(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0015】
なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実施の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。
【0016】
また本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0017】
さらに、実施の形態で用いる図面においては、構造物を区別するために付したハッチング(網掛け)を図面に応じて省略する場合もある。
【0018】
(実施の形態1)
初めに、実施の形態1として、入力装置としてのタッチパネルを、入力装置の検出電極が、表示装置の表示パネル内に設けられ、かつ、表示装置の共通電極として機能するインセル型のタッチ検出機能付き表示装置に適用した例について説明する。ここで、本実施の形態1の表示装置は、液晶表示装置である。なお、本願明細書では、入力装置とは、少なくとも電極に対して近接または接触する物体の容量に応じて変化する静電容量を検出する入力装置である。ここで、静電容量を検出する方式としては、1つの電極の静電容量を検出する自己容量方式を用いることができる。また、インセル型のタッチ検出機能付き表示装置とは、タッチ検出用の駆動電極または検出電極が、画素による画像表示用の駆動電極として機能する、という特徴を持つタッチ検出機能付き表示装置を意味する。
【0019】
<表示装置>
図1は、実施の形態1の表示装置の一例を示す平面図である。
図2は、実施の形態1の表示装置における画素を示す等価回路図である。
図3は、実施の形態1の表示装置の一例を示す断面図である。
図4は、実施の形態1の表示装置における共通電極の配置の一例を示す平面図である。なお、
図3では、実際には
図3の断面には配置されていない走査線GLを便宜上一緒に示している。
【0020】
図1に示すように、液晶表示装置としての表示装置DSPは、アクティブマトリクス型の液晶表示パネルとしての表示パネルPNL、表示パネルPNLを駆動する駆動ICチップIC1、および、静電容量型の検出部SEを有する。表示パネルPNLは、第1の側(
図3中上側)の前面FS、および、第1の側と反対側(
図3中下側)の背面BSを有し、前面FSに画像が表示される。また、タッチ検出回路としての検出部SEおよび検出部SEによる検出方法については、後述する
図14〜
図19を用いて説明する。なお、図示は省略するが、表示装置DSPは、表示パネルPNLの外部に設けられた制御モジュール、表示パネルPNLと制御モジュールとを接続するフレキシブル配線基板、および、検出部SEを駆動する駆動ICチップなどを有してもよい。
【0021】
図1および
図3に示すように、液晶表示パネルとしての表示パネルPNLは、基板SUB1と、基板SUB1と対向配置された基板SUB2と、基板SUB1と基板SUB2との間に配置された液晶層LQと、を含む。基板SUB2は、基板SUB1に対して第1の側(
図3中上側)に配置されている。なお、本実施の形態1において、基板SUB1をアレイ基板と言い換えることができ、基板SUB2を対向基板と言い換えることができる。
【0022】
また、
図3および
図4に示すように、表示装置DSPは、表示パネルPNLの内部に配置された複数の検出電極Rxを有する。複数の検出電極Rxは、平面視において表示パネルPNLと重なる。また、複数の検出電極Rxは、基板SUB1と液晶層LQとの間に配置されている。
【0023】
後述する
図14〜
図19を用いて説明するが、検出部SEは、複数の検出電極Rxの各々の静電容量を検出する。また、複数の検出電極Rxが表示パネルPNLの内部に設けられている場合、表示装置DSPは、インセル型のタッチ検出機能付き表示装置である。なお、後述する実施の形態2で説明するように、検出電極Rxを表示パネルPNLの外部に設けることもでき、この場合の表示装置DSPは、オンセル型のタッチ検出機能付き表示装置である。
【0024】
図1および
図4に示すように、表示パネルPNLは、画像を表示する表示領域(アクティブエリア)DAを備えている。平面視において、互いに交差、好適には直交する2つの方向をX軸方向およびY軸方向とする。このとき、複数の検出電極Rxは、平面視において、表示領域DA内において、X軸方向およびY軸方向にマトリクス状に配列されている。すなわち、複数の検出電極Rxは、平面視において表示パネルPNLにマトリクス状に設けられている。なお、本願明細書では、平面視において、とは、表示パネルPNLの表示面に垂直な方向から視た場合を意味する。
【0025】
図3に示すように、表示装置DSPは、バックライトユニットBLを有する。バックライトユニットBLは、基板SUB1の背面側に配置されている。このようなバックライトユニットBLとしては、種々の形態が適用可能であり、また、光源として発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)を利用したものや、冷陰極管(Cold Cathode Fluorescent Lamp:CCFL)を利用したものなどのいずれでも適用可能であり、詳細な構造については説明を省略する。
【0026】
図1に示すように、駆動ICチップIC1は、表示パネルPNLの領域であって、表示領域DAの外側の領域である非表示領域NDAにおいて、基板SUB1上に、設けられている。駆動ICチップIC1は、信号線駆動回路SDなどを有する。
【0027】
図1に示すように、表示装置DSPは、マルチプレクサ回路MU1と、複数の走査線GLと、複数の走査線に入力される走査信号を出力する走査信号出力回路としての走査線駆動回路GDと、走査線駆動回路GDと複数の走査線GLとの接続状態を切り替える切り替え部GSPと、を有する。また、表示装置DSPは、複数の信号線SLと、複数の共通電極CEと、複数の画素PXと、を有する。
【0028】
マルチプレクサ回路MU1および走査線駆動回路GDは、非表示領域NDAにおいて、基板SUB1上に、設けられている。駆動ICチップIC1は、マルチプレクサ回路MU1および走査線駆動回路GDに接続されている。
【0029】
なお、図示は省略するが、非表示領域NDAにおいて、基板SUB1上には、共通電極駆動回路が設けられていてもよい。共通電極駆動回路は、表示装置DSPが画像を表示する際に、共通電極CEを切り替えて駆動する。
【0030】
表示領域DAにおいて、基板SUB1と基板SUB2との間には、複数の画素PXが配置されている。複数の画素PXは、X軸方向およびY軸方向にマトリクス状に配列され、m×n個配置されている(ただし、mおよびnは正の整数である)。
【0031】
表示領域DAにおいて、基板SUB1の上方には、n本の走査線GLの一部としての走査線GL1、GL2、GL3およびGLn、m本の信号線SLの一部としての信号線SL1、SL2およびSLm、ならびに、共通電極CEなどが形成されている。
【0032】
複数の走査線GLは、X軸方向にそれぞれ延在し、かつ、Y軸方向に互いに間隔を空けて配列されている。複数の走査線GLの各々は、表示領域DAの外側に引き出され、切り替え部GSPに含まれるスイッチング素子GSWを介して、走査線駆動回路GDに接続されている。複数の信号線SLは、Y軸方向にそれぞれ延在し、かつ、X軸方向に互いに間隔を空けて配列されている。また、複数の信号線SLは、複数の走査線GLと交差している。複数の信号線SLの各々は、表示領域DAの外側に引き出され、マルチプレクサ回路MU1に接続されている。
【0033】
図4に示すように、共通電極CEは、X軸方向およびY軸方向にマトリクス状に配列されている。本実施の形態1では、共通電極CEが、自己容量方式のタッチ検出用の検出電極Rxを兼ねる場合を例示して説明する。しかし、共通電極CEが、検出電極Rxを兼ねる場合には限られない。共通電極CEが、検出電極Rxを兼ねない場合、複数の共通電極CEは、X軸方向に分割されずにそれぞれ延在し、かつ、Y軸方向に互いに間隔を空けて配列されていてもよい。あるいは、複数の共通電極CEは、Y軸方向に分割されずにそれぞれ延在し、かつ、X軸方向に互いに間隔を空けて配列されていてもよい。
【0034】
駆動ICチップIC1は、マルチプレクサ回路MU1および走査線駆動回路GDに接続されている。また、
図1に示す例では、検出部SEとスイッチング素子GSWとは、配線W1により接続され、駆動ICチップIC1と走査線駆動回路GDとは、配線W2により接続されている。このため、検出部SEは、配線W1を介してスイッチング素子GSWに制御信号を与えることができる。例えば、後述する
図16を用いて説明するように、検出部SEは、スイッチング素子GSWをオフ状態(非導通状態)にするオフ電圧としての制御信号(
図16の電圧V2に相当)を出力することができ、全ての走査線GLを電気的に浮遊した状態(フローティング状態)に切替えることができる。なお、検出部SEが駆動ICチップIC1に含まれてもよく、駆動ICチップIC1に含まれる検出部SEとスイッチング素子GSWとが、配線W1により接続されていてもよい。
【0035】
図2に示すように、各画素PXは、画素スイッチング素子PSWと、画素電極PEと、を有する。また、複数の画素PXは、共通電極CEを、共有する。画素スイッチング素子PSWは、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor:TFT)を含む。画素スイッチング素子PSWは、走査線GLおよび信号線SLと電気的に接続されている。画素スイッチング素子PSWは、トップゲート型TFTおよびボトムゲート型TFTのいずれであってもよい。また、画素スイッチング素子PSWの半導体層は、例えば、多結晶シリコン(ポリシリコン)からなるが、アモルファスシリコンからなるものでもよい。
【0036】
画素電極PEは、画素スイッチング素子PSWに電気的に接続されている。画素電極PEは、絶縁膜を介して共通電極CEと対向している。共通電極CE、絶縁膜および画素電極PEは、保持容量CSを形成している。
【0037】
図3に示すように、表示装置DSPは、光学素子OD1と、光学素子OD2と、を有する。また、表示装置DSPは、表示モードとして、横電界モードであるFFS(Fringe Field Switching)モードに対応した構成を有するが、同じく横電界モードであるIPS(In Plane Switching)モードなどの他の表示モードに対応した構成を有してもよい。
【0038】
なお、FFSモードを利用する表示装置DSPでは、基板SUB1に画素電極PEおよび共通電極CEが設けられている。液晶層LQを構成する液晶分子は、画素電極PEと共通電極CEとの間に形成される横電界(特に、フリンジ電界のうちの基板の主面にほぼ平行な電界)を主に利用してスイッチングされる。
【0039】
基板SUB1と基板SUB2とは一定の間隔で離れた状態で貼り合わされている。液晶層LQは、基板SUB1と基板SUB2との間に封入されている。
【0040】
図3に示すように、基板SUB1は、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する絶縁基板10を有する。また、基板SUB1は、絶縁基板10の基板SUB1に対向する側に、複数の走査線GLと、複数の信号線SLと、複数の共通電極CEと、複数の画素電極PEと、絶縁膜11と、絶縁膜12と、絶縁膜13と、配向膜AL1と、を有する。なお、
