(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付の図面を参照し、本発明の好ましい実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形されることができ、本発明の範囲は以下で説明する実施形態に限定されない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野で平均的な知識を有する者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。図面における要素の形状及び大きさなどはより明確な説明のために誇張されることがある。
【0011】
図1は、本発明の一実施形態による印刷回路基板の製造のための樹脂付き金属箔の断面図である。
【0012】
図1を参照すると、本発明の一実施形態の樹脂付き金属箔100は、金属箔10の一面に樹脂層20が形成される。
【0013】
上記樹脂層20は、ナフタレン系エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、及び沸点150℃以下の溶剤に溶けるポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂を含む。
【0014】
上記ナフタレン系エポキシ樹脂は、常温、例えば、20±5℃で液状相のナフタレン系エポキシ樹脂であることが好ましく、ナフタレン系エポキシ樹脂の当量は、160以下であることが好ましい。
【0015】
上記ナフタレン系エポキシ樹脂の当量が160を超えると、樹脂層20が均一に形成されず、半田耐熱性が低下する。
【0016】
上記エポキシ樹脂硬化剤は、フェノールアラルキル型樹脂、ナフトールアラルキル型樹脂、
ノボラック型フェノール樹脂、窒素含有ノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、ビフェニル型フェノール樹脂及びトリフェニル型フェノール樹脂からなる群より選択される何れか1つ以上を含む。
【0017】
上記エポキシ樹脂硬化剤の含量は、硬化させる樹脂に対する反応当量から導出されるもので、特に量は限定されず、上記ナフタレン系エポキシ樹脂を十分に硬化させる程度で含有することが好ましい。
【0018】
上記沸点150℃以下の溶剤に溶けるポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂は、芳香族を有するバルキー(bulky)なジアミンと酸無水物を反応させて製造してもよい。
【0019】
使用可能な芳香族ジアミンとしては、特に限定されないが、エーテル(Ether)系として1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(1,3−Bis(4−aminophenoxy)benzene)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(1,3−Bis(4−aminophenoxy)biphenyl)、2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(2,2−Bis[4−(4−aminophenoxy)phenyl]propane)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(2,2−Bis[4−(4−aminophenoxy)phenyl]hexafluoropropane)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(Bis[4−(4−aminophenoxy)phenyl]sulfone)、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(Bis[4−(3−aminophenoxy)phenyl]sufone)、4,4'−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ジフェニルエーテル(4,4'−Diamino−2,2'−bis(trifluoromethyl)diphenyl ether)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,3,5−トリメチルベンゼン(1,4−Bis(4−aminophenoxy)−2,3,5−trimethylbenzene)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)−2,5−ジ−t−ブチルベンゼン(1,4−Bis(4−aminophenoxy)−2,5−di−t−butylbenzene)、1,4−ビス[4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ]ベンゼン(1,4−Bis[4−amino−2−(trifluoromethyl)phenoxy]benzene)、2,2−ビス[4−[4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェニル]ヘキサフルオロプロパン(2,2−Bis[4−[4−amino−2−(trifluoromethyl)phenyl]hexafluoropropane)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン(1,3−Bis(4−aminophenoxy)propane)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ブタン(1,4−Bis(4−aminophenoxy)butane)、1,5−ビス(4−アミノフェノキシ)ペンタン(1,5−Bis(4−aminophenoxy)pentane)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ネオペンタン(1,3−Bis(4−aminophenoxy)neopentane)、2,5−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル(2,5−Bis(4−aminophenoxy)−biphenyl)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)−5−(2−フェニルエチニル)ベンゼン(1,3−Bis(4−aminophenoxy)−5−(2−phenylethynyl)benzene)、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)−5−(2−フェニルエチニル)ベンゼン(1,3−Bis(3−aminophenoxy)−5−(2−phenylethynyl)benzene)、2,4−ジアミノ−4'−フェニルエチニルジフェニルエーテル(2,4−Diamino−4'−phenylethynyldiphenyl ether)、ビフェニル系として4,4'−ジアミノ−2,2'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル(4,4'−Diamino−2,2'−bis(trifluoromethyl)biphenyl)、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルジベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド(3,7−Diamino−2,8−dimethyldibenzothiophene−5,5−dioxide)、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル(4,4'−Bis(4−aminophenoxy)biphenyl)、4,4'−ビス(4−アミノベンズアミド)−3,3'−ジヒドロキシビフェニル(4,4'−Bis(4−aminobenzamide)−3,3'−dihydroxybiphenyl)、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(2,2−Bis(3−amino−4−hydroxyphenyl)propane)、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン(9,9−Bis(4−aminophenyl)fluorene)、4,4'−ジアミノジフェニルケトン(4,4'−diaminodiphenyl ketone)、2,2−ビス[4−{4−アミノ−2−(トリフルオロメチル)フェノキシ}フェニル]ヘキサフルオロプロパン(2,2−Bis[4−{4−amino−2−(trifluoromethyl)phenoxy}phenyl]hexafluoropropane)、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ケトン(Bis{4−(4−aminophenoxy)phenyl}ketone)、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}ヘキサフルオロプロパン(2,2−Bis{4−(4−aminophenoxy)phenyl}hexafluoropropane)、2,2−ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}プロパン(2,2−Bis{4−(4−aminophenoxy)phenyl}propane)、スルホン系として4,4'−ジアミノジフェニルスルホン(4,4'−Diaminodiphenyl sulfone)、ビス{4−(4−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン(Bis{4−(4−aminophenoxy)phenyl}sulfone)、ビス{4−(3−アミノフェノキシ)フェニル}スルホン(Bis{4−(3−aminophenoxy)phenyl}sulfone)、3,7−ジアミノ−2,8−ジメチルベンゾチオフェン−5,5−ジオキシド(3,7−Diamino−2,8−dimethyl dibenzothiphene−5,5−dioxide)などが挙げられる。
【0020】
