特許第6698472号(P6698472)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6698472
(24)【登録日】2020年5月1日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】食器洗い機
(51)【国際特許分類】
   A47L 15/44 20060101AFI20200518BHJP
   A47L 15/23 20060101ALI20200518BHJP
   A47L 15/42 20060101ALI20200518BHJP
   A47L 15/48 20060101ALN20200518BHJP
【FI】
   A47L15/44
   A47L15/23
   A47L15/42 R
   A47L15/42 S
   A47L15/42 Z
   !A47L15/48
【請求項の数】4
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-160807(P2016-160807)
(22)【出願日】2016年8月18日
(65)【公開番号】特開2018-27241(P2018-27241A)
(43)【公開日】2018年2月22日
【審査請求日】2018年12月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】特許業務法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】福島 由也
【審査官】 柿沼 善一
(56)【参考文献】
【文献】 特開平08−228989(JP,A)
【文献】 特開2008−073131(JP,A)
【文献】 特開2002−325714(JP,A)
【文献】 特開2005−342146(JP,A)
【文献】 特開平11−076128(JP,A)
【文献】 特開2008−167961(JP,A)
【文献】 特開平11−197086(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 15/00−15/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外郭となる筐体と、
前記筐体の内部に収容され、底面の中央部に軸部を有する洗浄槽と、
前記洗浄槽内に配置され、食器類が載置される食器かごと、
前記軸部に回転可能に支持され、前記食器類に向けて水を噴射する洗浄ノズルと、を備え、
前記洗浄ノズルは、回転中心となる位置から上方に向かって突出し、前記水を噴射する噴射口が上部に設けられた上ノズルを有し、
前記食器かごは、中央部に前記上ノズルを覆うノズルガードが設けられており、
前記ノズルガードの上部には、開口した洗剤投入口が設けられており、
前記洗剤投入口から投入された洗剤は、前記上ノズルに落下する
ことを特徴とする食器洗い機。
【請求項2】
前記洗剤投入口を形成する洗剤投入部が設けられており、
前記洗剤投入部は、前記上ノズルの噴射範囲外の位置に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の食器洗い機。
【請求項3】
前記洗剤投入部は、前記ノズルガードと異なる色を有している
ことを特徴とする請求項2に記載の食器洗い機。
【請求項4】
前記食器かごの上方には、食器類が載置される上段食器かごが設けられており、
前記洗剤投入部は、前記上段食器かごの側部を支えている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の食器洗い機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器洗い機に関し、特に洗浄槽内の洗剤投入口に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、上方に開口部を有する洗浄槽と、この洗浄槽内に食器類を収容する食器かごと、洗浄槽を前後方向へ収納自在とする筐体を備え、洗浄槽内の所定位置に洗剤を投入するための洗剤投入口を有する洗剤入れを洗浄槽内に設けた食器洗い機が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、洗浄槽と食器かごとの間にスペースが設けられており、そのスペースに洗剤入れが配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−61450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、洗浄槽と食器かごとの間に洗剤入れを配置するスペースを設けるため、食器かごのサイズを小さくしており、また、洗浄槽と食器かごとの間にデッドスペースが生じてしまっている。そのため、1度に食器かごの載置部に載置して洗浄できる食器類の点数が少なくなってしまっているという課題があった。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、食器かごの載置部の面積を減らすことなく、洗剤投入口を洗浄槽内に設けた食器洗い機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る食器洗い機は、外郭となる筐体と、前記筐体の内部に収容され、底面の中央部に軸部を有する洗浄槽と、前記洗浄槽内に配置され、食器類が載置される食器かごと、前記軸部に回転可能に支持され、前記食器類に向けて水を噴射する洗浄ノズルと、を備え、前記洗浄ノズルは、回転中心となる位置から上方に向かって突出し、前記水を噴射する噴射口が上部に設けられた上ノズルを有し、前記食器かごは、中央部に前記上ノズルを覆うノズルガードが設けられており、前記ノズルガードの上部には、開口した洗剤投入口が設けられており、前記洗剤投入口から投入された洗剤は、前記上ノズルに落下するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る食器洗い機によれば、食器かごは、中央部に上ノズルを覆い、食器類の干渉を防止するノズルガードが設けられており、ノズルガードの上部には、開口した洗剤投入口が設けられている。つまり、洗浄槽内の上ノズルを保護するためのスペースを有効活用して洗剤投入口が洗浄槽内に設けられているため、洗剤投入口を設けるために食器かごのサイズを小さくする必要がない。そのため、食器かごの載置部の面積を減らすことなく、洗剤投入口を洗浄槽内に設けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係る食器洗い機の概略構成を示す右側方から見た断面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る食器洗い機の正面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽の斜視図である。
図4】本発明の実施の形態に係る食器洗い機の食器かごの斜視図である。
図5】本発明の実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽内に食器かごを配置した斜視図である。
図6】本発明の実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽内に食器かごおよび上段食器かごを配置した斜視図である。
図7】本発明の実施の形態に係る食器洗い機の洗浄槽内を前方から見た断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、以下の説明において、理解を容易にするために方向を表す用語(例えば「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」など)を適宜用いるが、これは説明のためのものであって、これらの用語は本願発明を限定するものではない。
【0011】
実施の形態.
