(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
従来、各種装置に入力される荷重の検出を行うために荷重検出装置が利用されてきた。この種の荷重検出装置として例えば特許文献1−3に記載のものがある。
【0003】
特許文献1に記載の荷重検出装置は、筒状の周壁部、円板状の円板状部、荷重入力部、及びセンサを備えている。円板状部は、周壁部と同軸上に貫通孔が形成され、周壁部が載置される載置面との間に隙間を有して周壁部の内周面に支持される。荷重入力部は、少なくとも貫通孔に対向する側の形状が貫通孔の内径よりも大きい直径を有する球形状で形成されると共に貫通孔に載置され、検出対象の荷重が入力される。センサは、貫通孔に対して点対称となるように円板状部に配設され、荷重入力部に入力される荷重に応じた歪みを検出する。
【0004】
特許文献2に記載の車両の制動装置は、車両の車輪に固定された回転部材に、電気モータを介して摩擦部材を押圧し、車輪に制動トルクを発生させる。この車両の電動制動装置は、押圧部材、シャフト部材、第1球面部材、第2球面部材、取得手段、及び制御手段を備えている。押圧部材は、ナット相当部、及び、ボルト相当部のうちで何れか一方のねじ部を有し、摩擦部材に押圧力を付与する。シャフト部材は、電気モータによって回転駆動され、ねじ部と螺合する。第1球面部材は、押圧部材及びシャフト部材のうちの一方から押圧力の反力を受け、端面に球状面が形成される。第2球面部材は、シャフト部材の回転軸に対する回転運動が拘束され、第1球面部材の球状面と摺接し、第1球面部材から押圧力の反力を受ける。取得手段は、第2球面部材の歪を検出し、歪に基づいて押圧力を取得する。制御手段は、押圧力に基づいて電気モータを制御する。
【0005】
特許文献3に記載の荷重検出装置は、荷重入力部、円板状の円板状部、及び支持部材を備えて構成される。荷重入力部は、検出対象からの荷重が入力される入力面と当該入力面の反対側に形成された曲面状の出力面とを有し出力面から荷重を出力する。円板状の円板状部は、荷重入力部の曲面と荷重入力部の中心を中心とする連続した円状線又は破断された円状線で接触する接触部を有する。支持部材は、円板状部を載置面との間で支える。また、荷重検出装置は、入力面の径の範囲が荷重の入力に伴う円板状部の撓みに応じて変化する接触部の径に基づいて設定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1−3に記載の技術において、例えば検出部や印加荷重を歪に変換する部材(上述の「起歪体」)等に、経時劣化や予測外の物理的ストレスや電気的ストレスによって異常(性能の規格外変化、電気的断線、電気的短絡、変形)が生じた際でも、電気信号に明らかな特徴がある場合には、信号処理回路の機能として異常を検知することができる。しかしながら、例えば性能の規格外変化などに起因して異常が生じた際には、得られた電気信号が正しいか否かの判断ができず、異常が生じているか否かを特定することができなかった。
【0008】
そこで、異常が生じているか否かを適切に判定することが可能な荷重検出装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る荷重検出装置の特徴構成は、荷重が入力される平面状の入力面と、前記入力面の反対側に突出して形成された出力面とを有する荷重入力部と、前記出力面の少なくとも一部と接触する接触部を備える環状部と、前記環状部を揺動可能に支持する支持部とを有する起歪体と、前記環状部における前記接触部が設けられる面の裏面に配設され、前記荷重入力部に入力される荷重に応じた歪を検出する1組のセンサと、前記1組のセンサの夫々の検出結果を用いて1組の前記荷重の大きさを演算する1組の演算部と、前記1組の前記荷重の大きさを比較して、前記センサ及び前記演算部に異常がないか否かを判定する異常判定部と、を備え
、前記1組のセンサは、夫々上面視が櫛歯状の櫛歯状部を有して構成され、前記櫛歯状部が互いに噛み合うように配置されている点にある。
【0010】
例えば1組のセンサのうちの一方が異常であれば、互いのセンサの検出結果が異なることになり、1組の演算部のうちの一方が異常であれば、互いの演算部の演算結果が異なることになる。そこで、上記特徴構成とすれば、1組の演算部により演算された1組の荷重の大きさを比較し、その差が予め設定された値以下の場合には1組のセンサ及び1組の演算部が異常でないと判定することができ、その差が予め設定された値より大きい場合には1組のセンサ及び1組の演算部のうち例えばいずれか一方が異常であると判定することができる。このように本荷重検出装置によれば、異常が生じているか否かを適切に判定することが可能である。
【0011】
また、
上記構成とすれば、1組のセンサを互いに近づけて配置することができるので、配置上、生じる1組のセンサの検出結果の誤差を小さくすることができる。
【0012】
したがって、1組のセンサ及び1組の演算部が異常であるか否かの判定を正確に行うことが可能となる。
【0013】
また、前記1組のセンサは、夫々前記荷重入力部の周方向に沿って分割して配置されていると好適である。
【0014】
このような構成とすれば、例えば荷重入力部に均等に荷重が入力された場合には双方のセンサが同じような歪みを検出するので問題ないが、荷重入力部に偏荷重が入力された場合であっても、センサが分散して配置されているので、1組のセンサの双方が損傷することを防止できる。
【0015】
また、前記1組のセンサは、前記荷重入力部の周方向に沿って並走して配置されていると好適である。
【0016】
このような構成とすれば、センサの構造を複雑にすることなく、起歪体の略同じ位置に配置することができる。したがって、検出精度を維持しつつ、簡素な構造とすることが可能となる。
【0017】
また、前記1組のセンサは、積層して配置されていると好適である。
【0018】
このような構成とすれば、センサを省スペースで配置することができ、また起歪体の同じ位置で荷重を検出することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
1.第1の実施形態
本発明に係る荷重検出装置はセンサ及び演算部を有して構成され、当該センサ及び演算部が異常であるか否かを判定する機能を備えて構成される。以下、本実施形態の荷重検出装置100について説明する。
【0021】
図1には本実施形態に係る荷重検出装置100の側方断面図が示される。
図2には荷重検出装置100の一部を断面にした展開斜視図が示される。
図3には荷重検出装置100を下方から見た模式図が示される。
図4及び
図5には、荷重検出装置100が有するセンサ30の一部を拡大した図が示される。
図6には、荷重検出装置100が有するセンサ30と演算部40との接続形態が示される。
図1−
図6に示されるように、荷重検出装置100は、荷重入力部10、起歪体20、センサ30、演算部40、異常判定部50を備えて構成される。
【0022】
荷重入力部10は、検出対象からの荷重が入力される平面状の入力面14と、当該入力面14の反対側に突出して形成された曲面状の出力面19とを有し、当該出力面19から荷重を出力する。本実施形態では、荷重入力部10は、例えば球体を中心からずれた位置においてカットした場合の容積が小さい側の物体や、楕円球体を中心からずれた位置において長軸に平行に切断した場合の容積が小さい側の物体のような形状で形成される。したがって、荷重入力部10は、
図1に示されるように側方視において平たい状態で構成される。入力面14は、このようなカットした際に生じる平面に設けられる。一方、出力面19は、入力面14の裏面に設けられる。この出力面19は、少なくとも一部が後述する環状部25と接触するように構成され、入力面14に入力された荷重は環状部25に対して出力される。
【0023】
また、本実施形態では、荷重入力部10は軸方向に貫通する孔部16が設けられる。したがって、荷重入力部10は上面視が円板状に構成される。また、
図1及び
図2に示されるように、荷重入力部10は、その外径が支持部21(後述する)の内径よりも小さく構成される。したがって、荷重入力部10は、空間47に収納可能に構成される。
【0024】
起歪体20は、支持部21と環状部25とを備えて構成される。本実施形態では、支持部21は筒状からなり、円筒状で構成されている。すなわち、支持部21は、軸方向に直交する断面が円形である筒状で構成される。
【0025】
環状部25は円板状に形成され、荷重入力部10の曲面と荷重入力部10の中心を中心とする連続した円状線又は破断された円状線で接触する接触部22を有して構成される。したがって、接触部22は、出力面19の少なくとも一部と接触するように構成される。本実施形態では、環状部25の中心部には貫通孔26が形成され、当該貫通孔26は環状部25を軸方向に貫通している。したがって、環状部25は、いわゆるドーナツ状に構成される。このような環状部25は、当該環状部25の外周面が支持部21の内周面23に当接して固定される。この場合、支持部21と環状部25の固定は、環状部25に作用する荷重が支持部21に伝達される際に減衰されないように行うと好適である。このため、環状部25は、支持部21により揺動可能に支持される。
