(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
近年、バイオマス燃料や食品の材料等として藻類が注目され、大規模プラントでの藻類培養が盛んに行われている。一方、藻類培養を行う際には培養液から藻類を回収する必要があり、この藻類を回収する方法として遠心分離、凝集剤を利用して藻類を沈降させる手法(例えば、特許文献1参照)、多孔質フィルターを用いて濾過する手法(例えば、特許文献2参照)等が提案、実用化されている。
【0003】
しかしながら、遠心分離機によって処理する手法は大量の培養液を処理するために多大な時間と労力を要し、凝集剤を添加して処理する手法は、回収した藻類に凝集剤が含まれてしまい、その結果、藻類を食品用途に適用することが難くなるなど、用途に制限が生じるという問題があった。
【0004】
また、多孔質フィルターを用いて処理する手法においても、多孔質フィルターに目詰りした藻体の除去(フィルターの洗浄)に多大な時間と労力を要するという問題があった。
【0005】
これに対し、濾過面にプレコート材をプレコートしたバネ式フィルターを用い、このバネ式フィルターで培養液を濾過処理することにより藻類を濃縮し、藻体とプレコート材の比重差を利用して濃縮液中からプレコート材を分離して藻類を回収する手法が提案されている(特許文献3、特許文献4参照)。
【0006】
このバネ式フィルターとプレコート材を用いた処理手法によれば、分離処理の労力、用途の制限、メンテナンスなどの上記従来手法の課題を解決でき、藻類の濃縮/回収を効率的に行うことが可能になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、藻類には非常に小さな形状(粒径)のものが多く、このような藻類をフィルターで確実に捕捉して取り除くためには粒径の小さなプレコート材を用いることが必要になる。しかしながら、微粒のプレコート材を用いると、濃縮液中でプレコート材と藻体を分離する際にプレコート材が速やかに沈降せず、分離に要する時間が多くかかってしまう(なかなか分離できない)。
【0009】
上記事情に鑑み、本発明は、培養液などの藻類含有液に含まれる藻類の濃縮や回収をより容易に且つ効率的に行うことを可能にする藻類含有液の濃縮方法、藻類回収方法、藻類濃縮システム、及び藻類回収システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
【0011】
本発明の藻類含有液の濃縮方法は、プレコート材を分散させた分散液を濾過しバネ式フィルターの濾過面にプレコート層を積層形成するプレコート層形成工程と、前記プレコート材で濾過面が覆われたバネ式フィルターを用いて藻類含有液を濾過し、前記プレコート層の表面に藻体を集積する藻体集積工程と、前記バネ式フィルターに流体を逆流させて前記プレコート材及び前記藻体を前記濾過面から剥がし、前記藻体を回収する藻体回収工程とを備え、比重が1より小さい前記プレコート材を用い、前記プレコート層形成工程で、上下方向に進退自在に設けられたプレコート材浮上抑止誘導手段によって、前記分散液中の前記プレコート材の浮上を抑止しつつ前記濾過面に向けて前記プレコート材を誘導させながら前記濾過面に前記プレコート層を積層形成するようにしたことを特徴とする。
【0012】
本発明の藻類回収方法は、プレコート材により濾過面が覆われたバネ式フィルターを用い、藻類含有液を前記バネ式フィルターで濾過し、前記プレコート材の表面に藻体を集積する藻体集積工程と、前記バネ式フィルターに流体を逆流させて前記プレコート材及び前記藻体を前記濾過面から剥がし、前記藻体を回収する藻体回収工程と、前記藻体回収工程で得られた前記プレコート材と前記藻体を含む回収液を処理して前記プレコート材と前記藻体とを分離する藻体分離工程とを備え、比重が1より小さい前記プレコート材を用い、前記藻体分離工程で、前記回収液の液面に浮上した前記プレコート材を取り除き、前記プレコート材と前記藻体を分離するようにしたことを特徴とする。
【0013】
