特許第6698982号(P6698982)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6698982
(24)【登録日】2020年5月7日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】浴用材およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/64 20060101AFI20200518BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20200518BHJP
   A61K 8/9794 20170101ALI20200518BHJP
【FI】
   A61K8/64
   A61Q19/10
   A61K8/9794
【請求項の数】10
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-65375(P2016-65375)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-178807(P2017-178807A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年10月2日
(73)【特許権者】
【識別番号】510076960
【氏名又は名称】下山縫製有限会社
(73)【特許権者】
【識別番号】591032703
【氏名又は名称】群馬県
(74)【代理人】
【識別番号】100165423
【弁理士】
【氏名又は名称】大竹 雅久
(72)【発明者】
【氏名】下山 湧司
(72)【発明者】
【氏名】清水 弘幸
【審査官】 辰己 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−095865(JP,A)
【文献】 特開2007−175685(JP,A)
【文献】 特開2002−249435(JP,A)
【文献】 特開2006−213676(JP,A)
【文献】 特開平11−308977(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K8/00− 8/99
A61Q1/00−90/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生糸に天然染料が染着されており、
温水中における24時間経過後の重量減少率が5%以上であることを特徴とする、浴用材。
【請求項2】
前記生糸における繊度が500d以上20,000d以下であることを特徴とする、請求項1に記載の浴用材。
【請求項3】
前記温水に関して、その温度が30℃以上50℃以下であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の浴用材。
【請求項4】
前記天然染料がウコンであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか一項に記載の浴用材。
【請求項5】
生糸に対して、天然染料により染色する工程およびタンパク質分解酵素の溶液に浸漬させる工程を備えることを特徴とする、浴用材の製造方法。
【請求項6】
前記工程に関して、天然染料により染色する工程の後にタンパク質分解酵素の溶液に浸漬させる工程を行うことを特徴とする、請求項に記載の浴用材の製造方法。
【請求項7】
前記タンパク質分解酵素がサブチリシンであることを特徴とする、請求項または請求項に記載の浴用材の製造方法。
【請求項8】
前記タンパク質分解酵素の溶液に浸漬させる工程に関して、溶液1L中の活性が1AU以上20AU以下の範囲、溶液の温度が30℃以上70℃以下の範囲であり、浸漬の時間が1秒以上30分以下の範囲で処理することを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の浴用材の製造方法。
【請求項9】
前記浴用材に関して、温水中における24時間経過後の重量減少率が5%以上であることを特徴とする、請求項のいずれか一項に記載の浴用材の製造方法。
【請求項10】
前記温水に関して、その温度が30℃以上50℃以下であることを特徴とする、請求項に記載の浴用材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生糸に天然染料が染着した染色物から、温水中においてセリシンおよび染料が溶出する性質を利用して、それらが有する機能性や着色効果により一種の入浴剤として利用可能な浴用材およびその製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
