特許第6698885号(P6698885)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6698885VRビューア内のポータブルユーザデバイスの位置整合のための導電性接触子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6698885
(24)【登録日】2020年5月1日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】VRビューア内のポータブルユーザデバイスの位置整合のための導電性接触子
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/01 20060101AFI20200518BHJP
   H04N 5/64 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
   G06F3/01 510
   H04N5/64 511A
【請求項の数】18
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2018-564722(P2018-564722)
(86)(22)【出願日】2016年12月14日
(65)【公表番号】特表2019-510328(P2019-510328A)
(43)【公表日】2019年4月11日
(86)【国際出願番号】US2016066630
(87)【国際公開番号】WO2017171944
(87)【国際公開日】20171005
【審査請求日】2018年8月29日
(31)【優先権主張番号】62/315,776
(32)【優先日】2016年3月31日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】15/264,416
(32)【優先日】2016年9月13日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502208397
【氏名又は名称】グーグル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マッキントッシュ、エリック アラン
【審査官】 梅本 章子
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2016/0063766(US,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0234189(US,A1)
【文献】 特開2011−048571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/01、3/03、3/041−3/0489
H04N 5/64−5/655
G02B 27/00−27/64
G02C 1/00−13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドマウント仮想現実(VR)ビューア(100)であって、
ディスプレイパネル(612)に関連するタッチスクリーン(112)を有するポータブルユーザデバイス(102)を着脱可能に組み込むための筐体(104)と、
前記ポータブルユーザデバイスが前記筐体に組み込まれている時に前記ポータブルユーザデバイスの前記タッチスクリーンにおいて対応するタッチイベントのトリガを行うように前記筐体内に配置されている3つ以上の導電性接触子(121,122,123,124,211,212,401,402)からなる1組の導電性接触子と、
を備え、前記導電性接触子は、2以上の方向の軸に沿って互いに固定距離離れて設けられ、前記3つ以上の導電性接触子は、物理的な基準座標系と基準面とを前記ポータブルユーザデバイス(102)に提供するヘッドマウントVRビューア。
【請求項2】
前記1組の導電性接触子は、前記タッチスクリーンにおいてタッチ応答のトリガを行うように寸法決定されている導電性接触子(300)を含む、請求項1に記載のヘッドマウントVRビューア。
【請求項3】
ユーザの体に接触するための1つ以上の導電性ユーザ接触領域(404)と、
前記1つ以上の導電性ユーザ接触領域を前記1組の導電性接触子に結合する1組の導電性相互接続部(407,408)と、
をさらに備える、請求項1に記載のヘッドマウントVRビューア。
【請求項4】
前記1つ以上の導電性ユーザ接触領域は、前記ヘッドマウントVRビューアが前記ユーザの頭にマウントされているとき、前記ユーザの手および前記ユーザの前記頭のうち1つと接触するように前記筐体上に配置されている、請求項3に記載のヘッドマウントVRビューア。
【請求項5】
前記1組の導電性相互接続部のうちの複数の導電性相互接続部は、導電性配線、導電箔、導電性織物、および導電性インクのうち1つ以上から構成される、請求項3に記載のヘッドマウントVRビューア。
【請求項6】
前記筐体は、前記ポータブルユーザデバイスが配置されるデバイス保持区画(110)を備え、前記デバイス保持区画は、ディスプレイ開口部(126)であって、前記ポータブルユーザデバイスの前記ディスプレイパネルが前記ディスプレイ開口部(126)を通じてユーザにより見られる、前記ディスプレイ開口部(126)を備え、
前記1組の導電性接触子は前記ディスプレイ開口部の周辺に配置されている、
請求項1に記載のヘッドマウントVRビューア。
【請求項7】
前記ポータブルユーザデバイスをさらに備え、前記ポータブルユーザデバイスが、導電性接触子によりトリガが行われる各々のタッチイベントについて前記タッチスクリーン上の場所(231,232)を検出し、検出された1つ以上の前記場所に基づいて前記筐体に対する前記ディスプレイパネルの向き(224)を決定し、決定された前記向きに基づいて前記ポータブルユーザデバイスの1つ以上の表示動作を構成する、
請求項1に記載のヘッドマウントVRビューア。
【請求項8】
ポータブルユーザデバイス(102)が着脱可能に組み込まれる、ヘッドマウント仮想現実(VR)ビューア(100)において、
