【実施例】
【0164】
本発明はここで、実施例を参照し、より詳細に説明される。
【0165】
本実施例において、下記の略号を使用する:
AcOH 酢酸
CPME シクロペンチルメチルエーテル
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
EtOAc 酢酸エチル
EtOH エタノール
IPA イソプロピルアルコール
MeOH メタノール
NEt
3 トリエチルアミン
nBuOAc 酢酸n-ブチル
TBME t-ブチルメチルエーテル
THF テトラヒドロフラン
TLC 薄層クロマトグラフィー。
【0166】
(実施例1から4−スチグマステロールからの(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステルの合成)
【0167】
(実施例1−(22E)-3-オキソ-4,6,22-コラトリエン-24-酸エチルエステルの合成)
【化29】
出発材料(22E)-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステルを、Uekawaらの文献(Biosci, Biotechnol, Biochem., 2004, 68, 1332-1337)に記載された方法に従い、スチグマステロールから調製した。
【0168】
(22E)-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル(1.00kg, 2.509mol;1当量)を、反応容器に投入し、引き続きAcOH(3容積, 3.0L)及びトルエン(1容積, 1.0L)を攪拌しながら投入した。次にクロルアニル(0.68kg, 2.766mol;1.1当量)を投入し、反応混合物を100℃まで加熱し、この温度で1〜2時間維持した(シリカ上のTLCによるIPC、溶離液3:7のEtOAc:ヘプタン;出発材料:R
f 0.50、生成物:R
f 0.46;アニスアルデヒド染色により可視化)。次にこの混合物を、氷/水浴中で、10℃まで冷却し、生じた固形物を濾過した。フィルターケーキを、予め混合した3:1のAcOH:トルエン(4×0.5容積)により、5℃±4℃で洗浄し、濾液を真空において最高70℃で濃縮した。残渣を、アセトン(3容積)中に溶解し、次に3重量/重量%の水性NaOH(10容積)を、温度を30℃以下に維持し(発熱性)、攪拌しながら液滴で投入した。生じた懸濁液を、10〜15℃に冷却し、30分間攪拌した。固形物を濾過により収集し、フィルターケーキを、予め混合した1:1のアセトン:水(1×2容積、次に3×1容積)で洗浄した。このフィルターケーキ(褐色固形物)を、真空下、70〜75℃で乾燥させ、672g(収率68%)を得た。この化合物の特徴決定は、文献において公表されたデータと一致した。
【0169】
(実施例2−(6α, 7α, 22E)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル)
【化30】
【0170】
EtOAc(1.0L)中の(22E)-3-オキソ-4,6,22-コラトリエン-24-酸エチルエステル(58.0g, 146.3mmol)の溶液へ、還流しながら、80%MMPP(ビス(モノペルオキシフタル酸)マグネシウム六水和物、197.0g, 約318.6mmol)を、30分間隔で、4つの等量部分で、添加した。この懸濁液を、還流しながら5時間、及び外界温度で更に16時間、激しく攪拌した。次に反応物を、加熱して還流させ、更に6時間攪拌した。この混合物を、約50℃まで冷却し、固形物を濾過し、温EtOAc(200mL)ですすいだ。濾液を、20%水性NaHSO
3(100mL)、1M水性NaOH(100mL、次に200mL)及び10%水性NaCl(250mL)で続けて洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空において濃縮した。残渣(黄色固形物)を、最小容積のEtOAcにより60℃で晶出させ、エポキシド生成物をオフホワイト/淡黄色結晶(25.7g, 収率43%, 柱状)として生じた。この化合物の特徴決定は、文献において公表されたデータと一致した。
【0171】
(実施例3−(6β, 7α, 22E)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステルの合成)
【化31】
【0172】
(方法1:)
アルゴンブランケット下で-78℃まで冷却した、ジエチルエーテル(10mL)中のCuI(1.40g, 7.35mmol)の懸濁液へ、EtLi(28.8mL, 14.4mmol, ベンゼン/シクロヘキサン中の0.5M溶液)を投入した。形成された粘稠な白色懸濁液を、0℃まで温め、5分間攪拌し(暗色溶液を形成する)、-78℃まで冷却した。ジエチルエーテル/THF(24mL, 3:1)中の(6α, 7α, 22E)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル(1.00g, 2.42mmol)の溶液を調製し、有機クプラートを含む容器へ投入した。THF(1mL)を使用し、エポキシドの溶液を含む容器をすすぎ、これをまた有機クプラートへ投入した。この反応混合物を、30分かけて、-4℃まで温め、その後反応を、TLC(シリカ, 1:1 EtOAc:ヘプタン)により完了させた。約−4℃で更に30分間攪拌した後、水性飽和NH
4Cl溶液を投入し、この混合物を30分間攪拌した。この混合物を、分液漏斗に移し、水相を、境界面に存在する固形物質と共に、除去した。有機相を、5重量%水性NaHCO
3(2×50mL)及び水(1×50mL)により洗浄した。TBME(50mL)を使用し、反応からの当初の水相及び一緒にした洗浄液を抽出した。一緒にした有機相を濃縮し、残渣を、固定相としてシリカ(25g)を使用するクロマトグラフィーにより精製し(ヘプタン中の0〜30%EtOAcで勾配溶出)、(6β, 7α, 22E)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル(0.63g, 59%)を生じた。
