(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1、
図2、
図5を参照して加熱調理器1を説明する。
加熱調理器1の外郭は、天板10と本体ケース20により構成される。天板10は、結晶化ガラスにより構成される平板状のトッププレート11と、このトッププレート11を支持する枠12から構成される。
トッププレート11の上面には、加熱調理を行う際に調理容器を置く位置である加熱部10aを示す加熱部表示11aと、加熱調理器1を操作する際に設定入力を行う操作部を示す表示である操作部表示11bが表示されている。
【0010】
加熱部表示11aは、トッププレート11の上面の左側と右側にそれぞれリング状の表示されており、後述する誘導加熱コイル24の上方に位置する。
操作部表示11bは、例えば、電源ON/OFF、火力(出力)の調整、タイマー時間の設定/変更、等を示すキー表示であり、トッププレート11に印刷により表示される。この操作表示部11bは、トッププレート11の下面側に設けられる静電容量スイッチから成る操作部スイッチ11cの上方に位置する。
つまり、加熱調理器1の操作部は、操作部表示11bと操作部スイッチ11cから構成されている。
【0011】
操作部スイッチ11cは、トッププレート11の下面に近接して位置しており、使用者が操作表示部11bに触れることで操作部スイッチ11cの静電容量が変化を検知して、ON又はOFFの信号を制御部22に出力する。
尚、本実施の形態では、静電容量スイッチを用いて操作部スイッチ11cを構成しているが、天板10の上面にトッププレート11で覆われない領域を形成し、当該領域にタクトスイッチを配置して操作部スイッチ11cを構成しても良い。
【0012】
次に、本体ケース20は、上面が開口する箱体であり、底板21により底部が形成されている。底板21には、吸気口21aと排気口21bが開口する。
吸気口21aは、円形状の開口を中心から放射状のリブと円環状のリブで、格子状に塞ぐように構成されている。排気口21bは、複数のスリット状の開口が左右方向に整列して構成されている。
【0013】
底板21の下面には、脚部21cが設けられている。脚部21cは、加熱調理器1を直接設置位置に置く場合、設置位置と底板21の間に介在して、加熱調理器1を支える部位となる。加熱調理器1の場合の脚部21cは、左右対象となるように、右側の前側と後側にそれぞれ1つずつ、左側の前側と後側にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0014】
底板21の上面21cには、制御部22、インバーター23、ファン25が設けられている。制御部22とインバーター23は、印刷配線基板26に実装されており、この印刷配線基板26が底板21に固定されている。また、トッププレート11の下には、トッププレート11に対向するように誘導加熱コイル24が配置されている。
なお、吸気口21aは、誘導加熱コイル24の下側に位置している。また、排気口21bは、本体ケース20の後側に位置している。そして、吸気口21aと排気口21bの間には、制御部22、インバーター23、誘導加熱コイル24が位置している。
【0015】
制御部22は、操作部スイッチ11cからの入力や温度センサー等の各種センサーからの入力やあらかじめ記憶された制御アルゴリズムに基づき、インバーター23やファン25や表示部等の電子部品を制御する。
インバーター23は、制御部22からの入力に基づき動作し、誘導加熱コイル24に電流を供給する。また、インバーター23は、動作時に生じる熱を放熱する為の放熱部(ヒートシンク)23aを有する。
【0016】
誘導加熱コイル24は、インバーター23より供給される電流により磁界を生じさせ、加熱部10aに置かれた調理容器を誘導加熱する。
ファン25は、吸気口21aに対向して底板21に設けられる。このファン25は、制御部22からの入力に基づき動作することで、吸気口21aから空気を吸い込み本体ケース20の内部空間Rに空気を導入し、排気口21bから本体ケース20の外部に空気を排出する気流W1の流れを作る。
【0017】
以上のように、各部を備える本体ケース20には、天板10が、本体ケース20の上面の開口を覆うように本体ケース20に取り付けられる。天板10が本体ケース20に取り付けられることにより、天板10と本体ケース20に囲まれた空間R1が形成される。つまり、この空間R1が加熱調理器1の内部空間である。
【0018】
この空間Rの内部には、調理容器を加熱する動作の際に熱が生じる制御部22やインバーター23や誘導加熱コイル24が位置しているが、ファン25が動作することで、吸気口21aから加熱調理器1の外部の空気を取り込み、排気口21bから空気を排出する気流W1が形成され、加熱調理器1の内部の温められた空気を外部に排出し、加熱調理器1の内部及び各種部品が高温とならないように構成されている。
【0019】
次に、
図3〜
図5を参照して、加熱調理器セット100を説明する。
加熱調理器セット100は、加熱調理器1と支持装置110と収納庫となる引出し体130から構成される。