前記ヘッドマウント仮想現実(VRビューア(100)の筐体(104)の中に前記ポータブルユーザデバイスを組み込むことに応じて、前記筐体の1組の導電性接触子のうちの1つの導電性接触子(211,212)によりトリガが行われる各々のタッチイベントについて前記ポータブルユーザデバイスのタッチスクリーン上のそれぞれの場所(231,232)を決定する工程と、
前記ポータブルユーザデバイスにおいて、各々のタッチイベントについて決定された前記場所に基づいて前記ポータブルユーザデバイスのディスプレイパネル(612)の向き(234)を決定する向き決定工程と、を備える方法。
【請求項9】
前記向きに基づいて前記ポータブルユーザデバイスの1つ以上の表示動作を構成する動作構成工程をさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記動作構成工程は、前記向きと前記ディスプレイパネルの期待される向き(224)との間の差が指定される閾値未満であることに応じて、前記1つ以上の表示動作を構成する工程を含み、
前記方法は、前記差が前記指定される閾値より大きいことに応じて、前記筐体内の前記ポータブルユーザデバイスを手動で再び位置調整するようにユーザに対して聴覚的または視覚的な指示を提供する工程をさらに備える、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記動作構成工程は、前記ディスプレイパネルを介してユーザに対し表示される仮想現実画像の向きを構成する工程を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記ディスプレイパネルの前記向きは、前記筐体に対する、前記ディスプレイパネルの指定される向き(224)に対する前記ディスプレイパネルの実際の向き(234)を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
前記向き決定工程は、
導電性接触子によりトリガが行われるタッチイベントについての前記タッチスクリーン上の実際の場所(231,232)と前記タッチイベントについての期待される場所(221,222)との間のオフセットを決定する工程と、
前記ディスプレイパネルの配置と前記ディスプレイパネルの回転とのうちの1つ以上を前記オフセットに基づいて決定する工程と、
を備える、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
ポータブルユーザデバイス(102)であって、
タッチスクリーン(112)と、
ディスプレイパネル(612)と、
1組の実行可能な命令(616)を記憶するためのメモリ(604)と、
前記タッチスクリーンと、前記ディスプレイパネルと、前記メモリとに結合されており、前記1組の実行可能な命令を実行するためのプロセッサ(602)と、を備え、前記1組の実行可能な命令の実行によって前記プロセッサは、
ヘッドマウント仮想現実(VR)ビューア(100)の筐体(104)の中に前記ポータブルユーザデバイスを着脱可能に組み込むことに応じて、前記筐体の1組の導電性接触子のうちの1つの導電性接触子(121,122,123,124,211,212,401,402)によりトリガが行われる各々のタッチイベントについて前記ポータブルユーザデバイスのタッチスクリーン(112)上のそれぞれの場所(231,232)を決定する工程と、
各々のタッチイベントについて決定された前記場所に基づいて前記ポータブルユーザデバイスのディスプレイパネル(612)の向き(234)を決定する工程と、を行うように操作される、ポータブルユーザデバイス。
【請求項15】
前記1組の実行可能な命令の実行によって前記プロセッサは、
前記向きに基づいて前記ポータブルユーザデバイスの1つ以上の表示動作を構成するようにさらに操作される、請求項14に記載のポータブルユーザデバイス。
【請求項16】
前記ポータブルユーザデバイスの前記1つ以上の表示動作を構成するための前記プロセッサの操作は、前記ディスプレイパネルを介してユーザに対し表示される仮想現実画像の向きを構成することを含む、請求項15に記載のポータブルユーザデバイス。
【請求項17】
前記ディスプレイパネルの前記向きは、前記筐体に対する、前記ディスプレイパネルの指定される向き(224)に対する前記ディスプレイパネルの実際の向き(234)を含む、請求項14に記載のポータブルユーザデバイス。
【請求項18】
前記ディスプレイパネルの前記向きを決定するための前記プロセッサの操作は、
導電性接触子によりトリガが行われる前記タッチイベントの場所と前記タッチイベントについての期待される場所との間のオフセットを決定することと、
前記ディスプレイパネルの配置と前記ディスプレイパネルの回転とのうちの1つ以上を前記オフセットに基づいて決定することと、を行うための前記プロセッサの操作を含む、請求項14に記載のポータブルユーザデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般にヘッドマウントディスプレイおよび他の仮想現実(VR)ビューアに関し、より詳細には、分離した取外し可能なポータブルユーザデバイスをVRビューアのための表示機能を提供するように組み込むVRビューアに関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの仮想現実(VR)システムは、ヘッドマウントディスプレイ(HMD)デバイスを使用することにより、あるいは、VR画像をユーザに提供するためのポータブルユーザデバイスのディスプレイパネルを強化するように、VRビューアの中に組み込まれるユーザの携帯電話などのユーザのポータブルユーザデバイスが中に組み込まれる他のヘッドマウントVRビューアを使用することにより、費用効果の高いVRの没入感を提供する。ポータブルユーザデバイスはVRビューアの中に着脱可能に組み入れられるため、ポータブルユーザデバイスのディスプレイパネルとVRビューアのレンズとの間の、固定の決定された位置整合を保証することは典型的には困難である。