【化32】
【0173】
【化33】
HRMS (ESI-TOF) m/z: (M+H)
+ C
28H
43O
4の計算値:443.3161;実測値:443.3156。mp=59.4〜62.9℃。
【0174】
(方法2)
ZnCl
2(32.84g, 240.9mmol)を、180℃でゆっくり攪拌しながら、2時間かけて、真空下で乾燥した。このフラスコを、アルゴン大気下で、室温まで冷却し、残渣をTHF(520mL)中に溶解し、カニューレにより、機械攪拌子及び温度探子を装着した三首反応フラスコへ移した。この溶液を、氷浴中で、0〜3℃まで冷却し、Et
2O中のEtMgBrの3M溶液(80mL, 240.0mmol)を、内部温度を10℃以下に維持しながら、20分間かけて滴加した。約1/3のグリニャール溶液の添加後、白色沈殿(活性亜鉛酸塩種)の形成が認められた。この混合物を、0℃で1.2時間攪拌した後、THF(300mL)中のエポキシド(6α, 7α, 22E)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル(43.0g, 104.2mmol)の溶液を、内部温度を10℃以下に維持しながら、滴加した。次に固形のCuCl(1.03g, 0.104mmol)を、2つの等量部分で、激しく攪拌しながら添加した。10分後、冷却浴を取り外し、外界温度で更に1.2時間攪拌を継続した。飽和水性NH
4Cl(800mL)の<15℃での滴加により、反応をクエンチし、且つ0.5時間攪拌した。この混合物を濾過し、固形物をTBME(150mL)ですすいだ。これらの相を分離し、水相を、TBME 2×250mLで抽出した。一緒にした有機抽出液を、10%水性NaCl(2×200mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、粗(6β, 7α, 22E)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル43.7gを黄色泡状物として生じた。
【0175】
(方法3)
THF中のZnCl
2の溶液(0.5M, 8.7mL, 4.85mmol, 0.9当量)へ、無水THF(8.0mL)を投入し、次に内容物を−25℃まで冷却した。TBME中のEtMgBrの溶液(1.0M, 8.7mL, 8.70mmol, 1.8当量)を、30分かけて添加し、この混合物を−25℃で45分間攪拌した。固形CuCl(24mg, 0.49mmol, 0.05当量)を、一気に添加し、THF(8.0mL)中の(6α, 7α, 22E)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル(2.0g, 4.85mmol)の溶液を、30分かけて滴加した。残りの固形CuCl(24mg, 0.49mmol, 0.05当量)を、(6α, 7α, 22E)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステルの添加の途中で添加した。この反応物を、−25℃で1時間攪拌し(TLC 1:1のヘプタン:EtOAc、UVにより可視化、及びモリブデン酸セリウムアンモニウム染色を使用し発色)、その後追加のTBME中のEtMgBr(1.0M, 2.9mL, 2.91mmol, 0.6当量)を10分間かけて添加した。この反応物を、−25℃で0.5時間攪拌し、その後温度を-5℃以下に維持しながら、飽和水性NH
4Cl(5mL)の添加によりクエンチした。この無機塩を濾過し、TBMEですすぎ、濾液相を分離した。水層を、TBMEで抽出し、次に一緒にした有機抽出液を、飽和水性NH
4Cl(3×5mL)及び10%ブライン(3×6mL)で洗浄した。有機相を、真空において、40℃で濃縮し、粗(6β, 7α, 22E)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステルを黄色泡状物(1.91g)として生じた。
【0176】
(方法4)
THF中のZnCl
2の溶液(0.5M, 8.7mL, 4.85mmol, 0.9当量)へ、無水THF(8.0mL)を投入し、次に内容物を40℃まで加熱した。TBME中のEtMgBrの溶液(1.0M, 8.7mL, 8.70mmol, 1.8当量)を、30分かけて添加し、この混合物を40℃で45分間攪拌した。固形CuCl(24mg, 0.49mmol, 0.05当量)を、一気に添加し、THF(8.0mL)中の(6α, 7α, 22E)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル(2.0g, 4.85mmol)の溶液を、30分かけて滴加した。残りの固形CuCl(24mg, 0.49mmol, 0.05当量)を、(6α, 7α, 22E)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステルの添加の途中で添加した。この反応物を、40℃で1時間攪拌し(TLC 1:1のヘプタン:EtOAc、UVにより可視化、及びモリブデン酸セリウムアンモニウム染色を使用し発色)、その後飽和水性NH
4Cl(5mL)の添加によりクエンチした。この無機塩を濾過し、TBMEですすぎ、濾液相を分離した。水層を、TBMEで抽出し、次に一緒にした有機抽出液を、飽和水性NH
4Cl(3×5mL)及び10%ブライン(3×6mL)で洗浄した。有機相を、真空において、40℃で濃縮し、粗(6β, 7α, 22E)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステルを黄色泡状物(2.08g)として生じた。
【0177】
(方法5)
THF中のZnCl
