(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記基端側開口部は、内方に屈曲する開口端縁部(H11)を有し、上記開口端縁部の基端側の端面(H12)が上記膨出部に接続される、請求項2〜5のいずれか1項に記載の点火装置。
上記基端側開口部は、上記軸方向に延びる筒状体であり、その内側に、上記膨出部を備える厚肉筒部(55)が密接配置される、請求項2〜5のいずれか1項に記載の点火装置。
上記外側導体は、複数の導体管(46)を継ぎ合わせて構成され、継ぎ合わせ部(461)を内側から覆い、滑らかな曲面状の内表面(47a)を有するR形状部(47)を備える、請求項1〜9のいずれか1項に記載の点火装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
内燃機関に適用される点火装置1の実施形態1につき、
図1〜
図3を用いて説明する。
図1に示されるように、点火装置1は、点火プラグPと、この点火プラグPに電力を伝送するための電力ケーブル4とを有している。点火プラグPは、金属筒状のハウジングHを有し、その内側に絶縁碍子2を同軸的に保持している。絶縁碍子2は、軸方向X(すなわち、
図1の上下方向)に貫通する軸孔21を有しており、軸孔21の先端側(すなわち、
図1の下側)には、長軸状の中心電極31が収容されている。接地電位となるハウジングHの先端面には、接地電極32が設けられる。
【0011】
内燃機関は、例えば自動車用エンジンであり、点火プラグPは、図示しないエンジン燃焼室内に供給される燃料への点火を行う。点火プラグPは、ハウジングHの中間部外周に設けた取付ネジ部H2によって、例えば、エンジン燃焼室に臨むシリンダヘッドの取付穴に、螺結される。このとき、点火プラグPは、取付ネジ部H2より先端側に位置する中心電極31及び接地電極32が、エンジン燃焼室内に突出する。点火プラグPの取付ネジ部H2より基端側(すなわち、
図1の上側)は、シリンダヘッドの外部に位置し、電力ケーブル4は、ハウジングHの基端側開口部H1を閉鎖するように、基端側開口部H1から突出する絶縁碍子2に外挿固定される。
【0012】
電力ケーブル4は、中心導体41と、この中心導体41の外側を同軸的に取り囲む外側導体42と、中心導体41と外側導体42の間に介在する絶縁体43とを有している。電力ケーブル4は、先端側にプラグ接続部40を有して、点火プラグPの基端側に取り付けられる。プラグ接続部40は、中心導体41の先端部411と、外側導体42の先端部421(以下、外導体先端部421と称する)と、絶縁体43の先端部431とで形成される。中心導体41の先端部411は、絶縁碍子2の軸孔21内に挿通され、外導体先端部421は、ハウジングHの基端側開口部H1に設けられる、開口端縁部としてのカシメ部H11に当接する。
【0013】
このとき、中心導体41及び外側導体42は、それぞれ中心電極31及びハウジングHと電気的に接続される。外導体先端部421には、ハウジングHの基端側開口部H1に隣接して、膨出部5が設けられる。膨出部5は、滑らかな曲面状の内表面51を有し、最小内径となる部位より内側に、基端側開口部H1が位置しないように配置される。これにより、外導体先端部421と基端側開口部H1との接続部に、電界緩和部6が形成される。プラグ接続部40及び電界緩和部6の具体的構成については、後述する。
まず、点火装置1の各部構造について詳述する。
【0014】
点火プラグPのハウジングHは、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金材料からなる筒状体であり、ハウジングHの筒穴H3は、絶縁碍子2の外形に沿う形状としてある。絶縁碍子2は、例えば、アルミナ等の絶縁材料からなる筒状体であり、その先端部及び基端部は、筒穴H3からそれぞれ軸方向Xに突出して位置する。筒穴H3は、取付ネジ部H2より基端側の内周面がテーパ段部H31を有して拡径する一方、取付ネジ部H2より先端側の内周面が段付きに縮径している。このとき、筒穴H3の基端側のテーパ段部H31上に、絶縁碍子2の中間部外周に設けた拡径部22のテーパ面が当接支持され、先端側の段付部H32上に、絶縁碍子2の先端側外周に設けた段部23が当接支持される。また、筒穴H3の段付部H32と絶縁碍子2の段部23との間に、図示しないシールリング等を介在させて気密性を保持することができる。
【0015】
ハウジングHは、基端側開口部H1にカシメ部H11を設けて、絶縁碍子2の外周にカシメ固定される。カシメ部H11は、基端側開口部H1の薄肉筒状の開口端縁部を、プレス機等を用いて、軸直方向Y(すなわち、軸方向Xと直交する方向)内方へ屈曲変形させて形成される。このとき、基端側開口部H1と絶縁碍子2の間の空間部に、図示しないタルクやガスケット等を充填して圧縮する構成とすると、気密性が向上する。
【0016】