図1は、本発明の実施の形態に係る食器洗い機1の概略構成を示す右側方から見た断面図である。
以下、本発明の実施の形態に係る食器洗い機1の概略全体構成を説明する。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態に係る食器洗い機1は、前面が開口した前面開口部を有し、食器洗い機1の外郭となる筐体2と、上面が開口した上面開口部を有し、食器かご50に載置された食器類70を収納する洗浄槽3と、洗浄槽3の上面に設けられており、洗浄槽3の上面開口部を開閉するふた体4と、洗浄槽3の前方に取り付けられており、筐体2内部に設けられた洗浄槽3が取り出される際に開閉するドア部5と、を備えている。
【0013】
また、筐体2の内部には、給水弁10が設けられている。給水弁10は、水道水を洗浄槽3に供給するものであり、後述する洗浄工程においては水に洗剤を含んだ洗浄用水を、すすぎ工程においては水に洗剤を含まないすすぎ用水を、洗浄槽3に供給する。
【0014】
洗浄槽3は、ほぼ箱体形状を有しており、底面の少なくとも一部に、鉛直下方向に突出した凹部3aが設けられている。その凹部3aの四側面のうちいずれかの側面あるいは底面には、洗浄槽3内に貯留される洗浄用水の水位を検知する水位検知装置11と、洗浄用水の温度を検知する水温検知装置17と、洗浄用水を加温する湯沸かしヒーター12と、洗浄用水を加圧する加圧ポンプ13と、がそれぞれ取り付けられている。
【0015】
加圧ポンプ13は、洗浄槽3の外部に設けられており、加圧ポンプ13によって加圧された洗浄用水は、洗浄槽3の底面に設けられた軸部30を通って、軸部30に取り付けられた、上ノズル41と下ノズル42とで構成されている洗浄ノズル40に送られる。そして、洗浄ノズル40から洗浄用水が食器類70に向けて噴射され、食器類70が洗浄される。また、加圧ポンプ13と同様に、洗浄槽3の外部には排水ポンプ16が設けられている。排水ポンプ16は、洗浄槽3の凹部3aと排水配管16aで連通しており、洗浄槽3内に貯留されている洗浄用水を排水するものである。
【0016】
また、洗浄槽3の後方には、空気を加熱して温風にするための乾燥用ヒーター23と、その温風を洗浄槽3内に供給するための乾燥用送風機22と、がそれぞれ取り付けられている。
【0017】
ふた体4は、筐体2の内面上部に取り付けられている。ふた体4には、リンク機構(図示せず)の一端が取り付けられていて、リンク機構のもう一方の他端は筐体2の内面上部に取り付けられている。そして、このリンク機構により、洗浄槽3が引き出される際にふた体4が持ち上がり、洗浄槽3を開放することができるようになっている。
【0018】
これにより、洗浄槽3が引き出される際に、洗浄槽3と一緒にふた体4が引き出されないようになっている。一方で、洗浄槽3が押し込まれたときには、このリンク機構によってふた体4が下がり、洗浄槽3を閉塞することができるようになっている。
【0019】
洗浄槽3は、筐体2に設けられた固定レール21と洗浄槽3に設けた可動レール(図示せず)とにより、正面側に引き出すことで前方に移動させることができるようになっている。また、筐体2には洗浄槽3が必要なとき以外は前方へ移動しないよう、洗浄槽3を筐体2内部に保持するための保持機構18が設けられている。
【0020】
洗浄槽3を筐体2の内部方向に所定の保持位置まで押し込むと、保持機構18により所定の位置に保持される。このとき保持機構18は、バネ(図示せず)によって洗浄槽3が引き出し方向とは反対の力で付勢されるようになり、洗浄槽3を保持することができる。
【0021】