支持装置110は、加熱調理器1を下方より支持するものであり、左側から加熱調理器1を支持する左側の支持体120と、右側から加熱調理器1を支持する右側の支持体120の一対の支持体120から構成されている。
【0020】
左側の支持体120と右側の支持体120は、加熱調理器1を支持した状態において、正面から見て、それぞれ左右対称となる形状に構成されている。
この支持装置110で加熱調理器1を支持することにより、キッチンにおいて、加熱調理器1の設置位置と隣り合う調理台と、加熱調理器1の天板1の高さを合わせることができる。又は、加熱調理器1を調理作業のし易い高さにすることができる。
【0021】
支持体120は、底部121と前面壁122と外面壁123と内面壁124と後面壁125で外殻が構成され、内部が中空で上方に向けて開口する部材である。
底部121は、支持体120が加熱調理器1を支持した状態において、設置位置と対向する部位である。
前面壁122は、底部121の前端から垂直方向に立ち上がる面、つまり、前方を向く面を構成する部位である。
【0022】
外面壁123は、支持体120が加熱調理器1を支持した状態において、加熱調理器セット100の外側を向く面を構成する部位である。
内面壁124は、支持体120が加熱調理器1を支持した状態において、加熱調理器セット100の内側を向く面を構成する部位である。つまり、内面壁124は、加熱調理器1の下部に形成される空間を向く。
後面壁125は、底部121の後端から垂直方向に立ち上がる面、つまり、後方を向く面を構成する部位である。
尚、本実施の形態においては、支持体120は、内部が中空の部材で説明するが、内部に合成樹脂などが詰まった中空でなない部材でもよい。
【0023】
支持体120の前後方向の大きさ、つまり、前面壁122から後面壁125に至る大きさは、加熱調理器1を下方から支えることが可能な大きさである。本実施の形態では、加熱調理器1の前後方向の大きさと、ほぼ同じ大きさに構成されている。
また、内面壁124の下側には、下段部126が設けられている。下段部126は、内面壁124の前端から所定の幅D1だけ後方側の位置から後端に至り、内面壁124から突出した部分であり、上面126aが平らに形成されている。
【0024】
そして、内面壁124の上側には、上段部127が設けられている。上段部127は、内面壁124の前端から所定の幅D1だけ後方側の位置から後端に至り、内面壁124から突出した部分であり、下面127aが平らに形成されている。上面126aと下面127aは、間隔D2を空けて平行に向かい合っている。
更に、上段部127の上端には、加熱調理器セット100の内側に突出する鍔部128が形成されている。鍔部128にはネジ穴128aが開口している。
【0025】
次に、収納庫となる引き出し体130は、トレイ131と扉132から構成される。
トレイ131は、矩形状の底板131aの前端から垂直方向に立ち上がる前壁131bと、底板131aの左端から垂直方向に立ち上がる左壁131cと、底板131aの右端から垂直方向に立ち上がる右壁131dと、後端から垂直方向に立ち上がる後板131eから成る上面が開口する箱体である。
【0026】
左壁131cと右壁131dの高さは、支持体120に設けられている上段部127の下面127aと、下段部126の上面126aの間隔D2より、小さく構成されている。
扉131は、トレイ131の前壁131bを覆う部材であり、厚さがD1又はD1より小さい板状を成す部材である。また、扉132の下端には、凹部を形成することにより手掛け部132aが形成されている。更に、扉132の上下方向の高さは、前壁131bの上下方向の高さより高く構成されている。扉131は、トレイ131の前壁131bに取り付けられている。
【0027】
以上の各部は、次のように組み合わさり加熱調理器セット100を構成する。
図3〜
図5を参照すると、加熱調理器1の左側及び右側の下面に、それぞれ支持体120が設けられる。支持体120は鍔部128のネジ穴128aにネジを通し、底板21に形成されたネジ受け部(図示せず)にネジ止めすることで、加熱調理器1に固定される。
このように加熱調理器1の左側に取り付けられた支持体120の内面壁124と、右側に取り付けられた支持体120の内面壁124は、間隔を空けて向かい合う。
【0028】
そして、加熱調理器1の下側であって、左右に取り付けられた支持体120に挟まれた空間に、引き出し体130が挿入されて取り付けられる。
この状態において、トレイ131は、下段部126と上段部127の間に位置し、底板131aは下段部126に載った状態となる。下段部126の上面126aは、平らに構成されているので、トレイ131は下段部126の上面126aを前後に移動することができる。つまり、引き出し体130を左右の支持体120の間から出し入れできる。
特に、トレイ131の上側に上段部127が位置しているので、トレイ131を当該位置に対して出し入れするときに、斜めになることを防ぐことができる。
【0029】