酸無水物としては、ピロメリト酸二無水物(Pyromellitic Dianhydride)、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'−benzophenone tetracarboxylic dianhydride)、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(biphenyl tetracarboxylic acid dianhydride)、3,4,3',4'−ジフェニルスルホンテトラ−カルボン酸二無水物(3,4,3'4'−diphenyl sulfone tetra−carboxylic dianhydride)、3,3'4,4'−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(3,3',4,4'−diphenyl ether tetracarboxylic acid dianhydride)、2,3,4−テトラヒドロフランテトラ−カルボン酸酢酸二無水物(2,3,4−tetrahydro furan tetra−carboxylic acid acetic acid dianhydride)、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(1,2,5,6−naphthalenetetracarboxylic dianhydride)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(2,3,6,7−naphthalenetetracarboxylic dianhydride)、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物(1,4,5,8−naphthalenetetracarboxylic dianhydride)、2,3,5,6−ピリジンテトラカルボン酸二無水物(2,3,5,6−pyridinetetracarboxylic dianhydride)、m−ターフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物(m−terphenyl−3,3',4,4'−tetracarboxylic dianhydride)、p−ターフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物(p−terphenyl−3,3',4,4'−tetracarboxylic dianhydride)、4,4−オキシジフタル酸二無水物(4,4−oxydiphthalic dianhydride)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2、2−ビス(2,3 or 3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニルプロパン二無水物(1,1,1,3,3,3−hexafluoro−2,2−bis(2,3 or 3、4−dicarboxyphenoxy)phenylpropane dianhydride)、2,2、−ビス[4−(2,3 or 3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニルプロパン二無水物(2,2−bis[4−(2、3 or 3,4−dicarboxyphenoxy)phenyl]propane dianhydride)、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス[4−(2,3 or 3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(1,1,1,3,3,3、−hexafluoro−2,2−bis[4−(2,3 or 3,4−dicarboxyphenoxy)phenyl] propane dianhydride)などが挙げられる。
【0021】
沸点が150℃を超える溶剤に溶けるポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂の場合、沸点が150℃を超える高沸点溶剤を使用するため、残存溶剤が多くて、印刷回路基板の製造時に化学銅めっき層との密着力が低下する。
【0022】
このとき、沸点が150℃以下の溶剤には、メチルエチルケトン、ジメチルホルムアミドなどがある。
【0023】
上記ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂の含量は、上記ナフタレン系エポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤の重量の和を100重量部としたとき、5から50重量部であることが好ましい。
【0024】
ポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂の含量が5重量部未満では接着性が低下し、50重量部を超えると、成形性が低下し、樹脂層が不均一に形成される。
【0025】
上記樹脂付き金属箔100は、ナフタレン系エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、及び沸点150℃以下の溶剤に溶けるポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂を含む樹脂組成物に溶剤を添加して樹脂ワニスを製造し、上記樹脂ワニスを金属箔10の一面に塗布して樹脂層20を形成することにより製造することができる。
【0026】
金属箔10に樹脂ワニスを塗布する方法は特に制限されず、ロールコーター、ナイフコーター、ドクターブレードコーター、グラビアコーター、ダイコーター、マルチダイコーター、リバースコーター、リバースロールコーター等で樹脂ワニスの粘度を調節して金属箔10の表面に樹脂層20を形成することができる。
