特許第6698379号(P6698379)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2015.5.11 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6698379
(24)【登録日】2020年5月1日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】プッシュスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/02 20060101AFI20200518BHJP
   H01H 9/16 20060101ALI20200518BHJP
   H01H 9/18 20060101ALI20200518BHJP
   H01H 13/52 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
   H01H13/02 A
   H01H9/16 A
   H01H9/18 B
   H01H13/52 F
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-39054(P2016-39054)
(22)【出願日】2016年3月1日
(65)【公開番号】特開2017-157382(P2017-157382A)
(43)【公開日】2017年9月7日
【審査請求日】2019年1月11日
(73)【特許権者】
【識別番号】000131430
【氏名又は名称】シチズン電子株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001960
【氏名又は名称】シチズン時計株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100119987
【弁理士】
【氏名又は名称】伊坪 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100161089
【弁理士】
【氏名又は名称】萩原 良一
(72)【発明者】
【氏名】磯田 寛人
【審査官】 太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−149700(JP,A)
【文献】 実開平03−015426(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3189477(JP,U)
【文献】 実開昭55−071416(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00−13/88
H01H 9/00− 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に複数の固定接点が形成された基板と、
前記基板上に載置され、凸型の湾曲形状を有し、押下されることにより変形して前記複数の固定接点の間で導通を生じさせる可動部材と、
前記可動部材を押下するための押下面を下面側に有し、切欠き部を除いて略環状に形成された上側突出部を上面側に有する第1の押下部材と、
周縁部との連結部を残して中央部を取り囲み前記上側突出部が挿入される略環状の貫通孔を有し、前記可動部材の上方に配置されて押下時に動かないように前記基板に固定され、前記切欠き部の位置に対応する前記連結部の上面から前記貫通孔に沿って起立し、頂部が前記周縁部の上面から突出して、前記切欠き部に挿入される隆起が形成された枠体と、
前記枠体の前記中央部に実装され、前記上側突出部および前記隆起により周囲が取り囲まれた発光素子と、
前記上側突出部および前記発光素子を覆い、使用者による押圧力を受けて前記第1の押下部材を押下する透光性の第2の押下部材と、を有し、
前記隆起は、前記上側突出部と共に、前記発光素子の周囲を取り囲むようにして、前記切欠き部に挿入される、ことを特徴とするプッシュスイッチ。
【請求項2】
前記第2の押下部材が押下されていないときの前記第2の押下部材の下面と前記枠体の隆起の上面との間の距離は、押下時の前記第1および第2の押下部材の移動距離よりも長い、請求項1に記載のプッシュスイッチ。
【請求項3】
前記隆起の前記発光素子に面した内側側面は、上方に行くほど前記枠体の前記周縁部側に傾斜しており、前記発光素子から側方に出射された光を上方に反射させる反射面である、請求項2に記載のプッシュスイッチ。
【請求項4】
