちの一部のばね力が不均一な場合には、同様に締め板5(図3(A))をホルダ本体4に対して緩めた、つまりアンクランプ状態としたときには、締め板5を上から見ると図9(B)に示されるようになってホルダ本体4に平行ではなくなり、例えば締付部材8の両側の左右対称位置の締付状態表示手段7が共に等しい大きさで目視可能とはならない。
【0052】
端的に言えば、皿ばね14(図3(A))のうちの一部のばね力が不均一な場合には、図9(A)に示すように、締付部材8の両側の左右対称位置の締付状態表示手段7が同じ大きさに目視可能とはならず、例えば、図9(B)に示すように、左側の締付状態表示手段7は締め板5に隠れてしまって目視不能であり、右側の締付状態表示手段7だけが目視可能であったり、両側の左右対称位置の締付状態表示手段7が目視可能であるが、大きさが異なること等のときがある。
【0053】
つまり、図9(B)のような場合には、締め板5のホルダ本体4に対する圧着状態は異常である。
【0054】
いずれの場合にも、既述したように、締付状態表示手段7は、前記締め板5がホルダ本体4に対して圧着されている状態を表示する圧着状態表示手段をも兼ね備えているといえる。
【0055】
上記構成を有する金型締付装置9は、例えばプレスブレーキに(図10図11)適用される。
【0056】
このプレスブレーキは、機械本体の両側に側板30を有し、該側板30の上部には上部テーブル1が取り付けられ、該上部テーブル1には、ホルダを構成する中間板32を介してパンチPが装着されている。
【0057】
また、側板30の下方には、下部テーブル2が配置され、該下部テーブル2には、前記本体4と(図1図3)締め板5から成るホルダ9を介してダイDが装着され、下部テーブル2は、その両側の油圧シリンダ34により上下動するようになっている。
【0058】
この構成により、操作盤31に内蔵されたNC装置を始動させた状態で、下部テーブル2の後方に配置された突当33にワークW(図10)を突き当てて位置決めした後、油圧シリンダ34を作動して下部テーブル2を上昇させれば、前記パンチPとダイDの協働により該ワークWに所定の曲げ加工が施される。
【0059】
以下、上記構成を有する本発明の動作を図12に基づいて説明する。
【0060】
下記(1)、(2)のいずれの場合でも、既述したように、作業者S(図1)は、従来のように専用のハンドルレバーを用いることなく、汎用の締付具12例えば六角レンジ12を用いて締付部材8である六角ボルト8を回転させて締め板5を操作する。
【0061】
(1)締め板5をホルダ本体4に対して緩める場合の動作。
【0062】
この場合は、図12のステップ101において、六角ボルト8を回転し、ステップ102において、締め板5を緩め、ステップ103において、インジケータ7を露出させる。
【0063】
先ず、締め板5を緩めて(図3(A))該締め板5をホルダ本体4に対して第1搖動支点13aを中心として時計方向に搖動させることにより、締め板5の上部と金型との間に隙間ΔYが形成される。
【0064】
このとき、締め板5の下部がホルダ本体4に近づくので、該締め板5の直下から前記締付状態表示手段7が露出して作業者Sに目視可能となり、該作業者Sにとっては締め板5が緩んだ状態にあることが明確に分かる。
【0065】
(2)締め板5をホルダ本体4に対して締める場合の動作。
【0066】
この場合は、図12のステップ104において、六角ボルト8を逆回転し、ステップ105において、締め板5を締め、ステップ106において、インジケータ7を隠す。
【0067】
反対に、締め板5を締めて(図4(A))該締め板5をホルダ本体4に対して当初は第1搖動支点13aをその後は第2搖動支点13bを中心として反時計方向に揺動させることにより、締め板5の上部と金型との間に隙間ΔYが形成されなくなって両者が密着した場合には、締め板5の下部とホルダ本体4との間に隙間ΔY´が形成される。
【0068】
このとき、締め板5の下部がホルダ本体4から遠ざかるので、締め板5の直下に前記締付状態表示手段7が隠れて作業者Sに目視不能となり、該作業者Sにとっては締め板5が金型を締めたことが明確に分かる
【0069】
一方、上記締付状態表示手段7は圧着状態表示手段を兼ねているので(図9)、前記(1)、(2)の動作の間に、締付状態表示手段7を利用し締め板5のホルダ本体4に対する圧着状態を確認することができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、位置により締め板がアンクランプ状態にあるかクランプ状態にあるかが分かる専用のハンドルレバーを設けることなく、締め板の締付状態表示手段(クランプ状態インジケータ)を設けたことにより、その締付状態表示手段を見ているだけで、締め板の金型に対するアンクランプ状態やクランプ状態がはっきり見分けられるので、締付状態の認識性が向上する金型締付装置に利用され、極めて有益である。
【符号の説明】
【0071】
1 上部テーブル
2 下部テーブル
3 ベース
4 ホルダ本体
5 締め板
6 支持部材
7 締付状態表示手段
8 締付部材
9 金型締付装置
10 凹部
11 塗装物
12 締付具
13a 第1搖動支点
13b 第2搖動支点
14 弾性部材
15 ねじ穴
D ダイ
P パンチ
W ワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12