2の溶液(0.5M, 8.7mL, 4.85mmol, 0.9当量)へ、無水THF(8.0mL)を投入し、次に内容物を-15℃まで冷却した。THF中のEtMgBrの溶液(1.0M, 8.7mL, 8.70mmol, 1.8当量)を、30分かけて添加し、この混合物を-15℃で45分間攪拌した。固形CuCl(24mg, 0.49mmol, 0.05当量)を、一気に添加し、THF(8.0mL)中の(6α, 7α, 22E)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル(2.0g, 4.85mmol)の溶液を、30分かけて滴加した。残りの固形CuCl(24mg, 0.49mmol, 0.05当量)を、(6α, 7α, 22E)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステルの添加の途中で添加した。この反応物を、-15℃で1時間攪拌し(TLC 1:1のヘプタン:EtOAc、UVにより可視化、及びモリブデン酸セリウムアンモニウム染色を使用し発色)、次に追加のTHF中のEtMgBr(1.0M, 4.35mL, 4.36mmol, 0.9当量)を15分かけて添加し、その後飽和水性NH
4Cl(5mL)の滴加によりクエンチした。この無機塩を濾過し、TBMEですすぎ、濾液相を分離した。水相をTBMEで抽出し、次に一緒にした有機抽出液を、飽和水性NH
4Cl(3×5mL)及び10%ブライン(3×6mL)で洗浄した。有機相を、真空において、40℃で濃縮し、粗(6β, 7α, 22E)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステルを黄色泡状物(1.94g)として生じた。
【0178】
(実施例4−(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステルの合成)
【化34】
【0179】
(方法1)
DMF(2mL)中の10重量% Pd/C(50%湿潤, 20mg, 8.6mol%)の懸濁液へ、DMF(3mL)中の(6β, 7α, 22E)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル(50mg, 0.11mmol)の溶液を添加し、この反応混合物を、0℃まで冷却した。このフラスコを脱気し、次に激しく攪拌しながら水素を3回充填した。3時間後、フラスコを脱気し、次にアルゴンを充填し、混合物を、シリンジフィルターにより濾過した。この混合物を、TBME(30mL)とH
2O(20mL)の間で分配した。有機相を乾燥させ(Na
2SO
4)、真空で濃縮した。粗生成物(50mg)は、(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステルの5β対5α異性体の14:1混合物(
1H NMRにより分析)であり、収率92%であった。
【0180】
【化35】
HRMS (ESI-TOF) m/z: (M−H
2O+H)
+ C
28H
45O
3の計算値:429.3369:; 実測値:429.3363。
【0181】
(方法2)
(6β, 7α, 22E)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル(20.0g)を、DMF(400mL)中に溶解し、アルゴン下で、固形10重量%Pd/C(50%湿潤、10.0g)へ添加した。この混合物を、氷-塩浴内でおよそ-15℃まで冷却し、フラスコを脱気し、次に激しく攪拌しながら水素を3回充填した。この混合物を水素大気下で6時間攪拌し、次にフラスコを脱気し、アルゴンを充填し、セライトパッドを通して濾過した。触媒を、400mLのTBMEですすいだ。濾液を、10%水性NaCl(400mL)で洗浄し、水相をTBME(400mL)で抽出した。一緒にした有機相を、10%水性NaCl(3×200mL)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空で濃縮し、粗(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステル(20.0g、5Hβ:5Hαの比約28:1)の淡黄色油状物を生じた。
【0182】
(方法3)
10%Pd/Cを、ステンレス鋼製ジャケット付き反応容器へ、アルゴン大気下で投入し:DMFを添加し(20mL)、引き続きDMF(130mL)中の実施例3由来の粗(6β, 7α, 22E)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル(およそ72.6mmol)の溶液を添加した。この反応混合物を、激しく攪拌(1200rpm)しながら、−25℃まで冷却した(およそ40分かけて)。反応容器を脱気し、水素(10〜12bar)を3回投入した。この混合物を、水素大気(10〜12bar)下で16時間攪拌した。容器を脱気し、アルゴンを掃流し、攪拌しながら20℃まで温めた。反応混合物のTLC(1:1ヘプタン:EtOAc、モリブデン酸セリウムアンモニウム又はバニリン浸漬を使用し発色、Rf値:出発材料=0.42、生成物=0.67)は、出発材料の完全な消費を示した。この懸濁液を、CH
3CN(120mL)及びH
2O(30mL)で希釈し、懸濁液を、二重のGFA濾紙により濾過し、フィルターケーキをCH
3CN(60mL)ですすいだ。混合物を、更に精製することなく次工程に移した(telescoped)。混合物は、およそ5%の5Hα異性体を含んでいた。
【0183】
(最適化)
この実施例の水素化反応は、以下に示した中間体を介して進行し、且つ必要とされる5Hβ化合物及びその5Hα異性体の両方を生成する。溶媒及び触媒のスクリーニングを、最高収率及び5Hβ異性体の5Hα異性体に対する最高比に繋がる反応条件を決定するために、実行した。
【化36】
【0184】
溶媒スクリーニングは、10重量%Pd/C触媒を用いて実行し、且つ反応は、水素大気圧下で、室温で試行した。NEt
