【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様により、チタン、マグネシウム、ハロゲン及び内部電子供与体Aを含む、プロペン重合のための触媒成分が提供され、前記内部電子供与体Aは式Iで示される化合物から選択される少なくとも1つであり、
【化1】
式Iにおいて、Rは、水素、ヒドロキシル及び置換又は非置換C
1−C
30ヒドロカルビルから、好ましくは水素、ヒドロキシル及び置換又は非置換C
1−C
20アルキル、C
6−C
30アリール、C
6−C
30ヘテロアリール、C
7−C
30アルキルアリール及びC
7−C
30アリールアルキルから選択され、R
1及びR
2は、相互に同じ又は異なり、水素及び置換又は非置換C
1−C
30ヒドロカルビル、好ましくは水素及び置換又は非置換C
1−C
20アルキル、C
6−C
30アリール、C
7−C
30アルキルアリール及びC
7−C
30アリールアルキルから独立して選択されてよい。
【0007】
本発明の一実施態様により、Rは、水素、ヒドロキシル、C
1−C
10アルキル及びハロゲン又はヒドロキシ置換C
6−C
10アリール、C
6−C
15ヘテロアリール、C
7−C
15アリールアルキル及びC
7−C
15アルキルアリールから選択され、R
1及びR
2は、相互に同じ又は異なってよく、水素、C
1−C
10アルキル及び置換又は非置換C
6−C
20アリール、C
7−C
20アルキルアリール及びC
7−C
20アリールアルキルから選択される。
【0008】
本発明の触媒成分(又は固体触媒成分、触媒固体成分と呼ばれる)により、置換C
1−C
30ヒドロカルビル、C
1−C
20ヒドロカルビル、C
1−C
20アルキル、C
6−C
30アリール、C
6−C
30ヘテロアリール、C
7−C
30アルキルアリール、C
7−C
30アリールアルキルなどは、これらの基の水素原子又は炭素原子が置換されていることを意味する。例えば、上述のヒドロカルビル、環基、アリール又はアルキルアリールなどの水素原子又は炭素原子は、ハロゲン、ヘテロ原子(例えば窒素原子、酸素原子など)、ヒドロキシル、アルキル又はアルコキシによって任意選択的に置換することができる。前記ヒドロカルビルは、二重結合及びその他も含有することができる。
【0009】
本発明の別の実施態様により、前記内部電子供与体Aは、式IIで示される化合物から選択される少なくとも1つであり、
【化2】
Rは、水素、ヒドロキシル及び置換又は非置換C
1−C
30ヒドロカルビルから、好ましくは水素、ヒドロキシル及び置換又は非置換C
1−C
20アルキル、C
6−C
30アリール、C
6−C
30ヘテロアリール、C
7−C
30アルキルアリール及びC
7−C
30アリールアルキルから、より好ましくは水素、ヒドロキシル、C
1−C
10アルキル及びハロゲン又はヒドロキシ置換C
6−C
10アリール、C
6−C
15ヘテロアリール、C
7−C
15アリールアルキル及びC
7−C
15アルキルアリールから選択され、
R
2は、水素及び置換又は非置換C
1−C
30ヒドロカルビルから、好ましくは水素及び置換又は非置換C
1−C
20アルキル、C
6−C
30アリール、C
7−C
30アルキルアリール及びC
7−C
30アリールアルキルから、より好ましくは水素、C
1−C
10アルキル及び置換又は非置換C
6−C
20アリール、C
7−C
20アルキルアリール及びC
7−C
20アリールアルキルから選択され、
R
3−R
7は、相互に同じ又は異なってよく、それぞれ水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C
1−C
10アルキル、C
1−C
10アルコキシ、C
6−C
10アリール、C
7−C
12アルキルアリール、C
7−C
12アリールアルキル及びC
2−C
12アルケニルから、好ましくは水素、ハロゲン原子、ヒドロキシル、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6アルコキシ、フェニル、C
7−C
12アルキルフェニル、C
7−C
12フェニルアルキル及びC
2−C
6アルケニルから独立して選択され、R
3−R
7は、任意選択的に共に結合して環を形成することができる。
【0010】
本発明により、式Iに示す化合物は式IIに示すものを含むことが公知である。本発明の触媒成分の実施態様により、前記内部電子供与体Aは、これに限定されるわけではないが、N−ブチリデンアニリン、2,6−ジメチル−N−ブチリデンアニリン、4−クロロ−N−ブチリデンアニリン、N−(2−メチルプロピリデン)アニリン、N−ブチリデンパラブロモアニリン、2,6−ジイソプロピル−N−(2−メチルプロピリデン)アニリン、2,6−ジイソプロピル−N−ブチリデンアニリン、4−トリフルオロメチル−N−ブチリデンアニリン、2,4,6−トリメチル−N−ブチリデンアニリン、N−(2−メチルプロピリデン)−1−ブチルアミン、N−(2−メチルプロピリデン)−2−ブチルアミン、N−ヘキシリデン−1−ヘキシルアミン、N−ヘキシリデン−1−オクチルアミン、N−ペンチリデン−1−オクチルアミン、2,6−ジイソプロピル−N−ヘプタメチレンアニリン、2,6−ジイソプロピル−N−(2,2−ジフェニルエチリデン)アニリン、2,6−ジメチル−N−(2,2−ジフェニルエチリデン)アニリン、N−(2−フェニルエチリデン)−8−アミノキノリン、N−ブチリデン−3−アミノキノリン、2,6−ジメチル−N−ヘキシリデンアニリン、2,6−ジイソプロピル−N−ヘキシリデンアニリン、2,6−ジイソプロピル−N−(2−メチルプロピリデン)アニリン、2,6−ジメチル−N−(2−メチルプロピリデン)アニリン、2,6−ジイソプロピル−N−(ジフェニルメチレン)アニリン、2,6−ジメチル−N−(ジフェニルメチレン)アニリン、2,6−ジイソプロピル−N−(2−フェニルエチリデン)アニリン、2,6−ジメチル−N−(2−フェニルエチリデン)アニリン、4−メチル−N−(3−ヘプタメチレン)アニリン、N−ヘプタメチレンアニリン、2,6−ジイソプロピル−N−ペンチリデンアニリン、2,6−ジイソプロピル−N−(2−ペンチリデン)アニリン、N−(3−ペンチリデン)−1−ナフチルアミン、N−(4−ヘプタメチレン)−1−ナフチルアミン、4−ヒドロキシ−N−ジフェニルメチレン−1−ナフチルアミン、N−ジフェニルメチレンベンジルアミン、N−(2−フェニルエチリデン)ベンジルアミン、2,6−ジメチル−N−(2,2−ジフェニルエチリデン)アニリン、2,6−ジイソプロピルN−(2,2−ジフェニルエチリデン)アニリン、N−(2,2−ジフェニルエチリデン)アニリン、N−(2,2−ジフェニルエチリデン)−8−アミノキノリン、N−(2,2−ジフェニルエチリデン)−3−アミノキノリン、2−(フェニルイミノ)メチル−4−tert−ブチルフェノール、2−(フェニルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(フェニルイミノ)メチル−4−クロロフェノール、2−(フェニルイミノ)メチル−4−フルオロフェノール、2−(フェニルイミノ)メチル−4,6−ジクロロフェノール、2−(フェニルイミノ)メチル−4−メチルフェノール、2−(フェニルイミノ)メチル−4−イソプロピルフェノール、2−(フェニルイミノ)メチルフェノール、2−(フェニルイミノ)メチル−4−フェニルフェノール、2−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)メチル−4,6−ジメチルフェノール、2−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)メチル−6−フェニルフェノール、2−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)メチル−4−イソプロピルフェノール、2−(ブチルイミノ)メチル−4−tert−ブチルフェノール、2−(ブチルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(ヘキシルイミノ)メチル−4−tert−ブチルフェノール、2−(ヘキシルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール]、2−(オクチルイミノ)メチル−4−tert−ブチルフェノール、2−(オクチルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)メチル−4−tert−ブチルフェノール、2−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(フェニルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(フェニルイミノ)メチル−6−tert−ブチルフェノール、2−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)メチル−4,6−ジメチルフェノール、2−(2,6−ジメチルフェニルイミノ)メチル−4−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(2,6−ジメチルフェニルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、N−(2−メトキシ−5−tert−ブチルフェニルメチレン)−2,6−ジイソプロピルアニリン、N−(2−メトキシ−5−tert−ブチルフェニルメチレン)−2,6−ジメチルアニリン、2−(2,6−ジメチルフェニルイミノ)メチル−4−メトキシ−6−tert−ブチルフェノール、N−フェニルメチレン−2,6−ジイソプロピルアニリン、2−(4−クロロフェニルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、N−p−クロロフェニルメチレン−2,6−ジイソプロピルアニリン、N−(4−tert−ブチルフェニルメチレン)−2,6−ジイソプロピルアニリン、N−フェニルメチレン−2,6−ジメチルアニリン、N−(2,4−ジクロロフェニルメチレン)−2,6−ジメチルアニリン、N−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニルメチレン)アニリン、N−(2,4,6−トリフルオロフェニルメチレン)−2,6−ジメチルアニリン、[2−(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、N−(2−メトキシナフチルメチレン)−2,6−ジイソプロピルアニリン、2−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)メチルフェノール、2−(2,6−ジメチルフェニルイミノ)メチル−6−tert−ブチルフェノール、2−(2,6−ジイソプロピルフェニルイミノ)メチル−6−tert−ブチルフェノール、N−(2−メトキシ−3−tert−ブチルフェニルメチレン)−2,6−ジイソプロピルアニリン、N−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニルメチレン)−1−ナフチルアミン、N−(3,5−ジ−tert−ブチルフェニルメチレン)−2−ナフチルアミン、2−(2−ナフチルイミノ)メチルフェノール、2−(4−キノリルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(3−キノリルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(8−キノリルイミノ)メチル−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、N−(2−ナフチルメチレン)−2,6−ジイソプロピルアニリン、N−(1−ナフチルメチレン)−2,6−ジイソプロピルアニリン、N−(1−ナフチルメチレン)−2,6−ジメチルアニリン、N−(2−アントリルメチレン)−2,6−ジイソプロピルアニリン、N−(1−アントリルメチレン)−2,6−ジメチルアニリン、2−(2−ベンジルイミノ)−4,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2ヒドロキシ)ベンジルイミノフェノール及び2−(3,5−ジ−tert−ブチル−2ヒドロキシ−ベンジルイミノ−1−ナフトールを含有する。
【0011】
本発明により、前記内部電子供与体Aはイミン化合物であり、その調製方法は公知の技法である。例えば、該電子供与体Aは、アルデヒド又はケトン化合物を有機溶媒に溶解して、次にアミンを添加して混合物を得て、該混合物を縮合のために特定の条件下(酸性又は塩基性)で還流して対応する構造を有する化合物を得ることによって調製できる。
【0012】
本発明の触媒成分の一実施態様により、触媒成分中の内部電子供与体Aの重量含有率は、0.01%〜20%(例えば0.05%〜20%又は6%〜20%)の、好ましくは0.5%〜15%(例えば1%〜15%)の、より好ましくは2%〜10%の範囲である。
【0013】
触媒成分において、チタンの含有率は、1.0重量%〜10.0重量%(例えば1.0〜8.0重量%又は1.5〜10重量%)の、好ましくは2.0〜6.0重量%(例えば2.0重量%〜5.0重量%)の、より好ましくは1.5重量%〜3.0重量%の範囲であり、マグネシウムの含有率は、5重量%〜50重量%(例えば10重量%〜40重量%)の、好ましくは10重量%〜30重量%(例えば20重量%〜30重量%)の範囲であり、ハロゲンの含有率は、10重量%〜70重量%(例えば30重量%〜70重量%)の、好ましくは40重量%〜60重量%(例えば52重量%〜60重量%)の範囲である。