【0026】
支持部21及び環状部25は、荷重を受けて変形可能な材料、例えば、セラミックやアルミニウム、ステンレス等の材料を用いて、一体で形成されると好適である。しかしながら、環状部25に作用する荷重が支持部21に伝達される際に減衰されないようであれば、支持部21と環状部25とは別体で形成しても良い。
【0027】
環状部25は、載置面45との間で支持部21により支えられる。本実施形態では、環状部25は支持部21の軸方向中央の側で支持される。すなわち、環状部25は、支持部21の双方の軸方向端部から離間して支持部21の内周面23に支持される。このため、支持部21を一方の軸方向端部を底部として載置面45に載置すると、環状部25と載置面45との間に隙間を有するように構成される。したがって、環状部25よりも載置面45とは反対側の支持部21を第1支持部51とし、環状部25よりも載置面45側の支持部21を第2支持部52とすると、第2支持部52と環状部25と載置面45とにより空間46が形成される。一方、第1支持部51の軸方向端面と第1支持部51と環状部25とにより空間47が形成される。
【0028】
また、環状部25は、外環部27と内環部28とを有して構成される。
図3に示されるように、外環部27と内環部28とは径方向に連続して構成される。環状部25を軸方向に見て、径方向外側の部位が外環部27に相当する。また、外環部27の径方向内側が内環部28に相当する。本実施形態では、外環部27は厚さが均一に形成される。一方、内環部28は、径方向内側になる程、厚さが薄く形成される。上述のように、環状部25の径方向中央部には、貫通孔26が形成される。このため、内環部28は、外環部27との境界から貫通孔26に向かって次第に薄くなるように形成される。本実施形態では、
図1に示されるように、環状部25を径方向外側から見た場合、環状部25の載置面45に対向する側の面71が平坦になるように外環部27と内環部28とが形成され、環状部25の載置面45に対向する側の面71とは反対側の面72の径方向内側にテーパー状部73を有するように形成される。
【0029】
環状部25は径方向中央の側がテーパー状部73を有して構成される。本実施形態では、このようなテーパー状部73に荷重入力部10が載置される。したがって、荷重入力部10は、貫通孔26を貫通することなく、テーパー状部73と円環状に線接触することが可能となる。このような線接触する部分が接触部22に相当する。
図2においては、接触部22は一点鎖線で示される。
【0030】
また、上述のように、本実施形態に係る荷重入力部10には、当該荷重入力部10を軸方向に貫通する孔部16が設けられる。荷重入力部10は、この孔部16の軸心が貫通孔26の軸心と同軸になるよう環状部25に載置される。
【0031】
センサ30は、環状部25における接触部22が設けられる面の裏面に配設され、荷重入力部10に入力される荷重に応じた歪を検出する。センサ30は1組で設けられる。以下では、理解を容易にするために、1組のセンサ30を夫々区別して説明する場合には、センサ30の一方をセンサ31とし、他方をセンサ32として説明する。
【0032】
本実施形態では、センサ30は公知の歪ゲージを用いて構成される。歪ゲージは外部から入力される荷重に応じて自己が歪むことにより抵抗値が変化し、この抵抗値の変化に基づき歪みを検出することが可能となる。このようなセンサ30は、環状部25の面71に配置される。これにより、荷重入力部10に入力される荷重に応じて環状部25が撓んで変形し、当該変形によりセンサ30に歪みが生じる。本荷重検出装置100は、このセンサ30に生じた歪みを検出することで荷重を検出する。
【0033】
センサ30(センサ31及びセンサ32)は、
図4及び
図5に示されるように夫々上面視が櫛歯状の櫛歯状部39を有して構成される。「櫛歯状」とは、櫛の歯のように根元側から所定の方向に突出する複数の突出部を有するように形成された形態である。
【0034】
センサ31及びセンサ32の夫々は複数から構成され、第1のセンサ群34と第2のセンサ群35とを構成する。本実施形態では、第1のセンサ群34及び第2のセンサ群35は、上述した櫛歯状に構成される。
【0035】
第1のセンサ群34は、センサ30が貫通孔26の周囲に突出部の延出方向(センサ31の感度方向は、貫通孔26の周方向とする)を貫通孔26の周方向に沿わせて配置される。「突出部の延出方向を貫通孔26の周方向に沿わせる」とは、突出部の延出方向が、貫通孔26の周方向と平行になるように配置することをいう。本実施形態では、第1のセンサ群34は、センサ31による櫛歯状部39及びセンサ32による櫛歯状部29を備えて構成される。これらの櫛歯状部39は、貫通孔26を中心として対向して配置される。