従って、従来のVRビューアは手動の位置整合処理を組み込み、それによってユーザは何らかの視覚的な位置整合合図に基づいてVRビューア内におけるポータブルユーザデバイスの配置を調節する。例示すると、いくつかの例では、ポータブルユーザデバイスは、そのディスプレイパネル上に線を表示するように制御され、ユーザはディスプレイパネルを取り囲むビューアの境界に形成される切込みを用いてこの線を位置整合するよう指示される。そうしたアプローチは典型的には限定された位置整合を担うのみである。例示すると、上述の線と切込みとによる位置整合処理は水平の位置整合を提供することができるが、回転の位置整合を容易にすることはない。さらに、ポータブルユーザデバイスは使用中にVRビューア内で変位する場合があり、それ故にポータブルユーザデバイスのディスプレイパネルの位置を不整合とする。さらに、従来の位置整合処理はユーザの能動的な補助に依存し、それ故にユーザが手動の位置整合処理を行うことを厭うことまたはユーザが手動の位置整合処理を行うことができないことに起因する失敗を生じやすい。
【0003】
添付の図面を参照することにより、本開示はより理解され、また、その多数の特徴および利点が当業者に明らかになる。異なる図面における同一の参照符号の使用は、同様または同一のアイテムを示す。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】いくつかの実施形態に係る、VRビューアに組み込まれるポータブルユーザデバイスの向きを決定するためのタッチスクリーン導電性接触子を利用するVRビューアの斜視図。
図2】いくつかの実施形態に係る、1組の導電性接触子を実装するVRビューアの筐体の内部パネルの正面を示すとともに、VRビューアに組み込まれるポータブルユーザデバイスのディスプレイパネルの向きを、1組の導電性接触子を用いて決定する技術を示す図。
図3】いくつかの実施形態に係る、パーソナルユーザデバイスのタッチスクリーンにおける容量性のタッチイベントを記録するためのVRビューアの導体塊に電気的に結合される導電性接触子の一例を示す図。
図4】いくつかの実施形態に係る、VRビューアに組み込まれるパーソナルユーザデバイスのタッチスクリーンにおける容量性のタッチイベントのトリガを行うように導電性ユーザ接触領域を通じてユーザの体と電気的に結合されるタッチスクリーン導電性接触子を利用するVRビューアの斜視図。
図5】いくつかの実施形態に係る、タッチスクリーン導電性接触子の指状構成を利用するVRビューアの筐体の一部分の断面図。
図6】いくつかの実施形態に係る、ポータブルユーザデバイスのハードウェア構成を示すブロック図。
図7】いくつかの実施形態に係る、VRビューアに組み込まれるポータブルユーザデバイスの相対的な向きを決定する方法を示し、相対的な向きに基づいてポータブルユーザデバイスの1つ以上の表示動作を構成するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0005】
いくつかの種類のVRビューアは、ユーザの計算可能な携帯電話(以下、「スマートフォン」)、タブレットコンピュータ、携帯情報端末、または他のポータブルユーザデバイスの表示、動作検知、および他の処理能力を利用して、ポータブルユーザデバイスのディスプレイパネルがユーザの目を向くように、また、ユーザにVR画像(例えば立体画像)を表示するべく用いられるように、VRビューアの筐体内にポータブルユーザデバイスを一時的におよび着脱可能に組み込むことにより、VR機能を提供する。VRビューアは典型的には、ユーザがVRビューアからポータブルユーザデバイスを容易にかつ素早く取付け、また、取外すことが可能となるように構成される。これは典型的には、ポータブルユーザデバイスのディスプレイパネルの実際の向きとVRビューアのレンズおよび他の構成要素がディスプレイパネル用に設計された該ディスプレイパネルの意図されるすなわち設計される向きとの間に、いくらかの差すなわちずれを生じる。
【0006】
このずれに適応するため、1つ以上の実施形態においてVRビューアは、VRビューアに挿入され、取付けられ、または他の方法で組み込まれるときにポータブルユーザデバイスのタッチスクリーンに接触するようにVRビューアの筐体内に配置される、1組の導電性接触子を組み込む。導電性接触子によるタッチスクリーンとの各々の接触は、タッチスクリーンにおいて対応するタッチイベントを生じる。各々のタッチイベントは、タッチスクリーンの座標フレームに関するタッチイベントの場所を含む。このタッチイベントの実際の位置は、ポータブルユーザデバイスが意図される向きにあったとき、実際のタッチイベント場所と期待されるタッチイベント場所との間のオフセットを決定するために、タッチイベントの期待される場所と比較されてよい。ディスプレイパネルの実際の向きを決定するためにタッチスクリーンはディスプレイパネルに合わせて位置整合されるので、このオフセットはセットの各々の導電性接触子について決定されてよく、得られる1組のオフセットはタッチスクリーンの実際の向きを決定するために用いられてよい。この実際の向きは、ディスプレイパネルの相対位置(すなわちX−Y平面における変位)とディスプレイパネルの相対回転との一方または両方を含んでよい。さらに、異なる有効接触長の複数の導電性接触子が、タッチスクリーンと接触するこれらの導電性接触子の数に基づいてディスプレイパネルのZ方向の位置または変位の決定を容易にするため、Z方向において提供されてよい。
【0007】
ディスプレイパネルの実際の向きはこの方法でポータブルユーザデバイスにより決定され、ポータブルユーザデバイスはこの実際の向きに基づいてその表示動作の1つ以上を構成してよい。例示すると、1つ以上の実施形態において、ポータブルユーザデバイスのサブシステムは、実際の向きにより表される基準座標系と設計される向きにより表される基準座標系との間の空間変換を決定してよく、この変換をディスプレイパネルにおける表示のためにポータブルユーザデバイスにより生成されるVR画像に適用してよく、それ故にディスプレイに表示されるVR画像をVRビューア内のポータブルユーザデバイスの最適でない配置に適応するように構成する。