本発明の藻類濃縮システムは、バネ式フィルターと、前記バネ式フィルターの濾過面を覆ってプレコート層を形成するためのプレコート材と、前記バネ式フィルターで濾過された藻体を回収する回収部とを備えるとともに、前記プレコート材が1より小さい比重で形成され、且つ、前記回収部に、上下方向に進退自在に設けられ、前記プレコート材を含む液体中の前記プレコート材の浮上を抑止しつつ前記濾過面に前記プレコート材を誘導するプレコート材浮上抑止誘導手段を備えていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の藻類濃縮システムにおいては、前記プレコート材浮上抑止誘導手段が、前記回収部中に送られた前記プレコート材を含む液体の液位に応じて進退するように設けられていることが望ましい。
【0015】
本発明の藻類回収システムは、バネ式フィルターと、前記バネ式フィルターの濾過面を覆ってプレコート層を形成するためのプレコート材と、前記バネ式フィルターで濾過された藻体を前記プレコート材とともに回収する回収部と、前記回収部で回収した回収液の前記プレコート材と前記藻体とを分離する分離部とを備えるとともに、前記プレコート材が1より小さい比重で形成され、且つ、前記分離部に、前記回収液の液面に浮上して集まった前記プレコート材を前記回収液から取り除くプレコート材除去回収手段が具備されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の藻類回収システムにおいては、前記プレコート材除去回収手段が、前記液面から前記回収液中に挿入配置されるとともに横方向に移動可能に設けられ、前記回収液の液面に浮上して集まった前記プレコート材を横方向に押して前記分離部外に排出させるプレコート材押出部を備えていることが望ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の藻類含有液の濃縮方法及び藻類濃縮システムにおいては、比重が1よりも小さいプレコート材を用いた場合であっても、分散液中のプレコート材の浮上を抑止しつつ濾過面にプレコート材を誘導するプレコート材浮上抑止誘導手段を上下方向に移動させながら分散液をバネ式フィルターで濾過することにより、濾過面に好適にプレコート層を積層形成することができる。
【0018】
本発明の藻類含有液の藻類回収方法及び藻類回収システムにおいては、比重が1よりも小さいプレコート材を用いることにより(上記のように、比重が1よりも小さいプレコート材を用いてバネ式フィルターの濾過面に好適にプレコート層を積層形成できることにより)、回収液中のプレコート材と藻体を分離する際に、自動的に回収液の液面に浮上して集まったプレコート材を取り除くという簡易な操作でプレコート材と藻体を分離することが可能になる。
【0019】
よって、本発明の藻類含有液の濃縮方法、藻類回収方法、藻類濃縮システム、及び藻類回収システムによれば、大量の培養液(藻類含有液)を従来よりも簡便且つ効率的に処理して藻体を濃縮/回収(生産)することが可能になる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、
図1から
図5を参照し、本発明の一実施形態に係る藻類含有液の濃縮方法、藻類回収方法、藻類濃縮システム、及び藻類回収システムについて説明する。
【0022】
なお、本実施形態は、例えば、バイオマス燃料や食品の材料等として利用される藻類を大規模プラントで培養するにあたり、培養した藻類をバネ式フィルターを用いて濃縮、回収する方法、システムに関するものである。
【0023】
(藻類濃縮システム)
はじめに、本実施形態の藻類濃縮システムについて説明する。
【0024】
本実施形態の藻類濃縮システム10は、
図1に示すように、濾過処理対象の藻類培養液(藻類含有液)を貯留する容器を有するバケット部1と、濾過処理手段である円筒状のバネ式フィルター3と、バネ式フィルター3が内部に配置される容器を有する回収部2と、バケット部1及び回収部2の各容器に接続されたポンプP1と、バネ式フィルター3の一方の端部に接続されたコンプレッサーP2と、各部を接続する配管やバルブとを備えて構成されている。
【0025】
ここで、
図1に示した藻類濃縮システム10の一例においては、ポンプP1を駆動によって配管1aを通じてバケット部1の容器から回収部2の容器に液体が流入するとともに、回収部2の容器の内圧が高まり、この液体がバネ式フィルター3の濾過面を透過して内空部に流通し濾過されるように構成されている。また、濾過液は、配管3aを通じてバネ式フィルター3の一方の端部から外部へ排出され、さらにコンプレッサーP2の駆動によって配管3bを通じてバネ式フィルター3の内空部にエアを供給できるように構成されている。
【0026】
