(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記滞留部は、前記液体が送液される前記流路から分岐された分岐流路と、この分岐流路に設けられたバルブによって形成されており、前記第2の成分濃度検出器は、前記分岐流路に滞留する液体の成分濃度を検出することを特徴とする請求項1に記載の成分濃度検出システム。
前記第1及び第2の成分濃度検出器は、光を照射する照射部と、照射部から照射された光を受光する受光部と、前記照射部と前記受光部との間に配置され、前記液体が流通する液体セル部と、を有しており、
前記液体セル部は、円筒管で形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の成分濃度検出システム。
前記液体は、血液浄化装置から排出された排液であり、この排液に照射される光の波長は240〜260nmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成分濃度検出システム。
【背景技術】
【0002】
腎不全の患者に対し、腎臓機能を人工的に代替する血液透析装置を用いて血液透析療法による治療が行われている。この血液透析装置は、
図8に示すように、血液循環経路に血液浄化装置であるダイアライザ100が設けられており、このダイアライザ100に透析液を供給する透析液回路が設けられている。そして、患者から採取された血液はダイアライザ100を経由して体内に戻される体外循環が行われ、体外循環が行われている間にダイアライザ100の半透膜を介してダイアライザ100に供給された透析液により血液中の老廃物、及び、余剰水分が排液として除去されるようになっている。
【0003】
また、血液透析装置には、成分濃度検出システム101が設けられており、ダイアライザ100からの排液の所定の成分濃度を計測することより透析中の患者の状態を把握することができる。すなわち、流通する排液中の老廃物である尿素、尿酸等の濃度を計測することにより、透析中の患者の透析状態をリアルタイムで把握することができる。
【0004】
この成分濃度検出システム101は、
図8に示すように、ダイアライザ100からの排液流路に接続される成分濃度検出器102と、成分濃度検出器102に接続される監視装置103(分析装置)とで形成されている。この成分濃度検出器102は、ダイアライザ100からの排液に対する吸光度を検出することで濃度変化を計測できるように形成されている。すなわち、排液(単に液体とも言う)を流通させる液体セル部に光(例えばUV光)を照射し、液体セル部を流通する液体により吸収された後の光を受光部で検出することにより、液体の濃度を検出することができる。そして、成分濃度検出器102で検出した検出結果が監視装置103にモニタリングされることにより、リアルタイムで透析状態を把握できるようになっている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、排液中には患者の栄養状態の1つの指標であるアルブミンが含まれており、このアルブミン濃度を測定することにより、透析状態を監視しつつ、肝臓、腎臓の機能状態、及び、栄養状態等(健康状態と称す)も把握することができる。通常、アルブミン濃度の測定は、アルブミンと特定の色素との結合による色調の変化を利用して行われる色素結合法が用いられる。すなわち、排液の一部を取り出してアルブミンに所定の色素を吸収させた後、色素の吸収波長から定量化することにより、アルブミン濃度が測定される(BCG法、BCP法等)。したがって、上記成分濃度検出器102によるリアルタイムでの検出は困難であり、共通の成分濃度検出システム101で透析状態と健康状態を把握することは非常に困難であるという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、送液される液体の成分濃度を検出しつつ、同時に共通の送液回路でアルブミン濃度も検出することができる成分濃度検出システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明の成分濃度検出システムは、成分濃度を検出される対象となる液体が流れる流路に設けられ、前記液体に光を照射してその光吸収度合いから液体中の成分濃度を検出する第1の成分濃度検出器と、前記流路を流れる液体を滞留させる滞留部と、前記滞留部で滞留される前記液体に光を照射してその光吸収度合いから液体中の成分濃度を検出する第2の成分濃度検出器と、を備えることを特徴としている。
【0009】
