特許第6698075号(P6698075)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6698075-粉砕方法および粉砕媒体 図000006
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6698075
(24)【登録日】2020年4月30日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】粉砕方法および粉砕媒体
(51)【国際特許分類】
   B02C 25/00 20060101AFI20200518BHJP
   D21D 1/00 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
   B02C25/00 C
   D21D1/00
【請求項の数】15
【全頁数】36
(21)【出願番号】特願2017-512433(P2017-512433)
(86)(22)【出願日】2015年5月14日
(65)【公表番号】特表2017-515995(P2017-515995A)
(43)【公表日】2017年6月15日
(86)【国際出願番号】EP2015060724
(87)【国際公開番号】WO2015173376
(87)【国際公開日】20151119
【審査請求日】2018年5月10日
(31)【優先権主張番号】14290145.3
(32)【優先日】2014年5月15日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516341914
【氏名又は名称】ファイバーリーン テクノロジーズ リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100111796
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 博信
(74)【代理人】
【識別番号】100162422
【弁理士】
【氏名又は名称】志村 将
(72)【発明者】
【氏名】モツィ タファズワ
(72)【発明者】
【氏名】スクーズ デイヴィッド ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アラリー ジャン アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ボルガー アンドレアス
(72)【発明者】
【氏名】ローソン ニール
(72)【発明者】
【氏名】スクーズ トーマス リチャード
【審査官】 平井 裕彰
(56)【参考文献】
【文献】 特表2012−514137(JP,A)
【文献】 特開2005−040745(JP,A)
【文献】 特表2012−528782(JP,A)
【文献】 特開平10−085619(JP,A)
【文献】 特開平04−135655(JP,A)
【文献】 特開2011−068544(JP,A)
【文献】 特表2009−508791(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/081103(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0036291(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0098170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D21B 1/00〜D21J7/00
B02C 1/00〜11/08
15/00〜17/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i) 少なくとも0.5μmの表面粗さ、または(ii) 少なくとも0.10の平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を有する粒状セラミック粉砕媒体の製造方法であって、該粒状粉砕媒体が少なくとも3.5の比重を有し、該方法が以下の工程:
a) ジルコニア(ZrO2)およびアルミナ(Al2O3)の少なくとも一つを含む原料を含む組成物を得る、準備する、または製造する工程であって、前記組成物が、該組成物の全質量を基準として、5〜25質量%のセリア(CeO2)を更に含んでもよく
b) 原料を含む組成物を混合して、混合物を形成する工程;
c) 該混合物とバインダとを混ぜ合せて、結合混合物を形成する工程;
d) 該結合混合物の組成物を、一定期間に渡って混合することにより、該結合混合物を粒状にする工程であって、該期間中、その混合速度が減じられる工程;
e) 任意に、該粒状化された組成物を乾燥する工程;
f) 任意に、該粒状化された組成物を成形する工程;
g) 任意に、該粒状化された組成物を寸法で分類する工程;および
h) 該粒状化された組成物を焼結する工程
を含み、
工程b)〜d)が、インペラを備えたミキサ内で実施され
工程b)中のインペラ速度が、工程c)およびd)中のインペラ速度よりも大きくてもよく、かつ工程c)中のインペラ速度が、工程d)中のインペラ速度に等しいかまたはこれを超えてもよい、前記方法。
【請求項2】
工程b)における初期混合速度が、工程d)における最終的な混合速度よりも少なくとも150%大きい、及び/又は前記初期混合速度が、2,750〜3,250rpmの間にあり、かつ前記最終的な混合速度が、600〜1,200rpmの間にある、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
原料を含む前記組成物が、90質量%までのセリア安定化ジルコニアを含み、少なくとも10質量%のアルミナを含んでもよい、請求項1又は2に記載の方法
【請求項4】
焼結温度が1,400℃〜1,500℃である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
滞留時間が2時間〜6時間である、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
原料を含む前記組成物が、少なくとも90質量%のアルミナを含む、請求項1又は2に記載の方法
【請求項7】
焼結温度が1,500℃〜1,700℃である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
滞留時間が2時間〜6時間である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物が、該組成物の全質量を基準として、10〜20質量%のセリア(CeO2)更に含む、請求項1に記載の方法
【請求項10】
原料を含む前記組成物が、少なくとも95質量%のアルミナを含む、請求項6に記載の方法
【請求項11】
原料を含む前記組成物が、少なくとも99質量%のアルミナを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
原料を含む前記組成物が、実質的に100質量%のアルミナを含む、請求項6に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
【請求項13】
滞留時間が3.5時間〜4.5時間である、請求項4に記載の方法。
【請求項14】
焼結温度が1,575℃〜1,625℃である、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
滞留時間が3.5時間〜4.5時間である、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロフィブリル化セルロースの製造方法、該方法において使用するのに適した粒状粉砕媒体、摩損して粗くなる(wear rough)物質、および該粒状粉砕媒体の製造方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
マイクロフィブリル化(microfibrillated)セルロースを含む方法および組成物が、WO-A-2010/131016に記載されている。このようなマイクロフィブリル化セルロースを含む紙製品が、優れた紙の特性、例えば紙の強度を示すことが明らかにされている。また、WO-A-2010/131016に記載されている方法は、経済的にマイクロフィブリル化セルロースの製造を可能とする。
WO-A-2010/131016に見られる利点にも拘らず、工業的規模でのマイクロフィブリル化セルロースの製造に係る経済性を更に改善し、またマイクロフィブリル化セルロースを製造するための新規な方法の開発に対する持続する要求がある。同様に、マイクロフィブリル化セルロースの1つまたは2つ以上の特性を更に進展させ、あるいは高め得ることも望ましいことであろう。
【発明の概要】
【0003】
第一の局面に従えば、本発明は、マイクロフィブリル化セルロースの製造方法を対象としており、該方法は、セルロースを含む繊維質基材(fibrous substrate)を、粉砕の完了後に除去される粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによりマイクロフィブリル化する工程を含み、ここで該粒状粉砕媒体は、少なくとも約3.5という比重を有し、かつ粉砕の開始時点において、該粒状粉砕媒体は、(i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ;または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を持つ。
第二の局面に従えば、本発明は、マイクロフィブリル化セルロースの製造における、少なくとも約3.5という比重および(i) 少なくとも0.5μmという表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10の摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を持つ粒状粉砕媒体の使用を対象としている。
第三の局面に従えば、本発明は、(i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を持つ粒状セラミック粉砕媒体を対象としており、ここにおいて該粉砕媒体は、ジルコニア(ZrO2)およびアルミナ(Al2O3)の内の少なくとも一方を含む組成物を焼結することにより形成される。
第四の局面に従えば、本発明は粒状粉砕媒体を対象としており、該粒状粉砕媒体は、粉砕中に、例えば、セルロースを含有する繊維質基材を、粉砕の完了後に除去される該粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによりマイクロフィブリル化する工程を含む方法における粉砕中に、摩損して粗くなる。該粉砕媒体は、セラミック粉砕媒体であり得る。
第五の局面に従えば、本発明は、(i) 少なくとも約1.6μmという表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.25という平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を持つ粒状粉砕媒体を対象としている。該粉砕媒体は、セラミック粉砕媒体であり得る。
【0004】
第六の局面に従えば、本発明は、上記第三、第四および第五の局面に従う、または上記第一および第二の局面において使用される、粒状セラミック粉砕媒体の製造方法を対象としており、該方法は、以下の工程を含む:
a. 該セラミック粉砕媒体を製造するのに適した原料を含有する組成物を取得し、準備しまたは製造する工程;
b. 原料を含む該組成物を混合して、混合物を形成する工程;
c. 該混合物とバインダとを混ぜ合せて、結合混合物(bound mixture)を形成する工程;
d. 該結合混合物を、一定期間に渡って混合することにより、該結合混合物の組成物を粗砕する工程、該期間中、その混合速度は減じられる;
e. 任意に、該粗砕された組成物を乾燥する工程;
f. 任意に、該粗砕された組成物を成形する(shape)工程;
g. 任意に、該粗砕された組成物を寸法で分類する(size)工程;および
h. 該粗砕された組成物を焼結する工程。
第七の局面に従えば、セルロースを含有する繊維質基材の存在下で攪拌した際に、粗くなり、あるいは摩損して粗くなる材料が提供される。
第八の局面に従えば、研磨性の接触に曝された場合に、少なくとも1%増大する表面粗さを持つ、未研磨の粒状粉砕媒体が提供される。
第九の局面に従えば、研磨性の接触に曝された場合に、少なくとも20%増大する表面粗さを持つ、研磨された粒状粉砕媒体が提供される。
【0005】
第十の局面に従えば、セルロースを含有する繊維質基材をマイクロフィブリル化することによって、マイクロフィブリル化セルロースを製造する方法が提供され、該マイクロフィブリル化は、該方法に新たな粉砕媒体を補充することなしに、粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することにより行われ、ここにおいて、該粉砕の開始時点において、該粒状粉砕媒体は、(i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ;または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を持つ。
第十一の局面に従えば、(a) マイクロフィブリル化セルロースおよび(b) 粗粒状粉砕媒体を同時に製造する方法が提供され、該方法は、粉砕の開始時点において、(i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ;または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を持つ粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することにより、セルロースを含有する繊維質基材を粉砕する工程を含む。
第十二の局面に従えば、マイクロフィブリル化セルロースの製造において、生成されるマイクロフィブリル化セルロースの単位量当たりのエネルギー投入量を減じるための、i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を持つ粒状粉砕媒体の使用が提供される。
第十三の局面に従えば、マイクロフィブリル化セルロースの製造において、該マイクロフィブリル化セルロースの1または2以上の特性を改善するための、i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を持つ粒状粉砕媒体の使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、本発明の一態様に従う粉砕媒体および比較用粉砕媒体を用いて製造したマイクロフィブリル化セルロースを含む紙の破裂強さを比較するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一般的に、本発明は、WO-A-2010/131016に記載されている方法および組成物に対する変更、例えば改良に係る。該特許の全内容を、言及することによりここに組入れる。
マイクロフィブリル化方法
本発明の上記第一の局面に従えば、上記方法は、粉砕の完了後に除去されることになる粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することにより、セルロースを含有する繊維質基材をマイクロフィブリル化する工程を含む。「マイクロフィブリル化(microfibrillating)」によって、セルロースのマイクロフィブリルが、個々の種としてまたはそのマイクロフィブリル化前のパルプに係る繊維と比較して、同程度に小さな凝集体として遊離されもしくは部分的に遊離されるプロセスを意味する。製紙において使用するのに適した典型的なセルロース繊維(即ち、マイクロフィブリル化前のパルプ)は、数百または数千の個々のセルロースフィブリルからなるより大きな凝集体を含む。該セルロースをマイクロフィブリル化することにより、ここにおいて記載される特徴および特性を含む特定の特徴および特性が、該マイクロフィブリル化セルロースおよび該マイクロフィブリル化セルロースを含む組成物に付与される。
【0008】
特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、少なくとも約3.5という比重を持つ。粉砕の開始時点において、該粉砕媒体は、(i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ;または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を持つ。「粒状粉砕媒体(particulate grinding medium)」により、特定の態様においてセルロースを含む上記繊維質基材と共に同時に粉砕される無機粒状物質以外の媒体を意味する。好都合なことに、比較的粗い表面を持つ粒状粉砕媒体が、マイクロフィブリル化セルロースの製造中にマイクロフィブリルの生成を促進し、例えばより良好にすることが分かっている。マイクロフィブリルは、該粉砕プロセス中に、比較的粗い組織を持つ該粒状粉砕媒体表面と、セルロース繊維との密な相互作用のために形成されるものと思われる。理論に拘束されるつもりはないが、マイクロフィブリル製造のメカニズムは、粉砕中にセルロースを「引掛け(hooking)」および「引裂(tearing)」および/または「脱層状化(delayering)」する、該粒状粉砕媒体の比較的粗い表面によるものであると考えられる。該粒状粉砕媒体とセルロースとの間の、結果としてマイクロフィブリル化セルロースをもたらすこの相互作用は、媒体-セルロース間の衝突、媒体粒子間でのまたは媒体粒状物と粉砕機壁との間でのセルロースの剪断を含むことができる。
