(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0013】
[構成例]
図1は、本発明の一実施の形態に係る画像形成装置を含む多機能周辺装置(MFP;Multi Function Peripheral)の一構成例を表すものである。多機能周辺装置1は、コピー、ファクシミリ、スキャナなどの機能を有するものである。
【0014】
多機能周辺装置1は、表示部51と、操作部52と、画像読取ユニット10と、画像形成ユニット20とを備えている。表示部51は、多機能周辺装置1の動作状態などを表示するものであり、例えば、液晶ディスプレイを用いて構成されるものである。操作部52は、ユーザの操作を受け付けるものであり、タッチパネル、各種ボタンなどを用いて構成されるものである。画像読取ユニット10は、読取媒体Rに印刷された情報を読み取るものである。画像形成ユニット20は、電子写真方式により、記録媒体Pに画像を形成するものである。
【0015】
画像形成ユニット20は、ホッピングローラ22と、媒体供給ローラ24と、レジストローラ25と、4つの現像ユニット30(現像ユニット30K,30Y,30M,30C)と、4つのトナー収容部38(トナー収容部38K,38Y,38M,38C)と、4つの露光ヘッド39(露光ヘッド39K,39Y,39M,39C)と、転写部40と、定着部26と、排出ローラ29とを備えている。これらの部材は、記録媒体Pを搬送する搬送路9に沿って配置されている。
【0016】
ホッピングローラ22は、トレイ21にセットされた記録媒体Pをその最上部から1枚ずつ取り出し、取り出した記録媒体Pを搬送路9に送り出す部材である。媒体供給ローラ24は、手差しトレイ23にセットされた記録媒体Pをその最上部から1枚ずつ取り出し、取り出した記録媒体Pを搬送路9に送り出す部材である。
【0017】
レジストローラ25は、搬送路9を挟む1対のローラにより構成される部材であり、ホッピングローラ22または媒体供給ローラ24から供給された記録媒体Pの斜行を矯正するとともに、搬送路9に沿って記録媒体Pを現像ユニット30に導くものである。
【0018】
現像ユニット30は、トナー像を形成するものである。具体的には、現像ユニット30Kは、黒色(K)のトナー像を形成するものであり、現像ユニット30Yは、黄色(Y)のトナー像を形成するものであり、現像ユニット30Mは、マゼンタ色(M)のトナー像を形成するものであり、現像ユニット30Cは、シアン色(C)のトナー像を形成するものである。この例では、各現像ユニット30は、記録媒体Pの搬送方向Fにおいて、現像ユニット30K,30Y,30M,30Cの順に配置されている。各現像ユニット30は、着脱可能に構成されている。また、各現像ユニット30は、製造番号が記憶された記憶部(図示せず)を有している。この製造番号は、現像ユニット30の個体を識別するためのいわゆるシリアル番号であり、この製造番号により、例えば、この現像ユニット30が製造された工場や、この現像ユニット30が製造された時期などを特定することができるようになっている。
【0019】
トナー収容部38は、トナーを収容するものである。具体的には、トナー収容部38Kは、黒色(K)のトナーを収容するものであり、現像ユニット30Kに着脱可能に構成され、トナー収容部38Yは、黄色(Y)のトナーを収容するものであり、現像ユニット30Yに着脱可能に構成され、トナー収容部38Mは、マゼンタ色(M)のトナーを収容するものであり、現像ユニット30Mに着脱可能に構成され、トナー収容部38Cは、シアン色(C)のトナーを収容するものであり、現像ユニット30Cに着脱可能に構成されている。また、各トナー収容部38は、個体を識別するための製造番号が記憶された記憶部(図示せず)を有している。
【0020】
図2は、現像ユニット30の一構成例を表すものである。なお、この図では、現像ユニット30に加え、トナー収容部38をも描いている。現像ユニット30は、感光ドラム31と、帯電ローラ32と、クリーニングブレード33と、現像ローラ34と、規制ブレード35と、供給ローラ36とを有している。
【0021】
感光ドラム31は、表面(表層部分)に静電潜像を担持する部材である。感光ドラム31は、例えば、アルミを用いて構成された外径30mmの素管の表面上に、電荷発生層および電荷輸送層をこの順に形成したものを用いることができる。感光ドラム31は、ドラムモータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では右回りで回転する。感光ドラム31は、帯電ローラ32により帯電する。そして、現像ユニット30Kの感光ドラム31では、露光ヘッド39Kにより露光されることにより静電潜像が形成され、現像ユニット30Yの感光ドラム31では、露光ヘッド39Yにより露光されることにより静電潜像が形成され、現像ユニット30Mの感光ドラム31では、露光ヘッド39Mにより露光されることにより静電潜像が形成され、現像ユニット30Cの感光ドラム31では、露光ヘッド39Cにより露光されることにより静電潜像が形成される。そして、各感光ドラム31には、現像ローラ34によりトナーが供給される。その結果、各感光ドラム31では、静電潜像に応じたトナー像が形成されるようになっている。
【0022】
帯電ローラ32は、感光ドラム31の表面(表層部分)を帯電させる部材である。帯電ローラ32は、例えば、ステンレス等からなる導電性シャフトに、エピクロルヒドリンなどの導電性の弾性体を被覆したものを用いることができる。帯電ローラ32は、感光ドラム31の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム31に押し付けられるように配置されている。帯電ローラ32は、感光ドラム31の回転に応じて、この例では左回りで回転する。帯電ローラ32には、電圧制御部67(後述)により帯電電圧VCHが印加されるようになっている。
【0023】
クリーニングブレード33は、感光ドラム31の表面(表層部分)に残留するトナーを掻き取ることにより、感光ドラム31をクリーニングする部材である。クリーニングブレード33は、例えばゴムを用いて構成することができる。このクリーニングブレード33は、感光ドラム31の表面に対してカウンタで(感光ドラム31の回転方向に対して逆向きで突出して)当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム31に押し付けられるように配置されている。
【0024】
現像ローラ34は、トナーを表面に担持する部材である。現像ローラ34は、例えば、ステンレス等からなる導電性シャフト上に、弾性層および表面層をこの順に形成したものを用いることができる。この弾性層は、例えば、ウレタンゴムやシリコーンゴムを用いて構成することができる。表面層は、例えば、弾性層の表面をウレタン溶液を用いて処理することにより形成してもよいし、弾性層の表面にアクリル樹脂やアクリル−フッ素共重合樹脂を塗布することにより形成してもよい。アクリル樹脂やアクリル−フッ素共重合樹脂には、導電性を付与するために、カーボンブラックを配合してもよい。この現像ローラ34は、感光ドラム31の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で感光ドラム31に押し付けられるように配置されている。現像ローラ34は、ドラムモータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。各感光ドラム31では、この現像ローラ34から供給されたトナーにより、静電潜像に応じたトナー像が形成(現像)される。現像ローラ34には、電圧制御部67(後述)により現像電圧VDBが印加されるようになっている。