前記上側突出部の前記発光素子に面した内側側面は、上方に行くほど前記枠体の前記周縁部側に傾斜しており、前記発光素子から側方に出射された光を上方に反射させる反射面である、請求項3に記載のプッシュスイッチ。
【請求項5】
上方から見たときの前記上側突出部および前記貫通孔の形状はC字型である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項6】
前記第2の押下部材は、前記発光素子からの出射光を集光するレンズである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項7】
前記可動部材の前記湾曲形状の中心軸上において、前記第1の押下部材の前記押下面の中央部、前記発光素子、および前記第2の押下部材の中央部が鉛直方向に重ねて配置されている、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【請求項8】
前記枠体の前記連結部を経由して、前記発光素子に電力を供給するための配線パターンが前記枠体の前記周縁部側に引き出されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプッシュスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プッシュスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
夜間などの暗い環境でも使用者がスイッチを認識できるように、あるいはオン/オフなどの状態を使用者が識別できるように、LED(発光ダイオード)などの発光素子を内蔵し、その発光素子によってボタンを光らせる照光式のプッシュスイッチが知られている。照光式のプッシュスイッチは、例えば、自動車のステアリング操作などに使われるスイッチや、エレベータ内に設置されたスイッチなどに広く用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、発光素子を内蔵したプッシュボタンと、絶縁枠体と、絶縁枠体の内側で上下動自在にプッシュボタンを支持する可撓性の連結部と、プッシュボタンの下方に配置されたダイアフラム形可動接点と、絶縁枠体の下方に外周壁を重ねて配され、底面の中央および端部に固定接点を有すると共に可動接点を内包した箱形絶縁ケースとを有するプッシュスイッチが記載されている。
【0004】
特許文献2には、キートップと、回路基板に配置されたスイッチ本体と、発光体とからなり、スイッチ本体から斜めに突出するアクチュエータの自由端を押下して回路を切り換える照光式押釦スイッチであって、キートップとスイッチ本体の間におけるキートップと対応する位置に、アクチュエータの変移を妨げないように回路基板に接続固定された発光体実装ユニットに発光体を実装したものが記載されている。
【0005】
特許文献3には、操作釦を配設した覆蓋とスイッチ基板からなり、操作釦を上下動することにより電路の開閉を行うスイッチであって、操作釦を導光部材で形成するとともに操作釦の少なくとも一側面に隣接して発光体を配設し、操作釦の側面の外周と底面とに光の反射を助成する材料で形成した部材を配設した照光押釦スイツチが記載されている。
【0006】
特許文献4には、固定接点を有するスイッチ基板と、スイッチ基板上に実装される発光素子と、固定接点の上方に配置されるタクトバネからなる可動接点とを備えた照光式スイッチにおいて、可動接点に窓部が設けられ、この窓部と対応する位置に発光素子が配置されたものが記載されている。
【0007】
特許文献5には、長板状のプリント基板の上面における先端部にスイッチ本体が、中央部に照光用光源であるチップ状のLEDがそれぞれ実装され、利用者が操作ボタンを押圧することにより、スイッチ本体が動作すると共に、LEDからの光が操作ボタンを照光する照光式押しボタンスイッチが記載されている。
【0008】
特許文献6には、複数の接点が設けられた基台と、それらの接点を接離させる金属弾性片と、上部に2つの相対する側立板を有し上方から金属弾性片を押下する移動キーと、移動キーの側立板がそれぞれ挿入される2つの相対する貫通溝を有し発光体を収納する定位台と、定位台の上に配置された押圧キーとを有するボタンスイッチが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平05−135651号公報
【特許文献2】特開平07−245036号公報
【特許文献3】特開平08−077867号公報
【特許文献4】特開2008−027642号公報
【特許文献5】特開2012−113831号公報
【特許文献6】実用新案登録第3189477号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
