【実施例】
【0040】
実施例1.エラストマーのエポキシ化
98%(5グラム(g))の1,4−cis含量を有するポリブタジエンゴムを、100ミリリットル(mL)のジクロロメタンに溶解し、5%(w/v)エラストマー溶液を得た。次に、40質量%のm−クロロペルオキシ安息香酸(m−CPBA)を溶液に加え、反応混合物を室温で3時間、攪拌した。完了後、反応混合物を炭酸ナトリウム(Na
2CO
3)又は重炭酸ナトリウム(NaHCO
3)水溶液を用いてクエンチ処理した。有機層及び水層を分液漏斗で分離した。有機層を、メタノールに1:2(反応混合物/メタノール、容積/容積(v/v))の比で攪拌しながら注いだ。沈殿が形成され、これを濾過し、乾燥させた。
【0041】
生成物を、
1H NMR分光法によって特徴付けた。
図1に示されるように、
1H NMR分光分析(300MHz;CDCl
3中)は、9〜10mol%のエラストマーのエポキシ化が達成されたことを示した。
【0042】
実施例2.エポキシ開環
トルエン中、2%(w/v)のエポキシ化エラストマー溶液を調製した。1−プロパンチオールの40質量%(w/w)メタノール溶液、及びメタノール中、1モーラーのテトラブチルアンモニウムヒドロキシド(TBAH)溶液を、トルエン溶液に加えた。反応混合物を、23℃で72時間、攪拌し、次に、メタノールに注いだ。沈殿が形成され、これを濾過し、23℃で乾燥させた。濾過生成物を、
1H NMR及び赤外線(IR)分光法によって特徴付けした。
【0043】
図2は、単離された官能化エラストマーの3%のチオ官能化を示唆する、
1H NMR解析(300MHz;CDCl
3中)を示している。官能化エラストマーは、式(I):
【化1】
に示される単位を含み、ここで、Rはn−プロピルである。例えば、1,2−付加によって生じる単位など、他の単位もエラストマー内に存在しうる。
【0044】
ポリブタジエンゴム、実施例1のエポキシ化ポリブタジエン、及び実施例2の官能化エラストマーの比較IR分析(KBrペレット)から、官能化エラストマーにおけるヒドロキシ官能基の存在が確認される。
図3Aは、エポキシ化の前後にはエラストマー内にヒドロキシ官能基が存在していなかったが、開環後にはエラストマー内にヒドロキシル基が存在することを示している。
図3Bは、チオール内のn−プロピル基の存在に起因して、sp
3 C−Hの曲がりの増加が官能化エラストマーに観察されることを示している。
【0045】
実施例3.官能化における時間及びエラストマー濃度の影響
THF溶媒中、2%及び4%(w/v)の両方のエポキシ化エラストマー溶液を調製した以外は実施例2の手順に従った。官能化エラストマー沈殿物の試料を、
1H NMR分光分析法によって24時間の間隔で特徴付けした。次に、得られた官能化の割合を、
図4に示されるように、時間経過を追ってプロットした。この試験結果は、濃度が増加するに従い、反応が速くなることを示している。結果はまた、時間経過に伴い、官能化が増加することも示している。
【0046】
実施例4.官能化エラストマーのワン・ポット合成
テトラヒドロフラン中、実施例1で用いたブタジエンゴムの5%(w/v)溶液を調製し、次に、m−CPBAを溶液に加えて、60%のMCPBA/エラストマー(w/w)濃度を達成した。反応混合物を、23℃で3時間、攪拌した。該反応混合物を、メタノール中、1.5モーラーのTBAH溶液を加えることによってアルカリ性にした。この混合物に、1−プロパンチオールを加えて、30%のプロパンチオール/エラストマー(w/w)濃度を達成した。反応混合物を50〜55℃で7時間、攪拌し、次に、反応混合物を23℃の温度とし、メタノールに注いだ(1/2.5の反応混合物/メタノール比、v/v)。沈殿物が形成され、これを単離して、23℃で乾燥させた。
【0047】
lH NMR解析(300MHz;CDCl
3中)は、次のように官能化を示唆した:14mol%のエポキシ化、すなわち、約70mol%のエポキシ基がプロパンチオールを用いたエポキシ開環を被った。したがって、プロパンチオ官能基に対する9〜10%の官能化が達成された。
【0048】
本発明の方法及び組成物を、以下の実施形態によってさらに例証する。
【0049】
実施形態1:官能化エラストマーを調製する方法であって、エポキシ化エラストマーを提供する工程;及び、C
1〜C
32ヒドロカルビル置換チオールを用いて前記エポキシ化エラストマーをエポキシ開環し、エポキシ官能基、ヒドロキシ官能基、及び置換又は非置換のC
1〜C
