(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来技術のように、ハウジングをカシメ固定するなどして分解不能な構造とすると、フィルタの交換やハウジング内の部品交換等のメンテナンス作業が煩わしいものとなってしまうという課題があった。
【0005】
そこで、本発明は、メンテナンス作業を容易化でき、且つ部品が分解されてしまうことを防止できる燃料供給装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の第1態様によれば、ポンプ本体と、開口部同士を嵌合させて該ポンプ本体を外包する有底筒状の第1ハウジングおよび第2ハウジングと、を有する燃料ポンプと、被取付け体に、前記燃料ポンプを固定するための固定部材と、を備え、前記第1ハウジングの開口部および前記第2ハウジングの開口部の何れか一方に、他方に向かって延出する弾性変形可能なハウジング係合片が設けられると共に、前記第1ハウジングの開口部および前記第2ハウジングの開口部の何れか他方に、前記ハウジング係合片に係合可能なハウジング係合部が設けられ、前記固定部材は、前記燃料ポンプに取り付けられるポンプ取付部と、前記被取付け体に取り付けられる被取付け体取付部と、
前記燃料ポンプと前記被取付け体との間に介在される本体部と、を備え、前記ポンプ取付部は、前記ハウジング係合片を前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの径方向外側から押える係合片押え部を有し
、前記係合片押え部は、前記本体部から延出され、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを径方向外側から覆うように弾性変形可能な第1腕部であり、前記本体部および前記第1腕部の先端側に、前記本体部と前記第1腕部とを係合可能な第1係合部を設けた。
【0007】
このように、ポンプ本体を外包するハウジングを、第1ハウジングと第2ハウジングとで分割構成し、これら2つのハウジングを、ハウジング係合片と係合部とにより係合させる構成とすることにより、ハウジングを分解可能としている。このため、燃料供給装置のメンテナンス作業を容易化できる。
また、被取付け体に燃料ポンプを固定するためのポンプ取付部は、ハウジング係合片を各ハウジングの径方向外側から押える係合片押え部を有している。この係合片押え部によってハウジング係合片を押え付けることにより、第1ハウジングと第2ハウジングとが分解されてしまうことを防止できる。このため、燃料ポンプの分解を防止できる。
また、本体部および第1腕部によって、ハウジング係合片をより確実に押え付けることができる。このため、ポンプ取付部によって、強固に燃料ポンプを支持できる。
【0008】
本発明の第2態様によれば、本発明の第1態様に係る燃料供給装置において、前記ハウジング係合部は、前記径方向外側に向かって突出する係合突起であり、前記ハウジング係合片には、前記係合突起を受け入れ可能な凹部および孔部の何れかが形成されており、前記凹部および前記孔部よりも前記ハウジング係合片の先端側に、前記係合片押え部が配置されている。
【0009】
このように構成することで、ハウジング係合片と係合部とを確実に係合させることができる。
また、凹部および孔部よりもハウジング係合片の先端側に係合片押え部を配置することにより、係合突起からハウジング係合片が浮き上がってしまうことを防止できる。このため、係合突起と凹部または孔部との係合が解除されてしまうことを確実に防止できる。
【0010】
本発明の第3態様によれば、本発明の第1態様または第2態様に係る燃料供給装置において、前記係合片押え部は、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングの何れかの周囲を取り囲むように、リング状に形成されている。
【0011】
このように構成することで、係合片押え部によって、ハウジング係合片を各ハウジングの径方向外側から確実に押さえ付けることができる。このため、2つのハウジングが分解されてしまうことを確実に防止できる。
【0014】
本発明の第
4態様によれば、本発明の第
1態様から第3態様の何れか一の態様に係る燃料供給装置において、前記ハウジング係合部は、前記径方向外側に向かって突出する係合突起であり、前記ハウジング係合片には、前記係合突起を受け入れ可能な凹部および孔部の何れかが形成されており、前記第1腕部は、前記凹部および前記孔部を径方向外側から覆うように形成されている。
【0015】
このように構成することで、第1腕部によって、ハウジング係合片をさらに確実に押え付けることができる。また、ハウジング係合片とハウジング係合部との係合が解除されてしまうことを確実に防止できる。
【0016】
本発明の第
5態様によれば、本発明の第
1態様
から第
4態様の何れか一の態様に係る燃料供給装置において、前記被取付け体は、棒状体であり、前記被取付け体取付部は、前記本体部から延出され、前記被取付け体を径方向外側から覆うように弾性変形可能な第2腕部であり、前記本体部および前記第2腕部の先端側に、前記本体部と前記第2腕部とを係合可能な第2係合部を設けた。
【0017】
このように構成することで、本体部および第2腕部によって、被取付け体に、固定部材を確実に固定できる。
【0018】
本発明の第
6態様によれば、本発明の第
5態様に係る燃料供給装置において、前記第1腕部は、前記本体部の一側面から延出されており、前記第2腕部は、前記本体部の前記一側面とは前記燃料ポンプを挟んで反対側に位置する他側面から延出されており、前記第1係合部は、前記本体部の前記他側面および前記第1腕部の先端側に設けられ、前記第2係合部は、前記本体部の前記一側面および前記第2腕部の先端側に設けられている。
