(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電流検出回路は、前記オン電流が流れる電流経路の配線抵抗、前記出力トランジスタのオン抵抗、または、前記出力トランジスタと並列に接続された電流監視用トランジスタのオン抵抗を利用して前記オン電流から前記センス電圧を生成することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の半導体装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の従来技術では、外付けのセンス抵抗を必要とするので、基板面積の増大やコストアップが課題となっていた。
【0005】
本明細書中に開示されている発明は、本願の発明者により見出された上記課題に鑑み、外付けのセンス抵抗を要することなく適切な過電流保護動作を行うことのできる過電流保護回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本明細書中に開示されている半導体装置は、直流入力電圧が入力される第1外部端子と、整流平滑回路が外付けされる第2外部端子と、前記第1外部端子と前記第2外部端子との間に接続された出力トランジスタと、前記整流平滑回路で所望の直流出力電圧が得られるように前記出力トランジスタをオン/オフさせる制御回路と、前記出力トランジスタのオン電流に応じたセンス電圧を生成する電流検出回路と、前記センス電圧を監視して過電流保護動作を行う過電流保護回路とを集積化して成り、前記過電流保護回路は、前記センス電圧が第1閾値電圧を上回っていることを検出したときにはパルスバイパルス方式の第1過電流保護動作を行い、前記第1過電流保護動作を行っていても前記センス電圧が上昇し続けていることを検出したときにはタイマラッチ方式の第2過電流保護動作を行う構成(第1の構成)とされている。
【0007】
なお、第1の構成から成る半導体装置において、前記過電流保護回路は、前記センス電圧と前記第1閾値電圧とを比較して第1比較信号を生成する第1コンパレータを含み、前記制御回路は、前記第1比較信号に応じて前記第1過電流保護動作が行われるように前記出力トランジスタを次周期のオンタイミングまで強制的にオフさせる構成(第2の構成)にするとよい。
【0008】
また、第2の構成から成る半導体装置において、前記過電流保護回路は、前記センス電圧と前記第1閾値電圧よりも高い第2閾値電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2コンパレータと、前記第2比較信号のパルスを複数周期連続して検出したときにワンショット信号を生成するカウンタと、前記ワンショット信号をトリガとして所定時間に亘るタイマ信号を生成するタイマと、を含み、前記制御回路は、前記タイマ信号に応じて前記第2過電流保護動作が行われるように前記出力トランジスタを前記所定時間に亘って強制的にオフさせる構成(第3の構成)にするとよい。
【0009】
また、第2の構成から成る半導体装置において、前記過電流保護回路は、前記センス電圧と前記第1閾値電圧よりも高い第2閾値電圧とを比較して第2比較信号を生成する第2コンパレータと、前記センス電圧と前記第1閾値電圧よりも高く前記第2閾値電圧よりも低い第3閾値電圧とを比較して第3比較信号を生成する第3コンパレータと、前記第3比較信号のパルス検出に続いて次周期で前記第2比較信号のパルスを検出したときにワンショット信号を生成するロジック部と、前記ワンショット信号をトリガとして所定時間に亘るタイマ信号を生成するタイマと、を含み、前記制御回路は、前記タイマ信号に応じて前記第2過電流保護動作が行われるように前記出力トランジスタを前記所定時間に亘って強制的にオフさせる構成(第4の構成)にするとよい。
【0010】
また、第1〜第4いずれかの構成から成る半導体装置は、前記電流検出回路と前記過電流保護回路との間に接続されたフィルタ回路をさらに集積化して成る構成(第5の構成)にするとよい。
