(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
移動式ユニットハウスを現場に設置した後、数ヶ月から数年といった比較的長期間に亘り利用者がその場で生活する場合、移動式ユニットハウスは現場に固定されたままの状態が維持される。従って、その間、移動用の車輪や橇は使用されることはなく不要となる。寧ろ、移動用の車輪や橇は、移動式ユニットハウスの安定性を損なうためにない方がよい。例えば、震災を受けた被災地の仮設住宅として移動式ユニットハウスを利用する場合、震災発生後数ヶ月に亘って断続的に余震が発生する。そのような状況下では、移動式ユニットハウスに車輪があると、余震によって移動式ユニットハウスが地上を移動しやすくなり不都合が生じる。また、設置後に台風などの暴風に遭遇した場合にも、移動式ユニットハウスが車輪により地上に支持されている場合には不安定となりやすい。
【0007】
また、移動式ユニットハウスを設置現場に定置した後は、移動用車輪は不要となることから、移動用車輪にはできるだけ小さいものが採用される(例えば、特許文献1の
図1,特許文献2の
図1,特許文献4の
図1等を参照)。設置現場が舗装された地面であればそれでも問題はないが、被災地などで地面が荒れている場合や、砂や砂利が敷き詰められた地面では、移動用車輪が小さいと、大重量の移動式ユニットハウスを移動するのは極めて困難となる。一方、移動用車輪を大きくすれば、設置現場に定置後、移動用車輪が邪魔となる。従って、移動用車輪を大きくしても小さくしても問題が生じる。
【0008】
一方、移動用の車輪がない場合には、移動式ユニットハウスを設置現場で位置決めする際には、その都度、揚重機などで吊り下げて移動させる必要があるため、設置時の作業性が悪いという問題がある。
【0009】
そこで、本発明の目的は、設置時における位置決め作業の作業性に優れ、定置後の安定性に優れた移動式ユニットハウスを提供することにある。また、本発明の他の目的は、複数のユニット同士を容易に連結して部屋数を増設することが容易に行うことのできる移動式ユニットハウスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る移動式ユニットハウスの第1の構成は、床部、及び前記床部の四方の側縁を囲むように立設された壁部、並びに前記壁部の上端縁を閉塞する天井部を備えた移動式ユニットハウスであって、
前記床部の底部に前後横断方向に向けて水平に固設され、一端が床部の前側縁下部から前方に向かって開口し、他端が床部の後側縁下部から後方に向かって開口する円筒形直管からなる貫通鞘管を複数備え、
前記複数の貫通鞘管のうちの一は床部の右側寄りに、他の一は床部の左側寄りに配設され、且つ前記各貫通鞘管は同じ高さに配設されており、
前記各貫通鞘管の各端部に挿脱自在な短桿状の車軸桿を有する着脱式車輪を備えていることを特徴とする。
【0011】
この構成によれば、移動式ユニットハウスを設置場所に移動させる場合、トラックなどの運搬車両に搭載する際には貫通鞘管から着脱式車輪を抜出しておく。設置場所に設置する場合、運搬車両から移動式ユニットハウスを地面に下ろし、扛重機を使って扛上した状態で、貫通鞘管の端部に着脱式車輪の車軸桿を差し込み、その後元の位置まで扛下させる。これにより、移動式ユニットハウスを左右方向に容易に移動させ、設置位置の調整をすることができる。そして、設置位置の調整が終われば、扛重機を使って扛上して着脱式車輪を貫通鞘管から取り外し、その後元の位置まで扛下させて移動式ユニットハウスを設置位置に接地させる。これにより、移動式ユニットハウスの設置作業時の設置位置の調整を軽便に行うことができる。また、貫通鞘管は、移動式ユニットハウスを地面に固定する際には、固定部材を貫通鞘管に差し込み固定部材によって移動式ユニットハウスを地面に容易に固定することができるため安定性にも優れる。また、設置現場に定置した後は、着脱式車輪を外すため、着脱式車輪に通常の乗用車で用いるような大径のものを用いても特に問題は生じない。従って、舗装されていないような地面であっても大径の着脱式車輪を使用することで軽便に動かすことができる。また、複数の移動式ユニットハウスを地面上に前後に並べて設置する場合には、隣り合う移動式ユニットハウスの互いに対向する貫通鞘管に、連結桿を通して連結することによって、隣り合う移動式ユニットハウス同士が強固に連結固定され、強風や地震に対しても転倒し難くすることができる。