【0025】
規制ブレード35は、現像ローラ34の表面に当接することにより、この現像ローラ34の表面にトナーからなる層(トナー層)を形成させるとともに、そのトナー層の厚さを規制(制御,調整)する部材である。規制ブレード35は、例えば、ステンレス等からなる板状弾性部材をL字形状に折り曲げたものである。規制ブレード35は、その折れ曲がった部分が現像ローラ34の表面に当接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で現像ローラ34に押し付けられるように配置されている。規制ブレード35には、電圧制御部67(後述)により供給電圧VSBが印加されるようになっている。
【0026】
供給ローラ36は、トナー収容部38内に貯蔵されたトナーを、現像ローラ34に対して供給する部材である。供給ローラ36は、例えば、導電性シャフトに、弾性体を被覆したものを用いることができる。弾性体は、例えば、導電性シリコーンゴム発泡体や、導電性ウレタンゴム発泡体を用いて構成することができる。弾性体には、半導電性を付与するために、アセチレンブラックやカーボンブラックなどを添加してもよい。供給ローラ36は、現像ローラ34の表面(周面)に接するように配置されるとともに、所定の押し付け量で現像ローラ34に押し付けられるように配置されている。供給ローラ36は、ドラムモータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。これにより、各現像ユニット30では、供給ローラ36の表面と現像ローラ34の表面との間に摩擦が生じる。その結果、各現像ユニット30では、トナーが、いわゆる摩擦帯電により帯電するようになっている。供給ローラ36には、電圧制御部67(後述)により供給電圧VSBが印加されるようになっている。
【0027】
露光ヘッド39(
図1)は、感光ドラム31に対して光を照射する部材である。露光ヘッド39は、例えば、複数のLED(Light Emitting Diode)素子、複数のLED素子を駆動する駆動回路、およびレンズアレイを用いて構成することができる。露光ヘッド39Kは、現像ユニット30Kの感光ドラム31に対して光を照射し、露光ヘッド39Yは、現像ユニット30Yの感光ドラム31に対して光を照射し、露光ヘッド39Mは、現像ユニット30Mの感光ドラム31に対して光を照射し、露光ヘッド39MCは、現像ユニット30Cの感光ドラム31に対して光を照射するようになっている。これにより、これらの感光ドラム31は、露光ヘッド39K,39Y,39M,39Cにより露光され、感光ドラム31の表面に、静電潜像が形成されるようになっている。
【0028】
転写部40は、4つの現像ユニット30K,30Y,30M,30Cにより形成されたトナー像を、記録媒体Pの被転写面上に転写する部材である。転写部40は、4つの転写ローラ41(転写ローラ41K,41Y,41M,41C)と、転写ベルト42と、ドライブローラ43と、アイドルローラ44と、ベルトクリーニング装置45とを有している。
【0029】
転写ローラ41は、感光ドラム31の表面に形成されたトナー像を、記録媒体Pに転写する部材である。転写ローラ41は、例えば、導電性の発泡弾性体を用いて構成することができる。転写ローラ41Kは、搬送路9を介して現像ユニット30Kの感光ドラム31に対向配置され、転写ローラ41Yは、搬送路9を介して現像ユニット30Yの感光ドラム31に対向配置され、転写ローラ41Mは、搬送路9を介して現像ユニット30Mの感光ドラム31に対向配置され、転写ローラ41Cは、搬送路9を介して現像ユニット30Cの感光ドラム31に対向配置されている。転写ローラ41K,41Y,41M,41Cのそれぞれには、電圧制御部67(後述)により転写電圧VTRが印加されるようになっている。
【0030】
転写ベルト42は、搬送路9に沿って記録媒体Pを搬送するものである。転写ベルト42は、ドライブローラ43およびアイドルローラ44によって張設(張架)されている。そして、転写ベルト42は、ドライブローラ43の回転に応じて、搬送方向Fの方向に循環回転するようになっている。その際、転写ベルト42は、現像ユニット30Kの感光ドラム31と転写ローラ41Kとの間、現像ユニット30Yの感光ドラム31と転写ローラ41Yとの間、現像ユニット30Mの感光ドラム31と転写ローラ41Mとの間、および現像ユニット30Cの感光ドラム31と転写ローラ41Cとの間を通過するようになっている。
【0031】
ドライブローラ43は、転写ベルト42を循環回転させるものである。この例では、ドライブローラ43は、搬送方向Fにおいて、4つの現像ユニット30の下流側に配置され、ベルトモータ(図示せず)から伝達された動力により、この例では左回りで回転する。これにより、ドライブローラ43は、転写ベルト42を搬送方向Fの方向へ循環回転させるようになっている。
【0032】
アイドルローラ44は、転写ベルト42の循環回転に応じて、この例では左回りで従動回転するものである。この例では、アイドルローラ44は、搬送方向Fにおいて、4つの現像ユニット30の上流側に配置されている。
【0033】
ベルトクリーニング装置45は、転写ベルト42の被転写面に残留するトナーを掻き取ることにより、転写ベルト42をクリーニングする部材である。
【0034】
この構成により、転写部40は、レジストローラ25から供給された記録媒体Pを搬送路9に沿って搬送しつつ、4つの現像ユニット30K,30Y,30M,30Cにより形成されたトナー像を、記録媒体Pの被転写面上に順次転写するようになっている。転写部40は、着脱可能に構成されている。また、転写部40は、個体を識別するための製造番号が記憶された記憶部(図示せず)を有している。
【0035】
定着部26は、記録媒体Pに対し熱および圧力を付与することにより、記録媒体P上に転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させる部材である。定着部26は、ヒートローラ27と、加圧ローラ28とを有している。
【0036】
ヒートローラ27は、記録媒体P上のトナーに対して熱を付与する部材であり、内部にヒータを含んで構成されている。ヒータは、例えば、ハロゲンヒータを用いることができる。ヒートローラ27は、例えば、鉄を用いて構成された素管の表面上に、弾性層およびトナー剥離層をこの順に形成したものを用いることができる。弾性層は、例えばシリコーンゴムを用いて構成することができる。また、トナー剥離層は、例えばフッ素樹脂チューブを用いて構成することができる。ヒートローラ27は、ヒータモータ(図示せず)から伝達された動力により回転するようになっている。
【0037】