【0027】
上記金属箔10としては、 銅箔、アルミ箔、ニッケル箔またはこれらのうち1つ以上の合金からなる金属箔10を使用する。
【0028】
上記金属箔10の平均表面粗さ(Ra)は0.05μmから0.2μmが好ましく、厚さは0.1μmから5μmが好ましい。
【0029】
上記樹脂層20は、上記金属箔10の表面に0.5μmから10μmの厚さで形成され、上記樹脂層20の硬化度は70%以上であることが好ましい。
【0030】
樹脂層20の硬化度が70%未満では、上記樹脂付き金属箔100を回路パターンを形成する絶縁層上にプレス積層する際に樹脂層20が絶縁層と混合して印刷回路基板の製造時に化学銅めっき層との密着力が低下し、半田耐熱性も減少する。
【0031】
上記樹脂付き金属箔100を用いて製造する印刷回路基板には、ナフタレン系エポキシ樹脂、エポキシ樹脂硬化剤、及び沸点150℃以下の溶剤に溶けるポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂を含む樹脂層が形成される。
【0032】
上記樹脂付き金属箔100を用いて印刷回路基板を製造する場合、剥離強度と半田耐熱性を確保しながらも、微細回路パターンを容易に加工することができる。
【0033】
次に、上記樹脂付き金属箔100を用いて微細回路パターンを有する印刷回路基板を製造する方法について説明する。
【0034】
まず、上記樹脂付き金属箔100の樹脂層20が回路パターンを形成する絶縁層の表面に接するように樹脂付き金属箔100を積層する。積層後、金属箔10をエッチングして除去し、残存する樹脂層20上に回路パターンを形成する。
【0035】
回路パターンを形成する方法は、特に制限されないが、例えば、上記樹脂層20上に化学銅めっき層を形成し、パターニングされためっきレジストを形成した後、電解めっきを行って回路パターンを形成し、上記化学銅めっき層をエッチングして除去する。
【0036】
このように、回路パターンを形成する絶縁層上に上記樹脂付き金属箔100を用いて樹脂層20を形成してから回路パターンを形成すると、剥離強度と半田耐熱性を確保しながらも、表面粗さを小さくして過度なエッチングを防止し、微細回路パターン形成を容易に具現することができる。
【0037】
しかし、上記樹脂付き金属箔100を用いて印刷回路基板を製造する方法は、特に制限されず、当業界に公知の全ての製造方法を用いてもよい。
【0038】
以下では、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、下記実施例により本発明の範囲が制限されるものではなく、本発明の理解を助けるためのものである。
【0039】
<実施例1>
7.2重量部のナフタレン系エポキシ(SE−80、SHIN−A T&C)、10.2重量部のフェノールアラルキル型硬化剤(MEHC−7851S、Meiwa kasei)、7.5重量部のポリアミドイミド(沸点150℃以下の溶剤に溶解)(SORX−S(NKK))、0.6重量部のイミダゾール硬化促進剤からなるワニスを作製した。
【0040】
<実施例2>
5.2重量部のナフタレン系エポキシ(SE−80、SHIN−A T&C)、2.3重量部のビスフェノールA系エポキシ(YD−128K、Kukdo Chemical)、9.9重量部のフェノールアラルキル型硬化剤(MEHC−7851S、Meiwa fkasei)、7.5重量部のポリアミドイミド(沸点150℃以下の溶剤に溶解)(SORX−S(NKK))、0.6重量部のイミダゾール硬化促進剤からなるワニスを作製した。
【0041】
<実施例3>
8.7重量部のナフタレン系エポキシ(SE−80、SHIN−A T&C)、8.8重量部のアミノトリアジン型ノボラック硬化剤(PS6313、GUN EI Chem.Industry Co.Ltd.)、7.5重量部のポリアミドイミド(沸点150℃以下の溶剤に溶解)(SORX−S(NKK))、0.2重量部のイミダゾール硬化促進剤からなるワニスを作製した。
【0042】
<実施例4>
7.1重量部のナフタレン系エポキシ(SE−80、SHIN−A T&C)、1.8重量部のビスフェノールA系エポキシ(YD−128K、Kukdo Chemical)、8.6重量部のアミノトリアジン型ノボラック硬化剤(PS6313、GUN EI Chem.Industry Co.Ltd.)、7.5重量部のポリアミドイミド(沸点150℃以下の溶剤に溶解)(SORX−S(NKK))、0.2重量部のイミダゾール硬化促進剤からなるワニスを作製した。
【0043】
<実施例5>
7.2重量部のナフタレン系エポキシ(SE−80、SHIN−A T&C)、10.2重量部のフェノールアラルキル型硬化剤(MEHC−7851S、Meiwa kasei)、12.2重量部のポリアミドイミド(沸点150℃以下の溶剤に溶解)(SORX−S(NKK))、0.6重量部のイミダゾール硬化促進剤からなるワニスを作製した。
【0044】
<実施例6>
5.6重量部のナフタレン系エポキシ(SE−80、SHIN−A T&C)、2.4重量部のNBR変形エポキシ(Polydis3615、Schill+Seilacher 「Struktol」 GmbH)、9.5重量部のフェノールアラルキル型硬化剤(MEHC−7851S、Meiwa kasei)、7.5重量部のポリアミドイミド(沸点150℃以下の溶剤に溶解)(SORX(NKK))、0.6重量部のイミダゾール硬化促進剤からなるワニスを作製した。