【0008】
例示を容易にするため、本明細書では、導電性接触子はタッチスクリーンに「接触」し、それによってタッチスクリーンにおいてタッチイベントのトリガを行うものとして記載されている。しかしながら、タッチスクリーンはディスプレイガラスまたは他の保護フィルムにより覆われている場合があり、それ故に、この接触は上に位置するディスプレイガラスまたはフィルムとの接触である場合があることが認識される。さらに、導電性接触子の極近くにあればタッチスクリーンにおいて意図されるタッチイベントのトリガを行うのに十分であることが認識される。従って、導電性接触子がタッチスクリーンに「接触する」とは、実際の物理的な接触を指す場合もあり、導電性接触子がタッチイベントのトリガを行うようにタッチスクリーンに十分近い状態にあることを指す場合もある。
【0009】
図1は、1つ以上の実施形態に係る、VR画像の表示のためのポータブルユーザデバイス102を組み込むVRビューア100を示す。本例では、ポータブルユーザデバイス102は携帯電話として示される。VRビューア100は、VRビューア100の構成要素を備え、かつ、典型的にはユーザの頭にマウントすることを容易にするように形作られている筐体104を備える。それ故に、筐体104はユーザを向く面106と、それとは反対側の前方を向く面108とを備える。典型的にはポータブルユーザデバイス102は、前方を向く面108において、または前方を向く面108に近接して、筐体104に組み込まれる。示される例では、筐体104は、ポータブルユーザデバイス102のタッチスクリーン112(およびそれ故に対応するディスプレイスクリーン)がユーザを向く面106の方を向くように、ポータブルユーザデバイス102が中に挿入される、デバイス保持区画110を備える。本例にも示すように、筐体104は、ポータブルユーザデバイス102をデバイス保持区画110内の適当な所に収納するための、また、周囲の光を防ぐための保持フラップ111を備える。他の実施形態では、筐体104は前方を向く面108に開口部を備え、ディスプレイパネルおよびタッチスクリーン112がこの開口部に合わせて位置整合されるように、前方を向く面108にポータブルユーザデバイス102をマウントするためのマウント機構(例えば1つ以上のクランプ、ストラップ、またはバックル)を備える。
【0010】
筐体104は、ポータブルユーザデバイス102のディスプレイパネルを見るために用いられるレンズアセンブリをさらに備える。示される実施形態では、これらのレンズアセンブリは、筐体104の内部パネルに配置される2つの平凸レンズ114,116(ユーザの各々の目につき1つ)として実装される。しかしながら、フレネルレンズまたはレンズの組み合わせなどのレンズアセンブリの様々な実装のいずれもが、実装されてよい。筐体104のレンズアセンブリは典型的には、ポータブルユーザデバイス102のディスプレイパネルがレンズアセンブリまたは筐体104に対する、設計される、すなわち期待される配置および向きを有するように、ポータブルユーザデバイス102がVRビューア100に組み込まれるという可能性に基づいて、最適な見る構成(例えば特定の焦点距離および角度)を提供するように構成される。しかしながら上述の通り、ユーザはポータブルユーザデバイス102を筐体104に正しく配置しない場合があり、またはユーザがVRビューア100を使用している間にポータブルユーザデバイス102が筐体104内で滑る場合がある。
【0011】
従って、VRビューア100内のポータブルユーザデバイス102のそうした最適でないすなわち設計とは異なる配置に適応するため、1つ以上の実施形態では、ポータブルユーザデバイス102がVRビューア100の中に組み込まれる(例えば、デバイス保持区画110の中に挿入される)ときに、VRビューア100の筐体104が、導電性接触子のいくつかまたは全てがタッチスクリーン112と接触するように筐体104内に配置される1組の導電性接触子(例えば導電性接触子121,122,123,124)を実装する。典型的にはタッチスクリーン112は十分な導電性を有する要素によるタッチスクリーンとの接触によって発生する容量変化に反応するように構成される。従って各々の導電性接触子は、導電性接触子がタッチスクリーン112と接触することになるときにタッチスクリーン112において接触イベントのトリガを行うのに十分な導電能力を有するように構成される。下記のように、この十分な導電性は、導電性接触子をユーザの体と電気的に結合することにより達成されてよく、または導電性接触子が効果的にグラウンド基準として動作するように十分な導体塊と接触する導電性接触子を形成(または導電性接触子を十分な導体塊と電気的に結合)してよい。
【0012】
筐体104の導電性接触子によるタッチスクリーン112との接触で発生する各々のタッチイベントは、タッチスクリーン112上で生じる接触の(X,Y)の場所によりある程度定義される。ポータブルユーザデバイス102がその意図される配置においてまたは意図される配置の非常に近くでVRビューアの筐体104の中に組み込まれると、ある導電性接触子により発生するタッチイベントの実際の場所は、特定のポータブルユーザデバイス102の設計パラメータに与えられるその導電性接触子についてのタッチイベントの期待される場所またはその非常に近くになる。故に、ポータブルユーザデバイス102が実際にはこの意図される配置から離れるように変位または回転されると、導電性接触子のうちの1つ以上により発生する1つ以上のタッチイベントの実際の場所は、そのタッチイベントの対応する期待される場所に対して乖離する。従って、以下でより詳細に記載するように、1つ以上の実施形態において、ポータブルユーザデバイス102は、筐体104に対してまたはレンズアセンブリに対するポータブルユーザデバイス102の実際の向きを決定するため、導電性接触子の実際のタッチ場所とそれらの期待されるタッチ場所との間のこれらの乖離(オフセット)を使用する。ポータブルユーザデバイス102は次に、この実際の向きに基づいて、その表示動作の1つ以上を構成してよい。