ここにおいて使用されるような用語「粉砕の開始時点において」とは、粉砕プロセスにおいて使用される前の、上記粉砕媒体の状態を示している。
【0009】
表面粗さは、光学的干渉法、即ち光学的干渉計によって実施されるような、基準表面に相対的な、上記粒状粉砕媒体のテスト表面に係る表面トポグラフィーの測定によって決定し得る。特定の態様において、表面粗さは、以下の方法に従って決定される。該粒状粉砕媒体の代表的なサンプルを得、また光学顕微鏡と連結された干渉計に配置する。適当な干渉計は、オムニスキャンマイクロキサム2(Omniscan MicroXAM2)である。適当な光学顕微鏡は、キーエンスオプティカルマイクロスコープ(Keyence Optical Microscope)である。代表的なサンプルは、任意の与られた粒状粉砕媒体のバッチからランダムに選択される、解析すべき該粒状粉砕媒体の5つの個別の粒子(例えば、ビーズ)からなっている。各別個の粒子に関する表面粗さは、その表面上の2つの異なる位置において測定され、また10回の測定結果(即ち、粒子当たり2回)が平均される。各粒子上の各位置において解析される表面積の大きさは、一定である。適当な干渉計の操作手順は、付属書(Appendix)1において与えられている。特定の態様において、表面粗さは、付属書1において与えられている干渉計の操作手順、または本質的に同一の結果をもたらすあらゆる他の適当な手順に従って決定される。
平均摩擦係数は、摩擦計を用いて行われる如く、トライボメトリー(tribometry)、即ち表面上の摩擦の測定により決定することができる。摩擦計は、表面が相互に関して擦られた際の摩擦および磨耗の大きさを測定する。特定の態様において、平均摩擦係数は、以下の方法に従って決定される。分析すべき上記粒状粉砕媒体の3つの別個の検体(例えば、ビーズ)を得、また各検体を、摩擦計において3回の同等な試験に掛ける。摩擦係数が各実験に対して決定され、9個の摩擦係数の測定値(即ち、各検体に対して3個)を得る。平均摩擦係数は、これら9個の摩擦係数の測定値を一緒に加え、また9で割ることにより得られる。適当な摩擦計の操作手順は、付属書(Appendix)2において与えられている。特定の態様において、平均摩擦係数は、付属書2において与えられている摩擦計の操作手順、または本質的に同一の結果をもたらすあらゆる他の適当な手順に従って決定される。
【0010】
特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、約0.5μm〜約5.0μm、例えば約0.5μm〜約4.0μm、または約0.5μm〜約3.0μm、または約0.5μm〜約2.5μm、または約0.5μm〜約2.0μm、または約0.5μm〜約1.5μm、または約0.5μm〜約1.0μm、または約0.55μm〜約5.0μm、または約0.6μ〜約5.0μm、または約0.65μm〜約5.0μm、または約0.7μm〜約5.0μm、または約0.75μm〜約5.0μm、または約0.8μm〜約5.0μm、または約0.85μm〜約5.0μm、または約0.90〜約5.0μm、または約0.95μm〜約5.0μm、または約1.0μm〜約5.0μmという表面粗さを持つ。特定の態様において、該表面粗さは、約5.0μmに等しいかまたはこれ未満、例えば約4.5μmに等しいかまたはこれ未満、または約4.0μmに等しいかまたはこれ未満、または約3.5μmに等しいかまたはこれ未満、または約3.0μmに等しいかまたはこれ未満、または約2.8μmに等しいかまたはこれ未満、または約2.6μmに等しいかまたはこれ未満、または約2.4μmに等しいかまたはこれ未満、または約2.2μmに等しいかまたはこれ未満、または約2.0μmに等しいかまたはこれ未満、または約1.8μmに等しいかまたはこれ未満、または約1.6μmに等しいかまたはこれ未満、または約1.4μmに等しいかまたはこれ未満、または約1.2μmに等しいかまたはこれ未満、または約1.0μmに等しいかまたはこれ未満である。
【0011】
特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、少なくとも約0.55μm、例えば少なくとも約0.6μm、または少なくとも約0.65μm、または少なくとも約0.7μm、または少なくとも約0.75μm、または少なくとも約0.8μm、または少なくとも約0.85μm、または少なくとも約0.9μm、または少なくとも約0.95μm、または少なくとも約1.0μm、または少なくとも約1.05μm、または少なくとも約1.1μm、または少なくとも約1.15μm、または少なくとも約1.2μm、または少なくとも約1.25μm、または少なくとも約1.3μm、または少なくとも約1.35μm、または少なくとも約1.4μm、または少なくとも約1.45μm、または少なくとも約1.5μm、または少なくとも約1.55μm、または少なくとも約1.6μm、または少なくとも約1.65μm、または少なくとも約1.7μm、または少なくとも約1.75μm、または少なくとも約1.8μm、または少なくとも約1.85μm、または少なくとも約1.9μm、または少なくとも約1.95μm、または少なくとも約2.0μm、または少なくとも約2.05μm、または少なくとも約2.1μm、または少なくとも約2.15μm、または少なくとも約2.2μm、または少なくとも約2.25μm、または少なくとも約2.3μm、または少なくとも約2.35μm、または少なくとも約2.4μm、または少なくとも約2.45μm、または少なくとも約2.5μm、または少なくとも約2.55μm、または少なくとも約2.6μm、または少なくとも約2.65μm、または少なくとも約2.7μm、または少なくとも約2.75μm、または少なくとも約2.8μm、または少なくとも約2.85μm、または少なくとも約2.9μm、または少なくとも約2.95μm、または少なくとも約3.0μmという表面粗さを持つ。
【0012】
特定の態様、例えば上記第五の局面に係る特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、少なくとも1.6μm、例えば約1.6μm〜約5.0μm、または少なくとも約1.7μm、または少なくとも約1.8μm、または少なくとも約1.9μm、または少なくとも約2.0μm、または少なくとも約2.1μm、または少なくとも約2.2μm、または少なくとも約2.3μm、または少なくとも約2.4μm、または少なくとも約2.5μm、または少なくとも約2.6μm、または少なくとも約2.7μm、または少なくとも約2.8μm、または少なくとも約2.9μm、または少なくとも約3.0μm、または少なくとも約3.1μm、または少なくとも約3.2μm、または少なくとも約3.3μm、または少なくとも約3.4μm、または少なくとも約3.5μm、または少なくとも約3.6μm、または少なくとも約3.7μm、または少なくとも約3.8μm、または少なくとも約3.9μm、または少なくとも約4.0μmという表面粗さを持つ。特定の態様において、該表面粗さは、約5.0μmに等しいかまたはこれ未満、例えば約4.5μmに等しいかまたはこれ未満、または約4.0μmに等しいかまたはこれ未満である。
特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、約0.10〜約0.50、例えば約0.15〜約0.50、または約0.175〜約0.50、または約0.20〜約0.50、または約0.225〜約0.50、または約0.25〜約0.50、または約0.275〜約0.50、または約0.30〜約0.50、または約0.325〜約0.50、または約0.35〜約0.50、または約0.375〜約0.50、または約0.40〜約0.50という平均摩擦係数を持つ。
特定の態様において、上記平均摩擦係数は、約0.50に等しいかまたはそれ未満、例えば約0.48に等しいかまたはそれ未満、または約0.46に等しいかまたはそれ未満、または約0.44に等しいかまたはそれ未満、または約0.42に等しいかまたはそれ未満、または約0.40に等しいかまたはそれ未満、または約0.39に等しいかまたはそれ未満、または約0.38に等しいかまたはそれ未満、または約0.37に等しいかまたはそれ未満、または約0.36に等しいかまたはそれ未満、または約0.35に等しいかまたはそれ未満である。
【0013】
特定の態様において、上記平均摩擦係数は、少なくとも約0.15、例えば少なくとも約0.175、または少なくとも約0.20、または少なくとも約0.225、または少なくとも約0.25、または少なくとも約0.275、または少なくとも約0.30である。
特定の態様において、粉砕媒体は、約0.5μm〜約5.0μmの表面粗さおよび約0.10〜約0.50の平均摩擦係数、例えば約0.75μm〜約5.0μmの表面粗さおよび約0.10〜約0.50の平均摩擦係数、または約1.0μm〜約5.0μmの表面粗さおよび約0.10〜約0.50の平均摩擦係数、または約1.0μm〜約5.0μmの表面粗さおよび約0.10〜約0.50の平均摩擦係数、または約0.5μm〜約5.0μmの表面粗さおよび約0.20〜約0.50の平均摩擦係数、または約0.5μm〜約5.0μmの表面粗さおよび約0.25〜約0.50の平均摩擦係数、または約0.5μm〜約5.0μmの表面粗さおよび約0.30〜約0.50の平均摩擦係数、または約0.75μm〜約4.0μmの表面粗さおよび約0.20〜約0.40の平均摩擦係数、または約0.75μm〜約3.5μmの表面粗さおよび約0.25〜約0.40の平均摩擦係数を持つ。
特定の態様、例えば上記第五の局面に係る特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、少なくとも約0.26、例えば少なくとも約0.28、または少なくとも約0.30、または少なくとも約、または少なくとも約0.32、または少なくとも約0.34、または少なくとも約0.36、または少なくとも約0.38、または少なくとも約0.40、または少なくとも約0.42、または少なくとも約0.44、または少なくとも約0.46、または少なくとも約0.48、または少なくとも約0.50という平均摩擦係数を持つ。特定の態様において、該摩擦係数は、約0.80以下、例えば約0.75以下、または約0.70以下、または約0.65以下、または約0.60以下、または約0.55以下である。
【0014】
特定の態様において、粉砕の完了後に、上記粒状粉砕媒体の表面粗さは、ここに記載された方法に従って測定された如く、粉砕開始時点におけるその表面粗さの少なくとも約90%、例えば該表面粗さの少なくとも約92%、または該表面粗さの少なくとも約94%、または該表面粗さの少なくとも約96%、または該表面粗さの少なくとも約98%、または該粉砕開始時点における該表面粗さの少なくとも約99%である。ここにおいて使用するような、用語「粉砕の完了後」とは、本発明の上記第一の局面に従う方法、即ちセルロースを含む繊維質基材を、該粉砕媒体の存在下で粉砕することによりマイクロフィブリル化する工程を含む、マイクロフィブリル化セルロースの製造方法、例えば、20〜50という繊維勾配(fibre steepness)を持つマイクロフィブリル化セルロースを製造する方法における使用を伴う、該粉砕媒体の状態を言う。該方法は、粉砕性の無機粒状物質の存在下または不在下で行うことができる。
【0015】
特定の態様において、粉砕の完了後に、上記表面粗さは、ここに記載された方法に従って決定されるように、該粉砕開始時点における表面粗さと少なくとも同一である。特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、粉砕の完了後に、その表面粗さが、ここに記載された方法に従って決定されるように、該粉砕開始時点におけるその表面粗さよりも大きくなるように、粉砕中に摩損して粗くなる。例えば、特定の態様において、該表面粗さは、粉砕中に少なくとも約1%増大し(即ち、該粉砕プロセスの終了時点におけるその表面粗さは、該粉砕プロセスの開始時点におけるその表面粗さよりも少なくとも約1%大きく)、あるいは粉砕中に少なくとも約2%増大し、または粉砕中に少なくとも3%増大し、または粉砕中に少なくとも4%増大し、または粉砕中に少なくとも5%増大し、または粉砕中に少なくとも6%増大し、または粉砕中に少なくとも7%増大し、または粉砕中に少なくとも8%増大し、または粉砕中に少なくとも9%増大し、または粉砕中に少なくとも10%増大し、または粉砕中に少なくとも11%増大し、または粉砕中に少なくとも12%増大し、または粉砕中に少なくとも13%増大し、または粉砕中に少なくとも14%増大し、または粉砕中に少なくとも15%増大し、または粉砕中に少なくとも16%増大し、または粉砕中に少なくとも17%増大し、または粉砕中に少なくとも18%増大し、または粉砕中に少なくとも19%増大し、または粉砕中に約20%まで増大する。粉砕中に摩損して粗くなる(あるいは、その初期表面粗さの少なくとも90%を、少なくとも維持する)粉砕媒体の準備および使用は、粉砕中に通常は平滑化されるであろう、従来の粉砕媒体とは相反している。既に従来の粉砕媒体の値よりも大きな表面粗さを有している、また付随的に該粉砕プロセス中に摩損して粗くなる粉砕媒体の準備および使用は、追加の利点、例えば該粉砕プロセス中の全エネルギー投入量における継続する節減等、および/または1種またはそれ以上の性質、例えば上記マイクロフィブリル化セルロースおよび/または紙製品の、該マイクロフィブリル化セルロースと比較した強度特性(例えば、破裂強さ)における追加の改善、および/または該粉砕プロセスへの、上記必要な表面粗さおよび/または摩擦係数を持つ新たな粉砕媒体の補給の、より低い必要性または更にはその必要性が全くないこと等の利益を与えることができる。
【0016】
従って、特定の態様においては、マイクロフィブリル化セルロースの製造方法が提供され、該マイクロフィブリル化セルロースは、該方法に対して新たな粉砕媒体を補充することなしに、セルロースを含有する繊維質基材を、ここに記載したような粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによりマイクロフィブリル化することにより製造され、ここで該粉砕の開始時点において、該粒状粉砕媒体は、(i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ;または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を持つ。
更に、特定の態様によれば、(a) マイクロフィブリル化セルロースおよび(b) 粗粒状粉砕媒体を同時に製造する方法が提供され、該方法は、セルロースを含有する繊維質基材を、ここに記載されたような粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによって粉砕することを含み、該粒状粉砕媒体は、その粉砕の開始時点において、(i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ;または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を持つ。
【0017】
あるいはまた、もしくは付随的に、好都合なことに、更には、特定の態様において、該粉砕の完了後に、上記平均摩擦係数は、ここに記載される方法に従って決定される如く、該粉砕開始時点における平均摩擦係数の少なくとも約90%、例えば該粉砕開始時点における平均摩擦係数の少なくとも約92%、または該粉砕開始時点における平均摩擦係数の少なくとも約94%、または該粉砕開始時点における平均摩擦係数の少なくとも約96%、または該粉砕開始時点における平均摩擦係数の少なくとも約98%、または該粉砕開始時点における平均摩擦係数の少なくとも約99%である。特定の態様において、該粉砕の完了後、該平均摩擦係数は、ここに記載される方法に従って決定される如く、該粉砕開始時点における表面粗さと少なくとも同一である。特定の態様において、該粒状粉砕媒体は、粉砕の完了後に、その平均摩擦係数が、ここにおいて記載される方法に従って決定される如く、その粉砕開始時点における平均摩擦係数よりも大きくなるように、粉砕中に摩損して粗くなる。例えば、特定の態様において、該平均摩擦係数は、粉砕中に少なくとも約1%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも約2%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも3%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも4%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも5%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも6%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも7%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも8%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも9%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも10%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも11%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも12%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも13%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも14%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも15%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも16%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも17%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも18%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも19%増大し、あるいは粉砕中に少なくとも20%増大する。