【0011】
また、第1〜第5いずれかの構成から成る半導体装置において、前記電流検出回路は、前記オン電流が流れる電流経路の配線抵抗、前記出力トランジスタのオン抵抗、または、前記出力トランジスタと並列に接続された電流監視用トランジスタのオン抵抗を利用して前記オン電流から前記センス電圧を生成する構成(第6の構成)にするとよい。
【0012】
また、本明細書中に開示されているDC/DCコンバータは、第1〜第6いずれかの構成から成る半導体装置と、前記半導体装置に外付けされて所望の直流出力電圧を生成する整流平滑回路と、を有する構成(第7の構成)とされている。
【0013】
なお、第7の構成から成るDC/DCコンバータは、前記半導体装置に外付けされて前記直流出力電圧から前記半導体装置の電源電圧を生成する電源電圧生成回路をさらに有する構成(第8の構成)にするとよい。
【0014】
また、本明細書中に開示されている電源装置は、交流入力電圧から直流入力電圧を生成するAC/DCコンバータと、前記直流入力電圧から所望の直流出力電圧を生成する第7または第8の構成から成るDC/DCコンバータと、を有する構成(第9の構成)とされている。
【0015】
また、本明細書中に開示されている電子機器は、交流入力電圧から所望の直流出力電圧を生成する第9の構成から成る電源装置と、前記直流出力電圧の供給を受けて動作する負荷と、を有する構成(第10の構成)とされている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、外付けのセンス抵抗を要することなく適切な過電流保護動作を行うことのできる過電流保護回路を提供することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<電子機器>
図1は、電子機器の全体構成を示す回路ブロック図である。本構成例の電子機器Xは、交流電源Yから交流入力電圧Vacの供給を受けて所望の直流出力電圧Voutを生成する電源装置1と、直流出力電圧Voutの供給を受けて動作する負荷2と、を有する。
【0019】
<電源装置>
引き続き、
図1を参照しながら、電源装置1について説明する。電源装置1は、フィルタ10と、AC/DCコンバータ20と、DC/DCコンバータ30と、を有する。
【0020】
フィルタ10は、交流入力電圧Vacに重畳するノイズやサージを除去する。フィルタ10は、Xキャパシタ、コモンモードフィルタ、ないしは、ヒューズ素子などを含む。
【0021】
AC/DCコンバータ20は、フィルタ10を介して入力される交流入力電圧Vacから直流入力電圧Vinを生成する。AC/DCコンバータ20は、全波整流用のダイオードブリッジDBや出力平滑用のキャパシタC0を含む。
【0022】
DC/DCコンバータ30は、直流入力電圧Vinを降圧して所望の直流出力電圧Voutを生成し、これを負荷2に供給する非絶縁降圧スイッチングレギュレータである。
【0023】
<DC/DCコンバータ>
引き続き、
図1を参照しながら、DC/DCコンバータ30について説明する。DC/DCコンバータ30は、半導体装置100と、これに外付けされる種々のディスクリート部品(コイルL1、ダイオードD1及びD2、並びに、キャパシタC1〜C2)を含む。
【0024】
半導体装置100は、DC/DCコンバータ30の制御主体(いわゆるスイッチング制御IC)であり、装置外部との電気的な接続を確立するための手段として、外部端子T1〜T3を有している。外部端子T1(DRAINピン)は、直流入力電圧Vinの入力端に相当する。外部端子T2(GND_ICピン)は、スイッチ電圧Vswの出力端に相当する。外部端子T3(VCCピン)は、電源電圧Vccの入力端に相当する。
【0025】