【0019】
ここで、本体部の両側面(一側面、他側面)は、機械的強度を十分確保できる箇所になる。このため、本体部の両側面に、それぞれ第1係合部と第2係合部とを設けることにより、本体部に対する第1腕部と第2腕部との固定強度を十分確保することが可能になる。
また、固定部材によって被取付け体に燃料ポンプを組み付けると、被取付け体に対して燃料ポンプが接近離間する方向に沿って振動が発生しがちである。このような状況で、この振動方向に対して直交する方向で対向する2つの側面に、各係合部を配置することになるので、係合部を解除しにくくすることができる。また、例えば、被取付け体と燃料ポンプとを重力方向に並べて配置した際、燃料ポンプの自重を係合部で受けることを回避できる。このため、係合部による係合を確実に維持できる。
【0020】
本発明の第
7態様によれば、
燃料供給装置
は、
ポンプ本体と、開口部同士を嵌合させて該ポンプ本体を外包する有底筒状の第1ハウジングおよび第2ハウジングと、を有する燃料ポンプと、被取付け体に、前記燃料ポンプを固定するための固定部材と、を備え、前記第1ハウジングの開口部および前記第2ハウジングの開口部の何れか一方に、他方に向かって延出する弾性変形可能なハウジング係合片が設けられると共に、前記第1ハウジングの開口部および前記第2ハウジングの開口部の何れか他方に、前記ハウジング係合片に係合可能なハウジング係合部が設けられ、前記固定部材は、前記燃料ポンプに取り付けられるポンプ取付部と、前記被取付け体に取り付けられる被取付け体取付部と、前記燃料ポンプと前記被取付け体との間に介在される本体部と、を備え、前記係合片押え部は、前記本体部の前記燃料ポンプを挟んで両側から延出され、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングを径方向外側から覆うように弾性変形可能な第3腕部および第4腕部であり、前記第3腕部の先端側、および前記第4腕部の先端側に、前記第3腕部と前記第4腕部とを係合可能な第3係合部を設けた。
【0021】
このように構成することで、1つの腕部で第1ハウジングおよび第2ハウジングを覆う必要が無くなるので、狭いスペースに燃料供給装置を組み付ける場合であっても、組付け作業性を損なうことがない。このため、ユーザーフレンドリーな燃料供給装置を提供できる。
【0022】
本発明の第
8態様によれば、本発明の第
7態様に係る燃料供給装置において、前記ハウジング係合部は、前記径方向外側に向かって突出する係合突起であり、前記ハウジング係合片には、前記係合突起を受け入れ可能な凹部および孔部の何れかが形成されており、前記第3腕部および前記第4腕部は、前記凹部および前記孔部を径方向外側から覆うように形成されている。
【0023】
このように構成することで、本体部、第3腕部および第4腕部によって、ハウジング係合片をさらに確実に押え付けることができる。また、ハウジング係合片とハウジング係合部との係合が解除されてしまうことを確実に防止できる。
【0024】
本発明の第
9態様によれば、本発明の第
7態様または第
8態様に係る燃料供給装置において、前記被取付け体は、棒状体であり、前記被取付け体取付部は、前記本体部の前記燃料ポンプを挟んで両側から延出され、前記被取付け体を径方向外側から覆うように弾性変形可能な第5腕部および第6腕部であり、前記第5腕部の先端側、および前記第6腕部の先端側に、前記第5腕部と前記第6腕部とを係合可能な第4係合部を設けた。
【0025】
このように構成することで、本体部、第5腕部と第6腕部によって、被取付け体に、固定部材を確実に固定できる。
【0026】
本発明の第1
0態様によれば、本発明の第1態様から第
9態様の何れか一の態様に係る燃料供給装置において、前記被取付け体は、車両のフレームであり、前記燃料ポンプは、前記車両のエンジンに燃料を供給するためのものである。
【0027】
このように構成することで、車両用として好適な燃料供給装置を提供できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、ポンプ本体を外包するハウジングを、第1ハウジングと第2ハウジングとで分割構成し、これら2つのハウジングを、ハウジング係合片と係合部とにより係合させる構成とすることにより、ハウジングを分解可能としている。このため、燃料供給装置のメンテナンス作業を容易化できる。
また、被取付け体に燃料ポンプを固定するためのポンプ取付部は、ハウジング係合片を各ハウジングの径方向外側から押える係合片押え部を有している。この係合片押え部によってハウジング係合片を押え付けることにより、第1ハウジングと第2ハウジングとが分解されてしまうことを防止できる。このため、燃料ポンプの分解を防止できる。
また、本体部および第1腕部によって、ハウジング係合片をより確実に押え付けることができる。このため、ポンプ取付部によって、強固に燃料ポンプを支持できる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0031】
(燃料供給装置)
図1は、燃料供給装置1の斜視図、
図2は、燃料ポンプ3の一部断面側面図である。
図1、
図2に示すように、燃料供給装置1は、車両2のエンジン(不図示)に燃料を供給するための燃料ポンプ3と、燃料ポンプ3を車両2の棒状(パイプ状)のフレーム30に固定するための2つの固定バンド4A,4Bと、を備えている。
【0032】
(燃料ポンプ)
燃料ポンプ3は、不図示の燃料タンクの重力方向下側に配置され、この燃料タンクと不図示のホースを介して連結されている。燃料ポンプ3は、ハウジング5と、ハウジング5に内装されたポンプ本体6およびフィルタ7と、を備えている。
【0033】