【0018】
特定の態様において、0.5μm未満の表面粗さおよび/または0.10未満の平均係数を持つ比較的少数の粒子(例えば、100個の粒子からなる代表的なサンプルにおいて、5個またはそれ未満の粒子)が、該粉砕媒体の粒子が製造され、もしくは処理されるプロセスの副産物として存在する可能性があることが理解されよう。
特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、約3.5〜約8.0、例えば約3.5〜約7.0、または約3.5〜約6.5という比重、または少なくとも約3.6、または少なくとも約3.7、または少なくとも約3.8、または少なくとも約3.9、または少なくとも約4.0、または少なくとも約4.1、または少なくとも約4.2、または少なくとも約4.3、または少なくとも約4.4、または少なくとも約4.5、または少なくとも約4.6、または少なくとも約4.7、または少なくとも約4.8、または少なくとも約4.9、または少なくとも約5.0、または少なくとも約5.1、または少なくとも約5.2、または少なくとも約5.3、または少なくとも約5.4、または少なくとも約5.5、または少なくとも約5.6、または少なくとも約5.6、または少なくとも約5.7、または少なくとも約5.8、または少なくとも約5.9、または少なくとも約6.0という比重を持つ。より高い比重が好ましく、その理由はこのような粉砕媒体が、上記マイクロフィブリル化セルロースの製造中に、タワーミル等のその粉砕容器からの水力分級(elutriate)の低減された傾向を有し、または更にはこの傾向を全く示さないことにある。更に、より大きな比重は、ミル生産性および利用率の増大を可能とする。これは、より高密度の媒体が結果としてより高いモータ電力(motor power draw)(即ち、より高いモータ効率)をもたらすからであり、より大きな比重を持つ媒体を使用した場合、該粉砕機容積内での単位時間当たり、該粒子に対してより多くのエネルギーが伝達される。結果として、目標とするエネルギーまたは粒度に達するための時間が減じられる。
【0019】
特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は約0.5mm〜約15mm、例えば約0.5mm〜約12mm、例えば約1mm〜約10mm、または約1mm〜約8mm、または約1mm〜約6mm、または約1mm〜約5mm、または約1mm〜約4mm、または約1mm〜約3mmの範囲の粒度を持つ粒子を含み、これら粒子から本質的になり、またはこれら粒子からなっている。この点に関連して使用される該用語「粒度」とは、当業者には、該粒子が、該粒子のサイズに相当する開口サイズを持つ篩を通過することを意味するものと理解される。それ故、例として、粒子を、8mmの開口サイズを持つ篩を通過させることは、8mm以下の粒度を持つ粉砕媒体粒子を生成するであろう。同様に、約1mm〜約3mmの粒度を持つ粉砕媒体は、該粉砕媒体が、夫々約1mm(最低)および約3mm(最大)の開口サイズを持つ篩を用いて得ることができることを意味する。
上記粒状粉砕媒体は、天然または合成物質から形成でき、例えば粉砕媒体として使用するのに適した、緻密で硬質の無機、セラミックまたは金属物質から形成される。特定の態様において、該粒状粉砕媒体はセラミック粉砕媒体である。かかる物質は、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、イットリア、セリア、またはイットリアおよび/またはセリア安定化ジルコニア、およびこれらの混合物を包含する。特定の態様において、該粒状セラミック粉砕媒体は、2以上の物質、例えばアルミナとジルコニア、またはアルミナとケイ酸ジルコニウム、またはアルミナとムライトとからなる複合構造を持つことができる。特定の態様において、該粒状粉砕媒体は、独占的にムライトからなってはいない。特定の態様において、該粒状粉砕媒体は、ムライトを含まない。
【0020】
上記粒状粉砕媒体は、SiO2含有率を特定の低レベル、例えば約4質量%未満、および好ましくは約2質量%以下に制限するように配合することができる。該粒状粉砕媒体は、10質量%以下の酸化鉄、例えば8質量%以下の酸化鉄、または約6質量%以下の酸化鉄、または約4質量%以下の酸化鉄、または約2質量%以下の酸化鉄、または約1質量%以下の酸化鉄を含むことができる。
上記第一または第二の局面に係る特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、以下において詳細に説明されるように、上記第三の局面に従う粒状粉砕媒体である。
上記粒状粉砕媒体は、任意の適当な形状、例えばボール、ビーズ、シルペブス、ペレット、棒、ディスク、キューブ、トロイド、錐体等を持つ粒子を含むことができる。
特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、実質的に球状の粒子、例えばボールおよび/またはビーズを含む。例えば、該粉砕媒体は、少なくとも10質量%の実質的に球形の粒子を含むことができ、あるいは少なくとも20質量%の実質的に球形の粒子を含むことができ、あるいは少なくとも30質量%の実質的に球形の粒子を含むことができ、あるいは少なくとも40質量%の実質的に球形の粒子を含むことができ、あるいは少なくとも50質量%の実質的に球形の粒子を含むことができ、あるいは少なくとも60質量%の実質的に球形の粒子を含むことができ、あるいは少なくとも70質量%の実質的に球形の粒子を含むことができ、あるいは少なくとも80質量%の実質的に球形の粒子を含むことができ、あるいは少なくとも90質量%の実質的に球形の粒子を含むことができ、あるいは本質的に(例えば、95質量%またはこれを超え、あるいは少なくとも99質量%)実質上球形粒子のみを含むことができる。
【0021】
特定の態様において、上記粉砕媒体は、棒状の粒子、例えば約2:1に等しいかまたはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子を含む。
上記棒状粒子は中実の物体であり、これは、外表面が規定されている該物体の長さを通っている軸および対向する端部表面を持つ。該外表面および該対向する端部表面が、一緒に該物体を規定している。特定の態様において、その縦軸は実質上直線であり、これにより我々は、該2つの端部間の最短距離を表す線が、完全に該物体内に属することを意味する。他の態様において、該棒状の粒子は、アーチ状の形状をとることができ、ここにおいてその軸は、曲線であり、またその最短距離を表す線は、完全に該物体内に属してはいない。直線状の軸を持つ棒状物体とアーチ形状を持つ物体との混合物は、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子の実質上全て(例えば、90質量%または95質量%または99質量%)が、上記直線状の形状を持つか、あるいは上記アーチ状の形状を持つかの何れかである態様として意図されている。
特定の態様において、上記棒状粒子の断面は、該粒子の長さに沿って実質的に一定である。「実質的に一定」により、該断面の主寸法が、例えば20%を超え、あるいは10%を超え、または5%を超えて変動しないことを意味している。もう一つの態様において、該棒状粒子の断面は、該粒子の長さに沿って、例えば20%を超えて変動する。例えば、該棒状粒子の物体は、樽の形状をとることができ、ここにおいて、該粒子の本体に係る各末端におけるその断面は、該末端間で測定された断面よりも小さく、あるいは例えば、該棒状粒子の本体は、逆樽状の形状をとることができ、そこにおいて該粒子の各端部における断面は、該端部間で測定された断面よりも大きい。該棒状粒子の断面形状は、対称または非対称であり得る。例えば、該断面形状は、円形または実質的に円形であり得、または実質的に卵形であり得る。その他の形状は、角形、例えば三角、正方形、矩形、星形(5または6-角の)、ダイアモンド等を含む。該外側の長さ方向の表面と対抗する末端表面との間の境界は、角張っていてもよく、即ち離散的な鋭い境界を持ち、あるいは角張っていなくてもよく、即ち曲線的であり、または丸みを持っている。該端部表面は、平坦、凹型または凸型であり得る。
【0022】
前に言及した如く、上記棒状粒子のアスペクト比は、有利には2:1または2:1を超える。該アスペクト比は、該粒子の最長の寸法対その最小の寸法の比として理解されるべきである。現在の目的にとって、該最長の寸法は、該棒状粒子の軸長である。該粒子が、その長さに沿って一定の断面を持つ場合、該アスペクト比を規定するための該最小の寸法は、該粒子断面の幾何中心を通る、該断面の最長の寸法である。該断面が該粒子の長さに沿って変動する場合、該アスペクト比を規定するための該最小の寸法は、該断面が最大値になる点における最長の寸法である。該粒子が不規則な形状の断面を持つ場合、該アスペクト比を規定するための該最小の寸法は、該棒状粒子の軸に垂直な最大の横断寸法である。本発明の特定の態様において使用するのに適した棒状粒子の一例は、実質的に直線状の軸および実質的に円形の断面を持つ粒子である。
本発明の特定の態様において使用するのに適した棒状粒子のもう一つの例は、アーチ状の形状および実質的に円形の断面を持つ粒子である。これらの例両者において、その外側の長さ方向の表面とその対抗する端部表面との間の境界は丸くなっており、またその端部は一般的に平坦または凸型である。特定の態様において、該棒状粒子は、2.5:1または2.5:1を超えるアスペクト比、または3:1または3:1を超えるアスペクト比、または4:1または4:1を超えるアスペクト比、または5:1または5:1を超えるアスペクト比、または6:1または6:1を超えるアスペクト比を持つ。該アスペクト比は、10:1または10:1未満であり得、または9:1または9:1未満であり得、または8:1または8:1未満であり得、または7:1または7:未満であり得、または6:1または6:1未満であり得、または5:1または5:1未満であり得る。該アスペクト比は、2:1〜10:1の範囲内であり得、または2:1〜5:1の範囲内であり得、または3:1〜8:1の範囲内であり得、または3:1〜6:1の範囲内であり得る。
特定の態様において、上記棒状粒子の軸長は、約1mm〜約5mm、または約2mm〜約4mmの範囲にある。もう一つの態様において、該棒の長さは、約3mm未満である。
【0023】
特定の態様において、上記粉砕媒体は、2:1未満のアスペクト比を持つ棒状粒子および球、シルペブス、キューブ、ディスク、トロイド、錐体等の他の形状を持つ粒子から選択されるその他の粒子を含むことができる(即ち、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子に加えて)。例えば、該粉砕媒体は、少なくとも10質量%の、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子を含むことができ、あるいは少なくとも20質量%の、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子を含むことができ、あるいは少なくとも30質量%の、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子を含むことができ、あるいは少なくとも40質量%の、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子を含むことができ、あるいは少なくとも50質量%の、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子を含むことができ、あるいは少なくとも60質量%の、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子を含むことができ、あるいは少なくとも70質量%の、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子を含むことができ、あるいは少なくとも80質量%の、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子を含むことができ、あるいは少なくとも90質量%の、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子を含むことができ、または2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子のみを本質的に含む(例えば、95質量%またはそれ以上)ことができる。更に、本発明の特定の態様において、比較的少数の、2:1よりも小さなアスペクト比を持つ付形粒子(shaped particle)が、該粒子を製造しまたは処理するプロセスの副産物として存在し得ることが理解されよう。同様に、比較的高い、例えば約10:1を超えるようなアスペクト比を持つ棒状粒子を、該粉砕プロセスに添加することができ、この場合において、これらの棒は、該粉砕プロセス中にそれ自体の好む長さに折れる可能性がある。同様に、該粉砕プロセスが進展するにつれて、少なくとも幾分かの該棒状粒子の形状が、その端部が丸くなり、またそのアスペクト比が低下するように進化し、また幾つかの場合において、未加工の棒状粒子はついには小球となる可能性があり、従って典型的な仕上り時の粉砕機は、棒、研磨棒および球さえも含むことができることも理解されよう。従って、元々少なくとも2:1またはこれを超えるアスペクト比を有していた棒状粒子の「加工された(worked-in)」サンプルは、未加工の該媒体中に含まれる該棒状粒子に対して、幾分形状の異なる粒子を、大量(十分に長期に渡り加工する場合)に含むことができる。該粉砕機には、2:1またはこれを超えるアスペクト比を持つ棒状粒子を含む新たな媒体を、一杯になるまで補給することができる。
【0024】
上記セルロースを含む繊維質基材は、任意の適当な源、例えば木材、草(例えば、サトウキビ、竹)または襤褸切れ(例えば、生地の廃物、綿、大麻または亜麻)由来のものであり得る。該セルロースを含む繊維質基材は、パルプ(即ち、セルロース繊維の水懸濁液)であり得、これは任意の適当な化学的または機械的な処理、またはこれらの組合せにより製造し得る。例えば、該パルプは、化学パルプ、またはケミサーモメカニカルパルプ、または機械パルプ、またはリサイクルパルプ、またはペーパーミル損紙、またはペーパーミル廃液流、またはペーパーミル由来の廃物、またはこれらの組合せであり得る。該セルロースパルプは、当分野において、cm3単位でのカナダ標準(Canadian standard)濾水度(CSF)として報告されている、任意の所定の濾水度まで、叩解し(例えば、ヴァレービーター内で)、および/または別のリファイニング(例えば、コニカルまたはプレートリファイナー内で加工)することができる。CSFは、パルプ懸濁液が排液し得る速度により測定された、パルプの濾水度または濾水度に関する値を意味する。例えば、該セルロースパルプは、マイクロフィブリル化される前に、約10cm3またはこれを超える、カナダ標準の濾水度を持つことができる。該セルロースパルプは、約700cm3またはそれ未満、例えば約650cm3に等しいかまたはそれ未満、または約600cm3に等しいかまたはそれ未満、または約550cm3に等しいかまたはそれ未満、または約500cm3に等しいかまたはそれ未満、または約450cm3に等しいかまたはそれ未満、または約400cm3に等しいかまたはそれ未満、または約350cm3に等しいかまたはそれ未満、または約300cm3に等しいかまたはそれ未満、または約250cm3に等しいかまたはそれ未満、または約200cm3に等しいかまたはそれ未満、または約150cm3に等しいかまたはそれ未満、または約100cm3に等しいかまたはそれ未満、または約50cm3に等しいかまたはそれ未満のCSFを持つことができる。従って、該セルロースパルプは、当分野において周知の方法により脱水することができ、例えば該パルプは、少なくとも約10%の固形分、例えば少なくとも約15%の固形分、または少なくとも約20%の固形分、または少なくとも約30%の固形分、または少なくとも約40%の固形分を含む湿潤シートを得るために、スクリーンを通して濾過することができる。該パルプは、未精製の状態で、換言すれば叩解または脱水、もしくはまた精製することなしに使用することができる。
【0025】
上記マイクロフィブリル化工程は、精製機を含むがこれに制限されない任意の適当な装置内で実施し得る。一態様において、該マイクロフィブリル化工程は、粉砕容器内で行われる。該マイクロフィブリル化工程は、水性環境内、即ち湿式粉砕条件下で行うことができる。もう一つの態様において、該マイクロフィブリル化工程は、ホモジナイザー内で実施される。
特定の態様において、上記マイクロフィブリル化プロセス、例えば粉砕は、粉砕可能な無機粒状物質の存在下で実施される。特定の態様において、該粉砕は、粉砕可能な無機粒状物質の不在下で実施される。
上記粉砕媒体は、全装入材料の約70体積%までの量で存在し得る。該粉砕媒体は、該装入材料の少なくとも約10体積%の量、例えば該装入材料の少なくとも約20体積%の量、または該装入材料の少なくとも約30体積%の量、または該装入材料の少なくとも約40体積%の量、または該装入材料の少なくとも約50体積%の量、または該装入材料の少なくとも約60体積%の量で存在し得る。特定の態様において、該粉砕媒体は、該装入材料の約30〜約70体積%、例えば該装入材料の約40〜約60体積%、例えば該装入材料の約45〜約55体積%の量で存在する。