【0012】
尚、本発明の移動式ユニットハウスは、人が生活する住宅以外にも、移動式店舗、工事現場等に設置する仮設事務所等の様々な用途に使用することが可能である。
【0013】
本発明に係る移動式ユニットハウスの第2の構成は、前記第1の構成に於いて、前記床部の底部側に、前記各貫通鞘管と同じ高さに水平に固設され、一端が床部の左側縁下部から左側方に向かって開口する複数の左向鞘管と、
前記床部の底部側に、前記各貫通鞘管と同じ高さに水平に固設され、一端が床部の右側縁下部から右側方に向かって開口する複数の右向鞘管と、を備え、
前記各左向鞘管及び前記各右向鞘管は、前記着脱式車輪が着脱自在であることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、左向鞘管及び右向鞘管を設けたことにより、設置作業時に移動式ユニットハウスの向きを回転させたい場合には、着脱式車輪を貫通鞘管の一方側と、左向鞘管又は右向鞘管の一方側に取り付けることにより、移動式ユニットハウスを容易に回転させることができる。また、着脱式車輪を左向鞘管と右向鞘管に取り付けることにより、移動式ユニットハウスを容易に前後方向にも移動させることができる。
【0015】
本発明に係る移動式ユニットハウスの第3の構成は、前記第1又は2の構成に於いて、前記床部の四方の側縁を囲むように立設された前記壁部のうち、前側及び後側の前記壁部に開口して設けられた出入口と、
前記出入口の縁に沿って、外側に突出するように取着された矩形枠状の連結フレームと、を備え、
前側及び後側の前記壁部に取着された前記連結フレームは外形が同一形状に構成されており、
前記連結フレームの外側から着脱自在に密嵌着可能に構成された連結ホルダを備えていることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、複数の移動式ユニットハウスを地面並べて設置する場合、隣り合う移動式ユニットハウスの互いに対向する前側及び後側の壁部の連結フレーム同士を相合させるとともに、両連結フレームの会合部の外側に連結ホルダを密嵌着する。これにより、相合した連結フレーム同士の隙間から水漏れすることがなくなり、一方の移動式ユニットハウスの前側壁部の出入口と他方の移動式ユニットハウスの後側壁部の出入口とが結合して通路となる。このようにして、移動式ユニットハウスを逐次連結して任意に部屋数を増設することができる。
【0017】
本発明に係る移動式ユニットハウスの第4の構成は、前記第1乃至3の何れか一の構成に於いて、前記壁部には、一乃至複数の採光窓が設けられており、前記採光窓は、前記壁部に設けられた窓枠と、前記窓枠に取り付けられた障子とを具備し、
前記障子は、格子状に形成された木製の框と、前記框の各格子枠内に嵌合された硝子ブロックと、を備え、
前記硝子ブロックは、偏平な四角柱状の透光性の硝子成形体と、前記硝子成形体の四方の周側面全体に亘って巻き付けられた弾性体からなるシーリング材と、を備え、
前記框は、各格子枠の内側面全体に、該内側面の周方向に全周に亘り複数の阻滑条溝が平行に刻設され、該内側面全体が波面状に形成されており、
前記各硝子ブロックは、前記框の各格子枠内に密嵌するサイズであることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、各格子枠に硝子ブロックが嵌め込まれたとき、シーリング材は格子枠の内側面に密着し気密となる。格子枠の内側面には、複数の阻滑条溝が形成されており、シーリング材は、その弾性によって、嵌め込まれた際にこの阻滑条溝に食い込む。また、障子は木製であるため、表面がざらつきにより摩擦が大きい。従って、接着剤や固定具を使用しなくても硝子ブロックは格子枠内に頑丈に固定される。また、硝子ブロックを格子枠から取り外す際には、硝子ブロックを手で強く押し又は硝子が割れない程度の強さで、手でトントンと叩打することで、容易に取り外すことができる。