加圧ローラ28は、記録媒体P上のトナーに対して圧力を付与する部材であり、ヒートローラ27との間に圧接部が形成されるように配置されている。加圧ローラ28は、例えば、鉄を用いて構成された素管の表面上にトナー剥離層を形成したものを用いることができる。トナー剥離層は、例えばフッ素樹脂チューブを用いて構成することができる。加圧ローラ28は、ヒータモータ(図示せず)から伝達された動力により回転するようになっている。
【0038】
この構成により、定着部26では、記録媒体P上のトナーが、加熱され、融解し、加圧される。その結果、トナー像が記録媒体P上に定着するようになっている。定着部26は、着脱可能に構成されている。また、定着部26は、個体を識別するための製造番号が記憶された記憶部(図示せず)を有している。
【0039】
排出ローラ29は、搬送路9を挟んで配置された一対のローラであり、トナー像が定着された記録媒体Pを搬送路9に沿って搬送して排出する部材である。
【0040】
図3は、多機能周辺装置1における制御機構の一例を表すものである。多機能周辺装置1は、表示部51および操作部52に加え、さらに、ネットワーク通信部53と、FAX通信部54と、制御部55とを備えている。ネットワーク通信部53は、例えば、有線LAN(Local Area Network)または無線LANを用いて図示しないルータに接続され、このルータを介してインターネットNETに接続される。これにより、ネットワーク通信部53は、インターネットNETに接続された他のネットワーク装置との間で通信を行うことができるようになっている。FAX通信部54は、電話回線を介して通信相手との間でデータを送受信するものである。制御部55は、表示部51、操作部52、ネットワーク通信部53、FAX通信部54、画像読取ユニット10、および画像形成ユニット20の動作を制御するものである。
【0041】
画像形成ユニット20は、
図3に示したように、製造番号読取部61と、環境検出部62と、記憶部63と、駆動制御部64と、定着制御部65と、露光制御部66と、電圧制御部67と、画像形成制御部68とを有するものである。
【0042】
製造番号読取部61は、各現像ユニット30、各トナー収容部38、転写部40、および定着部26から、製造番号をそれぞれ読み取るものである。そして、製造番号読取部61は、読み取った製造番号についての情報を、画像形成制御部68に供給するようになっている。
【0043】
環境検出部62は、この例では、温度および湿度を検出し、検出した温度および湿度に基づいて、環境値を求めるものである。環境値は、この例では、1以上8以下の整数値をとり得るものである。例えば、温度が28度であり、湿度が80%である場合には、環境値は“1”に設定される。また、例えば、温度が10度であり、湿度が20%である場合には、環境値は“8”に設定される。なお、この例では、環境値は整数値としたが、これに限定されるものではなく、例えば、1.00以上8.00以下の小数値であってもよいそして、環境検出部62は、求めた環境値についての情報を、画像形成制御部68に供給するようになっている。
【0044】
記憶部63は、画像形成ユニット20の各種設定などの様々な情報を記憶するものであり、例えば不揮発性メモリを用いて構成されるものである。記憶部63は、この例では、テストパターン情報ITと、装置情報IAと、ユーザ情報IUとを記憶している。
【0045】
テストパターン情報ITは、画像を診断する際に印刷するテストパターンTPを生成するための画像情報である。
【0046】
図4は、テストパターンTPの一例を表すものである。この例では、テストパターンTPは、A4サイズの記録媒体Pに印刷されるものである。例えば、画像形成ユニット20が扱うことができる記録媒体Pの最大サイズがA4サイズである場合には、記録媒体Pは、X方向に搬送される。すなわち、この例では、X方向は副走査方向に対応し、Y方向は主走査方向に対応する。この場合には、テストパターンTPの画像長Lは、
図4に示した“I”であり、テストパターンTPの画像幅Wは、
図4に示した“J”である。また、例えば、画像形成ユニット20が扱うことができる記録媒体Pの最大サイズがA3サイズである場合には、記録媒体Pは、Y方向に搬送される。すなわち、この例では、Y方向は副走査方向に対応し、X方向は主走査方向に対応する。この場合には、テストパターンTPの画像長Lは、
図4に示した“J”であり、テストパターンTPの画像幅Wは、
図4に示した“J”である。なお、この例では、テストパターンTPを、A4サイズの記録媒体Pに印刷したが、これに限定されるものではない。例えば、レターサイズを頻繁に使用する国(例えば米国)においては、レターサイズの記録媒体Pに印刷してもよい。
【0047】
テストパターンTPは、8つの領域R1〜R8に区分されている。これらの領域R1〜R8は、
図4における右上と左下とを結ぶ対角線方向において、縞模様状に並ぶように設定されている。領域R1,R5におけるパターンは、例えば現像ユニット30Kにより形成される黒色のパターンであり、領域R2,R6におけるパターンは、例えば現像ユニット30Yにより形成される黄色のパターンであり、領域R3,R7におけるパターンは、例えば現像ユニット30Mにより形成されるマゼンタ色のパターンであり、領域R4,R8におけるパターンは、例えば現像ユニット30Cにより形成されるシアン色のパターンである。これらの領域R1〜R8におけるパターンは、例えば、いわゆるハーフトーンのパターンにすることができる。言い換えれば、これらの領域R1〜R8における印刷デューティ比は、例えば25%〜40%程度にすることができる。ここで、印刷デューティ比は、印刷していない場合に“0%”になり、全面ベタ印刷の場合に“100%”になるものである。
【0048】
例えば、現像ユニット30Kにより形成される、領域R1,R5におけるパターンの画像幅Wは、現像ユニット30Kが主走査方向において画像形成可能な最大幅と同じ幅に設定される。また、領域R1,R5におけるパターンの画像長Lは、現像ユニット30Kにおける外径が一番大きい感光ドラム31の外周長の2倍以上の長さに設定される。これにより、現像ユニット30Kでは、領域R1,R5におけるパターンを形成する際、感光ドラム31、帯電ローラ32、現像ローラ34、および供給ローラ36は、それぞれ2回以上回転するようになっている。現像ユニット30Yにより形成される、領域R2,R6におけるパターン、現像ユニット30Mにより形成される、領域R3,R7におけるパターン、および現像ユニット30Cにより形成される、領域R4,R8におけるパターンについても同様である。
【0049】
なお、テストパターンTPは、
図4に示したパターンに限定されるものではなく、画像診断に用いることができるものであれば、どのようなものであってもよい。例えば、テストパターンTPを印刷する記録媒体Pのサイズ、パターン形状、印刷デューティ比は、適宜変更することができる。また、例えば、黄色は視認しにくい色であるので、黄色単色の代わりに、例えば、黄色とシアン色との混色を用いてもよい。
【0050】
装置情報IA(
