特許第6698577号(P6698577)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6698577
(24)【登録日】2020年5月1日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】高周波加速空胴
(51)【国際特許分類】
   H05H 7/18 20060101AFI20200518BHJP
   H05H 13/04 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
   H05H7/18
   H05H13/04 D
【請求項の数】3
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2017-78895(P2017-78895)
(22)【出願日】2017年4月12日
(65)【公開番号】特開2018-181582(P2018-181582A)
(43)【公開日】2018年11月15日
【審査請求日】2019年9月27日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原 博史
【審査官】 大門 清
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−307300(JP,A)
【文献】 特開平08−190997(JP,A)
【文献】 特開平07−029697(JP,A)
【文献】 特開平11−097906(JP,A)
【文献】 特開2006−012620(JP,A)
【文献】 特開平11−135299(JP,A)
【文献】 米国特許第08674630(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 3/00−15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒部と、前記円筒部の軸線方向の両端部にそれぞれ配置される端板とを有する本体部と、
前記本体部に装着される高調波吸収体と
を備え、
前記高調波吸収体は、
高調波を吸収する吸収部材と、
前記高調波を通過させる誘電体で形成され、前記吸収部材を覆い、かつ前記吸収部材との間に冷媒を流通可能な空間を設けた状態で配置される被覆部材と、
高周波加速空胴の一部に装着され、前記被覆部材との間で前記吸収部材を封止する装着部材と、
前記被覆部材及び前記装着部材の少なくとも一方に設けられ、前記被覆部材と前記吸収部材との間の前記空間に前記冷媒を供給し前記空間から前記冷媒を回収する冷媒流路と、
有し、
前記高調波吸収体は、前記端板に複数装着され、前記軸線周り方向に並んで配置される
高周波加速空胴
【請求項2】
円筒部と、前記円筒部の軸線方向の両端部にそれぞれ配置される端板とを有する本体部と、
前記本体部に装着される高調波吸収体と
を備え、
前記高調波吸収体は、
高調波を吸収する吸収部材と、
前記高調波を通過させる誘電体で形成され、前記吸収部材を覆い、かつ前記吸収部材との間に冷媒を流通可能な空間を設けた状態で配置される被覆部材と、
高周波加速空胴の一部に装着され、前記被覆部材との間で前記吸収部材を封止する装着部材と、
前記被覆部材及び前記装着部材の少なくとも一方に設けられ、前記被覆部材と前記吸収部材との間の前記空間に前記冷媒を供給し前記空間から前記冷媒を回収する冷媒流路と、
を有し、
前記円筒部は、前記軸線方向に複数並んで配置され、
前記本体部は、前記軸線方向に隣り合う前記円筒部同士が、共通の前記端板である連結端板によって連結され、
前記高調波吸収体は、前記連結端板に、前記軸線方向に直交する方向に装着される
高周波加速空胴
【請求項3】
前記冷媒流路は、前記装着部材に配置される
請求項1又は請求項2に記載の高周波加速空胴。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波加速空胴に関する。
【背景技術】
【0002】
高周波加速空胴は、高周波が入力されることで内部に加速電界を発生させ、電子等の荷電粒子を加速させる。高周波加速空胴は、高周波のうち高調波が多く存在すると、荷電粒子を十分に加速できなくなる可能性がある。このため、高周波加速空胴には、高調波を吸収する高調波吸収体が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015−76358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した高調波吸収体は、高調波を吸収することにより発熱する。このため、発熱した高調波吸収体を冷却するため、例えば金属等の熱伝導率の高い材料により形成された保持部材に固定して用いられる。