照光式のプッシュスイッチでは、発光素子とスイッチ機構とを水平方向にずらして配置すると、スイッチの水平方向の面積が大きくなるため、小型化の妨げになる。また、照光式のプッシュスイッチでは、押圧面を明るく光らせたいという要求があることから、押圧面の下にスイッチ機構と発光素子とを両方配置することが望ましい。
【0011】
押圧面の下にスイッチ機構と発光素子とを両方配置するためには、複数の接点が形成された基板上に発光素子も実装し、接点同士を接離させるバネ部材に穴を開けて、バネ部材を発光素子の上に配置する形態が考えられる。しかしながら、この形態では、発光素子の光がバネ部材の穴から出るので光の利用効率が悪くなり、特に小型化したスイッチではバネ部材に穴を開けると製品寿命が短くなり、さらに、発光素子の実装不良や輝度または色度のバラつきなどに起因して製品の歩留まりが悪くなるなどの不具合が生じる。
【0012】
特許文献6のボタンスイッチでは、バネ部材に相当する金属弾性片よりも上方に発光体が実装されているが、移動キーの2つの相対する側立板の間から光が漏れるため、光の利用効率は上がらない。
【0013】
そこで、本発明は、光の利用効率を向上させて使用者が押圧する面の中央部を照光する光量を増大させるとともに、小型で歩留まりを向上させたプッシュスイッチを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上面に複数の固定接点が形成された基板と、基板上に載置され、凸型の湾曲形状を有し、押下されることにより変形して複数の固定接点の間で導通を生じさせる可動部材と、可動部材を押下するための押下面を下面側に有し、切欠き部を除いて略環状に形成された上側突出部を上面側に有する第1の押下部材と、周縁部との連結部を残して中央部を取り囲み上側突出部が挿入される略環状の貫通孔を有し、可動部材の上方に配置されて押下時に動かないように基板に固定され、切欠き部の位置に対応する連結部の上面側に隆起が形成された枠体と、枠体の中央部に実装され、上側突出部および隆起により周囲が取り囲まれた発光素子と、上側突出部および発光素子を覆い、使用者による押圧力を受けて第1の押下部材を押下する透光性の第2の押下部材とを有するプッシュスイッチが提供される。
【0015】
上記のプッシュスイッチでは、第2の押下部材が押下されていないときの第2の押下部材の下面と枠体の隆起の上面との間の距離は、押下時の第1および第2の押下部材の移動距離よりも長いことが好ましい。
【0016】
上記のプッシュスイッチでは、隆起の発光素子に面した内側側面と上側突出部の発光素子に面した内側側面は、いずれも上方に行くほど枠体の周縁部側に傾斜しており、発光素子から側方に出射された光を上方に反射させる反射面であることが好ましい。
【0017】
上記のプッシュスイッチでは、上方から見たときの上側突出部および貫通孔の形状はC字型であることが好ましい。
【0018】
上記のプッシュスイッチでは、第2の押下部材は、発光素子からの出射光を集光するレンズであることが好ましい。
【0019】
上記のプッシュスイッチでは、可動部材の湾曲形状の中心軸上において、第1の押下部材の押下面の中央部、発光素子、および第2の押下部材の中央部が鉛直方向に重ねて配置されていることが好ましい。
【0020】
上記のプッシュスイッチでは、枠体の連結部を経由して、発光素子に電力を供給するための配線パターンが枠体の周縁部側に引き出されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0021】
上記のプッシュスイッチによれば、光の利用効率が向上して使用者が押圧する面の中央部を照光する光量が増大するとともに、小型で歩留まりも向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】プッシュスイッチ1の斜視図である。
図2】プッシュスイッチ1の正面図および側面図である。
図3】キャップ80が取り除かれたプッシュスイッチ1の斜視図である。
図4】プッシュスイッチ1の分解斜視図である。
図5図1に示すV−V線に沿ったプッシュスイッチ1の断面図である。
図6】LED素子70用の配線パターン67,68を説明するための図である。
図7】プッシュスイッチ1の動作を説明するための図である。
図8】上側突出部52および隆起66による光の反射を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、プッシュスイッチについて詳細に説明する。ただし、本発明は図面または以下に記載される実施形態には限定されないことを理解されたい。