「装入材料」により、上記粉砕容器に供給される供給材料である組成物を意味する。該装入材料は、水(存在する場合)、粉砕媒体、セルロースを含む繊維質基材および無機粒状物質(存在する場合)、およびここに記載されるような任意の他の随意の添加剤(存在する場合)を含む。
上記粉砕は、竪型ミルまたは水平ミル内で行うことができる。
特定の態様において、上記粉砕は、粉砕容器、例えばタンブルミル(例えば、ロッド、ボールおよび自己式)、攪拌ミル(例えば、サム(SAM)またはイサミル(IsaMill))、タワーミル、攪拌メディアデトリータ(stirred media detritor)(SMD)、あるいは回転する平行な粉砕プレートを含み、該プレート間に粉砕すべき供給材料が供給される粉砕容器内で行われる。
【0026】
一態様において、上記粉砕容器は、竪型ミル、例えば攪拌ミル、または攪拌メディアデトリータ、またはタワーミルである。
上記竪型ミルは、1またはそれ以上の粉砕ゾーンの上方にスクリーンを含むことができる。一態様において、スクリーンは、静止ゾーンおよび/または分級器に隣接して設けられている。該スクリーンは、生成物であるマイクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含む水性懸濁液から粉砕媒体を分離し、また粉砕媒体の沈降を向上させるような大きさで作られていてもよい。
一態様において、上記粉砕容器はタワーミルである。該タワーミルは、1またはそれ以上の粉砕ゾーンの上方に静止ゾーンを含むことができる。静止ゾーンは、内部では最小限の粉砕が行われまたは全く粉砕が生じない、タワーミルの内側上部に向かって位置している領域であり、またマイクロフィブリル化セルロースおよび(存在する場合には)無機粒状物質を含んでいる。該静止ゾーンは、該粉砕媒体の粒子が、該タワーミルの該1またはそれ以上の粉砕ゾーンに沈降する領域である。
上記タワーミルは、長さ全体に渡る一連のインペラローターディスクを備えた垂直インペラシャフトを含むことができる。該インペラローターディスクの作用は、該ミル全体に渡る一連の別々の粉砕ゾーンを生み出す。
上記のタワーミルは、1またはそれ以上の粉砕ゾーンの上方に分級器を含むことができる。一態様において、該分級器は、上部に取付けられており、かつ静止ゾーン近傍に据えられている。該分級器は、ハイドロサイクロンであり得る。
上記タワーミルは、1またはそれ以上の粉砕ゾーンの上方にスクリーンを含むことができる。一態様において、スクリーンは、静止ゾーンおよび/または分級器に隣接して据えられている。該スクリーンは、生成物であるマイクロフィブリル化セルロースおよび(存在する場合には)無機粒状物質を含む水性懸濁液から粉砕媒体を分離し、また粉砕媒体の沈降を高めるような大きさで作られていてもよい。
【0027】
もう一つの態様において、上記粉砕は、スクリーン付き粉砕機、例えば攪拌メディアデトリータ内で行われる。該スクリーン付き粉砕機は、生成物であるマイクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含む水性懸濁液から粉砕媒体を分離するような大きさで作られた、1またはそれ以上のスクリーン(1または複数)を含むことができる。該スクリーン付き粉砕機は、少なくとも約250μmの呼称開口サイズを持つ、1またはそれ以上のスクリーン(1または複数)を含むことができ、例えば該1またはそれ以上のスクリーンは、少なくとも約300μm、または少なくとも約350μm、または少なくとも約400μm、または少なくとも約450μm、または少なくとも約500μm、または少なくとも約550μm、または少なくとも約600μm、または少なくとも約650μm、または少なくとも約700μm、または少なくとも約750μm、または少なくとも約800μm、または少なくとも約850μm、または少なくとも約900μm、または少なくとも約1,000μm、または少なくとも約1,250μm、または少なくとも約1,500μmという呼称開口サイズを持つことができる。特定の態様において、該スクリーン付き粉砕機は、約4,000μmまで、例えば約3,500μmまで、または約3,000μmまで、または約2,500μmまで、または約2,000μmまでの呼称開口サイズを持つ1またはそれ以上のスクリーン(1または複数)を含むことができる。
特定の態様において、少なくとも約5質量%の上記初期固形分は、セルロースを含む繊維質基材であり得、例えば該初期固形分の少なくとも約10質量%、または少なくとも約15質量%、または少なくとも約20質量%は、セルロースを含む繊維質基材であり得る。
【0028】
ここにおいて説明したように、上記方法において使用するエネルギーの全量(即ち、全エネルギー投入量)は、上記粒状粉砕媒体が粉砕の開始時点において、(i) 余り粗くない表面粗さおよび/または(ii) 本発明の上記第一の局面に係る方法により要求されるよりも低い平均摩擦係数を持つ、比較法において使用される該全エネルギー投入量よりも少なくてもよい。それ故に、本発明者等は、以外なことに、i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を持つ粒状粉砕媒体の存在下で粉砕した場合には、セルロースパルプが、比較的低いエネルギー投入量にてマイクロフィブリル化し得ることを見出した。換言すれば、該粒状粉砕媒体は、製造すべきマイクロフィブリル化セルロースの単位量当たりの該エネルギー投入量を減じるために使用し得る。更に、上で説明した如く、特定の態様において、i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を持つ粒状粉砕媒体の使用は、該マイクロフィブリル化セルロースに係る1またはそれ以上の特性、例えば該マイクロフィブリル化セルロースおよび/または該マイクロフィブリル化セルロースを含有する紙製品の強度特性(例えば、破裂強さ)を改良することを可能とする。
存在する場合、上記無機粒状物質は、例えば、アルカリ土類金属炭酸塩または硫酸塩、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロマイト、石膏、含水カンダイト(kandite)クレー、例えばカオリン、ハロイサイトまたはボールクレー、無水(焼成)カンダイトクレー、例えばメタカオリンまたは完全に焼成されたカオリン、タルク、マイカ、パーライトまたは珪藻土、水酸化マグネシウム、またはアルミニウム三水和物、またはこれらの組合せであり得る。
【0029】
特定の態様において、上記無機粒状物質は、炭酸カルシウムを含むか、または炭酸カルシウムである。以降において、本発明に係る特定の態様は、炭酸カルシウムについて、また該炭酸カルシウムが加工されおよび/または処理される局面との関連で論じられ傾向にあるかもしれない。本発明が、このような態様に限定されるものと解釈すべきではない。
本発明に係る特定の態様において使用される上記粒状炭酸カルシウムは、粉砕により天然源から得ることができる。粉砕炭酸カルシウム(GCC)は、典型的に鉱物源、例えばチョーク、大理石または石灰石を破砕し、次いで粉砕することにより得られ、これは所定の粉末度を持つ製品を得るために粒度分級工程を伴っていてもよい。同様に、その他の技術、例えば漂白、浮選および磁気分離を利用して、所定の粉末度および/または色彩を持つ製品を得ることも可能である。該粒状固体物質は、自己的に粉砕、即ち該固体物質粒子自体間の磨砕、あるいはその代わりに、粉砕すべき該炭酸カルシウムとは異なる物質の粒子を含む粒状粉砕媒体の存在下で磨砕することにより粉砕し得る。これらの方法は、該方法の任意の工程において添加することのできる、分散剤および殺生物剤の存在下または不在下で実施し得る。
【0030】
沈降炭酸カルシウム(PCC)は、本発明の特定の態様における粒状炭酸カルシウム源として使用でき、また当分野において利用可能な何れかの公知法により製造し得る。タッピモノグラフシリーズ(TAPPI Monograph Series) N.30,「紙コーティング顔料(Paper Coating Pigments)」, pp.34-35は、紙業界で使用するための製品を製造する際に使用するのに適しているが、本発明の特定の態様を実施する際に使用することもできる沈降炭酸カルシウムを製造するための、3つの主な商業的方法を記載している。これら3つの方法全てにおいて、石灰石等の炭酸カルシウム供給材料は、先ず焼成して生石灰を生成し、また次に該生石灰を水中で消和して、水酸化カルシウムまたは石灰乳をもたらす。該第一の方法においては、該石灰乳を二酸化炭素ガスで直接炭酸塩化する。この方法は、副産物が全く形成されないという利点を持ち、また該炭酸カルシウム製品の特性および純度の制御が比較的容易である。上記第二の方法においては、該石灰乳をソーダ灰と接触させて、複分解により炭酸カルシウムの沈殿および水酸化ナトリウム溶液を生成する。該水酸化ナトリウムは、この方法を商業的に利用した場合には、該炭酸カルシウムから実質上完全に分離できる。上記第三の主な商業的方法においては、先ず該石灰乳を塩化アンモニウムと接触させて、塩化カルシウム溶液およびアンモニアガスを得る。次いで、該塩化カルシウム溶液をソーダ灰と接触させて、複分解によって沈降炭酸カルシウムと塩化ナトリウム溶液とを生成する。これらの結晶は、使用される特定の反応過程に依存して、様々な異なる形状およびサイズで生成し得る。PCC結晶の3つの主要な形態は、アラゴナイト、菱面体および犬牙(scalenohedral)結晶であり、これらの全ては、その混合物を含めて、本発明に係る特定の態様において使用するのに適している。
炭酸カルシウムの湿式粉砕は、その後に粉砕し得る該炭酸カルシウムの懸濁液を、任意に適当な分散助剤の存在下で形成することを含む。炭酸カルシウムの該湿式粉砕に関する更なる情報については、例えば、EP-A-614948(その内容を、言及により全体としてここに組入れる)を参照することができる。
【0031】
幾つかの状況においては、少量の他の鉱物の添加を含むことができ、例えば1種またはそれ以上のカオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、ボーキサイト、タルクまたはマイカも存在させ得る。
上記無機粒状物質が、天然産の源から得られる場合、幾分かの鉱物質不純物が、その粉砕材料を汚染しているかもしれない。例えば、天然産の炭酸カルシウムは、他の鉱物との会合状態で存在する可能性がある。それ故に、幾つかの態様においては、該無機粒状物質は、ある量の不純物を含む。しかし、一般的に本発明の特定の態様において使用される該無機粒状物質は、約5質量%未満、好ましくは約1質量%未満の他の鉱物質不純物を含むであろう。
上記の無機粒状物質は、その粒子の少なくとも約10質量%、例えば少なくとも約20質量%、例えば少なくとも約30質量%、例えば少なくとも約40質量%、例えば少なくとも約50質量%、例えば少なくとも約60質量%、例えば少なくとも約70質量%、例えば少なくとも約80質量%、例えば少なくとも約90質量%、例えば少なくとも約95質量%、または例えば約100%が2μm未満のe.s.dを持つような、粒度分布を持つことができる。
特定の態様において、上記粒子の少なくとも約50質量%が、2μm未満のe.s.dを有し、例えば該粒子の少なくとも約55質量%が、2μm未満のe.s.dを有し、あるいは該粒子の少なくとも約60質量%が、2μm未満のe.s.dを持つ。
【0032】
特に明記しない限り、上記無機粒状物質についてここに示される粒度特性は、周知の方法で、ここにおいて「マイクロメトリックスセディグラフ(Micrometrics Sedigraph) 5100装置」として示される、USA, ジョージア州, ノルクロス(Norcross, Georgia, USA)のマイクロメトリックスインスツルメンツ社(Micrometrics Instruments Corporation)によって供給されているような、セディグラフ(Sedigraph) 5100装置(web-site: www.micrometrics.com)を使用し、水性媒体中に完全に分散された状態にある該粒状物質の沈降により測定されるようなものである。このような装置は、当分野において「等価球径(equivalent spherical diameter)」(e.s.d)と呼ばれる、所定のe.s.d値未満のサイズを持つ粒子の累積質量%に係る測定値およびプロットを与える。その平均粒度d50は、該粒子e.s.dについてこのようにして決定された値であって、その値において、該当するd50値に満たない等価球径を持つ粒子が、50質量%存在している。
あるいはまた、述べられている場合には、上記無機粒状物質についてここに示される粒度特性は、レーザー光散乱法において使用されている周知の従来法によって、マルバーンインスツルメンツ社(Malvern Instruments Ltd)により供給されているような、マルバーンマスターサイザー(Malvern Mastersizer) S装置を用いて(あるいは本質的に同様な結果を与える他の方法により)測定された如きものである。該レーザー光散乱技術において、粉末、懸濁液およびエマルション状態にある粒子のサイズは、ミー(Mie)理論の適用に基いて、レーザービームの回折を利用して測定することができる。このような装置は、当分野において「等価球径(equivalent spherical diameter)」(e.s.d)と呼ばれる、所定のe.s.d値未満のサイズを持つ粒子の累積体積%に係る測定値およびプロットを与える。該平均粒度d50は、該粒子e.s.dについてこのようにして決定された値であって、その値において、該当するd50値に満たない等価球径を持つ粒子が、50体積%存在している。
【0033】
それ故に、もう一つの態様において、上記無機粒状物質は、レーザー光散乱技術において利用されている周知の従来法によって測定された如き、該粒子の少なくとも約10体積%、例えば少なくとも約20体積%、例えば少なくとも約30体積%、例えば少なくとも約40体積%、例えば少なくとも約50体積%、例えば少なくとも約60体積%、例えば少なくとも約70体積%、例えば少なくとも約80体積%、例えば少なくとも約90体積%、例えば少なくとも約95体積%、または例えば約100体積%が、2μm未満のe.s.dを持つような、粒度分布を持つことができる。
特定の態様において、上記粒子の少なくとも約50体積%が、2μm未満のe.s.dを持ち、例えば該粒子の少なくとも約55体積%が、2μm未満のe.s.dを持ち、あるいは該粒子の少なくとも約60体積%が、2μm未満のe.s.dを持つ。
レーザー光散乱技術において利用されている周知の従来法を利用して、無機粒状物質およびマイクロフィブリル化セルロースからなる混合物の粒度分布を特徴付けするのに使用し得る手順の詳細は、WO-A-2010/131016, P.40, L.32〜P.41, L.34において与えられている。その全内容を、言及によりここに組入れる。
本発明の上記第一の局面に従う方法において使用するためのもう一つの好ましい無機粒状物質は、カオリンクレーである。以降において、本明細書のこの節は、カオリンによって、および該カオリンが加工されおよび/または処理される局面に関連して論じられる傾向があるかもしれない。本発明は、このような態様に限定されるものと解釈されるべきではない。従って、幾つかの態様において、カオリンは未加工形態で使用される。
本発明の特定の態様において使用されるカオリンクレーは、天然源、即ち未処理の天然カオリンクレー鉱物由来の加工された材料であり得る。該加工されたカオリンクレーは、典型的に少なくとも約50質量%のカオリナイトを含むことができる。例えば、殆どの商業的に加工されたカオリンクレーは、約75質量%を超えるカオリナイトを含み、また約90%を超える、幾つかの場合には約95質量%を超えるカオリナイトを含むことができる。
【0034】
本発明において使用するカオリンクレーは、未処理の天然カオリンクレー鉱物から、当業者には周知の1またはそれ以上の他の方法、例えば公知の精製または選鉱工程により製造することができる。
例えば、上記クレー鉱物は、還元性漂白剤、例えば亜硫酸水素ナトリウムで漂白することができる。亜硫酸水素ナトリウムを使用する場合、該漂白されたクレー鉱物は、該亜硫酸水素ナトリウム漂白工程の後に、任意に脱水され、また任意に洗浄され、また再度任意に脱水されてもよい。
不純物を除去する目的で、上記クレー鉱物を、当分野において周知の凝集、浮選、または磁気分離技術等によって処理することができる。あるいはまた、本発明の上記第一の局面において使用する該クレー鉱物は、固体形状でまたは水性懸濁液として、未処理の状態であり得る。
本発明の特定の態様において使用する上記粒状カオリンクレーを製造する方法は、同様に1またはそれ以上の微粉砕工程、例えば磨砕(grinding)または練り(milling)をも含むことができる。粗製カオリンの軽度の微粉砕を利用して、その適当な離層をもたらす。該微粉砕は、プラスチック(例えば、ナイロン)、砂またはセラミック製の磨砕または練り用助剤のビーズまたは顆粒の使用により実施することができる。該粗製カオリンは、周知の手順を用いて、不純物を除去し、かつ物性を改善するために精製することができる。該カオリンクレーは、公知の粒度分級手順、例えばスクリーニングおよび遠心分離(または両者)により処理して、所定のd50値または粒度分布を持つ粒子を得ることができる。
【0035】
無機粒状物質およびマイクロフィブリル化セルロースを含むセルロース系物質の相対的な量は、無機粒状物質およびセルロース系物質の乾燥質量基準で、約99.5:0.5〜約0.5:99.5の比で、例えば無機粒状物質およびセルロース系物質の乾燥質量基準で、約99.5:0.5〜約50:50の比で変えることができる。例えば、無機粒状物質およびセルロース系物質の量に係る比は、約99.5:0.5〜約70:30であり得る。特定の態様において、該無機粒状物質対セルロース系物質の比は、約80:20、または例えば約85:15、または約90:10、または約91:9、または約92:8、または約93:7、または約94:6、または約95:5、または約96:4、または約97:3、または約98:2、または約99:1である。