上記成分濃度検出システムによれば、第2の成分濃度検出器によりアルブミン濃度を検出することができる。すなわち、送液回路内には、滞留部が設けられており、この滞留部に第2の成分濃度検出器が取り付けられている。そして、滞留部に滞留する液体(ダイアライザからの排液)に第2の成分濃度検出器による光(例えばUV光)が照射されることにより液体中のアルブミンが光によって変性し、この照射した光を受光することにより滞留部におけるアルブミン濃度を検出することができる。したがって、第1の成分濃度検出器により尿素、尿酸等の濃度を計測して透析状態を把握し、それと同時に共通の送液回路内で、第2の成分濃度検出器によりアルブミン濃度を検出して健康状態を把握することができる。
【0010】
また、前記滞留部は、前記液体が送液される前記流路から分岐された分岐流路と、この分岐流路に設けられたバルブによって形成されており、前記第2の成分濃度検出器は、前記分岐流路に滞留する液体の成分濃度を検出する構成にしてもよい。
【0011】
この構成によれば、分岐流路のバルブを閉じることによって分岐流路に滞留部を形成し、この滞留部に第2の成分濃度検出器を設けることにより、アルブミン濃度を検出し、分岐流路とは別の流路に第1の成分濃度検出器を設けることにより、容易な構成で尿素、尿酸等の濃度と、アルブミン濃度を同時に検出することができる。
【0012】
また、前記第1及び第2の成分濃度検出器は、光を照射する照射部と、照射部から照射された光を受光する受光部と、前記照射部と前記受光部との間に配置され、前記液体が流通する液体セル部と、を有しており、前記液体セル部は、円筒管で形成されている構成にしてもよい。
【0013】
この構成によれば、成分濃度検出器の液体セル部に円筒管を用いることにより、成分濃度検出器を安価に構成することができるため、システム全体のコストダウンを図ることができる。
【0014】
また、上記成分濃度検出システムの具体的様態としては、前記液体は、血液浄化装置から排出された排液であり、この排液に照射される光の波長は240〜260nmである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の成分濃度検出システムによれば、送液される液体の成分濃度を検出しつつ、同時に共通の送液回路でアルブミン濃度も検出することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の成分濃度検出システムに係る実施の形態を図面を用いて説明する。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態における成分濃度検出器を使用した血液透析装置を示す経路図である。
【0019】
図1に示すように、血液透析装置1は、患者の血液を体外循環させる血液循環経路部2と、血液循環経路部2の途中に設けられ血液を浄化するダイアライザ3と、ダイアライザ3からの排液(液体ともいう)を排出する排液ライン52(排液流路)と、ダイアライザ3に透析液を供給する供給ライン51(供給流路)とを有している。
【0020】
血液循環経路部2は、可撓性チューブで形成されており、患者から採取した血液を流通させる往路経路部21と、浄化された血液を患者に戻す復路経路部22とを有している。これら往路経路部21と復路経路部22は、患者とダイアライザ3とを連結するものであり、不図示のポンプを駆動させることにより、患者から採取された血液が往路経路部21を通じてダイアライザ3を通過し、ダイアライザ3で浄化された血液が復路経路部22を通じて患者に戻るようになっている。
【0021】
ダイアライザ3は、供給された血液の浄化、及び、徐水を行うものであり、入口ポート31と出口ポート32を有している。すなわち、入口ポート31に往路経路部21が接続され、出口ポート32に復路経路部22が接続されることにより、患者の血液は、入口ポート31を通じてダイアライザ3に供給され、ダイアライザ3で浄化された血液は、出口ポート32を通じて患者に戻される。このダイアライザ3は、容器本体33に複数の中空糸が収容されており、中空糸内を血液が通過するようになっている。中空糸には、小さな貫通孔が形成されており、血液が中空糸を通過すると、その貫通孔を通じて容器本体33に充填される透析液に老廃物や余剰水分が透過され血液が浄化されるようになっている。
【0022】
供給ライン51及び排液ライン52は、可撓性チューブで形成されており、それぞれダイアライザ3に接続されている。具体的には、ダイアライザ3には、透析液が供給される供給ポート34と、透析液を排液する排液ポート35とを有しており、供給ライン51が供給ポート34と接続され、排液ライン52と排液ポート35とが接続されている。したがって、透析液は、透析液の供給源(不図示)から供給ライン51を通じてダイアライザ3に供給され、ダイアライザ3の容器本体33内で透析処理が行われた後、排液ライン52を通じて使用後の透析液が排液(本発明の液体)として排出されるようになっている。
