特許第6699146号(P6699146)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6699146
(24)【登録日】2020年5月7日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】インプリント方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20200518BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
   H01L21/30 502D
   B29C59/02 Z
【請求項の数】4
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-235972(P2015-235972)
(22)【出願日】2015年12月2日
(65)【公開番号】特開2017-103369(P2017-103369A)
(43)【公開日】2017年6月8日
【審査請求日】2018年11月21日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】特許業務法人 小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 紘子
【審査官】 佐野 浩樹
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/183263(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0115130(US,A1)
【文献】 特開2009−181617(JP,A)
【文献】 特開2011−258736(JP,A)
【文献】 特開2010−076300(JP,A)
【文献】 特開2005−286061(JP,A)
【文献】 特開2007−281099(JP,A)
【文献】 特開2014−033082(JP,A)
【文献】 特開2009−266901(JP,A)
【文献】 特開2009−279774(JP,A)
【文献】 特開2014−139009(JP,A)
【文献】 特開2013−229475(JP,A)
【文献】 特開2007−083628(JP,A)
【文献】 特開2014−223751(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C53/00 −53/84 、57/00 −59/18 、
H01L21/027、21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光硬化性の転写材料に凹凸パターンを転写するためのインプリント方法であって、
ステージ上に露光光に対して透過性を有するモールドを前記凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置する工程と、
設置された前記モールドの上に前記転写材料を供給する工程と、
前記モールドと、露光光に対して透過性を有する転写基材とで前記転写材料を挟む工程と、
前記転写材料の前記ステージ側と反対側から光を照射して前記転写材料を硬化させる工程と、
硬化した前記転写材料を前記モールドから剥離する工程と、を備え、
前記ステージの表面は、前記転写材料を硬化させる前記光を反射させる反射面であり、
前記転写材料は、前記転写基材を透過して前記転写基材側から入射する前記光と、前記転写基材、前記転写材料および前記モールドを透過し、前記ステージの前記反射面で反射して前記モールド側から入射する前記光とにより露光されることを特徴とする、インプリント方法。
【請求項2】
光硬化性の転写材料に凹凸パターンを転写するためのインプリント方法であって、
ステージ上に露光光に対して透過性を有する転写基材を設置する工程と、
設置された前記転写基材の上に前記転写材料を供給する工程と、
露光光に対して透過性を有し、前記凹凸パターンが形成された面を下に向けたモールドと、前記転写基材とで前記転写材料を挟む工程と、
前記転写材料の前記ステージ側と反対側から光を照射して前記転写材料を硬化させる工程と、
硬化した前記転写材料を前記モールドから剥離する工程と、を備え、
前記ステージの表面は、前記転写材料を硬化させる前記光を反射させる反射面であり、
前記転写材料は、前記モールドを透過して前記モールド側から入射する前記光と、前記モールド、前記転写材料および前記転写基材を透過し、前記ステージの前記反射面で反射して前記転写基材側から入射する前記光とにより露光されることを特徴とする、インプリント方法。
【請求項3】
光硬化性の転写材料に凹凸パターンを転写するためのインプリント方法であって、
ステージ上に露光光に対して透過性を有するモールドを前記凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置する工程と、
前記モールドの前記凹凸パターンが形成された面に前記転写材料を塗布する工程と、