図3)は、画像形成ユニット20の状態を示す情報を含んでいる。具体的には、装置情報IAは、この例では、各現像ユニット30、各トナー収容部38、転写部40、および定着部26の製造番号と、環境値と、各現像ユニット30の使用量(現像ユニット使用量)と、各トナー収容部38におけるトナー残量と、各現像ユニット30の1日あたりの印刷枚数の最大値と、各現像ユニット30の平均印刷デューティ比についての情報を含んでいる。ここで、現像ユニット使用量は、現像ユニット30が新品である場合に“0%”となり、現像ユニット30が寿命を迎えたときに“100%”になるような量である。この装置情報IAに含まれる各情報は、後述する不良ロット情報ILに含まれる情報の一部と対応している。装置情報IAは、装置情報生成部69(後述)により生成されるようになっている。
【0051】
なお、装置情報IAは、この例に限定されるものではなく、これらのうちの一部のパラメータが無くてもよいし、他のパラメータが追加されていてもよい。
【0052】
ユーザ情報IUは、多機能周辺装置1を使用するユーザについての情報を含んでいる。具体的には、ユーザ情報IUは、例えば、多機能周辺装置1が後述するサーバ装置2にアクセスする際に用いるユーザ名およびパスワードについての情報を含んでいる。
【0053】
駆動制御部64は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、画像形成ユニット20に設けられた、ドラムモータ、ベルトモータ、ヒータモータなどの各種モータの動作を制御するものである。定着制御部65は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、定着部26の動作を制御するものである。露光制御部66は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、各露光ヘッド39の動作を制御するものである。電圧制御部67は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、帯電電圧VCH、現像電圧VDB、供給電圧VSB、転写電圧VTRなどの各種電圧を生成するものである。
【0054】
画像形成制御部68は、画像形成ユニット20の動作を制御するものである。具体的には、例えば、ネットワーク通信部53が印刷データを受信した場合には、画像形成制御部68は、その印刷データに基づいて、駆動制御部64、定着制御部65、露光制御部66、および電圧制御部67に対して指示を行うことにより、記録媒体Pに画像を形成するようになっている。画像形成制御部68は、例えば、プログラムを実行可能なプロセッサを用いて構成することができる。
【0055】
画像形成制御部68は、装置情報生成部69を有している。装置情報生成部69は、装置情報IAを生成するものである。具体的には、装置情報生成部69は、まず、各現像ユニット30の使用量、各トナー収容部38におけるトナー残量、各現像ユニット30の1日あたりの印刷枚数の最大値、各現像ユニット30の平均印刷デューティ比を求める。例えば、各現像ユニット30の1日当たりの印刷枚数の最大値を求める場合には、装置情報生成部69は、画像形成制御部68が有する一日毎の印刷枚数の履歴情報を利用する。具体的には、装置情報生成部69は、その履歴情報に基づいて、一番多く印刷した日の印刷枚数を取得し、その印刷枚数を、A4サイズの記録媒体Pに印刷した場合の枚数に換算することにより、1日当たりの印刷枚数の最大値を求める。そして、装置情報生成部69は、これらの情報と、製造番号読取部61により読み取られた製造番号、および環境検出部62により求められた環境値に基づいて、装置情報IAを生成するようになっている。装置情報生成部69は、例えば定期的に装置情報IAを生成してもよいし、例えば、各現像ユニット30、各トナー収容部38、転写部40、定着部26などの消耗品を交換した時に装置情報IAを生成してもよい。
【0056】
次に、この多機能周辺装置1を用いて構成される画像形成システム100について説明する。例えば、各現像ユニット30、各トナー収容部38、転写部40、定着部26などの消耗品を製造する際、特定のロットにおいて製造不良が生じることがある。一般に、メーカは、このような消耗品を出荷する際、試験を行うことにより、製造不良品が市場に出回らないようにする。しかしながら、例えば、ある特定の環境条件においてのみ不具合が生じる製品などを、出荷時の試験で十分に取り除けない場合もあり得る。この画像形成システム100では、メーカが、消耗品の製造不良に起因して画質に不具合が生じるおそれがあることをその消耗品の出荷後に把握したときに、その製造不良が生じた消耗品の情報を不良ロット情報ILとして登録する。これにより、多機能周辺装置1は、この不良ロット情報ILに基づいて、画質の不具合に対して適切に対処することができるようになっている。
【0057】
図5は、画像形成システム100の一構成例を表すものである。画像形成システム100は、多機能周辺装置1と、サーバ装置2と、端末装置3とを備えている。サーバ装置2および端末装置3は、例えば、多機能周辺装置1および消耗品のメーカにより管理される。なお、これに限定されるものではなく、例えば、多機能周辺装置1の保守を担当する事業者により管理されてもよい。多機能周辺装置1、サーバ装置2、および端末装置3は、インターネットNETに接続されており、インターネットNETを介して互いに通信可能に構成されている。
【0058】
サーバ装置2は、装置情報IAに基づいて、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されているか否かを確認するものである。サーバ装置2は、例えば、プログラムを実行可能なプロセッサを用いて構成することができる。
【0059】
図6は、サーバ装置2の一構成例を表すものである。サーバ装置2は、ネットワーク通信部71と、記憶部72と、制御部73とを有している。
【0060】
ネットワーク通信部71は、例えば、有線LANを用いて図示しないルータに接続され、このルータを介してインターネットNETに接続される。これにより、ネットワーク通信部71は、多機能周辺装置1および端末装置3との間で通信を行うことができるようになっている。
【0061】
記憶部72は、画像形成システム100において用いられる様々な情報や、制御部73が実行する各種プログラムなどを記憶するものであり、例えばHDD(Hard Disk Drive)などを用いて構成されるものである。記憶部72は、この例では、不良ロット情報ILを記憶している。
【0062】
図7は、不良ロット情報ILの一例を表すものである。不良ロット情報ILは、不具合情報、不具合発生条件についての情報、テストパターン印刷条件についての情報、および暫定対処方法についての情報を含んでいる。
【0063】
“不具合情報”は、この例では、“不具合の種類”および“消耗品名”についての情報を含んでいる。“不具合の種類”は、画質についての不具合の症状であり、例えば、“汚れ”、“汚れ(かぶり(Gray Background))”、“斑点”などが設定される。“汚れ”は、現像ユニット30においてトナーが過剰に帯電したことにより、トナーが記録媒体Pの非印刷領域に付着する現象を示す。“汚れ(かぶり)”は、現像ユニット30において、トナーが十分に帯電せず、あるいはトナーが逆極性に帯電したことにより、トナーが記録媒体Pの非印刷領域に付着する現象を示す。“斑点”は、現像ユニット30からトナーが漏れることにより、トナーが記録媒体Pに付着する現象を示す。“消耗品名”は、不具合が生じるおそれがある消耗品の名前であり、この例では、各現像ユニット30、各トナー収容部38、転写部40、および定着部26のいずれかが設定される。