生糸は、フィブロインとセリシンの2種類のタンパク質から構成されている。主成分はフィブロインで、蚕から吐出された繭糸は2本のフィブロイン繊維が水溶性タンパク質のセリシンで接着されている。このセリシンを除去することにより、光沢に優れた練絹(ねりぎぬ)が得られ、通常はこの糸を絹糸として使用する。本明細書では、蚕が吐糸した繭を原料とする糸で、セリシンを除去していない段階の絹の糸を広義の生糸として定義し、後述するきびそや繭も含むこととする。
【0003】
従来セリシンは生糸から除去されるのが一般的であり、廃棄物とされてきた。しかしながら、近年セリシンに保湿性、紫外線吸収性、抗酸化性、皮膚炎症防止作用、コラーゲン産生促進作用など様々な機能性があることが注目され、食品、化粧品、医薬品など各分野に利用されている。
【0004】
きびそは、蚕が繭を作る際に最初に吐き出す糸であり、通常の絹糸に比べて太く、その太さも均一ではなく加工が困難であることから、工業的にはあまり利用されていない。したがって、通常は製糸工程から産出される副産物として廃棄される。しかしながら、きびそに含有されるセリシンは、通常の生糸と比較してその割合が高いことから、セリシンが有する機能性にも優れると考えられている。
【0005】
このようなきびその機能性が注目され、これまでにもきびそを有効に利用した製品開発への取り組みが行われている。例えば、鶴岡織物工業協同組合では「鶴岡シルクプロジェクト」としてきびそを活用した新素材開発を行っている。具体的な製品として、きびそを使用したスーツ、タペストリー、バッグ等が開発されている。
【0006】
一方、ショウガ科のウコン(学名:Curcuma Longa L)の根茎部は古くから薬用、食品用着色料として使用されており、カレー粉の主要原料として知られている。近年、ウコンを活用した食品が生産、販売され、健康食品としてのサプリメント剤として市販されている。その機能性としては抗炎症作用、抗菌作用、抗腫瘍作用が報告されている。また、ヒトの消化系・肝臓の症状改善、試験管レベルでの実験や動物等における効果が報告されている。
【0007】
セリシンは水溶性のタンパク質であるが、入浴時のような温水中ではほとんど溶解しない。しかしながら、タンパク質分解酵素を使用した前処理を行うことにより、温水中で効果的にセリシンが溶出することから浴用材としての利用が可能となる。その際に天然染料とりわけウコンによる染色を行うことで、温水中で染料が溶出して着色する効果およびその機能性が付加され、機能性を有する成分が溶出される浴用材として、その利用価値を高めることができる。
【0008】
きびそに関する文献では、きびそを使用した織物を壁紙として使用する例(特許文献1)、きびそ等を原料としてガス吸着能に優れた炭化繭を製造する方法(特許文献2)、きびそを使用した糸巻取枠スタンド(特許文献3)、セリシン抽出装置(特許文献4)、反応染料を用いた染色方法(特許文献5)、ポリエステル物品への付着(特許文献6)等がある。しかしながら、きびそを使用した浴用材、ウコンのような天然染料を使用したきびそに関係する文献は見当たらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2011-47092号公報
【特許文献2】特開2005-273077号公報
【特許文献3】特開2002-79799公報
【特許文献4】特開2007-175685公報
【特許文献5】特開2004-76224公報
【特許文献6】特開2003-171874公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
きびそを利用した製品開発では、生地を製織する場合には手機を使用して通常はヨコ糸としての使用に制限される。また、きびそ以外の素材との混紡による糸を開発するなどきびそをそのままの形態で利用する例は少ない。
【0011】
一方、きびそに含まれるセリシンは水に難溶であり、アルカリ性の熱水には溶解することが知られているが、温水中ではほとんど溶解しない。したがって、入浴時におけるセリシンの溶出は限定的であり、そのような用途での利用はこれまで想定されなかった。
【0012】
これらに対して本発明は、あらかじめタンパク質分解酵素による前処理を行うことにより、40℃の温水中でもセリシンが効果的に溶出する性質を付与し、かつきびそを100%使用した浴用材およびその製造方法を提供する。
【0013】
さらに、きびそを天然染料とりわけウコンで染色することにより、40℃の温水中でウコンが溶出して、入浴中に温水が着色する効果およびウコンが有する機能性の発現が期待できる。これまでにウコンは食品として利用されてきたが、きびそをウコンで染色した浴用材は見当たらない。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、きびそに対してあらかじめタンパク質分解酵素による前処理を行うことにより、温水中で時間経過とともにセリシンの溶出量が増加することを確認した。セリシンの溶出は、40℃の温水中にきびそを所定時間振とうし、その前後の重量変化により評価した。