【0013】
例示すると、ポータブルユーザデバイス102はVR画像を示してよく、ディスプレイパネルを介してこのVR画像をユーザに表示してよい。例えば、ポータブルユーザデバイス102はディスプレイパネルを左領域と右領域とに論理的に分割し、左領域に表示されるペアの一方のVR画像および右領域に同時に表示されるペアの他方のVR画像との、VR画像の立体ペアを示してよく、それによってレンズアセンブリを通じて見られるときにユーザに立体VRビューを提示する。しかしながらポータブルユーザデバイス102は、ディスプレイパネルと筐体104のレンズアセンブリとの間の設計されるすなわち期待される向きの推定に基づいてこのVR画像を示すように構成されてよい。従って、ディスプレイパネルがこの期待される向きにならないようにポータブルユーザデバイス102がVRビューアの中に組み込まれる場合には、歪み、オフセット、または他の逸脱は、レンズアセンブリを通したディスプレイパネルにユーザビューとして生じてよい。故に、ポータブルユーザデバイス102の「屈曲した」配置を補正するために、ポータブルユーザデバイス102は実際の向きと意図される向きとの間の差を補正するための変換を決定してよく、また次に、変更されたVR画像を表示するように、ディスプレイパネルの最適でない向きを減殺または補償することが示されるようにVR画像に変換を適用してよい。この方法で、ユーザによる手動の再配置または手動の位置整合を必要とせずに(実際の向きが過度にずれていない限り)、ポータブルユーザデバイス102は筐体104内のその最適でない配置を補償できる。
【0014】
図1の例では、1組の導電性接触子は、筐体104の内部パネル127におけるディスプレイ開口部126の周辺に配置されているタブ上に配置されている1組の4つの導電性接触子121−124として示されており、筐体104はVRビューアがユーザの頭にマウントされるときにユーザがデバイス保持区画110を通じてディスプレイパネルを見る、そのデバイス保持区画110の一部を形成する。この特定の例では、導電性接触子121−124はタブその他、対応する導電性接触子を周辺から延長させる拡張部分の上に配置され、各々のタブはディスプレイ開口部126の対応する各々の端部の中間にまたは中間付近に配置される。図1における(同様に図2,4および5における)導電性接触子および示されるタブなどのそれらの関連の要素の寸法は、VRビューア100の他の構成要素に対して一定の縮尺で示されることが必須ではないが、それらの特徴および特質の効果的な例示を容易にするため、代わりにこれらの他の構成要素に対して拡大される場合があることに留意されたい。
【0015】
4つの導電性接触子が図1に示されるが、任意の数の導電性接触子が実装されてよい。例示すると、1組の2つの導電性接触子が、XまたはY方向におけるディスプレイパネルの任意のオフセット、また同様にZ軸周りのディスプレイパネルの任意の回転を決定するのに十分であり得る。さらに導電性接触子は、図1に示されるそれらに加え、他の場所に配置されてよい。一般にユーザは、ユーザの視野の周辺における細部に敏感でなく、それ故に導電性接触子がディスプレイパネルの遠い角に来るようにそれらを設けることが有利である場合がある。例えば、2つの導電性接触子がディスプレイ開口部126の反対側の角同士にまたはその角付近に配置されるように1組の2つの導電性接触子が実装されてよい。導電性接触子についての別の有利な場所は、ユーザの鼻が置かれることになる場所の真正面であり、それは、この場所が導電性接触子が様々な大きさのポータブル電子デバイスを用いて機能することを可能にするからである。さらに、末端部における導電性接触子とは対照的に、中間にある導電性接触子がディスプレイまたはタッチスクリーンの動作領域から外れて回転する可能性は小さい。
【0016】
図2は、1つ以上の実施形態に係る、VRビューア100の筐体104の内部パネル120の実装の図を示す。示される図では、内部パネル120はユーザの視点から示され、それ故にタッチスクリーン112およびディスプレイパネル(本明細書において集合的に「スクリーンアセンブリ202」と呼ぶがディスプレイ開口部126を通じて見ることができるように、ポータブルユーザデバイス102は内部パネル120の裏側に設けられるものとして示される。本例では、2つの導電性接触子211,212が薄い分割用帯状パネル208の上に配置され、ディスプレイ開口部126は、その分割用帯状パネル208により分離される左側開口部204と右側開口部206とに区分される。分割用帯状パネル208および導電性接触子211,212は、例示の目的のため拡大された縮尺で示される場合があることに留意されたい。
【0017】
図2の図解220により示されるように、ポータブルユーザデバイス102がその設計されるすなわち意図される向きで筐体104内に配置されている時、導電性接触子211,212はそれぞれ場所221,222でタッチスクリーン112に接触することが期待され、それ故にそれらの場所においてタッチイベントを生じる。そうしたものとして、これらの2つの場所221,222は図解220の破線により示される、定義される向き224を定義してよい。しかしながら、ポータブルユーザデバイス102が側方方向、長手方向、または回転のオフセットのいずれかを伴って筐体104内に配置されている時、導電性接触子211,212の一方または両方は対応する期待される接触場所以外の場所においてタッチスクリーン112に接触する。例示すると、図解230は、導電性接触子211が場所231(場所221に代わって)においてタッチスクリーン112と接触し、かつ、導電性接触子212が場所232(場所222に代わって)においてタッチスクリーン112と接触するように、ポータブルユーザデバイス102が側方方向、長手方向、および回転の誇張されたオフセットがあるように配置されている一例を示す。ポータブルユーザデバイス102は、実際のディスプレイパネルの向き234(場所231,232間の破線により表される)を決定するため、これらの2つの接触場所231,232を用いてよい。