前記転写材料の前記ステージ側と反対側から光を照射して前記転写材料を硬化させる工程と、
硬化した前記転写材料を前記モールドから剥離する工程と、を備え、
前記ステージの表面は、前記転写材料を硬化させる前記光を反射させる反射面であり、
前記転写材料は、前記転写材料の前記モールド側と反対側から入射する前記光と、前記転写材料および前記モールドを透過し、前記ステージの前記反射面で反射して前記モールド側から入射する前記光とにより露光されることを特徴とする、インプリント方法。
【請求項4】
硬化性の転写材料に凹凸パターンを転写するためのインプリント方法であって、
ステージ上に露光光に対して透過性を有するモールドを前記凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置する工程と、
設置された前記モールド上に前記転写材料を供給する工程と、
前記モールドと、露光光に対して透過性を有する転写基材とで前記転写材料を挟む工程と、
前記転写材料の前記ステージ側と反対側から光を照射して前記転写材料を硬化させる工程と、
硬化した前記転写材料を前記モールドから剥離する工程と、を備え
前記モールドの前記凹凸パターンが形成された面の裏面に、前記光を反射させる膜が形成され、
前記転写材料は、前記転写基材を透過して前記転写基材側から入射する前記光と、前記転写基材、前記転写材料および前記モールドを透過し、前記膜で反射して前記モールド側から入射する前記光とにより露光されることを特徴とする、インプリント方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、種々の用途に応じて、特定の微細な凹凸パターン(3次元構造パターン)を形成する方法が求められている。
【0003】
種々の用途として、例えば、半導体デバイス、光学素子、配線回路、データストレージメディア(ハードディスク、光学メディアなど)、医療用部材(分析検査用チップ、マイクロニードルなど)、バイオデバイス(バイオセンサ、細胞培養基板など)、精密検査機器用部材(検査プローブ、試料保持部材など)、ディスプレイパネル、パネル部材、エネルギーデバイス(太陽電池、燃料電池など)、マイクロ流路、マイクロリアクタ、MEMSデバイス、インプリントモールド、フォトマスクなどが挙げられる。
【0004】
このような微細な凹凸パターンを形成する方法として、インプリント法と呼ばれる技術が注目されている(非特許文献1参照)。
【0005】
インプリント法は、転写すべき凹凸パターンを有するインプリントモールドと呼ばれる原版を、基材上の転写材料に接触させ、転写材料が原版の凹凸パターンの形状に沿った状態で、転写材料を硬化させることにより、基材上の転写材料に凹凸パターンが転写される。
【0006】
代表的なインプリント法のひとつに、露光により転写材料を硬化させる光インプリント法がある(特許文献1参照)。
【0007】
一例として、図1を参照して、従来の一般的な光インプリント法によるパターン形成について説明する。図1は、従来の光インプリント法によるパターン形成方法を示す概略図である。
【0008】
まず、図1(a)に示すように、インプリントモールド11上にUV硬化樹脂12をディスペンスする。
【0009】
次に、図1(b)に示すように、基材13をUV硬化樹脂12に接触させ、UV硬化樹脂12を所望のパターン領域に広げる。
【0010】
次に、図1(c)に示すように、基材13側からUV光99を照射してUV硬化樹脂12を硬化させる。
【0011】
次に、図1(d)に示すように、基材13からインプリントモールド11を引き離すことで、基材13上に転写パターン14を有するパターン形成体15を得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2000−194142号公報
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】Appl.phys.Lett.,vol.67,p3314(1995)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
UV硬化樹脂12を硬化させるために要するUV光99の波長と照射量は、使用するUV硬化樹脂12の種類によって異なる。
【0015】
照射量が不足するとUV硬化樹脂12を確実に硬化させることができず、転写パターン14が所望の形状や寸法にならなかったり、未硬化のUV硬化樹脂12がインプリントモールド11に付着して転写パターン14の欠損やインプリントモールド11の汚損が発生したりする。このような不良が発生すると、所望の凹凸パターンを得られないだけでなく、同じインプリントモールド11を再度用いる際の欠陥の原因ともなり、非常に問題である。
【0016】
そのため、UV硬化樹脂12を確実に硬化させるようにUV光99を適切に照射することが必須である。
【0017】