また、ドア部5の背面と洗浄槽3の前面との間の空間には、制御装置9が設けられている。制御装置9は、例えば、専用のハードウェア、または記憶部に格納されるプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、プロセッサともいう)で構成され、食器洗い機1の動作を制御するものである。
【0022】
図2は、本発明の実施の形態に係る食器洗い機1の正面図である。
図2に示すように、食器洗い機1の正面にはドア部5が設けられている。ドア部5は上部に操作パネル15を有し、操作パネル15の右側には操作部7が設けられている。操作部7は、使用者の操作指示入力を受け付け、これに対応した操作信号を制御装置9に出力するものである。操作部7には、食器洗い機1の電源を入れるための電源スイッチ8aと、食器洗い機1の運転をスタートしたり一時停止したりする運転スイッチ8bとが設けられている。
【0023】
また、操作パネル15の左右方向のほぼ中央の位置には、正面側に洗浄槽3を引き出す際に手を掛けるための手掛け部14が設けられている。また、操作パネル15の左側には、洗浄槽3内の空気を食器洗い機1の外部へ排出するドア部排気口5aが設けられている。
【0024】
図3は、本発明の実施の形態に係る食器洗い機1の洗浄槽3の斜視図である。
図3に示すように、洗浄槽3内には洗浄ノズル40が配置されており、洗浄ノズル40は、洗浄槽3の底面の中央部に設けられた軸部30を上から覆うように着脱可能に取り付けられ、軸部30に回転可能に支持される。洗浄ノズル40は、軸部30と重なる位置、つまり回転中心となる位置から上方に向かって突出した上ノズル41と、回転中心となる位置から水平方向に延びた下ノズル42と、で構成されている。上ノズル41の上部には、噴射口41aが設けられており、下ノズル42の上面には、間隔を空けて複数の噴射口42aが設けられている。
【0025】
図4は、本発明の実施の形態に係る食器洗い機1の食器かご50の斜視図であり、図5は、本発明の実施の形態に係る食器洗い機1の洗浄槽3内に食器かご50を配置した斜視図であり、図6は、本発明の実施の形態に係る食器洗い機1の洗浄槽3内に食器かご50および上段食器かご60を配置した斜視図である。
【0026】
図4に示すように、食器かご50は平面視して矩形状を有している。食器かご50は、中央部に上方に向かって突出したノズルガード51が設けられており、ノズルガード51の周りには、食器類70を載置する載置部53が設けられている。図5に示すように、ノズルガード51は、食器かご50を洗浄槽3内に配置した際に、洗浄槽3の底面の中央部に設けられた洗浄ノズル40の上ノズル41を覆うようになっている。そのため、洗浄時に、載置部53に載置された食器類70が上ノズル41に干渉して、洗浄ノズル40の回転が妨げられるのを防止することができる。
【0027】
また、ノズルガード51の上部は開口し、そこから洗剤が投入される洗剤投入口52aが形成されており、その洗剤投入口52aの周囲には、洗剤投入口52aを形成する洗剤投入部52が設けられている。洗剤投入部52は、ノズルガード51と異なる色を有しており、その内部に形成されている洗剤投入口52aの見分けが付きやすいようになっている。
【0028】
図6に示すように、食器かご50の上方には、上段食器かご60が配置されており、食器類70を食器かご50と上段食器かご60とにそれぞれ載置することができるようになっている。このように、食器かご50の上方に上段食器かご60を配置して2段構成とすることにより、1段構成の場合に比べ、より多くの食器類70を載置することができる。
【0029】
図7は、本発明の実施の形態に係る食器洗い機1の洗浄槽3内を前方から見た断面図である。
図7に示すように、食器かご50は、下ノズル42の上方に配置されており、上段食器かご60は、上ノズル41の斜め上方に配置されている。そして、洗浄時は洗浄ノズル40が回転しながら上ノズル41の噴射口41aおよび下ノズル42の噴射口42aから、食器かご50および上段食器かご60に載置されている食器類70に向けて洗浄用水を噴射することで、食器類70を洗浄する。