図7において、“現像ユニット(黒色)”は、現像ユニット30Kに対応し、“現像ユニット(マゼンタ色)”は、現像ユニット30Mに対応する。
【0064】
“不具合発生条件”は、“製造番号”、“環境値”、“現像ユニット使用量”、“トナー残量”、“1日当たりの印刷枚数の最大値”、および“平均印刷デューティ比”を含んでいる。これらの情報は、この例では、装置情報IAにおける各情報に対応している。
図7の例は、例えば、“15A00001〜15A00500”の範囲内の製造番号を有する現像ユニット30Kが、“4以上かつ8以下”の環境値に対応する温度および湿度で動作し、その現像ユニット30Kの使用量が“50%以上”であり、黒色のトナーの残量が“50%以下”であり、その現像ユニット30Kの1日当たりの印刷枚数が“1000枚以上”であり、かつ平均印刷デューティ比が“5%以下”である場合に、“汚れ”が生じるおそれがあることを示している。
【0065】
“テストパターン印刷条件”は、画像診断においてテストパターンTPを印刷する際に、画質の不具合を再現しやすくすることができる印刷条件であり、設定項目と補正値を含んでいる。この例では、“現像ユニット(黒色)”についての設定項目は“供給電圧”であり、補正値は“−30V”である。すなわち、この例では、“15A00001〜15A00500”の範囲内の製造番号を有する現像ユニット30Kは、マイナス電圧である供給電圧VSBを現在の設定よりも“30V”低く設定(供給電圧VSBの絶対値を30V高く設定)することにより、“汚れ”を再現しやすいことを示している。
【0066】
“暫定対処方法”は、不良が生じるおそれがある消耗品を交換するまでの期間に、暫定的に使用すべき印刷条件であり、画質の不具合を目立ちにくくすることができる印刷条件である。この暫定対処方法は、設定項目と補正値を含んでいる。この例では、“現像ユニット(黒色)”についての設定項目は“印刷設定”であり、補正値は“+2”である。ここで、“印刷設定”は、この例では供給電圧VSBの設定であり、“+2”は、設定を2段階高くすることを意味する。すなわち、
図7の例は、“15A00001〜15A00500”の範囲内の製造番号を有する現像ユニット30Kが、マイナス電圧である供給電圧VSBを現在の設定よりも2段階高く設定(供給電圧VSBの絶対値を2段階低く設定)することにより、“汚れ”を低減させることができることを示している。
【0067】
なお、この例では、暫定対処方法における設定項目を、具体的な供給電圧VSBではなく、“印刷設定”にしている。この“印刷設定”は、例えば、ユーザが操作部52を操作することにより設定できるものである。これにより、例えば、この暫定対処方法に基づいて、ユーザに印刷条件を設定させることができる。すなわち、ユーザに供給電圧VSBを直接設定させる場合には、ユーザの操作が複雑になり、ユーザの利便性を損なうおそれがある。そこで、この例では、“印刷設定”を用いて、ユーザが供給電圧VSBを間接的に設定するようにしている。また、例えば、ユーザではなく、多機能周辺装置1が、暫定対処方法についての情報に基づいて印刷条件を設定する場合には、暫定対処方法における設定項目は、例えば供給電圧VSBであってもよい。
【0068】
なお、不良ロット情報ILは、
図7の例に限定されるものではなく、これらのうちの一部のパラメータが無くてもよいし、他のパラメータが追加されていてもよい。
【0069】
制御部73は、記憶部72に記憶された各種プログラムを実行することにより、サーバ装置2の動作を制御するものである。制御部73は、不良判定部74を有している。不良判定部74は、多機能周辺装置1から供給された装置情報IAに基づいて、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されているか否かを確認することにより、不良判定を行うものである。
【0070】
この構成により、サーバ装置2は、多機能周辺装置1から供給された装置情報IAに基づいて、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されているか否かを確認する。そして、サーバ装置2は、多機能周辺装置1の消耗品が不良ロット情報ILに登録されている場合には、例えば、テストパターン印刷条件についての情報や、暫定対処方法についての情報を、多機能周辺装置1に供給するようになっている。
【0071】
端末装置3は、例えばメーカの担当者が不良ロット情報ILを入力する際に使用するものである。端末装置3は、例えば、パーソナルコンピュータを用いて構成することができる。
【0072】
図8は、端末装置3の一構成例を表すものである。端末装置3は、ネットワーク通信部81と、表示部82と、操作部83と、記憶部84と、制御部85とを有している。ネットワーク通信部81は、例えば、有線LANを用いて図示しないルータに接続され、このルータを介してインターネットNETに接続される。これにより、ネットワーク通信部81は、サーバ装置2との間で通信を行うことができるようになっている。表示部82は、例えば、液晶ディスプレイであり、操作部83は、例えば、キーボードやマウスである。記憶部84は、制御部85が実行する各種プログラムなどを記憶するものであり、例えばHDDやSSD(Solid State Drive)などを用いて構成されるものである。制御部85は、記憶部84に記憶された各種プログラムを実行するものである。
【0073】
この構成により、画像形成システム100では、まず、例えばメーカの担当者が、端末装置3を用いて、製造不良が生じた消耗品の情報を、サーバ装置2の記憶部72に不良ロット情報ILとして登録する。そして、サーバ装置2は、多機能周辺装置1から供給された装置情報IAに基づいて、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されているか否かを確認する。そして、サーバ装置2は、多機能周辺装置1の消耗品が不良ロット情報ILに登録されている場合には、例えば、テストパターン印刷条件についての情報や、暫定対処方法についての情報を、多機能周辺装置1に供給するようになっている。
【0074】
ここで、現像ユニット30K,30Y,30M,30C、トナー収容部38K,38Y,38M,38C、転写部40、および定着部26は、本発明における「複数の部材」の一具体例に対応する。ネットワーク通信部53は、本発明における「通信部」の一具体例に対応する。画像形成制御部68は、本発明における「制御部」の一具体例に対応する。
テストパターン印刷条件についての情報は、「第1の設定情報」の一具体例に対応する。暫定対処方法に関する情報は、「第2の設定情報」の一具体例に対応する。装置情報IAにおける環境値は、本発明における「動作環境」の一具体例に対応する。装置情報IAにおける、各現像ユニット30の使用量(現像ユニット使用量)、各トナー収容部38におけるトナー残量、各現像ユニット30の1日あたりの印刷枚数の最大値、および各現像ユニット30の平均印刷デューティ比についての情報は、本発明における「動作