3の存在下、MeOH中で試行した反応は、純MeOH中で試行した反応よりも、より選択的であったのに対し、10%H
2Oの添加は、5βHの選択性を低下した。DMF中の反応は、最良のβ:α比をもたらした。ピリジン中の反応は、混合物中に主に出発材料及び中間体が存在し、必要な生成物への変換は悪かった。
【0185】
【表1】
【0186】
DMF及びMeOH中の反応を、ある範囲の温度で試験した。DMF中で試行した反応に関して、温度は、選択性に対し実質的影響を有する(選択性は、温度が上昇するにつれて減少する)のに対し、MeOH中の反応は、ほとんど差異が認められなかった。
【0187】
DMF及びMeOH中の反応を、市販の炭素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム及び酸化アルミニウム支持体上に担持されたPd触媒の5重量%及び10重量%の範囲で試験した。
【0188】
これらの反応は、大気圧の水素ガス下で、−15℃で、10容積の溶媒中で試行した。DMF中で試行した反応に関して、圧力は、温度よりも、選択性に対する影響が少なかった。選択性に対する希釈の作用は、無視できるものである。
【0189】
(実施例5から14−デオキシコール酸からの(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステルの合成)
【0190】
(実施例5−(3α, 5β)-3-アセトキシ-12-オキソ-コラン-24-酸メチルエステルの合成)
【化37】
MeOH(1.5L)中のデオキシコール酸(500g, 1.27mol)の溶液へ、H
2SO
4(0.68mL, 12.7mmol)を投入し、反応が完了するまで、64℃で加熱した。この反応物を55℃まで冷却し、ピリジン(2.06mL, 25.4mmol)を投入した。MeOH(800mL)を、蒸留により除去し、反応物を50℃まで冷却した。EtOAc(500mL)を投入し、蒸留を継続した。この共蒸発を、MeOH含量が<0.5%となるまで繰り返した。この反応物を40℃まで冷却し、EtOAc(1.0L)を投入し、引き続きピリジン(134mL, 1.65mol)及びDMAP(1.1g, 8.89mmol)を投入した。無水酢酸(150mL, 1.58mmol)を滴加し、反応容器を、完了するまで、40℃で攪拌した。
この反応物を、22℃まで冷却し、温度を25℃以下に維持しながら、2M水性H
2SO
4(1500mL)を添加した。水相を除去し、有機相を、水(1.2L)、飽和水性NaHCO
3溶液(1.2L×2)及び水(1.2L)で洗浄した。この有機層へ、AcOH(1.0L)を、引き続きNaBr(6.6g, 63.5mmol)を投入した。水性の16.4%NaOCl溶液(958mL, 2.54mol)を、反応温度を25℃以下に維持しながら、液滴で投入した。反応が完了するまで攪拌し、次に10℃まで冷却し、90分間攪拌した。得られた固形物を、濾過により収集し、水(3×500mL)で洗浄し、フィルターケーキを、真空下、40℃で乾燥させた。固形物を、MeOH(10容積)から晶出させ、(3α, 5β)-3-アセトキシ-12-オキソ-コラン-24-酸メチルエステルをオフホワイトの固形物(268g)として生じた。
【0191】
(実施例6−(3α, 5β)-3-アセトキシ-コラン-24-酸メチルエステルの合成)
【化38】
【0192】
(3α, 5β)-3-アセトキシ-12-オキソ-コラン-24-酸メチルエステル(268g, 0.6mol)を、アルゴン下で、反応容器に投入し、引き続きAcOH(1.8L)を投入した。次にトシルヒドラジド(190g, 1.02mol)を、反応温度を25℃に維持しながら、添加した。反応が完了するまで、攪拌し、次に温度を25℃以下に維持しながら、NaBH
4(113.5g, 3.00mol)を、少量ずつ投入した。反応混合物を、完了するまで攪拌し、次に温度を25℃以下に維持しながら、水(1.34L)を滴加することにより、クエンチした。反応混合物を30分間攪拌し、生じる固形物を濾過により収集し、水(3×270mL)で洗浄し、固形物を、真空下、40℃で乾燥させた。固形物を、MeOH(3容積)から晶出させ、(3α, 5β)-3-アセトキシ-コラン-24-酸メチルエステルをオフホワイトの固形物(214.5g)として生じた。
【0193】
(実施例7−(3α, 5β)-3-ヒドロキシ-コラン-24-酸(リトコール酸)の合成)
【化39】
【0194】
IPA(536mL)中の(3α, 5β)-3-アセトキシ-コラン-24-酸メチルエステル(214.5g, 0.50mol)の溶液へ、水(536mL)及び50重量%NaOH(99g, 1.24mol)を投入した。この反応物を、50℃まで加熱し、完了するまで攪拌した。pH2〜3が得られるまで、激しく攪拌しながら、2M H
2SO
4をゆっくり投入し、次にこの反応物を、20℃まで冷却した。生じる固形物を、濾過により収集し、水(3×215mL)で洗浄し、生じた固形物を、真空下、40℃で乾燥させ、(3α, 5β)-3-ヒドロキシ-コラン-24-酸(176.53g)を生じた。
【0195】
(実施例8−(5β)-3-オキソコラン-24-酸エチルエステルの合成)
【化40】
【0196】
EtOH(50mL)中の(3α, 5β)-3-ヒドロキシ-コラン-24-酸(10g, 26.5mmol)の溶液へ、96%H
2SO
4(14μL, 0.27mmol)を投入し、次に反応混合物を加熱して16時間還流させた。次にピリジンを投入し、この混合物を30分間攪拌し、真空において、40℃で、濃縮した。残渣を、EtOAc(30mL)及びAcOH(10mL)に溶解し、且つ次にNaBr(136mg, 1.33mmol)を投入した。この溶液を、5℃まで冷却し、9%NaOCl(27mL, 39.8mmol)を温度を10℃以下に維持しながら、液滴で投入した。生じる懸濁液を、外界温度まで温め、1時間攪拌した。反応混合物を、0℃で10分間冷却し、固形物を濾過により収集し、水(3×3容積)で洗浄した。生じた固形物を、真空下、40℃で乾燥させ、(5β)-3-オキソコラン-24-酸エチルエステル(7.83g)を生じた。