コイルL1の第1端とダイオードD1のカソードは、いずれも外部端子T2に接続されている。コイルL1の第2端とキャパシタC1の第1端は、いずれも出力電圧Voutの出力端に接続されている。ダイオードD1のアノードとキャパシタC1の第2端は、いずれも接地端に接続されている。これらのディスクリート部品(コイルL1、ダイオードD1、及び、キャパシタC1)は、スイッチ電圧Vswを整流及び平滑して所望の直流出力電圧Voutを生成する整流平滑回路として機能する。なお、ダイオードD1に代えて同期整流トランジスタを半導体装置100に集積化してもよい。
【0026】
ダイオードD2のカソードとキャパシタC2の第1端は、いずれも外部端子T3に接続されている。キャパシタC2の第2端は、外部端子T2に接続されている。ダイオードD2のアノードは、出力電圧Voutの出力端に接続されている。これらのディスクリート部品(ダイオードD2及びキャパシタC2)は、出力電圧Voutを整流及び平滑して半導体装置100の電源電圧Vccを生成する電源電圧生成回路として機能する。
【0027】
なお、半導体装置100の内部には、外部端子T1と外部端子T2との間に出力トランジスタ101が設けられており、そのオン/オフ状態に応じてコイル電流ILの流れる電流経路が切り替わる。
【0028】
図2は、出力トランジスタ101のオン期間における電流経路図である。出力トランジスタ101がオンされている場合には、破線矢印で示すように、キャパシタC0→出力トランジスタ101→コイルL1→キャパシタC1という経路でオン電流Ionが流れる。
【0029】
図3は、出力トランジスタ101のオフ期間における電流経路図である。出力トランジスタ101がオフされている場合には、破線矢印で示すように、ダイオードD1→コイルL1→キャパシタC1という経路でオフ電流Ioffが流れる。
【0030】
<半導体装置>
図4は、半導体装置100の基本構成を示すブロック図である。本構成例の半導体装置100には、出力トランジスタ101と、帰還電圧生成回路102と、誤差増幅回路103と、比較回路104と、制御回路105と、RSフリップフロップ回路106と、駆動回路107と、起動回路108と、電流検出回路109と、フィルタ回路110と、過電流保護回路111と、が集積化されている。なお、半導体装置100には、上記回路ブロックのほかにも、種々の回路ブロック(内部電源回路、減電圧保護回路、温度保護回路、過電圧保護回路など)を適宜組み込むことが可能である。
【0031】
出力トランジスタ101は、外部端子T1と外部端子T2との間に接続されたスイッチ素子である。本図に示した例では、出力トランジスタ101として、Nチャネル型MOS[metal oxide semiconductor]電界効果トランジスタが用いられている。出力トランジスタ101のドレインは、外部端子T1に接続されている。出力トランジスタ101のソースは、外部端子T2に接続されている。出力トランジスタ101のゲートは、駆動回路107の出力端(=ゲート信号S4の出力端)に接続されている。出力トランジスタ101は、ゲート信号S4がハイレベルであるときにオンとなり、ゲート信号S4がローレベルであるときにオフとなる。なお、出力トランジスタ101としては、Pチャネル型MOS電界効果トランジスタを用いることも可能である。
【0032】
帰還電圧生成回路102は、外部端子T3と接地端との間に直列接続された抵抗Ra及びRbを含み、電源電圧Vcc(≒出力電圧Vout)を所定の分圧比α(=Rb/(Ra+Rb))で分圧することにより、抵抗Raと抵抗Rbとの接続ノードから帰還電圧Vfbを出力する。なお、電源電圧Vccが誤差増幅回路103の入力ダイナミックレンジに収まっていれば、帰還電圧生成回路102を省略し、電源電圧Vccを誤差増幅回路103に直接入力することも可能である。
【0033】
誤差増幅回路103は、非反転入力端(+)に入力される基準電圧Vrefと、反転入力端(−)に入力される帰還電圧Vfb(=出力電圧Voutの分圧電圧に相当)との差分に応じた誤差電圧Verrを生成する。誤差電圧Verrは、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも低いときに上昇し、帰還電圧Vfbが基準電圧Vrefよりも高いときに低下する。