【0023】
また、排液ライン52には、成分濃度検出システム6が設けられている。この成分濃度検出システム6は、ダイアライザ3から排出される排液の成分濃度を計測することにより、透析中の患者の状態を把握するためのものである。成分濃度検出システム6は、体外循環する血液中の所定の濃度を検出する第1の成分濃度検出器4aと、排液ラインに流れる液体を滞留させる滞留部と、この滞留部に設けられる第2の成分濃度検出器4bとを有している。
【0024】
排液ライン52は、排液ポート35に直接接続されるメイン流路52aと、メイン流路52aから分岐される分岐流路52bとを有しており、メイン流路52aには第1の成分濃度検出器4aが設けられ、分岐流路52bには第2の成分濃度検出器4bが設けられている。そして、分岐流路52bには、バルブ54が設けられており、このバルブ54を開閉動作させることにより分岐流路52b内の液体を流通させることができる。すなわち、バルブ54を開状態にすると、メイン流路52aから液体が分岐流路52bに流れ込み、液体を分岐流路52bに流通させることができる。また、バルブ54を閉状態にすることにより、分岐流路52bを流通する液体の流れが停止され、分岐流路52b内に液体を滞留させることができる。すなわち、このバルブ54を閉状態にすることにより分岐流路52bに滞留部56(
図7参照)が形成される。そして、この滞留部56、すなわち、バルブ54よりも上流側に第2の成分濃度検出器4bが設けられている。
【0025】
ここで、本実施形態では、第1の成分濃度検出器4a及び第2の成分濃度検出器4bは同じ構成で形成されている。したがって、これら第1の成分濃度検出器4a及び第2の成分濃度検出器4bの説明は、共通して行うこととし、これら第1の成分濃度検出器4a及び第2の成分濃度検出器4bを区別して呼ぶ必要がない場合は、単に成分濃度検出器4と呼ぶことにする。
【0026】
成分濃度検出器4は、排液ライン52を流れる液体の成分濃度をリアルタイムに検出するためのものである。この成分濃度検出器4は、排液ライン52に流れる液体に光を照射して、その光の光吸収度合いから液体内の成分濃度を検出するものである。本実施形態の成分濃度検出器4は、監視装置Mと接続されており、監視装置Mにより、成分濃度検出器4で検出した検出結果がモニタリングされ、成分濃度検出器4の各種設定が調節されるようになっている。
【0027】
成分濃度検出器4は、
図2に示すように、入口部41と出口部42を有するハウジング部43内にセルユニット部7と、ランプユニット部8と、排液モニタ部9とを有している。ここで、
図2(a)は、成分濃度検出器4の外観を表した図であり、
図2(b)は、ハウジング部43の蓋部を取り外した状態を示す図である。ハウジング部43は、箱状のケース部材であり、その中央部分にセルユニット部7が収容されており、そのセルユニット部7を挟むように、ランプユニット部8、排液モニタ部9が収容されている。すなわち、セルユニット部7に流れる液体にランプユニット部8からUV光が照射され、液体を通過したUV光を排液モニタ部9で受光することにより、液体内の成分濃度が検出されるようになっている。
【0028】
セルユニット部7は、排液ライン52の液体を流通させるものであり、排液ライン52に接続される入口部41と出口部42とを備えている。すなわち、入口部41が排液ライン52の上流側と接続され、出口部42が排液ライン52の下流側に接続されることにより、ダイアライザ3から排出された液体は入口部41を通じてセルユニット部7を通過し、出口部42から再び排液ライン52に流れるようになっている。具体的には、第1の成分濃度検出器4aは、入口部41とメイン流路52aの上流側と接続され、出口部42とメイン流路52aの下流側に接続されており、第2の成分濃度検出器4bは、入口部41と分岐流路52bの上流側と接続され、出口部42と分岐流路52bの下流側に接続されている。
【0029】
セルユニット部7は、液体が流通する液体セル部71と、この液体セル部71を支持するセル枠体部72とを有している。セル枠体部72は、
図3(b)に示すように、直線状に伸びる本体部72aと、この本体部72aの両端部からそれぞれ直交する方向に伸びる支持部72bとを有しており、いわゆる断面コの字の形状を有している。そして、両支持部72bは、液体セル部71を支持する部分であり、一方向に伸びる液体セル部71の両端部を支持している。すなわち、支持部72bは、液体セル部71が本体部72aから所定距離離れた位置に支持できるようになっており、セルユニット部7がハウジング部43に収容された状態では、液体セル部71がランプユニット部8と排液モニタ部9との間に配置され、ランプユニット部8からのUV光の照射領域に液体セル部71が含まれる状態に支持されるようになっている。