また、障子は木製であるため、空気中の水分を吸収して僅かに膨張する。そのため、雨天時のように湿度の高いときには障子は硝子ブロックにより強く密着し、雨水の浸入を防止することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のように、本発明によれば、移動式ユニットハウスの床部の底部に、前後横断方向に向けて水平に固設され、両端が床部の前側縁下部及び後側縁下部に前後方向に向けて開口する円筒形直管からなる貫通鞘管を複数設け、各貫通鞘管を同じ高さとし、各貫通鞘管の各端部に挿脱自在な短桿状の車軸桿を有する着脱式車輪を備えたことで、移動式ユニットハウスの設置作業時の設置位置の調整を容易に行うことができ、定置後は固定部材を貫通鞘管に差し込み固定部材によって移動式ユニットハウスを地面に容易に固定することができる。また、この貫通鞘管を用いて複数の移動式ユニットハウス同士が強固に連結固定することで、強風や地震に対しても転倒し難くすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0022】
図1は、本発明の実施例1に係る移動式ユニットハウスの正面右上から視た斜視図である。
図1(a)は車輪を装着していない状態、(b)は車輪を装着し引戸を開けた状態を示す。
図2は、
図1(a)の移動式ユニットハウスの(a)正面図、(b)背面図、(c)右側面図、(d)左側面図である。
図3は、
図1の移動式ユニットハウスの(a)底面図、及び(b)床部周辺の骨組及び鞘管と脱着式の車輪を示す分解図斜視である。尚、本実施例の移動式ユニットハウスは木造である。
【0023】
図1〜
図3において、本実施例1の移動式ユニットハウス1は、4隅に立設された隅柱5、床部2、床部2の四方の側縁を囲むように立設された壁部3、壁部3の上端縁を閉塞する天井部4を備えている。隅柱5は、矩形4頂点上に垂直に立設されている。床部2は、隅柱5の下部に架設された左右方向の平側横架材2a,2a及び前後方向の妻側横架材2b,2bからなる矩形状の台枠と、前後の平側横架材2a,2aの間に所定間隔で横架された複数の根太2c(
図3(b)参照)と、各根太2cの上面に複数の長尺矩形状板を平側横架材2a,2aに対し平行に敷き詰めてなる床板2d(
図3(a)参照)とから構成されている。壁部3は、各隅柱5間に、長尺矩形板を、広面を垂直に立てた状態で長手軸を水平に向けて積層充填して形成されている。ここでは、正面側及び背面側の壁部3を平壁3a,3a、左右側面側の壁部3を妻壁3b,3bという。天井部4は、正面側及び背面側の棟桁4a,4aと、左右側の妻梁4b,4bと、天井板4cと、矢切板4d(
図2(c)(d)参照)とを備える。棟桁4a,4aは、対向する左右の隅柱5の上端に横架され、妻梁4b,4bは、対向する前後の隅柱5の上端に横架されている。天井板4cは、棟桁4a,4a及び妻梁4b,4bを覆うように設けられた平板であり、後方から前方に向かって下向きに傾斜した片流れ屋根を構成している。矢切板4d,4dは、左右の妻梁4b,4bと天井板4cとの間を閉塞して設けられた三角状の板である。正面側及び背面側の平壁3a,3aには、それぞれ、出入口6,6が設けられ、各出入口6には引戸6aが設けられている。また、左右側の妻壁3b,3bの上部中央には、それぞれ、採光窓7,7が設けられている。
【0024】
前後の平壁3a,3aに設けられた各出入口6には、当該出入口6の縁に沿って、平壁3aから外側に突出するように矩形枠状の連結フレーム6bが取着されている。この連結フレーム6bの上縁辺及び下縁辺は、引戸6aの軌条も兼ねている。また、前後の平壁3a,3aに取着された連結フレーム6b,6bは双方共に外形が同一形状に構成され、平壁3a,3aの左右中心線に対する位置及び高さも同じとされている。
【0025】
前後の平側横架材2a,2aの前側面及び後側面には、該平側横架材2aの中心に対して左右対称な位置に2つの貫通孔が形成されており、この貫通孔を通して、前後の平側横架材2a,2aの間に、左右の妻側横架材2b,2bと平行な向きに貫通鞘管10,10が架設されている(
図1(a),
図2(a)(b),
図3(b)参照)。貫通鞘管10は円筒管状の直管であり(