図3では、1個の走査線GLと、1個の共通電極CEと、を示している。
【0041】
走査線GLは、絶縁基板10上に形成されている。走査線GLは、例えばクロム(Cr)もしくはモリブデン(Mo)等の金属またはそれらの合金からなる。
【0042】
絶縁膜11は、走査線GLおよび絶縁基板10の上に形成されている。絶縁膜11は、例えば窒化シリコンまたは酸化シリコン等からなる透明な絶縁膜である。なお、詳述しないが、絶縁基板10と絶縁膜11との間には、走査線GLの他に、画素スイッチング素子のゲート電極や半導体層などが形成されている。
【0043】
信号線SLは、絶縁膜11上に形成されている。信号線SLは、例えばアルミニウム(Al)をモリブデン(Mo)等で挟んだ多層構造の金属膜からなる。また、画素スイッチング素子のソース電極やドレイン電極なども絶縁膜11の上に形成されている。図示した例では、信号線SLは、Y軸方向に延在する。
【0044】
絶縁膜12は、信号線SLおよび絶縁膜11の各々の上に形成されている。絶縁膜12は、例えばアクリル系の感光性樹脂からなる。
【0045】
共通電極CEは、絶縁膜12上に形成されている。なお、共通電極CEは、前述したように複数個設けられており、タッチ検出用の検出電極Rxを兼ねている。共通電極CEは、ITO(Indium tin oxide)またはIZO(Indium Zinc Oxide)などの透明な導電材料からなる。なお、表示装置が、縦電界モードとしてのTN(Twisted Nematic)モードまたはVA(Vertical Alignment)モード等の表示装置である場合、共通電極CEは、基板SUB2に形成されていてもよい。
【0046】
絶縁膜13は、共通電極CEおよび絶縁膜12の各々の上に形成されている。画素電極PEは、絶縁膜13上に形成されている。各画素電極PEは、互いに隣り合う2つの信号線SLの間に位置し、共通電極CEと対向している。また、各画素電極PEは、共通電極CEと対向する位置にスリットSLTを有している。このような画素電極PEは、例えば、ITOまたはIZOなどの透明な導電材料からなる。配向膜AL1は、画素電極PEおよび絶縁膜13を覆っている。
【0047】
一方、基板SUB2は、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する絶縁基板20を有する。また、基板SUB2は、絶縁基板20の基板SUB1に対向する側に、ブラックマトリクスBMと、カラーフィルタCFR、CFGおよびCFBと、オーバーコート層OCLと、配向膜AL2と、を有する。
【0048】
ブラックマトリクスBMは、絶縁基板20の基板SUB1側の面に形成され、各画素を区画している。カラーフィルタCFR、CFGおよびCFBは、それぞれ絶縁基板20の基板SUB1側の面に形成され、平面視において、カラーフィルタCFR、CFGおよびCFBの各々の一部がブラックマトリクスBMと重なっている。カラーフィルタCFRは赤色カラーフィルタであり、カラーフィルタCFGは緑色カラーフィルタであり、カラーフィルタCFBは青色カラーフィルタである。オーバーコート層OCLは、カラーフィルタCFR、CFGおよびCFBを覆っている。オーバーコート層OCLは、透明な樹脂材料からなる。配向膜AL2は、オーバーコート層OCLを覆っている。
【0049】
光学素子OD1は、絶縁基板10とバックライトユニットBLとの間に配置されている。光学素子OD2は、絶縁基板20の上方、すなわち絶縁基板20を挟んで基板SUB1と反対側に配置されている。光学素子OD1および光学素子OD2は、それぞれ少なくとも偏光板を含んでおり、必要に応じて位相差板を含んでいてもよい。
【0050】
なお、光学素子OD1は、接着層(図示は省略)により絶縁基板10に接着されていてもよく、光学素子OD2は、接着層(図示は省略)により絶縁基板20に接着されていてもよい。
【0051】
図3および
図4に示すように、表示装置DSPは、シールド電極SHを有する。シールド電極SHは、平面視において表示パネルPNLと重なる。また、後述する
図16を用いて説明するが、シールド電極SHは、平面視において複数の検出電極Rxの各々と重なり、シールド電極SHは、平面視において複数の走査線および複数の信号線の各々と重なる。シールド電極SHは、ITOまたはIZOなどの透明な導電材料からなる。なお、検出部SE(
図1参照)は、シールド電極SHの静電容量を検出する。
【0052】
シールド電極SHは、基板SUB1、すなわち絶縁基板10に対して、第1の側と反対側(
図3中下側)に配置されている。言い換えれば、シールド電極SHは、基板SUB1、すなわち絶縁基板10に対して、表示パネルPNLの前面FS側と反対側に配置されている。
【0053】
したがって、シールド電極SHは、複数の検出電極Rxに対して、第1の側と反対側(
図3中下側)に配置されている。言い換えれば、シールド電極SHは、複数の検出電極Rxに対して、表示パネルPNLの前面FS側と反対側、すなわち表示パネルPNLの背面BS側に配置されている。
【0054】
これにより、表示パネルPNLの背面BS側から表示パネルPNLに近接または接触した物体が、複数の検出電極Rxの各々の静電容量の変化に影響を及ぼすことを防止または抑制することができる。すなわち、シールド電極SHは、複数の検出電極Rxの各々を、表示パネルPNLの背面BS側から表示パネルPNLに近接または接触した物体に起因した電界の変化から遮蔽することができる。
【0055】
<自己容量型タッチ検出方式>
次に、表示装置DSPが、検出電極Rxを利用して指などの物体からなる入力具の位置、すなわち入力位置を検出する方法について説明する。
【0056】
表示装置DSPは、自己容量検出(Self-Capacitive Sensing)方式を用いて、検出電極Rxにて検出した静電容量の変化に基づいて入力位置情報を判断することができる。これにより、表示装置DSPのタッチ検出面TDS(
図3参照)に指が接触していること、または、表示装置DSPのタッチ検出面TDSに指が近接していることを検出することができる。本実施の形態1において、タッチ検出面TDSは、光学素子OD2の面であって、基板SUB2側と反対側の面である。
【0057】
以下では、自己容量検出方式を用いたタッチ検出方式(自己容量型タッチ検出方式)について説明する。しかし、表示装置DSPは、相互容量検出(Mutual-Capacitive Sensing)方式を用いて、検出電極Rxにて検出した静電容量の変化に基づいて入力位置情報を判断してもよい。
【0058】
自己容量検出方式による入力位置情報の判断は、各々の検出電極Rxに対して書込み信号を書込み、書込み信号が書込まれた各々の検出電極Rxに生じた静電容量の変化を示す読取り信号を読取ることにより行われる。
【0059】
次に、自己容量検出方式を用いたタッチ検出方式の原理を説明する。自己容量検出方式は、検出電極Rxが有する容量Cx1を利用する。また自己容量検出方式は、検出電極Rxに近接している利用者の指等により生じる容量Cx2を利用する。
【0060】
図5〜
図8は、自己容量検出方式を説明するための図である。
【0061】
図5および
図6は、表示装置DSPのタッチ検出面に、利用者の指が接触も近接もしていない状態を示している。このため、検出電極Rxと指との間に静電容量結合は生じていない。
図5は、制御スイッチSWcにより、検出電極Rxが電源Vddに接続された状態を示す。
図6は、制御スイッチSWcにより、検出電極Rxが電源Vddから遮断され、検出電極Rxがコンデンサとしての容量Ccpに接続された状態を示す。
【0062】
図5の状態で、容量Cx1は例えば充電され、
図6の状態で、容量Cx1は例えば放電される。ここで、容量Cx1が充電されることとは、検出電極Rxに対して書込み信号が書込まれることである。また、容量Cx1が放電されることとは、検出電極Rxに生じた静電容量の変化を示す読取り信号を読取ることである。
【0063】
一方、
図7および
図8は、表示装置DSPのタッチ検出面に、利用者の指が接触または近接している状態を示している。このため、検出電極Rxと指との間に静電容量結合が生じている。
図7は、制御スイッチSWcにより、検出電極Rxが電源Vddに接続された状態を示す。
図8は、制御スイッチSWcにより、検出電極Rxが電源Vddから遮断され、検出電極Rxが容量Ccpに接続された状態を示す。
【0064】
図7の状態で、容量Cx1は例えば充電され、
図8の状態で、容量Cx1は例えば放電される。
【0065】
ここで、
図6に示す放電時の容量Ccpの電圧の時間依存性に対して、
図8に示す放電時の容量Ccpの電圧の時間依存性は、容量Cx2が存在するために、明らかに異なる。したがって、自己容量検出方式では、容量Ccpの電圧の時間依存性が、容量Cx2の有無により、異なることを利用して、入力位置情報(例えば、操作入力の有無)を判断している。
【0066】
次に、自己容量検出方式を実現する回路の例について説明する。
図9は、自己容量検出方式を実現する回路の一例を示す図である。なお、
図9では、検出電極Rxの容量を容量Cxと表示している。
【0067】
図9に示すような自己容量検出方式を実現する回路は、例えば
図1に示した検出部SEに設けられている。あるいは、検出部SEが、例えば
図1に示した駆動ICチップIC1内に設けられ、このような自己容量検出方式を実現する回路が、駆動ICチップIC1に設けられていてもよい。
【0068】
図9に示すように、検出電極Rxは、スイッチSWc1により、電源Vddに切り替え可能に接続されている。また、検出電極Rxは、スイッチSWc2により、積分回路としての電圧検出器DETに切り替え可能に接続されている。電圧検出器DETは、例えばオペアンプOPdetと、容量Cdetと、スイッチSWc3と、を含む。オペアンプOPdetには、参照信号Vrefが入力される。
【0069】
なお、
図9では、
図16を用いて説明する検出部SEに含まれる検出回路DCP1を図示している。
【0070】
図10は、電源から出力される交流矩形波Sg、検出電極の電圧Vx、および、電圧検出器の出力としての電圧Vdetの時間依存性の例を模式的に示すグラフである。
【0071】
図10に示すように、電源Vddは、時刻T01と時刻T02との時間差を周期とし、かつ、電圧Vdrの波形高さを有する交流矩形波Sgを出力する。交流矩形波Sgは、例えば数kHz〜数百kHz程度の周波数を有する。電圧検出器DETは、交流矩形波Sgに応じた電流の変動を電圧の変動(波形Vdet0および波形Vdet1)に変換する。
【0072】
前述したように、検出電極Rxは、スイッチSWc1およびスイッチSWc2により、電源Vddおよび電圧検出器DETに、切り替え可能に接続されている。
図10において、時刻T01のタイミングで交流矩形波Sgは電圧Vdr分だけ電圧を上昇させる。このとき、スイッチSWc1はオン状態にされ、スイッチSWc2はオフ状態にされている。このため、検出電極Rxの電圧Vxも電圧Vdr分だけ上昇する。次に、時刻T11のタイミングの前に、スイッチSWc1をオフ状態にする。このとき、検出電極Rxは電気的に浮遊した状態であるが、検出電極Rxの容量Cx1(
図5参照)、あるいは検出電極Rxの容量Cx1に指等の接触または近接による容量Cx2を加えた容量Cx1+Cx2(