図2に示されるように、基端側開口部H1は、絶縁碍子2に近接するカシメ部H11において、その基端側に位置する外側導体42と密接する。ここでは、カシメ部H11の基端側の端面H12は、軸直方向Yと平行な環状面であり、プラグ接続部40を構成する外導体先端部421は、軸直方向Yと平行な先端面44を有して、互いに密着可能となっている。端面H12に続く内表面H13は、内径が一定の筒状面となっている。なお、カシメ部H11の端面H12と、外側導体42の先端面44は、電気的に接続可能に密接していればよく、必ずしも軸直方向Yと平行に形成されていなくてもよい。
【0017】
図1において、絶縁碍子2の軸孔21は、先端側の半部がテーパ段部24を有して縮径している。中心電極31は、大径の基端部31aに設けたテーパ面が、軸孔21のテーパ段部24上に当接支持される。絶縁碍子2の先端部は、ハウジングHの先端より先端側へ突出して、エンジン燃焼室に露出し、中心電極31の先端部は、軸孔21の先端開口より先端側へ突出している。ハウジングHの円環状の先端面は、接地電極32として機能し、電力ケーブル4から中心電極31へ電力を供給すると、絶縁碍子2の露出表面を介して、中心電極31と接地電極32との間に沿面放電が生起する。
【0018】
軸孔21の基端側半部内には、プラグ接続部40となる中心導体41の先端部411が挿通されて、中心電極31の大径基端部31aに近接位置している。軸孔21内において、中心導体41の先端部411と大径基端部31aとの間には、導電シール部11が介設される。導電シール部11は、導電性ガラス等からなるガラスシール部12、13と、これらガラスシール部12、13間に配置される抵抗体14にて構成される。抵抗体14は、例えば、カーボン等の導電性材料とガラス材料と骨材とを含み、所望の抵抗値に調整されて、中心電極31への伝送経路の一部を形成すると共に、電磁波ノイズを吸収する機能を有する。
【0019】
図3に示すように、電力ケーブル4の基端部は、昇圧トランス6と電気的に接続される。昇圧トランス6は、軟磁性材料からなるコア61と、コア61にギャップを形成するギャップ部材62と、一次ボビン63に巻回された一次巻線64と、二次ボビン65に巻回された二次巻線66とを、トランスケース67内に収容して構成される。トランスケース67は、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金材料やアルミニウム合金材料、あるいは、導電性コーティングを施した合成樹脂材料にて構成される。
【0020】
コア61は、2個のE型コア611を組み合わせて形成され、2個のE型コア611の間には、ギャップ部材62が配置されている。ギャップ部材62は、例えば、樹脂材料からなる。一次巻線64と二次巻線66は、コア61内に形成される環状空間部に、同軸的に配置される。二次巻線66は、一端が電力ケーブル4の中心導体41に接続され、他端は、例えば、トランスケース67を介して、電力ケーブル4の外側導体42と電気的に接続されている。なお、二次巻線66の他端を、トランスケース67を介さずに取り出して、任意の位置に電気接続することも可能である。一次巻線63の一端には、パルス発振部7が接続され、一次巻線63の他端は、共通電位に接続される。
【0021】
パルス発信部7は、発振器71と、ゲートドライバ72と、ハーフブリッジ回路を形成する一対のスイッチング素子73、74と、分圧回路75とからなる。スイッチング素子73、74は、電源76に接続される高電位配線761と、接地された低電位配線762との間に配置され、スイッチング素子73、74の間には、一次巻線64の一端が接続される。パルス発信部7は、スイッチング素子73、74を、交互にオンオフ動作させることにより、パルス状の出力電圧を発生し、一次巻線64に印加する。スイッチング素子73、74は、例えばMOSFET(MOS型電界効果トランジスタ)、IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)等の半導体素子からなる。
【0022】
分圧回路75は、電源76に接続される高電位配線761と、接地された低電位配線762との間に、互いに直列に接続された一対の抵抗77a、77bと、互いに直列に接続された一対のコンデンサ78a、78bとを有する。一対の抵抗77a、77bの中点と、一対のコンデンサ78a、78bの中点は、共通電位に接続される。
【0023】
パルス発信部7に、図示しない内燃機関のECUから点火信号が入力すると、発振器71が生成する矩形波のパルス信号に基づいて、ゲートドライバ72から駆動信号が出力される。この駆動信号により、スイッチング素子73、74のゲート電圧が制御され、スイッチング素子73、74がオンオフ駆動される。これに伴い、昇圧トランス6の一次巻線64に、一定の周波数、一定のパルス幅のパルス正電圧及びパルス負電圧が送られる。二次巻線66には、一次巻線64と二次巻線66の巻き数比と共振効率に応じて、一定の周波数の一次電圧より高い二次電圧が発生する。