図3(b)参照)、一端が床部2の前側縁下部から前方に向かって開口し、他端が床部2の後側縁下部から後方に向かって開口している。
【0026】
左側の妻側横架材2bの左右側面には、該妻側横架材2bの中心に対して前後対称な位置に2つの貫通孔が形成されており、この貫通孔を通して、前後の平側横架材2a,2aと平行な向きに左向鞘管11,11が貫設されている(
図1(a)(b),
図2(d),
図3(a)(b)参照)。各左向鞘管11は円筒短管状の直管であり、一端が床部2の左側縁下部から左側方に向かって開口し、他端は左側の貫通鞘管10の付近まで延出している。同様に、右側の妻側横架材2bの左右側面には、該妻側横架材2bの中心に対して前後対称な位置に2つの貫通孔が形成されており、この貫通孔を通して、前後の平側横架材2a,2aと平行な向きに右向鞘管12,12が貫設されている(
図2(c),
図3(a)(b)参照)。各左向鞘管12は円筒短管状の直管であり、一端が床部2の右側縁下部から右側方に向かって開口し、他端は右側の貫通鞘管10の付近まで延出している。
【0027】
尚、これらの貫通鞘管10,10、左向鞘管11,11、右向鞘管12,12には、すべて同じ内径の円筒管が使用されている。
【0028】
さらに、本実施例1の移動式ユニットハウス1は、これらの貫通鞘管10,10、左向鞘管11,11、右向鞘管12,12に対して挿脱自在な、4つの着脱式車輪20,20,20,20を備えている。各着脱式車輪20は同型であり、貫通鞘管10,左向鞘管11,右向鞘管12の各端部に挿脱自在な短桿状の車軸桿20aを有している(
図3(b)参照)。
【0029】
次に、本実施例の移動式ユニットハウス1について、その設置方法について説明する。
【0030】
まず、移動式ユニットハウス1を設置場所まで運搬する場合、
図1(a)のように、各着脱式車輪20を取り外した状態で、トラック等の運搬車両に搭載して運搬する。その際、運搬車両の荷台に移動式ユニットハウス1を揚げ下ろしする必要がある。この移動式ユニットハウス1の揚げ下ろしを行う場合には、左右の貫通鞘管10,10に懸吊ワイヤを通してクレーンに掛け、移動式ユニットハウス1を揚重することにより、容易に行うことができる。
【0031】
設置場所まで運搬した後、移動式ユニットハウス1を運搬車両の荷台から地面に下ろす。そして、ジャッキなどの扛重機を使って床部2を扛上(ジャッキアップ)した状態で、左右の貫通鞘管10,10の両端に着脱式車輪20の車軸桿20aを差し込むことにより、
図1(b)のように4つの着脱式車輪20,20,20,20を移動式ユニットハウス1に装着する。これにより、移動式ユニットハウス1を左右方向に容易に移動させ、位置調整することができる。尚、この際、各着脱式車輪20と地面との間に敷板を噛ませた状態とすれば、移動作業がより容易となる。設置位置の微調整が終われば、再び扛重機を使って床部2を扛上し、左右の着脱式車輪20を貫通鞘管10,10から抜脱した後、扛下(ジャックダウン)して各隅柱5の下端を接地させる。これにより移動式ユニットハウス1は地上に定置される。一旦、移動式ユニットハウス1を定置した後は、移動式ユニットハウス1を度々移動することはないので、着脱式車輪20は必要ない。従って、移動式ユニットハウス1の設置時及び撤去時に扛重機を使って各着脱式車輪20を着脱するようにしておけば十分に用が足りる。
【0032】
また、移動式ユニットハウス1を運搬車両の荷台から地面に下ろした後で、移動式ユニットハウス1の向きを変更したい場合も想定される。斯かる場合、4つの着脱式車輪20,20,20,20のうち、左側の2つ又は右側の2つを、左向鞘管11又は右向鞘管12,12に装着すればよい。例えば、
図4(a)は、4つの着脱式車輪20,20,20,20のうちの右側の2つを右向鞘管12,12に装着した例である。このようにすれば、移動式ユニットハウス1の向きを容易に回転させることができる。また、移動式ユニットハウス1を前後に移動させたい場合には、
図4(b)に示したように、4つの着脱式車輪20,20,20,20のうちの左側の2つを前後の左向鞘管11,11に、右側の2つを前後の右向鞘管12,12に装着すればよい。これにより、移動式ユニットハウス1を容易に前後方向に移動させることができる。