回収部2の容器は、バネ式フィルター3の濾過面(外周面)で濾過された藻体が濾過面から剥がされて落下したときに、この藻体を収容保持できるように構成されている。また、本実施形態の回収部2の容器はバケット部1の容器よりも小さな容積で形成されている。回収部2の容器の底部には、容器内の液体(流体)を外部へ搬出するためのバルブや配管2aが接続されている。
【0027】
バネ式フィルター3としては、例えば、特許第3124901号に開示されているような断面が略円形又は多角形の線材をコイル状に巻き回し、線材同士の隣接する外周面を円弧形状にし、且つ隣接する線材の間に微小な間隙が形成されたものが挙げられる。なお、微小な間隙のサイズ、すなわちフィルターの目のサイズは、濾過する藻体の大きさに合わせて適宜設定される。
【0028】
さらに、本実施形態の藻類濃縮システム10においては、
図2に示すように、円筒状のバネ式フィルター3に支持され、バネ式フィルター3の中心軸O1方向の上下方向に進退自在に設けられたプレコート材浮上抑止誘導手段(プレコート材浮上抑止誘導部材)6を備えて構成されている。
【0029】
本実施形態のプレコート材浮上抑止誘導手段6は、円筒状のバネ式フィルター3を挿通する中心孔6aを備え、バネ式フィルター3を中心孔6aに挿通して上下方向に進退自在に支持されている。また、プレコート材浮上抑止誘導手段6は、上下方向に進退自在に支持された状態で、バネ式フィルター3の外面から前記中心軸O1を中心とした径方向外側に突出する略環状の浮上抑止誘導本体部6bを備えて形成されている。
【0030】
本実施形態では、浮上抑止誘導本体部6b(浮上抑止誘導本体部6bの少なくとも一部)がバネ式フィルター3の外面から外側に向かうに従い漸次下方に傾斜するように形成されている。さらに、プレコート材浮上抑止誘導手段6は、浮上抑止誘導本体部6bの突出方向先端の外周端の全体が回収部2の容器の内面に近接するように形成され、バネ式フィルター3とともに回収部2の容器の内面に案内されて上下方向に進退するように構成されている。
【0031】
さらに、本実施形態のプレコート材浮上抑止誘導手段6は、1より小さな比重で形成したり、浮体を一体に備えて全体としての比重が1より小さくなるように形成され、回収部2の容器内に流入した液体の量(液位)に応じて、すなわち、液体からの浮力によって進退するように構成されている。
【0032】
(藻類回収システム)
次に、本実施形態の藻類回収システムについて説明する。
【0033】
本実施形態の藻類回収システム20は、
図3に示すように、藻類濃縮システム10と同様の構成に加え、回収部2で濃縮した回収液からプレコート材4を分離するための分離部5を備えて構成されている。
【0034】
具体的に、本実施形態の藻類回収システム20は、例えば、プレコート材4で濾過面を覆い、濾過面にプレコート層が積層形成されたバネ式フィルター3と、バネ式フィルター3で濾過された藻体及びプレコート材4を回収する回収部2と、回収したプレコート材4と藻体とを分離する分離部5とを備えて構成されている。分離部5は、回収部2に接続され、回収部2から回収液を受け入れて保持する容器を備えている。
【0035】
ここで、バネ式フィルター3の濾過面を覆うプレコート層(プレコート材4の層)の厚さとしては、例えば1〜5mm程度が好ましい。1mm以上の厚さであることにより、プレコート層を設けたことによる藻体の濾過漏れ(濾過面の通過)の防止、濾過面の目詰まりの防止/遅延等の効果を充分に得ることができる。また、5mm以下の厚さであることにより、濾過に要する吸引力が過度に高まることを抑制できる。
【0036】
また、本実施形態では、比重が1よりも小さなプレコート材4を用い、分離部5で、回収液の液面に浮き上がったプレコート材4を収集してプレコート材4と藻体とを分離するように構成されている。すなわち、本実施形態では、
図4に示すように、分離部5に送られた回収液の液面に浮き上がったプレコート材4を順次分離部5の容器外に排出して回収するプレコート材除去回収手段7を備えて構成されている。
【0037】
さらに、本実施形態のプレコート材除去回収手段7は、液面から回収液中に挿入配置されるとともに横方向に移動可能に設けられ、回収液の液面に浮上して集まったプレコート材4を横方向に押して分離部5の容器外に排出させるプレコート材押出部7aを備えている構成されている。
【0038】
(藻類含有液の濃縮方法/藻類回収方法)
次に、本実施形態の藻類含有液の濃縮方法及び藻類回収方法について説明する。
【0039】