【0024】
このようにして、沿面放電型プラグである点火プラグPに、高周波を印加することにより、ストリーマ放電等を生起することができる。このとき、昇圧トランス6と点火プラグPとを接続する電力ケーブル4は、中心導体41と外側導体42と絶縁体43(すなわち、誘電体)とからなる同軸ケーブル構造を有して、高周波電力を伝送する。中心導体41は、一定の外径を有する金属線であり、一定の外径を有する金属管状の外側導体42の内側に同軸配置される。中心導体41と外側導体42の間には、所定厚さの筒状に形成された絶縁体43が配置される。絶縁体43の内周面及び外周面は、それぞれ中心導体41の外周面及び外側導体42の内周面に密接している。
【0025】
中心導体41又は外側導体42を構成する金属材料は、特に制限されるものではなく、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄等の金属又はそれらの合金等から適宜選択される。好適には、中心導体41は、例えば、銅又は銅合金等の導電性の高い金属材料にて構成され、外側導体42は、例えば、ステンレス鋼等の耐熱性の高い金属材料にて構成することができる。絶縁体43は、例えば、ポリエチレン、架橋ポリエチレン、フッ素樹脂等の絶縁性樹脂材料にて構成することができる。絶縁体43を、例えば、アルミナ等の絶縁性セラミックス材料にて構成することもできる。
【0026】
絶縁体43は、予め筒状に成形した後に、中心導体41と外側導体42の間に充填されても、中心導体41と外側導体42の間に樹脂材料を注入後、硬化させて形成してもよい。注入硬化による場合には、樹脂材料として、シリコーン系樹脂の他、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂材料を用いることもできる。高周波電力を伝送するためには、誘電損が小さい樹脂材料が適しており、特に、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂が好適に使用される。
【0027】
電力ケーブル4は、中心導体41の外径と外側導体42の内径との比と、絶縁体43(すなわち、誘電体)の比誘電率とによって決まる特性インピーダンスを有し、インピーダンス整合が図られる。電力ケーブル4は、特性インピーダンスを含む諸特性が、所望の値となるように、各部材の形状(例えば、内外径、厚さ等)や材料等が適宜選択される。
【0028】
図1、
図2に示されるように、電力ケーブル4は、先端側に設けたプラグ接続部40によって、点火プラグPの基端側から軸方向Xに装着され、電気的に接続される。すなわち、中心導体41の先端部411が、軸孔21内において、導電シール部11を介して中心電極31に接続されると共に、外導体先端部421が、絶縁碍子2の外側において、ハウジングHの基端側開口部H1に接続される。絶縁碍子2の基端部に隣接する絶縁体43の先端部431は、絶縁碍子2の基端部に覆着される凹部432を有し、膨出部5の内側に、膨出部5に沿う形状の先端薄肉部431aが隣接位置する。すなわち、先端薄肉部431aは、膨出部5に対応する滑らかな凹曲面状の外表面を有し、先端側ほど外径が膨出部5の内表面51に密接する。
【0029】
先端薄肉部431aを含む筒状の先端部431は、所定厚さの絶縁体43の筒状本体部と共に予め一体成形された絶縁体43として構成することができる。あるいは、中心導体41を装着後、外側導体42の内側に樹脂材料を注入硬化することにより、絶縁碍子2と外側導体42の間に樹脂材料を充填して、先端部431を形成し、膨出部5に密接する先端薄肉部431aを形成することができる。電力ケーブル4を、昇圧トランス6と一体的に形成する場合には、トランスケース67内に充填されるモールド樹脂材料を用いて、先端薄肉部431aを含む絶縁体43を、トランスケース67内のモールド樹脂と一体成形してもよい。
【0030】
ここで、電力ケーブル4の外表面を形成する外側導体42は、継ぎ目のない金属管からなり、一定の外径を有する。外側導体42は、一定外径の絶縁体43に隣接する位置においては、一定の内径を有し、それより先端側においては、内周面の全面に厚肉筒状の膨出部5が形成されて、先端側ほど内径が小さくなる。具体的には、膨出部5は、外導体先端部421の内周面から軸直方向Yの内方へ、弧を描くように膨出している。膨出部5は、軸方向Xの断面形状が、例えば、1/4円断面形状で、軸方向Xにおける膨出部5の内径の縮小率は単調減少となり、先端側へ向けて内径が徐々に小さくなって、先端面44において最小内径となる。膨出部5の内表面51は、1/4円弧状の輪郭形状を有する滑らかな曲面となっており、基端側において、外導体先端部421の内表面45に連続する。膨出部5は、先端面44へ開口する内側端縁を除いて角部を有しない。
【0031】