【0014】
本発明の別の実施態様により、触媒成分は内部電子供与体Bをさらに含む。すなわち触媒成分は、マグネシウム、チタン、ハロゲン、内部電子供与体A及び内部電子供与体Bを含有し、前記内部電子供与体Bは、エステル、エーテル、ケトン及びアミンから成る群より、好ましくは多価カルボン酸エステル化合物、ジオールエステル化合物及びジエーテル化合物から選択される少なくとも1つである。
【0015】
好ましい実施態様において、内部電子供与体A対内部電子供与体Bのモル比は、1:10から10:1の、好ましくは0.2:1から1:5の、より好ましくは0.5:1から2:1の範囲である。
【0016】
本発明において、多価カルボン酸エステル化合物は、例えば中国特許第85100997号に開示されたものを含み、その内容は、参照として本発明に包含されている。例えば、前記内部電子供与体Bは、2,3−ビス(2−エチルブチル)コハク酸ジエチルエステル、2,3−ジエチル−2−イソプロピルコハク酸ジエチルエステル、2,3−ジイソプロピルコハク酸ジエチルエステル、2,3−ジ−tert−ブチルコハク酸ジエチルエステル、2,3−ジイソブチルコハク酸ジエチルエステル、2,3−(ビストリメチルシリルアルキル)コハク酸ジエチルエステル、2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルコハク酸ジエチルエステル、2,3−ジネオペンチルコハク酸ジエチルエステル、2,3−ジイソペンチルコハク酸ジエチルエステル、2,3−(1−トリフルオロメチル−エチル)コハク酸ジエチルエステル、2−イソプロピル−3−イソブチルコハク酸ジエチルエステル、2−tert−ブチル−3−イソプロピルコハク酸ジエチルエステル、2−イソプロピル−3−シクロヘキシルコハク酸ジエチルエステル、2−イソペンチル−3−シクロヘキシルコハク酸ジエチルエステル、2,2,3,3−テトラメチルコハク酸ジエチルエステル、2,2,3,3−テトラエチルコハク酸ジエチルエステル、2,2,3,3−テトラプロピルコハク酸ジエチルエステル、2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルジコハク酸ジエチルエステル、2,3−ビス(2−エチルブチル)コハク酸ジイソブチルエステル、2,3−ジエチル−2−イソプロピルコハク酸ジイソブチルエステル、2,3−ジイソプロピルコハク酸ジイソブチルエステル、2,3−ジ−tert−ブチルコハク酸ジイソブチルエステル、2,3−ジイソブチルコハク酸ジイソブチルエステル、2,3−(ビストリメチルシリルアルキル)コハク酸ジイソブチルエステル、2−(3,3,3−トリフルオロプロピル)−3−メチルコハク酸ジイソブチルエステル、2,3−ジネオペンチルコハク酸ジイソブチルエステル、2,3−ジイソペンチルコハク酸ジイソブチルエステル、2,3−(1−トリフルオロメチル−エチル)コハク酸ジイソブチルエステル、2−イソプロピル−3−イソブチルコハク酸ジイソブチルエステル、2−tert−ブチル−3−イソプロピルコハク酸ジイソブチルエステル、2−イソプロピル−3−シクロヘキシルコハク酸ジイソブチルエステル、2−イソペンチル−3−シクロヘキシルコハク酸ジイソブチルエステル、2,2,3,3−テトラメチルコハク酸ジイソブチルエステル、2,2,3,3−テトラエチルコハク酸ジイソブチルエステル、2,2,3,3−テトラプロピルコハク酸ジイソブチルエステル、2,3−ジエチル−2,3−ジイソプロピルジコハク酸ジイソブチルエステル、ジエチルフタラート、ジプロピルフタラート、ジイソブチルフタラート、ジ−n−ブチルフタラート、ジ−n−ペンチルフタラート、ジイソペンチルフタラート、ジネオペンチルフタラート、ジヘキシルフタラート、ジヘプチルフタラート、ジオクチルフタラート、ジノニルフタラート、ジイソブチル2−メチルフタラート、ジ−n−ブチル2−メチルフタラート、ジイソブチル2−プロピルフタラート、ジ−n−ブチル2−プロピルフタラート、ジイソブチル2−ブチルフタラート、ジ−n−ブチル2−ブチルフタラート、ジイソブチル2−プロピルフタラート、ジ−n−ブチル2−プロピルフタラート、ジイソブチル4−プロピルフタラート、ジ−n−ブチル4−ブチルフタラート、ジイソブチル2−クロロフタラート、ジ−n−ブチル2−クロロフタラート、ジイソブチル4−クロロフタラート、ジ−n−ブチル4−クロロフタラート及びジ−n−ブチル4−メトキシフタラートから成る群より選択される少なくとも1つである。
【0017】
本発明の触媒成分の一実施態様により、前記内部電子供与体Bは、式IIIで示されるジオールエステル化合物から選択される少なくとも1つであり、
【化3】
式IIIにおいて、R
1′及びR
2′は、相互に同じ又は異なってよく、C
1−C
20アルキル、C
6−C
20アリール、C
7−C
20アリールアルキル及びC
7−C
20アルキルアリールから独立して選択され、R
3′−R
6′は、相互に同じ又は異なってよく、水素、C
1−C
20アルキル、C
6−C
20アリール及びC
2−C
12アルケニルから独立して選択され、R
I及びR
IIは、相互に同じ又は異なってよく、水素、C
1−C
20アルキル、C
1−C
20シクロアルキル、C
6−C
20アリール、C
7−C
20アリールアルキル、C
9−C
20縮合環ヒドロカルビル及びC
2−C
12アルケニルから独立して選択され、R
3′、R
4′、R
5′、R
6′、R
I及びR
IIは、任意選択的に共に結合されて環を形成することができ、nは0から10の整数である。
【0018】
好ましい実施態様において、R
1′及びR
2′は、相互に同じ又は異なってよく、C
1−C
6アルキル、フェニル、置換フェニル及びシンナミルから独立して置換され、R
3′−R
6′は、相互に同じ又は異なってよく、水素、C
1−C
6アルキル、フェニル、置換フェニル及びC
2−C
6アルケニルから独立して選択され、R
I及びR
IIは、相互に同じ又は異なってよく、水素、C
1−C
6アルキル、C
1−C
6シクロアルキル、ベンジル、フェニル、置換フェニル、ナフチル及びC
2−C
6アルケニルから独立して選択され、nは0から2の整数であり、R
3′、R
4′、R
5′、R
6′、R
I及びR
IIは、任意選択的に共に結合されて環を形成することができ、好ましくは脂環又は芳香環(例えばベンゼン環、フッ素環、ナフタレンなどを形成することができる。本明細書で使用する場合、nが0であると、R
3′及びR