特定の態様において、上記第一の局面に係る方法によって得ることのできる上記マイクロフィブリル化セルロースは、約80質量%までの水、例えば約75%までの水、または約70%まで、または約65質量%までの水、または約60質量%までの水、または約55質量%までの水、または約50質量%までの水、または約45質量%までの水、または約40質量%までの水、または約35質量%までの水、または約30質量%までの水、または約25質量%までの水を含む。
特定の態様において、上記第一の局面に係る方法によって得ることのできるマイクロフィブリル化セルロースは、約50〜約70質量%の水、例えば約55〜約65質量%の水、または約60〜約70質量%の水、または約60〜約65質量%の水、または約65〜約70質量%の水を含む。
上記第一の局面に係る方法によって得ることのできる上記マイクロフィブリル化セルロースは、分散剤、殺生物剤、懸濁助剤、塩(1または複数)および鉱物質粒子および繊維の相互作用を促進することのできる他の添加剤、例えばデンプンまたはカルボキシメチルセルロースまたはポリマーを含むが、これらに限定されない、他の随意の添加剤を含むことができる。
【0036】
粉砕性の無機粒状物(inorganic particulate)が存在する特定の態様において、セルロースを含む上記繊維質基材および無機粒状物質は、少なくとも約2質量%の初期固形分含有率にて水性環境内に存在し、ここで該固形分含有率の少なくとも約2質量%は、セルロースを含む繊維質基材であり、該固形分含有率は、例えば約2質量%〜約20質量%、または約4質量%〜約15質量%、または約5質量%〜約12質量%、または約7質量%〜約10質量%である。このような態様において、該固形分含有率の少なくとも約5質量%は、セルロースを含む繊維質基材であり、例えば該固形分含有率の少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20質量%は、セルロースを含む繊維質基材であり得る。特定の態様において、該固形分含有率の約40質量%以下が、セルロースを含む繊維質基材であり、例えば該固形分含有率の約30質量%以下がセルロースを含む繊維質基材であり、あるいは該固形分含有率の約25質量%以下がセルロースを含む繊維質基材である。
上記粉砕プロセスは、予備粉砕工程を含むことができ、該予備粉砕工程において、粗製無機粒状物は、予め決められた粒度分布まで、粉砕機容器内で粉砕され、その後セルロースを含む繊維質物質が、該予備粉砕された無機粒状物質と混ぜ合わされ、また該粉砕は、同一のまたは異なる粉砕容器内で、所定レベルのマイクロフィブリル化が達成されるまで継続される。
粉砕すべき物質の懸濁液が、比較的高い粘度を持つ可能性があることから、適当な分散助剤を、粉砕前またはその最中に該懸濁液に添加することができる。該分散助剤は、例えば水溶性の縮合リン酸塩、ポリケイ酸またはその塩、または高分子電解質、例えば80,000以下の数平均分子量を持つポリ(アクリル酸)またはポリ(メタクリル酸)の水溶性塩であり得る。使用する該分散助剤の量は、一般に該乾燥無機粒状固体物質の質量を基準として、0.1〜2.0質量%の範囲内であろう。該懸濁液は、適切には4℃〜100℃の範囲の温度にて粉砕され得る。
【0037】
上記マイクロフィブリル化工程中に含めることのできる他の添加剤は、カルボキシメチルセルロース、両性カルボキシメチルセルロース、酸化剤、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシル(TEMPO)、TEMPO誘導体、および木材分解酵素を含む。
特定の態様において、上記プロセスの生成物は、少なくとも一部または実質上全ての水を除去するために処理されて、部分的に乾燥されたまたは本質的に完全に乾燥された製品を形成する。例えば、上記粉砕プロセスの生成物中の水の、少なくとも約10体積%、例えば少なくとも約20体積%、または少なくとも約30体積%、または少なくとも約40体積%、または少なくとも約50体積%、または少なくとも約60体積%、または少なくとも約70体積%、または少なくとも約80体積%、または少なくとも約90体積%、または少なくとも約100体積%を除去することができる。例えば加圧しまたは加圧せずに、重力または真空-支援排水により、または蒸発により、または濾過により、あるいはこれら技術の組合せによる技術を含む任意の適当な技術を使用して、該生成物から水を除去することができる。該部分的に乾燥されたまたは本質的に完全に乾燥された製品は、マイクロフィブリル化セルロースおよび随意の無機粒状物質および乾燥に先立って添加されていてもよい、任意の他の随意の添加剤を含むであろう。該部分的に乾燥されたまたは本質的に完全に乾燥された製品は、販売の目的で保存しまたは包装することができる。該部分的に乾燥されたまたは本質的に完全に乾燥された製品は、ここに記載されているように、任意に再度水和され、また製紙用組成物および他の紙製品に組入れることが可能である。
【0038】
上記セルロースを含有する繊維質基材を、無機粒状物質の存在下でマイクロフィブリル化して、レーザー光散乱法により測定されるような、約5μm〜約500μmの範囲のd50を持つマイクロフィブリル化セルロースを得ることができる。該セルロースを含む繊維質基材を、無機粒状物質の存在下でマイクロフィブリル化して、約400μmに等しいかまたはそれ未満、例えば約300μに等しいかまたはそれ未満、または約200μmに等しいかまたはそれ未満、または約150μmに等しいかまたはそれ未満、または約125μmに等しいかまたはそれ未満、または約100μmに等しいかまたはそれ未満、または約90μmに等しいかまたはそれ未満、または約80μmに等しいかまたはそれ未満、または約70μmに等しいかまたはそれ未満、または約60μmに等しいかまたはそれ未満、または約50μmに等しいかまたはそれ未満、または約40μmに等しいかまたはそれ未満、または約30μmに等しいかまたはそれ未満、または約20μmに等しいかまたはそれ未満、または約10μmに等しいかまたはそれ未満のd50を持つマイクロフィブリル化セルロースを得ることができる。
上記セルロースを含む繊維質基材を、無機粒状物質の存在下でマイクロフィブリル化して、約0.1〜500μmの範囲のモード繊維粒度および0.25〜20μmの範囲のモード無機粒状物質粒度を持つ、マイクロフィブリル化セルロースを得ることができる。該セルロースを含む繊維質基材を、無機粒状物質の存在下でマイクロフィブリル化して、少なくとも約0.5μm、例えば少なくとも約10μm、または少なくとも約50μm、または少なくとも約100μm、または少なくとも約150μm、または少なくとも約200μm、または少なくとも約300μm、または少なくとも約400μmのモード繊維粒度を持つ、マイクロフィブリル化セルロースを得ることができる。
【0039】
上記セルロースを含む繊維質基材を、無機粒状物質の存在下でマイクロフィブリル化して、マルバーン(Malvern)により測定されるような、約10に等しいかまたはこれを超える繊維勾配を持つマイクロフィブリル化セルロースを得ることができる。繊維勾配(即ち、該繊維の粒度分布に係る勾配)は、以下の式によって決定される:
勾配= 100×(d30/d70)
上記マイクロフィブリル化セルロースは、約100に等しいかまたはそれ未満の繊維勾配を持つことができる。該マイクロフィブリル化セルロースは、約75に等しいかまたはそれ未満、または約50に等しいかまたはそれ未満、または約40に等しいかまたはそれ未満、または約30に等しいかまたはそれ未満の繊維勾配を持つことができる。該マイクロフィブリル化セルロースは、約20〜約50、または約25〜約40、または約25〜約35、または約30〜約40の繊維勾配を持つことができる。
マイクロフィブリル化セルロース、および無機粒状物質とマイクロフィブリル化セルロースとの混合物の粒度分布を特徴付けするための適当な手順は、WO-A-2010/131016, P.40, L.32〜P.41, L.34に記載されている。
【0040】
第三、第四および第五の局面に従い、任意に第一および第二の局面において使用するための粉砕媒体
上記第三の局面に係る上記粒状セラミック粉砕媒体は、(i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を持つ。該粉砕媒体は、少なくとも1種のジルコニア(ZrO2)、例えばセリア-安定化ジルコニア、およびアルミナ(Al2O3)を含む組成物を焼結することにより形成される。
特定の態様において、上記組成物はジルコニア(ZrO2)を含み、このことは、このような組成物を焼結することにより形成される上記粒状セラミック粉砕媒体が、ジルコニア相を含むことを意味している。
特定の態様において、上記組成物は、更に、該組成物の全質量を基準として、約5質量%〜約25質量%のセリア(Ce2O3)、例えば約10質量%〜約20質量%のセリア、または約12質量%〜約18質量%のセリア、または約10質量%〜約15質量%のセリア、または約11質量%〜約14質量%のセリア、または約11質量%〜約13質量%のセリアをも含む。その上、該組成物は、該組成物の全質量を基準として、少なくとも約40質量%のジルコニア、例えば約40質量%〜約90質量%のジルコニア、または約40質量%〜約80質量%のジルコニア、または約50質量%〜約70質量%のジルコニア、または約55質量%〜約70質量%のジルコニア、または約60質量%〜約75質量%のジルコニア、または約65質量%〜約75質量%のジルコニア、または約65質量%〜約70質量%のジルコニアを含むことができる。更に、該組成物は、約40質量%までのアルミナ、例えば約30質量%までのアルミナ、または約1質量%〜約40質量%のアルミナ、または約5質量%〜約30質量%のアルミナ、または約10質量%〜約25質量%のアルミナ、または約10質量%〜約20質量%のアルミナ、または約12質量%〜約20質量%のアルミナ、または約14質量%〜約20質量%のアルミナ、または約14質量%〜約18質量%のアルミナを含むことができる。
上記組成物がセリアおよびジルコニア、またはセリア、ジルコニアおよびアルミナを含む態様において、該セリアおよびジルコニアは、セリア-安定化ジルコニアの形状であり得る。特定の態様において、該セリア-安定化ジルコニアは、該セリア-安定化ジルコニアの全質量を基準として、約10質量%〜約20質量%のセリア、および約90質量%までのジルコニア、例えば約12〜約18質量%のセリアおよび約88質量%までのジルコニア、または約14質量%〜約16質量%および約86質量%までのジルコニア、または約85質量%までにジルコニア、または約84質量%までにジルコニアを含む。
【0041】
特定の態様において、上記セリア-安定化ジルコニアは、約2質量%以下の酸化鉄、例えば約1質量%以下の酸化鉄、または約0.75質量%以下の酸化鉄、または約0.5質量%以下の酸化鉄、または約0.1質量%〜約0.75質量%の酸化鉄、または約0.2質量%〜約0.6質量%の酸化鉄を含む。
特定の態様において、上記組成物は少なくとも約10質量%のアルミナとその残部のセリア-安定化ジルコニア(これは、上述の如く、少量の酸化鉄を含むことができる)を含み、ここにおいて該セリア-安定化ジルコニアは、上述の如く対応する量のセリアおよびジルコニアを含む。特定の態様において、該組成物は、約10質量%〜約30質量%のアルミナと残部のセリア-安定化ジルコニア、例えば約15質量%〜約25質量%のアルミナと、残部のセリア-安定化ジルコニアとを含む。
特定の態様において、上記組成物は、約15質量%〜約25質量%のアルミナ、約10質量%〜約15質量%のセリア、および約50質量%〜約75質量%のジルコニアを含む。
特定の態様において、上記粒状セラミック粉砕媒体は、少なくとも約90質量%のアルミナ、例えば少なくとも約95質量%のアルミナ、または少なくとも約99質量%のアルミナ、または少なくとも約99.5質量%のアルミナ、または少なくとも約99.9質量%のアルミナ、または実質上100質量%のアルミナを含む組成物を焼結することにより形成される。例えば、該粒状粉砕媒体は、例えば工業銘柄のアルミナ、ボーキサイトまたは任意の他の適当なその酸化物の組合せ等のアルミナ-含有物質を焼結することにより製造し得る。
【0042】
特定の態様において、上記第三及び第四の局面に従う上記粒状セラミック粉砕媒体は、以下の工程を含む方法により得ることができる:
a. 該セラミック粉砕媒体を製造するのに適した原料を含有する組成物取得し、準備しまたは製造する工程;
b. 該原料を含む組成物を混合して、混合物を形成する工程;
c. 該混合物とバインダおよび/または溶媒とを混合せて、結合混合物を形成する工程;
d. 該結合混合物を、一定期間に渡って混合することにより、該結合混合物を粗砕する工程、該期間中、その混合速度は減じられる;
e. 任意に、該粗砕された組成物を乾燥する工程;
f. 任意に、該粗砕された組成物を成形する工程;
g. 任意に、該粗砕された組成物を寸法で分類する工程;および
h. 該粗砕された組成物を焼結する工程。
特定の態様において、上記方法に係る工程b)における原料を、例えば混合により均質化して、均質化された組成物を形成する。「均質化された」との用語により、該原料混合物が、その全体に渡り均質な組成を持つことを意味する。このような態様においては、該均質化された組成物を、工程c)においてバインダおよび/または溶媒と混ぜ合せて、結合された均質化組成物を形成するが、該組成物は、工程d)において、該結合された均質化組成物を一定の期間に渡って混合することにより粗砕され、該期間中にその混合速度は減じられる。
【0043】
上記結合剤および/または溶媒は、当工業において周知のものの一つである。可能な結合剤は、例えばメチルセルロース、ポリビニルブチラール、乳化されたアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル系プラスチック、デンプン、ケイ素系バインダ、ポリアクリレート、シリケート、ポリエチレンイミン、リグノスルホン酸塩、アルギネート等を含む。特定の態様においては、ポリビニルアルコールバインダが使用される。
可能な溶媒は、例えば水、アルコール、ケトン、芳香族化合物、炭化水素等を含むことができる。
当工業において周知の他の添加剤も、添加し得る。例えば、潤滑剤、例えばステアリン酸アンモニウム、ワックスエマルション、オレイン酸、マンハッタン(Manhattan)魚油、ステアリン酸、ワックス、パルミチン酸、リノール酸、ミリスチン酸、およびラウリン酸を添加することができる。同様に、ポリエチレングリコール、オクチルフタレート、およびエチレングリコールを含む可塑剤を使用することも可能である。
特定の態様において、均質化は、原料を含む上記組成物を、一定期間に渡り、該原料混合物がその全体に渡り均質な組成を持つように、混合することを含む。特定の態様において、工程c)は、該均質化された組成物を上記バインダおよび/または溶媒と混合することを含む。特定の態様において、工程b)中の混合速度は、工程c)における混合工程よりも高く、また工程d)における初期混合速度は、工程c)における最終的混合速度以下である。
特定の態様において、工程b)における混合または均質化は、原料を含む上記組成物を、約1分〜約60分、例えば約1分〜約30分、または約1分〜約20分、または約1分〜約10分、または約2分〜約10分、または約2分〜約8分、または約2分〜約分という一定期間に渡り混合することを含む。典型的に、該混合速度は、工程b)中一定に保たれる。
【0044】
特定の態様において、上記混合物または均質化された組成物と上記バインダおよび/または溶媒とを混ぜ合せる、例えば混合する工程は、約30秒〜約30分間、例えば約30秒〜約20分間、または約30秒〜約10分間、または約1分〜約8分間、または約1分〜約5分間、または約2分〜約5分間、または約2分〜約4分間という期間に渡り行うことができる。上述のように、工程c)中の混合速度は、好ましくは工程b)における混合速度よりも低く、および場合によっては工程d)における初期混合速度と少なくとも同一であるか、あるいはこれを超える。該バインダおよび/または溶媒はこの工程中に徐々に、例えば連続的に、または断続的に、好ましくは連続的に添加することができる。あるいは、該バインダおよび/または溶媒の全てを、混合の開始時点において添加することができる。
特定の態様において、上記の均質化され結合された組成物を粗砕する工程は、該組成物を一定期間に渡り混合する工程を含み、その間にその混合速度は徐々にまたは工程的に低下される。適当な期間は、約1分〜約60分間、例えば約2分〜約30分間、または約3分〜約20分間、または約4分〜約15分間、または約4分〜約12分間、または約4分〜約10分間、または約4分〜約8分間であり得る。該適当な期間中に、該混合速度は、上記最終的な混合速度が工程d)における初期混合速度よりも少なくとも約25%低く、例えば工程d)における該初期混合速度よりも少なくとも約30%低く、または少なくとも約35%低く、または少なくとも約40%低く、または少なくとも約45%低くなるように、例えば工程的に低下させることが可能である。
特定の態様において、工程b)における初期混合速度は、工程d)における最終的な混合速度よりも少なくとも約150%高く、例えば少なくとも約175%高く、または少なくとも約190%高く、または少なくとも約200%高く、または少なくとも約210%高い。
【0045】
上記様々な混合工程は、任意の適当な混合装置、例えばインペラを備えたミキサ内で実施し得る。模範的な混合装置は、ピン形インペラを備えたアイリッヒ(Eirich)ミキサタイプRV02Eである。