ポンプ本体6は、略円筒状に形成されたポンプハウジング10と、ポンプハウジング10の一端側に内装されたポンプ部11と、ポンプハウジング10のポンプ部11が配置された箇所を除く大部分に配置されたモータ部12と、を主構成としている。
なお、以下の説明では、ポンプハウジング10の軸方向を単に軸方向と称し、ポンプハウジング10の径方向を単に径方向と称し、ポンプハウジング10の周回り方向を単に周方向と称して説明する。
【0034】
ポンプハウジング10の一端側には、吸入口13が設けられている。この吸入口13は、ポンプ本体6内に燃料を取り込む。
ポンプ本体6のポンプ部11には、例えばインペラを有する非容積型の再生式ポンプが用いられる。このように構成されたポンプ部11は、モータ部12によって回転駆動される。モータ部12には、例えば、ブラシ付きの直流モータが用いられる。モータ部12は、軸方向に沿う不図示の回転軸を有している。この回転軸の一端にポンプ部11が連結され、ポンプ部11が回転軸回りに回転駆動する。
【0035】
ポンプハウジング10とモータ部12との間には、燃料が通流可能な不図示の隙間が設けられている。ポンプハウジング10の他端側には、このポンプハウジング10の開口を閉塞するようにアッパーカップ14が設けられている。このアッパーカップ14に、ポンプ本体6の外側に燃料を吐出させるための吐出口15が設けられている。
【0036】
(ハウジング)
ハウジング5は、第1ハウジング8と、第2ハウジング9と、に軸方向に分割可能に構成されている。すなわち、第1ハウジング8および第2ハウジング9は、それぞれ有底円筒状に形成されており、それぞれの開口部8a,9a側を嵌合させてハウジング5を構成している。第1ハウジング8と第2ハウジング9との嵌合部には、第1ハウジング8内の空間と第2ハウジング9内の空間とを隔てる隔壁19が設けられている。
【0037】
そして、第1ハウジング8内に、軸方向と回転軸とが一致するようにポンプ本体6が収納されている。ポンプ本体6は、第1ハウジング8の底部8b側にアッパーカップ14を向けた形で収納されている。ポンプ本体6の吸入口13は、隔壁19に形成された連通孔20を介して第2ハウジング9側に臨まされている。
【0038】
第1ハウジング8の底部8bには、ポンプ本体6の吐出口15に連通する燃料取出し管16が設けられている。この燃料取出し管16が、ホースを介してエンジン(何れも不図示)に連結されている。これにより、燃料ポンプ3からエンジンに燃料が供給される。
第1ハウジング8の底部8bには、燃料取出し管16と第1ハウジング8内とを連通する燃料流路17が形成されている。この燃料流路17の途中にプレッシャレギュレータ18が設けられている。
【0039】
プレッシャレギュレータ18は、燃料取出し管16を介してエンジンに供給される燃料の圧力を、所定の圧力に保つ。燃料取出し管16内の燃料が所定の圧力よりも高くなると、プレッシャレギュレータ18を介して第1ハウジング8内に燃料が戻される。
また、第1ハウジング8の底部8bには、コネクタ部21が設けられている。このコネクタ部21には、外部電源から延びる不図示のコネクタが嵌着される。コネクタ部21には、ポンプ本体6のモータ部12と電気的に接続される端子22が設けられている。
【0040】
第1ハウジング8の周壁8cには、重力方向上側に略円筒状の脱気孔23が重力方向上側に向かって突設されている。脱気孔23は、燃料ポンプ3で発生したベーパを燃料ポンプ3外に排出する。脱気孔23は、ホースを介して燃料タンク(何れも不図示)に接続されている。
さらに、脱気孔23には、逆止弁24が設けられている。この逆止弁24は、不図示の燃料タンクから第1ハウジング8内に燃料が逆流しないようにする。
【0041】
第1ハウジング8の周壁8cには、第2ハウジング9と嵌合される開口部8aの端部よりもやや手前(他端側、アッパーカップ14寄り)に、複数の係合突起25が径方向外側に向かって突出形成されている。複数の係合突起25は、周方向に等間隔で配置されている。この係合突起25は、第1ハウジング8と第2ハウジング9とをスナップフィット固定(係合)し、これら第1ハウジング8と第2ハウジング9とを一体化する。
【0042】
係合突起25は、第1ハウジング8の一端側(開口部8a側、第2ハウジング9側)から他端側(底部8b側)に向かうに従って徐々に突出高さが高くなるように傾斜面25aを有している。係合突起25の傾斜面25aとは反対側の側面25bは、径方向に沿う(軸方向と直交する)平坦面になる。
【0043】
第2ハウジング9内には、フィルタ7が収納されている。フィルタ7は、ポンプ本体6に異物が混入しないようにする。フィルタ7は、隔壁19に形成された連通孔20を介してポンプ本体6から第2ハウジング9側に臨まされている吸入口13に接続されている。
第2ハウジング9の底部9bには、略円筒状の燃料取り込み口26が軸方向外側に向かって突設されている。燃料取り込み口26は、ホースを介して燃料タンク(何れも不図示)に接続されている。これにより、燃料タンクの燃料が、ホース、燃料取り込み口26を介して第2ハウジング9内に流入する。
【0044】
第2ハウジング9の開口部9a側には、内周面側に、段差部27aを介して拡径された嵌合部27が形成されている。この嵌合部27に、第1ハウジング8の開口部8a側が内嵌される。嵌合部27には段差部27aが形成されているので、この段差部27aに第1ハウジング8の開口部8aの端部が当接し、第2ハウジング9に対する第1ハウジング8の位置決めが行われる。
【0045】
第2ハウジング9の開口部9aには、周縁から軸方向第1ハウジング8側に向かって延出する複数の係合片28が設けられている。複数の係合片28は、第1ハウジング8の係合突起25にスナップフィット固定されることで、第1ハウジング8と第2ハウジング9とを一体化させる。このため、複数の係合片28の個数は、第1ハウジング8の係合突起25の個数と同数に設定されている。複数の係合片28は、各係合突起25に対応するように、周方向に等間隔で配置されている。
【0046】
各係合片28は、第2ハウジング9に第1ハウジング8が位置決めされた状態で、第2ハウジング9の開口部9aの端部から係合突起25を超えて他端側(
図1、
図2における左側)に至る間に延出形成されている。各係合片28は、径方向からみて略長方形状に形成されている。係合片28の略中央部に、係合突起25を挿入可能な係合孔29が形成されている。各係合片28は、径方向に沿って僅かに弾性変形可能に構成されている。これにより、各係合突起25に、それぞれ係合片28がスナップフィット固定される。
【0047】
(第1実施形態)
(固定バンド)
図1に示すように、上記燃料ポンプ3を車両2のフレーム30に固定するための固定バンド4A,4Bは、燃料ポンプ3の軸方向に並んで2つ設けられている。なお、2つの固定バンド4A,4Bは、それぞれ構成が同一であるので、以下の説明では一方の固定バンド4Aについてのみ説明し、他方の固定バンド4Bについては、必要に応じて説明する。
【0048】
固定バンド4Aは、1つのバンド40を屈曲形成させてその両端をビス44によって固定したものである。固定バンド4Aは、フレーム30に取付けられるフレーム取付部41と、燃料ポンプ3に取り付けられるポンプ取付部42と、フレーム取付部41とポンプ取付部42とに跨り、フレーム取付部41とポンプ取付部42とを連結する連結支持部43と、により構成されている。
【0049】
フレーム取付部41は、バンド40の長手方向略中央を、フレーム30の周囲を取り囲むように略環状に湾曲形成したものである。このようなフレーム取付部41の両端から、それぞれ燃料ポンプ3側に向かって連結支持部43が屈曲延出されている。連結支持部43のフレーム取付部41とは反対側端から、それぞれ燃料ポンプ3の外周面を半周分ずつ囲むように、ポンプ取付部42が湾曲形成されている。ポンプ取付部42の連結支持部43とは反対側が屈曲延出され、接続部45を形成している。この接続部45を、ビス44によって固定している。これにより、バンド40の両端が重ね合わさり、ポンプ取付部42が燃料ポンプ3の周囲を取り囲むように略円環状になる。
【0050】
ここで、一方の固定バンド4Aのポンプ取付部42は、第2ハウジング9の係合片28上で、且つ係合孔29(第1ハウジング8の係合突起25)よりも先端側(第2ハウジング9の底部9bとは反対側)に配置されている。他方の固定バンド4Bのポンプ取付部42は、第2ハウジング9の軸方向中央よりも底部9b側に配置されている。このように、2つの固定バンド4A,4Bによって、2箇所で燃料ポンプ3を支持するので、フレーム30に燃料ポンプ3を確実に固定できる。
【0051】
(燃料供給装置の動作)
次に、燃料供給装置1の動作について説明する。
まず、燃料ポンプ3は、不図示の燃料タンクの重力方向下方に配置されているので、燃料の自重によって、燃料ポンプ3の第2ハウジング9内に、燃料取り込み口26を介して燃料が流入される。ここで、第1ハウジング8と第2ハウジング9との嵌合部には、第1ハウジング8内の空間と第2ハウジング9内の空間とを隔てる隔壁19が設けられている。このため、第2ハウジング9内に流入した燃料が、第1ハウジング8側へと漏出してしまうことが防止される。
【0052】
第2ハウジング9内が燃料で満たされている状態で、モータ部12によってポンプ部11を回転駆動させると、フィルタ7を介して吸入口13からポンプ部11内に燃料が吸入される。ポンプ部11から吐出された燃料は、ポンプハウジング10とモータ部12との間の隙間を介し、ポンプハウジング10の他端側(アッパーカップ14側)に圧送される。この後、アッパーカップ14に設けられている吐出口15、および燃料流路17を介し、燃料が燃料取出し管16に流出される。さらに、不図示のエンジンに燃料が供給される。
【0053】
燃料取出し管16内の燃料の圧力が所定の圧力よりも高くなると、燃料取出し管16内の燃料が、プレッシャレギュレータ18を介して第1ハウジング8内に戻される。さらに、燃料ポンプ3内で発生したベーパが浮力を利用して脱気孔23に到達する。この脱気孔23に到達したベーパは、さらに、ホースを介して燃料タンクに排出される。
【0054】
(燃料供給装置の組み立て)
次に、燃料供給装置1の組み立てについて説明する。
まず、予め燃料ポンプ3を組み立てる。そして、予めプレッシャレギュレータ18を組み付けた第1ハウジング8に、燃料ポンプ3を組み付ける。このとき、第1ハウジング8の開口部8a側に、燃料ポンプ3のアッパーカップ14を向け、そのまま第1ハウジング8内に燃料ポンプ3を挿入する。
【0055】
続いて、第1ハウジング8の開口部8a側に隔壁19を取り付けた上から吸入口13にフィルタ7を取り付ける。さらに、第2ハウジング9の開口部9aを第1ハウジング8の開口部8aに向け、この第1ハウジング8に第2ハウジング9を嵌合させる。
【0056】
このとき、第1ハウジング8の周壁8cに設けられている係合突起25の位置と、第2ハウジング9の係合片28との位置を合わせる。この状態で、第1ハウジング8に向けて第2ハウジング9を押し込んでいくと、係合突起25に係合片28が当接する。さらに、第2ハウジングを押し込んでいくと、係合突起25の傾斜面25aに沿って係合片28が弾性変形しながら移動し、この係合片28が係合突起25を乗り上げる。
そして、係合片28の係合孔29が係合突起25に到達すると、係合片28の復元力により、係合孔29に係合突起25が差し込まれる。これにより、第1ハウジング8に第2ハウジング9がスナップフィット固定(係合)される。そして、2つのハウジング8,9が一体化される。