32ヒドロカルビル置換チオ官能基を含む官能化エラストマーを提供する工程を含み、前記ヒドロキシ官能基と前記置換又は非置換のC
1〜C
32ヒドロカルビル置換チオ官能基がビシナル官能基である、方法。
【0050】
実施形態2:前記ヒドロカルビル基が、置換又は非置換のC
1〜C
32アルキル基、置換又は非置換のC
2〜C
32アルケニル基、置換又は非置換のC
3〜C
18シクロアルキル基、置換又は非置換のC
3〜C
18ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
6〜C
18アリール基、若しくは、置換又は非置換のC
4〜C
18ヘテロアリール基であることを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0051】
実施形態3:前記ヒドロカルビル基が、置換又は非置換のC
1〜C
16アルキル基、置換又は非置換のC
3〜C
16シクロアルキル基、置換又は非置換のC
3〜C
16ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
6〜C
16アリール基、置換又は非置換のC
4〜C
16ヘテロアリール基、又は上記の少なくとも1つを含む組合せであることを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0052】
実施形態4:前記ヒドロカルビル基が、置換又は非置換のC
1〜C
12アルキル基、好ましくは、非置換のC
2〜C
8アルキル基、さらに好ましくは、非置換のC
3〜C
8アルキル基であることを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
【0053】
実施形態5:前記エポキシ化エラストマーを提供する工程が、不飽和エラストマーをエポキシ化して前記エポキシ化エラストマーを形成する工程を含むことを特徴とする、実施形態1から4のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0054】
実施形態6:前記不飽和エラストマーが、少なくとも0.1mol%の不飽和、好ましくは0.1〜60mol%の不飽和、さらに好ましくは0.1〜40mol%の不飽和を含むことを特徴とする、実施形態5に記載の方法。
【0055】
実施形態7:前記不飽和エラストマーが、天然ポリイソプレンゴム;合成ポリイソプレンゴム;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの単独重合体;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンと、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、イソプレン、メタアクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、又は酢酸ビニルとの共重合体;クロロプレンゴム;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;エチレン−プロピレンゴム;エチレン−プロピレン−ジエンゴム;不飽和シリコーンゴム;又は上記の少なくとも1つを含む組合せを含むことを特徴とする、実施形態5から6のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0056】
実施形態8:前記不飽和エラストマーが、ポリブタジエンゴム、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴムを含み、好ましくはポリブタジエンゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、又は上記の少なくとも1つを含む組合せを含むことを特徴とする、実施形態5から6のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0057】
実施形態9:前記エポキシ化が、過酸化物、好ましくはペルオキシ酸、さらに好ましくはペルオキシ安息香酸、最も好ましくはm−クロロペルオキシ安息香酸の存在下で行われることを特徴とする、実施形態5から8のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0058】