外側導体42は、膨出部5がカシメ部H11に押し当てられて一体となり、絶縁碍子2の外表面に僅かな間隙を有して近接する。具体的には、絶縁碍子2に近接する内周側において、先端面44の一部がカシメ部H11の端面H12に密着し、最小内径となるカシメ部H11の内周端縁は、膨出部5の内側端縁と重なる。すなわち、カシメ部H11の内表面H13は、膨出部5の内表面51と滑らかに接続し、膨出部5の最小内径となる部位より内側に位置しない。膨出部5の内側の先端薄肉部431aは、先端側へ向けて外径が徐々に小さくなる、円錐状の外形を有し、先端は、外側導体42の先端面44と一致する。
【0032】
このとき、膨出部5の内表面51とカシメ部H11の内表面H13とが、連続する内表面となり、絶縁碍子2の近傍に、滑らかな金属表面からなる電界緩和部6が形成される。このように、金属管からなる外側導体42によって、電界がシールディングされる構成において、さらに、絶縁碍子2の近傍に鋭利な金属端や凸部、鋭角の角部、段部等が露出しない構成とすることで、電界集中を抑制し、電界緩和部6として機能させることができる。これにより、プラグ接続部40におけるリーク放電の発生を抑制し、電力ケーブル4から点火プラグPへ、点火エネルギを効率よく伝達することができる。
【0033】
(実施形態2)
図4に、実施形態2として示すように、外側導体42は、膨出部5がカシメ部H11に押し当てられて一体となり、絶縁碍子2の外表面に当接する位置にあってもよい。この場合、電界緩和部6を形成する金属表面は、より滑らかな曲面状であることが望ましい。具体的には、カシメ部H11の内表面H13を、一定径の筒状面とする代わりに、基端側へ向けて内径が徐々に小さくなり、端面H12において最小内径となる曲面状に形成するとよい。このとき、図示するように、内表面H13が、膨出部5の内表面51の延長上に位置して、連続する滑らかな曲面を形成する。
【0034】
このように、膨出部5とカシメ部H11が、絶縁碍子2の外表面と接触する位置にあっても、カシメ部H11の内表面H13を曲面状とすることで、電界集中を緩和する効果が得られる。したがって、電界緩和部6による、電界強度の低減効果を高めて、リーク放電の発生を抑制することができる。
【0035】
なお、実施形態2以降において用いた符号のうち、既出の実施形態において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、既出の実施形態におけるものと同様の構成要素等を表す。図中の符号についても、同様である。
【0036】
(実施形態3)
図5に、実施形態3として示すように、実施形態2の構成において、電界緩和部6を形成する膨出部5とカシメ部H11が、絶縁碍子2の外表面から離れて配置されていても、もちろんよい。これにより、電界緩和部6と絶縁碍子2の外表面との間の電界強度がさらに低下し、リーク放電の発生を抑制する効果を高めることができる。
【0037】
これら実施形態2、3の構成のように、絶縁碍子2の外表面に当接又は近接する金属表面が、連続する曲面状に形成されていると、電界強度を低下させる効果が大きくなる。カシメ部H11の内表面H13と、膨出部5の内表面15の曲率半径Rは、必ずしも同じでなくてもよく、接続部において滑らかに連続する面を形成していることが望ましい。
【0038】
また、上記実施形態では、先端薄肉部431aを含む先端部431全体を、絶縁体43の筒状本体部と一体に形成したが、絶縁体43の一部、例えば、先端薄肉部431aを別体に構成することもできる。ここでは、先端薄肉部431aに相当する形状の絶縁部433を、膨出部5の内側に配置している。絶縁部433は、内径が絶縁碍子2の外径と一致し、外径が先端側ほど小さくなる円錐状の筒状体からなる。絶縁部433は、例えば、予め所定の形状に成形したものを、膨出部5の内側に密接するように配置し、その基端側に一定の外径を有する先端部431及び絶縁体43の筒状本体部を密着配置させて、一体の絶縁体43とすることができる。
【0039】
絶縁部433は、例えば、絶縁体43と同様の絶縁性樹脂材料又は絶縁性セラミックス材料にて構成される。この場合、絶縁部433と絶縁体43とは、同じ材質としても異なる材質としてもよい。あるいは、絶縁部433を、絶縁性の弾性材料にて構成することもできる。この場合は、弾性材料からなる絶縁部433と膨出部5との密着性が向上する。
【0040】
上記実施形態2のように、膨出部5が絶縁碍子2の外表面に当接する位置にある場合には、絶縁部433を、所定形状の成形体とする代わりに、絶縁グリスにて構成することもできる。この場合は、予め膨出部5の内側の空間に、絶縁グリスを充填し、その基端側に、一定の外径を有する先端部431及び絶縁体43の筒状本体部を配置して、一体の絶縁体43とする。あるいは、膨出部5の内側の空間に、微量の絶縁性樹脂材料又は絶縁グリスを充填し、さらに、膨出部5に沿う形状の絶縁部433を配置することもできる。この場合は、部材間の密着性がさらに向上する。