【0034】
比較回路104は、非反転入力端(+)に入力される誤差電圧Verrと、反転入力端(−)に入力されるセンス電圧Vcsとを比較してパルス幅変調信号S0を生成する。パルス幅変調信号S0は、誤差電圧Verrがセンス電圧Vcsよりも高いときにハイレベルとなり、誤差電圧Verrがセンス電圧Vcsよりも低いときにローレベルとなる。なお、本図の例では、センス電圧Vcsが比較回路104に直接入力されているが、その他の構成としては、例えば、三角波形や鋸波形のスロープ電圧とセンス電圧Vcsとを足し合わせた加算電圧を比較回路104に入力してもよい。また、カレントモード制御を必要としないのであれば、上記のスロープ電圧のみを比較回路104に入力してもよい。
【0035】
制御回路105は、先述の整流平滑回路(L1、D1、C1)で所望の直流出力電圧Voutが得られるように、パルス幅変調信号S0に応じてオン信号S1とオフ信号S2を生成する。オン信号S1は、所定のスイッチング周波数fswを持つ基準クロック信号である。オフ信号S2は、パルス幅変調信号S0のパルスエッジをトリガとして生成されるワンショット信号である。ただし、制御回路105による出力トランジスタ101の駆動方式は、パルス幅変調方式に限定されるものではなく、パルス周波数変調方式など、いかなる方式を採用しても構わない。
【0036】
RSフリップフロップ回路106は、オン信号S1とオフS2の入力を受けてオン/オフ制御信号S3を生成する。より具体的に述べると、RSフリップフロップ106は、オン信号S1のパルスエッジでオン/オフ制御信号S3をハイレベルにセットし、オフ信号S2のパルスエッジでオン/オフ制御信号S3をローレベルにリセットする。
【0037】
駆動回路107は、電源電圧Vccの供給を受けて動作し、オン/オフ制御信号S3の電流能力を高めてゲート信号S4を生成する。オン/オフ制御信号S3がハイレベルであるときには、ゲート信号S4がハイレベルとなり、出力トランジスタ101がオンする。一方、オン/オフ制御信号S3がローレベルであるときには、ゲート信号S4がローレベルとなり、出力トランジスタ101がオフする。
【0038】
起動回路108は、DC/DCコンバータ30の起動時において、外部端子T1と外部端子T3との間をショートすることにより、直流入力電圧Vinを用いて電源電圧Vccを引き上げる。従って、出力電圧Voutから十分な電源電圧Vccを生成することができないときでも、出力トランジスタ101のオン/オフ制御に支障を来たすことはない。
【0039】
電流検出回路109は、オン電流Ionが流れる電流経路の配線抵抗、出力トランジスタ101のオン抵抗、または、出力トランジスタ101と並列に接続された電流監視用トランジスタのオン抵抗をセンス抵抗として利用することにより、オン電流Ionに応じたセンス電圧Vcsを生成する。すなわち、オン電流Ionが大きいほどセンス電圧Vcsが高くなり、オン電流Ionが小さいほどセンス電圧Vcsが低くなる。
【0040】
なお、本図では、出力トランジスタ101のソースと外部端子T2との間に敷設されたメタル配線の抵抗成分を利用する例として、当該位置に電流検出回路109を設けた様子が描写されている。ただし、電流検出回路109の位置は、これに限定されるものではない。例えば、外部端子T1と出力トランジスタ101のドレインとの間に敷設されたメタル配線の抵抗成分を利用する場合には、電流検出回路109が出力トランジスタ101のソース側ではなくドレイン側に設けられる。また、出力トランジスタ101のオン抵抗を利用する場合には、電流検出回路109が出力トランジスタ101に並列接続される。
【0041】
フィルタ回路110は、電流検出回路109と過電流保護回路111との間に接続されており、センス電圧Vcsに重畳するノイズ成分(スイッチングノイズ等)を除去する。
【0042】