図7参照)によって、検出電極Rxの電圧Vxの電圧Vdr分の上昇は維持される。さらに、時刻T11のタイミングの前にスイッチSWc3をオン状態にし、所定の時間経過後にスイッチSWc3をオフ状態にすることにより、電圧検出器DETをリセットさせる。このリセット動作により、電圧検出器DETの出力としての電圧Vdetは、参照信号Vrefと略等しい電圧となる。
【0073】
続いて、時刻T11のタイミングでスイッチSWc2をオン状態にすると、電圧検出器DETの反転入力部に入力される電圧が検出電極Rxの電圧Vxに等しくなり、その後、検出電極Rxの容量Cx1(または容量Cx1+Cx2)と電圧検出器DETに含まれる容量Cdetに起因した時定数に従って、電圧検出器DETの反転入力部の電圧は、参照信号Vrefまで低下する。このとき、検出電極Rxの容量Cx1(または容量Cx1+Cx2)に蓄積されていた電荷が電圧検出器DETに含まれる容量Cdetに移動するため、電圧検出器DETの電圧Vdetが上昇する。検出電極Rxに指などの物体が近接も接触もしていないときは、電圧Vdetは、実線で示す波形Vdet0となり、Vdet=Cx1×Vdr/Cdetとなる。指などの物体が近接または接触してその物体の影響による容量が付加されたときは、電圧Vdetは、破線で示す波形Vdet1となり、Vdet=(Cx1+Cx2)×Vdr/Cdetとなる。
【0074】
その後、検出電極Rxの容量Cx1(または容量Cx1+Cx2)の電荷が容量Cdetに十分移動した後の時刻T31のタイミングでスイッチSWc2をオフ状態にし、スイッチSWc1およびスイッチSWc3をオン状態にすることにより、検出電極Rxの電圧を交流矩形波Sgのローレベルと等しい電圧にするとともに電圧検出器DETをリセットさせる。なお、このとき、スイッチSWc1をオン状態にするタイミングは、スイッチSWc2をオフ状態にした後、時刻T02以前であればいずれのタイミングでもよい。また、電圧検出器DETをリセットさせるタイミングは、スイッチSWc2をオフ状態にした後、時刻T12以前であればいずれのタイミングでもよい。以上の動作を所定の周波数(例えば数kHz〜数百kHz程度)で繰り返す。そして、波形Vdet0と波形Vdet1との差分の絶対値|ΔV|に基づいて、外部からタッチ検出面に近接または接触した物体の有無(タッチの有無)を測定することができる。
【0075】
なお、指などの物体が近接も接触もしていないときは、検出電極Rxの電圧Vxの波形は、実線で示す波形Vx0となり、指などの物体が近接または接触してその物体の影響による容量Cx2が付加されたときは、検出電極Rxの電圧Vxの波形は、破線で示す波形Vx1となる。波形Vx0と波形Vx1とが、それぞれ所定の閾値電圧Vthまで下がる時間を測定することにより、外部からタッチ検出面に近接または接触した物体の有無(タッチの有無)を測定することもできる。
【0076】
あるいは、自己容量検出方式を実現する回路として別の例を用いてもよい。
図11は、自己容量検出方式を実現する回路の別の例を示す図である。
【0077】
図11に示すような自己容量検出方式を実現する回路は、例えば
図1に示した検出部SEに設けられている。あるいは、検出部SEが、例えば
図1に示した駆動ICチップIC1内に設けられ、このような自己容量検出方式を実現する回路が、駆動ICチップIC1に設けられていてもよい。
【0078】
図11に示すように、検出電極Rxは、積分回路としての電圧検出器DETに接続されている。電圧検出器DETは、例えばオペアンプOPdetと、容量Cdetと、スイッチSWc3と、を含む。オペアンプOPdetの2つの入力端子のうち、「+」により表された非反転入力端子には、検出電極Rxが接続されており、「−」により表された反転入力端子には、交流矩形波Sgが入力される。また、オペアンプOPdetでは、反転入力端子と非反転入力端子とが仮想的に短絡、すなわちイマジナリショートされている。検出電極Rxが検出回路DCP1に接続されるとき、スイッチSWc3はオフ状態(非導通状態)にされ、検出電極Rxが検出回路DCP1に接続されないとき、スイッチSWc3はオン状態(導通状態)にされる。
【0079】
なお、
図11では、
図16を用いて説明する検出部SEに含まれる検出回路DCP1を図示している。
【0080】
図12は、交流矩形波Sg、および、電圧検出器の出力としての電圧Vdetの時間依存性の例を模式的に示すグラフである。
【0081】
図12に示すように、交流矩形波Sgは、電圧Vdrの波形高さを有する。前述したように、オペアンプOPdetは、イマジナリショートされているため、オペアンプOPdetの反転入力端子に交流矩形波Sgが入力されると、オペアンプOPdetの非反転入力端子に接続された検出電極Rxには、交流矩形波Sgと同電位の駆動信号が印加される。
【0082】
一方、検出電極Rxは容量Cxを有するため、検出電極Rxの電位と駆動信号との間には差分の電圧が発生し、この差分の電圧に相当する電流が検出電極RxとオペアンプOPdetの非反転入力端子との間で流れることになる。電圧検出器DETからは、この電流を電圧検出器DETにより電圧に変換して積分した値が、波形Vdet0を有する電圧Vdetとして出力される。電圧Vdetの波形Vdet0は、
図12において、実線で示されている。
【0083】
検出電極Rxに指などの物体が近接または接触すると、容量Cxが増加するため、検出電極Rxの電位と駆動信号との間に発生する差分の電圧が増加し、この差分の電圧に相当し、検出電極RxとオペアンプOPdetの非反転入力端子との間で流れる電流が増加する。そのため、この電流を電圧検出器DETにより電圧に変換して積分した値が増加し、電圧検出器DETから出力される電圧Vdetの波形Vdet1の変化は、波形Vdet0の変化に比べて増加する。波形Vdet1は、
図12において、破線で示されている。
【0084】
したがって、電圧検出器DETから出力された電圧Vdetを所定の閾値電圧と比較することにより、検出電極Rxへの指などの近接または接触の有無を検出することができる。すなわち、波形Vdet0と波形Vdet1との差分の絶対値|ΔV|に基づいて、外部からタッチ検出面に近接または接触した物体の有無(タッチの有無)を測定することができる。なお、電圧検出器DETの動作は、絶対値|ΔV|を精度よく検出するため、例えばスイッチSWc3により、交流矩形波Sgの周波数に合わせて、容量Cdetの充放電をリセットする期間Resetを設けた動作としてもよい。
【0085】
このような、
図11および
図12を用いて説明した検出方法は、
図9および
図10を用いて説明した検出方法と異なり、スイッチSWc1およびSWc2のいずれも不要であり、駆動信号としての交流矩形波Sgを、直接オペアンプOPdetに供給する方法である。
【0086】
なお、
図11に示す検出回路DCP1は、自己容量検出方式および相互容量検出方式のいずれにも兼用することができる。
図11に示す検出回路DCP1を相互容量検出方式に用いる場合には、オペアンプOPdetの反転入力端子が、交流矩形波Sgを供給する供給回路に代えて、固定電位としての参照信号を供給する供給回路に接続されるように、接続を切り替えればよい。
【0087】
あるいは、自己容量検出方式を実現する回路としてさらに別の例を用いてもよい。
図13は、自己容量検出方式を実現する回路のさらに別の例を示す図である。
【0088】
図13に示す例では、検出電極Rxは、分圧用の容量Cpの一方の端子に接続されるとともに、比較器COMPの一方の入力端子に接続される。検出電極Rxは、自己の容量Cxを有する。比較器COMPの他方の入力端子には、参照信号Vrefの供給端子が接続されている。
【0089】
容量Cpの他方の端子は、スイッチSW1を介して電圧Vccの電源配線に接続される。また容量Cpの他方の端子は、抵抗Rcを介して容量Ccの一方の端子に接続されている。容量Ccの他方の端子は、基準電位(例えばアース電位)に接続されている。
【0090】
スイッチSW2は、容量Cpの他方の端子と基準電位間に接続され、スイッチSW3は、容量Cpの一方の端子と基準電位間に接続されている。スイッチSW1、SW2およびSW3ならびに比較器COMPは、例えば
図1に示した検出部SEに設けられている。
【0091】
なお、
図13では、
図16を用いて説明する検出部SEに含まれる検出回路DCP1を図示している。
【0092】
図13に示す例では、スイッチSW1は、一定の周期でオン状態(導通状態)にされ、このオン状態のときに容量Ccを充電することができる。容量Ccが充電されるときは、スイッチSW2およびSW3はオフ状態にされている。容量Ccが充電されると、スイッチSW1、SW2およびSW3が全てオフ状態にされ、容量Ccの電荷が保持される。
【0093】
続いて、スイッチSW1のオフ状態を維持したまま、スイッチSW2およびSW3が一定時間オン状態にされる。すると、容量CpおよびCxの電荷のほとんどが放電されるとともに、容量Ccの電荷の一部が、抵抗Rcを介して放電される。
【0094】
次いで、スイッチSW1、SW2およびSW3が全てオフ状態にされる。すると、容量Ccの電荷が、容量CpおよびCxに移動する。そして、容量Cxの電圧Vxが比較器COMPにおいて、参照信号Vrefまたは閾値電圧Vthと比較される。
【0095】
容量Ccの電圧を電圧Vcとし、容量Cpの電圧を電圧Vpとする。このとき、電圧Vxは、電圧Vcと電圧Vpとの和に等しく、電圧Vcの変化の特性または変換の度合いは、容量Cpと容量Cxの合計値に応じて変化する。容量Cxの変化は、容量Cxの電圧Vxに対しても影響を与える。また、容量Cxの値は、検出電極Rxに対する利用者の指の接近の程度に応じて異なる。
【0096】
このため、指が検出電極Rxから遠い場合は、電圧Vcの時間依存性は、ゆっくりした変化を伴う特性となり、指が検出電極Rxに近い場合は、電圧Vcの時間依存性は、すばやい変化を伴う特性となる。
【0097】
比較器COMPは、スイッチSW2およびSW3のオン状態とオフ状態とが繰り返されるのに同期して、電圧Vxを参照信号Vrefまたは閾値電圧Vthと比較する。そしてVx>Vrefのときは、比較器COMPは、出力パルスを得る。しかし比較器COMPは、Vx<Vrefになると出力パルスを停止する。
【0098】
このとき、比較器COMPの出力パルスが得られる期間が計測されてもよいし、比較器COMPの出力パルス数(容量Ccの充電後、Vx<Vrefになるまでのパルス数)が計測されてもよい。
【0099】
このように、
図13を用いて説明した方法によっても、検出面に対する指の近接または接触の程度を比較器COMPの出力パルスの状態で判断することができる。
【0100】
<タッチ検出方法およびタッチ検出回路>
次に、本実施の形態1の表示装置におけるタッチ検出方法およびタッチ検出回路について説明する。
【0101】
初めに、本実施の形態1の表示装置におけるタッチ検出方法について説明する。
図14は、実施の形態1の表示装置におけるタッチ検出方法を説明するための図である。
図15は、実施の形態1の表示装置におけるタッチ検出方法を説明するためのフロー図である。なお、
図14においてハッチングを付した部分である領域AR1は、領域AR1を拡大して領域AR2として示すように、例えば矩形波を有する駆動信号が検出回路DCP1により供給されている部分である。
【0102】
本実施の形態1の表示装置は、タッチ検出機能を有する検出部SE(