【0045】
<実施例7>
7.3重量部のナフタレン系エポキシ(SE−80、SHIN−A T&C)、1.8重量部のNBR変形エポキシ(Polydis3615、Schill+Seilacher 「Struktol」 GmbH)、8.3重量部のアミノトリアジン型ノボラック硬化剤(PS6313、GUN EI Chem.Industry Co.Ltd.)、7.5重量部のポリアミドイミド(沸点150℃以下の溶剤に溶解)(SORX−S(NKK))、0.2重量部のイミダゾール硬化促進剤からなるワニスを作製した。
【0046】
<実施例8>
7.2重量部のナフタレン系エポキシ(SE−80、SHIN−A T&C)、1.8重量部のクレゾールノボラック型エポキシ(YDCN−500−8P、Kukdo Chemical)、8.5重量部のアミノトリアジン型ノボラック硬化剤(PS6313、GUN EI Chem.Industry Co.Ltd.)、7.5重量部のポリアミドイミド(沸点150℃以下の溶剤に溶解)(SORX(NKK))、0.2重量部のイミダゾール硬化促進剤からなるワニスを作製した。
【0047】
<比較例1>
7.2重量部のナフタレン系エポキシ(SE−80、SHIN−A T&C)、10.2重量部のフェノールアラルキル型硬化剤(MEHC−7851S、Meiwa kasei)、7.5重量部のポリアミドイミド(沸点150℃超の溶剤に溶解)(SORX−OB(NKK))、0.6重量部のイミダゾール硬化促進剤からなるワニスを作製した。
【0048】
<比較例2>
28重量部の2,2'−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、19重量部のトリメリット酸二無水物(Trimellitic anhydride)を260重量部のN−メチルピロリドン(N−methylpyrrolidone)に溶かし、80℃で加熱した後、トルエン(Toluene)を入れて3時間還流させ、生成される水分を除去した。その後、190℃で2時間維持してから、室温に冷却し、25重量部の4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4'−Diphenylmethane Diisocyanate)を添加して170℃で2時間加熱した後、室温に冷却して芳香族ポリアミドイミド(PAI)を合成した。合成されたポリアミドイミドの平均分子量(Mw)は120,000であった。
【0049】
合成したポリアミドイミド7.5重量部、7.2重量部のナフタレン系エポキシ(SE−80、SHIN−A T&C)、10.2重量部のフェノールアラルキル型硬化剤(MEHC−7851S、Meiwa kasei)、0.6重量部のイミダゾール硬化促進剤からなるワニスを作製した。
【0050】
<コーティング例1>
上記実施例1〜8、比較例1及び2のワニスを、それぞれ厚さ20μm、幅600mmの電解銅箔(MT−EX、三井金属)の表面処理面にダイコーターを用いて脱溶剤後の厚さが3μmになるようにコーティングした。コーティングされた銅箔を、80℃、110℃、150℃、170℃に設定された長さ2mのフローティング方式の4つの乾燥炉に2m/分の速度で通過させた。得られた樹脂付き銅箔の硬化度は90%以上であった。
【0051】
<コーティング例2>
上記実施例1のワニスを、厚さ20μm、幅600mmの電解銅箔(MT−EX、三井金属)の表面処理面にダイコーターを用いて脱溶剤後の厚さが3μmになるようにコーティングした。コーティングされた銅箔を、80℃、110℃、150℃、170℃に設定された長さ2mのフローティング方式の4つの乾燥炉に2m/分の速度で通過させた。得られた樹脂付き銅箔の硬化度は45%であった。
【0052】
コーティング例2を行った場合、硬化度が45%と低いため、プレス積層時に樹脂付き銅箔の樹脂層がPPGの樹脂と混合して化学銅めっきとの密着力が低く、半田耐熱性が低下した。
【0053】
<実験例>
上記実施例1〜8、比較例1及び2のワニスで上記コーティング例1を行って得られた10個の樹脂付き銅箔を、CCL、PPGとともに、210℃、130分間3MPaの荷重で積層した。積層後に銅箔をエッチングし、化学銅(1μm)、電気銅(20μm)をめっきした。得られた基材の銅(Cu)−樹脂層の密着力(銅(Cu)−樹脂層の間の90°剥離強度をUTMで測定:P/S)と半田耐熱性(300℃半田槽でサンプルにブリスターが発生する前までの時間を測定、最大5分間観察:T−300)のテストの結果を表1に示した。
【0055】
上記表1を参照すると、上記実施例1〜4は優れた密着力と半田耐熱性を示した。
【0056】
一方、比較例1は、沸点が150℃を超える溶剤に溶けるポリアミドイミドを使用したため、コーティング性が悪く、残存溶媒が多くて、化学銅めっきとの密着力が低下した。また、比較例2は、沸点が150℃を超える溶剤に溶けるポリアミドイミドを使用したが、エポキシ樹脂、硬化剤が均一に混合されずワニスが作れなかった。
【0057】
また、実施例5は、沸点150℃以下の溶剤に溶けるポリアミドイミドを使用し、優れた密着性及び半田耐熱性を示した。但し、ポリアミドイミドの含量が多すぎてワニスの粘度が上昇して成形性が低下し、外観が不均一となった。
【0058】
実施例6〜8は、沸点150℃以下の溶剤に溶けるポリアミドイミドを使用したが、エポキシ樹脂の当量が200を超えて樹脂層が均一に形成されず、半田耐熱性が低下した。