【0033】
このように、本実施例の移動式ユニットハウス1は、床部の底部に貫通鞘管10,10及び左向鞘管11,11並びに右向鞘管12,12を備えると共に、各貫通鞘管10、左向鞘管11、右向鞘管12に挿脱自在な着脱式車輪20を備えることにより、設置作業時に位置調整を容易に行うことができ、地面に定置した後は着脱式車輪20を外し、安定的に移動式ユニットハウス1を設置することができる。
【0034】
上述のようにして、移動式ユニットハウス1を所定の設置位置に定置した後、移動式ユニットハウス1を固定金具により地面に固定する。
図5は、移動式ユニットハウス1を固定金具で地面に設置した状態の一例を示す図である。
図5の例では、4本の隅柱5,5,5,5のそれぞれの柱基端に柱受固定金具21が履着されている。この場合、柱受固定金具21は、最初から隅柱5の柱基端に履着した状態として設置位置に定置し、定置した後に柱受固定金具21のベースに貫設された各固定孔21aを通して、固定杭(図示せず)を地面に打ち込んで固定する。また、左右の貫通鞘管10には、両端が螺子切りされた、貫通鞘管10より若干長い鋼桿である貫通桿22,22を挿通し、それぞれの貫通桿22の両端の貫通鞘管10から突出した部分に、L字状に形成された中間固定金具23をナット23aで固定装着する。そして、中間固定金具23の地面に接する曲折片板面に形成された固定孔23aを通して、固定杭(図示せず)を地面に打ち込んで固定する。これにより、地震や暴風に遭遇した場合でも、移動式ユニットハウス1が転倒するのを防止することができる。
【0035】
このように、本実施例の移動式ユニットハウス1は、床部の底部に貫通鞘管10,10を備えたことで、各貫通鞘管10に、貫通桿22を通して中間固定金具23で地面に固定し、地震や暴風等の際の移動式ユニットハウス1の転倒事故を効果的に防止することが可能となる。
【実施例2】
【0036】
実施例1の移動式ユニットハウス1は、貫通鞘管10を用いて、2棟以上の移動式ユニットハウス1を連結することができる。実施例2では、2棟以上の移動式ユニットハウス1を連結に関して説明する。
図6は、2棟の移動式ユニットハウス1A,1Bを連結した状態を示す図である。
図6(a)は全体の外観斜視図、
図6(b)は内部構造を示す図、
図6(c)は連結ホルダ24の斜視図、
図6(d)は貫通桿22の斜視図である。
【0037】
2棟の移動式ユニットハウス1A,1Bを連結する場合、
図6に示すように、一方の移動式ユニットハウス1Aの背面と他方の移動式ユニットハウス1Bの正面とが対向するように設置し、移動式ユニットハウス1Aの背面側の連結フレーム6bAと移動式ユニットハウス1Bの正面側の連結フレーム6bBとに、矩形枠状の連結ホルダ24(
図6(c)参照)を被篏着することにより連結する(
図6(b)参照)。そして、一直線上に縦列した移動式ユニットハウス1A及び移動式ユニットハウス1Bの貫通鞘管10A,10Bに、両貫通鞘管10A,10Bの長さ及び連結ホルダ24の幅を足し合わせた長さよりも若干長い鋼桿からなる貫通桿22を挿通させ、螺子切りされた貫通桿22の両端にナット22a,22aを螺着する(
図6(b),(d)参照)。このナット22a,22aを緊締することにより、2棟の移動式ユニットハウス1A,1Bは強固に固定される。また、連結フレーム6bAと連結フレーム6bBとに連結ホルダ24を披着することによって、両連結フレーム6bA,6bBが強固に連結されるとともに、連結部分から雨漏りしたり隙間風が吹き込んだりすることが防止される。尚、雨漏りや隙間風侵入の防止を確実にするために、連結ホルダ24の枠内にパッキンを装着しておくことが好ましい。
【0038】
3棟以上の移動式ユニットハウス1を連結する場合でも、同様にして、前後に移動式ユニットハウス1を縦列配置して、連結ホルダ24と貫通桿22,22を用いて各移動式ユニットハウス1を連結することができる。
【0039】
このように、本実施例の移動式ユニットハウス1は、床部の底部に貫通鞘管10,10を備えると共に、前後の平壁3a,3aの出入口6,6に同型の連結フレーム6bを備えたことで、結ホルダ24と貫通桿22,22を用いて複数の移動式ユニットハウス1を連結し、任意の数だけ部屋数を増設することが可能となる。