4′の両方と結合した炭素原子が別の炭素原子(すなわちR
5′及びR
6′の両方と結合した炭素原子)と直接結合することを意味する。
【0019】
本発明により、ジオールエステル化合物は、当技術分野においてよく使用されるもの、例えば、その内容が本明細書に包含されている中国特許第101885789A号に開示されたものである。前記内部電子供与体Bは、これに限定されるわけではないが、以下の化合物の1つ以上を含有する:2−イソプロピル−1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、2−ブチル−1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、2−シクロヘキシル−1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、2−ベンジル−1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、2−フェニル−1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、2−(1−ナフチル)−1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、2−イソプロピル−1,3−ジエチルカルボキシルプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジ(4−ブチルベンゾイルオキシ)プロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジプロピルカルボキシルプロパン、2−イソプロピル−2−ブチル−1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1−ベンゾイルオキシ−3−ブチルカルボキシルプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1−ベンゾイルオキシ−3−シンナミルカルボキシルプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1−ベンゾイルオキシ−3−エチルカルボキシルプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−フェニルカルボキシルプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−フェニルカルボキシルプロパン、2,2−ジブチル−1,3−フェニルカルボキシルプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−フェニルカルボキシルプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジフェニルカルボキシルプロパン、2,2−ジエチル−1,3−ジフェニルカルボキシルプロパン、2−エチル−2−ブチル−1,3−ジフェニルカルボキシルプロパン、2,4−ジベンゾイルオキシペンタン、3−エチル−2,4−ジベンゾイルオキシペンタン、3−メチル−2,4−ジベンゾイルオキシペンタン、3−プロピル−2,4−ジベンゾイルオキシペンタン、3−イソプロピル−2,4−ジベンゾイルオキシペンタン、2,4−ジ(2−プロピルベンゾイルオキシ)ペンタン、2,4−ジ(4−プロピルベンゾイルオキシ)ペンタン、2,4−ジ(2,4−ジメチルベンゾイルオキシ)ペンタン、2,4−ジ(2,4−ジクロロベンゾイルオキシ)ペンタン、2,4−ジ(4−クロロベンゾイルオキシ)ペンタン、2,4−ジ(4−イソプロピルベンゾイルオキシ)ペンタン、2,4−ジ(4−ブチルベンゾイルオキシ)ペンタン、2,4−ジ(4−イソブチルベンゾイルオキシ)ペンタン、3,5−ジベンゾイルオキシヘプタン、4−エチル−3,5−ジベンゾイルオキシヘプタン、4−プロピル−3,5−ジベンゾイルオキシヘプタン、4−イソプロピル−3,5−ジベンゾイルオキシヘプタン、3,5−ジ(4−プロピルベンゾイルオキシ)ヘプタン、3,5−ジ(4−イソプロピルベンゾイルオキシ)ヘプタン、3,5−ジ(4−イソブチルベンゾイルオキシ)ヘプタン、3,5−ジ(4−ブチルベンゾイルオキシ)ヘプタン、2−ベンゾイルオキシ−4−(4−イソブチルベンゾイルオキシ)ペンタン、2−ベンゾイルオキシ−4−(4−ブチルベンゾイルオキシ)ペンタン、2−ベンゾイルオキシ−4−(4−プロピルベンゾイルオキシ)ペンタン、3−ベンゾイルオキシ−5−(4−イソブチルベンゾイルオキシ)ヘプタン、3−ベンゾイルオキシ−5−(4−ブチルベンゾイルオキシ)ヘプタン、3−ベンゾイルオキシ−5−(4−プロピルベンゾイルオキシ)ヘプタン、9,9−ジベンゾイルオキシメチルフルオレン、9,9−ジ(プロピルカルボキシルメチル)フルオレン、9,9−ジ(イソブチルカルボキシルメチル)フルオレン、9,9−ジ(ブチルカルボキシルメチル)フルオレン、9,9−ジベンゾイルオキシメチル−4−tert−ブチルフルオレン、9,9−ジベンゾイルオキシメチル−4−プロピルフルオレン、9,9−ジベンゾイルオキシメチル−1,2,3,4−テトラヒドロフルオレン、9,9−ジベンゾイルオキシメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロフルオレン、9,9−ジベンゾイルオキシメチル−2,3,6,7−ジフェニルプロピリデン、9,9−ジベンゾイルオキシメチル−1,8−ジクロロフルオレン、7,7−ジベンゾイルオキシメチル−2,5−ジノルボルナジエン、1,4−ジベンゾイルオキシブタン、2,3−ジイソプロピル−1,4−ジベンゾイルオキシブタン、2,3−ジブチル−1,4−ジベンゾイルオキシブタン、1,2−ジベンゾイルオキシベンゼン、3−エチル−1,2−ジベンゾイルオキシベンゼン、4−n−ブチル−1,2−ジベンゾイルオキシベンゼン、1,2−ジ(n−ブチルベンゾイルオキシ)ベンゼン、1,2−ジ(イソプロピルベンゾイルオキシ)ベンゼン、3−n−プロピル−1,2−ジベンゾイルオキシベンゼン、3−イソプロピル−1,2−ジベンゾイルオキシベンゼン、3−イソブチル−1,2−ジベンゾイルオキシベンゼン、3−n−プロピル−1,2−ジ(n−プロピルベンゾイルオキシ)ベンゼン、3−プロピル−1,2−ジ(n−ブチルベンゾイルオキシ)ベンゼン、3−イソプロピル−1,2−ジ(n−プロピルベンゾイルオキシ)ベンゼン、3−イソプロピル−1,2−ジ(n−ブチルベンゾイルオキシ)ベンゼン、3−イソプロピル−1,2−ジ(イソプロピルベンゾイルオキシ)ベンゼン、3−イソブチル−1,2−ジ(n−プロピルベンゾイルオキシ)ベンゼン、3−イソブチル−1,2−ジ(n−ブチルベンゾイルオキシ)ベンゼン、3−イソブチル−1,2−ジ(イソプロピルベンゾイルオキシ)ベンゼン、3−プロピル−1,2−ジ(n−プロピルベンゾイルオキシ)ベンゼン、1,8−ジベンゾイルオキシナフタレン、2−エチル−1,8−ジベンゾイルオキシナフタレン、2−プロピル−1,8−ジベンゾイルオキシナフタレン、2−ブチル−1,8−ジベンゾイルオキシナフタレン、4−ブチル−1,8−ジベンゾイルオキシナフタレン、4−イソブチル−1,8−ジベンゾイルオキシナフタレン、4−イソプロピル−1,8−ジベンゾイルオキシナフタレン、2−プロピル−1,8−ジベンゾイルオキシナフタレン及び4−プロピル−1,8−ジベンゾイルオキシナフタレン。