図1参照)を有する。そして、
図14および
図15に示すように、本実施の形態1の表示装置では、検出部SEは、指の近接または接触を検出する指近接検出処理としてのステップS1と、近接または接触した指の座標を検出する指座標検出処理としてのステップS2と、を行う。
【0103】
ここで、指近接検出処理としてのステップS1を待機モードと称し、指座標検出処理としてのステップS2を検出モードと称する場合、検出部SEは、検出モードとしての指座標検出処理の前に、待機モードとしての指近接検出処理を行うことになる。
【0104】
ステップS1では、検出部SEは、まず、シールド電極SHを検出する(
図15のステップS11)。このステップS11では、検出部SEは、一体として形成された1個のシールド電極SHの静電容量の変化を検出することにより、上側からのタッチ検出面TDSへの指などの物体の近接または接触を検出する。言い換えれば、ステップS11では、シールド電極SHの静電容量の変化に基づいて、第1の側(
図3中上側)からの表示パネルPNLの前面FSへの物体の近接または接触が検出される。
【0105】
ステップS1では、検出部SEは、次に、物体の近接が検出されたか判定する(
図15のステップS12)。このステップS12では、検出部SEは、タッチ検出面TDSへの指などの物体の近接または接触が検出されたか判定する。ステップS12において、指などの物体の近接または接触が検出されなかったと判定されたとき、検出部SEは、しばらく待つ(
図15のステップS13)。そして、検出部SEは、ステップS13を行ってしばらく待った後、ステップS11を再び繰り返す。一方、ステップS12において、指などの物体の近接または接触が検出されたと判定されたとき、検出部SEは、ステップS2を行う。
【0106】
ステップS2では、まず、検出部SEは、各検出電極Rxを個別に検出する(
図15のステップS21)。このステップS21では、検出部SEは、複数の検出電極Rxの各々の静電容量の変化を個別に検出することにより、タッチ検出面TDSでの指などの物体の位置、すなわち座標を検出する。言い換えれば、ステップS21では、複数の検出電極Rxの各々の静電容量の変化に基づいて、第1の側(
図3中上側)から前面FSに近接または接触した物体の位置が検出される。
【0107】
ステップS2では、次に、検出部SEは、物体の座標が検出されたか判定する(
図15のステップS22)。このステップS22では、タッチ検出面TDSでの指などの物体の座標が検出されたか判定する。ステップS22において、指などの物体の座標が検出されたときは、検出部SEは、ステップS21を再び繰り返す。一方、ステップS22において、指などの物体の座標が検出されなかった場合には、検出部SEは、ステップS1、すなわちステップS11を再び行う。
【0108】
なお、
図14では、ステップS11において、一体として形成された1個のシールド電極SHの静電容量の変化を検出する場合を示している。しかし、後述する
図24を用いて説明するように、分割して形成された複数個のシールド電極SHの各々の静電容量の変化を検出してもよい。
【0109】
次に、
図16〜
図18を参照し、本実施の形態1の表示装置におけるタッチ検出回路について説明する。
図16は、実施の形態1の表示装置におけるタッチ検出回路を示す図である。
図17および
図18は、シールド電極を用いたタッチ検出を説明するための図である。
図16は、シールド電極SHにハッチングを付すことにより、ステップS11において、シールド電極SHが検出回路DCP2と接続されている状態を示している。
図17は、表示装置のタッチ検出面に、指などの物体が接触も近接もしていない状態を示している。
図18は、表示装置のタッチ検出面に、指などの物体が接触または近接している状態を示している。
【0110】
なお、
図17および
図18では、シールド電極SHが、積分回路としての電圧検出器DETに接続されている。電圧検出器DETは、例えば
図11を用いて説明した検出回路DCP1と同様の例であり、例えば電圧検出器DETは、オペアンプOPdet、容量CdetおよびスイッチSWc3を含む。オペアンプOPdetには、交流矩形波Sgが入力される。
【0111】
図16に示すように、タッチ検出回路としての検出部SEは、検出回路DCP1およびDCP2と、接続回路CNC1およびCNC2と、ガード信号供給回路GSC1と、を含む。検出回路DCP1は、複数の検出電極Rxの各々の静電容量の変化を検出する。検出回路DCP2は、シールド電極SHの静電容量の変化を検出する。接続回路CNC1は、複数の検出電極Rxの各々を検出回路DCP1に切り替え可能に接続し、接続回路CNC2は、シールド電極SHを検出回路DCP2に切り替え可能に接続する。なお、
図16に示すように、シールド電極SHは、平面視において複数の検出電極Rxの各々と重なり、シールド電極SHは、平面視において複数の走査線および信号線の各々と重なる。また、接続回路CNC1は、検出回路DCP1と複数の検出電極Rxとの接続状態を切り替える切り替え部である。
【0112】
なお、
図16に示す例では、検出回路DCP1と検出回路DCP2とを一体化して示しているが、検出回路DCP2が設けられず、検出回路DCP1が、シールド電極SHの静電容量の変化を検出してもよい。また、接続回路CNC2が接続回路CNC1と一体的に設けられてもよく、接続回路CNC2が設けられず、接続回路CNC1がシールド電極SHを検出回路DCP2に切り替え可能に接続してもよい。
【0113】
平面視においてY軸方向に配列された複数の検出電極Rxからなる電極群を、電極群RGと称する。このとき、表示装置は、複数の電極群RGを有する。複数の電極群RGは、平面視においてX軸方向に配列され、複数の電極群RGの各々は、平面視においてY軸方向に配列された複数の検出電極Rxを有する。
【0114】
図16に示す例では、電極群RGとして、検出電極Rx11、Rx12、Rx13およびRx14からなる電極群RG1、ならびに、検出電極Rx21、Rx22、Rx23およびRx24からなる電極群RG2が、設けられている。また、電極群RGとして、検出電極Rx31、Rx32、Rx33およびRx34からなる電極群RG3、ならびに、検出電極Rx41、Rx42、Rx43およびRx44からなる電極群RG4が、設けられている。すなわち、電極群RG1は、複数の検出電極Rx1を含み、電極群RG2は、複数の検出電極Rx2を含み、電極群RG3は、複数の検出電極Rx3を含み、電極群RG4は、複数の検出電極Rx4を含む。
【0115】
好適には、接続回路CNC1は、複数の電極群RGの各々を検出回路DCP1にそれぞれ接続する複数のトランジスタ群TGを含む。複数のトランジスタ群TGの各々は、複数のトランジスタTdを含む。複数のトランジスタTdの各々は、スイッチング素子としての電界トランジスタであり、複数のトランジスタTdの各々は、ゲート電極を含む。電極群RGとトランジスタ群TGとの組において、トランジスタ群TGに含まれる複数のトランジスタTdは、電極群RGに含まれる複数の検出電極Rxの各々を、検出回路DCP1にそれぞれ接続する。
【0116】
図16に示す例では、接続回路CNC1は、トランジスタTdとして、トランジスタ群TG1に含まれるトランジスタTd11、Td12、Td13およびTd14、ならびに、トランジスタ群TG2に含まれるTd21、Td22、Td23およびTd24を含む。また、接続回路CNC1は、トランジスタTdとして、トランジスタ群TG3に含まれるトランジスタTd31、Td32、Td33およびTd34、ならびに、トランジスタ群TG4に含まれるトランジスタTd41、Td42、Td43およびTd44を含む。
【0117】
トランジスタTd11は、検出電極Rx11を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd12は、検出電極Rx12を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd13は、検出電極Rx13を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd14は、検出電極Rx14を検出回路DCP1に接続する。トランジスタTd21は、検出電極Rx21を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd22は、検出電極Rx22を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd23は、検出電極Rx23を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd24は、検出電極Rx24を検出回路DCP1に接続する。
【0118】
トランジスタTd31は、検出電極Rx31を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd32は、検出電極Rx32を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd33は、検出電極Rx33を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd34は、検出電極Rx34を検出回路DCP1に接続する。トランジスタTd41は、検出電極Rx41を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd42は、検出電極Rx42を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd43は、検出電極Rx43を検出回路DCP1に接続し、トランジスタTd44は、検出電極Rx44を検出回路DCP1に接続する。
【0119】
また、好適には、検出部SEは、電圧供給回路VSC1およびVSC2と、クロック信号供給回路CLC1と、を含む。
【0120】
電圧供給回路VSC1は、複数のトランジスタ群TGの各々に、トランジスタTdのゲート電圧である電圧V1を供給する。すなわち、電圧供給回路VSC1は、複数のトランジスタ群TGの各々に含まれる複数のトランジスタTdの各々のゲート電極に、電圧V1としての電圧V11または電圧V12を供給する。トランジスタTdは、ゲート電極に電圧V11が入力されているときに、オン状態(導通状態)であり、ゲート電極に電圧V12が入力されているときに、オフ状態(非導通状態)である。
【0121】
なお、電圧供給回路VSC1として、例えばシフトレジスタ回路、マルチプレクサ回路またはデコーダ回路など各種の回路を用いることができる。
【0122】
ガード信号供給回路GSC1は、ステップS21において、複数の検出電極Rxの各々の静電容量の変化が、シールド電極SHからの影響を受けないようにするためのガード信号としての信号G1を、シールド電極SHに供給する。接続回路CNC2は、シールド電極SHを、検出回路DCP2またはガード信号供給回路GSC1に切り替えて接続する。
【0123】
図16に示す例では、接続回路CNC2は、電界効果トランジスタとしてのスイッチング素子CSWを1個含む。1個のスイッチング素子CSWは、シールド電極SHを、検出回路DCP2に接続する。
【0124】