【0036】
これにより、荷重入力部10に外力が作用すると、内環部28は下方に撓む。この時、内環部28では貫通孔26の周方向に沿って引張力が作用する。よって、第1のセンサ群34は主に引張歪みを検出することになる。
【0037】
また、第2のセンサ群35は、貫通孔26の周囲に櫛歯状部39の突出部の延出方向を貫通孔26の径方向に沿わせて配置される。「突出部の延出方向を貫通孔26の径方向に沿わせる」とは、突出部が、貫通孔26と同軸芯上に配置することをいう。本実施形態では、第2のセンサ群35も、センサ31による櫛歯状部39及びセンサ32による櫛歯状部29を備えて構成される。これらの櫛歯状部39は、貫通孔26を中心として対向して配置される。
【0038】
これにより、荷重入力部10に外力が作用すると、内環部28は下方に撓む。この時、外環部27に曲げが生じ、当該外環部27の裏面には圧縮力が作用する。よって、第2のセンサ群35は主に圧縮歪みを検出することになる。
【0039】
特に本実施形態では、センサ31及びセンサ32は、互いの櫛歯状部39が噛み合うように配置される。「互いの櫛歯状部39が噛み合う」とは、センサ31及びセンサ32のうちの一方における互いに隣接する2つの突出部の間に、センサ31及びセンサ32のうちの他方の突出部が挟まれた状態となるように配置されていることをいう。
【0040】
演算部40は、1組のセンサ30の夫々の検出結果を用いて1組の荷重の大きさを演算する。演算部40は1組、設けられる。以下では、理解を容易にするために、1組の演算部40を夫々区別して説明する場合には、演算部40の一方を演算部41とし、他方を演算部42として説明する。
【0041】
本実施形態では、演算部40は、第1のセンサ群34及び第2のセンサ群35の夫々を構成する4つの歪ゲージのうち、径方向に互いに対向する2つの歪ゲージを直列接続して
図6に示されるようにホイートストンブリッジ回路を構成する。ここで、センサ31の第1のセンサ群34を構成する歪ゲージをR1,R3とし、センサ31の第2のセンサ群35を構成する歪ゲージをR2,R4とする。また、センサ32の第1のセンサ群34を構成する歪ゲージをR5,R7とし、センサ32の第2のセンサ群35を構成する歪ゲージをR6,R8とする。これらの歪ゲージにより、
図6に示されるようにホイートストンブリッジ回路を構成することで、歪ゲージに引張力が作用した場合には抵抗値が増大し、歪ゲージに圧縮力が作用した場合には抵抗値が減少する。このような抵抗値の変化を電圧又は電流の変化により求め、荷重を検出している。このようなホイートストンブリッジ回路については、公知であるので説明は省略する。
【0042】
このように荷重検出装置100を構成することにより、荷重入力部10に荷重が与えられた場合には、第1のセンサ群34では引張歪みが生じ、第2のセンサ群35では圧縮歪みを生じさせることができる。したがって、感度良く荷重を検出することが可能となる。
【0043】
ここで、上述したように、荷重検出装置100は、1組のセンサ30(センサ31及びセンサ32)を備える。演算部41はセンサ31を用いて構成され、演算部42はセンサ32を用いて構成される。1組の演算部40の演算結果(ホイートストンブリッジ回路の出力)は、夫々、信号処理部61及び信号処理部62を構成する信号処理部60に伝達される。
【0044】
信号処理部60は、公知の演算増幅器やマイコン等を用いて、ゼロ点調整、ゼロ点温度補正、感度温度補正、リニアリティ補正、歪ゲージの断線検出等を行う。これらの処理は、公知であるので説明は省略する。1組の信号処理部60の夫々の検出結果は、後述する異常判定部50に伝達される。
【0045】
異常判定部50は、1組の荷重の大きさを比較して、センサ30及び演算部40に異常がないか否かを判定する。すなわち、異常判定部50には、演算部41による荷重の大きさの演算結果と、演算部42による荷重の大きさの演算結果とが伝達され、これら2つの演算結果の大小関係を比較する。異常判定部50は、この2つの演算結果の差が予め設定された値以下であれば、異常判定部50はセンサ30及び演算部40に異常が生じていないと判定し、2つの演算結果の差が予め設定された値よりも大きい場合には、異常判定部50はセンサ30及び演算部40に異常が生じていると判定する。「予め設定された値」とは、センサ30の抵抗値のバラツキや、演算部40による演算上の誤差により設定すると良い。
【0046】