【0020】
本発明により、ジエーテル化合物は、当技術分野において普通に使用されるジエーテル化合物、例えば1,3−ジエーテル化合物であることもできる。好ましくは、前記内部電子供与体Bは、式IVで示されるジエーテル化合物から選択される少なくとも1つであり、
【化4】
式IVにおいて、R
8及びR
9は、相互に同じ又は異なってよく、C
1−C
20アルキルから独立して選択され、R
III−R
VIは、相互に同じ又は異なってよく、水素、C
1−C
20アルキル、C
1−C
20シクロアルキル、C
6−C
20アリール、C
6−C
20アルキルアリール、C
6−C
20アリールアルキル及びC
2−C
12アルケニルから独立して選択され、R
III−R
VIは、任意選択的に共に結合されて環を形成することができ、nは0から10の整数である。
【0021】
好ましくは、R
8及びR
9は、相互に同じ又は異なってよく、C
1−C
6アルキルから独立して選択され、R
III−R
VIは、相互に同じ又は異なってよく、水素、C
1−C
6アルキル、C
3−C
6シクロアルキル、フェニル、置換フェニル、ベンジル、ナフタレン及びC
2−C
6アルケニルから独立して選択され、nは0から2の整数であり、R
III−R
VIは、任意選択的に共に結合されて環を形成することができ、好ましくは脂環又は芳香環を形成することができる。nが0であると、R
V及びOR
8の両方と結合した炭素原子が別の炭素原子(すなわちOR
9及びR
IVの両方と結合した炭素原子)と直接結合することを意味する。
【0022】
本発明により、前記内部電子供与体Bは、これに限定されるわけではないが、以下の化合物の1つ以上を含有する:2−イソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−シクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2−ベンジル−1,3−ジメトキシプロパン、2−フェニル−1,3−ジメトキシプロパン、2−(1−ナフチル)−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソペンチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−イソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−イソプロピル−2−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジシクロペンチル−1,3−ジベンゾイルオキシプロパン、2,2−ジシクロヘキシル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジイソプロピル−1,3−ジメトキシプロパン、2,2−ジエチル−1,3−ジメトキシプロパン、2−エチル−2−ブチル−1,3−ジメトキシプロパン、2,4−ジメトキシペンタン、3−エチル−2,4−ジメトキシペンタン、3−メチル−2,4−ジメトキシペンタン、3−プロピル−2,4−ジメトキシペンタン、3−イソプロピル−2,4−ジメトキシペンタン、3,5−ジメトキシヘプタン、4−エチル−3,5−ジメトキシヘプタン、4−プロピル−3,5−ジメトキシヘプタン、4−イソプロピル−3,5−ジメトキシヘプタン、9,9−ジメトキシメチルフルオレン、9,9−ジメトキシメチル−4−tert−ブチルフルオレン、9,9−ジメトキシメチル−4−プロピルフルオレン、9,9−ジメトキシメチル−1,2,3,4−テトラヒドロフルオレン、9,9−ジメトキシメチル−1,2,3,4,5,6,7,8−オクタヒドロフルオレン、9,9−ジメトキシメチル−2,3,6,7−ジフェニルプロピリデン、9,9−ジメトキシメチル−1,8−ジクロロフルオレン、7,7−ジメトキシメチル−2,5−ジノルボルナジエン、1,4−ジメトキシブタン、2,3−ジイソプロピル−1,4−ジメトキシシブタン、2,3−ジブチル−1,4−ジメトキシシブタン、1,2−ジメトキシベンゼン、3−エチル−1,2−ジメトキシベンゼン、4−ブチル−1,2−ジメトキシベンゼン、1,8−ジメトキシナフタレン、2−エチル−1,8−ジメトキシナフタレン、2−プロピル−1,8−ジメトキシナフタレン、2−ブチル−1,8−ジメトキシナフタレン、4−ブチル−1,8−ジメトキシナフタレン、4−イソブチル−1,8−ジメトキシナフタレン、4−イソプロピル−1,8−ジメトキシナフタレン及び4−プロピル−1,8−ジメトキシナフタレン。
【0023】
本発明の触媒成分の別の実施態様により、触媒成分中の前記内部電子供与体Bの重量含有率は、0.01〜20%の、好ましくは1〜15%の範囲である。
【0024】
本発明の別の態様により、上記のような触媒成分の調製方法であって、以下の:少なくとも1つのマグネシウム化合物及び少なくとも1つのチタン化合物を少なくとも1つの内部電子供与体化合物と接触させて触媒成分を調製する工程を含み、該内部電子供与体化合物が内部電子供与体A及び任意選択的に、内部電子供与体Bを含み、内部電子供与体Aが式Iで示される化合物から選択される少なくとも1つを含む、上記のような触媒成分の調製方法が提供される。
【0025】
本発明により、内部電子供与体化合物は、内部電子供与体Bを含むことができるか、又は内部電子供与体Bを含むことができない。
【0026】
本発明により、マグネシウム化合物は、マグネシウムジハライド、アルコキシマグネシウム、アルキルマグネシウム、マグネシウムジハライドの水和物若しくはアルコール付加体又はマグネシウムジハライド分子式のハロゲン原子をアルコキシ基若しくはハロアルコキシ基によって置き換えることによって形成された誘導体の1つ又はその混合物から成る群より選択される。好ましいマグネシウム化合物は、マグネシウムジハライド、マグネシウムジハライドのアルコール付加体及びアルコキシマグネシウムである。
【0027】
本発明により、チタン化合物は、TiX
n(OR)
4−nの式で示す通りであり、式中、RはC
1−C