【0041】
(試験例1)
以下の条件で、有限要素法を用いた解析を行い、電界緩和部6の効果を調べた。ハウジングHのカシメ部H11に膨出部5が密接する実施形態1の構成と、膨出部5を有しない従来の構成のそれぞれについて、解析モデルを用意し、分割された要素毎に電界強度を計算して、電界強度分布を求めた。
[解析条件]
・中心導体41:銅(外径φ3mm)
・絶縁碍子2:アルミナ(内径φ3mm、外径φ9mm)
・ハウジングH:ステンレス鋼(最小内径φ9mm)
・外側導体42:ステンレス鋼(内径φ18mm)
・印加電圧:20kV
・比誘電率(アルミナ):9
・要素サイズ:0.1mm
【0042】
図6に示されるように、実施形態1の構成では、カシメ部H1の内表面H13とこれに連なる膨出部5の内表面51において、近接する絶縁碍子2の外表面との間の電界強度が高くなっている(最大電界強度:45kV/mm)。膨出部5の内表面51が、絶縁碍子2の外表面から離れるに従って、電界強度は徐々に低下し、ハウジングH又は外側導体42の内表面45と絶縁碍子2の外表面との間に形成される空間部で、電界強度は最小となる。
【0043】
一方、
図7に示されるように、従来の構成では、カシメ部H1の内表面H13と、その内側の絶縁碍子2の外表面との間において、電界強度が局部的に高くなっている(最大電界強度:52kV/mm)。カシメ部H1の基端側又は先端側では、電界強度は急減している。この場合、
図8に示されるように、電界集中部となるカシメ部H1の端縁を起点として、絶縁碍子2の沿面を這うリーク放電Lが発生しやすくなる。
【0044】
これに対して、
図9に示されるように、実施形態1の構成とすることで、最大電界強度は、従来の構成に対して、14%低減する。すなわち、外導体先端部421に、カシメ部H1と一体に膨出部5を接続することにより、電界緩和部6として機能させることができ、電界集中を抑制する効果が得られることが確認された。
【0045】
(実施形態4)
図10に、実施形態4として示すように、電界緩和部6を形成する膨出部5とカシメ部H11は、軸直方向Yにおいて、膨出部5の最小内径となる部位よりも、カシメ部H11が内側に位置しないように配置されていればよい。その場合には、膨出部5とカシメ部H11は、接続部において連続する面を形成していなくてもよい。このとき、上記実施形態1のように、膨出部5を1/4円断面形状とし、最小内径となる先端面44において、絶縁碍子2の外表面と当接させることもできるが、図示するように、内側端縁に、角を有しないR形状部52を形成することもでき、より望ましい。
【0046】
具体的には、膨出部5は、略1/4円断面形状であり、内側端縁の全周に設けたR形状部52が、絶縁碍子2の外表面と当接又は近接する位置にある。カシメ部H11の内表面H13は、膨出部5が最小内径となる位置よりも外側において、例えば、R形状部52と連続するように構成することができる。これにより、膨出部5とカシメ部H11の接続部に角部が形成されず、角を有しないR形状部52によって、滑らかに接続されるので、電界集中を抑制する効果が高まる。
【0047】
したがって、カシメ部H1の内側の微小空間において、電界強度の緩和効果が高められ、リーク放電が生じるのを抑制できる。カシメ部H11の内表面H13は、図示するように、絶縁碍子2の外表面と平行な筒状面であっても、上記実施形態2、3と同様の曲面状であってもよい。
【0048】
(実施形態5)
図11に、実施形態5として示すように、電界緩和部6を形成する膨出部5は、1/4円断面形状に限らず、内表面51が、円弧状の輪郭形状を有する曲面にて構成されていればよい。具体的には、図示するように、上記実施形態2の膨出部5を基本形状として、その内表面51の曲率半径Rを大きくし、より緩やかな曲面形状とすることで、電界緩和効果が大きくなる。カシメ部H11の形状は、上記実施形態4と同様とすることができる。
【0049】
また、カシメ部H11との接続部は、上記実施形態4と同様に、膨出部5の内側端縁に角を有しないR形状部52が形成されていても、図示するように、膨出部5の内側端縁にR形状部52を有しなくてもよい。その場合でも、内表面51の曲率半径Rが大きくなることにより、電界集中が緩和され、最大電界強度が低下することによって、リーク放電を抑制する効果が得られる。
【0050】
具体的には、膨出部5の最小内径と最大内径との差である内径差aと、内表面51の曲率半径Rとが、下記式1で表される関係を満たすような形状であるとよい。
式1:R/a≧0.5
R/a=0.5、すなわち、1/4円断面形状よりも、内径差aに対する曲率半径Rが大きくなり、より緩やかな曲面状であるほど、電界強度の低減効果は大きくなる。好適には、R/a≧1となるように、設定されるとより好ましい。
【0051】
(試験例2)