状態」の一具体例に対応する。テストパターンTPは、本発明における「第1の画像」の一具体例に対応する。サーバ装置2は、本発明における「処理装置」の一具体例に対応する。
【0075】
[動作および作用]
続いて、本実施の形態の画像形成システム100の動作および作用について説明する。
【0076】
(全体動作概要)
まず、
図1,3を参照して、多機能周辺装置1の全体動作概要を説明する。例えば、多機能周辺装置1のネットワーク通信部53が印刷データを受信した場合には、画像形成制御部68は、その印刷データに基づいて、駆動制御部64、定着制御部65、露光制御部66、および電圧制御部67に対して印刷動作を指示する。また、例えば、ユーザが操作部52を操作することにより、テストパターンTPを印刷することを指示した場合には、画像形成制御部68は、記憶部63に記憶されたテストパターン情報ITに基づいて、駆動制御部64、定着制御部65、露光制御部66、および電圧制御部67に対して印刷動作を指示する。
【0077】
具体的には、定着制御部65は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、定着部26の温度が所定の温度になるように制御する。露光制御部66は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、各露光ヘッド39の発光動作を制御する。電圧制御部67は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、帯電電圧VCH、現像電圧VDB、供給電圧VSB、転写電圧VTRなどの各種電圧を生成する。駆動制御部64は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、画像形成ユニット20に設けられた、ドラムモータ、ベルトモータ、ヒータモータなどの各種モータの動作を制御する。
【0078】
各現像ユニット30では、供給ローラ36および規制ブレード35は、現像ローラ34の表面に均一なトナー層を形成させる。帯電ローラ32は、感光ドラム31の表面を一様に帯電させ、露光ヘッド39は、感光ドラム31に対して光を照射する。これにより、感光ドラム31の表面には静電潜像が形成される。そして、現像ローラ34が感光ドラム31に対してトナーを供給することにより、感光ドラム31では、静電潜像に応じたトナー像が形成される。
【0079】
転写部40は、このようにして各現像ユニット30により形成されたトナー像を記録媒体Pに順次転写する。そして、定着部26は、記録媒体P上のトナー像を記録媒体Pに定着させる。そして、トナー像が定着された記録媒体Pが排出される。
【0080】
次に、
図3,5を参照して、画像形成システム100の全体動作概要を説明する。まず、例えばメーカの担当者が、端末装置3を用いて、製造不良が生じた消耗品の情報を、サーバ装置2の記憶部72に不良ロット情報ILとして登録する。また、多機能周辺装置1の装置情報生成部69は、装置情報IAを生成し、記憶部63はこの装置情報IAを記憶する。
【0081】
多機能周辺装置1は、例えば、定期的に、装置情報IAをサーバ装置2に対して送信する。装置情報IAを送信する頻度は、例えば、一日に一回でもよいし、一週間に一回でもよい。サーバ装置2は、この装置情報IAに基づいて、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されているか否かを確認する。そして、サーバ装置2は、多機能周辺装置1の消耗品が不良ロット情報ILに登録されている場合には、例えば、テストパターン印刷条件についての情報、および暫定対処方法についての情報を、多機能周辺装置1に供給する。そして、多機能周辺装置1は、このテストパターン印刷条件を用いてテストパターンTPを印刷し、不具合が再現した場合には、暫定対処方法を用いて、印刷条件を暫定的に設定する。
【0082】
また、多機能周辺装置1は、例えば、使用中に画質に不具合が生じた場合に、不具合の種類および装置情報IAを、サーバ装置2に対して送信する。サーバ装置2は、この不具合の種類と装置情報IAに基づいて、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されているか否かを確認する。そして、サーバ装置2は、多機能周辺装置1の消耗品が不良ロット情報ILに登録されている場合には、例えば、暫定対処方法についての情報を多機能周辺装置1に供給する。そして、多機能周辺装置1は、この暫定対処方法を用いて、印刷条件を暫定的に設定する。
【0083】
(詳細動作)
次に、画像形成システム100の詳細動作について説明する。以下、2つの動作例E1,E2について説明する。動作例E1は、多機能周辺装置1が、定期的に、装置情報IAをサーバ装置2に対して送信する例である。動作例E2は、画質に不具合が生じたときに、装置情報IAをサーバ装置2に対して送信する例である。
【0084】
(動作例E1)
図9は、動作例E1における画像形成システム100の動作を表すものである。この例では、多機能周辺装置1は、定期的に、装置情報IAをサーバ装置2に対して送信する。そして、サーバ装置2は、この例では、多機能周辺装置1の消耗品が不良ロット情報ILに登録されていると判断し、テストパターン印刷条件についての情報、および暫定対処方法についての情報を、多機能周辺装置1に送信する。以下に、この動作について詳細に説明する。
【0085】
まず、例えばメーカの担当者が、端末装置3を用いて、不良ロット情報ILを入力する(ステップS101)。
【0086】
次に、端末装置3のネットワーク通信部81は、ステップS101において入力された不良ロット情報ILを、インターネットNETを介してサーバ装置2に送信し、サーバ装置2のネットワーク通信部71は、この不良ロット情報ILを受信する(ステップS102)。そして、サーバ装置2の制御部73は、この不良ロット情報ILを記憶部72に記憶させる(ステップS103)。これにより、不良ロット情報ILは、サーバ装置2により一元的に管理される。
【0087】
その後、多機能周辺装置1のネットワーク通信部53は、記憶部63に記憶された装置情報IAを、インターネットNETを介してサーバ装置2に送信し、サーバ装置2のネットワーク通信部71は、この装置情報IAを受信する(ステップS111)。そして、サーバ装置2の制御部73は、この装置情報IAを記憶部72に記憶させる(ステップS112)。
【0088】
次に、サーバ装置2の不良判定部74は、記憶部72に記憶された不良ロット情報ILおよび装置情報IAに基づいて、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されているか否かを確認することにより、不良判定を行う(ステップS113)。具体的には、不良判定部74は、例えば、装置情報IAに含まれる、各消耗品の製造番号、環境値、各現像ユニット30の使用量(現像ユニット使用量)、各トナー収容部38におけるトナー残量、各現像ユニット30の1日あたりの印刷枚数の最大値、および各現像ユニット30の平均印刷デューティ比を、不良ロット情報ILと比較することにより、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されているか否かを確認する。この例では、多機能周辺装置1の消耗品のうちの1つが不良ロット情報ILに登録されている。よって、サーバ装置2は、多機能周辺装置1に不具合が生じるおそれがあると判断する。なお、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されていない場合には、シーケンスはここで終了する。