20ヒドロカルビル基であり、Xはハロゲンであり、n=0−4である。例えば、チタン化合物は、チタンテトラクロリド、チタンテトラブロミド、チタンテトラヨージド、テトラブトキシチタン、テトラエトキシチタン、トリエトキシチタンクロリド、ジエトキシチタンジクロリド及びエトキシチタントリクロリドとすることができる。
【0028】
本発明の方法の一実施態様により、マグネシウム1モルあたりに換算して、内部電子供与体Aの添加量は、0.001molから10mol(例えば0.001mol〜10mol)の、好ましくは0.001molから5molの、より好ましくは0.01molから3molの範囲であり、及び/又は内部電子供与体Bの添加量は、0molから10mol(例えば0.001mol〜10mol)の、好ましくは0molから5mol(例えば0.001mol〜5mol)、より好ましくは0.01molから3mol(例えば0.02mol〜3mol)の範囲である。
【0029】
本発明により、触媒成分を調製する方法は、これに限定されるわけではないが、以下の方法のいずれか1つを含む。
【0030】
方法1:本発明の触媒成分の別の実施態様により、触媒は、以下の工程を含む方法によって調製できる。
【0031】
1)マグネシウム化合物を有機エポキシ化合物、有機リン化合物及び不活性希釈剤を含む溶媒系に溶解させる。均質溶液が形成された後、該溶液をチタン化合物と混合すると、共沈剤の存在下で固体が沈殿する。
【0032】
2)このような固体を、式Iで示される内部電子供与体Aを含有する内部電子供与体化合物によって処理して、前記内部電子供与体化合物を該固体上に添加して、任意選択的にチタンテトラハライド及び不活性希釈剤を使用して固体をさらに処理して、触媒成分を得る。
【0033】
一実施態様により、内部電子供与体化合物は、式Iで示される内部電子供与体Aに加えて、内部電子供与体化合物Bを含有することができる。前記内部電子供与体Bは、エステル、エーテル、ケトン及びアミンから成る群より選択される少なくとも1つである。好ましくは、前記内部電子供与体Bは、多価カルボン酸エステル化合物、ジオールエステル化合物及びジエーテル化合物から選択される。内部電子供与体化合物Bを使用する場合、工程1)で得た固体を最初に内部電子供与体化合物Bで処理して、前記内部電子供与体化合物該固体上に添加することができ、次にチタンテトラハライド及び不活性希釈剤を使用して、固体をさらに処理して、続いて内部電子供与体Aによって処理して、触媒成分を得る。
【0034】
本発明の方法で使用する共沈剤は、固体を沈殿できる限り、特別な制限はない。共沈剤は、有機酸無水物、有機酸、エーテル及びケトン又はその混合物から選択できる。有機酸無水物の例は、以下の通りである:酢酸無水物、フタル酸無水物、ブタン二酸無水物及びマレイン酸無水物。有機酸の例は、以下の通りである:酢酸、プロピオン酸、酪酸、アクリル酸及びメタクリル酸。エステルの例は、以下の通りである:ジブチルフタラート、ジフェン2,4−ペンタンジオールジベンゾアート、3−エチル−2,4−ペンタンジオールジベンゾアート、2,3−ジイソプロピル−1,4−ブタンジオールジベンゾアート、3,5−ヘプタンジオールジベンゾアート及び4−エチル−3,5−ヘプタンジオールジベンゾアート。エーテルの例は、以下の通りである:ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジペンチルエーテル、2−イソプロピル−2−イソペンチルジメトキシプロパン及び9,9−(ジメトキシメチル)フルオレン。ケトンは、アセトン、メチルエチルケトン及びベンゾフェノンの少なくとも1つとすることができる。
【0035】
本発明において、有機エポキシドは、C2−C8脂肪族オレフィン、ジアルケン、ハロゲン化脂肪族オレフィン、ジアルケンのオキシド、グリシジルエーテル及び分子内エーテルから成る群から選択される少なくとも1つを含有する。ある特定の化合物は、以下の通りである:エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ブタジエンオキシド、ブタジエンジオキシド、エポキシクロロプロパン、メチルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、テトラヒドロフランなど。
【0036】
本発明において、有機リン化合物は、オルトリン酸又はリン酸のヒドロカルビルエステル又はハロゲン化ヒドロカルビルエステル、詳細には例えばトリメチルオルトホスファート、トリエチルオルトホスファート、トリブチルオルトホスファート、トリフェニルオルトホスファート、トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト、トリブチルホスファイト、トリフェニルメチルホスファート。トリフェニルメチルホスファートが好ましい。
【0037】
本発明において、不活性希釈剤は、C
6−C
10アルカン又は芳香族炭化水素から、好ましくはヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ベンゼン、トルエン、キシレン又はその誘導体から選択される少なくとも1つとすることができる。
【0038】
本発明の方法の一実施態様により、マグネシウム1モルあたりに換算して、有機エポキシドの適用量は0.2mol〜10molの範囲であり、有機リン化合物の適用量は0.1mol〜3molの範囲であり、チタン化合物の適用量は0.2mol〜50molの範囲であり、共沈剤の適用量は0mol〜15molの範囲である。
【0039】
本発明の方法の一実施態様により、引用「任意選択的に、チタンテトラハライド及び不活性希釈剤を使用して固体をさらに処理する」は、チタン化合物及び/又は不活性希釈剤が必要に応じて固体を処理するために使用できることを意味する。
【0040】
本発明により、包含された範囲、例えば基、含有率又は適用量の定義はそれぞれ、上限値と下限値の間のいずれの特定の定義された値、及び上限値と下限値の間の範囲から選択したいずれの2つの値の間の範囲も含有する。
【0041】
方法2:マグネシウムハライドを、有機エポキシド及び有機リン化合物によって形成された均質溶液に溶解させる。不活性溶媒も添加可能であり、次いで内部電子供与体化合物を添加する。得られた溶液をチタン化合物と混合して、低温にて一定時間維持して、担体を沈降させる。次いで、加熱により温度を上昇させる。混合物をチタン化合物又は不活性溶媒によって処理し、ろ過、洗浄及び乾燥して、チタン、マグネシウム、ハロゲン及び電子供与体を含む固体触媒を得る。内部電子供与体化合物は、式Iで示される内部電子供与体Aを含む。
【0042】