実施形態10:前記エポキシ化が、溶媒、好ましくは、脂肪族、環式脂肪族、複素環式脂肪族、芳香族、又はヘテロ芳香族の溶媒、さらに好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、又は上記の少なくとも1つを含む組合せの溶媒中で行われることを特徴とする、実施形態5から9のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0059】
実施形態11:前記エラストマーが、溶媒中、1〜22%(w/v)、好ましくは2〜16%(w/v)の濃度を有することを特徴とする、実施形態10に記載の方法。
【0060】
実施形態12:水性又はアルコール性塩基、好ましくは、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの水溶液、若しくは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド又は水酸化カリウムのメタノール溶液、若しくは、上記の少なくとも1つを含む組合せの溶液の添加による、前記エポキシ化をクエンチ処理する工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態5から11のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0061】
実施形態13:前記エポキシ化エラストマーが、1〜50モルパーセント、好ましくは2〜40モルパーセント、さらに好ましくは3〜30モルパーセントのエポキシ化度を有することを特徴とする、実施形態1から12のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0062】
実施形態14:前記エポキシ化及び前記エポキシ開環が、前記エポキシ化エラストマーを単離することなく行われることを特徴とする、実施形態5から13のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0063】
実施形態15:前記エポキシ開環が、塩基の存在下で行われることを特徴とする、実施形態1から14のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0064】
実施形態16:前記塩基が、アルカリ土類又はアルカリ土類の酸化物又は水酸化物、四級化されたテトラ(C
1〜C
12ヒドロカルビル)アンモニウム又はテトラ(C
1〜C
12ヒドロカルビル)ホスホニウム塩、又は上記の少なくとも1つを含む組合せであることを特徴とする、実施形態15に記載の方法。
【0065】
実施形態17:前記塩基が、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、水酸化カリウム、又は上記の少なくとも1つを含む組合せであることを特徴とする、実施形態16に記載の方法。
【0066】
実施形態18:前記チオールが、前記エポキシ化エラストマーの質量に基づいて、5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%、さらに好ましくは15〜50質量%の濃度を有することを特徴とする、実施形態1から17のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0067】
実施形態19:前記エポキシ開環が、溶媒、好ましくは、脂肪族、環式脂肪族、複素環式脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族の溶媒、さらに好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、又は上記の少なくとも1つを含む組合せの溶媒の存在下で行われることを特徴とする、実施形態1から18のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0068】
実施形態20:前記エポキシ化エラストマーが、溶媒中、1〜22%(w/v)、好ましくは2〜16%(w/v)の濃度を有することを特徴とする、実施形態19に記載の方法。
【0069】
実施形態21:前記エポキシ開環が、0〜100℃、好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは40〜60℃の温度で行われることを特徴とする、実施形態1から20のいずれか1つ以上に記載の方法。
【0070】
実施形態22:実施形態1から21のいずれか1つ以上に記載の方法によって調製された官能化エラストマー。
【0071】
実施形態23:エポキシ官能基、ヒドロキシ官能基、及びC
1〜C
32ヒドロカルビル置換チオ官能基を含む、官能化エラストマーであって、前記ヒドロキシ官能基と前記C