過電流保護回路111は、フィルタ回路110を介して入力されるセンス電圧Vcsを監視して過電流保護信号S5を生成することにより過電流保護動作を行う。より具体的に述べると、過電流保護回路111は、センス電圧Vcsが第1閾値電圧Vth1を上回っていることを検出したときにはパルスバイパルス方式の第1過電流保護動作を行い、第1過電流保護動作を行っていてもセンス電圧Vcsが上昇し続けていることを検出したときにはタイマラッチ方式の第2過電流保護動作を行うように、過電流保護信号S5を生成する。以下では、過電流保護回路111の構成ないし動作について詳述する。
【0043】
<過電流保護回路(第1実施形態)>
図5は、過電流保護回路111の第1実施形態を示すブロック図である。本実施形態の過電流保護回路111は、コンパレータ111a1及び111a2と、カウンタ111bと、タイマ111cと、を含み、センス電圧Vcsを監視して過電流保護信号S5を生成する。なお、過電流保護信号S5には、第1過電流保護動作用の第1過電流保護信号S5Xと、第2過電流保護動作用の第2過電流保護信号S5Yと、が含まれている。
【0044】
コンパレータ111a1は、非反転入力端(+)に入力されるセンス電圧Vcsと反転入力端(−)に入力される第1閾値電圧Vth1とを比較して第1比較信号Sa1を生成する。第1比較信号Sa1は、センス電圧Vcsが第1閾値電圧Vth1よりも低いときにローレベルとなり、センス電圧Vcsが第1閾値電圧Vth1よりも高いときにハイレベルとなる。センス電圧Vcsと第1閾値電圧Vth1との関係は、オン電流Ionと第1閾値電流Ith1との関係に読み替えることができる。すなわち、第1比較信号Sa1は、オン電流Ionが第1閾値電流Ith1よりも小さいときにローレベルとなり、オン電流Ionが第1閾値電流Ith1よりも大きいときにハイレベルとなる。なお、第1比較信号Sa1は、第1過電流保護信号S5Xとして制御回路105に出力される。
【0045】
コンパレータ111a2は、非反転入力端(+)に入力されるセンス電圧Vcsと反転入力端(−)に入力される第2閾値電圧Vth2(>Vth1)とを比較して第2比較信号Sa2を生成する。第2比較信号Sa2は、センス電圧Vcsが第2閾値電圧Vth2よりも低いときにローレベルとなり、センス電圧Vcsが第2閾値電圧Vth2よりも高いときにハイレベルとなる。センス電圧Vcsと第2閾値電圧Vth2との関係は、オン電流Ionと第2閾値電流Ith2(>Ith1)との関係に読み替えることができる。すなわち、第2比較信号Sa2は、オン電流Ionが第2閾値電流Ith2よりも小さいときにローレベルとなり、オン電流Ionが第2閾値電流Ith2よりも大きいときにハイレベルとなる。
【0046】
カウンタ111bは、第2比較信号Sa2のパルスを複数周期連続して検出したときにワンショット信号Sbを生成する。
【0047】
タイマ111cは、ワンショット信号Sbのパルスエッジをトリガとして所定時間Tに亘りハイレベルとなるタイマ信号Scを生成する。タイマ111cは、デジタルタイマであってもアナログタイマであってもよい。なお、タイマ信号Scは、第2過電流保護信号S5Yとして制御回路105に出力される。
【0048】
まず、第1実施形態の過電流保護動作を詳述するに先立ち、
図6を参照しながら、第1過電流保護信号S5Xを用いたパルスバイパルス方式の第1過電流保護動作について、その概要と課題を簡単に説明する。
図6は、第1過電流保護動作を示すタイミングチャートであり、オン電流Ion、オフ電流Ioff、コイル電流IL(=Ion+Ioff)、及び、第1比較信号Sa1(=第1過電流保護信号S5X)が描写されている。
【0049】
オン電流Ionが第1閾値電流Ith1よりも高くなり、第1過電流保護信号S5Xがハイレベルに立ち上がると、制御回路105は、出力トランジスタ101を次周期のオンタイミングまで強制的にオフさせる。このように、パルスバイパルス方式の第1過電流保護動作では、オン電流Ionが第1閾値電流Ith1を上回っている間、一周期毎にスイッチング動作の強制停止と自己復帰が繰り返される。従って、負荷変動などにより一時的に過電流が検出された場合であっても、スイッチング動作が継続的に強制停止されることはないので、出力電圧Voutを安定的に生成することができる。