【0005】
しかしながら、高調波吸収体をネジ止め等により機械的に接合した場合、保持部材との接触が十分ではない場合があり、所期の冷却効率が得られない可能性がある。また、高調波吸収体を保持部材に接着等により接合した場合、高調波吸収体と保持部材との間の熱膨張率の相違により剥離等の不具合が生じる可能性がある。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、不具合を抑制可能であり、冷却効率に優れた高周波加速空胴を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る高調波吸収体は、高調波を吸収する吸収部材と、前記高調波を通過させる誘電体で形成され、前記吸収部材を覆い、かつ前記吸収部材との間に冷媒を流通可能な空間を設けた状態で配置される被覆部材と、高周波加速空胴の一部に装着され、前記被覆部材との間で前記吸収部材を封止する装着部材と、前記被覆部材及び前記装着部材の少なくとも一方に設けられ、前記被覆部材と前記吸収部材との間の前記空間に前記冷媒を供給し前記空間から前記冷媒を回収する冷媒流路と、を備える。
【0008】
本発明によれば、吸収部材が被覆部材との間に冷媒を流通可能な空間を設けた状態で配置されるため、当該空間に冷媒を供給することにより、吸収部材を効率的に冷却することができる。また、被覆部材と装着部材との間で吸収部材を封止するため、保持部材に接合する必要が無く吸収部材の剥離等の不具合が生じることを抑制できると共に、吸収部材に欠損が生じた場合に高周波加速空胴に露出することを回避できる。
【0009】
また、前記冷媒流路は、前記装着部材に配置されてもよい。
【0010】
本発明によれば、装着部材の冷媒流路を介して、空間内に冷媒を循環させることができる。これにより、吸収部材の冷却効率を高めることができる。
【0011】
本発明に係る高周波加速空胴は、円筒部と、前記円筒部の軸線方向の両端部にそれぞれ配置される端板とを有する本体部と、前記本体部に装着される上記の高調波吸収体とを備える。
【0012】
本発明によれば、不具合を抑制可能であり、冷却効率に優れ、保持部材に接合する必要が無く、容易に形成可能な高調波吸収体を備えるため、高調波を安定的に吸収することができ、荷電粒子を十分に加速させることができる。
【0013】
また、前記高調波吸収体は、前記端板に複数装着され、前記軸線周り方向に並んで配置されてもよい。
【0014】
本発明によれば、軸線周り方向について高調波を均等に吸収可能となる。
【0015】
また、前記円筒部は、前記軸線方向に複数並んで配置され、前記本体部は、前記軸線方向に隣り合う前記円筒部同士が、共通の前記端板である連結端板によって連結され、前記高調波吸収体は、前記連結端板に、前記軸線方向に直交する方向に装着されてもよい。
【0016】
本発明によれば、高調波吸収体が連結端板に、軸線方向に直交する方向に装着可能であるため、複数の円筒部を軸線方向に並んで配置させる場合、隣り合う円筒部同士の間で端板及び高調波吸収体を共有することができる。これにより、高周波加速空胴全体のコンパクト化を図ることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、不具合を抑制可能であり、冷却効率に優れた高周波加速空胴を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、第1実施形態に係る高周波加速空胴の一例を示す断面図である。
図2図2は、図1におけるA方向から見た場合の構成を示す図である。
図3図3は、本実施形態に係る高調波吸収体の一例を示す断面図である。
図4図4は、第2実施形態に係る高周波加速空胴の一例を示す断面図である。
図5図5は、変形例に係る高周波加速空胴の一例を示す断面図である。
図6図6は、変形例に係る高周波加速空胴の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る高調波吸収体及び高周波加速空胴の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が置換可能かつ容易なもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0020】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る高周波加速空胴100の一例を示す断面図である。図1に示すように、高周波加速空胴100は、高周波が入力されることで内部に加速電界Eを発生させ、線源30から射出される電子等の荷電粒子Mを加速させる。高周波加速空胴100は、本体部10と、高調波吸収体20とを備える。