上記実施形態5の構成において、電界緩和部6となる膨出部5のR/aを変更したときの、電界強度の低減効果を、以下のようにして調べた。
図12に示されるように、膨出部5の内径差aを一定とし、曲率半径Rを変化させて、(a)R/a=0.2、(b)R/a=0.5、(c)R/a=1、(d)R/a=3、となるように、膨出部5の形状を変化させた。これら(a)〜(d)の構成について、上記試験例1においてカシメ部H11を有しない構成として、それぞれ同様に電界強度分布を算出し、最大電界強度を比較した。
【0052】
図13に示されるように、R/aが大きくなるに従い、最大電界強度が低下する。特に、(a)R/a=0.2から、(b)R/a=0.5とすることで、40kV/mmを超えていた最大電界強度が40kV/mm以下に急減し、(c)R/a=1とすることで、さらに最大電界強度が低下する。(d)R/a=3において、最大電界強度はより低減して35kV/mm程度となるが、低減効果はやや小さくなる。また、平均電界強度が比較的高い領域が、絶縁碍子2の近傍に形成されることになるため、リーク放電が起こりやすくなるおそれがある。したがって、R/aは、0.5以上、好適には、1〜3の範囲とするとよいことがわかる。
【0053】
(実施形態6)
図14に、実施形態6として示すように、上記実施形態4の構成において、膨出部5の内側端縁に、角を有しないR形状部52を設ける代わりに、内側端縁2から、カシメ部H11の内表面H13を覆うように延出する延出部53を設けてもよい。このとき、延出部53は、膨出部5の内表面51に連なる滑らかな曲面をなし、延出端は、カシメ部H11の内表面H13より基端側の微小空間に入り込んで位置する。電界緩和部6を形成する膨出部5は、先端面44の内側の位置で最小内径となり、絶縁碍子2の外表面と当接又は近接位置する。
【0054】
このように、延出部53を設けることで、カシメ部H11の内側に嵌合させ、接触面積を大きくすることができる。したがって、電力ケーブル4のプラグ接続部40と点火プラグPとの接続を良好に保持することができる。
【0055】
(実施形態7)
図15に、実施形態7として示すように、上記実施形態4の構成において、膨出部5の内側端縁にR形状部52を設けず、先端面44とカシメ部H11の端面H12との隙間を埋めるように、導電性の接合層54を介設してもよい。このとき、接合層54は、例えば、カシメ部H11の基端側において、端面H12とこれに続く外側表面と先端面44との間を埋めると共に、カシメ部H11の内側において、内表面H13と先端面44の段差部を埋めるように形成することができる。
【0056】
このように、導電性の接合層54を設けることで、外側導体42とカシメ部H11との電気的な接続を確保しつつ、両者を確実に固定することができる。また、段差部を埋めて滑らかな曲面で接続することで、電界緩和部6の効果を高めることができる。
(実施形態8)
図16に、実施形態8として示すように、上記実施形態7の構成において、導電性の接合層54が、膨出部5の内表面51に形成されていてもよい。このとき、膨出部5の内側端縁は、絶縁碍子2の外表面と間隙を有して位置し、軸方向Xにおいてカシメ部H11の内表面H13と重なるようになっている。接合層54は、例えば、カシメ部H11の外側表面と先端面44との隙間を埋めるとともに、両者の接続部の内側を覆うように形成される。
【0057】
このように、膨出部5とカシメ部H11との接続部に段差部を有しない構成においても、導電性の接合層54が、接続部の内側表面を覆って形成されることで、接合性をより高めることができる。
【0058】
(実施形態9)
あるいは、
図17に、実施形態9として示すように、上記実施形態7の構成において、接合層54を、カシメ部H11の外側表面と先端面44との間のみ形成され、カシメ部H11の内側に形成されない構成とすることもができる。接合層54の構成材料が、絶縁碍子2に対して濡れ性を有する場合には、絶縁碍子2との間に接合層54が配置されると、絶縁碍子2に近接する表面に突状部が形成されることがあるが、本形態の構成では、カシメ部H11の内側に接合部54が形成されないので、突状部の形成による不具合が生じることもない。
【0059】
接合層54は、金属材料との濡れ性が良好な導電性材料からなる。好適には、外側導体42及びカシメ部H11を構成する金属材料との濡れ性が良好で、絶縁碍子2を構成するセラミックス材料との濡れ性が低い導電性材料を用いるのがよい。これにより、接合層54が、絶縁碍子2に当接可能に位置する場合において、外側導体42とカシメ部H11とが良好に接合され、絶縁碍子2と内表面H13又は先端面243とは接合されないようにして、使用環境において絶縁碍子2に熱膨張係数差による損傷等が生じるのを防止できる。このような導電性接合材料としては、例えば、半田、銀ロウ等が挙げられ、外側導体42及びカシメ部H11の材質に応じて選択される。例えば、ステンレス鋼からなる外側導体42及びカシメ部H11に対しては、ステンレス鋼用の半田(例えば、錫60%)等を用いることが望ましい。