【0050】
しかしながら、例えば、出力電圧Voutの出力端が低インピーダンスの経路を介して地絡(接地端またはそれに準ずる低電位端への短絡)した場合には、出力トランジスタ101の強制オフ期間中におけるコイル電流ILの低下量ΔIL(Vout/Lに応じて決定)が小さいので、十分な過電流保護を掛けることができず、本図で示したように、コイル電流ILが上昇し続けてしまう。そのため、コイルL1として電流容量の大きい素子を用いなければならず、コストアップが課題となる。
【0051】
なお、背景技術の項でも述べたように、外付けのセンス抵抗をコイルL1の直近に設ければ、オン電流Ionだけでなくオフ電流Ioffも監視することができるので、より適切な過電流保護を掛けることもできる。しかしながら、当該構成を採用するためには、外付けのセンス抵抗を別途必要とするので、基板面積の増大やコストアップが課題となる。
【0052】
次に、
図7を参照しつつ、第1実施形態の過電流保護動作について詳述する。
図7は、第1実施形態の過電流保護動作を示すタイミングチャートであり、オン電流Ion、オフ電流Ioff、コイル電流IL(=Ion+Ioff)、第1比較信号Sa1(=第1過電流保護信号S5X)、第2比較信号Sa2、ワンショット信号Sb、及び、タイマ信号Sc(=第2過電流保護信号S5)が描写されている。なお、本図中の破線は、パルスバイパルス方式の第1過電流保護動作のみを行う場合の挙動(
図6の挙動)を比較参照用として示している。
【0053】
オン電流Ionが第1閾値電流Ith1よりも高くなり、第1過電流保護信号S5Xがハイレベルに立ち上がると、制御回路105は、出力トランジスタ101を次周期のオンタイミングまで強制的にオフさせる。このように、オン電流Ionが第1閾値電流Ith1を上回っていることを検出したときには、先出の
図6で説明したパルスバイパルス方式の第1過電流保護動作が行われる。
【0054】
一方、上記の第1過電流保護動作を行っていてもオン電流Ionが上昇し続けた結果、オン電流Ionが第2閾値電流Ith2よりも高くなると、第2比較信号Sa2にパルスが生成されるようになる。そして、その後もオン電流Ionの上昇が複数周期に亘って継続し、第2比較信号Sa2に複数(本図の例示では2つ)のパルスが連続して生成されると、ワンショット信号Sbにパルスが生成される。
【0055】
このとき、第2過電流保護信号S5Y(=タイマ信号Sc)は、ワンショットパルス信号Sbのパルスをトリガとしてハイレベルに立ち上がり、以後、所定時間Tに亘ってハイレベルに維持される。なお、所定時間Tは、スイッチング周期(=1/fsw)よりも長いものとする。
【0056】
第2過電流保護信号S5Yがハイレベルに立ち上がると、制御回路105は、出力トランジスタ101を第2過電流保護信号S5Yのハイレベル期間(=所定時間T)に亘って強制的にオフさせる。このように、パルスバイパルス方式の第1過電流保護動作を行っていてもオン電流Ionが上昇し続けたときには、タイマラッチ方式の第2過電流保護動作に切り替わり、出力トランジスタ101が複数周期に亘って強制オフされる。従って、例えば、出力電圧Voutの出力端が地絡した場合であっても、適切な過電流保護を掛けることが可能となる。
【0057】
<過電流保護回路(第2実施形態)>
図8は、過電流保護回路111の第2実施形態を示すブロック図である。本実施形態の過電流保護回路111は、第1実施形態(
図5)をベースとしつつ、コンパレータ111a3を追加し、さらに、カウンタ111bをロジック部111b2に置き換えた構成とされている。そこで、第1実施形態と同様の構成要素については、
図5と同様の符号を付すことで重複した説明を割愛し、以下では、第2実施形態の特徴部分を重点的に説明する。
【0058】