【0197】
(実施例9−(4α, 5β)-3-オキソ-4-ブロモ-コラン-24-酸エチルエステルの合成)
【化41】
【0198】
AcOH(84mL)中の(5β)-3-オキソコラン-24-酸エチルエステル(8.0g, 19.9mmol)の溶液へ、AcOH中のBr
2(16mL, 21.9mmol)を、15分間かけて滴加した。この反応混合物を10分間攪拌し、次にEtOAc(250mL)で希釈し、水(2×200mL)で洗浄し、真空において、40℃で濃縮した。この粗物質を、カラムクロマトグラフィー(30%ヘプタン:EtOAc)により精製し、真空において、40℃で濃縮し、(4α, 5β)-3-オキソ-4-ブロモ-コラン-24-酸エチルエステルを淡色結晶固形物(7.49g)として生じた。
【0199】
(実施例10
−3-オキソ-4-コレン-24-酸エチルエステルの合成)
【化42】
【0200】
DMF(40mL)中の(4α, 5β)-3-オキソ-4-ブロモ-コラン-24-酸エチルエステル(4.0g, 8.33mmol)の溶液へ、Li
2CO
3(4.0g, 1質量当量)及びLiBr(2.0g, 0.5質量当量)を投入した。この混合物を、150℃で2時間加熱し、次に外界温度まで冷却させ、水及び氷の混合物(200g, 50容積)及びAcOH(8mL)へと注いだ。生じる懸濁液を15分間攪拌し、固形物を濾過により収集し、次にカラムクロマトグラフィー(30%ヘプタン:EtOAc)により精製し、3-オキソ-4-コレン-24-酸エチルエステルを淡色結晶固形物(1.68g)として生じた。
【0201】
(実施例11−3-オキソ-4,6-コラジエン-24-酸エチルエステルの合成)
【化43】
【0202】
3-オキソ-4-コレン-24-酸エチルエステル(2.23g, 5.57mmol)を、反応容器に投入し、引き続きAcOH(6.7mL)及びトルエン(2.23mL)を投入した。クロルアニル(1.5g, 6.13mmol)を投入し、この反応混合物を100℃で2時間加熱した(TLCによるIPC、3:7 EtOAc:ヘプタン;アニスアルデヒド染色による可視化)。反応混合物を、10℃で10分間冷却し、生じる固形物を濾過により除去した。フィルターケーキを、DCM(9容積)で洗浄し、その後生じる濾液を、真空において、40℃で濃縮した。残渣を、アセトン(9容積)中に溶解し、次に3重量%水性NaOH(27容積)を、温度を30℃以下に維持しながら、滴加した。得られる混合物を、氷浴中で10分間冷却し、固形物を濾過により収集した。フィルターケーキを、水(2×9容積)及びアセトン:水 2:1(4容積)で洗浄した。カラムクロマトグラフィーによる精製(0〜30%ヘプタン:EtOAc)は、3-オキソ-4,6-コラジエン-24-酸エチルエステルを、淡色結晶固形物(1.45g)として生じた。
【0203】
(実施例12−(6α, 7α)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4-
コレン-24-酸エチルエステルの合成)
【化44】
【0204】
3-オキソ-4,6-コラジエン-24-酸エチルエステル(1.37g, 4.27mmol)を、反応容器に投入し、引き続き攪拌しながら、BHT(23mg, 0.13mmol)、EtOAc(11mL)及び水(3.4mL)を投入した。この溶液を、80℃まで加熱し、次にEtOAc(7.5mL)中のmCPBA 70%(1.5g, 7.51mmol)の溶液を、15分間かけて滴加した。反応混合物を、70℃で2時間攪拌し(TLCによるIPC、3:7 EtOAc:ヘプタン;アニスアルデヒド染色による可視化)、外界温度まで冷却し、次に1M水性NaOH(2×20mL)、引き続き10%水性NaS
2O
3:2%NaHCO
3(3×20mL)により洗浄した。有機相を、Na
2SO
4上で乾燥させ、真空において、40℃で濃縮した。粗固形物を、EtOAc(3容積)から、60℃で晶出させ、オフホワイトの固形物を生じ、これを真空下、40℃で乾燥させ、(6α, 7α)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4-
コレン-24-酸エチルエステル(0.90g)を生じた。
【0205】
(実施例13−(6β,7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-4-コレン-24-酸エチルエステルの合成)
【化45】
【0206】
ZnCl
2(600mg, 4.25mmol)を、反応容器へ投入し、真空下、180℃で1時間乾燥させた。この反応容器を外界温度まで冷却し、THF(15mL)を投入し、反応容器の内容物を、3℃まで冷却した。Et
2O中の3M EtMgBr(1.5mL, 4.25mmol)の溶液を、反応容器へ、温度を5℃以下に維持しながら、40分かけて投入した。次にこの反応混合物を、1時間攪拌した。THF(6mL)中の(6α, 7α)-6,7-エポキシ-3-オキソ-4-
コレン-24-酸エチルエステル(0.80g, 1.93mmol)を、温度を5℃以下に維持しながら、この反応容器へ、40分かけて投入した。CuCl(20mg, 0.19mmol)を、一気に投入し、反応物を、外界温度で16時間攪拌した(TLCによるIPC、3:7 EtOAc:ヘプタン;アニスアルデヒド染色による可視化)。反応混合物を、氷浴中で冷却し、飽和水性NH
4Clを、温度を10℃以下に維持しながら、滴加した。反応混合物を濾過し、フィルターケーキを、TBME(12.5容積)で洗浄した。濾液の有機相を分離し、水相を、TBME(2×12.5容積)で抽出した。一緒にした有機相を、5%NaCl(3×12.5容積)で洗浄し、真空において、40℃で濃縮した。