表示装置DSPは、複数の走査線GLと、走査線駆動回路GDと、信号線駆動回路SDと、切り替え部GSPおよびSSP1と、を有する。複数の走査線GLは、平面視において、複数の電極群RG、すなわち複数の検出電極Rxと重なる。複数の信号線SLは、平面視において、複数の電極群RG、すなわち複数の検出電極Rxと重なる。
【0125】
切り替え部GSPは、走査線駆動回路GDと複数の走査線GLとの接続状態を切り替える。切り替え部GSPは、電界効果トランジスタとしてのスイッチング素子GSWを複数個含む。複数のスイッチング素子GSWは、複数の走査線GLの各々を、走査線駆動回路GDにそれぞれ接続する。複数のスイッチング素子GSWの各々は、ゲート電極を含み、電圧供給回路VSC2の出力は、複数のスイッチング素子GSWの各々のゲート電極に入力される。スイッチング素子GSWは、ゲート電極に電圧V2が入力されているときに、オフ状態である。
【0126】
なお、
図16に示すように、複数の走査線GLの各々の両端に、走査線駆動回路GDがそれぞれ設けられている場合には、複数の走査線GLの各々を電気的に浮遊状態にするため、複数の走査線GLの各々の両端に切り替え部GSPが設けられていてもよい。
【0127】
切り替え部SSP1は、信号線駆動回路SDと複数の信号線SLとの接続状態を切り替える。切り替え部SSP1は、電界効果トランジスタとしてのスイッチング素子SSW1を複数個含む。複数のスイッチング素子SSW1は、複数の信号線SLの各々を、信号線駆動回路SDにそれぞれ接続する。複数のスイッチング素子SSW1の各々は、ゲート電極を含み、電圧供給回路VSC2の出力は、複数のスイッチング素子SSW1の各々のゲート電極に入力される。スイッチング素子SSW1は、ゲート電極に電圧V2が入力されているときに、オフ状態である。
【0128】
検出部SEは、指近接検出処理としてのステップS1に含まれるステップS11において、シールド電極SHを接続回路CNC2により検出回路DCP2に接続する。これにより、検出部SEは、一体として形成された1個のシールド電極SHの静電容量の変化を、検出回路DCP2により検出する。
【0129】
また、検出部SEは、ステップS11において、電圧供給回路VSC1により電圧V1としての電圧V12を供給し、電圧供給回路VSC2により電圧V2を供給する。前述したように、トランジスタTdは、ゲート電極に電圧V1としての電圧V12が入力されているときに、オフ状態である。また、複数のスイッチング素子GSWの各々は、ゲート電極に電圧V2が入力されているときに、オフ状態であり、複数のスイッチング素子SSW1の各々は、ゲート電極に電圧V2が入力されているときに、オフ状態である。
【0130】
したがって、電圧供給回路VSC1により電圧V12を供給することにより、切り替え部としての接続回路CNC1は、複数の検出電極Rxの各々を、検出回路DCP1から遮断して電気的に浮遊させた状態にする。また、電圧供給回路VSC2により電圧V2を供給することにより、複数の走査線GLの各々は、走査線駆動回路GDから遮断されて電気的に浮遊した状態にされ、複数の信号線SLの各々は、信号線駆動回路SDから遮断されて電気的に浮遊した状態にされる。
【0131】
このように、ステップS11において、複数の検出電極Rx、複数の走査線GLおよび複数の信号線SLの各々が電気的に浮遊した状態を考える。このような状態では、表示装置のタッチ検出面に、指などの物体が接触も近接もしていない場合、
図17に示すように、シールド電極SHの寄生容量としての容量Cpのみが、検出回路DCP1により検出される。一方、表示装置のタッチ検出面に、指などの物体が接触または近接している場合、
図18に示すように、容量Cpに加え、シールド電極SHと検出電極Rxとの間の容量Ccs、および、検出電極Rxと指などの物体との間の容量Ccfが、検出回路DCP1により検出される。容量Cp、CcsおよびCcfのうち、容量CpおよびCcsは、物体の接触または近接の有無によって変化しないが、容量Ccfは、物体の接触または近接の有無によって変化する。そのため、検出部SEは、接続回路CNC1により、複数の検出電極Rx、複数の走査線GLおよび複数の信号線SLの各々を電気的に浮遊させた状態で、ステップS11を行い、検出回路DCP1により検出されるシールド電極SHの静電容量の変化に基づいて、物体の接触または近接の有無を検出することができる。
【0132】
また、複数の検出電極Rx、複数の走査線GLおよび複数の信号線SLの各々が電気的に浮遊した状態で、ステップS11を行うことにより、シールド電極SHが有する寄生容量のうち、走査線GLまたは信号線SLを介して有する寄生容量を低減することができる。そのため、ステップS11を行う際の検出精度を向上させ、ステップS11を行う際の消費電力を低減することができる。
【0133】
なお、ステップS11において、複数の検出電極Rx、複数の走査線GLおよび複数の信号線SLの各々が電気的に浮遊していない状態でも、容量Cp、CcsおよびCcfを検出することはできる。しかし、ステップS11において、複数の検出電極Rx、複数の走査線GLおよび複数の信号線SLの各々が電気的に浮遊した状態の方が、容量Cp、CcsおよびCcfを精度よく検出することができる。なお、複数の検出電極Rx、複数の走査線GLおよび複数の信号線SLのうち、いずれか1種類または2種類の各々が電気的に浮遊した状態で、検出回路DCP1によりシールド電極SHの静電容量の変化を検出してもよい。
【0134】
また、ステップS11において、例えば後述する実施の形態1の第3変形例で
図27を用いて説明するように、シールド電極SHが基板SUB1、すなわち絶縁基板10から離れていてもよい。このような場合には、指などの物体がタッチ検出面に接触して基板SUB1が撓み、例えば指などの物体および複数の検出電極Rxの各々など、シールド電極SH以外の他の導電性部材と、シールド電極SHとの距離が変化することにより、容量CcsおよびCcfが変化する。そのため、シールド電極SHを圧力センサとして用いることもできる。
【0135】
一方、検出部SEは、指座標検出処理としてのステップS2に含まれるステップS21において、複数のトランジスタ群TGのうちいずれかのトランジスタ群TGを選択し、選択されたトランジスタ群TGに含まれる複数のトランジスタTdの各々のゲート電極に、電圧供給回路VSC1からの電圧V1としての電圧V11を供給する。前述したように、トランジスタTdは、ゲート電極に電圧V1としての電圧V11が入力されているときに、オン状態である。そして、電圧供給回路VSC1により電圧V11を供給することにより、電圧V11が、選択されたトランジスタ群TGに含まれる複数のトランジスタTdの各々のゲート電極に入力される。
【0136】
これにより、選択されたトランジスタ群TGに含まれる複数のトランジスタTdの各々がオン状態になり、複数の電極群RGのいずれかに含まれる複数の検出電極Rxが、選択されたトランジスタ群TGに含まれる複数のトランジスタTdの各々により、検出回路DCP1にそれぞれ接続されることになる。そして、検出部SEは、ステップS21において、切り替え部としての接続回路CNC1により複数の検出電極Rxを1個ずつまたは複数個ずつ順次切り替えて検出回路DCP1に接続することにより、複数の検出電極Rxの各々の静電容量を個別に検出することになる。
【0137】
一方、検出部SEは、ステップS21において、シールド電極SHを、接続回路CNC2によりガード信号供給回路GSC1に接続する。そして、検出部SEは、ステップS21において、複数の検出電極Rxの各々の静電容量の変化が、シールド電極SHからの影響を受けないようにするためのガード信号としての信号G1を、シールド電極SHに供給する。
【0138】
ガード信号として、例えば選択された検出電極Rxに検出回路DCP1から供給される駆動信号と同位相の信号を用いることができる。これにより、複数の検出電極Rxの各々の静電容量の変化が、シールド電極SHからの影響を受けないようにすることができる。
【0139】
なお、選択された検出電極Rxを選択検出電極Rxs(
図14参照)と称し、選択されない検出電極Rxを非選択検出電極Rxu(
図14参照)と称するとき、ステップS21において、非選択検出電極Rxuにガード信号を供給してもよい。これにより、選択された検出電極Rxの静電容量の変化が、選択されない検出電極Rxからの影響を受けないようにすることができる。
【0140】
次に、
図19を参照し、本実施の形態1の表示装置におけるタッチ検出処理のタイミングチャートについて説明する。
図19は、実施の形態1の表示装置におけるタッチ検出処理のうち指近接検出処理を説明するためのタイミングチャートである。
図19は、ステップS11およびステップS13を2回ずつ行い、ステップS21を2回行う際のタイミングチャートを示す。
図19は、走査線GLの電圧、電圧供給回路VSC2の出力、nを2以上の整数としたときに、1列目、2列目、n−1列目、n列目およびn+1列目の電極群RG(
図16参照)に含まれる検出電極Rx1、Rx2、Rxn−1、RxnおよびRxn+1の検出波形、ならびに、シールド電極SHの検出波形を模式的に示す。なお、
図19においてハッチングを付した部分は、
図14において領域AR1を拡大して領域AR2として示したのと同様に、例えば矩形波を有する信号が検出または印加されている部分である。また、
図19において、走査線GLの電圧に代え、信号線SL(
図16参照)の電圧を示す場合にも、信号線SLの電圧を、
図19に示した走査線GLの電圧と同様にすることができる。
【0141】
図19に示すように、ステップS11において、複数の検出電極Rxおよび複数の走査線GLの各々は、電気的に浮遊した状態であり、複数の検出電極Rxおよび複数の走査線GLの各々には、信号が入力されない。また、ステップS11において、電圧供給回路VSC2からは電圧V2が供給され、検出回路DCP2(
図16参照)からは駆動波形が供給され、シールド電極SHの検出波形が検出される。
【0142】
一方、
図19に示すように、ステップS13において、電圧供給回路VSC2からは電圧V2が供給されず、検出回路DCP2からは駆動波形が供給されず、シールド電極SHの検出波形が検出されない。
【0143】
すなわち、検出部SEは、ステップS11において、複数の検出電極Rxの各々を接続回路CNC1により検出回路DCP1から遮断し、シールド電極SHを接続回路CNC2により検出回路DCP2に接続することにより、シールド電極SHの静電容量を検出する。一方、検出部SEは、ステップS13において、シールド電極SHの静電容量の変化を検出しない。
【0144】
このように、本実施の形態1では、検出部SEが、ステップS11において、一体として形成された1個のシールド電極SHの静電容量の変化を検出するため、検出時間を短くすることができ、消費電力を低減することができる。また、複数の検出電極Rx、複数の走査線GLおよび複数の信号線SLの各々を電気的に浮遊させた状態で、ステップS11を行うことにより、ステップS11を行う際の検出精度を向上させ、ステップS11を行う際の消費電力を低減することができる。
【0145】
<比較例のタッチ検出方法およびタッチ検出回路>
次に、比較例のタッチ検出方法およびタッチ検出回路について説明し、比較例のタッチ検出方法およびタッチ検出回路における問題点について説明する。
【0146】
初めに、比較例の表示装置におけるタッチ検出方法について説明する。
図20は、比較例の表示装置におけるタッチ検出方法を説明するための図である。