【0018】
タッチスクリーン112(およびディスプレイパネル)の実際の向き234がそのように決定されると、ポータブルユーザデバイス102は、ポータブルユーザデバイス102により行われている表示動作を調節するため、この実際の向きを用いることができる。例示すると、上記の通り、ポータブルユーザデバイス102は実際の向き234と意図される向き224との間の変換(この変換は矢印236および238により表される)を決定してよく、ポータブルユーザデバイス102のディスプレイパネルのずれを補償するために、示されているVR画像にこの変換を適用してよい。
【0019】
図3および図4は、いくつかの実施形態に係る、VRビューア100の導電性接触子の実装の例を示す。上記の通り、導電性接触子は、ディスプレイパネルの位置整合の目的のため、ポータブルユーザデバイス102のタッチスクリーン112におけるタッチイベントのトリガを行うように実装される。通例携帯電話、タブレットコンピュータ、および他のそうしたデバイスで見受けられるような、容量式タッチスクリーンにおけるタッチイベントのトリガを行うために、導電性接触子は接触の場所でタッチスクリーンの容量を検出可能に変化させるように十分に導電性がなくてはならない。
【0020】
1つのアプローチでは、導電性接触子は、十分な量の導電性物質の使用によって効果的に導電性があるように作られてよい。この目的のため、導電性接触子は金属(例えば銅、アルミニウム、金、銀、またはそれらの組み合わせ)のスラグまたは他の導電材料として実装されてよい。しかしながら、そうしたスラグの寸法は、ディスプレイパネル上に導電性接触子が配置されるそのディスプレイパネルを導電性接触子が過度に覆い隠す原因となる場合があり、それ故にユーザを悩ませる。従って、図3の導電性接触子300の例により示されるように、導電性接触子は細い導電性の首部要素306を通じて比較的大きな導体塊と電気的に結合される比較的小さな接触点302として実装されてよく、首部要素306は堅固な導電素子(例えば導体棒)、柔軟な導電素子(例えば導線)、またはそれらの組み合わせを含んでよい。首部要素306は、接触点302に対してタッチスクリーン112の表面308に圧力を加えるように、ばね付きであってよい。導体塊304は、VRビューア100における金属または他の導電材料の任意の塊から構成されてよい。例示すると、導体塊304は筐体104の金属パネルなどの筐体104の金属構成要素を備えてよい。あるいは導体塊304は、特に接触点302での使用のために実装される球、円盤、円柱、または他の形状の金属または導電材料であってよい。さらに複数の接触点300は同様の導体塊304を利用してよい。
【0021】
いくつかの実施では、導体塊を用いる導電性接触子の実装は法外な費用がかかる場合があり、またはVRビューア100において過度な重量を生じ、VRビューア100はユーザの頭から延びるのでビューアを不便にする場合がある。従って、タッチイベントのトリガを行うべく導電性接触子を十分に導電性のある状態にするために比較的大量の導電材料を用いるのではなく、VRビューア100が十分な導電性を提供するようにユーザの体の導電性またはユーザの体の容量性の容量を用いてよい。例示すると、図4は筐体104が1組の2つの導電性接触子401,402を実装するVRビューア100の実装を示し、導電性接触子401,402はポータブルユーザデバイス102が筐体104の中に挿入されているときにタッチスクリーン112に接触する導電点を備える。導電点はその結果、導電性相互接続部407,408を通じて筐体104の導電性ユーザ接触領域404と電気的にそれぞれ接続される。ユーザ接触領域404は、ユーザの体により接触される導電領域(例えば金属パッド、金属ボタン、金属の縁など)を備える。示される図4の例では、ユーザ接触領域404は、ポータブルユーザデバイスからの聴覚的な出力か、ディスプレイパネルを通じた指示の表示かいずれかによってユーザが接触するように指示される金属パッチを備える。他の実施形態では、ユーザ接触領域404は、ユーザにより装着されている時に額の梁に沿ってまたは鼻梁上などでユーザの顔または頭と接触している筐体104の一部において実装され、それ故にユーザに位置整合処理のための特定の動作を行わせる必要を除く。ユーザ接触領域404と導電性接触子401,402の接触点との間の導電接続は、導電性接触子401,402とユーザの手または顔との間の導電経路を創出し、それ故にタッチスクリーン112におけるタッチイベントのトリガを行う。
【0022】
導電性相互接続部407,408は様々な導電材料のいずれかまたはそれらの組み合わせを用いて実装されてよい。例示すると、導電性相互接続部407,408は接触点とユーザ接触領域404との間に張られる1つ以上の金属配線の要素を用いて実装されてよい。あるいは、導電性相互接続部407,408は、接触点とユーザ接触領域404との間で、筐体104の1つ以上の表面の面に張り付けられる柔軟な導電性織物または導電箔を用いて実装されてよい。まだ別の例として、筐体104の材料が効果的に印刷されることのできるもの(例えばグーグルカードボードVRビューア用によく利用される厚紙材料)である場合に、導電性相互接続部407,408は、筐体104の組立前にその適切な表面上に印刷される導電性インクを用いて実装されてよい。
【0023】