【0030】
セルユニット部7は、ハウジング部43に対して着脱自在に形成されている。具体的には、セル枠体部72がハウジング部43に対して着脱できるようになっている。すなわち、セル枠体部72は、ネジ73で締結できるようになっており、ネジ73を外すと、
図3(a)に示すようにセル枠体部72が取り外され、
図2(b)に示すように、セル枠体部72をランプユニット部8と排液モニタ部9との間に配置しネジ73で締結することにより、ハウジング部43に固定されるようになっている。具体的には、ハウジング部43には、切欠部44が形成されており、セル枠体部72を配置した状態では、セル枠体部72の本体部72aの端部が切欠部44に微少な隙間を有する状態で嵌まり合うようになっている。この状態から、切欠部44側に押し当てつつネジ73を締結することにより、セル枠体部72がハウジング部43に対して位置決めされて固定されるようになっている。すなわち、セル枠体部72がハウジング部43に位置決めされた状態では、上述のように、液体セル部71がランプユニット部8からのUV光の照射領域に含まれる状態に保持され、液体セル部71の軸方向と、ランプユニット部8(冷陰極管UVランプ81a)の軸方向とが平行になるように固定される。これにより、セル枠体部72を取り外した場合でも、セル枠体部72をハウジング部43に取り付けるだけで、着脱前の液体セル部71の配置状態に容易に戻すことができるようになっている。
【0031】
ランプユニット部8は、液体セル部71に光を照射するものである。ランプユニット部8は、本実施形態では、セルユニット部7に隣接する位置に設けられている。ランプユニット部8は、照射部81が設けられており、本実施形態では、冷陰極管UVランプ81aが設けられている。具体的には、冷陰極管UVランプ81aは、
図3(a)、
図4に示すように、ランプ支持体82に支持されて設けられており、冷陰極管UVランプ81aの伸びる方向(軸方向)が、液体セル部71の伸びる方向(軸方向)に沿うように固定されている。すなわち、冷陰極管UVランプ81aは、ランプ支持体82により、その両端部で固定され、光を照射する部分を湾曲部83で覆うように支持されている。そして、ランプ支持部72bの液体セル部71と対向する部分は、開口部84が形成されており、その開口部84から冷陰極管UVランプ81a(照射部81)の光が照射されるようになっている。すなわち、冷陰極管UVランプ81aは、円筒管の表面全周に亘って光が照射されるが、開口部84と対向していない部分から照射された光は湾曲部83で反射されつつ開口部84から照射されることにより、冷陰極管UVランプ81aから照射された光が効率よく液体セル部71に照射されるようになっている。
【0032】
このランプユニット部8から液体セル部71を挟んで対向する位置には、排液モニタ部9が設けられている。この排液モニタ部9は、冷陰極管UVランプ81aから照射され液体セル部71を通過した光を受光するものである。排液モニタ部9は、受光部91が設けられており、受光部91にはフォトダイオードが設けられている。この受光部91は、冷陰極管UVランプ81aの照射方向の延長上に配置されており、本実施形態では、冷陰極管UVランプ81aの中心、液体セル部71の中心、フォトダイオード(受光部91)の中心が一直線上に並ぶ位置に配置されている。そして、受光部91の受光面は、冷陰極管UVランプ81aの長手方向における照射範囲に沿って対向するように形成されている。これにより、冷陰極管UVランプ81aから照射され、液体セル部71を通過した光が無駄なく受光部91で受光できるようになっている。
【0033】
また、上述したランプユニット部8にも、別途、受光部(第2受光部85と称す)が設けられている。この第2受光部85は、ランプユニット部8の冷陰極管UVランプ81aの光出力状態を監視するものである。具体的には、ランプ支持部72bの開口部84と反対側には、第2の開口部86が形成されており、この第2の開口部86と対向するように第2受光部85が設けられている。これにより、照射部81である冷陰極管UVランプ81aからの光が直接、第2受光部85で受光される。なお、本実施形態では、第2受光部は、ハウジング部43側に取り付けられており、第2受光部に接続される電気的配線がセル枠体部72を取り外した場合の操作性を阻害しないようになっている。この第2受光部85で受光した光量値は、冷陰極管UVランプ81aの基準値として使用される。すなわち、冷陰極管UVランプ81aから照射された光が液体セル部71を通過する液体を通過し受光部91で受光されることにより、液体に吸収された光量から成分濃度が検出されるが、冷陰極管UVランプ81aの光が液体を通過する前の光の状態を第2受光部85で受光することにより、第2受光部85で受光した光量を基準に液体に吸収された光量を精度よく演算することができる。なお、この第2受光部85から得られた光量値に対して閾値を設けることにより冷陰極管UVランプ81aの寿命を監視することもできる。