【実施例3】
【0040】
実施例1の移動式ユニットハウス1は、貫通鞘管10を用いて、テラスや階段を装着することも可能である。実施例3では、デッキや階段を装着する場合に関して説明する。
図7は、移動式ユニットハウス1に出入口デッキ25を装着した例を示す斜視図である。
図7(a)は全体図、
図7(b)は部分分解拡大図である。
【0041】
出入口デッキ25は、矩形枠状の台枠部25a、台枠部25a下面の前方の2隅に下向きに突設された脚部25b、台枠部25aの上面を覆うように覆設された矩形板状の上板部25c、及び台枠部25aの背面側に左右一対に取り付けられた連結管25d,25dを具備する。上板部25cは、複数の同幅の長尺矩形板を平行に並べて構成されている。連結管25d,25dは、移動式ユニットハウス1の貫通鞘管10と同幅の左右の位置に配設されており、貫通鞘管10に挿設された貫通桿22の先端部に嵌合可能である。
【0042】
このように移動式ユニットハウス1を地面に固定した後に、左右の貫通桿22,22の前側先端部に出入口デッキ25の連結管25d,25dを嵌合して出入口デッキ25を装着することで、出入口6の手前に容易にデッキを設けることができる。また、同様にして、出入口デッキ25の代わりに階段を設けることも可能である。
【実施例4】
【0043】
実施例4では、移動式ユニットハウス1の採光窓7の構造の詳細について説明する。
図8は、
図1の採光窓7に用いられる障子7aの構成を表す斜視図である。
図8(a)は障子7aの全体斜視図、
図8(b)は
図8(a)の框7bの斜視図、
図8(c)は
図8(a)の硝子ブロック7cの斜視図である。また、
図9は、
図8(a)のA−A線断面図である。
【0044】
採光窓7は、妻壁3bの上部に設けられた窓枠7dに対して、蝶番(図示せず)によって木製の障子7aが回動自在に軸枢された片開き窓である。障子7aは、
図8(a)に示した通り、框7b及び4つの硝子ブロック7cにより構成されている。框7bは、矩形状の外框7b2の内側に該矩形を4等分するように十字状の内框7b3を備え、外框7b2の内側に4つの正方形の窓孔7b4が形成されている。これらの正方形の窓孔に硝子ブロック7cが嵌め込まれている。そして、各窓孔7b4の内側面の全体には、窓孔7b4の周方向に沿って、複数の阻滑条溝7b1が平行且つ等間隔で刻設されている。これにより、各窓孔7b4の内側面の全体が波面状に形成されている。一方、硝子ブロック7cは、偏平四角柱状の中空箱型に形成された透光性の硝子成形体7c1と、硝子成形体7c1の外側面の上縁及び下縁に、それぞれ環装された環帯状のシーリング材7c2,7c2とを備えている。各シーリング材7c2は、ゴム等の弾性体で構成されている。窓孔7b4に硝子ブロック7cが嵌め込まれたとき、
図9に示すように、シーリング材7c2,7c2は窓孔7b4の内側面に密着し気密となる。窓孔7b4の内側面には、阻滑条溝7b1が形成されており、シーリング材7c2は、その弾性によって、嵌め込まれた際にこの阻滑条溝7b1に食い込む。また、障子7aは木製であるため、表面がざらつきにより摩擦が大きい。従って、接着剤や固定具を使用しなくても硝子ブロック7cは窓孔7b4内に頑丈に固定される。また、硝子ブロック7cを窓孔7b4から取り外す際には、硝子ブロック7cを手で強く押し又は硝子が割れない程度の強さで、手でトントンと叩打することで、容易に取り外すことができる。また、障子7aは木製であるため、空気中の水分を吸収して僅かに膨張する。そのため、雨天時のように湿度の高いときには障子7aは硝子ブロック7cにより強く密着し、雨水の浸入を防止することができる。
【0045】
このように、本実施例では、障子7aを木製として、各窓孔7b4の内側面に阻滑条溝7b1を設け、各硝子ブロック7cの周側面に弾性を有するシーリング材7c2を備えたことにより、接着剤や固定具を使用することなく窓孔7b4に硝子ブロック7cを容易に固定し及び脱着することができ、窓孔7b4に硝子ブロック7cを嵌め込んだ状態に於いては、雨水の浸入を効果的に防止することができる。