意図される向きからの、ディスプレイパネルの実際の向きの側方方向のオフセット、長手方向のオフセット、および回転のオフセットの1つ以上を決定することに加えて、ディスプレイパネルの意図されるZ軸位置からのディスプレイパネルの前後方向のオフセット(すなわちZ軸に沿ったオフセット)を決定するのに有用であることも示される。図5は、ポータブルユーザデバイス102のディスプレイパネルのZ軸位置の検出を容易にする指接触構成を示す。内部パネル127の実装の一部分の断面500が開示されている図5の例により示されるように、この指接触構成において、Z軸に沿って異なる有効長を有する複数の導電性接触子(例えば導電性接触子501,502,503)はポータブルユーザデバイス102のタッチスクリーン112を向いて配置される。各々の導電性接触子は、ばね506または他の柔軟な基部にマウントされているピン(例えばピン504)を含み、各々のピンは異なる長さを有し、それ故に各々のピンは、ばねに荷重がかかっていない時には内部パネル127の表面から異なる距離まで延びていることになる。故に、ディスプレイパネルのZ軸オフセットの程度は、タッチスクリーン112と接触しているピンの数により決定されてよい。例示すると、1つのピン接触のみが検出されるとき、ディスプレイパネルは、荷重がかかっていない導電性接触子503のピンの距離と負荷のかかった導電性接触子502のピンの距離との間である、内部パネル127からの距離にあるように決定される。2つのピン接触が検出されるとき、ディスプレイパネルは、荷重がかかっていない導電性接触子502のピンの距離と負荷のかかった導電性接触子501のピンの距離との間である、内部パネルからの距離にあるように決定される。3つのピン接触が検出されるとき、ディスプレイパネルは、荷重がかかっていない導電性接触子501のピンの距離以下である、内部パネルからの距離にあるように決定される。
【0024】
図6はポータブルユーザデバイス102のハードウェア構成600の一例を示す。ハードウェア構成600はプロセッサ602と、システムメモリ604と、コンポジタ606と、タッチスクリーン制御装置608と、慣性測定ユニット(IMU)610と、タッチスクリーン112と、対応するディスプレイパネル612と、タッチスクリーン制御装置608とを備える。
【0025】
プロセッサ602は1つ以上の中央処理装置(CPU)、画像処理装置(GPU)、または1つ以上のCPUと1つ以上のGPUとの組み合わせを含む。クアルコム社からのスナップドラゴン(登録商標)810 MSM8994システムオンチップ(SoC)が、プロセッサ602の市販の実装の一例である。コンポジタ606は例えば特定用途向け集積回路、プログラマブルロジックとして、記載される機能を提供するように1つ以上のGPUを操作するソフトウェアを実行する1つ以上のGPUとして、またはそれらの組み合わせとして実装されてよい。
【0026】
動作時、プロセッサ602はユーザに対してVR/AR機能を提供するようにVR/ARアプリケーション614(例えばシステムメモリ604に記憶されている)を実行する。この処理の一環として、VR/ARアプリケーション614は、ディスプレイパネル612におけるディスプレイに対して一連のVR映像を示すように、プロセッサ602または関連するプロセッサを操作し、一連の映像がVRまたはARシーンを表す。コンポジタ606は、ディスプレイパネル612が一連の映像またはそれらの画像を表示するように動作する。プロセッサ602は、本明細書に記載されるディスプレイパネル位置整合補償処理を行うように位置整合ルーチン616をさらに実行する。位置整合ルーチン616は、VR/ARアプリケーション614の一環として、または分離しているソフトウェアプログラムまたはアプリケーションとして実装され得る、実行可能な1組の命令を備える。
【0027】
図7は、いくつかの実施形態に係る、図6に示されるハードウェア構成600におけるプロセッサ602による位置整合ルーチン616の実行により少なくともある程度が実装される動作の方法700の一例を示す。方法700は、ユーザの、VRビューア100の筐体104の中へのポータブルユーザデバイス102の挿入、取付け、または他の着脱可能な組み込みをもってブロック702で開始する。この組み込みに応じて、VRビューア100の1組の導電性接触子のうち1つ以上の導電性接触子がタッチスクリーン112と接触し、それ故にブロック704において、タッチスクリーン112上での接触子のそれぞれの接触場所における、タッチスクリーン制御装置608によるタッチイベントの検出のトリガを行う。
【0028】
ブロック706において、位置整合ルーチン616は、ブロック704において決定される接触場所に基づいてディスプレイパネル612の実際の向きを決定するように、プロセッサ602を操作する。上記の通り、ディスプレイパネル612の実際の向きは、ポータブルユーザデバイス102が意図されるすなわち設計される向きで配置されるならば、1組の導電性接触子の相対的な期待される接触点として決定され得る。例示すると、位置整合ルーチン616は、技術者によりまたはポータブルユーザデバイスのディスプレイパネル612の寸法、筐体104のデバイス保持区画110の寸法、筐体内の導電性接触子の場所などといったポータブルユーザデバイス102の全ての寸法から模型を作ることにより決定されるような、期待される接触点を用いてプログラムされてよい。これらの期待される接触点がディスプレイパネル612の意図される向きを定義し、実際の向きは、対応する期待される接触場所からの実際の接触場所のオフセットに基づいて決定されてよい。
【0029】
いくつかの例において、ポータブルユーザデバイス102のずれが過度である場合があり、それ故にVR画像の空間的な歪みまたは他の表示動作の修正の使用について補償することは困難または非現実的であることが認識される。従って、ブロック708において位置整合ルーチン616は、ディスプレイパネル612の実際の向きとディスプレイパネル612の設計される向きとの間の差を決定するように、また、この差を指定される閾値と比較するように、プロセッサ602を操作する。いくつかの実施形態では、異なる閾値が異なる差に対して与えられてよい。例示すると、回転のオフセットに与えられる閾値とは異なる閾値が、側方方向または長手方向のオフセット差に対して与えられてよい。指定される閾値を上回る場合には、ポータブルユーザデバイス102は、ずれを十分に補償できなくなることが期待され、それ故にブロック710においてポータブルユーザデバイス102は、ユーザに対して筐体104内のポータブルユーザデバイス102を手動で再び位置調整することを試みるように指示する。この指示は、ポータブルユーザデバイス102により提供される聴覚的な出力として、ディスプレイパネル612を介してユーザに表示される指示として、またはそれらの組み合わせとして提供されてよい。ユーザがポータブルユーザデバイス102を再び位置調整した後、方法700はブロック704へ戻り、方法700の処理はポータブルユーザデバイス102の新たな向きで再び進行する。