1〜C
32ヒドロカルビル置換チオ官能基がビシナル官能基である、官能化エラストマー。
【0072】
実施形態24:前記ヒドロカルビル基が、置換又は非置換のC
1〜C
32アルキル基、置換又は非置換のC
2〜C
32アルケニル基、置換又は非置換のC
3〜C
18シクロアルキル基、置換又は非置換のC
3〜C
18ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
6〜C
18アリール基、若しくは、置換又は非置換のC
4〜C
18ヘテロアリール基であることを特徴とする、実施形態23に記載のエラストマー。
【0073】
実施形態25:前記ヒドロカルビル基が、置換又は非置換のC
1〜C
16アルキル基、置換又は非置換のC
3〜C
16シクロアルキル基、置換又は非置換のC
3〜C
16ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC
6〜C
16アリール基、置換又は非置換のC
4〜C
16ヘテロアリール基、又は上記の少なくとも1つを含む組合せであることを特徴とする、実施形態23に記載のエラストマー。
【0074】
実施形態26:前記ヒドロカルビル基が、置換又は非置換のC
1〜C
12アルキル基であり、好ましくは、非置換のC
2〜C
8アルキル基であり、さらに好ましくは、非置換のC
3〜C
8アルキル基であることを特徴とする、実施形態23に記載のエラストマー。
【0075】
実施形態27:前記エラストマーが、ヒドロキシ官能化、エポキシ官能化、及びチオ官能化の合計で、1〜15モルパーセント、好ましくは1〜12モルパーセント、さらに好ましくは1〜10モルパーセントを有することを特徴とする、実施形態23から26のいずれか1つ以上に記載のエラストマー。
【0076】
実施形態28:前記エラストマーがさらに不飽和を含むことを特徴とする、実施形態23から27のいずれか1つ以上に記載のエラストマー。
【0077】
実施形態29:実施形態22から28のいずれか1つ以上に記載のエラストマーを含む、物品。
【0078】
実施形態30:前記物品がタイヤトレッドであることを特徴とする、実施形態29に記載の物品。
【0079】
単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈が別のことを明確に示さない限り、複数の対象を含む。「又は」は「及び/又は」を意味する。同じ成分又は特性を対象としたすべての範囲の端点は包含され、かつ、独立して組合せ可能である。より広い範囲に加えて、より狭い範囲又はより具体的な群の開示は、より広い範囲又はより広い群を排除しない。他に定められない限り、本明細書で用いられる技術用語及び科学用語は、本発明が属する分野の当業者によって一般に理解される意味と同じ意味を有する。「組合せ」は、ブレンド、混合物、合金、反応生成物などを包含する。
【0080】
引用されたすべての特許、特許出願、及び他の参考文献は、ここに参照することにより、その全体が本明細書に取り込まれる。しかしながら、本出願における用語が、取り込まれた参考文献と矛盾又は対立する場合、本出願の用語が、取り込まれた参考文献の対立する用語に優先する。
【0081】
本明細書で用いられる用語「ヒドロカルビル」は、炭素、水素、及び必要に応じて、1つ以上のヘテロ原子(例えば、ハロゲン、O、N、S、P、又はSiなどの1、2、3、又は4つの原子)を含む基を包含し、1つ以上の官能基として存在しうる。「アルキル」とは、例えば、メチル、エチル、i−プロピル、及びn−ブチルなど、分岐鎖又は直鎖の一価の飽和炭化水素基を意味する。「アルキレン」とは、直鎖又は分岐鎖の二価の飽和炭化水素基(例えば、メチレン(−CH
2−)又はプロピレン(−(CH
2)
3−))を意味する。「アルケニル」及び「アルケニレン」とは、少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を有する、それぞれ、一価又は二価の、直鎖又は分岐鎖の炭化水素基(例えば、エテニル(−HC=CH
2)又はプロペニレン(−HC(CH
3)=CH
2−))を意味する。「アルキニル」とは、少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を有する、直鎖又は分岐鎖の一価の炭化水素基(例えば、エチニル)を意味する。「アルコキシ」とは、例えば、メトキシ、エトキシ、及びsec−ブチルオキシなど、酸素を介して連結されたアルキル基(すなわち、アルキル−O−)を意味する。「シクロアルキル」及び「シクロアルキレン」とは、それぞれ、式−C