【0057】
次に、2つの固定バンド4A,4Bを介し、フレーム30に燃料ポンプ3を固定する。各固定バンド4A,4Bに設けられた接続部45をビス44によって固定することにより、フレーム30への燃料ポンプ3の固定が完了する。
このとき、一方の固定バンド4Aのポンプ取付部42は、第2ハウジング9の係合片28上で、且つ係合孔29(第1ハウジング8の係合突起25)よりも先端側(第2ハウジング9の底部9bとは反対側)に配置されている。つまり、係合片28の先端側は、径方向外側から固定バンド4Aのポンプ取付部42によって押え付けられる。このため、係合片28が径方向外側に押し拡げられてしまう(浮きがってしまう)ことが防止される。
【0058】
次に、燃料供給装置1を分解する場合について説明する。
燃料供給装置1を分解する場合、各固定バンド4A,4Bの接続部45を固定していたビス44を取り外す。これにより、係合片28上から、この係合片28を押え付けるポンプ取付部42が外れるので、係合片28を径方向外側に押し拡げることが可能になる。係合片28を径方向外側に押し拡げながら、第1ハウジング8から離間する方向に向かって第2ハウジング9をずらすことにより、係合片28と係合突起25との係合が解除される。このため、第1ハウジング8と第2ハウジング9とを分解でき、燃料供給装置1のメンテナンス作業を行うことが可能になる。
【0059】
このように、上述の第1実施形態では、ハウジング5を第1ハウジング8と第2ハウジング9とで分割構成している。そして、第1ハウジング8に係合突起25を設ける一方、第2ハウジング9に係合突起25と係合可能な係合片28を設け、2つのハウジング8,9を一体化可能としている。このため、第1ハウジング8と第2ハウジング9とを容易に分解でき、燃料供給装置1のメンテナンス作業を容易に行うことが可能になる。
【0060】
また、フレーム30に燃料ポンプ3を固定するために、2つの固定バンド4A,4Bを用いている。そして、2つの固定バンド4A,4Bのうち、一方の固定バンド4Aのポンプ取付部42が、係合片28上に配置されている。このため、固定バンド4Aのポンプ取付部42によって、係合片28が径方向内側に押え付けられる。したがって、係合片28が径方向外側に向かって拡がって(浮き上がって)しまうことを防止できる。この結果、2つの固定バンド4A,4Bによってフレーム30に燃料ポンプ3を固定した状態では、第1ハウジング8と第2ハウジング9とが分解してしまうことを確実に防止できる。
【0061】
しかも、固定バンド4Aのポンプ取付部42は、係合片28上で、且つ係合孔29よりも先端側に配置されている。このため、固定バンド4Aを取り付けた状態で、係合片28の係合孔29から係合突起25が外れてしまうことをより確実に防止できる。
さらに、燃料ポンプ3の周囲を取り囲むように、ポンプ取付部42が略円環状に形成されているので、複数の係合片28の全体をほぼ同じ力で確実に径方向内側に押え付けることができる。このため、第1ハウジング8と第2ハウジング9とが分解してしまうことをさらに確実に防止できる。
【0062】
また、係合突起25は、第1ハウジング8の一端側(開口部8a側、第2ハウジング9側)から第2ハウジング8の他端側に向かうに従って徐々に突出高さが高くなるように傾斜面25aを有している。このため、係合突起25に係合片28をスナップフィット固定する際、傾斜面25aによって係合片28をスムーズに押し拡げることができる。よって、第1ハウジング8への第2ハウジング9の組付けを容易に行うことができる。
【0063】
さらに、係合突起25の傾斜面25aとは反対側の側面25bは、径方向に沿う(軸方向と直交する)平坦面になっている。このため、スナップフィット固定された第2ハウジング9に、例えば、第1ハウジング8から抜ける方向に力が作用した場合であっても、係合片28に径方向外側に押し拡げられる力が作用しない。このため、係合突起25と係合片28との係合状態を、確実に維持できる。
【0064】
なお、上述の第1実施形態では、第1ハウジング8に係合突起25を設け、第2ハウジング9に係合片28を設けた場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、第1ハウジング8に係合片28を設け、第2ハウジング9に係合突起25を設けてもよい。
また、上述の第1実施形態では、係合片28に係合突起25を挿入可能な係合孔29を形成し、これによって、係合突起25と係合片28とをスナップフィット固定させる場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、係合突起25と係合片28とが係合可能な構成になっていればよい。例えば、係合片28に、係合孔29に代わって係合突起25を受け入れ可能な係合凹部を形成してもよい。
【0065】
また、上述の第1実施形態では、固定バンド4A,4Bは、略円環状のフレーム取付部41、略円環状のポンプ取付部42、および連結支持部43により構成されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、フレーム取付部41は、例えば円形以外の略環状など、被取付け体(フレーム30)の形状に応じて変更すればよい。また、ポンプ取付部42は、係合片28を径方向外側から押え付け可能な形状であればよい。連結支持部43は、燃料供給装置1のレイアウト等に応じて省いてもよいし、任意に形状を変更してもよい。
【0066】
さらに、上述の第1実施形態では、固定バンド4Aのポンプ取付部42は、係合片28上で、且つ係合孔29よりも先端側に配置されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、係合片28上に配置されていればよい。このように構成することで、ポンプ取付部42によって、係合片28が径方向外側に拡がって(浮き上がって)しまうことを防止できる。