【0060】
(実施形態10)
図18、
図19に、実施形態10として示すように、ハウジングHの基端側開口部H1に、カシメ部H11を有しない構成とすることもできる。電力ケーブル4のプラグ接続部40は、外導体先端部421に、膨出部5を備える厚肉筒部55が設けられて、基端側開口部H1の内側に密接配置される。これにより、基端側開口部H1の内側に、電界緩和部6が形成される。点火プラグP及び電力ケーブル4の基本構成は、上記実施形態1と同様であり、以下、両者の相違点である、プラグ接続部40の接続構造について説明する。
【0061】
ハウジングHは、基端側開口部H1を一定の外径を有する薄肉筒状体として構成される。基端側開口部H1の外径は、これに連なる基端部H14の外径と同等であり、基端側開口部H1の内周面と絶縁碍子2の外表面との間に、厚肉筒部55が挿入される筒状の空間部H15を有している。空間部H15の内径は、薄肉の基端側開口部H1と厚肉の基端部H14との接続部において、段付きに縮径している。
【0062】
外側導体42は、継ぎ目のない金属管からなり、プラグ接続部40を形成する外導体先端部421は、基端側開口部H1内に配置される厚肉筒部55と、厚肉筒部55の先端側に設けられる膨出部5と、基端側開口部H1の外方に露出するくびれ部56を有する。厚肉筒部55は、基端側の外径が、基端側開口部H1の内径と同等であり、先端側の外径は、空間部H15の内周形状に沿って、段付きに縮径している。この段付きの縮径部の内側に、滑らかな曲面状の内表面51を有する膨出部5が設けられる。
【0063】
膨出部5は、円弧状の輪郭形状を有して膨出し、絶縁碍子2の外表面に対向する。最小内径となる部位の内径は、絶縁碍子2の外表面と同等であり、僅かな間隙を有して近接又は当接する。膨出部5の内表面51は、例えば、R/aが0.5より大きく、比較的緩やかな曲面形状を有することで、電界強度を低減する効果が得られる。膨出部5より基端側において、厚肉筒部55の厚さは、概略一定であり、空間部H15の内外径差よりも小さい。これにより、厚肉筒部55と絶縁碍子2の外表面の間には、隙間が形成される。
【0064】
外側導体42は、一定径の金属管の先端側が、径方向内方へテーパ状に屈曲して縮径し、厚肉筒部55との接続部に、薄肉のくびれ部56を形成する。薄肉のくびれ部56の内径は、厚肉筒部55の内径と同等となっている。厚肉筒部55は、一定径の基端側外周に、ネジ部551を有し、基端側開口部H1の内周に形成されるネジ溝にネジ固定されるようになっている。
【0065】
プラグ接続部40は、外導体先端部421の厚肉筒部55を、ハウジングHの基端側開口部H1内に螺挿し、内側導体41の先端部411を絶縁碍子2の軸孔21に挿通することにより、点火プラグPに取り付けられる。このとき、厚肉筒部55は、ネジ部551を介して基端側開口部H1の内側に一体的に固定される。膨出部5は、厚肉筒部55より内側に位置して、絶縁碍子2の外表面に隣接する膨出部5の内表面51が、電界緩和部6を構成する。膨出部5の内側端縁は、角を有しないR形状部52となっており、対向する絶縁碍子2のテーパ面に沿って配置される。
【0066】
外導体先端部421は、基端側開口部H1の内側を覆うように、厚肉筒部55及び膨出部5が配置され、くびれ部56は、厚肉筒部55の基端から外側へ、基端側開口部H1の開口縁部を覆うように、テーパ状に屈曲する。好ましくは、くびれ部56の内表面を曲面状とし、屈曲角度が90度より大きい鈍角となるように形成して、絶縁碍子2の外表面との対向面に鋭角の角部が形成されないようにするとよい。
【0067】
このように、基端側開口部H1の内側に、膨出部5を備える厚肉筒部55を配置することで、電界緩和部6として機能させることができる。この構成では、薄肉の基端開口部H1が、絶縁碍子2の外表面と対向しないので、局部的な電界集中を抑制する効果が高く、形状の自由度も大きい。また、厚肉筒部55のネジ部551により、基端開口部H1にネジ固定されるので、接合層54を設けたり、固定用部材を別途用意したりする必要がない。したがって、電界集中によるリーク放電の発生を抑制し、電力ケーブル4から点火プラグPへ、効率よく点火エネルギを伝達することができる。
【0068】
(試験例3)
実施形態10の構成について、試験例1と同様の条件で、有限要素法を用いた解析を行って、電界強度分布を得た。
図20に示されるように、絶縁碍子2の外表面に近接する膨出部5の内表面51周辺において、電界強度が比較的高い領域が見られるものの、最大電界強度は、上記実施形態1と比べて、さらに低くなっている(最大電界強度:35kV/mm)。これにより、
図21に示されるように、従来の構成と比較して、33%の低減効果が得られ、電界集中を抑制する効果がより大きくなることが確認された。
【0069】