nH
2n−x及び−C
nH
2n−2x−の一価及び二価の環状炭化水素基を意味し、ここで、xは環化の数である。「アリール」とは、一価の単環式又は多環式の芳香族基(例えば、フェニル又はナフチル)を意味する。「アリーレン」とは、二価の単環式又は多環式の芳香族基(例えば、フェニレン又はナフチレン)を意味する。接頭語「ハロ」とは、同一であっても異なっていてもよい、1つ以上のハロゲン(F、Cl、Br、又はI)置換基を含む基又は化合物を意味する。接頭語「ヘテロ」とは、ヘテロ原子(例えば、1つ、2つ、又は3つのヘテロ原子)である、少なくとも1つの環員を含む基又は化合物を意味し、各ヘテロ原子は独立してN、O、S、又はPである。
【0082】
「置換された」とは、化合物又は基が、水素の代わりに、少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、3つ、又は4つ)の置換基で置換されることを意味し、ここで、置換された原子の通常の価数を超えず、かつ、その置換が、化合物の製造、安定性、又は所望の特性に顕著に悪影響を与えないことを条件として、各置換基は、独立して、ニトロ(−NO
2)、シアノ(−CN)、ヒドロキシ(−OH)、ハロゲン、チオール(−SH)、チオシアノ(−SCN)、C
1〜6アルキル、C
2〜6アルケニル、C
2〜6アルキニル、C
1〜6ハロアルキル、C
1〜9アルコキシ、C
1〜6ハロアルコキシ、C
3〜12シクロアルキル、C
5〜18シクロアルケニル、C
6〜12アリール、C
7〜13アリールアルキレン(例えばベンジル)、C
7〜12アルキルアリーレン(例えばトルイル)、C
4〜12ヘテロシクロアルキル、C
3〜12ヘテロアリール、C
1〜6アルキルスルホニル(−S(=O)
2−アルキル)、C
6〜12アリールスルホニル(−S(=O)
2−アリール)、又はトシル(CH
3C
6H
4SO
2−)である。化合物が置換されている場合、炭素原子の表示数は、置換基のものを含めた、基内の炭素原子の総数である。
他の実施形態
1. 官能化エラストマーの調製方法において、
エポキシ化エラストマーを提供する工程、及び
C1〜C32ヒドロカルビル置換チオールを用いて前記エポキシ化エラストマーをエポキシ開環して官能化エラストマーを提供する工程であって、該官能化エラストマーは、
エポキシ官能基、
ヒドロキシ官能基、及び
置換又は非置換のC1〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基
を含む、工程
を含み、
前記ヒドロキシ官能基と前記置換又は非置換のC1〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基とはビシナル官能基である、
方法。
2. 前記ヒドロカルビル基が、置換又は非置換のC1〜C16アルキル基、置換又は非置換のC3〜C16シクロアルキル基、置換又は非置換のC3〜C16ヘテロシクロアルキル基、置換又は非置換のC6〜C16アリール基、置換又は非置換のC4〜C16ヘテロアリール基、又は上記の少なくとも1つを含む組合せであり、好ましくは、非置換のC3〜C8アルキル基であることを特徴とする、実施形態1に記載の方法。
3. 前記エポキシ化エラストマーを提供する工程が、不飽和エラストマーをエポキシ化して前記エポキシ化エラストマーを形成する工程を含むことを特徴とする、実施形態1から2のいずれか一項に記載の方法。
4. 前記不飽和エラストマーが、天然ポリイソプレンゴム;合成ポリイソプレンゴム;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンの単独重合体;1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、又は2,3−ジメチル−1,3−ブタジエンと、スチレン、α−メチルスチレン、アクリロニトリル、イソプレン、メタアクリロニトリル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、又は酢酸ビニルとの共重合体;クロロプレンゴム;ブチルゴム;ハロゲン化ブチルゴム;ニトリルゴム;水素化ニトリルゴム;エチレン−プロピレンゴム;エチレン−プロピレン−ジエンゴム;不飽和シリコーンゴム;又は上記の少なくとも1つを含む組合せを含み、好ましくは、前記不飽和エラストマーが、ポリブタジエンゴム、ポリ(アクリロニトリル−ブタジエン)、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、ポリイソプレンゴム、ネオプレンゴムを含み、さらに好ましくはポリブタジエンゴム、ポリ(スチレン−ブタジエン)ゴム、又は上記の少なくとも1つを含む組合せを含むことを特徴とする、実施形態3に記載の方法。