このように荷重検出装置100は、センサ30及び演算部40に異常がないか否かを判定することができる。したがって、荷重検出装置100の検出結果を利用する他の装置が、誤って検出された荷重として誤った結果を利用することを防止できる。
【0047】
2.第2の実施形態
次に、第2の実施形態について説明する。第1の実施形態ではセンサ30が荷重入力部10の周方向に沿って全周に亘って配置されていたが、第2の実施形態ではセンサ30が荷重入力部10の周方向に沿って全周に亘って配置されていない点で、第1の実施形態と異なる。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるので、以下では主に異なる部分について説明する。
【0048】
第2の実施形態の荷重検出装置100を下方から見た図が
図7に示される。本実施形態でも、センサ30はセンサ31及びセンサ32の1組から構成され、1組のセンサ30は、夫々荷重入力部10の周方向に沿って分割して配置される。
【0049】
本実施形態でも、センサ31の第1のセンサ群34を構成する歪ゲージをR1,R3とし、センサ31の第2のセンサ群35を構成する歪ゲージをR2,R4とするが、歪ゲージR1は2つの歪ゲージR11,R12が直列に接続され、歪ゲージR2は2つの歪ゲージR21,R22が直列に接続され、歪ゲージR3は2つの歪ゲージR31,R32が直列に接続され、歪ゲージR4は2つの歪ゲージR41,R42が直列に接続されている。また、センサ32の第1のセンサ群34を構成する歪ゲージをR5,R7とし、センサ32の第2のセンサ群35を構成する歪ゲージをR6,R8とするが、歪ゲージR5は2つの歪ゲージR51,R52が直列に接続され、歪ゲージR6は2つの歪ゲージR61,R62が直列に接続され、歪ゲージR7は2つの歪ゲージR71,R72が直列に接続され、歪ゲージR8は2つの歪ゲージR81,R82が直列に接続されている。
【0050】
これらの歪ゲージR1−R8は、
図7に示されるように、センサ31の第1のセンサ群34を構成する歪ゲージR11,R12,R31,R32が荷重入力部10の周方向に沿って90度間隔で配置され、その径方向内側に、夫々センサ31の第2のセンサ群35を構成する歪ゲージR21,R22,R41,R42が荷重入力部10の周方向に沿って90度間隔で配置される。
【0051】
また、センサ32の第1のセンサ群34を構成する歪ゲージR51,R52,R71,R72が荷重入力部10の周方向に沿って90度間隔で配置され、その径方向内側に、夫々センサ32の第2のセンサ群35を構成する歪ゲージR61,R62,R81,R82が荷重入力部10の周方向に沿って90度間隔で配置される。この時、センサ31の歪ゲージとセンサ32の歪ゲージとは、互いに荷重入力部10の周方向に沿って45度ずれた状態で配置される。
【0052】
すなわち、
図7の例では、
図3の例と同様に、径方向外側の歪ゲージが周方向に沿った歪みを検出するように設定され(歪ゲージのグリッド方向が周方向に設定され)、径方向内側の歪ゲージが径方向に沿った歪みを検出するように設定される(歪ゲージのグリッド方向が径方向に設定される)。もちろん、径方向外側の歪ゲージが径方向に沿った歪みを検出するように設定し(歪ゲージのグリッド方向を径方向に設定し)、径方向内側の歪ゲージが周方向に沿った歪みを検出するように設定しても良い(歪ゲージのグリッド方向を周方向に設定しても良い)。
【0053】
また、
図7の例では、歪ゲージR1〜歪ゲージR8の夫々を構成する直列に接続された2つの歪ゲージ(例えば歪ゲージR2にあっては歪ゲージR21及び歪ゲージR22)が、90度ずれた位置に配置されるように示されるが、歪ゲージR1〜歪ゲージR8の夫々を構成する直列に接続された2つの歪ゲージが、180度ずれた位置(径方向に沿って互いに対向する位置)に配置されるように構成することも可能である。このような構成にすることにより、センサ30に偏荷重が掛かった際のキャンセラとして機能する。
【0054】
このような構成であっても、上述の第1の実施形態に係る荷重検出装置100と同様に、センサ30及び演算部40が異常でないか否かを適切に判定することが可能である。
【0055】
3.第3の実施形態
次に、第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では2組のセンサ30は、櫛歯状部39が互いに噛み合うように配置されていたが、第3の実施形態では2組のセンサ30は、櫛歯状部39が互いに噛み合っていない点で、第1の実施形態と異なる。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるので、以下では主に異なる部分について説明する。