【0030】
実際の方向と意図される方向との間の差が対応する閾値を越えない場合には、ポータブルユーザデバイス102はディスプレイパネル612のずれを補償できることが期待される。従って、ブロック712において位置整合ルーチン616は、ディスプレイパネル612の実際の向きに基づいてポータブルユーザデバイス102の1つ以上の表示動作を構成するようにプロセッサ602を操作する。上記の通り、ディスプレイパネル612の実際の向きのずれに適応するために、この構成はVR/ARアプリケーション614における空間的な歪み変換または示されるVR画像を変換するためのコンポジタ606の利用を備えることができる。ポータブルユーザデバイス102は使用中に配置が変化する場合があるので、ブロック704−ブロック712の処理は、ポータブルユーザデバイス102の相対的な向きにおける任意のそうした変位を調節するように、定期的に繰り返されてよい。
【0031】
故に、方法700の処理により示されるように、ポータブルユーザデバイス102は、ディスプレイパネル612の実際の向きと意図されるすなわち期待される向きとの間の差を決定するためにVRビューア100の筐体104内に実装される導電性接触子を利用してよく、それ故にユーザによる手動の介入を必要とせずにこのずれを自動的に補償する。
【0032】
いくつかの実施形態では、上記の技術のある態様は、ソフトウェアを実行する処理システムの1つ以上のプロセッサにより実施されてよい。ソフトウェアは、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されているかまたは他の方法で有形に具現化されている、実行可能な命令の1つ以上のセットを備える。ソフトウェアは、1つ以上のプロセッサによる実行時に上記の技術の1つ以上の態様を行うように1つ以上のプロセッサを操作する、命令およびあるデータを備えることができる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば磁気または光学ディスク記憶デバイス、フラッシュメモリなどのソリッドステート記憶デバイス、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他の不揮発性メモリデバイスなどを含むことができる。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体上に記憶されている実行可能な命令はソースコード、アセンブリ言語コード、オブジェクトコード、または1つ以上のプロセッサにより解釈されるまたは他の方法で実行可能な他の命令フォーマットの中にあってよい。
【0033】
コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータシステムへの命令とデータとのうち一方または両方を提供するように用いられる間、コンピュータシステムによりアクセス可能な任意の記憶媒体または記憶媒体の組み合わせを含んでよい。そうした記憶媒体は光学メディア(例えばコンパクトディスク(CD)、デジタル多用途ディスク(DVD)、ブルーレイディスク)、磁気メディア(例えばフロッピーディスク(登録商標)、磁気テープ、または磁気ハードディスクドライブ)、揮発性メモリ(例えばランダムアクセスメモリ(RAM)またはキャッシュ)、非揮発性メモリ(例えば読み出し専用メモリ(ROM)またはフラッシュメモリ)、または微小電気機械システム(MEMS)技術による記憶媒体を含み得るが、これらに限定されない。コンピュータ可読記憶媒体は、コンピュータシステムに具現化され(例えばシステムRAMまたはROM)、コンピュータシステムに固定して取付けられ(例えば磁気ハードディスクドライブ)、コンピュータシステムに着脱可能に取付けられ(例えば光学ディスクまたはユニバーサルシリアルバス(USB)を基にしたフラッシュメモリ)、または有線または無線ネットワークを通じてコンピュータシステムに結合(例えばネットワークアクセス可能ストレージ(NAS))されてよい。
【0034】
一般の記載における上記の活動または要素の全てが必要とされるわけではないこと、指定の活動またはデバイスの一部が必要とされなくてもよいこと、および1つ以上のさらなる活動が行われ得ること、または記載されるものに加えて含まれる要素に留意されたい。まださらに、列挙される活動の順番がそれらの行われる順番であることが必須ではない。また、概念は特定の実施形態を参照して記載されている。しかしながら当業者は、様々な修正および変更が下記の請求項において記載されている本開示の範囲から逸脱せずに生じ得ることを認識する。従って、明細書および図面は限定的な意味というよりはむしろ例示として見なされ、全てのそうした修正は本開示の範囲内に含まれることが意図される。
【0035】
利益、他の利点、および問題の解決策が特定の実施形態に関して上に記載されている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、および任意の利益、利点、または見出されるまたはより明白になる解決策を生じ得る任意の特徴は、任意のまたは全ての請求項の、決定的な、必須のまたは不可欠の特徴として解釈されるわけではない。さらに、開示される発明の対象は、本明細書で教示の利益を有する当業者に明らかな、均等を除く異なる方法において修正され実施されるので、上に開示される特定の実施形態は例に過ぎない。限定は、以下の請求項に記載されるもの以外で本明細書に示す構造または設計の詳細を意図されるものではない。故に、上記の特定の実施形態が変更されまたは修正され得ることは明らかであり、全てのそうした変化が開示される発明の対象の範囲内で考えられる。従って、本明細書における保護の求めは以下の請求項に記載される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7