ところが、UV硬化樹脂12には、非常に多くのUV照射量を要するものがあり、そのようなUV硬化樹脂12を用いる場合、高出力の光源を用いたり、長時間照射することで積算照射量を増やしたりする対策が必要となる。
【0018】
高出力の光源を導入するにはコストがかかり、また既にあるインプリント装置の光源変更や光源追加は装置筐体のスペースや装置設計の観点から困難な場合もある。また、高出力の光源は発熱量も多くなり、転写基材へのダメージが懸念される。そのため、冷却機構を導入する必要性も生じ、さらにコストやスペースを要する。低出力の光源で長時間照射すると、インプリント1回に要する時間が長くなり、スループットが悪い。
【0019】
本発明は、上述の問題を解決するためになされたものであり、高出力の光源を導入することなく短時間でUV硬化樹脂を硬化させることが可能なインプリント方法及びインプリントモールドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明は、光硬化性の転写材料に凹凸パターンを転写するためのインプリント方法であって、ステージ上に露光光に対して透過性を有するモールドを凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置する工程と、設置されたモールドの上に転写材料を供給する工程と、モールドと、露光光に対して透過性を有する転写基材とで転写材料を挟む工程と、転写材料のステージ側と反対側から光を照射して転写材料を硬化させる工程と、硬化した転写材料をモールドから剥離する工程と、を備え、ステージの表面は、転写材料を硬化させる光を反射させる反射面であり、転写材料は、転写基材を透過して転写基材側から入射する光と、転写基材、転写材料およびモールドを透過し、ステージの反射面で反射してモールド側から入射する光とにより露光されることを特徴とする、インプリント方法である。
【0021】
また、本発明は、光硬化性の転写材料に凹凸パターンを転写するためのインプリント方法であって、ステージ上に露光光に対して透過性を有する転写基材を設置する工程と、設置された転写基材の上に転写材料を供給する工程と、露光光に対して透過性を有し、凹凸パターンが形成された面を下に向けたモールドと転写基材とで転写材料を挟む工程と、転写材料のステージ側と反対側から光を照射して転写材料を硬化させる工程と、硬化した転写材料をモールドから剥離する工程と、を備え、ステージの表面は、転写材料を硬化させる光を反射させる反射面であり、転写材料は、モールドを透過してモールド側から入射する光と、モールド、転写材料および転写基材を透過し、ステージの反射面で反射して転写基材側から入射する光とにより露光されることを特徴とする、インプリント方法である。
【0022】
また、本発明は、光硬化性の転写材料に凹凸パターンを転写するためのインプリント方法であって、ステージ上に露光光に対して透過性を有するモールドを凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置する工程と、モールドの凹凸パターンが形成された面に転写材料を塗布する工程と、転写材料のステージ側と反対側から光を照射して転写材料を硬化させる工程と、硬化した転写材料をモールドから剥離する工程と、を備え、ステージの表面は、転写材料を硬化させる光を反射させる反射面であり、転写材料は、転写材料のモールド側と反対側から入射する光と、転写材料およびモールドを透過し、ステージの反射面で反射してモールド側から入射する光とにより露光されることを特徴とする、インプリント方法である。
【0024】
また、本発明は、光硬化性の転写材料に凹凸パターンを転写するためのインプリント方法であって、ステージ上に露光光に対して透過性を有するモールドを凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置する工程と、設置されたモールド上に転写材料を供給する工程と、モールドと、露光光に対して透過性を有する転写基材とで転写材料を挟む工程と、転写材料のステージ側と反対側から光を照射して転写材料を硬化させる工程と、硬化した転写材料をモールドから剥離する工程と、を備え、モールドの凹凸パターンが形成された面の裏面に、光を反射させる膜が形成され、転写材料は、転写基材を透過して転写基材側から入射する光と、転写基材、転写材料およびモールドを透過し、膜で反射してモールド側から入射する光とにより露光されることを特徴とする、インプリント方法である。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、高出力の光源を導入することなく短時間でUV硬化樹脂を硬化させることが可能なインプリント方法及びインプリントモールドを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】従来の光インプリント法によるパターン形成体の製造方法を示す概略断面図である。
図2】本発明の実施の形態1に係るパターン形成体の製造方法を示す概略断面図である。
図3】従来の光インプリント法によるインプリント方法における問題点を示す概略断面図である。