特定の態様において、工程b)における上記初期インペラ速度は、約2,750〜3,250rpmの間にあり、かつ工程d)における上記最終的なインペラ速度は、約600〜1,200rpmの間にある。特定の態様において、工程b)における該インペラ速度は、約2,750〜3,250rpmの間にあり、かつ工程c)中の該インペラ速度は、約2,000〜2,500rpmの間にある。このような態様において、工程d)における上記初期インペラ速度は、工程c)中の該インペラ速度以下、好ましくはそれ未満、例えば約2,000rpm未満、または約1,900rpm未満、または約1,800rpm未満である。このような態様において、工程d)における該最終的なインペラ速度は、約1,500rpm未満、例えば約1,200rpm未満、または約1,000rpm未満、または約800rpm未満であり得る。該最終的な混合速度、例えば最終的インペラ速度は、約1分〜約10分間、例えば約1分〜約8分間の範囲の期間に渡り一定に保つことができる。
粗砕に続いて、上記粗砕された組成物は、上記ミキサから取り出し、かつ乾燥することができる。例えば約120℃までの温度にて、適当な期間、例えば約10分〜約5時間、または約30分〜約2時間。乾燥前またはその間、該粗砕された組成物は、例えば棒形状の粒子を形成するように成形し得る。
上記の任意に乾燥された組成物を、次に例えば篩掛けにより、分粒プロセスに掛けることができる。適切に寸法規制された篩を、粒状粉砕媒体の所望のサイズに応じて選択することができる。
【0046】
次に、粒状化された組成物(particulated composition)を、適当な焼結温度にて焼結する。適当な焼結温度は、約1,200℃〜約1,700℃の範囲にある。焼結中のより良好な期間(well time)は、約1時間〜約24時間、例えば約2時間〜約12時間、または約2時間〜約8時間、または約2時間〜約6時間、または約3時間〜約5時間、または約3.5時間〜約4.5時間の範囲であり得る。
上記粒状セラミック粉砕媒体が、少なくともセリアおよびジルコニアを含む組成物から形成される態様に関連して、上記焼結温度は、有利には約1,400℃〜約1,500℃、例えば約1,425℃〜約1,475℃、または約1,440℃〜約1,460℃であり、また滞留時間は、約2時間〜約6時間、例えば約3時間〜約5時間、または約3.5時間〜約4.5時間である。
粒状化された組成物が、少なくとも約90質量%のアルミナを含む組成物から製造される態様に対しては、上記焼結温度は、有利には約1,500℃〜約1,700℃、例えば約1,550℃〜約1,650℃、または約1,575℃〜約1,625℃であり、また滞留時間は、約2時間〜約6時間、例えば約3時間〜約5時間、または約3.5時間〜約4.5時間である。
特定の態様において、上記第三の局面に係る上記粒状粉砕媒体は、本発明の第一の局面に従う方法において使用される特定の粉砕媒体との関連で上記した如く、一定の表面粗さおよび/または平均係数を持つことができる。それ故に、特定の態様においては、該第三の局面に係る粉砕媒体は、これが使用されるべき粉砕プロセス中に、例えばここに記載の本発明の第一の局面に従う方法における粉砕中に、摩損して粗くなる。
【0047】
同様に、上記第四の局面に従えば、粒状粉砕媒体であって、これが使用されることになる上記粉砕プロセス中、例えば本明細書において記載された本発明の第一の局面に従う方法における粉砕中に、摩損して粗くなる該粒状粉砕媒体も提供される。特定の態様において、該第四の局面に係る該粒状粉砕媒体は、本発明の上記第一の局面に従う方法において使用される特定の粉砕媒体との関連で上記したような、一定の表面粗さおよび/または平均係数を持つことができる。特定の態様において、粉砕中に摩損して粗くなる該粒状粉砕媒体は、該粉砕の開始時点において、(i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を持つ。該粒状粉砕媒体は、天然または合成物質で形成することができ、例えば粉砕媒体として使用するのに適した緻密な硬質の鉱物、セラミックまたは金属物質で形成し得る。特定の態様において、該粒状粉砕媒体は、セラミック粉砕媒体である。このような物質は、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、イットリア、セリア、またはイットリアおよび/またはセリア-安定化ジルコニア、およびこれらの混合物を包含する。
特定の態様において、上記第三および第四の局面に従う上記粒状粉砕媒体は、少なくとも約3.5という比重、例えば約3.5〜約8.0、例えば約3.5〜約7.0、または約3.5〜約6.5という比重、または少なくとも約3.6、または少なくとも約3.7、または少なくとも約3.8、または少なくとも約3.9、または少なくとも約4.0、または少なくとも約4.1、または少なくとも約4.2、または少なくとも約4.3、または少なくとも約4.4、または少なくとも約4.5、または少なくとも約4.6、または少なくとも約4.7、または少なくとも約4.8、または少なくとも約4.9、または少なくとも約5.0、または少なくとも約5.1、または少なくとも約5.2、または少なくとも約5.3、または少なくとも約5.4、または少なくとも約5.5、または少なくとも約5.6、または少なくとも約5.6、または少なくとも約5.7、または少なくとも約5.8、または少なくとも約5.9、または少なくとも約6.0という比重を持つ。
【0048】
特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、マイクロフィブリル化セルロースの製造において使用される。特定の態様において、粒状粉砕媒体は、該マイクロフィブリル化セルロースの1またはそれ以上の特性を改善するために、および/または生成されるマイクロフィブリル化セルロースの単位量当たりのエネルギー投入量を減じるために使用される。
特定の態様において、上記第四および第五の局面に従う上記粒状粉砕媒体は、マイクロフィブリル化セルロースを製造する方法において使用され、該方法は、セルロースを含む繊維質基材を粉砕することによりマイクロフィブリル化する工程を含み、該粉砕は該粒状粉砕媒体の存在下で行われ、該媒体は該粉砕の完了後に除去されることになる。
特定の態様においては、セルロースを含む繊維質基材の存在下で攪拌された際に、摩損して粗くなるか、または粗面化される物質が提供される。特定の態様において、粒状形態にある該物質は、セルロースを含む繊維質基材の存在下で粉砕された場合に、摩損して粗くなり、あるいは粗面化されて、ここにおいて記載するように、マイクロフィブリル化セルロースを生成する。疑義を回避するために、摩損して粗くなるか、または粗面化される該物質は、特定の態様によれば、セルロースを含む繊維質基材と同時に粉砕し得る、ここに記載する無機粒状物質以外のものである。特定の態様において、該物質は、粉砕媒体、例えばここに記載される特定の態様に従う粉砕媒体である。「摩損して粗くなる(wear rough)」または「粗面化される(roughen)」により、攪拌に伴って、該物質の表面が、かなり粗面化されることを意味する。表面粗さにおける増大は、視覚的に識別可能であるか、またはここに記載される方法に従って測定し得る。特定の態様において、該物質は、少なくとも約3.5という比重を持つ。
【0049】
特定の態様によれば、研磨性の接触に曝された際に、少なくとも約1%増加する表面粗さを持つ、未研磨の粒状粉砕媒体が提供される。用語「未研磨の(unpolished)」により、該粉砕媒体が、その粉砕媒体としての使用に先立って、如何なる研磨処理(即ち、その表面の平滑化)にも掛けられていないことを意味する。該表面粗さにおけるこの増加は、ここに記載される方法に従って測定し得る。特定の態様において、該未研磨の粒状粉砕媒体は、研磨性の接触前に、少なくとも約0.5μmという表面粗さ、および/または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数を持つ。研磨性の接触は、自家プロセス(例えば、ミルまたは他の適当な粉砕装置内での攪拌)であり得、あるいは別の物質、例えば、研磨性接触の後に、該未研磨粒状粉砕媒体から分離される別の粉砕媒体の存在下で、あるいは例えば研磨性接触中に粉砕されて、マイクロフィブリル化セルロース(例えば、ここに記載の態様に従うマイクロフィブリル化セルロース)を生成する、セルロースを含む繊維質基材の存在下で実施することができる。
特定の態様において、上記表面粗さは、少なくとも約5%、または少なくとも約10%、または少なくとも約15%、または少なくとも約20%、または少なくとも約25%、または少なくとも約30%、または少なくとも約35%、または少なくとも約40%、または少なくとも約45%、または少なくとも約50%増大する。特定の態様において、該物質は、少なくとも約3.5という比重を持つ。特定の態様において、上記未研磨の粒状粉砕媒体は、研磨性接触の前に、少なくとも約2.0μmという表面粗さ、および/または(ii) 少なくとも約0.20という平均摩擦係数、例えば少なくとも約2.2μmという表面粗さ、または少なくとも約2.4μmという表面粗さ、または少なくとも約2.6μmという表面粗さ、または少なくとも約2.8μmという表面粗さ、または少なくとも約3.0μmという表面粗さを持つ。
【0050】
特定の態様において、研磨性接触に曝された場合に、少なくとも約20%増大する表面粗さを持つ、研磨された粒状粉砕媒体が提供される。「研磨された」との用語により、該粉砕培体が、粉砕媒体としてのその使用に先立って、研磨処理(即ち、その表面の平滑化)に掛けられていることを意味する。表面粗さにおけるこの増加は、本明細書において記載される方法に従って測定することができる。特定の態様において、該研磨された粒状粉砕媒体は、研磨性接触前に、少なくとも約0.5μmという表面粗さおよび/または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数を持つ。研磨性接触は、自家プロセス(例えば、ミルまたはその他の適当な粉砕装置における攪拌)であり得、あるいは別の物質の存在下で行うことができ、該別の物質は、例えば研磨性接触に続いて、該研磨された粒状粉砕媒体から分離することができる別の粉砕媒体または、例えば研磨性接触中に粉砕されて、マイクロフィブリル化セルロース(例えば、ここに記載された態様に従うマイクロフィブリル化セルロース)を生成し得る、セルロースを含む繊維質基材である。特定の態様において、該表面粗さは、少なくとも約25%、または少なくとも約30%、または少なくとも約35%、または少なくとも約40%、または少なくとも約45%、または少なくとも約50%増大する。特定の態様において、該物質は、少なくとも約3.5という比重を持つ。特定の態様において、研磨性接触前に、該研磨された粒状粉砕媒体は、少なくとも約1.4μmの表面粗さ、および/または(ii) 少なくとも約0.08、または少なくとも約0.10という平均摩擦係数、例えば少なくとも約1.6μmの表面粗さ、または少なくとも約1.8 μmの表面粗さ、または少なくとも約1.9μmの表面粗さを持つ。
【0051】
粒状粉砕媒体の製造方法
特定の態様において、上記粒状粉砕媒体は、任意の適当な方法によって製造することができ、該方法においては、(i) 少なくとも約0.5μmという表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を持つ粒状粉砕が製造される。
上記方法は、0.5μm未満の表面粗さおよび/または0.10未満の平均摩擦係数を持つ粒状粉砕媒体を形成する工程、および該粒状粉砕媒体を、表面粗面化工程に掛ける工程を含むことができ、ここで該表面粗面化工程は、該工程の終了時点において、該媒体の表面粗さが少なくとも約0.5μmとなり、および/またはその平均摩擦係数が少なくとも約0.10となるように行われる。例えば、初期において、上記第一の局面に係る表面粗さおよび/または平均摩擦係数の要件を満足していない粒状粉砕媒体を、研磨物質、例えば微小研磨粉(例えば、溶融アルミナ製微小研磨粉)と共に、粉砕容器、例えば遊星型ミル内で同時粉砕し得る。
有利には、上記第一の局面(並びに上記第二、第三、第四および第五の局面)に係る上記粒状粉砕媒体は、以下の工程を含む方法により製造し得る:
a. 上記セラミック粉砕媒体を製造するのに適した原料を含有する組成物を取得し、準備しまたは製造する工程;
b. 該原料を含む組成物を混合して、混合物を形成する工程;
c. 該混合物とバインダとを混ぜ合せて、結合混合物を形成する工程;
d. 該結合混合物を、一定期間に渡って混合することにより、該結合混合物を粗砕する工程、該期間中、その混合速度は減じられる;
e. 任意に、該粗砕された組成物を乾燥する工程;
f. 任意に、該粗砕された組成物を成形する工程;
g. 任意に、該粗砕された組成物を寸法で分類する工程;および
h. 該粗砕された組成物を焼結する工程。
特定の態様においては、上記方法の工程b)における上記原料を、例えば混合により均質化して、均質化された組成物を形成する。このような態様において、該均質化された組成物は、工程c)においてバインダおよび/または溶媒と混ぜ合わされて、結合された均質化組成物を形成し、この組成物は、工程d)において、一定の期間に渡り該結合された均質化組成物を混合することにより粗砕され、該期間中に該混合速度は減じられる。
このような方法の更なる態様および詳細は、上記第三および/または第四の局面に従う粒状粉砕媒体の製造との関連で上に記載されている。
【0052】
紙製品およびその製造方法
本発明の第一の局面によって得ることができ、マイクロフィブリル化セルロースおよび(存在する場合には)無機粒状物質を含有する組成物は、製紙組成物中に組入れることができ、これは順に紙製品を製造するのに使用することができる。本発明の特定の態様との関連で使用される如き紙製品という用語は、厚紙、例えば白ボール、および段ボール原紙、ボール紙、板紙、塗工板紙等を包含する紙のあらゆる形態を意味するものと理解すべきである。塗工または未塗工の、多数の型の紙があり、これらは本発明の特定の態様に従って製造でき、書籍、雑誌、新聞等に適した紙、および事務用紙を包含する。該紙は、必要に応じて、カレンダー掛けまたはスーパーカレンダー掛けすることができ、例えばグラビア印刷およびオフセット印刷用のスーパーカレンダー掛けされた雑誌用紙は、本発明の方法に従って製造し得る。軽量塗工(LWC)、中量塗工(MWC)またはマシン-仕上げ着色(MFP)に適した紙も、本発明の方法に従って製造し得る。食品の包装等に適したバリヤ特性を持つ塗工紙および板紙も、本発明の方法に従って製造することができる。
【0053】
典型的な製紙法において、セルロース-含有パルプが、当分野において周知の、任意の適当な化学的または機械的処理、またはこれらの組合せにより製造される。該パルプは、あらゆる適当な源、例えば木材、草(例えば、サトウキビ、竹)または襤褸切れ(例えば、織物廃棄物、綿、大麻または亜麻)を由来とするものであり得る。該パルプは、当業者には周知の方法に従って漂白することができ、また本発明の特定の態様で使用するのに適したこれら方法は、容易に明らかになるであろう。該漂白されたセルロースパルプを、予め定められた濾水度(当分野では、cm3単位で、カナダ標準の濾水度として報告されている)まで叩解し、精製し、またはこれら両処理に掛けることができる。次に、適当な紙料を、該漂白されかつ叩解されたパルプから製造する。
典型的に、上記製紙組成物は、マイクロフィブリル化セルロースおよび(存在する場合には)無機粒状物質を含む上記組成物に加えて、紙料および当分野において公知の他の慣例の添加剤を含む。例えば、製紙組成物は、該製紙組成物の全乾燥内容物を基準として、マイクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含む該組成物を由来とする無機粒状物質を約50質量%まで含むことができる。例えば、該製紙組成物は、該製紙組成物の全乾燥内容物を基準として、少なくとも約2質量%、または少なくとも約5質量%、または少なくとも約10質量%、または少なくとも約15質量%、または少なくとも約20質量%、または少なくとも約25質量%、または少なくとも約30質量%、または少なくとも約35質量%、または少なくとも約40質量%、または少なくとも約45質量%、または少なくとも約50質量%、または少なくとも約60質量%、または少なくとも約70質量%、または少なくとも約80質量%、または少なくとも約90質量%のマイクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含む該組成物を由来とする無機粒状物質を含むことができる。同様に、該製紙組成物は、ノニオン性、カチオン性またはアニオン性の歩留まり向上剤または微粒子保持システム(microparticle retention system)を、マイクロフィブリル化セルロースおよび無機粒状物質を含む水性懸濁液の乾燥質量を基準として、約0.1〜2質量%の範囲の量で含むことができる。また、該製紙組成物は、サイズ剤をも含むことができ、該サイズ剤は、例えば長鎖アルキルケテンダイマー、ワックスエマルションまたは琥珀酸誘導体であり得る。該組成物は、また染料および/または蛍光増白剤をも含むことができる。該組成物は、また乾燥強度および湿潤強度増強助剤(dry and wet strength aids)、例えばデンプンまたはエピクロルヒドリンコポリマー等をも含むことができる。
【0054】
本発明の特定の態様に従う紙製品は、(i) 紙製品を製造するのに適したパルプの形状にあるセルロースを含む繊維質基材を得、あるいはこれを製造する工程;(ii) 工程(i)における該パルプから製紙組成物を製造する工程、ここで本発明の特定の態様に係る該組成物は、マイクロフィブリル化セルロースおよび(存在する場合には)無機粒状物質、およびその他の随意の添加剤(例えば、歩留まり向上剤および他の添加剤、例えば上記したもの等)を含む;および(iii) 該製紙組成物から紙製品を製造する工程を含む方法により製造し得る。上述の如く、パルプを製造する工程は、乾燥状態にある、例えば乾燥損紙(paper broke)または廃棄物の形状にあるセルロースを含む該繊維質基材を、直接該粉砕機容器に加えることにより、該粉砕機容器内で行うことができる。その際に、該粉砕機容器内の水性環境は、パルプの形成を容易にするであろう。