【0089】
次に、サーバ装置2の制御部73は、不良ロット情報ILから、該当する消耗品に対応する、テストパターン印刷条件および暫定対処方法についての情報を抽出する(ステップS114)。
【0090】
次に、サーバ装置2のネットワーク通信部71は、ステップS114において抽出された、テストパターン印刷条件および暫定対処方法についての情報を、多機能周辺装置1に送信し、多機能周辺装置1のネットワーク通信部53は、この情報を受信する(ステップS115)。
【0091】
次に、多機能周辺装置1の表示部51は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、ユーザに画像診断を促す画面を表示する(ステップS116)。この画面では、ユーザが操作部52を用いて、画像診断を実行するか否かを選択できるようになっている。この例では、ユーザは、画像診断を実行する旨を選択する。なお、ユーザが、画像診断を実行しない旨を選択した場合には、シーケンスはここで終了する。
【0092】
次に、多機能周辺装置1は、ステップS115において受信したテストパターン印刷条件についての情報を用いて、記憶部63に記憶されたテストパターン情報ITに基づいて、テストパターンTPを印刷する(ステップS117)。
【0093】
次に、多機能周辺装置1の表示部51は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、ユーザに画質の不具合の確認を促す画面を表示する(ステップS118)。すなわち、ステップS115において受信したテストパターン印刷条件は、不具合を再現しやすくすることができる印刷条件であるので、多機能周辺装置1は、不具合が再現しているかどうかをユーザに確認させる。この画面では、ユーザが操作部52を用いて、不具合が再現しているか否かを選択できるようになっている。この例では、ユーザは、不具合が再現している旨を選択する。なお、ユーザが、不具合が再現していない旨を選択した場合には、シーケンスはここで終了する。
【0094】
次に、多機能周辺装置1は、多機能周辺装置1の消耗品のうち、不良ロット情報ILに登録されていた消耗品の発注処理を行う(ステップS119)。具体的には、表示部51は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、消耗品の交換が必要である旨を表示し、画像形成制御部68は、交換が必要である消耗品の情報を含む消耗品発注情報IOを生成する。
【0095】
また、多機能周辺装置1の画像形成制御部68は、ステップS115において受信した暫定対処方法についての情報に基づいて、印刷条件を設定する(ステップS127)。これにより、多機能周辺装置1では、消耗品を交換するまでの間、不具合による画質の低下を目立ちにくくしつつ、継続して使用することができる。なお、この例では、画像形成制御部68が、暫定対処方法についての情報に基づいて印刷条件を設定したが、これに限定されるものではなく、例えば、暫定対処方法についての情報を表示部51に表示し、ユーザに印刷条件を設定させるようにしてもよい。
【0096】
次に、多機能周辺装置1のネットワーク通信部53は、消耗品発注情報IOおよび記憶部63に記憶されたユーザ情報IUをサーバ装置2に送信し、サーバ装置2のネットワーク通信部71がこの消耗品発注情報IOおよびユーザ情報IUを受信する(ステップS120)。そして、サーバ装置2の制御部73は、この消耗品発注情報IOを記憶部72に記憶する(ステップS121)。これにより、消耗品発注情報IOは、サーバ装置2により一元的に管理される。
【0097】
次に、サーバ装置2のネットワーク通信部71は、この消耗品発注情報IOおよびユーザ情報IUを端末装置3に送信し、端末装置3のネットワーク通信部81がこの消耗品発注情報IOおよびユーザ情報IUを受信する(ステップS122)。
【0098】
次に、端末装置3の制御部85は、受注処理を行う(ステップS123)。具体的には、制御部85は、ユーザ情報IUに含まれるユーザ名およびパスワードに基づいて認証処理を行い、消耗品発注情報IOに基づいて、消耗品の在庫確認を行うとともに、その消耗品の納期を確認する。この受注処理により、制御部85は、消耗品の納期についての情報を含む消耗品納期情報IDを生成する。また、例えばメーカの担当者は、この消耗品発注情報IOに基づいて、消耗品の発送準備を開始する。
【0099】
次に、端末装置3のネットワーク通信部81は、消耗品納期情報IDをサーバ装置2に送信し、サーバ装置2のネットワーク通信部71がこの消耗品納期情報IDを受信する(ステップS124)。そして、サーバ装置2の制御部73は、この消耗品納期情報IDを記憶部72に記憶する(ステップS125)。これにより、消耗品納期情報IDは、サーバ装置2により一元的に管理される。
【0100】
次に、サーバ装置2のネットワーク通信部71は、この消耗品納期情報IDを多機能周辺装置1に送信し、多機能周辺装置1のネットワーク通信部53がこの消耗品納期情報IDを受信する(ステップS126)。
【0101】
そして、多機能周辺装置1の表示部51は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、消耗品納期情報IDに含まれる、発注した消耗品の納期を表示する(ステップS128)。
【0103】
(動作例E2)
図10は、動作例E2における画像形成システム100の動作を表すものである。この例では、多機能周辺装置1は、不具合が生じた場合に、不具合の種類と、装置情報IAとを、サーバ装置2に対して送信する。そして、サーバ装置2は、多機能周辺装置1の消耗品と不具合の種類が不良ロット情報ILに登録されていると判断し、暫定対処方法についての情報を、多機能周辺装置1に送信する。以下に、この動作について詳細に説明する。
【0104】
サーバ装置2に不良ロット情報ILを登録するまで(ステップS101〜S103)は、動作例E1と同様である。
【0105】
次に、この例では、多機能周辺装置1では、画質に不具合が発生する(ステップS131)。多機能周辺装置1は、ユーザからの指示に基づいて、画像診断を実施する(ステップS132)。その際、多機能周辺装置1は、例えば、テストパターンTPを印刷してもよい。そして、多機能周辺装置1の表示部51は、画像形成制御部68からの指示に基づいて、不具合の種類の入力を促す画面を表示する(ステップS133)。この画面では、ユーザが操作部52を用いて、“汚れ”または“斑点”を選択できるようになっている。ユーザは、発生した不具合に応じて、“汚れ”または“斑点”を選択する。
【0106】