図4】本発明の実施の形態1におけるインプリント方法を説明する概略断面図である。
図5】本発明の実施の形態2に係るパターン形成体の製造方法を示す概略断面図である。
図6】従来の光インプリント法によるインプリント方法における問題点を示す概略断面図である。
図7】本発明の実施の形態2におけるインプリント方法を説明する概略断面図である。
図8】本発明の実施の形態3に係るパターン形成体の製造方法を示す概略断面図である。
図9】従来の光インプリント法によるインプリント方法における問題点を示す概略断面図である。
図10】本発明の実施の形態3におけるインプリント方法を説明する概略断面図である。
図11】本発明の実施の形態4に係るパターン形成体の製造方法を示す概略断面図である。
図12】本発明の実施の形態4におけるインプリント方法を説明する概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係るインプリント方法について、図2〜4に基づいて説明する。
【0029】
図2は、本発明の実施の形態1に係るパターン形成体の製造方法を示す概略断面図である。
【0030】
まず、図2(a)に示すように、ステージ20上にインプリントモールド21を凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置する。インプリントモールド21の材質は、適宜選択して良い。例えば、石英ガラスモールド、PDMSモールド、樹脂モールドなどの一般的な露光光に対して透過性を有するインプリントモールド21を用いると、本発明の実施の形態に示すインプリント方法に好適である。インプリントモールド21は、露光光に対して90%以上の透過率を有するものが望ましい。詳細は後述するが、ステージ20の材質には、露光光に対する反射率の高い金属などを用いることが好ましい。
【0031】
次に、図2(b)に示すように、インプリントモールド21上に、光硬化性樹脂を主体とする転写材料22をディスペンスする。ディスペンス方法は、転写材料22の種類、ディスペンス量などに応じて適宜選択して良く、ピペット、ディスペンサー、インクジェットなどを用いて良い。
【0032】
次に、基材23をインプリントモールド21上の転写材料22に接触するように乗せる。基材23は、用途に応じて適宜選択して良い。例えば、PETフィルム、石英ガラスなどの一般的な露光光に対して透過性を有する基材23を用いると、本発明の実施の形態に示すインプリント方法に好適である。基材23は、露光光に対して90%以上の透過率を有するものが望ましい。
【0033】
次に、図2(c)に示すように、転写材料22をインプリントモールド21のパターンエリア全体に広げる。転写材料22を広げる方法は、転写材料22の粘度、転写材料22の量、パターン高さ(深さ)、パターンエリアの面積、パターンの配置、基材23の材質、所望のパターン形成体25の厚さ、などに応じて適宜選択して良い。例えば、ローラーで加圧しながら塗り広げる、垂直方向に加圧して押し広げる、基材23自体の重みで押し広げる、などが挙げられる。
【0034】
次に、基材23の上側から露光を行って、転写材料22を硬化させる。露光に用いる光源は、転写材料22に応じて、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDなどを用いて良い。
【0035】
図3は、従来の光インプリント法によるインプリント方法における問題点を示す概略断面図であり、図4は、本発明の実施の形態1におけるインプリント方法を説明する概略断面図である。尚、図3(a)、図4(a)は、基材23の上からある1点に光を照射した場合を模式的に表している。
【0036】
ステージ30表面の反射率が低い場合は、図3(a)に示すように、転写材料22は照射された点付近のみが露光され、転写材料22を透過した光はインプリントモールド21及びステージ30に到達し、透過あるいは吸収される。一方、露光光に対するステージ20表面の反射率を高く設定することで、図4(a)に示すように、ステージ20に到達した光がステージ20表面で反射して転写材料22に照射される。これにより、転写材料22は図3(a)の場合よりも広範囲が露光される。
【0037】
転写材料22の各点は、ステージ30表面で光が反射しない場合(図3(b))よりもステージ20表面で光が反射する場合(図4(b))のほうがより多く露光される。このように、ステージ20表面の反射率が高いと、転写材料22には光源から照射した露光量以上の光が照射され、転写材料22が効率良く硬化する。
【0038】
ステージ20の材質としては、露光光に対して反射率の低いゴムや樹脂などよりも反射率の高い金属などが望ましく、金属などの表面を鏡面仕上げしてあるほうがより望ましい。例えば、紫外光を露光光として用いる場合、鏡面仕上げの銀、アルミ、ステンレス鋼などが好適に用いられる。なかでも、安価で表面硬度が高いステンレス鋼を用いると、本発明の実施の形態に示すインプリント方法に好適である。ステンレス鋼やニッケルは、紫外光付近での反射率は40%程度である。また、銀の反射率は、波長280nmで25%、波長400nmで95%程度である。本発明の実施の形態に示すインプリント法においては、露光光の波長にもよるが、その波長において20%以上の反射率がある材料を用いることが望ましい。