【0030】
このとき、上ノズル41の噴射口41aから噴射される洗浄用水は、主に上段食器かご60に載置されている食器類70に掛けられるようになっている。そして、上ノズル41の噴射口41aから噴射される洗浄用水は、図7中の二点鎖線および矢印で示す範囲内に噴射されるが、上ノズル41の上方に設けられている食器かご50の洗剤投入部52は、上ノズル41の噴射範囲外の位置に設けられている。つまり、洗剤投入部52は、上ノズル41の噴射口41aからの洗浄用水の噴射を妨げない位置に配置されており、洗浄を妨げないようになっている。
【0031】
また、洗剤投入口52aは、洗浄槽3の中央部に位置する上ノズル41の上方に設けられており、洗剤投入口52aから投入された洗剤は、洗浄槽3の中央部から各側方に均等に広がるため、洗浄槽3の内部全体に素早く行き渡らせることができる。また、洗剤投入口52aから投入された洗剤は、上ノズル41の噴射口41aおよび下ノズル42の噴射口42a、またはそれらの近くに落下するようになっている。そして、その落下した洗剤は、洗浄ノズル40の噴射によって、上ノズル41の噴射口41aおよび下ノズル42の噴射口42aから噴射される水とよく混ぜられるため、洗剤が水と溶けやすくなり、洗浄効率を向上させることができる。
【0032】
また、洗剤投入口52aは、上ノズル41の上方の高い位置に設けられているため、洗剤投入時に食器かご50および上段食器かご60に載置されている食器類70が邪魔とならず、洗剤を投入しやすくなっている。また、洗剤投入部52は、図6に示すように上段食器かご60の側方に設けられており、上段食器かご60の側部を支える構造となっている。そのため、上段食器かご60の側部を支える構造を別途設けることなく、上段食器かご60の側部を支えることができる。
【0033】
次に、本実施の形態に係る食器洗い機1により食器類70を洗浄および乾燥する場合の動作について説明する。
まず、使用者により手掛け部14に手を掛けて正面側に洗浄槽3が引き出され、ドア部5が開けられる。そして、洗浄槽3の上面開口部から、洗浄槽3内に収容された食器かご50および上段食器かご60に洗浄、乾燥したい食器類70を載置され、洗剤投入口52aから洗浄槽3内に適量の洗剤が入れられ、洗浄槽3が筐体2内に押し込まれてドア部5を閉じられる。これにより、洗浄槽3は、保持機構18によりドア部5が閉じられた位置で保持される。
【0034】
次に、使用者により操作部7に設けられた運転スイッチ8bが押されたら、食器洗い機1は動作を開始する。なお、食器洗い機1の動作については制御装置9が制御し、その命令により各機能部品を動作させ、洗浄工程、すすぎ工程、加熱すすぎ工程、乾燥工程の順に進行させていくものである。
【0035】
制御装置9は、運転スイッチ8bが押されたら、まず洗浄工程を開始する。洗浄工程を開始したら、まず給水弁10を開き、洗浄槽3内へ洗浄用の水道水の給水を行う。このとき、洗浄槽3内の水位は、水位検知装置11にて検知されている。そして、制御装置9は、水位検知装置11により洗浄槽3内の水位が所定の水位に達したことを検知したら、給水弁10を閉じる。
【0036】
次に、制御装置9は、湯沸かしヒーター12に通電し、貯留された水道水に洗剤を含んだ洗浄用水を加熱するとともに、加圧ポンプ13に通電し、その洗浄用水に圧力を与え、軸部30を介して洗浄用水を洗浄ノズル40に供給する。このとき、洗浄用水は、軸部30を介して上ノズル41および下ノズル42に供給される。そして、上ノズル41の噴射口41aおよび下ノズル42の噴射口42aから洗浄用水が食器類70に噴射される。