次に、多機能周辺装置1のネットワーク通信部53は、ステップS133において入力された不具合の種類についての情報、および記憶部63に記憶された装置情報IAをサーバ装置2に送信し、サーバ装置2のネットワーク通信部71がこの不具合の種類についての情報および装置情報IAを受信する(ステップS134)。そして、サーバ装置2の制御部73は、この不具合の種類についての情報および装置情報IAを記憶部72に記憶させる(ステップS135)。
【0107】
次に、サーバ装置2の不良判定部74は、記憶部72に記憶された不良ロット情報IL、不具合の種類についての情報、および装置情報IAに基づいて、多機能周辺装置1の消耗品および不具合の種類が不良ロット情報ILに登録されているか否かを確認することにより、不良判定を行う(ステップS136)。具体的には、不良判定部74は、各消耗品の製造番号および不具合の種類を、不良ロット情報ILと比較することにより、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されているか否かを確認する。例えば、不具合の種類が“汚れ”である場合には、不良判定部74は、
図7に示したような不良ロット情報ILのうち、不具合の種類が“汚れ”であるデータと、不具合の種類が“汚れ(かぶり)”であるデータを調べ、これらのデータについて、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されているか否かを確認する。この例では、ステップS133において入力した不具合の種類と、多機能周辺装置1の消耗品のうちの1つが不良ロット情報ILに登録されている。よって、サーバ装置2は、多機能周辺装置1に生じた不具合が不良ロット情報ILに登録されていると判断する。なお、多機能周辺装置1の各消耗品が不良ロット情報ILに登録されていない場合には、シーケンスはここで終了する。
【0108】
次に、サーバ装置2の制御部73は、不良ロット情報ILから、該当する消耗品に対応する暫定対処方法についての情報を抽出する(ステップS137)。
【0109】
次に、サーバ装置2のネットワーク通信部71は、ステップS137において抽出された暫定対処方法についての情報を、多機能周辺装置1に送信し、多機能周辺装置1のネットワーク通信部53は、この暫定対処方法についての情報を受信する(ステップS138)。
【0110】
これ以降は、動作例E1の場合と同様に、多機能周辺装置1の画像形成制御部68が消耗品の発注処理を行うとともに、(ステップS119)、ステップS138において受信した暫定対処方法についての情報に基づいて、印刷条件を設定する(ステップS127)。そして、多機能周辺装置1のネットワーク通信部53は、消耗品発注情報IOおよびユーザ情報IUを、サーバ装置2を介して端末装置3に送信し(ステップS120〜S122)、端末装置3の制御部85が、受注処理を行い(ステップS123)、端末装置3のネットワーク通信部81が、消耗品納期情報IDを、サーバ装置2を介して多機能周辺装置1に送信し(ステップS124〜S126)、多機能周辺装置1の表示部51が、発注した消耗品の納期を表示する(ステップS128)。
【0112】
以上のように、画像形成システム100では、多機能周辺装置1が装置情報IAをサーバ装置2に供給し、サーバ装置2が、装置情報IAおよび不良ロット情報ILに基づいて、暫定対処方法を多機能周辺装置1に供給するようにしたので、ユーザの利便性を高めることができる。すなわち、例えば、画質に不具合が生じたときに、所定の基準パターン像を印刷し、その印刷された基準パターン像に基づいて画像位置ずれや濃度ムラを補正する場合には、ユーザの負担が大きくなるおそれがある。特に、ユーザは、画質の不具合が、製造不良に起因するものであるか否かがわからないため、その不具合の状況に応じてその都度調整を試みざるを得ず、手間がかかってしまう。また、不具合を解消できない場合には、例えばメーカのコールセンタへ問い合わせるなどの手間がかかってしまう。一方、画像形成システム100では、不良ロット情報ILに基づいて、その不具合が、製造不良に起因するものであるかどうかを容易に確認することができる。そして、画像形成システム100では、不具合が製造不良に起因するものである場合には、暫定対処方法についての情報が提示されるとともに、発注処理が行われるため、ユーザの負担を軽減することができる。その結果、画像形成システム100では、ユーザの利便性を高めることができる。
【0113】
また、画像形成システム100では、多機能周辺装置1は、定期的に装置情報IAをサーバ装置2に送信するようにしたので、不具合が未だ生じていない場合でも、多機能周辺装置1に不具合が生じるおそれがあるか否かを確認することができる。また、サーバ装置2が、多機能周辺装置1に不具合が生じるおそれがあると判断した場合には、テストパターン印刷条件についての情報を多機能周辺装置1に供給するようにした。これにより、ユーザは、画質の不具合を再現することにより、多機能周辺装置1に不具合が生じるおそれがあることを、より高い精度で把握することができる。このように、画像形成システム100では、画質の不具合の発生を未然に防ぐことができるので、ユーザの利便性を高めることができる。
【0114】
[効果]
以上のように本実施の形態では、サーバ装置が、装置情報および不良ロット情報に基づいて、暫定対処方法を多機能周辺装置に供給するようにしたので、利便性を高めることができる。
【0115】
本実施の形態では、定期的に装置情報をサーバ装置に送信するようにしたので、画質の不具合の発生を未然に防ぐことができるので、ユーザの利便性を高めることができる。
【0116】
[変形例1]
上記実施の形態では、各消耗品が、個体を識別するための製造番号を記憶するようにしたが、これに限定されるものではなく、これに代えて、例えば、どの工場で製造されたか、どの製造ラインで製造されたか、どの時期に製造されたかなどを示す識別子を記憶してもよい。この場合でも、各消耗品が、製造不良が生じたロットに対応するものであるか否かを確認することができる。
【0117】
[変形例2]
上記実施の形態では、画像形成システム100に、1つの端末装置3を設けたが、これに限定されるものではなく、複数の端末装置3を設けてもよい。具体的には、例えば、メーカの営業地域ごとにそれぞれ端末装置3を設けることができる。この場合でも、サーバ装置2の不良ロット情報ILは、複数の端末装置3を用いて入力された情報に基づいて更新される。そして、サーバ装置2は、例えば、多機能周辺装置1から消耗品発注情報IOおよびユーザ情報IUを受信した場合には、そのユーザ情報IUに基づいて、その多機能周辺装置1が稼働している場所に対応する営業地域を特定し、消耗品発注情報IOおよびユーザ情報IUを、その営業地域の端末装置3に送信することができる。
【0118】
以上、実施の形態および変形例を挙げて本技術を説明したが、本技術はこれらの実施の形態等には限定されず、種々の変形が可能である。
【0119】
例えば、上記の実施の形態等では、電子写真方式により、記録媒体Pに画像を形成したが、これに限定されるものではなく、どのような方式で画像を形成してもよい。また、上記の実施の形態等では、記録媒体Pにカラー画像を形成したが、これに限定されるものではなく、モノクロ画像を形成してもよい。
【0120】
例えば、上記の実施の形態等では、本技術を多機能周辺装置1に適用したが、これに限定されるものではなく、これに代えて、単機能のプリンタに適用してもよい。