【0021】
本体部10は、円筒部11と、端板12、13とを有する。円筒部11及び端板12、13は、例えば銅等の電気抵抗率が低い金属材料を用いて形成される。円筒部11と端板12、13は、例えばボルト等の固定部材により一体的に設けられる。
【0022】
円筒部11は、導波管14を有する。導波管14は、高周波が入力される入力部である。端板12、13は、円筒部11の中心軸AXの軸線方向の両端にそれぞれ配置される。端板12は、接続ポート15を有する。接続ポート15は、端板12から中心軸AXの軸線方向の外側に突出して配置される。接続ポート15は、管部15aを有する。同様に、端板13は、接続ポート16を有する。接続ポート16は、端板13から中心軸AXの軸線方向の外側に突出して配置される。接続ポート16は、管部16aを有する。管部16aは、線源30から射出される荷電粒子Mを高周波加速空胴100の内部に導入する。管部15aは、高周波加速空胴100の内部で加速される荷電粒子Mを外部に導出する。このように、線源30及び高周波加速空胴100により、荷電粒子Mを加速する加速装置が構成される。
【0023】
また、端板12、13は、それぞれ高調波吸収体20を装着する装着ポート17を有する。装着ポート17は、収容部17aと、突出フランジ部17bとを有する。収容部17aは、後述の高調波吸収体20を収容する。突出フランジ部17bは、高調波吸収体20を固定する。
【0024】
端板12、13は、高周波加速空胴100の内部と収容部17aとを連通する連通部17cを有する。連通部17cは、高周波(高調波RFを含む)が通過可能である。連通部17cは、中空状であってもよいし、高周波が通過可能なセラミックス、プラスチック、雲母等の誘電体で充填されてもよい。
【0025】
図2は、図1におけるA方向から見た場合の構成を示す図である。図2に示すように、装着ポート17は、端板12、13において、中心軸AXの軸線周り方向に複数並んで配置される。複数の装着ポート17は、高調波吸収体20に応じた形状を有する。各装着ポート17は、例えば同一の形状であってもよいし、異なる形状であってもよい。
【0026】
図3は、高調波吸収体20の一例を示す断面図である。図3に示すように、高調波吸収体20は、吸収部材21と、被覆部材22と、装着部材23とを備える。吸収部材21は、高周波のうち高調波RF(図1参照)を吸収する。吸収部材21は、例えば炭化ケイ素セラミックスやフェライトセラミックス等のセラミックス材料が用いられる。吸収部材21は、例えば矩形のブロック状に形成されるが、これに限定されず、板状、球状、錘状、帯状、線状等、他の形状であってもよい。吸収部材21は、不図示の支持部材により被覆部材22又は装着部材23に支持されてもよい。
【0027】
被覆部材22は、吸収部材21を覆っている。被覆部材22は、高調波を通過させる誘電体により形成される。このような誘電体としては、例えばアルミナセラミックス、プラスチック、雲母等の材料が挙げられる。なお、誘電体としては、これらの材料に限定されず、他の誘電体材料が用いられてもよい。被覆部材22は、装着ポート17の収容部17aに挿入されて収容される。
【0028】
被覆部材22は、吸収部材21との間に空間22Kを設けた状態で配置される。空間22Kは、冷媒Cを流通可能な寸法を有する。空間22Kは、例えば吸収部材21が不図示の支持部材により支持される場合、一定の形状を保持する。また、空間22Kは、吸収部材21が支持されず、移動可能である場合には、吸収部材21の移動に応じて変形する。被覆部材22は、吸収部材21の表面の少なくとも一部が空間22Kに露出するように配置される。
【0029】
装着部材23は、被覆部材22が収容部17aに挿入された状態で、本体部10の突出フランジ部17bに固定される。装着部材23は、被覆部材22との間で吸収部材21を封止する。装着部材23は、冷媒流路として、冷媒供給流路23aと、冷媒回収流路23bとを有する。冷媒供給流路23aは、空間22Kに供給される冷媒Cを流通させる。冷媒回収流路23bは、空間22Kからの冷媒Cを流通させる。冷媒供給流路23a及び冷媒回収流路23bが配置されることにより、空間22Kに冷媒Cを流通させることが可能となる。冷媒供給流路23aには、不図示の冷媒供給部が接続される。冷媒回収流路23bには、不図示の冷媒回収部が接続される。この場合、例えば冷媒回収部から冷媒供給部に冷媒Cを戻す循環機構が設けられてもよい。冷媒Cは、液体であってもよいし、気体であってもよい。
【0030】