一実施態様により、内部電子供与体化合物は、式Iで示される内部電子供与体Aに加えて、内部電子供与体化合物Bを含有することができる。前記内部電子供与体Bは、エステル、エーテル、ケトン及びアミンから成る群より選択される少なくとも1つである。好ましくは、前記内部電子供与体Bは、多価カルボン酸エステル化合物、ジオールエステル化合物及びジエーテル化合物から選択される。溶媒及びチタン化合物の適用量は慣習的な適用量であり、本明細書では詳細には説明しない。
【0043】
方法3:方法は以下の工程を含む。
【0044】
1)マグネシウム化合物及びアルコール化合物を不活性溶媒と混合する。次いで共沈剤を添加して、アルコール付加体を得る。
【0045】
2)アルコール付加体をチタン化合物溶液に低温にて接触させて、次いで分離により固体粒子を得る。
【0046】
3)工程2)で得た固体粒子をチタン化合物溶液に添加して、次いで分離により固体粒子を得る。
【0047】
4)工程3)で得た固体粒子を不活性溶媒で洗浄し、乾燥させて触媒成分を得る。
【0048】
該方法において、内部電子供与体化合物を工程1)から4)のいずれか1つで添加する。内部電子供与体化合物は、式Iで示される内部電子供与体Aを含む。
【0049】
一実施態様により、式Iで示される内部電子供与体Aを工程2)及び/又は4)で添加する。例えば、内部電子供与体化合物を、工程2)におけるアルコール付加体のチタン化合物との接触後に及び/又は工程3)における固体の分離後に添加する。式Iで示される化合物を添加する場合、処理温度は60〜100℃の、好ましくは80〜100℃の範囲であり、処理時間は0.5〜3時間、好ましくは0.5〜2時間の範囲である。
【0050】
別の実施態様により、内部電子供与体化合物は、式Iで示される内部電子供与体Aに加えて、内部電子供与体化合物Bを含有することができる。前記内部電子供与体Bは、エステル、エーテル、ケトン及びアミンから成る群より選択される少なくとも1つである。好ましくは、前記内部電子供与体Bは、多価カルボン酸エステル化合物、ジオールエステル化合物及びジエーテル化合物から選択される。
【0051】
上の触媒成分の一実施態様において、工程1)では、好ましくは、有機アルコール化合物及びマグネシウム化合物は、(2:1〜5:1のモル比で)不活性溶媒と混合される。温度を120〜150℃まで上昇させた後、共沈剤を5:1〜50:1の共沈剤のマグネシウムに対するモル比で添加する。反応を1〜5時間行う。
【0052】
上の触媒成分の別の実施態様において、低温は、0℃より低い温度を示す。好ましくは、アルコール付加体をチタン化合物溶液と、10:1〜50:1のチタンのマグネシウムに対するモル比で−15℃から−40℃の低温にて接触させる。温度を90〜110℃まで上昇させた後、内部電子供与体化合物を、2:1〜10:1のマグネシウムの内部電子供与体に対するモル比で添加する。反応を100〜130℃で1〜3時間行い、次いで固体粒子をろ過によって得る。
【0053】
上の触媒成分の別の実施態様において、好ましくは、工程3)では、固体粒子をチタン化合物に、チタンのマグネシウムに対するモル比で撹拌しながら添加する。反応を100〜130℃で1〜3時間行い、次いで固体粒子をろ過によって得る。
【0054】
不活性溶媒は、C
1−C
20アルカン、シクロアルカン及び芳香族炭化水素の少なくとも1つを含む。不活性溶媒の適用量は、当技術分野における慣習的な適用量である。
【0055】
方法4:該方法は、以下の工程を含む。
【0056】
1)マグネシウムハライドアルコール付加体を分散系で分散させて、エマルションを形成する。球状担体であるマグネシウムクロリドアルコール付加体微粒子が形成されるように、エマルションを冷却のために冷却液中に投入する。
【0057】
2)チタン化合物を使用して、上の球状担体を処理する。温度を徐々に上昇させる。内部電子供与体化合物をチタン化合物による処理の前又は後に添加して、球状触媒成分を得る。
【0058】
該方法において内部電子供与体化合物は、式Iで示される内部電子供与体Aを含む。
【0059】
一実施態様により、内部電子供与体化合物は、式Iで示される内部電子供与体Aに加えて、内部電子供与体化合物Bを含有することができる。前記内部電子供与体Bは、エステル、エーテル、ケトン及びアミンから成る群より選択される少なくとも1つである。好ましくは、前記内部電子供与体Bは、多価カルボン酸エステル化合物、ジオールエステル化合物及びジエーテル化合物から選択される。
【0060】
本発明の方法の一実施態様により、マグネシウムハライドアルコール付加体は、MgX
2・nROHに示す通りであり、式中、RがC
1−C
4アルキルであり、nが1.5〜3.5の、好ましくは2.0〜3.0の範囲であり、Xがハロゲン、好ましくはクロロ、ブロモ又はヨードである。マグネシウムハライドアルコール付加体を、特定の温度におけるマグネシウムジハライドとアルコールとの反応によって調製する。マグネシウムハライドアルコール付加体は、10〜300マイクロメートルの、好ましくは30〜100マイクロメートルの粒径を有する。
【0061】
本発明の別の実施態様により、工程2)では、好ましくは、過剰量のチタン化合物を使用して、上の球状担体を低温にて処理する。チタン化合物のマグネシウムハライドに対するモル比は、20から200の、好ましくは30から60の範囲に及ぶ。開始処理温度は、−30℃から0℃の、好ましくは−25℃から−20℃の範囲である。最終処理温度は、80℃から136℃の、好ましくは100℃から130℃の範囲である。
【0062】
本発明の方法により、分散系は炭化水素不活性溶媒、例えば灯油、パラフィン油、石油、白油などを使用する。界面活性剤又は有機ケイ素化合物も添加できる。本発明の一実施態様において、白油とシリコーン油の組合せを分散系として使用する。冷却液は、低点を有する不活性炭化水素溶媒、例えば石油エーテル、ペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどである。不活性溶媒は、C
1−C
20アルカン、シクロアルカン若しくは芳香族炭化水素又はその混合物を含む。分散系、すなわち冷却液の適用量は、適用量当技術分野における慣習的な適用量である。
【0063】
具体的な例において、マグネシウムアルコール付加体微粒子は、工程2)で処理する前に、洗浄及び乾燥に供することができる。工程2)の触媒成分を不活性溶媒によって洗浄して、より良好な効果を有する触媒成分を得ることができる。不活性溶媒は、普通に使用される不溶性溶媒、例えばC
1−C
20アルカン、シクロアルカン若しくは芳香族炭化水素又はその混合物から選択することができる。
【0064】
具体的な例において、チタン化合物の適用量は、マグネシウムハライドのアルコール付加体に基づいて、1mol〜100molの、好ましくは10mol〜60molの範囲である。
【0065】
