【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヨーロッパ規格EN ISO 19432:2012そしてアメリカ合衆国規格ANSI B175.4−2013は手持ち式、手誘導式の切断装置の構造的設計を検査することについての安全要求とその測定について定めている。この装置は一人で操作できるようにビルトインの内燃機関を含み、例えばアスファルト、コンクリート、石そして金属のような建築材料を切断するようにデザインされている。そして、結合研磨材料および/またはダイヤモンド或いはCBN研磨材料を有する研磨工具によって製造される切断ボディを有している回転切断ホイールを扱うように提供された切断装置に適用される。それはスピンドルシャフトを中心にして取り付けられ、それによって駆動され、回転する切断ホイールの前面はユーザから遠ざかる方向に向いている。この規格は、切断ホイールのタイプ及びホイール直径に基づいて、フランジに関して最小フランジ直径を規定している。切断ホイールのタイプに関し、ダイヤモンド切断ホイールと研磨切断ホイールとの間に区別が設けてあり、それは切断ホイールのホイール直径Dに関し、区別は4つの範囲(D≦250mm、250mm<D≦300mm、300mm<D≦350mm、そして350mm<D)の間に設定されている。前記ヨーロッパ規格EN ISO 19432:2012は400mmの最大ホイール直径を有する切断ホイールに適用され、前記アメリカ合衆国規格ANSI B1175.4−2013は406mmの最大ホイール直径を有する切断ホイールに適用される。
【0005】
ヨーロッパ規格EN IEC 60745-2-22:2011そしてアメリカ合衆国規格ANSI/UL 60745-2-22-2012は切断装置の形態の、手誘導式、モータ動作式の電力ツールに適用され、それは金属、コンクリート、石積み、ガラスそしてタイルのような材料を切断するホイール直径55mmから410mmの回転切断ホイールを伴って提供される。この規格は、切断ホイールのホイール直径Dと孔直径φにより、フランジのための最小フランジ直径を規定する。切断ホイールのタイプに関して、ダイヤモンドの切断ホイールと、41或いは42タイプの結合、強化された切断ホイールとの間で区別がある。最小フランジ直径d
minは、55mm≦D≦410mmのホイール直径Dを有するダイヤモンド切断ホイールについて、d
min=0.15*Dである。41或いは42タイプの結合、強化された切断ホイールに関しては、ホイール直径Dについての4つの範囲(55mm≦D<80mm、80mm≦D<105mm、105mm≦D<230mmそして230mm≦D≦410mm)の間で区別があり、そして80mm≦D<105mmであるホイール直径Dについて、10mmと16mmの孔直径φの間で区別がある。
【0006】
切断ホイールにより達成し得るワークピース(加工製品)中での最大切込み深さは、切断ホイールのホイール直径とフランジの所定の最小フランジ直径との間の差分の半分により規定される。実際には、300mmと350mmのホイール直径を有するダイヤモンド切断ホイールは、内燃機関を含んでいる切断装置において主に使用される。300mmのホイール直径を有するダイヤモンド切断ホイールにより達成し得る最大切込み深さは127.5mmであり、350mmのホイール直径を有するダイヤモンド切断ホイールにより達成し得る最大切込み深さは148.75mmである。
【0007】
公知の切断装置により達成し得るワークピース中での実際の切込み深さは、前記ホイール直径と前記最小フランジ直径との間の差分の半分により規定され、所定の最大切込み深さよりも浅い。機器製造会社のスチール(Stihl)社は、異なるガス駆動式の切断装置を提案し、とりわけ切断装置TS400、TS410そしてTS420を含んでいる。前記切断装置TS400はダイヤモンド切断ホイールが適用され、300mmと350mmによる異なるホイール直径で操作することができる。この製造会社の情報によると、300mmのホイール直径での切断装置TS400により可能な切込み深さは100mmであり、この製造会社の情報によると350mmのホイール直径での切断装置TS400により可能な前記最大切込み深さは125mmである。
前記切断装置TS410は300mmのホイール直径を有するダイヤモンド切断ホイールが適用され、そして、前記切断装置TS420は350mmのホイール直径を有するダイヤモンド切断ホイールが適用されている。この製造会社の情報によると、切断装置TS410により可能な切込み深さは100mmであり、そして、この製造会社の情報によると、切断装置TS420により可能な前記最大切込み深さは125mmである。
【0008】