【0067】
(第2実施形態)
次に、
図3、
図4に基づいて、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同一態様には、同一符号を付して説明を省略する(以下の第3実施形態についても同様)。
図3は、燃料供給装置201の斜視図、
図4は、
図3のA矢視図である。
図3、
図4に示すように、第1実施形態と第2実施形態との相違点は、第2実施形態では、第1実施形態の固定バンド4A,4Bに代わって、1つの固定部材204によって、車両2のフレーム30に燃料ポンプ3が固定されている点にある。
【0068】
(固定部材)
固定部材204は、燃料ポンプ3とフレーム30との間に介在される本体部243と、本体部243におけるフレーム30の延在方向(燃料ポンプ3の延在方向)と直交する方向で対向する2つの側面243a,243b(第1側面243a、第2側面243b)からそれぞれ延出する第1腕部251、および第2腕部252とを備えている。
【0069】
本体部243は、フレーム30の延在方向が短手方向となるように、直方体のブロック状に形成されている。本体部243の燃料ポンプ3側の一面には、本体部243の短手方向からみて円弧状の第1凹部253が形成されている。一方、本体部243のフレーム30側の他面には、本体部243の短手方向からみて円弧状の第2凹部254が形成されている。
【0070】
また、本体部243は、各凹部253,254を除く側面が全て平坦に形成されている。しかしながら、これに限られるものではなく、少なくとも第1側面243aおよび第2側面243bの2つの側面243a,243bが平坦に形成されていればよい。
第1凹部253の曲率半径は、第1ハウジング8および第2ハウジング9の曲率半径とほぼ同一に設定されている。一方、第2凹部254の曲率半径は、フレーム30の曲率半径よりもやや大きく設定されている。
【0071】
第1腕部251は、弾性を有するゴム製で帯状に形成されている。第1腕部251は、本体部243の第1側面243aから第1ハウジング8および第2ハウジング9の外周面に沿って湾曲延出されている。第1腕部251は、先端が本体部243の第1側面243aとは燃料ポンプ3を挟んで反対側に位置する第2側面243bに至るまで延出されている。
また、第1腕部251における燃料ポンプ3の軸方向の幅W1(以下、単に第1腕部251の幅W1という)は、第2ハウジング9の係合片28の延出長さとほぼ同一に設定されている。このため、第1腕部251によって、係合突起25および係合孔29を含む係合片28の全体が覆われている。
【0072】
第2腕部252は、弾性を有するゴム製で帯状に形成されている。第2腕部252は、本体部243の第2側面243bからフレーム30の外周面に沿って湾曲延出されている。第2腕部252は、先端が本体部243の第1側面243aに至るまで延出されている。
また、第2腕部252における燃料ポンプ3の軸方向の幅W2(以下、単に第2腕部252の幅W2という)は、第1腕部251の幅W1と同一に設定されている。
なお、本体部243の短手方向の幅W3も、第1腕部251の幅W1および第2腕部252の幅W2と同一に設定されている。
【0073】
ここで、第1腕部251の先端部、および第2腕部252の先端部には、それぞれ各幅W1,W2方向に長い長方形状の係合孔251a,252aが形成されている。一方、本体部243の第2側面243bには、第1腕部251の係合孔251aに対応する位置に、この係合孔251aに係合可能な第1係合突起243cが突出形成されている。また、本体部243の第1側面243aには、第2腕部252の係合孔252aに対応する位置に、この係合孔252aに係合可能な第2係合突起243dが突出形成されている。これら係合孔251a,252a、および係合突起243c,243dによって、本体部243に各腕部251,252がスナップフィット固定される。
【0074】
また、第1腕部251の長さは、第1ハウジング8および第2ハウジング9の外周面に沿うように這わせた際に、若干引き延ばされた状態で本体部243に第1腕部251がスナップフィット固定される長さに設定されている。さらに、第2腕部252の長さは、フレーム30の外周面に沿うように這わせた際に、若干引き延ばされた状態で本体部243に第2腕部252がスナップフィット固定される長さに設定されている。
【0075】
(燃料供給装置の組み立て)
次に、燃料供給装置201の組み立てについて説明する。なお、燃料ポンプ3の組み立てについては、前述の第1実施形態と同様であるので、説明を省略する。
フレーム30に固定部材204を介して燃料ポンプ3を固定するにあたって、予め本体部243の各係合突起243c,243dと、各腕部251,252の係合孔251a,252aとの係合を解除しておく。
【0076】
続いて、本体部243の第1凹部253上に燃料ポンプ3を配置する。この際、第1凹部253上に、燃料ポンプ3の係合突起25および係合孔29を含む係合片28の全体が位置するように、燃料ポンプ3を配置する。また、このとき、第1凹部253の曲率半径が、第1ハウジング8および第2ハウジング9の曲率半径とほぼ同一に設定されているので、本体部243に対する燃料ポンプ3の密着性が高まる。
【0077】