【0015】
一方、ウコンの溶出は、40℃の温水中にウコンで染色したきびそを所定時間振とうした後サンプリングした溶液について、分光光度計を使用して吸収スペクトルを求めることにより溶出の程度を評価した。その結果、時間の経過とともに吸光度の増加が認められたことから、時間の経過とともにウコンが溶出することが示された。
【0016】
これらから、40℃の温水中においてセリシンおよびウコンが溶出することが確認され、きびそを浴用材として利用可能と判断し、本発明に至った。また、この浴用材はこれまでにきびそを利用した製品とは異なり、きびそを100%使用した製品という点で新たな有効利用法ともなりうる。
【0017】
具体的解決手段として本発明は、次の(1)〜(1)に示される。
(1)生糸に天然染料が染着されており、温水中における24時間経過後の重量減少率が5%以上であることを特徴とする、浴用材。
(2)前記生糸における繊度が500d以上20,000d以下であることを特徴とする、(1)に記載の浴用材。
3)前記温水に関して、その温度が30℃以上50℃以下であることを特徴とする、(または(2)に記載の浴用材。
)前記天然染料がウコンであることを特徴とする、(1)〜()のいずれか一項に記載の浴用材。
)生糸に対して、天然染料により染色する工程およびタンパク質分解酵素の溶液に浸漬させる工程を備えることを特徴とする、浴用材の製造方法。
)前記工程に関して、天然染料により染色する工程の後にタンパク質分解酵素の溶液に浸漬させる工程を行うことを特徴とする、()に記載の浴用材の製造方法。
)前記タンパク質分解酵素がサブチリシンであることを特徴とする、()または()に記載の浴用材の製造方法。
)前記タンパク質分解酵素の溶液に浸漬させる工程に関して、溶液1L中の活性が1AU以上20AU以下の範囲、溶液の温度が30℃以上70℃以下の範囲であり、浸漬の時間が1秒以上30分以下の範囲で処理することを特徴とする、()〜()のいずれか一項に記載の浴用材の製造方法。
)前記浴用材に関して、温水中における24時間経過後の重量減少率が5%以上であることを特徴とする、()〜()のいずれか一項に記載の浴用材の製造方法。
(1)前記温水に関して、その温度が30℃以上50℃以下であることを特徴とする、()に記載の浴用材の製造方法。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、ウコンで染色したきびそに対して、あらかじめタンパク質分解酵素による前処理を行うことにより、温水中で効果的にセリシンが溶出する性質を付与するとともに、ウコンが溶出する性質を利用して、一種の入浴剤としての利用が可能な浴用材を提供する。ウコンにより染色したきびそを浴用材として使用する際、時間の経過とともに染色したきびそからセリシンおよびウコンの溶出量が増加する。セリシンは保湿性など入浴剤として必要な機能性を有しており、ウコンは鮮明な黄色の天然染料であるため入浴時における着色効果とともに、抗炎症作用、抗菌作用、抗腫瘍作用といった機能性を有している。これらから、入浴時においてもセリシンおよびウコンが有する各機能性の発現が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】タンパク質分解酵素を使用した前処理法のフロー図である。
図2】温水中におけるきびその重量減少率と時間との関係図である。
図3】温水中におけるきびそからのウコン溶出液について、波長300〜800nmにおける各経過時間の吸収スペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明に係る浴用材は、生糸とりわけきびそに対し、天然染料とりわけウコンによる染色を行った後、タンパク質分解酵素とりわけアルカラーゼ(登録商標)2.5L(ノボザイムズ(株)製)による前処理を行った浴用材である。本発明は、温水中で上記前処理によりセリシンが溶出することに加えて、天然染料の溶出により温水が着色されることから、温水中でセリシンおよび天然染料が溶出する浴用材およびその製造方法を提供する。
【0021】
きびそは、蚕が繭を作る際に最初に吐き出す糸であるが、繭の外側で繊度の不均一な部分を集めて一つの塊とし、手で紡ぎ乾燥させて作られる。きびその繊度(糸の太さを表す単位d(デニール):9000mあたりの質量(g))は500d以上20,000d以下が好ましい。500d未満では溶出するセリシンの量が少なく、セリシンが有する機能性の発現が十分には期待できない。20,000dを超えると、巻き取りなどの取扱いが困難となる可能性がある。