300mmのホイール直径で前記切断装置TS400と前記切断装置TS410とにより可能な切込み深さは、127.5mmの最大切込み深さよりも20%少なく、そして350mmのホイール直径で前記切断装置TS400と前記切断装置TS420とにより可能な切込み深さは、148.75mmの最大切込み深さよりも16%少ない。前記TS400、TS410そしてTS420研磨切断装置でスチール社が使用するフランジは少なくとも103mmのフランジ直径を有している。300mmと350mmとの異なるホイール直径で操作できる、前記切断装置TS400において、少なくとも103mmの同じフランジ直径がその異なるホイール直径について提供されている。使用されるフランジの直径は最小フランジ直径d
minよりも極めて大きく、前記ヨーロッパ規格EN ISO 19432:2012そしてアメリカ合衆国規格ANSI B175.4−2013は300mm(d
min≧45mm)のホイール直径と350mm(d
min≧52.5mm)のホイール直径を有するダイヤモンド切断ホイールに要求している。この規格は、この規格の発行日或いはその後に製造された切断装置に適用され、そしてこの規格の発行日前に製造された切断装置には適用されない。この規格の以前のバージョンは、300mmと350mmのホイール直径を有するダイヤモンド切断ホイールについて、45mmと52.5mmの同じ最小フランジ直径についても規定している。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的は、以下のような手法で、手持ち式、手誘導式の切断装置を更に改良することであり、ワークピースでの切断ホイールによる可能な切込み深さは、公知の切断装置のものを超えて増加され、そして、好ましくは最大切込み深さが達成され、それは、切断ホイールのホイール直径とフランジの最小フランジ直径との間の差分の半分によって規定されるものである。
【0010】
本発明によると、この目的は独立の請求項1の特徴点により最初に述べられている手持ち式、手誘導式の切断装置によって達成される。好都合な改良点は従属請求項において示される。
【0011】
本発明によると、前記手持ち式、手誘導式の切断装置は、セーフティーガードのピボット軸が出力シャフトの出力軸から距離をもって変位されている(位置がずらされている)ことにより、特徴づけされている。ピボット軸に枢動可能となるようにセーフティーガードが設計されており、他のベアリング要素は前記セーフティーガードのピボット支持に関して要求がある。出力軸に関してのピボット軸の変位により、出力シャフトの領域において配置された切断装置の構成部は、それにより、利用できるスペースおよび切断の深さへ分配することができる。出力シャフトの領域に配置された構成部は、出力シャフト、セーフティーガード、サポートハウジング部そして伝達機構のためのベアリングを含んでいる。
【0012】
切断ホイールによって達成できるワークピースでの切込み深さは、使用された切断ホイールのホイール直径と使用されたフランジのフランジ直径との間の差分の半分により特定され、この切込み深さは、切込み深さを付加的に制限する切断装置の構成部がない場合にだけ、達成される。セーフティーガードは、切断ホイールを覆うカバー領域およびワークピースを加工するための切断ホイールを露出する加工領域によって形成されている。前記構成部(セーフティーガード、サポートハウジング部そして伝達機構)を配列そして支持することができるレシーブ領域は、セーフティーガードの加工領域でフランジ直径を有しているフランジによって規定される。使用された切断ホイールのホイール直径と使用されたフランジのフランジ直径との間の差分の半分によって、前記切込み深さを達成できる場合、切断装置の全ての構成部は、制限された角度範囲で前記レシーブ領域へ移動されなければならない。
【0013】
切断ホイールの前記切込み深さを増加させるため、好ましくはより小さいフランジ直径を有するフランジが使用される。小さいフランジ直径が選択されるほど、構成部を配列そして支持するための前記レシーブ領域が小さくなる。前記構成部の最適な配列は、好ましくは小さいフランジ直径が使用される場合、そのために特に重要である。前記セーフティーガードの支持は特に重要である。前記セーフティーガードは、セーフティーガードの側壁に接続された締付けフランジを含んでいる。その締付けフランジは、サポートハウジング部の適合しているカウンター輪郭に取付けられ、そして、前記カウンター輪郭に関して前記ピボット軸に調整可能に設計してある。セーフティーガードの前記ピボット軸が前記出力シャフトの前記出力軸と一致する場合、前記締付けフランジの直径は前記フランジ直径によって制限される。前記ピボット軸の前記変位によって、締付けフランジの前記直径は前記フランジ直径よりも大きく選択することができる。
【0014】
前記セーフティーガードの前記ピボット軸は、前記セーフティーガードのカバー領域において、前記出力シャフトの前記出力軸について、特に好ましくは変位される。前記セーフティーガードは、前記切断ホイールをカバーしている前記カバー領域とワークピースを加工する切断ホイールを露出する加工領域によって構成されている。切断ホイールによって好ましい大きな切込み深さを達成するために、好ましくは小さいフランジ直径を有しているフランジが使用される。より小さいフランジ直径が選択されるほど、前記構成部(出力シャフトのベアリング、セーフティーガード、サポートハウジング部そして伝達機構)の配列そして支持のためのレシーブ領域が小さくなり、前記セーフティーガードの支持は特に重要となっている。前記締付けフランジの直径は、摩擦関係を介して調整可能であり枢動可能なするセーフティーガードの寸法と重さによって必然的に規定されて可変である。前記セーフティーガードの前記カバー領域内への前記ピボット軸の変位によって、前記締付けフランジの直径は使用されたフランジのフランジ直径よりも大きくすることを選択することができる。