また、扉132は、厚さがD1又はD1より小さい板で構成されているので、上段部127及び下段部126が設けられていない左右の支持体120の前端からD1の部分に入り込む。つまり、引き出し体130は、扉132が左右の支持体120の間であって、支持体120の前面壁122より内側に収納できる。
このとき、扉132は、加熱調理器1と向かい合う左右の支持体120により囲まれる空間R2を塞ぐ。
このように、支持体120を構成することで、加熱調理器1の下の空間に収納スペースとして用いることができる引き出し体130を出し入れ可能に設けることができ、加熱調理器1の下の空間を有効に利用することができる。
【0030】
ここで、
図5を参照して、引き出し体130が加熱調理器1の下の空間に収納された状態では、加熱調理器1と扉132が間隔をおいて位置するよう構成されている。つまり、加熱調理器1と扉132の間には、隙間Xが形成される。
この様に、加熱調理器1と扉132の間に隙間Xが形成されているので、ファン25を動作させることにより、加熱調理器セット100の外部の空気を隙間Xから加熱調理器1の下部の空間に取り込み、そして、吸気口21aから加熱調理器1の内部へと流れる冷却風の気流W1を形成することができる。
これにより、下面に吸気口21aが形成された加熱調理器1であっても、加熱調理器1の下の空間に、収納スペースとして用いることができる引き出し体130を設けることができる。
【0031】
また、引き出し体130が加熱調理器1の下の空間に収納された状態では、トレイ131の後端となる後板131eが、排気口21bより前方に位置するよう構成されている。つまり、収納スペースである引き出し体130と排気口21bが上下に重ならない。
これにより、収納スペースである引き出し体130の内部に、排気口21bから排出される温められた気流W1が流入し難い。つまり、引き出し体130の内部の温度上昇を防止できる。
また、排気口21bが閉鎖された空間である引き出し体130の外側に位置するので、排気口21bから気流W1が排出されやすい。つまり、加熱調理器1の内部を冷却する気流がスムーズ流れるように構成することができる。
【0032】
実施の形態2.
図6〜
図7を参照して実施の形態2に係る加熱調理器セット100を説明する。尚、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
トレイ131は、左壁131cと右壁131dは、同じ高さとなるように構成されている。また、後壁131eは、上段部127と左右方向の位置に至るように、左壁131cと右壁131dより高く構成されている。
つまり、後壁131eは、左壁131c及び右壁131dより高くすることで、加熱調理器1との隙間Yや支持体120(上段部127)との隙間を小さくするように構成されている。
【0033】
以上のように構成されているので、後壁131eと、加熱調理器1との隙間Y、又は、支持体120(上段部127)との隙間がより小さくなり、排気口21bから流れでる温められた気流が、トレイ131の内部に入り込みにくくすることができる。これにより、収納庫となる引き出し体130の内部の温度上昇を抑えることができる。
特に、後壁131eと加熱調理器1の隙間Y、及び、後壁131eと支持体120(上段部127)との隙間Yを、加熱調理器1と扉132の隙間Xより小さく構成することで、排気口21bから排出された気流が、よりトレイ131の内部に入り込みにくく構成することができる。
【0034】
実施の形態3.
図8〜
図10を参照して実施の形態3に係る加熱調理器セット100を説明する。尚、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
支持体120の外面壁123の上側には、外面開口123aが形成されている。また、支持体120の内面壁124には、内面開口124aが形成されている。本実施の形態では、内面壁124に形成されている上段部127の内側を向く面に内面開口124aが形成されている。
【0035】
外面開口123aと内面開口124aは、外面開口123aに入った気流W2が、内面開口124aから加熱調理器セット100の内部である加熱調理器1と支持体120により囲まれた空間R2に流入できるように連通している。
つまり、支持体120には、加熱調理器セット100の外部から内部に気流が流れる第1の連通部Raが形成されている。また、外面開口123aと内面開口124aは、吸気口21aの側方に位置する。
【0036】
以上のように構成されているので、加熱調理器セット100は、ファン25を動作させることで、外部の空気を第1の連通部Raから加熱調理器1の下部の空間R2に取り込み、そして、吸気口21aから加熱調理器1の内部空間R1へと流れる冷却風の気流W2を形成することができる。
これにより、下面に吸気口21aが形成された加熱調理器1であっても、加熱調理器1の下の空間に、収納スペースとして用いることができる引き出し体130を設けることができる。
また、外面開口123aを手が入る程度の大きさとすることにより、加熱調理器セット100を設置位置に据え付ける際の手掛け部として用いることができる。
【0037】
実施の形態4.