【0037】
このとき、洗浄ノズル40は、洗浄用水の噴射量に応じた反力によって、軸部30を中心に所定の方向に回転し、回転しながら食器類70に万遍なく噴射し、食器類70を洗浄していく。すなわち、この食器洗い機1は、洗浄ノズル40を回転させるためのモータなどの駆動手段を別途設けることなく、洗浄ノズル40から噴射させる洗浄用水によって洗浄ノズル40を回転させるようになっている。
【0038】
そして、上ノズル41の噴射口41aからは、上段食器かご60に載置された食器類70に洗浄用水を掛けることができ、下ノズル42の噴射口42aからは食器かご50に載置された食器類70に洗浄用水を掛けることができる。そのため、上段食器かご60に載置された食器類70および食器かご50に載置された食器類70の両方を同時に洗浄することができる。
【0039】
ここで、洗浄工程における洗浄は、貯留された洗浄用水を循環しながら行うものであり、洗浄槽3の底面へ落下した洗浄用水を集め、再び加圧ポンプ13にて圧力を与え、洗浄ノズル40を利用して食器類70に洗浄用水を噴射することを繰り返すものである。なお、洗浄槽3の上面開口部はふた体4により閉塞されているので、洗浄用水が洗浄槽3の外部に飛散することはない。
【0040】
また、洗浄は湯沸かしヒーター12により洗浄用水を加熱しながら行うものであり、その洗浄用水の温度は、洗剤に含まれる酵素の能力を最大限に発揮できる温度にするのが通常であり、概ね60℃程度に設定される。洗浄用水の温度は、水温検知装置17にて検知されている。そして、制御装置9は、水温検知装置17により洗浄用水の温度が所定の温度に達したことを検知したら、湯沸かしヒーター12の通電を停止する。
【0041】
洗浄工程が開始され、所定の時間が経過したら、制御装置9は、湯沸かしヒーター12および加圧ポンプ13の通電を停止するとともに、排水ポンプ16に通電し、洗浄槽3内に貯留された洗浄用水を外部に排水する。そして、排水が完了したら、制御装置9は、排水ポンプ16への通電を停止し、これにより、洗浄工程が終了する。
【0042】
洗浄工程が終了したら、制御装置9は、続いてすすぎ工程を開始するが、基本的な動作は洗浄工程とほぼ同様で、まず、給水弁10を開き、洗浄槽3内へすすぎ用の水道水の給水を行う。そして、制御装置9は、水位検知装置11により洗浄槽3内の水位が所定の水位に達したことを検知したら、給水弁10を閉じる。
【0043】
次に、制御装置9は、加圧ポンプ13に通電し、貯留されたすすぎ用水に圧力を与え、軸部30を介してすすぎ用水を洗浄ノズル40に供給する。そして、上ノズル41の噴射口41aおよび下ノズル42の噴射口42aからすすぎ用水が食器類70に噴射される。この噴射されたすすぎ用水は、食器類70に掛けられ、食器類70に残った洗浄用水および微細な汚れをすすぐ。
【0044】
そして、すすぎ工程が開始され、所定の時間が経過したら、制御装置9は、加圧ポンプ13の通電を停止するとともに、排水ポンプ16に通電し、洗浄槽3内に貯留されたすすぎ用水を外部に排水する。すすぎ工程では、この一連の動作が数回繰り返して行われる。なお、このすすぎ工程では、湯沸かしヒーター12によるすすぎ用水の加温はされない。
【0045】
すすぎ工程が終了したら、制御装置9は、続いて加熱すすぎ工程を開始するが、基本的な動作は洗浄工程あるいはすすぎ工程と同様であり、上述したすすぎ工程に、湯沸かしヒーター12によるすすぎ用水が加温されている点だけが異なる。
【0046】
なお、そのすすぎ用水の温度は、洗浄の最後を仕上げるために、そして、食器類70の温度を上げて乾燥性能を高めるために、洗浄用水の温度よりも高い温度にするのが通常であり、概ね70℃以上(O−157対策では75℃以上)に設定される。
【0047】