本発明の触媒成分により、活性溶媒を洗浄に使用し、触媒成分中の不活性溶媒の含有率は、1重量%〜15重量%の範囲とすることができる。触媒成分は、250m
2/gを超える比表面積を有する。
【0066】
方法5:アルコキシマグネシウム又はアルコキシマグネシウムクロリドを不活性溶媒に懸濁させて懸濁物を形成し、該懸濁物を次いで、チタン化合物と混合し、接触させて固体を得る。固体を次いで、式Iで示される化合物を含む内部電子供与体と接触させて、チタン、マグネシウム、ハロゲン及び電子供与体を含む固体触媒を得る。一実施態様により、内部電子供与体化合物は、式Iで示される内部電子供与体Aに加えて、内部電子供与体化合物Bを含有することができる。前記内部電子供与体Bは、エステル、エーテル、ケトン及びアミンから成る群より選択される少なくとも1つである。好ましくは、前記内部電子供与体Bは、多価カルボン酸エステル化合物、ジオールエステル化合物及びジエーテル化合物から選択される。アルコキシマグネシウムは、ジエトキシルマグネシウム、ジプロピルオキシルマグネシウム、ジヘキシルオキシルマグネシウム、ジペンチルオキシマグネシウム及びジオクチルオキシルマグネシウムから成る群より選択される少なくとも1つである。アルコキシマグネシウムクロリドは、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムクロリド、ペンチルマグネシウムクロリド、ヘキシルマグネシウムクロリド、ヘプチルマグネシウムクロリド及びオクチルマグネシウムクロリドから成る群より選択される少なくとも1つである。不活性溶媒の適用量は、慣習的である。
【0067】
本発明の別の態様により、以下の成分の反応生成物を含む、プロペン重合に使用される触媒が提供される:
a)上記のような触媒成分又は上記のような方法によって調製した触媒成分、
b)有機アルミニウム化合物及び
c)任意選択的に、有機ケイ素化合物。
【0068】
本発明のプロペン重合に使用する触媒により、共触媒としての有機アルミニウム化合物は、プロペン重合の分野におけるチーグラー−ナッタ触媒の共触媒として使用できるものから選択できる。好ましくは、有機アルミニウム化合物は、式AlR´
nX
3−nで示される化合物から選択され、式中、R´は水素及びC
1−C
20ヒドロカルビルから選択され、Xはハロゲンであり、nは1から3の整数である。
【0069】
上の触媒において、有機アルミニウム化合物は、以下の化合物:トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアルミニウムクロリド、エチルアルミニウムセスキクロリド及びエチルアルミニウムジクロリドから選択される少なくとも1つである。トリエチルアルミニウム及び/又はトリイソブチルアルミニウムがより好ましい。
【0070】
上の触媒において、有機アルミニウム化合物の適用量は、当技術分野における慣習的な適用量とすることができる。一般に、有機アルミニウム化合物b)の触媒成分a)に対するモル比は、アルミニウムのチタンに対する比に基づいて計算した、20〜800:1の範囲である。
【0071】
上の触媒において、「任意選択的に、有機ケイ素化合物」は、触媒が成分a)及びb)の反応生成物又は成分a)、b)及びc)の反応生成物を含有し得ることを意味する。本発明のプロペン重合触媒により、外部電子供与体成分は、当技術分野において公知の多種多様の外部電子供与体とすることができる。
【0072】
上の触媒において、外部電子供与体有機ケイ素化合物は、好ましくはR
3mSi(OR
4)
4−mの式で示される化合物であり、式中、0≦m≦3、R
3及びR
4は独立して、アルキル、シクロアルキル、アリール、ハロゲン化アルキル又はアミノとすることができ、R
3はハロゲン又は水素であることもできる。好ましくは、有機ケイ素化合物は、以下の有機ケイ素化合物:トリメチルメトキシシリカン、トリメチルエトキシルシリカン、トリメチルフェノキシシリカン、ジメチルジメトキシシリカン、ジメチルジエトキシルシリカン、シクロヘキシルメチルジエトキシルシリカン、メチルシクロヘキシルジメトキシシリカン、ジフェニルジメトキシシリカン、ジフェニルジエトキシルシリカン、フェニルトリエトキシルシリカン、フェニルトリメトキシシリカン及びビニルトリメトキシシリカンから選択される、好ましくはシクロヘキシルメチルジメトキシシリカン及びジイソプロピルジメトキシシリカンから選択される少なくとも1つである。これらの有機ケイ素化合物は、個別に、又は2つ若しくは3つの化合物の化合物を組合せて使用することができる。
【0073】
本発明のプロペン重合のための触媒により、外部電子供与体の適用量には制限がない。好ましくは、有機ケイ素化合物c)の触媒成分a)に対するモル比は、ケイ素のチタンに対するモル比に基づいて、0〜100:1の範囲である。
【0074】
本発明の別の態様により、プロペンの触媒成分による予備重合によって得られたプレポリマーを含む、プロペン重合のための予備重合触媒が提供される。好ましくは、予備重合の倍数は、触媒成分1g当たりプロペンポリマー0.1g〜1000gの範囲である。予備重合は、公知の技法に従って、気相又は液相中で行うことができる。連続重合の手順の一部としての予備重合の工程は、ラインで行うことができ、またバッチで個別に行うこともできる。
【0075】
本発明の別の態様により、上記のような触媒成分、上記のような触媒又は上記のような予備重合触媒の存在下で行われるプロペンの重合の工程を含み、前記重合がホモ重合及び共重合を含む、プロペン重合の方法が提供される。予備重合手順は、公知の技法に従って、液相若しくは気相中又はその段階の組合せにおいて行うことができる。予備重合手順は、プロペンホモ重合についてだけでなく、プロペン共重合についても使用できる。
【0076】
本発明により、共重合を行う場合、コモノマーは、CH
2=CHRの式で示す通りであり、式中、Rは、水素又はC
1−C
12ヒドロカルビル、好ましくは水素又はC
1−C
6アルキルである。例えば、コモノマーは、好ましくはエチレン、1−n−ブテン、1−n−ペンテン、1−n−へキシレン、1−n−オクチレン及び4−メチル−1−ペンテンから成る群より選択される少なくとも1つである。
【0077】
本発明により、式Iで示されるイミン化合物をプロペン重合の内部電子供与体化合物として使用する場合、イミン化合物は活性成分、例えばチタン及びマグネシウムと相互作用して、多活性部位を形成することができる。このようにして、触媒は、高い触媒活性及び低速の活性遅延を有し、得られたポリマーは、高いメルトインデックス、広い分子量分布及び高いアイソタクチック性を有する。本発明により、触媒は、高い触媒活性、優れた安定性及び良好な水素応答を有する。得られたポリマーの流動性及び加工能は良好である。本発明によって提供される触媒成分及び触媒などは、広い用途見込みを有する。