【0034】
また、液体が流通する液体セル部71には、本実施形態では、円筒管が使用されている。液体セル部71は、
図3(b)に示すように、一方向に伸びる形状を有しており、両端部がセル枠体部72の支持部72bで支持されている。すなわち、円筒管は、円筒管の延びる方向が冷陰極管UVランプ81aの延びる方向と一致する状態で支持されており、光の照射方向(照射部81から受光部91に照射される方向)と、円筒管の軸方向とが直交する状態で支持されている。すなわち、円筒管は、照射部81の光源に対して、円筒管の外周面が対向する状態で支持されている。
【0035】
この円筒管は、石英で形成されている。すなわち、液体セル部71に樹脂チューブ等を使用すると冷陰極管UVランプ81aのUV光が樹脂チューブに吸収されるため、受光部91で受光される受光量に樹脂チューブに吸収された分だけ誤差が生じてしまうが、石英を使用することにより、照射部81に使用された冷陰極管UVランプ81aのUV光が液体セル部71で吸収されるのが極力抑えられ、円筒管内を流れる液体に吸収される光量を精度よく検出することができる。
【0036】
また、液体セル部71を流れる液体と、受光部91との間には、液体を通過した光を集光させる集光部10が設けられている。本実施形態では、液体セル部71と集光部10とが一体化して設けられている。すなわち、本実施形態では、液体セル部71に円筒管が設けられているため、円筒管の外周面がレンズの役割(集光部10)を果たし、液体を通過した光を集光させて受光部91に照射させることができる。具体的には、
図6に示すように、照射部81から照射された光は、円筒管を形成する曲面状の外周面71aで屈折させられ、液体セル部71の円筒管内の液体を通過した後、液体を通過した直後に比べて、照射光の中央寄りに集光して進行する。これにより、受光部91では、集光効果のない場合に比べて受光強度が増幅されるため、液体で吸収された波長帯域が明確に表れ、液体の成分濃度検出精度を向上させることができる。なお、
図6における破線は、集光部10を使用しない場合(円筒管の代わりに平行平板(照射方向に対して垂直な平面状に形成された液体セル部)を使用した場合)の光の進路を示している。この場合は、照射部81から照射された光の広がりのまま光が進行するため、受光部91で受光できず光量ロスし、液体の成分濃度検出精度が低下する虞がある。
【0037】
また、液体セル部71は、入口部41と出口部42とに接続されている。本実施形態では、入口部41と出口部42とは、同じ構造を有している。具体的には、
図5に示すように、入口部41は、ハウジング部43から突出した円筒管(液体セル部71)を覆う継手部45と、継手部45と円筒管との隙間をシールするシール部材46で形成されている。この継手部45は、上流側の排液ライン52(第1の成分濃度検出器4aではメイン流路52a、第2の成分濃度検出器4bでは分岐流路52b)と接続される配管接続部45aと、液体セル部71と接続されるジョイント開口部45bとを有しており、フランジ部45cがハウジング部43にネジ45dで締結されることにより固定されるようになっている。ジョイント開口部45bは、配管接続部45a側に向かって狭くなるテーパ形状に形成されている。これにより、シール部材46が押圧されて固定されるようになっている。すなわち、ハウジング部43から突出する液体セル部71(円筒管)には、ハウジング部43側から第1カラー47、シール部材46(Oリング)、第2カラー48がこの順に互いに接するように配置されており、この状態でジョイント開口部45bを嵌め込んで固定する。すなわち、継手部45をハウジング部43にネジ止めすると、ジョイント開口部45bのテーパ部分がシール部材46と接した後、さらに継手部45がネジ45dで締結されることにより、テーパ部分でシール部材46が押圧される。シール部材46の両隣には、第1カラー47と第2カラー48が隣接しているため、テーパ部分で押圧されたシール部材46は、円筒管とテーパ部分とに膨張して密着することにより円筒管と継手部45とがシールされる。すなわち、排液ライン52から配管接続部45aに進入した液体は、ジョイント開口部45bから漏れることなく円筒管に流通し、再び出口部42から排液ライン52に流れ出る。このような継手部45の構成により、円筒管に何ら加工することなく液体セル部71として使用することができ、複雑な構成を有していた従来の液体セル部71に比べて安価な構成にすることができる。