加熱すすぎ工程が終了したら、制御装置9は、最後の工程である乾燥工程を開始する。乾燥工程を開始したら、まず乾燥用送風機22に通電し、洗浄槽3内に空気を導入するとともに、乾燥用ヒーター23に通電し、空気を加熱して温風する。その温風は洗浄槽3内に供給され、食器類70および洗浄槽3内を乾燥させる。そして、これらを乾燥させた温風は、洗浄槽3の排気口(図示せず)から排気ダクト(図示せず)を経由して、ドア部排気口5aから食器洗い機1の外部へ排出される。
【0048】
そして、乾燥工程が開始され、所定の時間が経過したら、制御装置9は、乾燥用送風機22および乾燥用ヒーター23の通電を停止し、これにより、乾燥工程が終了する。
乾燥工程が終了したら、全ての工程が完了となる。
【0049】
全ての工程が完了したら、使用者により食器類70を取り出す作業が行われる。食器かご50および上段食器かご60に食器類70が載置されたときと同様に、手掛け部14に手を掛けて正面側に洗浄槽3が引き出され、ドア部5が開けられる。そして、洗浄槽3の上面開口部から、洗浄槽3内に収容された食器かご50および上段食器かご60に載置された食器類70が取り出され、洗浄槽3が筐体2内に押し込まれてドア部5が閉じられる。
【0050】
以上、本実施の形態に係る食器洗い機1によれば、食器かご50は、中央部に上ノズル41を覆い、食器類70の干渉を防止するノズルガード51が設けられており、ノズルガード51の上部には、開口した洗剤投入口52aが設けられている。つまり、洗浄槽3内の上ノズル41を保護するためのスペースを有効活用して洗剤投入口52aが洗浄槽3内に設けられているため、洗剤投入口52aを設けるために食器かご50のサイズを小さくする必要がない。そのため、食器かご50の載置部53の面積を減らすことなく、洗剤投入口52aを洗浄槽3内に設けることができる。
【0051】
また、洗剤投入口52aは、ノズルガード51の上部、つまり洗浄槽3の中央部に位置する上ノズル41の上方に設けられており、洗剤投入口52aから投入された洗剤は、洗浄槽3の中央部から各側方に均等に広がるため、洗浄槽3の内部全体に素早く行き渡らせることができる。
【0052】
また、上ノズル41の上方に設けられている食器かご50の洗剤投入部52は、上ノズル41の噴射範囲外の位置に設けられている。つまり、洗剤投入部52は、上ノズル41の噴射口41aからの洗浄用水の噴射を妨げない位置に配置されており、洗浄を妨げないようになっている。
【0053】
また、洗剤投入部52は、ノズルガード51と異なる色を有しており、その内部に形成されている洗剤投入口52aの見分けが付きやすいようになっている。
【0054】
また、洗剤投入部52は、上段食器かご60の側方に設けられており、上段食器かご60の側部を支える構造となっている。そのため、上段食器かご60の側部を支える構造を別途設けることなく、上段食器かご60の側部を支えることができる。
【符号の説明】
【0055】
1 食器洗い機、2 筐体、3 洗浄槽、3a 凹部、4 ふた体、5 ドア部、5a ドア部排気口、7 操作部、8a 電源スイッチ、8b 運転スイッチ、9 制御装置、10 給水弁、11 水位検知装置、12 湯沸かしヒーター、13 加圧ポンプ、14 手掛け部、15 操作パネル、16 排水ポンプ、16a 排水配管、17 水温検知装置、18 保持機構、21 固定レール、22 乾燥用送風機、23 乾燥用ヒーター、30 軸部、40 洗浄ノズル、41 上ノズル、41a 噴射口、42 下ノズル、42a 噴射口、50 食器かご、51 ノズルガード、52 洗剤投入部、52a 洗剤投入口、53 載置部、60 上段食器かご、70 食器類。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7