5. エポキシ化する工程が、過酸化物、好ましくはペルオキシ酸、さらに好ましくはペルオキシ安息香酸、最も好ましくはm−クロロペルオキシ安息香酸の存在下で行われることを特徴とする、実施形態3から4のいずれか一項に記載の方法。
6. 前記エポキシ化が、溶媒、好ましくは、脂肪族、環式脂肪族、複素環式脂肪族、芳香族、又はヘテロ芳香族の溶媒、さらに好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、又は上記の少なくとも1つを含む組合せの溶媒中で行われ、前記エラストマーが、前記溶媒中、1〜22%(w/v)、好ましくは2〜16%(w/v)の濃度を有することを特徴とする、実施形態3から5のいずれか一項に記載の方法。
7. 水性又はアルコール性塩基、好ましくは、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの水溶液、あるいは、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド又は水酸化カリウムのメタノール溶液、あるいは、上記の少なくとも1つを含む組合せの溶液の添加による、前記エポキシ化をクエンチ処理する工程をさらに含むことを特徴とする、実施形態3から6のいずれか一項に記載の方法。
8. 前記エポキシ化エラストマーが、1〜50モルパーセント、好ましくは2〜40モルパーセント、さらに好ましくは3〜30モルパーセントのエポキシ化度を有することを特徴とする、実施形態1から7のいずれか一項に記載の方法。
9. 前記エポキシ開環が塩基の存在下で行われ、該塩基が、アルカリ土類又はアルカリ土類の酸化物又は水酸化物、四級化されたテトラ(C1〜C12ヒドロカルビル)アンモニウム又はテトラ(C1〜C12ヒドロカルビル)ホスホニウム塩、又は上記の少なくとも1つを含む組合せであり、好ましくはテトラブチルアンモニウムヒドロキシド及び/又は水酸化カリウムであることを特徴とする、実施形態1から8のいずれか一項に記載の方法。
10. 前記ヒドロカルビル置換チオールが、1−プロパンチオール、1−ブタンチオール、2−メチル−1−プロパンチオール、1−ペンタンチオール、3−メチル−1−ブタンチオール、1−ヘキサンチオール、1−ヘプタンチオール、1−オクタンチオール、2−エチルヘキサンチオール、シクロペンタンチオール、シクロヘキサンチオール、2−フェニルエタンチオール、フェニルチオール、2−プロペン−1−チオール、2−フランメタンチオール、又はそれらの組合せから選択されることを特徴とする、実施形態1から9のいずれか一項に記載の方法。
11. 前記エポキシ開環が、溶媒、好ましくは、脂肪族、環式脂肪族、複素環式脂肪族、芳香族、ヘテロ芳香族の溶媒、さらに好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルム、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、ベンゼン、トルエン、テトラヒドロフラン、又は上記の少なくとも1つを含む組合せの溶媒の存在下で行われ、前記エポキシ化エラストマーが、前記溶媒中、1〜22%(w/v)、好ましくは2〜16%(w/v)の濃度を有することを特徴とする、実施形態1から10のいずれか一項に記載の方法。
12. 前記エポキシ開環が、0〜100℃、好ましくは20〜80℃、さらに好ましくは40〜60℃の温度で行われることを特徴とする、実施形態1から11のいずれか一項に記載の方法。
13. エポキシ官能基、
ヒドロキシ官能基、及び
C1〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基
を含み、
前記ヒドロキシ官能基及び前記C1〜C32ヒドロカルビル置換チオ官能基がビシナル官能基であり、
前記ヒドロカルビル基が置換又は非置換のC1〜C12アルキル基であり、好ましくは、非置換のC2〜C8アルキル基であり、さらに好ましくは、非置換のC3〜C8アルキル基である、
官能化エラストマー。
14. 実施形態13に従った、又は、実施形態1〜12のいずれか一項に記載の方法に従って生成された、官能化エラストマーを含む物品。
15. 前記物品がタイヤトレッドであることを特徴とする、実施形態14に記載の物品。