【0015】
前記セーフティーガードは特に好ましくは直径を有する締付けフランジを含み、そして前記ピボット軸と前記出力軸との間の距離は、前記締付けフランジの直径と前記フランジ直径との間の前記差分の半分以上である。前記締付けフランジは前記セーフティーガードのサブ構成部であり、前記セーフティーガードを介して枢動可能に設計されている。前記締付けフランジは前記サポートハウジング部の適合しているカウンター輪郭に取付けられ、そして、前記カウンター輪郭に関して前記ピボット軸について調節できるように設計されている。前記締付けフランジの直径は可変であり、前記セーフティーガードの寸法と重さにより必然的に規定される。仮に、前記ピボット軸と前記出力軸の前記距離が、前記締付けフランジの直径と前記フランジ直径との差分の半分以上となるように選択されると、アウトカット角における前記セーフティーガードの前記締付けフランジは、前記フランジ直径を有する前記フランジによって規定される前記レシーブ領域以内となる。
【0016】
ひとつの好ましい詳細な実施形態において、前記セーフティーガード、前記サポートハウジング部そして前記伝達機構は、アウトカット角で前記出力軸から最大距離を有しており、それは前記フランジ直径の半分以下である。前記セーフティーガード、サポートハウジング部そして伝達機構として設計された、前記切断装置の構成部の外側境界は外側輪郭となる。そして、前記出力軸からの距離は、前記アウトカット角での前記出力軸からの前記外側輪郭の最大距離に対応する。そして、前記アウトカット角の外側、前記出力軸からの前記外側輪郭の距離は前記フランジ直径の半分以上である。前記アウトカット角での前記切断装置の構成部の前記外側輪郭が、前記出力軸からの距離が前記フランジ直径の半分以下となるように、設計されているという事実により、前記切込み深さは、前記ホイール直径と前記フランジ直径との間の差分の半分によって、規定される。前記ホイール直径と前記フランジ直径との間の差分の半分により規定される前記切込み深さは、前記アウトカット角で達成可能である。本発明による前記切断装置の切込み深さは、公知の切断装置と比較して前記アウトカット角において増加される。
【0017】
前記伝達機構は好ましく、出力シャフトに配置された出力ディスクと前記出力ディスクへ前記駆動源の動作を伝達する伝達要素を含み、前記出力シャフトと前記伝達要素は前記アウトカット角において前記出力軸から最大距離を有しており、それはフランジ直径の半分以下となっている。前記伝達機構は、前記アウトカット角に位置している前記切断装置の構成部のひとつである。前記出力軸からの前記伝達機構の前記最大距離が、前記アウトカット角において前記最小フランジ直径の半分以下という条件は、前記伝達機構の全てのサブ構成部について一致されていなければならない。これらは、前記出力シャフトに配置された出力ディスクと、前記出力ディスクに配置された前記伝達要素を含んでいる。前記出力ディスクは前記出力軸から第4の最大距離を有している、そして前記伝達要素は前記出力軸から第5の最大距離を有している。
【0018】
前記伝達機構は、好ましくはカバーを含み、このカバーは前記アウトカット角で前記出力軸から最大距離を有し、それは前記フランジ直径の半分以下である。前記出力ディスクとして設計された前記伝達機構のサブ構成部および前記伝達要素は回転している構成部であり、これらは安全要求を満たすように覆われなければならない。このカバーは前記出力軸から第6の最大距離を有している。
【0019】
本発明による前記切断装置のひとつの好ましい改良例において、前記フランジのフランジ直径は最小フランジ直径に対応する。前記フランジ直径は、所定のフランジに関して、より低い制限値として特定され、適応可能な規格は最小フランジ直径として規定される。特に、前記最小フランジ直径は、駆動源のタイプ、切断ホイールのタイプ、そして切断ホイールのホイール直径によって決定される。使用されたフランジのフランジ直径が前記最小フランジ直径に対応する場合、前記最大切込み深さは切断ホイールで達成することができ、切断ホイールの最大切込み深さは前記切断ホイールのホイール直径と前記最小フランジ直径との間の差分の半分によって特定されている。本発明による切断装置は、公知の切断装置と比較して切込み深さが増加されるという長所を有し、これにより前記最大切込み深さが達成される。本発明による前記切断装置において、これが内燃機関とダイヤモンド切断ホイールを含むとき、切込み深さは300mmのホイール直径により達成され、一方で前記スチール社の前記切断装置TS400そしてTS410の様に、公知のガス駆動式の切断装置の場合、350mmのホイール直径を有するダイヤモンド切断ホイールが要求される。