【0024】
図1は、プッシュスイッチ1の斜視図である。図2(A)〜図2(C)は、プッシュスイッチ1の正面図および側面図である。図3は、キャップ80が取り除かれたプッシュスイッチ1の斜視図である。図4は、プッシュスイッチ1の分解斜視図である。図5は、図1に示すV−V線に沿ったプッシュスイッチ1の断面図である。
【0025】
プッシュスイッチ1は、基板10、タクトバネ20、接着シート30、カバーシート40、プランジャー50、リードフレーム60、LED素子70およびキャップ80を有する。プッシュスイッチ1は、LED素子70からの出射光によりキャップ80の押圧面を照らす照光式のスイッチである。
【0026】
基板10は、例えばガラスエポキシなどの樹脂材で構成された絶縁基板である。基板10の上面には、複数の固定接点の一例として、中央接点12と外側接点14が形成されている。中央接点12は、例えば円形の上面を有する導体であり、基板10の上面の中央部に配置されている。外側接点14は、例えば矩形の上面を有する2つの導体であり、中央接点12を挟むように基板10の上面の中央部に配置されている。中央接点12と外側接点14は、基板10の対向する2つの側面に形成された半円形のスルーホール部13,15に、それぞれ電気的に接続されている。スルーホール部13,15を半田付けすることにより、プッシュスイッチ1は外部機器に接続される。
【0027】
タクトバネ20は、可動部材の一例であり、例えばステンレス鋼により構成される。タクトバネ20は、凸型のドーム形状(湾曲形状)を有し、中央接点12を跨いで端部が外側接点14に接するように、基板10の上面に配置される。タクトバネ20は、押圧力(操作荷重)がかけられることで、ドーム形状の湾曲がつぶれるように変形して、中央接点12と外側接点14との間で導通を生じさせる。タクトバネ20は、その中央部分だけが凹型に変形するものでもよいし、全体が凹型に変形するものでもよい。
【0028】
接着シート30は、基板10の上にカバーシート40を固定するためのものであり、基板10に合わせた大きさを有する。接着シート30の中央部には矩形の開口部31が形成されており、タクトバネ20はこの中に位置する。
【0029】
カバーシート40は、基板10との間で中央接点12、外側接点14およびタクトバネ20を密封するための可とう性の絶縁樹脂シートであり、基板10と同じ大きさを有し、接着シート30の上に貼り付けられている。プッシュスイッチ1は、カバーシート40により中央接点12、外側接点14およびタクトバネ20が密閉されているため、防水および防塵の構造を有する。
【0030】
プランジャー50は、第1の押下部材の一例であり、タクトバネ20を押下するための樹脂製の部材である。プランジャー50は、図5に示すように、タクトバネ20とリードフレーム60の間に配置され、これらによって挟持されている。プランジャー50は、下面側の中央部に下側突出部51を有し、上面側に、1か所の切欠き部53を除いて略環状に形成された上側突出部52を有する。
【0031】
プランジャー50は、使用者によりキャップ80が押下されたときに、キャップ80とともに下方に移動して、下側突出部51により、タクトバネ20のドーム形状の中央部を下方に押下する。こうして、プランジャー50は、操作荷重をタクトバネ20に伝達する。すなわち、下側突出部51の下面は、タクトバネ20を押下するための押下面である。また、図3に示すように、上方から見たときの上側突出部52の形状はC字型である。C字型とは、アルファベットの「C」と同一の丸い形状に限らず、カタカナの「コ」の字か、または「ロ」の字の1か所が切り欠かれたような4角い形状であってもよい。
【0032】
リードフレーム60は、例えばインサート成型により4つの接続電極91〜94と一体に形成された樹脂製の枠体である。接続電極91,92は、プッシュスイッチ1の固定用に設けられた未接続端子であり、リードフレーム60の一方の側面に露出している。接続電極93,94は、LED素子70を外部電源に接続するための端子であり、接続電極91,92に対向するリードフレーム60の他方の側面に露出している。リードフレーム60は、基板10と同じ大きさの矩形の形状を有し、タクトバネ20の上方に配置されており、キャップ80が押下されたときに動かないように、カバーシート40を介して基板10に対して固定されている。
【0033】