本実施形態の藻類含有液の濃縮方法では、
図5(a)〜
図5(e)に示すように、プレコート材4を分散させた分散液を濾過しバネ式フィルター3の濾過面にプレコート層を積層形成するプレコート層形成工程(
図5(a)、
図5(b))と、プレコート材4で濾過面が覆われたバネ式フィルター3を用いて藻類含有液を濾過し、プレコート層の表面に藻体を集積する藻体集積工程(
図5(c))と、バネ式フィルター3に流体を逆流させてプレコート材4及び藻体を濾過面から剥がし、藻体を回収する(藻類含有液を濃縮する)藻体回収工程(
図5(d)、
図5(e))とを実施する。
【0040】
この濃縮方法の具体例として、以下に藻類濃縮システム10を用いて実施する場合を
図5(a)〜
図5(d)、
図2を参照して説明する。
【0041】
図5(a)に示すように、まず、プレコート材4を分散して含有する分散液をバケット部1の容器に導入する。次に、ポンプP1によって、バケット部1から配管1aを介して回収部2の容器内の底部側に分散液を送液する。
【0042】
このように回収部2の底部に分散液を送液すると、
図2に示すように、回収部2に分散液が溜まってゆくとともにプレコート材浮上抑止誘導手段6がバネ式フィルター3の中心軸O1方向に沿って上方に移動する。また、回収液中で浮き上がろうとするプレコート材4が浮上抑止誘導本体部6bによって抑えられ、浮上抑止誘導本体部6bの直下に自動的に集まる。
【0043】
さらに、本実施形態では、浮上抑止誘導本体部6bがバネ式フィルター3の濾過面から外側に向かうに従い漸次下方に傾斜して形成されているため、浮上抑止誘導本体部6bの直下に集まったプレコート材4がその比重(浮力)によってバネ式フィルター3の濾過面側に自動的に誘導される。
【0044】
これにより、回収部2の底部に分散液が順次送液されると、分散液の液量(液位)に応じてプレコート材浮上抑止誘導手段6が順次上方に移動し、これとともにバネ式フィルター3の濾過面に対し、下方から順次上方にプレコート材4が接触するように誘導されることになる。
【0045】
そして、回収部2の底部から分散液が送液されることで、回収部2の容器の内圧が高まり、分散液が円筒状のバネ式フィルター3の濾過面(外側の表面)で濾過される。このように、バネ式フィルター3の濾過面を分散液の液体成分が内空部に濾過されるとともに、
図5(b)に示すように、プレコート材浮上抑止誘導手段6で誘導されたプレコート材4が濾過面に対し、下方から上方に順次捕捉されて留まる。
【0046】
これにより、分散液を回収部2に送液するだけで、自動的にバネ式フィルター3の濾過面にプレコート材4が順次堆積してゆき、プレコート層が好適に(均一に)形成される。
【0047】
バネ式フィルター3の濾過面にプレコート層を積層形成した段階で、
図5(c)に示すように、藻類を含む藻類培養液をバケット部1の容器に導入する。そして、ポンプP1の駆動により、バケット部1から配管1aを介して回収部2の容器内に藻類培養液を送液する。
【0048】
この送液により回収部2の容器の内圧が上がり、円筒状のバネ式フィルター3の濾過面(外側の表面)に接触した藻類培養液が濾過される。また、このとき、液体成分が内空部に吸引されるとともに、藻類等の比較的大きい固体成分はバネ式フィルター3の濾過面に積層形成されたプレコート層の表面の微細な間隙を通過せず、このプレコート層の表面に留まる。
【0049】
これにより、
図5(d)に示すように、藻類培養液を継続して濾過するとともにバネ式フィルター3の濾過面(プレコート層の表面)に藻類が集積することになる。
【0050】
適当量の藻類培養液を濾過した後、
図5(e)に示すように、バケット部1から藻類培養液の供給を停止し、コンプレッサーP2によってバネ式フィルター3の内空部へエアを送り込み、濾過面側へ少量のエアを逆流させる(濾過方向と逆方向に流す)。このエアは、その他の流体で代替可能であり、水などの液体であってもよい。
【0051】
この逆流(逆洗)によって、バネ式フィルター3の濾過面に積層形成されたプレコート層(プレコート材4)及びプレコート層の表面に集積した藻体(藻類)の塊がバネ式フィルター3から剥がれ、回収部2の容器内に回収される。このとき、逆洗によって比較的容易にプレコート層をバネ式フィルター3から剥離させることができ、プレコート材4とともに藻体を容易にフィルターから剥がして回収できる。
【0052】