上記した高周波加速空胴100は、導波管14から高周波が入力されることで内部に加速電界Eを発生させ、電子等の荷電粒子Mを加速させる。このとき、高周波のうち高調波RFが多く存在すると、荷電粒子Mを十分に加速できなくなる可能性がある。このため、高周波加速空胴100には、高調波RFを吸収する高調波吸収体20が配置される。高調波吸収体20は、高調波RFを吸収することにより発熱するため、冷却が必要となる。
【0031】
これに対して、本実施形態に係る高調波吸収体20は、高調波RFを吸収する吸収部材21と、高調波RFを通過させる誘電体で形成され、吸収部材21を覆い、かつ吸収部材21との間に冷媒Cを流通可能な空間22Kを設けた状態で配置される被覆部材22と、高周波加速空胴100の一部に装着され、被覆部材22との間で吸収部材21を封止する装着部材23と、被覆部材22及び装着部材23の少なくとも一方に設けられ、被覆部材22と吸収部材21との間の空間22Kに冷媒Cを供給及び回収する冷媒供給流路23a及び冷媒回収流路23bと、を備える。
【0032】
これにより、吸収部材21が被覆部材22との間に冷媒Cを流通可能な空間22Kを設けた状態で配置されるため、当該空間22Kに冷媒Cを供給することで吸収部材21を効率的に冷却することができる。また、被覆部材22と装着部材23との間で吸収部材21を封止するため、保持部材に接合する必要が無く吸収部材21の剥離等の不具合が生じることを抑制できると共に、吸収部材21に欠損が生じた場合に高周波加速空胴100に露出することを回避できる。
【0033】
また、本実施形態に係る高調波吸収体20において、冷媒供給流路23a及び冷媒回収流路23bは、装着部材23に配置される。これにより、装着部材23の冷媒供給流路23a及び冷媒回収流路23bを介して、空間22K内に冷媒Cを循環させることができる。これにより、吸収部材21の冷却効率を高めることができる。
【0034】
本実施形態に係る高周波加速空胴100は、円筒部11と、円筒部11の中心軸AXの軸線方向の両端部にそれぞれ配置される端板12、13とを有する本体部10と、本体部10に装着される高調波吸収体20とを備える。これにより、高周波加速空胴100の不具合を抑制可能であり、冷却効率に優れた高調波吸収体20を備えるため、高調波を安定的に吸収することができ、荷電粒子を十分に加速させることができる。
【0035】
また、高調波吸収体20は、端板12、13に複数装着され、中心軸AXの軸線周り方向に並んで配置されてもよい。これにより、中心軸AXの軸線周り方向について高調波RFを均等に吸収可能となる。
【0036】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態を説明する。図4は、第2実施形態に係る高周波加速空胴200の一例を示す断面図である。図4に示すように、高周波加速空胴200は、本体部110と、高調波吸収体120とを備える。本体部110は、複数の円筒部である第1円筒部111A及び第2円筒部111Bと、端板112、113と、連結端板119とを有する。
【0037】
第1円筒部111A及び第2円筒部111Bは、中心軸AX2を共有し、当該中心軸AX2の軸線方向に並んで配置される。第1円筒部111A及び第2円筒部111Bは、それぞれ導波管114を有する。第1円筒部111A及び第2円筒部111Bは、例えば形状及び寸法が等しく形成されるが、これに限定されない。
【0038】
端板112は、第1円筒部111Aの中心軸AX2の軸線方向の外側の端部に配置される。端板112は、接続ポート115を有する。接続ポート115は、端板112から中心軸AXの軸線方向の外側に突出して配置される管部115aを有する。同様に、端板113は、第2円筒部111Bの中心軸AX2の軸線方向の外側の端部に配置される。端板113は、接続ポート116を有する。接続ポート116は、端板113から中心軸AX2の軸線方向の外側に突出して配置される管部116aを有する。
【0039】
連結端板119は、第1円筒部111Aと第2円筒部111Bとを連結する。本体部110は、中心軸AX2の軸線方向に隣り合う第1円筒部111Aと第2円筒部111Bとが、共通の端板である連結端板119によって連結される。例えば、1つの連結端板119のうち中心軸AX2の一方の端面(図4の右側の端面)には第1円筒部111Aが連結され、他方の端面(図4の左側の端面)には第2円筒部111Bが連結される。図4では、連結端板119の厚さ(中心軸AX2の軸線方向の寸法)が端板112、113に比べて厚くなっている構成を例に挙げて示しているが、これに限定されない。例えば、連結端板119の厚さが端板112、113に比べて薄くてもよいし、同程度の厚さであってもよい。
【0040】