リードフレーム60は、その上面に、周縁部61との連結部62を残して中央部63を取り囲む略環状の貫通孔64を有する。また、リードフレーム60は、基板10上のカバーシート40との間に、プランジャー50が収容される内部空間65を形成する(後述する図7(A)を参照)。上方から見たときの貫通孔64の形状は、プランジャー50の上側突出部52と同じC字型である。上側突出部52は、貫通孔64を貫通してリードフレーム60よりも上側に突出している。また、図5に示すように、連結部62の上面には、隆起66が形成されている。隆起66の高さは貫通孔64から突出している上側突出部52の高さよりも低いが、隆起66があることにより、中央部63の周囲は、全周にわたって上側に突出している。
【0034】
LED素子70は、発光素子の一例であり、プッシュスイッチ1の用途に応じて、例えば、赤色光、緑色光、青色光または白色光などを発光する。LED素子70は、リードフレーム60の中央部63に例えば半田で実装されており、その周囲は、プランジャー50の上側突出部52およびリードフレーム60の隆起66によって取り囲まれている。LED素子70の種類および実装方法はどのようなものでもよく、特に限定されない。
【0035】
図6は、LED素子70用の配線パターン67,68を説明するための図である。リードフレーム60には、LED素子70に電力を供給するための1組の配線パターン67,68が形成されている。図6に示すように、配線パターン67,68は、中央部63から、連結部62を経由して、リードフレーム60の周縁部61側に引き出されており、プッシュスイッチ1の側面に形成された接続電極93,94にそれぞれ電気的に接続されている。接続電極93,94を外部電源に接続することにより、必要に応じてLED素子70を発光させることが可能である。
【0036】
キャップ80は、第2の押下部材の一例であり、プランジャー50の上側突出部52とLED素子70とを覆うように、プッシュスイッチ1の最上層に配置されている。キャップ80は、使用者により押下される部材であるとともに、LED素子70からの出射光を上方に透過させる働きを有するため、透光性の材料で形成されている。キャップ80の下面は上側突出部52の上面に接触しており、キャップ80は、使用者による操作荷重を受けて下方に移動して、プランジャー50を押下する。
【0037】
図7(A)〜図7(F)は、プッシュスイッチ1の動作を説明するための図である。図7(A)および図7(B)は、図7(C)に示すVIIA−VIIA線に沿ったプッシュスイッチ1の断面図であり、図7(D)および図7(E)は、図7(F)に示すVIID−VIID線に沿ったプッシュスイッチ1の断面図である。図7(C)および図7(F)は、リードフレーム60の上面、プランジャー50の上側突出部52およびLED素子70を示す平面図であり、図7(F)は、図7(C)を時計回りに90度回転させたものに相当する。
【0038】
操作荷重が掛けられていないときには、図7(A)および図7(D)に示すように、タクトバネ20は上に凸のドーム形状を保持している。使用者によりキャップ80の上面が下方に押下されると、図7(B)および図7(E)に示すように、キャップ80とプランジャー50は下方に移動し、プランジャー50の下側突出部51は、カバーシート40を介してタクトバネ20の中央部を下方に押下する。これにより、ドーム形状の湾曲がつぶれるようにタクトバネ20が変形するため、タクトバネ20を介して基板10上の中央接点12と外側接点14とが導通して、プッシュスイッチ1はONになる。また、キャップ80の上面に掛けられた操作荷重がなくなると、図7(A)および図7(D)に示すように、キャップ80とプランジャー50は上方に移動し、タクトバネ20のドーム形状が復元される。これにより、中央接点12と外側接点14は導通しなくなるため、プッシュスイッチ1はOFFになる。
【0039】
図7(D)に示すように、キャップ80が押下されていないときのキャップ80の下面とリードフレーム60の隆起66の上面との間の距離をd1とおく。また、図7(E)に示すように、押下時のキャップ80とプランジャー50の移動距離をd2とおく。すると、プッシュスイッチ1では、距離d1が距離d2よりも長くなるように、隆起66の高さが調整されている。すなわち、キャップ80が押下されていないときのキャップ80の下面と隆起66の上面との間には、プッシュスイッチ1のストローク分よりも広い隙間が形成されている。距離d1が距離d2よりも短いと、操作荷重が掛けられたときにキャップ80の下面が隆起66の上面に当接して、それ以上、キャップ80とプランジャー50が下方に移動できなくなってしまう。しかしながら、プッシュスイッチ1では、キャップ80が下方に移動してもキャップ80の下面が隆起66の上面に当接することはなく、その移動が妨げられることはない。
【0040】