コンパレータ111a3は、非反転入力端(+)に入力されるセンス電圧Vcsと反転入力端(−)に入力される第3閾値電圧Vth3(ただし、Vth1<Vth3<Vth2)とを比較して第3比較信号Sa3を生成する。第3比較信号Sa3は、センス電圧Vcsが第3閾値電圧Vth3よりも低いときにローレベルとなり、センス電圧Vcsが第3閾値電圧Vth3よりも高いときにハイレベルとなる。センス電圧Vcsと第3閾値電圧Vth3との関係は、オン電流Ionと第3閾値電流Ith3(ただし、Ith1<Ith3<Ith2)との関係に読み替えることができる。すなわち、第3比較信号Sa3は、オン電流Ionが第3閾値電流Ith3よりも小さいときにローレベルとなり、オン電流Ionが第3閾値電流Ith3よりも大きいときにハイレベルとなる。
【0059】
ロジック部111b2は、第3比較信号Sa3のパルス検出に続いて次周期で第2比較信号Sa2のパルスを検出したときにワンショット信号Sbを生成する。
【0060】
図9は、第2実施形態の過電流保護動作を示すタイミングチャートであり、オン電流Ion、オフ電流Ioff、コイル電流IL(=Ion+Ioff)、第1比較信号Sa1(=第1過電流保護信号S5X)、第2比較信号Sa2、第3比較信号Sa3、ワンショット信号Sb、並びに、タイマ信号Sc(=第2過電流保護信号S5Y)が描写されている。なお、本図中の破線は、パルスバイパルス方式の第1過電流保護動作のみを行う場合の挙動(
図6の挙動)を比較参照用として示している。
【0061】
オン電流Ionが第1閾値電流Ith1よりも高くなり、第1過電流保護信号S5Xがハイレベルに立ち上がると、制御回路105は、出力トランジスタ101を次周期のオンタイミングまで強制的にオフさせる。このように、オン電流Ionが第1閾値電流Ith1を上回っていることを検出したときにパルスバイパルス方式の第1過電流保護動作を行う点については、先出の第1実施形態(
図7)と同様である。
【0062】
一方、上記の第1過電流保護動作を行っていてもオン電流Ionが上昇し続けた結果、オン電流Ionが第3閾値電流Ith3よりも高くなると、第3比較信号Sa3にパルスが生成されるようになる。そして、その後もオン電流Ionの上昇が続き、次周期で第2比較信号Sa2のパルスが生成されると、ワンショット信号Sbにパルスが生成される。すなわち、ロジック部111b2は、(Sa2,Sa3)が(L,H)から(H,H)に切り替わったことを検出した時点でワンショット信号Sbにパルスを生成する。
【0063】
このとき、第2過電流保護信号S5Y(=タイマ信号Sc)は、ワンショットパルス信号Sbのパルスをトリガとしてハイレベルに立ち上がり、以後、所定時間Tに亘ってハイレベルに維持される。なお、所定時間Tは、先にも述べたように、スイッチング周期(=1/fsw)よりも長いものとする。
【0064】
第2過電流保護信号S5Yがハイレベルに立ち上がると、制御回路105は、出力トランジスタ101を第2過電流保護信号S5Yのハイレベル期間(=所定時間T)に亘って強制的にオフさせる。このように、パルスバイパルス方式の第1過電流保護動作を行っていてもオン電流Ionが上昇し続けたときには、先出の第1実施形態(
図7)と同じく、タイマラッチ方式の第2過電流保護動作に切り替わり、出力トランジスタ101が複数周期に亘って強制オフされる。従って、例えば、出力電圧Voutの出力端が地絡した場合であっても、適切な過電流保護を掛けることが可能となる。
【0065】
<エアコンへの適用>
図10は、エアコンX1の外観図である。エアコンX1は、電源装置1を搭載する電子機器Xの一例である。ただし、電源装置1は、これ以外の電子機器にも好適に搭載することが可能である。
【0066】
<その他の変形例>
なお、本明細書中に開示されている種々の技術的特徴は、上記実施形態のほか、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。すなわち、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。