連結端板119は、後述する高調波吸収体120を装着する装着ポート117を有する。本実施形態において、装着ポート117は、連結端板119に対して径方向に突出する。装着ポート117は、収容部117aと、突出フランジ部117bとを有する。収容部117aは、後述の高調波吸収体120を収容する。突出フランジ部117bは、高調波吸収体120を固定する。連結端板119には、高周波加速空胴200の内部と収容部117aとを連通する連通部117cを有する。連通部117cは、高周波(高調波RFを含む)が通過可能である。連通部117cは、中空状であってもよいし、高周波が通過可能なセラミックス、プラスチック、雲母等の誘電体で充填されてもよい。
【0041】
また、高調波吸収体120は、吸収部材121と、被覆部122と、装着部材123とを備える。なお、吸収部材121、被覆部122及び装着部材123の各構成は、第1実施形態に記載の吸収部材21と、被覆部材22と、装着部材23とほぼ同一の構成を有しているため、説明を省略する。
【0042】
本実施形態に係る高周波加速空胴200において、装着ポート117が連結端板119に対して径方向に突出し、高調波吸収体120が装着ポート117に挿入されることで円筒部の径方向に装着される。このように、高調波吸収体120が連結端板119に、中心軸AX2の軸線方向に直交する方向に装着可能であるため、第1円筒部111Aと第2円筒部111Bを軸線方向に並んで配置させる場合、第1円筒部111Aと第2円筒部111Bと間で連結端板119及び高調波吸収体120を共有することができる。これにより、高周波加速空胴200全体のコンパクト化を図ることができる。
【0043】
本発明の技術範囲は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることができる。例えば、第2実施形態に係る高周波加速空胴200においては、高調波吸収体の被覆部が設けられなくてもよい。図5は、変形例に係る高周波加速空胴201の一例を示す断面図である。図5に示す高周波加速空胴200Aにおいて、高調波吸収体130は、吸収部材131と、中空部132と、装着部材133とを有している。高調波吸収体130は、被覆部が設けられず、吸収部材131が露出する構成である。このような構成の高調波吸収体130を連結端板119に対して径方向に挿入する構成であっても、複数の円筒部である第1円筒部111A及び第2円筒部111Bにより連結端板119を共有することができる。これにより、高周波加速空胴200Aのコンパクト化を図ることができる。
【0044】
また、上記各実施形態においては、高調波吸収体が端板に配置される構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、例えば円筒部に配置されてもよい。以下、第1実施形態に記載した高周波加速空胴100の変形例を説明するが、第2実施形態に記載した高周波加速空胴200においても同様の構成とすることができる。
【0045】
図6は、変形例に係る高周波加速空胴100Aの一例を示す断面図である。図6に示す高周波加速空胴100Aは、円筒部11に装着ポート17が配置される。そして、装着ポート17には、円筒部11の径方向に高調波吸収体20が装着される。なお、円筒部11のうち高調波吸収体20が装着される部分には、端板12、13との間に隙間12a、13aがそれぞれ形成される。このような構成においても、高調波吸収体20が高調波を確実に吸収することができ、吸収部材21を効率的に冷却することができる。
【0046】
また、上記実施形態においては、高調波吸収体の装着部材に冷媒供給流路及び冷媒回収流路が設けられた構成を例に挙げて説明したが、これに限定されない。例えば、冷媒供給流路及び冷媒回収流路の少なくとも一方が被覆部材に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10,110 本体部
11 円筒部
12,13,112,113 端板
12a,13a 隙間
14,114 導波管
15,16,115,116 接続ポート
15a,16a,115a,116a 管部
17,117 装着ポート
17a,117a 収容部
17b,117b 突出フランジ部
17c,117c 連通部
20,120,130 高調波吸収体
21,121,131 吸収部材
22 被覆部材
22K 空間
23,123,133 装着部材
23a 冷媒供給流路
23b 冷媒回収流路
100,100A,200,200A 高周波加速空胴
111A 第1円筒部
111B 第2円筒部
119 連結端板
122 被覆部
132 中空部
C 冷媒
E 加速電界
M 荷電粒子
RF 高調波
AX,AX2 中心軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6