【0207】
(実施例14−(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステルの合成)
【化46】
【0208】
10%Pd/C(70mg)を、アルゴン大気下、反応容器へ投入し、引き続きDMF(14.6mL)中の実施例13からの粗物質を投入した。この混合物を、-10℃まで冷却し、反応容器を脱気し、その後激しく攪拌しながら、水素を3回充填した。この混合物を、温度を-10℃で維持しながら、水素大気下で24時間攪拌し(TLCによるIPC、溶離液1:1 EtOAc:ヘプタン;アニスアルデヒド染色による可視化)、次にフラスコを脱気し、アルゴンを充填し、セライトパッドを通して濾過し、DMF(7mL)ですすいだ。10%Pd/C(70mg)を、アルゴン大気下で、反応容器へ再投入し、引き続きDMF反応混合物を投入した。この混合物を、およそ-10℃まで冷却し、反応容器を脱気し、その後激しく攪拌しながら水素を3回充填した。この混合物を、水素大気下で、-10℃で、24時間攪拌し(TLCによるIPC、1:1 EtOAc:ヘプタン;アニスアルデヒド染色による可視化)、その後フラスコを脱気し、アルゴンを充填し、セライトパッドを通して濾過し、TBME(62.5容積, 50mL)で洗浄した。濾液を、10%水性NaCl(4×25容積)で洗浄し、Na
2SO
4上で乾燥させ、濾過し、真空において、40℃で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(SiO
2、0〜30%ヘプタン:EtOAc)による精製は、(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステル(0.17g)を生じた。この生成物は、植物起源から得られた物質(6β, 7α, 22E)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-4,22-コラジエン-24-酸エチルエステル(実施例4参照)と同一であった。
【0209】
(実施例15から17−(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステルの(3α, 5β, 6α, 7α)-6-エチル-3,7-ジヒドロキシ-コラン-24-酸への変換)
【0210】
(実施例15−(6β, 5β)-3,7-ジオキソ-6-エチル-コラン-24-酸エチルエステルの合成)
【化47】
(方法1)
H
2SO
4(1.4mL)中のCrO
3(1.10g, 11mmol)から調製し水で5mLとしたジョーンズ試薬の溶液を、アセトン(10mL)中の(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステル(0.18g, 0.40mmol)の溶液へ、オレンジ色が持続するまで、液滴により投入した。反応混合物を、IPA(1mL)によりクエンチし、0.45μmナイロンシリンジフィルターを通して濾過し、フィルターをアセトン(10mL)により洗浄した。一緒にした濾液と洗浄液を濃縮し、残渣をEtOAc(20mL)に溶解し、水(2×10mL)で洗浄した。水相を、EtOAc(20mL)により抽出し、一緒にしたEtOAc相を濃縮し、残渣を溶解し、トルエン(20mL)、次にアセトン(20mL)から濃縮し、(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3,7-ジオキソ-コラン-24-酸エチルエステル(185mg)を含有する透明な油状物を得た。
【化48】
HRMS (ESI-TOF) m/z: (M+H)
+ C
28H
45O
4の計算値:445.3318;実測値:445.3312:
【0211】
(方法2)
無水CH
2Cl
2(600mL)中の(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステル(41.0g 粗質量)の溶液へ、0℃で、固形DMP(34.0g, 80.2mmol)を少量ずつ、20分かけて添加した(発熱性)。この混合物を、0〜5℃で2時間攪拌し、その後DMP(4.0g, 9.4mmol)の更なる部分を添加し、反応物を0〜5℃で1時間攪拌した。この混合物を、GFAフィルターを通して濾過し、固形物をCH
2Cl
2(50mL)ですすぎ、濾液を、10%水性Na
2S
2O
3及び2%水性NaHCO
3(100mL)と共に、20分間激しく攪拌した。これらの相を分離し、水相(aq.)を、CH
2Cl
2(2×100mL)により抽出した。一緒にした有機抽出液を、1M NaOH(100mL)により洗浄した。この混合物を、CH
2Cl
2(300mL)で希釈し、相を分離した。有機層を、減圧下で濃縮し、残渣(濁った茶色の油状物)を、TBME(600mL)中に溶解し、1M NaOH(100mL)及びNaCl(3×100mL)により洗浄した。有機相を、真空において濃縮し、粗質量38.1gの暗黄色の粘性の低い油状物を生じた。この油状物を、EtOH(400mL)に溶解し、活性炭(10g)と共に50℃で攪拌し、その後この混合物を濾過し、活性炭をEtOH(200mL)ですすぎ、濾液を真空において濃縮し、(6β, 5β)-3,7-ジオキソ-6-エチル-コラン-24-酸エチルエステルを黄色油状物(35.9g)として得た。
【0212】
(方法3)
DMF(450ml)、CH
3CN(540mL)及びH
2O(90mL)中の(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステル(218mmol)の溶液を、2L容器の中に投入し、9℃に冷却し、次にAcOH(180mL)を投入し、引き続きNaBr(4.1g)を投入した。ナトリウムヒポクロリット(〜10.5重量/容量%, 450mL)の溶液を、内部温度を5〜6℃に維持しながら、1.5時間かけて滴加し、次に混合物を7℃で5時間攪拌した。反応混合物のTLCは、出発材料の完全な消費を示した(TLCによるIPC、溶離液EtOAc/ヘプタンの3:7;(6β, 5β, 7α)-6-エチル-7-ヒドロキシ-3-オキソ-コラン-24-酸エチルエステルに関するRf=0.34:(6β, 5β)-3,7-ジオキソ-6-エチル-コラン-24-酸エチルエステルに関するRf=0.45)。水性10重量/容量%Na