【実施例5】
【0046】
実施例2では、貫通鞘管10と貫通桿22を用いて、2棟以上の移動式ユニットハウス1を連結する実施例を示したが、本実施例では、さらに実施例1で説明した移動式ユニットハウス1を、貫通鞘管10、貫通桿22、及び出入口デッキ26を用いて複数連結する実施例を示す。
図10及び
図11は、本実施例における2棟連結移動式ユニットハウスの組み立て過程を表す図である。
図11,
図12において、移動式ユニットハウス1A,1Bは、実施例1で説明した移動式ユニットハウス1である。
【0047】
まず、
図10(a)に示すように、移動式ユニットハウス1A,1Bを、互いの背面側の側面を向かい合わせた状態で設置する。このとき、移動式ユニットハウス1Aの左側の貫通鞘管10と移動式ユニットハウス1Bの左側の貫通鞘管10とが一直線上となり、且つ移動式ユニットハウス1Aの右側の貫通鞘管10と移動式ユニットハウス1Bの右側の貫通鞘管10とが一直線上となるように配置する。また、各移動式ユニットハウス1A,1Bには、それぞれ、左向鞘管11,11及び右向鞘管12,12に、4つの着脱式車輪20,20,20,20を装着し、前後方向に自由に移動できるようにしておく。そして、この状態で、移動式ユニットハウス1A,1Bの左右の貫通鞘管10,10に、それぞれ貫通桿22,22を通すことにより、移動式ユニットハウス1A,1Bを連結する。このとき、移動式ユニットハウス1A,1Bは、間隔を開けおく。
【0048】
次に、
図10(b)に示すように、移動式ユニットハウス1A,1Bの間の左右の貫通桿22,22に、上側から1乃至複数の出入口デッキ26を嵌め込む。
図10(b)の例では、4つの出入口デッキ26が嵌め込まれている。ここで、各出入口デッキ26は
図12(a)に示したような、簀子状に形成されており、太い木の角材からなる5本の横桟26aを平行に並べ、それらの横桟26aの上に、長尺な木の板からなる4枚の簀子板26bを直角に打ち付けたものである。左右両端の最外側の横桟26a,26aの内幅Lは、2つの貫通桿22,22の間の外幅(
図12(b)参照)と同一乃至は僅かに広くなるように構成されている。従って、出入口デッキ26を貫通桿22,22の上側から嵌め込むだけで、出入口デッキ26は貫通桿22,22上に前後(貫通桿22,22に垂直な方向)に動揺することなく半固定される。そして、左右の移動式ユニットハウス1A,1Bを接近する方向に移動させて、各出入口デッキ26が移動式ユニットハウス1A,1Bの間の貫通桿22,22上に隙間なく敷き詰められた状態とする。次いで、
図12(b)に示すように、各貫通桿22の左右の端からナット23a,23aを螺着し、左右のナット23a,23aを締結することによって、4つの出入口デッキ26を挟んで左右の移動式ユニットハウス1A,1Bを締め上げる。これにより、移動式ユニットハウス1A,1Bの間の各出入口デッキ26は完全に固定される。
【0049】
次に、
図11(a)に示すように、扛重機を使って床部2を扛上(ジャッキアップ)して各着脱式車輪20を抜き外した後、扛下(ジャックダウン)して、柱受固定金具21が履着された各隅柱5の下端を接地させる。そして、各貫通桿22,22の両端を、地面に打ち込んだ固定杭27により地面に固定する。これにより、大風や地震等の際にも移動式ユニットハウス1A,1Bが移動したり転倒したりする事故が防止される。
【0050】
最後に、
図11(b)に示すように、移動式ユニットハウス1A,1Bの左右に突き出した貫通桿22,22上に、それぞれ出入口デッキ26が嵌め込んで、左右側の入り口のデッキを形成する。これにより、本実施例における2棟連結移動式ユニットハウスの組み立てが完成する。
【0051】
以上のように、本実施例のように2棟の移動式ユニットハウス1A,1Bを、貫通鞘管10,10及び貫通桿22,22を用いて連結し、貫通桿22,22上に出入口デッキ26を嵌着することで、出入口にデッキを設けたユニットハウスを容易に設置することができる。尚、本実施例では2棟の移動式ユニットハウス1A,1Bを連結する例を示したが、同様の手法によって3棟の移動式ユニットハウス1を連結して設置することもできる。