続いて、第1腕部251を、第1ハウジング8および第2ハウジング9を径方向外側から覆うように燃料ポンプ3に掛け回す。そして、本体部243の第1係合突起243cに、第1腕部251の係合孔251aを係合させる。これにより、本体部243に、第1腕部251がスナップフィット固定される。このとき、第1係合突起243cが突出形成された第2側面243bが平坦に形成されているので、第1係合突起243cに第1腕部251を容易に係合させることができる。また、第1凹部253上に燃料ポンプ3の係合片28全体が位置しているので、第1腕部251によって、係合片28の全体が覆われる。
【0078】
続いて、フレーム30に、本体部243の第2凹部254を当接させる。この際、第2凹部254の曲率半径は、フレーム30の曲率半径よりもやや大きく設定されているので、フレーム30の若干の大小の変更に関わらず、第2凹部254上にフレーム30を配置することが可能である。
そして、本体部243の第2凹部254を当接させた状態で、第2腕部252を、フレーム30を径方向外側から覆うようにフレーム30に掛け回す。そして、本体部243の第2係合突起243dに、第2腕部252の係合孔252aを係合させる。これにより、本体部243に、第2腕部252がスナップフィット固定される。
【0079】
ここで、各腕部251,252は、弾性を有するゴムにより形成されている。また、本体部243に各腕部251,252がスナップフィット固定される際、各腕部251,252が若干引き延ばされた状態になる。このため、各腕部251,252に作用する復元力(弾性力)によって、本体部243に各腕部251,252が強固に固定される。また、各腕部251,252に作用する復元力(弾性力)によって、固定部材204に燃料ポンプ3が押圧される形になる。このため、固定部材204に燃料ポンプ3が強固に固定される。同様に、フレーム30に、固定部材204が強固に固定される。
とりわけ、本体部243の第1凹部253の曲率半径は、第1ハウジング8および第2ハウジング9の曲率半径とほぼ同一に設定されているので、固定部材204に対して燃料ポンプ3がガタついてしまうのを防止できる。
【0080】
このように、上述の第2実施形態では、1つの固定部材204によって、車両2のフレーム30に、燃料ポンプ3が固定されている。固定部材204は、燃料ポンプ3とフレーム30との間に介在される本体部243と、本体部243におけるフレーム30の延在方向(燃料ポンプ3の延在方向)と直交する方向で対向する2つの側面(第1側面243a、第2側面243b)からそれぞれ延出する第1腕部251、および第2腕部252とを備えている。そして、各腕部251,252の弾性を利用して、フレーム30に、燃料ポンプ3を強固に固定できる。また、各腕部251,252が弾性を有しているので、これら腕部251,252の取り扱いが容易であり、固定部材204への燃料ポンプ3の組付けを容易に行うことができる。さらにフレーム30に、固定部材204を容易に組み付けることができる。
【0081】
また、第1腕部251によって、燃料ポンプ3の各ハウジング8,9を係合する係合突起25と係合孔29とが覆われている。このため、第1腕部251によって、第2ハウジング9の係合片28が押え付けられ、各ハウジング8,9の係合が解除されてしまうことを確実に防止できる。
【0082】
また、固定部材204の本体部243には、燃料ポンプ3の延在方向と直交する方向で対向する2つの側面243a,243b(燃料ポンプ3を挟んで両側に位置する2つの側面243a,243b)に、それぞれ各腕部251,252を係合するための各係合突起243c,243dが形成されている。本体部243はブロック状で、2つの側面243a,243bは対向している。
【0083】
このため、各腕部251,252を係合させるにあたって、本体部243は、十分な機械的強度を確保できる。よって、本体部243に対する第1腕部251と第2腕部252との固定強度を十分確保することが可能になる。
また、各側面243a,243bが平坦に形成されているので、第1係合突起243cに第1腕部251を容易に係合させることができる。このため、本体部243に対する各腕部251,252のスナップフィット固定させる作業性を向上できる。
【0084】
ここで、固定部材204によってフレーム30に燃料ポンプ3を組み付けると、フレーム30に対して燃料ポンプ3が接近離間する方向に沿って振動が発生しがちである。このような状況で、この振動方向に対して直交する方向で対向する2つの側面243a,243bに、各腕部251,252をスナップフィット固定させるので、本体部243に対する各腕部251,252のスナップフィット固定を解除しにくくすることができる。また、燃料ポンプ3の自重を、本体部243と第1腕部251との係合個所や本体部243と第2腕部252との係合個所で受けることがない。このため、本体部243に対する各腕部251,252のスナップフィット固定を確実に解除しにくくすることができる。
【0085】
なお、上述の第2実施形態では、本体部243の第1側面243aから第1腕部251が延出され、本体部243の第2側面243bから第2腕部252が延出されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、本体部243の2つの側面243a,243bのうちの一方の側面から各腕部251,252を延出してもよい。
【0086】
(第3実施形態)
次に、
図5に基づいて、本発明の第3実施形態について説明する。
図5は、第3実施形態の燃料供給装置301の平面図であり、前述の第2実施形態の
図4に対応している。
図5に示すように、前述の第2実施形態と第3実施形態との相違点は、第2実施形態の固定部材204の構成と、第3実施形態の固定部材304の構成とが異なる点にある。
【0087】
(固定部材)
固定部材304は、燃料ポンプ3とフレーム30との間に介在される本体部343を有している点は、前述の第2実施形態と同様である。