2SO
3(360mL)の溶液を、激しく攪拌し、内部温度を8〜10℃に維持しながら、液滴で投入し、次にH
2O(270mL)を滴加し、この混合物を、5℃で16時間攪拌した。固形物を濾過し、H
2O(720mL)により洗浄した。この固形物を次に、TBME(1.1L)中に溶解し、引き続き水性NaHCO
3(300mL)及び10%ブライン(300mL)により洗浄した。次に有機相を、活性炭(10g)と共に、40℃で20分間攪拌し、無水MgSO
4(5g)により処理し、GFA濾紙により濾過し、フィルターケーキを、TBME(50mL)によりすすぎ、濾液を真空において濃縮し、(6β, 5β)-3,7-ジオキソ-6-エチル-コラン-24-酸エチルエステルを明茶色油状物として得、これを静置して固化させた(82.7g)。
【0213】
(実施例16−(6α, 5β)-3,7-ジオキソ-6-エチル-コラン-24-酸の合成)
【化49】
【0214】
500mLフラスコへ、0.5M NaOH(9mL)の0.5容積、引き続き実施例15からの(6β, 5β)-3,7-ジオキソ-6-エチル-コラン-24-酸エチルエステル(18.00g, 1当量)、次にIPA(180mL, 10容積)を投入した(最初のNaOH投入は、C3-ケタール形成の可能性を回避するためであった)。この混合物を、60±2℃まで温め、溶液が得られるまで静置した(10〜15分間)。残りの0.5M NaOH溶液(171mL, 9.5容積)を、20分間かけて投入し、次にこの反応物を、更に3.5時間、60±2℃で攪拌した。IPAを、真空下、60℃で除去し、次に2M HCl(8mL)を、pH9となるまで投入した。EtOAcを、投入し(90mL, 5容積)、引き続き2M HCl(54mL)をpH1となるまで投入した。激しく混合し、続けて相分離させた。水相を、追加のEtOAc(90mL, 5容積)により逆抽出し、次に一緒にした有機相を、水(54mL, 3容積)、引き続き10%水性NaCl(3×54mL, 3×3容積)の3つの部分で洗浄した。有機相を、活性炭(100メッシュ粉末、3.37g、〜0.20質量当量)で12分間処理し、次にGF/Bを通して濾過した。真空における50℃での濃縮は、(6α, 5β)-3,7-ジオキソ-6-エチル-コラン-24-酸を、定量的収量で明黄色泡状物として生じた。
【0215】
【化50】
【化51】
HRMS (ESI-TOF) m/z: (M+H)
+ C
26H
41O
4に関する理論値:417.3005;実測値:417.2997;mp=71.2〜75.9℃。
【0216】
(実施例17−(3α, 5β, 6α, 7α)-6-エチル-3,7-ジヒドロキシ-コラン-24-酸の合成)
【化52】
【0217】
H
2O(260mL)及び50%NaOH(15.2mL)中の粗(6α, 5β)-6-エチル-3,7-ジオキソ-コラン-24-酸(21.7g 粗質量)の溶液へ、90℃で、水性NaOH(25mLのH
2O及び0.8mLの50%NaOHから調製)中のNaBH
4(4.4g, 116.3mmol)の溶液を滴加した。この混合物を、加熱して還流させ、3時間攪拌した。次に混合物を60℃まで冷却し、HClの2M溶液(200mL)を、激しく攪拌しながら滴加した。次にnBuOAc(100mL)を、この反応フラスコへ投入し、この混合物を更に20分間攪拌した。これらの相を分離し、水相(pH=1/2)を、nBuOAc (100mL)により抽出した。一緒にした有機相を、2M HCl(50mL)及び10%水性NaCl(100mL)で洗浄した。有機溶媒を、減圧下、70〜80℃で蒸留除去した。残渣(濃厚な油状物)を、nBuOAc(60mL)中に70℃で溶解させ、穏やかに室温まで冷却し、次に6℃で2時間貯蔵した。この固形物を、濾過により収集し、冷nBuOAc(20mL)によりすすぎ、その後真空下、70℃で5時間乾燥させ、(3α, 5β, 6α, 7α)-6-エチル-3,7-ジヒドロキシ-コラン-24-酸を白色固形物(8.2g)として得た。
本件出願は、以下の構成の発明を提供する。
(構成1)
一般式(I)の化合物、又はそれらの塩もしくは同位体変種:
(化1)
(式中:
R1は、ハロ、OR6又はNR6R7から選択された1以上の置換基により任意に置換されたC1-4アルキルであり;
ここで、R6及びR7の各々は、H又はC1-4アルキルから独立して選択され;
R2は、H、ハロ、又はOH又は塩基性条件下で安定している保護されたOHであり;
Y1は、結合、又は炭素原子1〜20個を有し、及び1以上の基R3により任意に置換された、アルキレンリンカー基であり;
各R3は、独立して、ハロ、OR8又はNR8R9であり;
ここで、R8及びR9の各々は、H又はC1-4アルキルから独立して選択され;並びに
R4は、C(O)OR10、OC(O)R10、C(O)NR10R11、OR10、OSi(R13)3、S(O)R10、SO2R10、OSO2R10、SO3R10、又はOSO3R10であり;
ここで、各R10及びR11は、独立して:
a. 水素、あるいは
b. そのいずれかは、ハロ、NO2、CN、OR19、SR19、SO2R19、SO3R19もしくはN(R19)2、又はそのどちらかがC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、ハロ、NO2、CN、OR19、SR19、SO2R19、SO3R19もしくはN(R19)2により任意に置換されている6〜14-員のアリールもしくは5〜14-員のヘテロアリール基から選択された1以上の置換基により任意に置換されている、C1-20アルキル、C2-20アルケニル、C2-20アルキニル、-O-C1-20アルキル、-O-C2-20アルケニル、又は-O-C2-20アルキニル;あるいは