図21は、比較例の表示装置におけるタッチ検出方法を説明するためのフロー図である。なお、
図20においてハッチングを付した部分である領域AR1は、領域AR1を拡大して領域AR2として示すように、例えば矩形波を有する駆動信号が検出回路DCP1により供給されている部分である。
【0147】
図20および
図21に示すように、比較例の表示装置では、検出部SEは、指の近接または接触を検出する指近接検出処理としてのステップS101と、近接または接触した指の座標を検出する指座標検出処理としてのステップS2と、を行う。
【0148】
ここで、指近接検出処理としてのステップS101を待機モードと称し、指座標検出処理としてのステップS2を検出モードと称する場合、比較例においても、検出部SEは、検出モードとしての指座標検出処理の前に、待機モードとしての指近接検出処理を行うことになる。
【0149】
ステップS101では、検出部SEは、まず、各検出電極Rxを個別に検出する(
図21のステップS111)。このステップS111では、
図15のステップS11とは異なり、検出部SEは、複数の検出電極Rxの各々の静電容量の変化を個別に検出することにより、タッチ検出面TDSへの指などの物体の近接または接触を検出する。
【0150】
ステップS101では、検出部SEは、次に、物体の近接が検出されたか判定する(
図21のステップS112)。このステップS112では、検出部SEは、タッチ検出面TDSへの物体の近接または接触が検出されたか判定する。ステップS112において、指などの物体の近接または接触が検出されなかったと判定されたとき、検出部SEは、しばらく待つ(
図21のステップS113)。そして、検出部SEは、ステップS113を行ってしばらく待った後、ステップS111を再び繰り返す。一方、ステップS112において、指などの物体の近接または接触が検出されたと判定されたとき、検出部SEは、ステップS2を行う。
【0151】
ステップS2については、
図15のステップS2と同様にすることができる。
【0152】
次に、
図22を参照し、比較例の表示装置におけるタッチ検出回路について説明する。
図22は、比較例の表示装置におけるタッチ検出回路を示す図である。なお、
図22は、ハッチングを付すことにより、ステップS111において、電極群RG1に含まれる検出電極Rx11、Rx12、Rx13およびRx14が選択されている場合を示している。
【0153】
比較例の表示装置は、表示装置が、シールド電極SH(
図16参照)を有しない点で、実施の形態1の表示装置と異なる。また、比較例の表示装置は、検出部SEが、検出回路DCP2、接続回路CNC2および切り替え部GSP(
図16参照)を含まない点で、実施の形態1の表示装置と異なる。すなわち、比較例の表示装置では、検出部SEは、実施の形態1の表示装置と同様に、検出回路DCP1と、接続回路CNC1と、を含むが、検出部SEは、実施の形態1の表示装置とは異なり、検出回路DCP2、接続回路CNC2および切り替え部GSP(
図16参照)を含まない。
【0154】
検出部SEは、指近接検出処理としてのステップS101に含まれるステップS111において、複数のトランジスタ群TGのうちいずれかのトランジスタ群TGを選択し、選択されたトランジスタ群TGに含まれる複数のトランジスタTdの各々のゲート電極に、電圧供給回路VSC1により電圧V1としての電圧V11を供給する。前述したように、トランジスタTdは、ゲート電極に電圧V1としての電圧V11が入力されているときに、オン状態である。したがって、電圧供給回路VSC1により電圧V1としての電圧V11を供給することにより、電圧V11が、選択されたトランジスタ群TGに含まれる複数のトランジスタTdの各々のゲート電極に入力される。一方、ステップS11において、選択されないトランジスタ群TGに含まれる複数のトランジスタTdの各々のゲート電極には、電圧V11は入力されない。
【0155】
次に、
図23を参照し、比較例の表示装置におけるタッチ検出処理のタイミングチャートについて説明する。
図23は、比較例の表示装置におけるタッチ検出処理のうち指近接検出処理を説明するためのタイミングチャートである。
図23は、ステップS111およびステップS113を2回ずつ行う際のタイミングチャートを示す。
図23は、走査線GLの電圧、電圧供給回路VSC1の出力、および、クロック信号供給回路CLC1からのクロック信号を模式的に示す。また、
図23は、nを2以上の整数としたときに、1列目、2列目、3列目、n−1列目、n列目およびn+1列目の電極群RG(
図22参照)に含まれる検出電極Rx1、Rx2、Rxn−1、RxnおよびRxn+1の検出波形、ならびに、検出回路DCP1の駆動波形を模式的に示す。なお、
図23においてハッチングを付した部分は、
図20において領域AR1を拡大して領域AR2として示したのと同様に、例えば矩形波を有する信号が検出または印加されている部分である。
【0156】
図23に示すように、ステップS111において、電圧供給回路VSC1からは、電圧V1としての電圧V11が供給され、クロック信号供給回路CLC1からのクロック信号に同期して、検出回路DCP1からは、駆動波形が供給される。そして、検出電極Rx1、Rx2、Rxn−1、RxnおよびRxn+1の検出波形が、クロック信号供給回路CLC1からのクロック信号に同期して、順次検出される。なお、ステップS111において、選択されない検出電極Rxには、選択された検出電極Rxの静電容量の変化が、選択されない検出電極Rxからの影響を受けないようにするために、ガード信号供給回路(図示は省略)からガード信号としての信号が供給されてもよい。
【0157】
一方、
図23では図示は省略するものの、ステップS113において、複数のトランジスタTdの全てが、オフ状態にされる。また、ステップS113において、検出回路DCP1からは、駆動波形が供給されない。そして、検出電極Rx1、Rx2、Rxn−1、RxnおよびRxn+1の検出波形が検出されない。
【0158】
すなわち、比較例の表示装置では、実施の形態1の表示装置と同様に、検出部SEは、ステップS113において、複数の電極群RGの全てに含まれる複数の検出電極Rxのいずれも検出回路DCP1に接続せず、複数の電極群RGの全てに含まれる複数の検出電極Rxのいずれの静電容量の変化も検出しない。しかし、比較例の表示装置では、実施の形態1の表示装置と異なり、ステップS111において、接続回路CNC1により複数の検出電極Rxを1個ずつまたは複数個ずつ順次切り替えて検出回路DCP1に接続することにより、複数の検出電極Rxの各々の静電容量を個別に検出する。
【0159】
比較例の表示装置では、ステップS111において、ステップS21と同様に、例えば複数の電極群RGの各々を順次選択し、選択された電極群RGに含まれる複数の検出電極Rx、すなわち選択された選択検出電極Rxs(
図20参照)について静電容量の変化を検出するため、検出処理に要する時間が長くなるという問題がある。また、検出処理に要する時間が長くなるため、ステップS111を繰り返す際の時間間隔が短い場合、ステップS101における平均的な消費電力が増加するという問題がある。
【0160】
検出処理に要する時間を短くするために、ステップS111において、検出処理に用いられる電極群を、複数の電極群RGの全部から順次選択するのではなく、例えば1個おきに電極群RGを選択するなど、複数の電極群RGの一部から順次選択する方法が考えられる。このような複数の電極群RGの一部から順次選択する方法によれば、ステップS111において、検出処理に要する時間は短くなる。しかし、複数の電極群RGの全部が検出に用いられなくなるので、指などの物体が近接または接触しているにも関わらず、物体の近接または接触が検出されないという検出ミスが発生するおそれがある。
【0161】
また、消費電力を小さくするために、ステップS111を繰り返す間の待ち時間(
図21のステップS113)を長くする方法が考えられる。しかし、指が近接または接触した後、指の近接または接触を検出するまでの時間が長くなるので、指などの物体が近接または接触しているにも関わらず、物体の近接または接触が検出されないという検出ミスが発生するおそれがある。
【0162】
なお、上記特許文献1に記載された技術では、入力装置は、検出電極とシールド電極との間の電圧が一定となるように検出電極へ電荷を供給し、供給した電荷の積分値に応じた検出信号を出力する電荷積分回路を備えている。
【0163】
上記特許文献1に記載された技術では、電荷積分回路は、検出電極とシールド電極との間の電圧が一定、例えば0となるように検出電極へ電荷を供給し、この検出電極へ供給した電荷の積分値に応じた検出信号を出力する。そして、検出電極に指等が近接すると検出信号が大きく変化することにより、検出電極における指等の近接の有無を、識別する。すなわち、上記特許文献1に記載されたシールド電極は、検出モードとしての指座標検出処理において、検出電極とシールド電極との間の電圧が一定になるように検出電極へ電荷を供給するためのものであり、待機モードとしての指近接検出処理において、指などの物体の近接または接触を検出するためのものではない。
【0164】
また、上記特許文献1に記載された技術でも、複数の検出電極の各々とシールド電極との間の静電容量の変化を検出するため、検出モードとしての指座標検出処理の前に待機モードとして行われる指近接検出処理において、検出処理に要する時間を短くし、消費電力を低減しつつ、検出ミスの発生を防止または抑制することはできない。
【0165】
<本実施の形態の主要な特徴>
本実施の形態1の表示装置における技術的思想は、このような比較例の表示装置の問題点を解決するためのものであり、検出モードとしての指座標検出処理の前に待機モードとして行われる指近接検出処理において、検出処理に要する時間を短くし、消費電力を低減しつつ、検出ミスの発生を防止または抑制するためのものである。
【0166】
すなわち、本実施の形態1の表示装置は、第1の側(
図3中上側)の前面FS、および、第1の側と反対側(
図3中下側)の背面BSを有し、前面FSに画像が表示される表示パネルPNLと、平面視において表示パネルPNLと重なる複数の検出電極Rxと、平面視において表示パネルPNLと重なるシールド電極SHと、を有する。シールド電極SHは、複数の検出電極Rxに対して第1の側と反対側(
図3中下側)に配置されている。シールド電極SHの静電容量に基づいて、第1の側(
図3中上側)からの前面FSへの物体の近接または接触が検出され、複数の検出電極Rxの各々の静電容量に基づいて、物体の位置が検出される。
【0167】
これにより、外部から表示パネルへの物体の近接または接触を検出する検出処理(
図15のステップS11)において、シールド電極SHの静電容量の変化を検出することができる。そのため、検出処理に要する時間を短くすることができる。また、検出処理に要する時間が短くなるため、ステップS11を繰り返す際の時間間隔が短い場合でも、指近接検出処理(
図15のステップS1)における平均的な消費電力を減少させることができる。
【0168】
本実施の形態1では、検出処理に要する時間を短くするために、ステップS11において、検出処理に用いられる電極群を、例えば1個おきに電極群RGを選択するなど、複数の電極群RGの一部から順次選択する必要がない。そのため、指などの物体が近接または接触しているにも関わらず、物体の近接または接触が検出されないという検出ミスの発生を防止または抑制することができる。