【0020】
本発明による前記切断装置の好ましい第1の変形例において、前記駆動源は内燃機関として設計され、そして前記切断ホイールはダイヤモンド切断ホイール或いは研磨切断ホイールとして設計される。前記ヨーロッパ規格EN ISO 19432:2012はヨーロッパにおいて、ガス駆動式の切断装置に適用され、そして前記アメリカ合衆国規格ANSI B175.4−2013は、アメリカ合衆国においてそれに適用される。類似するような規格がヨーロッパやアメリカ合衆国以外の国々や領域において適用されており、そして前記ヨーロッパ規格はヨーロッパの国々において国の規格で施行することができる。内燃機関とダイヤモンド切断ホイールを含む本発明による切断装置において、最小フランジ直径d
minは、D≦250mmについてd
min=37.5mm、250mm<D≦300mmについてd
min=45mm、300mm<D≦350mmについてd
min=52.5mmそして、350mm<Dについてd
min=60mmである。内燃機関や研磨切断ホイールを含む切断装置において、最小フランジ直径d
minは:D≦250mmについてd
min=63.5mm、250mm<D≦300mmについてdmin=75mm、250mm<D≦350mmについてd
min=87.5mmそして、350mm<Dについてd
min=100mmである。
【0021】
内燃機関とダイヤモンド切断ホイールを含む本発明による切断装置は、250mmのホイール直径で、106.25mm(1/2*(250mm−37.5mm))の最大切込み深さを、300mmのホイール直径で、127.5mm(1/2*(300mm−45mm))の最大切込み深さを、350mmのホイール直径で、148.75mm(1/2*(350mm−52.5mm))の最大切込み深さを、そして、400mmのホイール直径で、170mm(1/2*(400mm−60mm))の最大切込み深さを、達成する。
内燃機関と研磨切断ホイールを含む本発明による研磨切断装置は、250mmのホイール直径で、93.25mm(1/2*(250mm−63.5mm))の最大切込み深さを、300mmのホイール直径で、112.5mm(1/2*(300mm−75mm))の最大切込み深さを、350mmのホイール直径で、131.25mm(1/2*(350mm−87.5mm))の最大切込み深さを、そして、400mmのホイール直径で、150mm(1/2*(400mm−100mm))の最大切込み深さを、達成する。
【0022】
本発明による前記切断装置の好ましい第2の変形例において、前記駆動源は電気モータとして設計され、そして前記切断ホイールはダイヤモンド切断ホイール或いは41或いは42タイプの結合、強化された切断ホイール(gebundene verstaerkte trennschleifscheibe)として設計される。前記ヨーロッパ規格EN IEC 60745-2-22:2011はヨーロッパにおいて電気モータを含む切断装置に適用され、そして、アメリカ合衆国規格ANSI/UL 60745-2-22-2012はアメリカ合衆国においてそれに適用される。類似するような規格がヨーロッパやアメリカ合衆国以外の国々や領域において適用されており、そして前記ヨーロッパ規格はヨーロッパの国々において国の規格で施行することができる。電気モータとダイヤモンド切断ホイールを含む本発明による切断装置について、最小フランジ直径d
minは、55mm≦D≦410mmについてd
min=0.15*Dである。電気モータと41或いは42タイプの結合、強化された切断ホイールを含む本発明による切断装置について、最小フランジ直径d
minは、55mm≦D≦80mmでd
min=19mmであり、80mm≦D<105mmで孔直径φ=10mmではd
min=19mmそして孔直径φ=16mmではd
min=28mmであり、105mm≦D≦230mmでd
min=40mmであり、そして、230mm<D≦410mmでd
min=0.25*Dである。
【0023】
本発明の好適な実施形態例が図面に基づいて以下で説明される。図面は寸法に忠実な具体例を説明することを必ずしも意図しておらず、むしろ図面で示される図式的な、及び/または、わずかに歪曲された形が説明のために有効となる。形に関連する種々の改善や変更、また本発明の概念から外れることなく、実施例の細部が実施されるということについて考慮されるべきである。以下で示され、そして記述される実施例の精密な形や細部によって、本発明の概念は制限を受けることはなく、また請求項に記載された目的との比較において、本発明の概念における目的が制限されるということもない。所定の測定範囲において、所定制限内の数値は数値を制限して開示されたもので、任意に使用され、また主張されることができる。簡易化のため、同一あるいは類似の部分または同一あるいは類似の機能を有する部に、同じ参照番号が以下で使用されている。