【0022】
染色の工程は、以下のとおりとする。まず、あらかじめ温水で生糸とりわけきびそを10〜60分間浸漬する。次に、天然染料とりわけウコンを質量濃度5〜20%で、80〜90℃で10〜30分間染料を抽出する。その後、抽出液から固形物を除去した後の染色液にきびそ5〜20gを投入し、80〜90℃で10〜60分間染色を行う。染色したきびそが乾燥した後、洗浄して再度乾燥させる。以上の工程によりきびそに対して所定の染料が染着し、温水中で染料が溶出して着色する効果や溶出した染料の成分が有する機能性の発現が期待できる。
【0023】
前処理の工程は、以下のとおりとする。まず、非イオン界面活性剤および炭酸水素ナトリウムの溶液を調製する。次に、きびそと溶液の質量比を表す浴比1:50〜1:100できびそを投入する。その後、30〜70℃に加熱してタンパク質分解酵素とりわけアルカラーゼ2.5L(酵素活性:2.5AU/g)を、酵素溶液1L中の活性が1AU以上20AU以下の範囲で添加し、1秒以上30分以下の間、酵素処理を行う。最後に、きびそを洗浄する。これらの工程により、その後きびそを温水中に浸漬させた際、時間の経過とともにセリシンが効果的に溶出する。きびそを洗浄した後は乾燥処理を行わない方が望ましい。乾燥処理を行わないことにより、その後の温水中におけるセリシンを効果的に溶出させることができる。また、きびそを洗浄した後、乾燥処理を行ってもよい。乾燥処理により巻き取りなどの加工が容易となる。
尚、アンソン単位(AU:Anson Unit)とはヘモグロビンを基質として、37℃、pH7.5で1分間に1.0μmolのチロシンを遊離する酵素活性である。
【0024】
本発明に係る浴用材は、例えば糸状であるきびそを直径約1m程度の円形に巻き取った形状とし、この円形状を任意で畳むなどしてメッシュ状の袋に入れた形態とする。袋の形状はネット状でもよい。浴用材は、きびそを裁断した形態でもよい。また、きびそをたて糸およびよこ糸に使用した織物、または編物でもよい。この場合、袋を使用せずにそのままの形態で浴用タオルとして使用してもよい。
【実施例】
【0025】
以下に実施例を挙げて詳述するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(原材料)
本研究で使用するきびそは、繊度が約4,900dのものを使用した。
【0026】
(染色方法)
あらかじめ、40〜50℃の温水できびそ10gを30分間浸漬した。その後、ウコン粉末100gを約5Lの水に入れ、80℃で15分間染料の抽出を行った。この抽出液をろ過して固形物を除去した染色液3Lにきびそを入れ、80〜90℃で30分間染色した。染色したきびそを一度乾燥した後、洗浄して再度乾燥した。
【0027】
(試験用試料作製)
染色を行っていないきびそに対して、小型の綛揚機(1周1m)を使用して17周程度手動による巻き取りを行った。長さ約30cmにカットして一方を綿糸で縛り固定し、セリシンの溶出試験用試料とした。また、染色したきびそについても同様の方法でウコンの溶出試験用試料を作製した。
【0028】
(前処理)
染色を行っていないきびそに対して、セリシン溶出を促進するための前処理を以下のとおり行った。まず、250mL三角フラスコにシュネルEC5(モーリン化学工業(株)製)1g/Lおよび炭酸水素ナトリウム(旭硝子(株)製重炭酸ナトリウム)5g/Lの溶液を200mL調製した。この溶液に約3gのセリシン溶出試験用試料を入れ、55℃に加熱した時点でタンパク質分解酵素溶液(ノボザイムズ(株)製アルカラーゼ2.5L)の濃度が2g/L、酵素溶液1L中の活性が5AUとなるよう添加して、3分間酵素処理を行った。その後、試料を取り出して洗浄した。以上の工程のフロー図を図1に示す。
【0029】
前処理で使用するタンパク質分解酵素は、サブチリシンとりわけアルカラーゼ2.5Lが好ましい。タンパク質分解酵素溶液1L中の活性は1AU以上20AU以下の範囲が好ましい。1AU未満では分解されるセリシンが少ないため、その後の温水中でのセリシンの溶出が不十分となると考えられる。20AUを超えると、前処理の段階でセリシンの分解が進行し、その後の温水中でのセリシンの溶出が不十分となる可能性がある。前処理の温度は30℃以上70℃以下が好ましい。30℃未満、70℃を超える場合には、酵素の活性が著しく低下する可能性がある。前処理の時間は1秒以上30分以下が好ましく、より好ましくは1分以上5分以下である。1秒未満ではセリシンがほとんど分解されず、30分を超えるとセリシンの分解が進行し、その後の温水中でのセリシンの溶出が不十分となると考えられる。
【0030】