【0038】
このようにして、メイン流路52aに設けられた第1の成分濃度検出器4aでは、メイン流路52aに流れる液体に照射部81から照射されたUV光が液体セル部71の円筒管を通過し受光部91で受光されることにより、液体中の老廃物である尿素、尿酸等の濃度が計測され、透析中の患者の透析状態をリアルタイムで把握することができる。
【0039】
また、分岐流路52bに設けられた第2の成分濃度検出器4bでは、アルブミン濃度を検出することができる。すなわち、排液ライン52に液体を流通させて第1の成分濃度検出器4aでリアルタイムに濃度を計測している状態で、分岐流路52bのバルブ54を閉状態にすると、分岐流路52bに液体が滞留する。すなわち、
図7に示すように、分岐流路52bのバルブ54を閉じると、分岐流路52bを流れていた液体が行き場を失い、分岐流路52b内に停滞する(滞留部56が形成される)結果、分岐流路52bに接続される第2の成分濃度検出器4bの液体セル部71を流れる液体も液体セル部71に滞留する。そして、第2の成分濃度検出器4bの照射部81からUV光(本実施形態では波長240〜260nmに設定されている。)が照射されると、液体セル部71内のアルブミンが時間とともに変性し、液体セル部71における液体が白濁する。すなわち、液体セル部71に照射された光は受光部91で受光されるが、白濁した液体により受光量が変化する。そして、液体中のアルブミン量の変化すると白濁状態も変化するため、この滞留部56における受光量を計測することによりアルブミン濃度を計測することができる。すなわち、透析状態の経過の観察と同時に、肝臓、腎臓の機能状態、及び、栄養状態等(健康状態と称す)の観察も行うことができる。したがって、第1の成分濃度検出器4aにより尿素、尿酸等の濃度を計測して透析状態を把握つつ、それと同時に共通の送液回路内で、第2の成分濃度検出器4bによりアルブミン濃度を検出して透析中の患者の健康状態も同時に把握することができる。
【0040】
なお、上記実施形態では、第1の成分濃度検出器4aの下流側に分岐流路52bを設け第2の成分濃度検出器4bを配置する例について説明したが、第1の成分濃度検出器4aの上流側に分岐流路52bを設け第2の成分濃度検出器4bを配置するものであってもよい。この構成であっても、分岐流路52bに液体を滞留させることにより、第2の成分濃度検出器4bによりアルブミン濃度を計測することができる。
【0041】
また、上記実施形態では、照射部81から照射されるUV光が、波長240〜260nmに設定されている例について説明したが、滞留する液体に照射した結果、アルブミンが変性する波長であれば、他の波長の光を使用するものであってもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、集光部10が液体セル部71と一体化された例について説明したが、液体セル部71と排液モニタ部9との間に例えば凸レンズ等、光を一定領域に集光できる部材を集光部10として配置するものであってもよい。この場合でも液体セル部71を通過した光を一定領域に集光させて受光部91に受光させることにより、受光部91における受光強度が大きくなるため、液体の成分濃度検出精度を向上させることができる。
【0043】
また、上記実施形態では、液体セル部71に石英製の円筒管を使用したが、円筒管が他の部材で形成されていてもよい。すなわち、上記実施形態では、UV光が照射されるため、UV光の吸収が極めて少ない石英製を例に挙げたが、照射部81から照射される光の吸収が抑えられる部材で形成されれば、液体セル部71を流れる液体以外の部材による光の吸収が抑えられ、濃度検出精度を高めることができる点で好ましい。
【0044】
また、上記実施形態では、液体セル部71に円筒管を使用したが、集光部10を別途設ける場合には、照射部81からの光に直交する平行平板で形成される液体セル部71(照射方向に対して垂直な平面状に形成された液体セル部)であってもよい。
【0045】
また、上記実施形態では、照射部81に冷陰極管UVランプ81aを使用しコストダウンを図れる例について説明したが、LEDランプを使用する構成であってもよい。
【0046】
また、上記実施形態では、液体セル部71がセル枠体部72に設けられ、セル枠体部72が着脱自在である例について説明したが、液体セル部71がハウジング部43と一体化して直接固定されているものであってもよい。