追加のフィラー成分(即ち、セルロースを含む上記繊維質基材と同時粉砕される可能性のある、上記無機粒状物質以外のフィラー成分)を、工程(ii)において製造される上記製紙組成物に添加し得る。典型的なフィラー成分はPCC、GCC、カオリン、またはこれらの混合物である。このような製紙組成物から製造される紙製品は、比較できる方法により製造されるマイクロフィブリル化セルロースを含む紙製品と比較して、より高い強度(例えば、改善された破裂強さ)を示すことができる。ここで、該比較できる方法において、この方法において使用される粒状粉砕媒体は、粉砕の開始時点において、(i) より粗面度の低い表面粗さおよび/または(ii) 本発明の上記第一の局面に係る方法により必要とされるものよりも低い平均摩擦係数を持つ。同様に、無機粒状物を含む、本発明の特定の態様に従う製紙組成物から製造される紙製品は、より少ない無機粒状物質を含む紙製品に匹敵する強度を示すことができる。換言すれば、紙製品は、強度の損失無しに、より高いフィラー充填量において、本発明の特定の態様に従う製紙組成物から製造し得る。
製紙組成物から最終的な紙製品を形成する工程は、伝統的なものであり、かつ当分野において周知であり、また一般的に、製造される紙の型に依存して、目標とする坪量を持つ紙シートの形成を含む。
【実施例】
【0055】
実施例1
以下の表1に記載の如き原料組成物各々を、ピン型のインペラを備えたアイリッヒミキサタイプ(Eirich mixer type) RV02Eに充填し、インペラ速度3,000rpmにて4分間、解凝集しかつ均質化した。各場合において、第二工程においては、該インペラ速度を2,200rpmまで下げ、かつバインダ溶液(0.5質量%のPVA水溶液)を、3分間の期間をかけて添加した。混合工程(即ち、粗砕)において、該インペラ速度を最終速度まで段階的に減じて、ビーズを形成した。各組成物に対するこの最終工程の混合に関する詳細は、以下の表2Aおよび2Bに与えられている。
これらビーズを上記ミキサから取り出し、60℃にて1時間乾燥させた。該乾燥された物質を篩にかけた。各場合において、所定サイズの画分を焼結のために使用した。100%アルミナビーズ(サンプル2A)に関連して、その焼結温度は1,600℃であり、また滞留時間は4時間であった。セリア/イットリア/アルミナビーズ(サンプル2Bおよび2C)に対して、焼結温度は1,450℃であり、また滞留時間は4時間であった。
【0056】
【表1】
*15.5質量%のCe2O3、84質量%のZrO2、0.5質量%のFe2O3
【0057】
【表2】
【0058】
【表3】
サンプル2Bに係る処方されたビーズは、比重5.57を持ち、サンプル2Cに係る処方されたビーズは、比重4.74を持つ。
【0059】
実施例2
ビーズサンプル2Bおよび2C並びに比較例のジルコニア媒体を、マイクロフィブリル化セルロースを製造するために使用した。
マイクロフィブリル化セルロースの製造において使用した成分:
・未精製のボツニア(Botnia)パルプ;
・粉砕炭酸カルシウムであって、その粒子の約60質量%が、2μm未満のp.s.d.を持つような粒度分布を有する該粉砕炭酸カルシウム;
・粉砕媒体2Bおよび2C;
・0.5μm未満の表面粗さを持つ、比較例のジルコニア粉砕媒体。
粉砕条件:
・目標とする全固形分およびPOP(パルプの割合(Percentage Of Pulp)−フィラー乾燥質量、即ちパルプの割合):夫々9%および20% POP;
・目標とする全固形分およびPOP:夫々15%および20% POP;
・目標とするMVC(媒体容積濃度):45%;
・1,000rpm;
・エネルギー投入量:2,000,2,500および3,500kWh/t。
各媒体型を、3つの等価な部分に分割した。次いで、各部分を、異なる部分を混合することなしに、8個のバッチについて、一特定のエネルギーレベルのみにおいて粉砕するために使用した。
【0060】
製造したマイクロフィブリル化セルロースを、以下のように分析した:
・粒度分布を、上述の方法に従って、マルバーン(Malvern)「S」計測器を用いて測定した。
・サンプルの全固形分およびPOPを測定した。
上述の手順に従って製造した製品は、手漉き紙におけるフィラーとして評価された。一般に、70部のユーカリ樹および30部の北米漂白針葉樹パルプを含む一バッチの漂白された化学パルプを、ヴァレービーター内で叩解して、520cm3というCSFを得た。離解および2%の濃厚な紙料(thick stock)へと希釈した後、該繊維はシート製造のために、0.3質量%の濃度まで希釈された。
フィラースラリー(上記マイクロフィブリル化セルロースおよび炭酸カルシウム処理した(calcium carbonated)粒状物を含む)を、歩留まり向上剤(シバ(Ciba), パーコール(Percol) 292、完成紙料に対して0.02質量%)と共に添加した。手漉き紙を、標準的方法(例えば、SCAN C 26:76 (M 5:76))に従って、英国手漉き紙用金型(British handsheet mold)を用いて、坪量が80gm-2となるように製造した。シートは、約15〜25部の無機粒状物充填量にて製造され、また20%無機粒状物充填量における破裂強さは、これらのデータから内挿法で求めた。20%充填量における破裂は、未充填値の割合として表され、また次に比較のために規格化された。
紙の破裂強さは、SCAN P24に従って、メスマーブッフネル(Messemer Buchnel)破裂強さテスタを用いて測定した。
結果を、図1にまとめた。媒体サンプル2Bおよび2Cを用いて製造したマイクロフィブリル化セルロースが、上記ジルコニア製媒体を使用して製造したマイクロフィブリル化セルロースに比して、紙に組込んだ場合に、より良好な強度の改善を与えることが分かる。その上、2,000kWh/tというエネルギー投入量において媒体サンプル2Bおよび2Cを用いて製造したマイクロフィブリル化セルロースは、より高い2,500kWh/tというエネルギー投入量にてジルコニア製媒体を用いて製造したマイクロフィブリル化セルロースよりも一層良好な強度の改善を与えた。
【0061】
実施例3:粉砕後の媒体の分析
ビーズは、各粉砕後に集められ、また以下の付属書1および2において記載される方法に従って、干渉計および摩擦計を用いて、分析/特徴付けされた。該干渉計は、該媒体の表面粗さを特徴付けするのに使用され、また該摩擦計は、乾燥繊維パッド(針葉樹、ボツニア松で作られた)上で擦られた場合の、該媒体の摩擦係数を測定するのに使用された。
使用された上記干渉計は、位相シフト式干渉計であったが、これは単色光を用いて(オムニスキャンミクロキサム2(Omniscan MicroXAM2))、上記媒体の表面粗さおよびトポグラフィーを測定する。
ロングショアシステムズエンジニアリング(Longshore Systems Engineering)の摩擦計が、上記ビーズサンプルの摩擦係数を測定するのに使用された。
結果を、以下の表3にまとめた:
【0062】
【表4】
Sa = 平均表面粗さ(算術平均)
【0063】
付属書1
干渉計の操作
(オムニスキャンマイクロキサム2(Omniscan MicroXAM2))
1. 電源のスイッチを入れる。
2. PCを起動。
3. ガラススライド上に5つの検体粒子を固定(各粒子の2つの位置において粗さを測定せよ)。
4. 各検体粒子を直接光ビームの下に置き、好ましくは該粒子の上部に直接ピントを合わせる。像が、スクリーン/モニター上に現れるであろうが、これは鮮明ではない(ぼやけている)であろう。
5. 該画像の中央部に赤色点があるように光の強度を変更(該赤色点は、該スクリーン上の全画像を覆うものであってはならない)。
6. 該赤色点が、レンズを該粒子に向かって下方に(ダイアルに関して反時計回りに)移動させた際に、小さくなるかどうかをチェック。該画像は、より一層ピントが合わなくなる。
7. 次いで、該レンズをその以前の位置に戻し、また次に、該赤色点をより一層小さくかつ一層不鮮明になるよう該光の強度を弱くする。
8. 次いで、該画像のピントが合う(該粒子表面がより明確になる)まで、該レンズをゆっくりと上方に移動し続ける(ダイアルに関して時計回りに)。必要ならば、該光の強度を弱めて、該赤色点をより薄くかつより細くする。
9. 該画像のピントが合った時点で、制御ボックス上の該レンズの位置を計る(tare)。
10. 次に、該サンプルを走行させ(その正確なファイル名を入力した後)、該画像が完全に焦点から外れたことが明白となった際に、このプロセスを中止する。
11. ディスプレーされている該画像に関して、左側のトリミングボタンを使用し、また「主画像作成」を選択するように右クリックすることにより、あらゆる異常な部分をトリミングにより除去できる。次いでセーブする。
12. 該画像から必要な値を読取る。
13. 粒子の第二の領域について繰返す。
14. 各粒子について繰返す。
15. 得られる10個の読み取りを平均する。
【0064】
付属書2
摩擦計の操作手順
平坦面上の球の摩擦(Sphere on flat friction)測定
1. PC、モニターおよび摩擦計の電源スイッチを入れる。
2. PCを起動。
3. 摩擦計のタッチスクリーンインターフェース(TSI)における「スタート(Start)」を押す。
4. 該摩擦計コントローラの背後におけるスタート(Start)ボタンを押す。
5. 該TSI上の「プロシード(Proceed)」を押す。
6. 該TSI上の「リニア(Linear)」を押す。
7. DSCツールキット(Toolkit)のソフトウエアを開く。
8. 該DSCツールキットにおいて、(ノーマルロード(Normal Load)の歪ゲージである)摩擦計であるデバイスを選択。
9. DSCツールキットソフトウエアを開く。
10. 該DSCツールキットにおいて、(ラテラルロード(Lateral Load)の歪ゲージである)摩擦計であるデバイスを選択。
11. 上記球の直径に応じて、メートルネジM2、M3、M4、M5またはM6を持つスクリューにプローブを付着させる。
12. 適当なアダプタを介して摩擦計ビームにスクリューを取付ける。
13. 目標のノーマルロードが実現されるまで、真鍮の重りを加える。
14. 基材(針葉樹、即ちボツニア(Botnia)松から作製した乾燥繊維パッドである)を、その下方のプレート上に固定。
該繊維パッドは、サンプル固定用の内蔵式システムを使用するのに適した寸法にトリミングされている。
15. 該TSIを使用して、そのスタート位置および終了位置を入力;これらは同一の値であるべきであり、これはあなたが、そのサンプルについて摩擦測定を開始したいと考える位置に対応する。
16. 該TSIを使用して、所望の摺動速度を入力。
17. 該TSIを使用して、サイクル数を1に設定。
18. 該DSCツールキットソフトウエアの「ロッギング(Logging)」を押す。
19. そのログ間隔を10ミリ秒(ms)に設定。
20. 上記ファイル名およびディレクトリを指定。
21. 該球が、該基材と圧縮性接触状態となり、かつ該ノーマルロードがゼロに達するまで、該クロスヘッドを下げる。
22. 該TSIを使用して、「ビギンモーション(Begin Motion)」を押す。
23. 該DSCツールキットソフトウエアの「スタート(Start)」を押す。
24. 該TSIを使用して、「ラン(Run)」を押す。
25. 一旦該サイクルが完了したら、該DSCツールキットソフトウエアの「停止(Stop)」を押す。
26. 該クロスヘッドを、該球が、該基材とは無縁となるまで上げる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕マイクロフィブリル化セルロースの製造方法であって、該方法が、セルロースを含む繊維質基材を、粉砕の完了後に除去される粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによりマイクロフィブリル化する工程を含み、前記粒状粉砕媒体が、少なくとも約3.5の比重を有し、かつ粉砕の開始時点において、前記粒状粉砕媒体が、(i) 少なくとも約0.5μmの表面粗さ;または(ii) 少なくとも約0.10の平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を有する、前記方法。
〔2〕前記粒状粉砕媒体が少なくとも約0.5μmの表面粗さを有する、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕粉砕の完了後、前記表面粗さが、粉砕開始時点における表面粗さの少なくとも約90%であり、および/または前記平均摩擦係数が、粉砕開始時点における平均摩擦係数の少なくとも約90%である、前記〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕粉砕の完了後、前記表面粗さが、粉砕開始時点における表面粗さと少なくとも同一であり、および/または前記平均摩擦係数が、粉砕開始時点における平均摩擦係数と少なくとも同一である、前記〔1〕、〔2〕または〔3〕に記載の方法。
〔5〕前記粒状粉砕媒体が、粉砕中に摩損して粗くなり、粉砕の完了後、前記表面粗さが粉砕開始時点における表面粗さよりも大きく、および/または前記平均摩擦係数が粉砕開始時点における平均摩擦係数よりも大きい、前記〔1〕、〔2〕または〔3〕に記載の方法。
〔6〕前記表面粗さが、粉砕中に少なくとも5%増大し、および/または前記平均摩擦係数が粉砕中に少なくとも5%増大する、前記〔5〕に記載の方法。
〔7〕前記粒状粉砕媒体がセラミック粉砕媒体である、前記〔1〕〜〔6〕の何れかに記載の方法。
〔8〕前記セラミック粉砕媒体が、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、イットリア、セリア、またはイットリアおよび/またはセリアで安定化されたジルコニア、およびこれらの混合物を含む材料で形成されている、前記〔7〕に記載の方法。
〔9〕粉砕の開始時点において、前記粒状粉砕媒体が、約1.0μm〜約5.0μmの表面粗さを有する、前記〔1〕〜〔8〕の何れかに記載の方法。
〔10〕前記粉砕の開始時点において、前記粒状粉砕媒体が、約0.15〜約0.50の平均摩擦係数を有する、前記〔1〕〜〔9〕の何れかに記載の方法。
〔11〕前記粒状粉砕媒体が、前記〔19〕〜〔33〕の何れか1項において定義される粒状粉砕媒体である、前記〔1〕〜〔10〕の何れかに記載の方法。
〔12〕前記粒状粉砕媒体が、約1.5:1以上、例えば約2:1以上のアスペクト比を有する棒状の粒子を含む、前記〔1〕〜〔11〕の何れかに記載の方法。
〔13〕前記粉砕を、粉砕の完了後に除去されることのない無機粒状物質の存在下で行って、該無機粒状物質を含有するマイクロフィブリル化セルロースを製造する、前記〔1〕〜〔12〕の何れかに記載の方法。
〔14〕前記マイクロフィブリル化工程が、水性環境内で行われる、前記〔1〕〜〔13〕の何れかに記載の方法。
〔15〕前記粉砕が、1以上の粉砕容器、例えばタワーミルまたは攪拌メディアデトリータ内で実施される、前記〔1〕〜〔14〕の何れかに記載の方法。
〔16〕該方法において使用されるエネルギーの全量が、前記粒状粉砕媒体が、前記粉砕開始時点において、(i) より粗くない表面粗さ;または(ii) より低い平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を有する比較できる方法において使用されるエネルギーよりも低い、前記〔1〕〜〔15〕の何れかに記載の方法。
〔17〕マイクロフィブリル化セルロースの製造における、少なくとも約3.5の比重、および(i) 少なくとも0.5μmの表面粗さ、または(ii) 少なくとも約の摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を有する粒状粉砕媒体の使用。
〔18〕前記マイクロフィブリル化セルロースの1以上の特性を改善し、および/または製造されるマイクロフィブリル化セルロースの単位量当たりのエネルギー投入量を減じるための、前記〔17〕に記載の使用。
〔19〕粒状セラミック粉砕媒体であって、(i) 少なくとも約0.5μmの表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10の平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を有し、該粉砕媒体が、ジルコニア(ZrO2)およびアルミナ(Al2O3)の少なくとも一つを含む組成物を焼結することにより形成され、任意に該組成物が、セリア(Ce2O3)を更に含む、前記粒状セラミック粉砕媒体。