タンパク質分解酵素の種類としては、商品名ではアルカラーゼ2.5Lのほかに、アルカラーゼ(登録商標)2.4LFG、ニュートラーゼ(登録商標)0.8L、1.5MG、プロタメックス(登録商標)、フレーバーザイム(登録商標)1000L、500MG、パンクレアティック トリプシン ノボPTN6.0S(以上、ノボザイムズ(株)製)、プロテアックス(登録商標)、ニューラーゼ(登録商標)F3G、A、F、パパインW-40、ブロメラインF、パンクレアチンF、プロテアーゼA「アマノ」SD、プロテアーゼM「アマノ」SD、プロテアーゼP「アマノ」3SD、ペプチダーゼR、サモアーゼ(登録商標)PC10F、プロチンSD-AY10、プロチンSD-NY10(以上、天野エンザイム(株)製)、エンチロンSAL-300、SA-100、SA-150P、ALK-4、NBS-100(以上、洛東化成工業(株)製)、オリエンターゼ(登録商標)AY、10NL、90N、20A、OP、22BF、テトラーゼ(登録商標)S、ヌクレイシン(登録商標)(以上、エイチビィアイ(株)製)、プロテアーゼYP-SS、パンチダーゼ(登録商標)NP-2、MP、P、アロアーゼ(登録商標)AP-10、NP-10、XA-10(以上、ヤクルト薬品工業(株)製)、Proteinase K(タカラバイオ(株)製)、セリコンC(幸新堂化学工業所)等が挙げられる。これらのほか、キモトリプシン、トリプシン、エラスターゼ、パパイン、カテプシン、リソソームカテプシン、ブロメライン、フィシン、ペプシン、キモシン、レニン、サーモリシン、カルボキシペプチダーゼA、アンジオテンシン等が挙げられる。
【0031】
(セリシンの溶出評価)
セリシンの溶出試験用試料約3gを105℃で2時間乾燥処理を行った。その後、JIS L 1096における標準状態(20±2℃、65±4%R.H.)で4時間静置して重量を小数点以下4桁まで正確にはかりとり、この値を初期の試料重量とした。次に、試料に対して前処理を行う場合、上記の前処理を行った後、250mL三角フラスコに試料を入れ、40℃の温水200mLを加えた後、浴比1:67にて40℃の恒温振とう水槽(トーマス科学器械(株)製Thomastat Shaker T-22S)で所定時間(1,5,24h)、振とう幅約33mm、振とう数30回/分で振とうした。その後、試料を取り出して105℃で2時間乾燥処理を行い、上記の標準状態で4時間静置した後、重量測定を行った。以下の式により重量減少率を求め、この値が大きいほどセリシンの溶出量が多いと評価した。
重量減少率(%)= {(初期の試料重量)−(所定時間後の試料重量)}×100/(初期の試料重量)
【0032】
前処理を行った場合(前処理あり)と行わない場合(前処理なし)での重量減少率を図2に示す。前処理を行っていない試料では、24時間経過後においても0.5%であり、ほとんど重量減少が認められなかった。これに対して、前処理を行った試料では、前処理のみで3.8%重量が減少した後、時間の経過とともにさらに重量が減少し、24時間経過後で9.6%まで減少した。24時間で5.8%重量が減少したことから、前処理によりセリシンの溶出が促進されることが確認できた。
【0033】
(ウコンの溶出試験)
ウコンの溶出試験用試料をJIS L 1096における標準状態(20±2℃、65±4%R.H.)で4時間静置した。その後、試料の重量について約3gをはかりとった。次に、250mL三角フラスコに試料を入れ、40℃の温水200mLを加えて40℃の恒温振とう水槽にて所定時間(5, 15, 60, 120, 240,480min)、振とう幅約33mm、振とう数30回/分で振とうした後、5mLバイアル瓶に溶出液を3mLサンプリングした。
【0034】
(分光光度計による吸光度測定)
サンプリングした溶液はセル(10mm×10mm×45mm)に入れ、日立製作所(株)製分光光度計U-3300を使用し、各試料について波長300〜800nm、スキャン速度300nm/min、スリット幅5nmにて吸光度測定を行った。
【0035】
各サンプルについて得られた吸収スペクトルを図3に示す。その結果、低波長側になるにつれて徐々に吸光度が増加していくスペクトルが得られた。また、その溶出液からは時間の経過とともに黄色の着色が確認され、300〜500nm付近における吸収の強度が増加した。特に、経過時間1時間までの吸光度の増加が顕著であった。したがって、時間の経過とともにウコンの溶出も増加することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明によると、きびそからセリシンおよびウコンが時間の経過とともに温水中に溶出する性質を利用して、浴用材として使用することにより産業廃棄物とされるきびその新たな有効利用法としての寄与が期待できる。



図1
図2
図3