【0056】
第3の実施形態の荷重検出装置100を下方から見た図が
図8に示される。本実施形態でも、センサ30はセンサ31及びセンサ32の1組から構成され、1組のセンサ30は、荷重入力部10の周方向に沿って並走して配置される。本実施形態でもセンサ30は、櫛歯状部39を有して構成されるが、櫛歯状部39は互いに噛み合わないように配置される。
【0057】
このような構成であっても、上述の第1の実施形態に係る荷重検出装置100と同様に、センサ30及び演算部40が異常でないか否かを適切に判定することが可能である。また、第2の実施形態と同様に、歪ゲージR1は2つの歪ゲージR11,R12が直列に接続され、歪ゲージR2は2つの歪ゲージR21,R22が直列に接続され、歪ゲージR3は2つの歪ゲージR31,R32が直列に接続され、歪ゲージR4は2つの歪ゲージR41,R42が直列に接続されように構成し、また、センサ32の第1のセンサ群34を構成する歪ゲージをR5,R7とし、センサ32の第2のセンサ群35を構成する歪ゲージをR6,R8とするが、歪ゲージR5は2つの歪ゲージR51,R52が直列に接続され、歪ゲージR6は2つの歪ゲージR61,R62が直列に接続され、歪ゲージR7は2つの歪ゲージR71,R72が直列に接続され、歪ゲージR8は2つの歪ゲージR81,R82が直列に接続されるように構成することも可能である。
【0058】
4.第4の実施形態
次に、第4の実施形態について説明する。第1の実施形態では、センサ30は環状部25における接触部22が設けられる面の裏面に配設されるとして説明したが、第4の実施形態ではセンサ30が、環状部25における接触部22が設けられる面の裏面に積層されて配置されている点で、第1の実施形態と異なる。その他の構成については、第1の実施形態と同様であるので、以下では主に異なる部分について説明する。
【0059】
第4の実施形態の荷重検出装置100の側方断面図が
図9に示される。本実施形態でも、センサ30はセンサ31及びセンサ32の1組から構成され、1組のセンサ30は、積層して配置される。すなわち、センサ31及びセンサ32の一方が、センサ30は環状部25における接触部22が設けられる面の裏面に配置され、センサ31及びセンサ32の他方が、センサ31及びセンサ32の一方に積層して配置される。
【0060】
このような構成であっても、上述の第1の実施形態に係る荷重検出装置100と同様に、センサ30及び演算部40が異常でないか否かを適切に判定することが可能である。
【0061】
5.その他の実施形態
上記実施形態では、2組のセンサ30は、櫛歯状部39が互いに噛み合うように、荷重入力部10の周方向に沿って、全周に亘って配置されているとして説明したが、例えば
図10に示されるように、櫛歯状部39が周方向の一部のみ断続的に噛み合うように配置することも可能である。このような構成であっても、上述の第1の実施形態に係る荷重検出装置100と同様に、センサ30及び演算部40が異常でないか否かを適切に判定することが可能である。
【0062】
上記第3の実施形態では、夫々の歪ゲージをR1−R8が直列に接続されている例を挙げて説明し、特に
図8において直列接続されている歪ゲージが径方向内側同士、又は径方向外側同士で直列接続されているように示した。すなわち、例えばR11及びR12が共に径方向内側に配置され、R51及びR52が共に径方向外側に配置されるように示した。しかしながら、直列接続されている歪ゲージの一方を径方向内側に設け、他方を径方向外側に設けるように構成しても良い。すなわち、例えばR51の位置にR12を配置し、R12の位置にR51を配置するように構成することも可能である。このような構成とすれば、夫々の歪ゲージによる検出結果(例えばR1の検出結果とR5の検出結果)のバラツキを小さくすることが可能となる。
【0063】
また、
図6のホイートストンブリッジ回路では、R1とR2とが直接に接続され、R3とR4とが直列に接続されるように示し、R5とR6とが直接に接続され、R7とR8とが直列に接続されるように示したが、R1とR4とを直接に接続し、R2とR3とを直列に接続すると共に、R5とR8とを直接に接続し、R6とR7とを直列に接続するように構成することも可能である。更には、この場合に、夫々電源に接続される歪ゲージと、接地される歪ゲージとを互いに入れ替えて構成することも可能である。すなわち、電源−R1−R4−グランドの順で接続しても良いし、電源−R4−R1−グランドの順で接続しても良い。
【0064】
本発明の荷重検出装置は、起歪体を用いて荷重を検出する各種の装置等に用いることが可能である。