これにより、藻類培養液が濃縮され、回収した藻類を含む回収液を回収部2の搬出バルブから配管2aを介し、外部へ搬出すれば、藻類の濃縮液が得られる。なお、上記の本実施形態の藻類濃縮方法によれば、バケット部1から供給してバネ式フィルター3で濾過した藻類含有液の総体積(例えば20体積部)を、回収部2で回収した回収液の体積(例えば1体積部)で除算した倍率(本例では20倍)で、藻類含有液を濃縮することができる。
【0053】
また、従来の多孔質フィルターの目詰まりを洗浄して解消することは手間であったが、本実施形態の藻類濃縮方法によれば、バネ式フィルター3の濾過面が一時的に目詰まりしても、逆洗によってプレコート層及び藻類の塊を剥がすことで、バネ式フィルター3の濾過面の目詰りを容易に(瞬時に)解消することができる。
【0054】
次に、本実施形態の藻類回収方法について説明する。
【0055】
本実施形態の藻類回収方法では、
図5(c)〜
図5(f)に示すように、プレコート材4で濾過面が覆われたバネ式フィルター3を用いて藻類含有液を濾過し、プレコート層の表面に藻体を集積する藻体集積工程(
図5(c))と、バネ式フィルター3に流体を逆流させてプレコート材4及び藻体を濾過面から剥がし、プレコート材4及び藻体を回収する(藻類含有液を濃縮する)藻体回収工程(
図5(d)、
図5(e))と、藻体回収工程で得られたプレコート材4と藻体を含む回収液を処理してプレコート材4と藻体とを分離する藻体分離工程(
図5(f))とを実施する。
【0056】
すなわち、本実施形態の藻類回収方法においては、上記の藻類濃縮方法によって得られた回収液からプレコート材4を分離除去して濃縮した藻体(藻類)を得る。
【0057】
この回収方法の具体例として、藻類回収システム20を用いて実施する場合を
図5(c)〜
図5(f)、
図4を参照して説明する。
【0058】
図5(c)〜
図5(f)に示すように、前述の藻類濃縮方法と同様にして得られた藻類及びプレコート材4を含む回収液を回収部2の搬出バルブから配管2aを通じて分離部5の容器へ搬出する。
【0059】
ここで、従来のプレコート材(例えば、粒径38μm、真比重2.3のプレコート材)を利用した場合には、藻体とプレコート材の分離に沈降分離で1時間程度を要していた。すなわち、プレコート材の粒径を小さくするほど藻体の回収に多大な時間を要し、この分離処理が効率の低下を招く一要因となっていた。
【0060】
これに対し、本実施形態のプレコート材4が1より小さな比重で形成されているため、
図4に示すように、分離部5に回収液を送るとともにプレコート材4が浮き上がり、藻体と自動的に分離する。また、回収液の液面に浮き上がったプレコート材4を、プレコート材除去回収手段7によって順次所定の場所に誘導して回収することができる。
【0061】
このとき、本実施形態では、液面から回収液中に挿入配置されたプレコート材押出部7aが横方向に移動することで、回収液の液面に浮上して集まったプレコート材4が横方向に押され、順次分離部5の容器外に排出される。
【0062】
したがって、本実施形態の藻類含有液の濃縮方法及び藻類濃縮システム10においては、比重が1よりも小さいプレコート材4を用いた場合であっても、分散液中のプレコート材4の浮上を抑止しつつ濾過面にプレコート材4を誘導するプレコート材浮上抑止誘導手段6を上下方向に移動させながら分散液をバネ式フィルター3で濾過することにより、濾過面に好適にプレコート層を積層形成することができる。
【0063】
また、本実施形態の藻類含有液の藻類回収方法及び藻類回収システム20においては、比重が1よりも小さいプレコート材4を用いることにより、すなわち、比重が1よりも小さいプレコート材4を用いてバネ式フィルター3の濾過面に好適にプレコート層を積層形成できることにより、回収液中のプレコート材4と藻体を分離する際に、自動的に回収液の液面に浮上して集まったプレコート材4を取り除くという簡易な操作でプレコート材4と藻体を分離することが可能になる。
【0064】
よって、本実施形態の藻類含有液の濃縮方法、藻類回収方法、藻類濃縮システム10、及び藻類回収システム20によれば、大量の培養液(藻類含有液)を従来よりも簡便且つ効率的に処理して藻体を濃縮/回収(生産)することが可能になる。
【0065】
以上、本発明に係る藻類含有液の濃縮方法、藻類回収方法、藻類濃縮システム、及び藻類回収システムの一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。