c. C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、ハロ、NO2、CN、OR19、SR19、SO2R19、SO3R19もしくはN(R19)2から選択された1以上の置換基により任意に置換されている6〜14-員のアリールもしくは5〜14-員のヘテロアリール基;あるいは
d. ポリエチレングリコール残基:であり;
各R19は、H、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、又はハロ、C1-6アルキルもしくはC1-6ハロアルキルにより任意に置換されている6〜14-員のアリールもしくは5〜14-員のヘテロアリール基から、独立して選択され;
各R13は、独立して、
a. ハロ、NO2、CN、OR19、SR19、SO2R19、SO3R19もしくはN(R19)2、そのどちらかがC1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、ハロ、NO2、CN、OR19、SO2R19、SO3R19もしくはN(R19)2により任意に置換されている6〜14-員のアリールもしくは5〜14-員のヘテロアリール基から選択された1以上の置換基により任意に置換されたC1-20アルキル、C2-20アルケニル、又はC2-20アルキニル;あるいは
b. C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、ハロ、NO2、CN、OR19、SR19、SO2R19、SO3R19もしくはN(R19)2から選択された1以上の置換基により任意に置換されている6〜14-員のアリール又は5〜14-員のヘテロアリール基:であり、
各R19は、H、C1-6アルキル、又はC1-6ハロアルキルから独立して選択され;
R5bは、H又はOH又は保護されたOHである。)。
(構成2)
前記R1が、エチルである、構成1記載の化合物。
(構成3)
前記Y1が、炭素原子1〜8個を有し、且つ1以上の基R3により任意に置換されているアルキレンリンカー基であり、ここでR3は、構成1に定義したものである、構成1又は2記載の化合物。
(構成4)
独立して又はいずれかの組合せにおいて:
前記Y1が、結合、又は炭素原子1〜3個を有し、且つ1もしくは2個の基R3により任意に置換されているアルキレン基であり;
R4が、C(O)OR10、SO3R10、又はOSO3R10であり、ここでR10は、先に定義したものであるが、より好適には、H、C1-6アルキル又はベンジルであり;
R5bが、H又はOHである、構成1〜3のいずれか1記載の化合物。
(構成5)
独立して又はいずれかの組合せにおいて:
前記R1が、エチルであり;及び/又は
R2が、Hであり;及び/又は
Y1が、結合、-CH2-又は-CH2CH2-であり;及び/又は
R4が、C(O)OR10であり、ここでR10は、H、C1-6アルキル又はベンジルであり;及び/又は
R5bが、Hである、構成4記載の化合物。
(構成6)
(6α, 5β)-3,7-ジオキソ-6-エチル-コラン-24-酸、及びそのC1-6アルキルエステル及びベンジルエステル並びにそれらの塩、特にメチルエステル及びエチルエステルから選択される、構成1記載の化合物。
(構成7)
構成1〜6のいずれか1記載の化合物の製造方法であって:
A. 一般式(II)の化合物:
(化2)
(式中、Y1、R1、R2及びR4は、一般式(I)について定義したものであり、並びにR5は、H又はOH又は保護されたOHである)の、塩基による処理による、エピマー化;又は
B. 一般式(I)の化合物の別の一般式(I)の化合物への変換:を含む、方法。
(構成8)
前記一般式(II)の化合物において、R4は、C(O)OR10であり、ここでR10は、C1-6アルキル又はベンジルであり、ここで塩基は、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムなどの強塩基であり、且つここでエピマー化が、加水分解を伴って、一般式(I)の化合物(式中、R4はC(O)OHである)を生じる、構成7記載の方法。
(構成9)
前記一般式(II)の化合物において、R2及び/又はR5は、塩基性条件下で安定している保護されたOHであり、並びに、保護基を除去する追加工程を任意に含み、一般式(I)の化合物(式中、R2及び/又はR5bはOHである)を生じる、構成7又は8記載の方法。
(構成10)
前記一般式(I)の化合物(式中、R4はC(O)OR10であり、ここでR10は、構成1において定義したものである)の、一般式(II)の化合物(式中、R4は同じくC(O)OR10である)からの製造のための、構成1〜9のいずれか1記載の方法。
(構成11)
一般式(XXI)の化合物の製造方法であって:
(化3)
(式中、R1、R4及びY1は、一般式(I)に定義したものであり:
R2は、H、ハロ、又はOHであり;並びに
R5aは、H又はOHである):
i. 一般式(I)の化合物を、好適な還元剤を使用し還元し、並びにここで、R2及び/又はR5bが、保護されたOHである場合、この保護基(複数可)を除去し、先に定義した一般式(XXI)の化合物を生じ、ここで保護基の除去は、還元の前又は後に行うことができること;並びに任意に
ii. 一般式(XXI)の化合物を別の一般式(XXI)の化合物へ変換すること:を含む、製造方法。
(構成12)
前記還元剤が、水素化ホウ素ナトリウムなどの水素化物である、構成11記載の方法。
(構成13)
前記式(XXI)の化合物(式中、R1はエチルであり、R2及びR5aは両方共Hであり、Y1は-CH2CH2-であり、並びにR4はC(O)OHである)の製造のための、構成11又は12記載の方法。