〔20〕前記組成物がセリア(Ce2O3)を更に含む、前記〔19〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔21〕前記組成物が、該組成物の全質量を基準として、約5〜約25質量%のセリア、例えば約10〜約20質量%のセリアを含む、前記〔19〕または〔20〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔22〕前記組成物が、約90質量%までのセリア安定化ジルコニアを含み、および任意に少なくとも約10質量%のアルミナを含む、前記〔19〕〜〔21〕の何れか1項に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔23〕前記組成物が、少なくとも90質量%のアルミナ、例えば少なくとも約95質量%のアルミナ、または少なくとも約99質量%のアルミナ、または少なくとも約99.5質量%のアルミナ、または少なくとも約99.9質量%、または実質的に100質量%のアルミナを含む、前記〔19〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔24〕前記粉砕媒体が、粉砕中に、例えば、セルロースを含有する繊維質基材を、粉砕の完了後に除去される該粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによりマイクロフィブリル化する工程を含む方法における粉砕中に、摩損して粗くなる、前記〔19〕〜〔23〕の何れか1項に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔25〕粒状粉砕媒体であって、粉砕中に、例えば、セルロースを含有する繊維質基材を、粉砕の完了後に除去される該粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによりマイクロフィブリル化する工程を含む方法における粉砕中に、摩損して粗くなる、前記粒状粉砕媒体。
〔26〕前記粒状粉砕媒体が、(i) 少なくとも約0.5μmの表面粗さ;または(ii) 少なくとも約0.10という平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を有する、前記〔25〕に記載の粒状粉砕媒体。
〔27〕前記粒状粉砕媒体が、セラミック粉砕媒体である、前記〔25〕または〔26〕に記載の粒状粉砕媒体。
〔28〕前記粒状粉砕媒体が、少なくとも約3.5、例えば、少なくとも約4.0、または約3.5〜約6.5の比重を有する、前記〔19〕〜〔24〕および〔27〕の何れか1項の粒状セラミック粉砕媒体または前記〔25〕または〔26〕に記載の粒状粉砕媒体。
〔29〕(i) 少なくとも約1.6μmの表面粗さ;または(ii) 少なくとも約0.25の平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を有する粒状粉砕媒体。
〔30〕前記粉砕媒体が、以下の工程:
a. 該セラミック粉砕媒体を製造するのに適した原料を含む組成物を得る、準備する、または製造する工程;
b. 該原料を含む組成物を混合して、混合物を形成する工程;
c. 該混合物とバインダとを混ぜ合せて、結合混合物を形成する工程;
d. 該結合混合物を、一定期間に渡って混合することにより、該結合混合物を粗砕する工程であって、該期間中、その混合速度が減じられる工程;
e. 任意に、該粗砕された組成物を乾燥する工程;
f. 任意に、該粗砕された組成物を成形する工程;
g. 任意に、該粗砕された組成物を寸法で分類する工程;および
h. 該粗砕された組成物を焼結する工程、
を含む方法により得ることができる、前記〔19〕〜〔29〕の何れか1項に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔31〕工程b)〜d)が、インペラを備えたミキサ内で実施され、工程b)中のインペラ速度が、工程c)およびd)中のインペラ速度よりも大きく、かつ工程c)中のインペラ速度が、工程d)中のインペラ速度に等しいかまたはこれを超える、前記〔30〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔32〕工程b)における初期混合速度が、工程d)における最終的な混合速度よりも少なくとも約150%大きい、前記〔31〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔33〕前記初期混合速度が、約2,750〜3,250rpmの間にあり、かつ前記最終的な粉砕混合速度が、約600〜1,200rpmの間にある、前記〔32〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔34〕前記〔19〕または〔27〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体の製造方法であって、該方法が以下の工程:
a. 該セラミック粉砕媒体を製造するのに適した原料を含む組成物を得る、準備する、または製造する工程;
b. 該原料を含む組成物を混合して、混合物を形成する工程;
c. 該混合物とバインダとを混ぜ合せて、結合混合物を形成する工程;
d. 該結合混合物の組成物を、一定期間に渡って混合することにより、該結合混合物を粗砕する工程であって、該期間中、その混合速度が減じられる工程;
e. 任意に、該粗砕された組成物を乾燥する工程;
f. 任意に、該粗砕された組成物を成形する工程;
g. 任意に、該粗砕された組成物を寸法で分類する工程;および
h. 該粗砕された組成物を焼結する工程、
を含む、前記方法。
〔35〕工程b)〜d)が、インペラを備えたミキサ内で実施され、工程b)中のインペラ速度が、工程c)およびd)中のインペラ速度よりも大きく、かつ工程c)中のインペラ速度が、工程d)中のインペラ速度に等しいかまたはこれを超える、前記〔34〕に記載の方法。
〔36〕工程b)における初期混合速度が、工程d)における最終的な混合速度よりも少なくとも約150%大きい、前記〔35〕に記載の方法。
〔37〕前記初期混合速度が、約2,750〜3,250rpmの間にあり、かつ前記最終的な混合速度が、約600〜1,200rpmの間にある、前記〔36〕に記載の方法。
〔38〕セルロースを含む繊維質基材の存在下で攪拌した際に、粗くなる、または摩損して粗くなる材料。
〔39〕研磨性の接触に曝された場合に、少なくとも約1%増大する表面粗さを有する、未研磨の粒状粉砕媒体。
〔40〕研磨性の接触に曝された場合に、少なくとも約20%増大する表面粗さを有する、研磨された粒状粉砕媒体。
〔41〕新たな粉砕媒体を該方法に補充することなしに、粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによって、セルロースを含む繊維質基材を、マイクロフィブリル化することによってマイクロフィブリル化セルロースを製造する方法であって、該粉砕の開始時点において、該粒状粉砕媒体が、(i) 少なくとも約0.5μmの表面粗さ;または(ii) 少なくとも約0.10の平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を有する、前記方法。
〔42〕(a) マイクロフィブリル化セルロースおよび(b) 粗面化された粒状粉砕媒体を同時に製造する方法であって、粉砕の開始時点において、(i) 少なくとも約0.5μmの表面粗さ;または(ii) 少なくとも約0.10の平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を有する粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することにより、セルロースを含む繊維質基材を粉砕する工程を含む、前記方法。
〔43〕マイクロフィブリル化セルロースの製造において、生成されるマイクロフィブリル化セルロースの単位量当たりのエネルギー投入量を減じるための、i) 少なくとも約0.5μmの表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10の平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を有する粒状粉砕媒体の使用。
〔44〕マイクロフィブリル化セルロースの製造において、該マイクロフィブリル化セルロースの1以上の特性を改善するための、i) 少なくとも約0.5μmの表面粗さ、または(ii) 少なくとも約0.10の平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を有する粒状粉砕媒体の使用。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1'〕マイクロフィブリル化セルロースの製造方法であって、該方法が、セルロースを含む繊維質基材を、粉砕の完了後に除去される粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによりマイクロフィブリル化する工程を含み、前記粒状粉砕媒体が、少なくとも3.5の比重を有し、かつ粉砕の開始時点において、前記粒状粉砕媒体が、少なくとも0.5μmの表面粗さを有し、粉砕の完了後、前記表面粗さが粉砕開始時点における表面粗さよりも大きい、前記方法。
〔2'〕マイクロフィブリル化セルロースの製造方法であって、該方法が、セルロースを含む繊維質基材を、粉砕の完了後に除去される粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによりマイクロフィブリル化する工程を含み、前記粒状粉砕媒体が、少なくとも3.5の比重を有し、かつ粉砕の開始時点において、前記粒状粉砕媒体が、少なくとも0.10の平均摩擦係数を有し、粉砕の完了後、前記平均摩擦係数が粉砕開始時点における平均摩擦係数よりも大きい、前記方法。
〔3'〕粉砕の開始時点において、前記粒状粉砕媒体が、少なくとも0.10の平均摩擦係数をも有する、前記〔1'〕に記載の方法。
〔4'〕粉砕の完了後、前記平均摩擦係数が粉砕開始時点における平均摩擦係数よりも大きい、前記〔3'〕に記載の方法。
〔5'〕前記表面粗さが、粉砕中に少なくとも5%増大する、前記〔1'〕または〔3'〕に記載の方法。
〔6'〕前記平均摩擦係数が、粉砕中に少なくとも5%増大する、前記〔2'〕または〔3'〕に記載の方法。
〔7'〕前記粒状粉砕媒体がセラミック粉砕媒体である、前記〔1'〕、〔2'〕または〔3'〕に記載の方法。
〔8'〕前記セラミック粉砕媒体が、アルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム、イットリア、セリア、またはイットリアおよび/またはセリアで安定化されたジルコニア、およびこれらの混合物を含む材料で形成されている、前記〔7'〕に記載の方法。
〔9'〕粉砕の開始時点において、前記粒状粉砕媒体が、1.0μm〜5.0μmの表面粗さを有する、前記〔1'〕または〔3'〕に記載の方法。
〔10'〕前記粉砕の開始時点において、前記粒状粉砕媒体が、0.15〜0.50の平均摩擦係数を有する、前記〔2'〕または〔3'〕に記載の方法。
〔11'〕前記粒状粉砕媒体が、1.5:1 以上のアスペクト比を有する棒状の粒子を含む、前記〔1'〕、〔2'〕または〔3'〕に記載の方法。
〔12'〕前記粉砕を、粉砕の完了後に除去されることのない無機粒状物質の存在下で行って、それにより該無機粒状物質を含有するマイクロフィブリル化セルロースを製造する、前記〔1'〕、〔2'〕または〔3'〕に記載の方法。
〔13'〕前記マイクロフィブリル化工程が、水性環境内で行われる、前記〔12'〕に記載の方法。
〔14'〕前記粉砕が、1以上の粉砕容器内で実施される、前記〔12'〕に記載の方法。
〔15'〕前記1以上の粉砕容器が、攪拌メディアデトリータである、前記〔14'〕に記載の方法。
〔16'〕粒状セラミック粉砕媒体であって、(i) 少なくとも0.5μmの表面粗さ、または(ii) 少なくとも0.10の平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を有し、該粉砕媒体が、ジルコニア(ZrO2)およびアルミナ(Al2O3)の少なくとも一つを含む組成物を焼結することにより形成され、該粉砕媒体が、セルロースを含有する繊維質基材を、粉砕の完了後に除去される粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによりマイクロフィブリル化する工程を含む方法における粉砕中に、摩損して粗くなる、前記粒状セラミック粉砕媒体。
〔17'〕前記組成物がセリア(CeO2)を更に含む、前記〔16'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔18'〕前記組成物が、該組成物の全質量を基準として、5〜25質量%のセリアを含む、前記〔17'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔19'〕前記組成物が、該組成物の全質量を基準として、10〜20質量%のセリアを含む、前記〔17'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔20'〕前記組成物が、90質量%までのセリア安定化ジルコニアを含む、前記〔17'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔21'〕前記組成物が、少なくとも10質量%のアルミナを含む、前記〔16'〕または〔17'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔22'〕前記組成物が、少なくとも90質量%のアルミナを含む、前記〔16'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔23'〕前記組成物が、少なくとも95質量%のアルミナを含む、前記〔16'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔24'〕前記組成物が、少なくとも99.5質量%のアルミナを含む、前記〔16'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔25'〕少なくとも3.5〜6.5の比重を有する、前記〔16'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔26'〕(i) 少なくとも1.6μmの表面粗さ、または(ii) 少なくとも0.25の平均摩擦係数、または(i)および(ii)の両者を有する、前記〔16'〕または〔17'〕に記載の粒状粉砕媒体。
〔27'〕前記〔16'〕または〔17'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体の製造方法であって、該方法が以下の工程:
a) 該セラミック粉砕媒体を製造するのに適した原料を含む組成物を得る、準備する、または製造する工程;
b) 該原料を含む組成物を混合して、混合物を形成する工程;
c) 該混合物とバインダとを混ぜ合せて、結合混合物を形成する工程;
d) 該結合混合物の組成物を、一定期間に渡って混合することにより、該結合混合物を粒状にする工程であって、該期間中、その混合速度が減じられる工程;および
e) 該粒状化された組成物を焼結する工程
を含み、工程b)〜d)が、インペラを備えたミキサ内で実施される、前記方法。
〔28'〕該粒状化された組成物を乾燥する工程を更に含む、前記〔27'〕に記載の方法。
〔29'〕該粒状化された組成物を成形する工程を更に含む、前記〔28'〕に記載の方法。
〔30'〕該粒状化された組成物を寸法で分類する工程を更に含む、前記〔29'〕に記載の方法。
〔31'〕更に、工程b)中のインペラ速度が、工程c)およびd)中のインペラ速度よりも大きく、かつ工程c)中のインペラ速度が、工程d)中のインペラ速度に等しいかまたはこれを超える、前記〔27'〕に記載の方法。
〔32'〕工程b)における初期混合速度が、工程d)における最終的な混合速度よりも少なくとも150%大きい、前記〔27'〕に記載の方法。
〔33'〕前記初期混合速度が、2,750〜3,250rpmの間にあり、かつ前記最終的な混合速度が、600〜1,200rpmの間にある、前記〔27'〕に記載の方法。
〔34'〕新たな粉砕媒体を該方法に補充することなしに、粒状粉砕媒体の存在下で粉砕することによって、セルロースを含む繊維質基材をマイクロフィブリル化することによりマイクロフィブリル化セルロースを製造する方法であって、該粉砕の開始時点において、該粒状粉砕媒体が、(i) 少なくとも0.5μmの表面粗さ;または(ii) 少なくとも0.10の平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を有する、前記方法。
〔35'〕(a) マイクロフィブリル化セルロースおよび(b) 粗面化された粒状粉砕媒体を同時に製造する方法であって、前記〔16'〕または〔17'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体の存在下で粉砕することにより、セルロースを含む繊維質基材を粉砕する工程を含み、前記粒状粉砕媒体が、粉砕の開始時点において、(i) 少なくとも0.5μmの表面粗さ;または(ii) 少なくとも0.1の平均摩擦係数;または(i)および(ii)の両者を有する、前記方法。
〔36'〕前記〔16'〕または〔17'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体であって、前記粉砕媒体が、以下の工程:
a) 該セラミック粉砕媒体を製造するのに適した原料を含む組成物を得る、準備する、または製造する工程;
b) 該原料を含む組成物を混合して、混合物を形成する工程;
c) 該混合物とバインダとを混ぜ合せて、結合混合物を形成する工程;
d) 該結合混合物を、一定期間に渡って混合することにより、該結合混合物を粒状にする工程であって、該期間中、その混合速度が減じられる工程;および
e) 該粒状化された組成物を焼結する工程
を含む方法により得ることができる、粒状セラミック粉砕媒体。
〔37'〕前記方法が、該粒状化された組成物を乾燥する工程を更に含む、前記〔36'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔38'〕前記方法が、該粒状化された組成物を成形する工程を更に含む、前記〔37'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
〔39'〕前記方法が、該粒状化された組成物を寸法で分類する工程を更に含む、前記〔38'〕に記載の粒状セラミック粉砕媒体。
図1