図11〜
図17を参照して実施の形態3に係る加熱調理器セット100を説明する。なお、実施の形態1と同じ構成については同じ符号を付し、説明を省略する。
支持体120の下端には、前後方向に幅がある凹部120aが形成されている。この凹部120aは、外面壁123から底部121に至る部位である。つまり、凹部120aは支持体120か下端の角の部分であり、支持体120の下方及び側方に開口している。
そして、凹部120aの内部には、底面開口121aが形成されている。底面開口121aは、スリット形状の複数の開口が前後方向に並んで形成されている開口群である。また、底面開口121aは、下方向を向いて開口している。
【0038】
次に、支持体120の内面壁124には、内面開口124aが形成されている。本実施の形態では、内面壁124に形成されている上段部127の内側を向く面に内面開口124aが形成されている。
底面開口121aと内面開口124aは、底面開口121aから支持体120に入った気流W3が、内面開口124aから加熱調理器セット100の内部である加熱調理器1と支持体120により囲まれた空間に流入できるように連通している。
つまり、支持体120には、底面開口121aから支持体120の内部を通り、内面開口124aに至る加熱調理器セット100の外部から内部に気流が流れる第2の連通部Rbが形成されている。
【0039】
以上のように構成されているので、加熱調理器セット100は、ファン25を動作させることで、外部の空気を第2の連通部Rbから加熱調理器1の下部の空間R2に取り込み、そして、吸気口21aから加熱調理器1の内部へと流れる冷却風の気流W3を形成することができる。
これにより、下面に吸気口21aが形成された加熱調理器1であっても、加熱調理器1の下の空間に、収納スペースとして用いることができる引き出し体130を設けることができる。
【0040】
また、空気を取り込む開口となる底面開口121aを 支持体120の下端に形成した凹部120aに設けられているので、加熱調理器セット100の内部へと空気を取り込む開口を天板10から遠ざけることができる。
これにより、調理中に天板10の上に置かれた調理容器から跳ねた油や水分、油煙や水蒸気が、空気を取り込む開口である底面開口121aに至るのを低減することができる。
更に、凹部120aは、支持体120の側面方向から手が入る程度の大きさとすることにより、加熱調理器セット100を設置位置に据え付ける際の手掛け部として用いることができる。
【0041】
ここで、本実施の形態において、上記のように加熱調理器セット100の内部に空気を取り込む開口を上記の凹部120aの内部に形成した底面開口121aとしたが、支持体120の前面壁122の下側に前面開口122a設けても良い。
この様に前面開口122aを形成することで、加熱調理セット100の設置位置の左右の領域に設置物が位置して、空気を取り込む開口を塞いでしまう場合であっても、支持体120の前方から空気を吸い込むことが可能となる。
【0042】
また、
図11、
図15を参照すると、加熱調理器セット100には、設置位置に固定する為の取付座129が設けられている。取付座129は矩形の板状に形成されており、一辺にヒンジが設けられ、開口129aが形成されている。
そして、取付座129は、このヒンジを介して支持体120の外面壁123に取り付けられる。外面壁123の取付座129の取り付け位置は、凹部123bとなっている。
【0043】
このように支持体120に設けられた取付座129は、外面壁123に対して閉じた状態(
図11)、外面壁123に対して開いた状態(
図15)と開閉自在である。
取付座129は、外面壁123に対して閉じた状態では、取り付け位置の凹部123bの内部に入り込んだ状態となり、外面壁123から突出した状態とならない。
また、取付座129は、外面壁123に対して開いた状態では、取り付け位置となる面と平行となり接する。この状態において、取付座129の開口129aに、ネジを通し手ネジ止めすることで、加熱調理セット100は取り付け位置に固定することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 加熱調理器、10 天板、11 トッププレート、11a 加熱部表示、
11b 操作部表示、11c 操作部スイッチ、12 枠、20 本体ケース、
21 底板、21a 吸気口、21b 排気口、21c 脚部、22 制御部、
23 インバーター、24 誘導加熱コイル、25 ファン、26 印刷配線基板、
110 支持装置、120 支持体、120a 凹部、121 底部、
121a 底面開口、122 前面壁、123 外面壁、124 内面壁、
125 後面壁、126 下段部、126a 上面、127 上段部、128 鍔部
128a ネジ穴、129 取付座、130 引き出し体、131 トレイ、
131a 底板、131b 前壁、131c 左壁、131d 右壁、132 扉
132 手掛け