図8(A)および図8(B)は、上側突出部52および隆起66による光の反射を説明するための図である。これらの図は、それぞれ、図7(A)および図7(D)と同じプッシュスイッチ1の断面図である。
【0041】
上側突出部52のLED素子70に面した内側側面521は、上方に行くほどリードフレーム60の周縁部61側に傾斜した反射面である。また、隆起66のLED素子70に面した内側側面661も、上方に行くほどリードフレーム60の周縁部61側に傾斜した反射面である。これらの反射面は、例えば、光反射率が高い金属薄膜で内側側面521,661を被覆することにより形成される。これにより、図8(A)および図8(B)に矢印Lで示すように、LED素子70から側方に出射された光は、内側側面521,661で上方に反射して、プッシュスイッチ1の上方に出射される。なお、上側突出部52と隆起66の内側側面は、必ずしも全体が傾斜面でなくてもよく、どちらも一部に鉛直面を含んでいてもよい。
【0042】
プッシュスイッチ1では、図7(A)および図7(D)に示すように、タクトバネ20のドーム形状の中心軸X上において、プランジャー50の下側突出部51の中央部、LED素子70、およびキャップ80の中央部が、鉛直方向に重ねて配置されている。このため、中央接点12、外側接点14およびタクトバネ20を含むスイッチ機構とLED素子70とを水平方向にずらして配置する形態と比べて、スイッチの水平方向の面積が小さくなるため、小型化が可能になる。
【0043】
また、プッシュスイッチ1では、中央接点12と外側接点14が形成された基板10とは別の基板であるリードフレーム60にLED素子70が実装されて、リードフレーム60が基板10上に配置される。このため、リードフレーム60上に実装して良品であると確認されたLED素子だけをプッシュスイッチ1に組み込めば、例えば輝度や色度が規定範囲外のLED素子を初めから除外することができる。したがって、基板10上にLED素子を実装する形態と比べて、歩留まりが向上し、製造コストを削減することが可能になる。
【0044】
また、プッシュスイッチ1では、LED素子70を取り囲むプランジャー50の上側突出部52の形状がC字型であり、その開口部が切欠き部53の1か所しかない。このため、上側突出部52の開口部が複数箇所に形成されている形態と比べて、プランジャー50とキャップ80との接触面積が広くなるので、上からの操作荷重に対する上側突出部52の強度も強くなる。
【0045】
また、プッシュスイッチ1では、タクトバネ20よりも上方にLED素子70が実装されているため、基板10上にLED素子を実装し、タクトバネ20に穴を開けてその穴から出射される光を利用する形態と比べて、光の利用効率は高くなる。また、プッシュスイッチ1では、プランジャー50の上側突出部52の形状がC字型であり、さらに、切欠き部53においてリードフレーム60の上面に隆起66が形成されているため、切欠き部53からもLED素子70の光は漏れにくくなる。しかも、プッシュスイッチ1では、上側突出部52の内側側面521と隆起66の内側側面661は傾斜面であり、その傾斜面には反射型の光学形状が設けられているので、LED素子70の周囲の全周で光を上方に反射させることができる。このため、プッシュスイッチ1では、LED素子70の周囲の2か所以上に開口部がある形態と比べて、光の利用効率は高くなる。
【0046】
なお、キャップ80の中央部または全体は、LED素子70からの出射光を集光するレンズであってもよい。キャップ80をレンズで構成すれば、キャップ80は、使用者による押圧面としての機能と集光機能とを兼ねることができる。この場合には、反射面である上側突出部52の内側側面521および隆起66の内側側面661の形状と、キャップ80のレンズの形状とにより、用途に応じて光の指向性を変更することが可能である。また、反射面とレンズとの組合せによりLED素子70からの出射光を効率よく照光に利用できるので、LED素子70自体への電流を低く抑えることもでき、消費電力を削減することも可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 プッシュスイッチ
10 基板
12 中央接点
14 外側接点
20 タクトバネ
30 接着シート
40 カバーシート
50 プランジャー
51 下側突出部
52 上側突出部
60 リードフレーム
61 周縁部
62 連結部
63 中央部
64 貫通孔
66 隆起
67,68 配線パターン
70 LED素子
80 キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8