【0169】
また、本実施の形態1では、ステップS11に要する時間が短くなるので、消費電力を小さくするために、ステップS11を繰り返す間の待ち時間(
図15のステップS13)を長くする必要がない。そのため、指が近接または接触した後、指の近接または接触を検出するまでの時間を短くすることができ、指などの物体が近接または接触しているにも関わらず、物体の近接または接触が検出されないという検出ミスの発生を防止または抑制することができる。
【0170】
すなわち、本実施の形態1の表示装置によれば、検出モードとしての指座標検出処理の前に待機モードとして行われる指近接検出処理において、検出処理に要する時間を短くし、消費電力を低減しつつ、検出ミスの発生を防止または抑制することができる。
【0171】
なお、本実施の形態1の表示装置によれば、待機モードとして行われる指近接検出処理を行う際に、複数の検出電極Rxおよびシールド電極SHのうちシールド電極SHのみを用いるため、上記特許文献1記載の技術に比べ、待機モードにおける消費電力を低減することができる。
【0172】
前述したように、好適には、検出部SEは、電圧V12を複数のトランジスタTdの各々のゲート電極に供給し、電圧V2を複数のスイッチング素子GSWおよび複数のスイッチング素子SSW1の各々のゲート電極に供給する。そして、複数の検出電極Rx、複数の走査線GLおよび複数の信号線SLの各々を電気的に浮遊させた状態で、ステップS11を行う。これにより、シールド電極SHが有する寄生容量のうち、複数の検出電極Rx、複数の走査線GLおよび複数の信号線SLを介して有する寄生容量を低減することができる。そのため、ステップS11を行う際の検出精度を向上させ、ステップS11を行う際の消費電力を低減することができる。
【0173】
<実施の形態1の第1変形例>
次に、実施の形態1の第1変形例について説明する。
図24は、実施の形態1の表示装置の第1変形例におけるタッチ検出回路を示す図である。なお、
図24は、複数のシールド電極SHにハッチングを付すことにより、ステップS11において、複数のシールド電極SHの各々が選択されている状態を示している。
【0174】
本第1変形例の表示装置は、シールド電極が複数のシールド電極SHに分割されている点で、実施の形態1の表示装置と異なり、それ以外の点で、実施の形態1の表示装置と同様である。すなわち、実施の形態1の表示装置は、シールド電極SHを1個有するが、本第1変形例の表示装置は、シールド電極SHを複数個有する。複数のシールド電極SHは、平面視において、Y軸方向に延在し、かつ、X軸方向に配列されている。
【0175】
なお、複数のシールド電極SHの各々が平面視において延在する方向は、Y軸方向に限られず、例えばX軸方向など、Y軸方向以外のいずれの方向であってもよい。また、複数のシールド電極SHが配列されている方向は、複数のシールド電極SHの各々が延在する方向と交差する方向であればよく、例えばY軸方向など、X軸方向以外のいずれの方向であってもよい。
【0176】
本第1変形例では、接続回路CNC2は、電界効果トランジスタとしてのスイッチング素子CSWを複数個含む。複数のスイッチング素子CSWは、複数のシールド電極SHの各々を、検出回路DCP2にそれぞれ接続する。なお、
図24では図示を省略するが、接続回路CNC2は、シールド電極SHを、検出回路DCP2またはガード信号供給回路GSC1(
図16参照)に切り替えて接続してもよい。
【0177】
本第1変形例では、検出部SEは、指近接処理としてのステップS1に含まれるステップS11において、複数のシールド電極SHを接続回路CNC2により検出回路DCP2にそれぞれ接続する。そして、検出部SEは、ステップS11において、複数のシールド電極SHの各々の静電容量の変化を検出することにより、物体の近接または接触を検出する。すなわち、ステップS11では、複数のシールド電極SHの各々の静電容量の変化に基づいて、第1の側(
図3中上側)からの前面FSへの物体の近接または接触が検出される。
【0178】
そのため、本第1変形例では、ステップS11において、複数のシールド電極SHのうち、どのシールド電極SHの静電容量に変化があったかを特定することができる。したがって、指座標検出処理としてのステップS2に含まれるステップS21において、平面視において、特定されたシールド電極SHと重なる複数の検出電極Rxの各々の静電容量の変化のみを検出することもできる。よって、検出モードとしての指座標検出処理において、実施の形態1に比べ、検出処理に要する時間をさらに短くし、消費電力をさらに低減しつつ、検出ミスの発生を防止または抑制することができる。
【0179】
<実施の形態1の第2変形例>
次に、実施の形態1の第2変形例について説明する。
図25は、実施の形態1の表示装置の第2変形例の一例を示す断面図である。
図26は、実施の形態1の表示装置の第2変形例の別の例におけるタッチ検出回路を示す図である。
【0180】
本第2変形例の表示装置では、複数のシールド電極SH(
図24参照)および接続回路CNC2(
図24参照)が設けられておらず、ステップS11において、複数のシールド電極SHに代えて、複数の走査線GLまたは複数の信号線SLの各々の静電容量の変化を検出する点で、実施の形態1の第1変形例の表示装置と異なる。それ以外の点で、本第2変形例の表示装置は、実施の形態1の第1変形例の表示装置と同様である。
【0181】
図25は、ステップS11において、複数の走査線GLの各々の静電容量の変化を検出する例を示し、
図26は、ステップS11において、複数の信号線SLの各々の静電容量の変化を検出する例を示している。以下では、複数の信号線SLの各々の静電容量を検出する例について説明するが、複数の走査線GLの各々の静電容量を検出する場合も同様にすることができる。
【0182】
図26に示す例では、表示装置は、切り替え部SSP1および信号線駆動回路SDに加えて、切り替え部SSP2を有する。切り替え部SSP2は、検出回路DCP2と信号線駆動回路SDとの接続状態を切り替える。したがって、切り替え部SSP1、信号線駆動回路SDおよび切り替え部SSP2は、検出回路DCP2と複数の信号線SLとの接続状態を切り替える。
【0183】
切り替え部SSP2は、電界効果トランジスタとしてのスイッチング素子SSW2を含む。スイッチング素子SSW2は、信号線駆動回路SDを、検出回路DCP2に接続する。スイッチング素子SSW2は、ゲート電極を含み、電圧供給回路VSC2の出力は、スイッチング素子SSW2のゲート電極に入力される。スイッチング素子SSW2は、ゲート電極に電圧V2が入力されているときに、オン状態である。
【0184】
図26では、切り替え部SSP2が、スイッチング素子SSW2を1個含む場合を例示している。しかし、切り替え部SSP2は、スイッチング素子SSW2を複数個含んでもよい。複数のスイッチング素子SSW2の各々は、複数のスイッチング素子SSW1の各々により信号線駆動回路SDにそれぞれ接続された複数の信号線SLの各々を、検出回路DCP2にそれぞれ接続する。
【0185】
一方、スイッチング素子SSW1は、実施の形態1と異なり、ゲート電極に電圧V2が入力されているときに、オン状態である。
【0186】
図26に示す例では、検出部SEは、指近接処理としてのステップS1に含まれるステップS11において、電圧供給回路VSC2により電圧V2を供給し、複数の信号線SLを、切り替え部SSP1、信号線駆動回路SDおよび切り替え部SSP2により、検出回路DCP2にそれぞれ接続する。そして、検出部SEは、ステップS11において、複数の信号線SLの各々の静電容量の変化を検出することにより、物体の近接または接触を検出する。すなわち、ステップS11では、複数の信号線SLの各々の静電容量の変化に基づいて、第1の側(例えば
図25中上側)からの前面FSへの物体の近接または接触が検出される。
【0187】
このとき、検出部SEは、ステップS11において、電圧供給回路VSC2により電圧V2を供給し、電圧供給回路VSC1により電圧V1としての電圧V12を供給する。これにより、複数の検出電極Rxの各々は、検出回路DCP1から遮断されて電気的に浮遊した状態にされ、複数の走査線GLの各々は、走査線駆動回路GDから電気的に遮断されて電気的に浮遊した状態にされる。一方、複数の信号線SLの各々は、前述したように、信号線駆動回路SDに接続される。
【0188】
そのため、本第2変形例も、実施の形態1の第1変形例と同様に、ステップS11において、複数の信号線SLのうち、どの信号線SLの静電容量に変化があったかを特定することができる。したがって、指座標検出処理としてのステップS2に含まれるステップS21において、平面視において、特定された信号線SLと重なる複数の検出電極Rxの各々の静電容量の変化のみを検出することもできる。よって、検出モードとしての指座標検出処理において、実施の形態1に比べ、検出処理に要する時間をさらに短くし、消費電力をさらに低減しつつ、検出ミスの発生を防止または抑制することができる。
【0189】
また、本第2変形例では、実施の形態1および実施の形態1の第1変形例と異なり、シールド電極SHを形成する必要がないので、表示装置の構成を単純にすることができる。
【0190】
なお、検出部SEが、ステップS11において、複数の走査線GLおよび複数の信号線SLのいずれの静電容量の変化を検出するようにすることもできる。
【0191】
<実施の形態1の第3変形例>
次に、実施の形態1の第3変形例について説明する。
図27は、実施の形態1の表示装置の第3変形例の一例を示す断面図である。
【0192】
本第3変形例の表示装置は、基板SUB1とシールド電極SHとの間に空間が設けられている点で、実施の形態1の表示装置と異なり、それ以外の点で、実施の形態1の表示装置と同様である。すなわち、実施の形態1の表示装置では、基板SUB1とシールド電極SHとの間に空間SPが設けられていないが、本第3変形例の表示装置では、基板SUB1とシールド電極SHとの間に空間SPが設けられている。
【0193】
図27に示す例では、光学素子OD1は、絶縁基板10とバックライトユニットBLとの間に配置されている。また、シールド電極SHは、光学素子OD1とバックライトユニットBLとの間に配置されている。光学素子OD1とシールド電極SHとの間には、空間SPが設けられている。
【0194】
本第3変形例では、実施の形態1と同様に、検出部SE(
図16参照)は、指近接処理としてのステップS1に含まれるステップS11(
図15参照)において、シールド電極SHを接続回路CNC2(
図16参照)により検出回路DCP2(
図16参照)に接続する。そして、検出部SEは、ステップS11において、シールド電極SHの静電容量の変化を検出することにより、物体の近接または接触を検出する。すなわち、シールド電極SHの静電容量の変化に基づいて、物体の近接または接触が検出される。
【0195】
そのため、本第3変形例では、実施の形態1と同様に、待機モードとしての指近接検出処理において、検出処理に要する時間を短くし、消費電力を低減しつつ、検出ミスの発生を防止または抑制することができる。
【0196】