また、実施形態1、実施形態10の構成について、点火プラグPへの印加電圧を上昇させてフラッシオーバが生じる電圧(すなわち、フラッシオーバ電圧)を測定し、従来の構成と比較した。
図22に示されるように、従来の構成では、フラッシオーバ電圧が30kVであったのに対し、実施形態1では34kV、実施形態10では40kVとより高くなっている。近年、点火プラグPの放電部における要求電圧が高くなる傾向にあり、例えば、従来の20kV程度から、30kVを超える場合にもフラッシオーバを抑制することが望ましい。この場合でも、実施形態1、実施形態10の構成とすることで、フラッシオーバの発生を十分抑制できることがわかる。
【0070】
(実施形態11)
図23、
図24に、実施形態11として示すように、点火プラグPを、上記実施形態のような沿面放電型プラグに代えて、火花放電型プラグとして構成することもできる。電力ケーブル4のプラグ接続部40は、中心導体41を絶縁碍子2の軸孔21内に挿通する構成とする代わりに、軸孔21の外部で点火プラグPと接続されている。また、上記実施形態のように、プラグ接続部40に膨出部5を形成する構成に加えて、外側導体42の他の部位に、電界緩和部6を形成してもよい。
【0071】
具体的には、点火プラグPには、軸孔21内に挿通され、軸孔21の基端側に突出する端部を有する電極端子33が設けられる。電力ケーブル4は、中心導体41の先端部411が電極端子33の突出端部に接続され、外導体先端部421は、例えば、上記実施形態1と同様の構成を有して、ハウジングHのカシメ部H11に接続される。中心導体41は、電極端子33及び導電シール部11を介して、中心電極31に接続する。中心電極31の先端側には、ハウジングHの先端面からL字状に延びる接地電極32が軸方向に対向位置している。
【0072】
また、図示されるように、外側導体42は、例えば、複数の同径の導体管46を継ぎ合わせた構造とすることができる。複数の導体管46は、例えば、ステンレス鋼等の鉄系合金材料からなる金属管であり、通常、軸方向Xに対向する端面を一致させて溶接等により接合される。その場合、接合部の内側に溶接材料が凝固した凸部や段部が形成されると、電界集中が生じ易くなる。
【0073】
そこで、2つの導体管46a、46bの継ぎ合わせ部461において、一方の導体管46aに、その内端縁から軸方向に延出し、継ぎ合わせ部461を覆う、R形状部としての延出部47を設ける。ここでは、一方の導体管46aは、他方の導体管46bと外径が同一で、より厚肉に形成されており、延出部47の内表面47aは、R形状の滑らかな曲面を有して、他方の導体管46bの内表面に接続される。このとき、延出部47の内表面47aは、一方の導体管46aの内表面よりも内側に位置していない。
【0074】
この場合も、上記式1に示した関係を満たすように、2つの導体管46a、46bの内径差aと、延出部47の内表面47aの曲率半径Rが設定されることがのぞましい。すなわち、R/a≧0.5、好ましくは、R/a≧1、となるように、延出部61が形成されるとよい。
【0075】
これにより、2つの導体管46a、46bの継ぎ合わせ部461において、外表面に溶接部48が形成される場合でも、その内側において、継ぎ合わせ部461を覆って延出部47が配置されるので、溶接部48がはみ出して凸部等が形成されることはない。また、延出部47の内表面47aは、滑らかな曲面状であり、導体管46a、46bの内表面よりも内側に位置しないので、継ぎ合わせ部461の周辺における電界強度を低減することができる。
【0076】
したがって、電力ケーブル4と点火プラグPとの接続部、さらには、電力ケーブル4の全長に亘って、局部的な電界集中によるリーク放電の発生を抑制し、電力ケーブル4から点火プラグPへ、効率よく点火エネルギを伝達することができる。
【0077】
好適には、電力ケーブル4の基端側に配置される昇圧トランス6との接続部においても、外側導体42とトランスケース67とが一体的に構成され、接続部の内表面に電界集中が生じる金属端や鋭角の角部、段部等を有しない形状とすることが望ましい。具体的には、それら金属端や角部、段部等に隣接して、滑らかな曲面状の内表面を有する膨出部を配置し、又は延出部で覆って、電界緩和部6を形成することで、伝送効率をさらに向上させることができる。
【0078】
上記実施形態11の電力ケーブル4の構成は、上記実施形態1〜10のいずれに適用してもよい。また、上記実施形態11の点火プラグPを、沿面放電型プラグとして、上記実施形態1〜10の点火プラグPを、火花放電型プラグとすることもできる。さらに、沿面放電型プラグ、火花放電型プラグの他、プラズマ放電型プラグ等に適用することもできる。
【0079】
点火装置を構成する点火プラグPや電力ケーブル4の構造、各部材形状や材料等は、上記実施形態に示したものに限らず、適宜変更することができる。また、点火装置は、自動車エンジン等の各種内燃機関の他、任意の用途に用いることができる。