本体部343には、フレーム30の延在方向(燃料ポンプ3の延在方向)と直交する方向で対向する2つの側面343a,343b(第1側面343a、第2側面343b)から燃料ポンプ3側に向かって2つの腕部351,352(第1腕部351、第2腕部352)が延出されている。また、本体部343には、2つの側面343a,343bからフレーム30側に向かって2つの腕部353,354(第3腕部353、第4腕部354)が延出されている。
【0088】
第1腕部351は、弾性を有するゴム製で帯状に形成されている。第1腕部351は、本体部343の第1側面343aから第1ハウジング8および第2ハウジング9の外周面に沿って湾曲延出されている。第1腕部351の長さは、第1ハウジング8および第2ハウジング9の外周面の約半分程度を覆う長さに設定されている。
【0089】
第2腕部352は、弾性を有するゴム製で帯状に形成されている。第2腕部352は、本体部343の第2側面343bから第1ハウジング8および第2ハウジング9の外周面に沿って湾曲延出されている。第2腕部352の長さは、第1ハウジング8および第2ハウジング9の外周面の約半分程度を覆う長さに設定されている。
【0090】
第1腕部351の先端部と第2腕部352の先端部は、第1ハウジング8および第2ハウジング9の本体部343とは反対側で重なり合っている。この重なり合った箇所には、各腕部351,352に係合部351a,352aが形成されている。各係合部351a,352aは、互いに係合可能に形成されている。これにより、第1腕部351と第2腕部352とが係合されている。
なお、各係合部351a,352aは、一方を突起とし、他方を、突起を受け入れる凹部または孔部として構成してもよい。また、その他、互いに係合可能な構成であればよい。
【0091】
第3腕部353は、弾性を有するゴム製で帯状に形成されている。第3腕部353は、本体部343の第1側面343aからフレーム30の外周面に沿って湾曲延出されている。第3腕部353の長さは、フレーム30の外周面の約半分程度を覆う長さに設定されている。
【0092】
第4腕部354は、弾性を有するゴム製で帯状に形成されている。第4腕部354は、本体部343の第2側面343bからフレーム30の外周面に沿って湾曲延出されている。第4腕部354の長さは、フレーム30の外周面の約半分程度を覆う長さに設定されている。
【0093】
第3腕部353の先端部と第4腕部354の先端部は、フレーム30の本体部343とは反対側で重なり合っている。この重なり合った箇所には、各腕部353,354に係合部353a,354aが形成されている。各係合部353a,354aは、互いに係合可能に形成されている。これにより、第3腕部353と第4腕部354とが係合されている。
なお、各係合部353a,354aは、一方を突起とし、他方を、突起を受け入れる凹部または孔部として構成してもよい。また、その他、互いに係合可能な構成であればよい。
【0094】
ここで、本体部343、及び各腕部351〜354のフレーム30の延在方向(燃料ポンプ3の軸方向)に直交する方向の幅(以下、単に幅という)は、全て同一に設定されている。また、本体部343、及び各腕部351〜354の幅は、第2ハウジング9の係合片28の延出長さとほぼ同一に設定されている。このため、各腕部351〜354によって、係合突起25および係合孔29を含む係合片28の全体が覆われる。
【0095】
したがって、上述の第3実施形態によれば、前述の第2実施形態と同様の効果を奏する。
また、上述の第3実施形態によれば、前述の第2実施形態にように、1つの第1腕部251によって固定部材204に燃料ポンプ3を固定したり、1つの第2腕部252によってフレーム30に固定部材204を取り付けたりする必要がない。このため、狭いスペースに燃料供給装置301を組み付ける場合であっても、組付け作業性を損なうことがない。よって、ユーザーフレンドリーな燃料供給装置301を提供できる。
【0096】
なお、上述の第2実施形態、および第3実施形態では、各腕部251,252,351〜354の幅は、本体部243,343の幅と同一である場合について説明した。また、各腕部251,252,351〜354の幅は、第2ハウジング9の係合片28の延出長さとほぼ同一に設定されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、各腕部251,252,351〜354の幅は、本体部243,343の幅と同一でなくてもよい。また、各腕部251,252,351〜354の幅は、第2ハウジング9の係合片28の延出長さと異なっていてもよい。但し、各腕部251,252,351〜354によって、燃料ポンプ3の2つのハウジング8,9を係合する係合突起25および係合孔29が径方向外側から覆われていればよい。
【0097】
また、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、燃料供給装置1は、車両2のエンジン(不図示)に燃料を供給するためのものである場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、燃料供給を必要とするさまざまな装置に燃料供給装置1の構成を採用することが可能である。
【0098】
また、上述の実施形態では、ポンプ部11には、例えば、インペラを有する非容積型の再生式ポンプが用いられている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ポンプ部11として、例えば、遠心ポンプ、渦巻きポンプなどの名称で知られる周知の種々のポンプ構造を採用することが可能である。
モータ部12もブラシ付きの直流モータに限られるものではなく、ブラシレスモータ等、さまざまなモータを採用することが可能である。