一方、基板SUB1とシールド電極SHとの間に空間SPが設けられている場合、指などの物体がタッチ検出面TDSに接触して基板SUB1が撓む。そして、例えば指などの物体および複数の検出電極Rxの各々など、シールド電極SH以外の他の導電性部材と、シールド電極SHとの距離が変化することにより、容量CcsおよびCcfが変化する。そのため、シールド電極SHを圧力センサとして用いることもできる。
【0197】
<実施の形態1の第4変形例>
次に、実施の形態1の第4変形例について説明する。
図28は、実施の形態1の表示装置の第4変形例の一例を示す断面図である。
【0198】
本第4変形例の表示装置は、光学素子OD1とシールド電極SHとの間にバックライトユニットBLが設けられている点で、実施の形態1の第3変形例の表示装置と異なり、それ以外の点で、実施の形態1の第3変形例の表示装置と同様である。すなわち、実施の形態1の第3変形例の表示装置では、光学素子OD1とバックライトユニットBLとの間にシールド電極SHが設けられているが、本第3変形例の表示装置では、光学素子OD1とシールド電極SHとの間にバックライトユニットBLが設けられている。
【0199】
図28に示す例でも、
図27に示した例と同様に、基板SUB1とシールド電極SHとの間に空間SPが設けられている。また、
図28に示す例でも、
図27に示した例と同様に、光学素子OD1は、絶縁基板10とバックライトユニットBLとの間に配置されている。
【0200】
一方、
図28に示す例では、
図27に示した例とは異なり、シールド電極SHは、バックライトユニットBLを挟んで光学素子OD1と反対側に配置されている。そのため、バックライトユニットBLは、光学素子OD1とシールド電極SHとの間に配置されている。また、空間SPは、光学素子OD1とバックライトユニットBLとの間に設けられている。
【0201】
本第4変形例でも、実施の形態1の第3変形例と同様に、検出部SEは、ステップS11において、シールド電極SHの静電容量の変化を検出することにより、物体の近接または接触を検出する。そのため、本第4変形例でも、実施の形態1の第3変形例と同様に、待機モードとしての指近接検出処理において、検出処理に要する時間を短くし、消費電力を低減しつつ、検出ミスの発生を防止または抑制することができる。また、本第4変形例でも、実施の形態1の第3変形例と同様に、シールド電極SHを圧力センサとして用いることができる。
【0202】
一方、本第4変形例では、シールド電極SHは、バックライトユニットBLを挟んで光学素子OD1と反対側に配置されているため、シールド電極SHは、可視光に対して透明である必要がない。そのため、シールド電極SHの材料として、ITOまたはIZOなどの透明な導電材料に代え、例えばアルミニウム(Al)などの、可視光に対して不透明ではあるが、より電気伝導率が高い導電材料を用いることができる。このような場合、シールド電極SHの材料として、透明な導電材料を用いる場合に比べ、ステップS11を行う際の検出精度をさらに向上させ、ステップS11を行う際の消費電力をさらに低減することができる。
【0203】
(実施の形態2)
実施の形態1では、入力装置としてのタッチパネルを、入力装置の検出電極が、表示装置の表示パネル内に設けられ、かつ、表示装置の共通電極として機能するインセル型のタッチ検出機能付き表示装置に適用した例について説明した。それに対して、実施の形態2では、入力装置としてのタッチパネルを、液晶表示装置の表示面側に外付けすることによって、入力装置の検出電極が、表示装置の表示パネル内に設けられず、表示装置の共通電極としても機能しないオンセル型のタッチ検出機能付き表示装置に適用した例について説明する。なお、本実施の形態2の表示装置に備えられた入力装置は、液晶表示装置を始めとして、有機EL(Electroluminescence)表示装置などの各種の表示装置の表示面側に外付けすることが可能である。
【0204】
<表示装置>
図29は、実施の形態2の表示装置を示す断面図である。
図29に示すように、表示装置DSPは、入力装置TCPを有する。入力装置TCPは、表示パネルPNLに対して第1の側(
図29中上側)に配置されている。言い換えれば、入力装置TCPは、表示パネルPNLの前面FSと対向配置されている。なお、表示装置DSPは、入力装置TCPに対して表示パネルPNL側と反対側に配置されたカバー板40を有してもよい。カバー板40として、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する絶縁基板を用いることができる。また、タッチ検出面TDSは、カバー板40の面であって、基板SUB2側と反対側の面である。
【0205】
図29に示す例では、入力装置TCPは、基板SUB3を有する。基板SUB3は、ガラス基板や樹脂基板などの光透過性を有する絶縁基板30を有する。絶縁基板30は、第1の側(
図29中上側)の前面FS1、および、第1の側と反対側(
図29中下側)の背面BS1を有し、表示パネルPNLに対して、第1の側(
図29中上側)に配置されている。言い換えれば、絶縁基板30は、表示パネルPNLの前面FSと対向配置されている。
【0206】
また、基板SUB3は、絶縁基板30に対して前面FS1側に、複数の検出電極Rxと、絶縁膜31と、を有する。すなわち、複数の検出電極Rxは、絶縁基板30に対して、第1の側(
図29中上側)に配置されている。言い換えれば、複数の検出電極Rxは、絶縁基板30を挟んで表示パネルPNLと反対側に配置されている。複数の検出電極Rxは、平面視において絶縁基板30と重なる。複数の検出電極Rxの各々は、ITOまたはIZOなどの透明な導電材料からなる。絶縁膜31は、検出電極Rxおよび絶縁基板30の上に配置されている。なお、
図29では、複数の検出電極Rxのうち、1個の検出電極Rxのみを示している。
【0207】
また、基板SUB3は、絶縁基板30に対して背面BS1側に、シールド電極SHを有する。シールド電極SHは、平面視において表示パネルPNLと重なる。すなわち、シールド電極SHは、平面視において絶縁基板30と重なる。シールド電極SHは、複数の検出電極Rxに対して、第1の側と反対側(
図29中下側)に配置されている。言い換えれば、シールド電極SHは、複数の検出電極Rxに対して表示パネルPNL側に配置されている。シールド電極SHは、ITOまたはIZOなどの透明な導電材料からなる。
【0208】
シールド電極SHは、絶縁基板30と表示パネルPNLとの間に配置されている。これにより、背面BS側から表示パネルPNLに近接または接触した物体が、複数の検出電極Rxの各々の静電容量の変化に影響を及ぼすことを防止または抑制することができる。すなわち、シールド電極SHは、複数の検出電極Rxの各々を、背面BS側から表示パネルPNLに近接または接触した物体に起因した電界の変化から遮蔽することができる。
【0209】
また、
図29では詳細な図示を省略するが、入力装置TCPは、走査線駆動回路GD(
図16参照)、信号線駆動回路SD(
図16参照)、走査線GL、信号線SLならびに切り替え部GSPおよびSSP1(
図16参照)など、表示装置DSPのうち表示機能を有する部分を有しない点を除き、実施の形態1の表示装置と同様にすることができる。
【0210】
したがって、本実施の形態2の表示装置では、入力装置TCPは、実施の形態1の表示装置と同様に、検出部SE(
図16参照)を有し、検出部SEは、検出回路DCP1およびDCP2(
図16参照)と、接続回路CNC1およびCNC2(
図16参照)と、を含む。また、接続回路CNC1は、複数の検出電極Rxの各々を検出回路DCP1に切り替え可能に接続し、接続回路CNC2は、シールド電極SHを検出回路DCP2に切り替え可能に接続する。また、複数の検出電極Rxの配置、および、複数の検出電極Rxが接続回路CNC1により検出回路DCP1に接続され、シールド電極SHが検出回路DCP2により検出回路DCP2に接続されることについては、
図16を用いて説明した実施の形態1と同様にすることができる。したがって、基板SUB3に垂直な方向から視た場合、すなわち平面視において、複数の検出電極Rxは、基板SUB3にマトリクス状に設けられている。また、検出部SEは、複数の検出電極Rxの各々の静電容量を検出する。
【0211】
一方、本実施の形態2の表示装置における表示パネルPNLについては、共通電極CEは、表示機能を有するがタッチ検出機能を有さず、複数の検出電極Rxおよびシールド電極SHは、表示パネルPNLの内部に設けられていない。
【0212】
なお、
図24を用いて説明した実施の形態1の第1変形例と同様に、シールド電極SHは複数個設けられてもよい。または、
図25および
図26を用いて説明した実施の形態1の第2変形例と同様に、複数のシールド電極SHに代え、複数の走査線GLまたは複数の信号線SLが検出回路DCP2に接続されてもよい。あるいは、
図27を用いて説明した実施の形態1の第3変形例、および、
図28を用いて説明した実施の形態1の第4変形例と同様に、シールド電極SHと基板SUB1、すなわち絶縁基板10との間に、空間SP(
図27および
図28参照)が設けられてもよい。
【0213】
本実施の形態2の表示装置に備えられた入力装置は、第1の側(
図29中上側)の前面FS1、および、第1の側と反対側(
図29中下側)の背面BS1を有する絶縁基板30と、平面視において絶縁基板30と重なる複数の検出電極Rxと、平面視において絶縁基板30と重なるシールド電極SHと、を有する。シールド電極SHは、複数の検出電極Rxに対して、第1の側と反対側(
図29中下側)に配置されている。シールド電極SHの静電容量に基づいて、第1の側(
図29中上側)からの前面FS1への物体の近接または接触が検出され、複数の検出電極Rxの各々の静電容量に基づいて、第1の側(
図29中上側)から前面FS1に近接または接触した物体の位置が検出される。
【0214】
これにより、外部から表示パネルへの物体の近接または接触を検出する検出処理(
図15のステップS11)において、シールド電極SHの静電容量の変化を検出することができる。そのため、検出処理に要する時間を短くすることができる。また、検出処理に要する時間が短くなるため、ステップS11を繰り返す際の時間間隔が短い場合でも、指近接検出処理(
図15のステップS1)における平均的な消費電力を減少させることができる。
【0215】
すなわち、本実施の形態2の表示装置に備えられた入力装置によれば、実施の形態1の表示装置と同様に、検出モードとしての指座標検出処理の前に待機モードとして行われる指近接検出処理において、検出処理に要する時間を短くし、消費電力を低減しつつ、検出ミスの発生を防止または抑制することができる。
【0216】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0217】
また、前記実施の形態においては、開示例として液晶表示装置の場合を例示したが、その他の適用例として、有機EL表示装置、その他の自発光型表示装置、あるいは電気泳動素子等を有する電子ペーパー型表示装置等、あらゆるフラットパネル型の表示装置が挙げられる。また、中小型から大型まで、特に限定することなく適用が可能であることはいうまでもない。
【0218】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。
【0219】
例えば、前述の各実施の形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。