【0039】
次に、図2(d)に示すように、基材23をインプリントモールド21から剥離することで、基材23上に転写パターン24を有するパターン形成体25を得る。
【0040】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2に係るインプリント方法について、図5〜8に基づいて説明する。
【0041】
図5は、本発明の実施の形態1に係るパターン形成体の製造方法を示す概略断面図である。
【0042】
本発明のインプリント方法は、インプリントモールド21と基材23の配置を実施の形態1の配置と逆にしても良い。すなわち、まず、図5(a)に示すように、ステージ20上に基材23を設置する。基材23は、用途に応じて適宜選択して良い。例えば、PETフィルム、石英ガラスなどの一般的な露光光に対して透過性を有する基材23を用いると、本発明の実施の形態に示すインプリント方法に好適である。基材23は、露光光に対して90%以上の透過率を有するものが望ましい。ステージ20の材質には、露光光に対する反射率の高い金属などを用いることが好ましい。
【0043】
次に、図5(b)に示すように、基材23上に、光硬化性樹脂を主体とする転写材料22をディスペンスする。ディスペンス方法は、転写材料22の種類、ディスペンス量などに応じて適宜選択して良く、ピペット、ディスペンサー、インクジェットなどを用いて良い。
【0044】
次に、インプリントモールド21を凹凸パターンが形成された面が基材23上の転写材料22に接触するように乗せる。インプリントモールド21の材質は、適宜選択して良い。例えば、石英ガラスモールド、PDMSモールド、樹脂モールドなどの一般的な露光光に対して透過性を有するインプリントモールド21を用いると、本発明の実施の形態に示すインプリント方法に好適である。インプリントモールド21は、露光光に対して90%以上の透過率を有するものが望ましい。
【0045】
次に、図5(c)に示すように、転写材料22をインプリントモールド21のパターンエリア全体に広げる。転写材料22を広げる方法は、転写材料22の粘度、転写材料22の量、パターン高さ(深さ)、パターンエリアの面積、パターンの配置、インプリントモールド21の材質、所望のパターン形成体25の厚さ、などに応じて適宜選択して良い。例えば、ローラーで加圧しながら塗り広げる、垂直方向に加圧して押し広げる、インプリントモールド21自体の重みで押し広げる、などが挙げられる。
【0046】
次に、インプリントモールド21の上側から露光を行って、転写材料22を硬化させる。露光に用いる光源は、転写材料22に応じて、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDなどを用いて良い。
【0047】
図6は、従来の光インプリント法によるインプリント方法における問題点を示す概略断面図であり、図7は、本発明の実施の形態2おけるインプリント方法を説明する概略断面図である。
【0048】
転写材料22の各点は、ステージ30表面で光が反射しない場合(図6)よりもステージ20表面で光が反射する場合(図7)のほうがより多く露光される。このように、ステージ20表面の反射率が高いと、転写材料22には光源から照射した露光量以上の光が照射され、転写材料22が効率良く硬化する。
【0049】
ステージ20の材質としては、実施の形態1の場合と同様に、露光光に対して反射率の高い材質が好ましく、例えば、鏡面仕上げのステンレス鋼を用いると、本発明の実施の形態に示すインプリント方法に好適である。
【0050】
次に、図5(d)に示すように、インプリントモールド21を基材23から剥離することで、基材23上に転写パターン24を有するパターン形成体25を得る。
【0051】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3に係るインプリント方法について、図8〜10に基づいて説明する。
【0052】
図8は、本発明の実施の形態3に係るパターン形成体の製造方法を示す概略断面図である。実施の形態3に係るパターン形成体の製造方法は、基材23を用いていない点で実施の形態1に係る製造方法とは異なる。
【0053】
まず、図8(a)に示すように、ステージ20上に、インプリントモールド21を凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置する。インプリントモールド21の材質は、適宜選択して良い。例えば、石英ガラスモールド、PDMSモールド、樹脂モールドなどの一般的な露光光に対して透過性を有するインプリントモールド21を用いると、本発明の実施の形態に示すインプリント方法に好適である。インプリントモールド21は、露光光に対して90%以上の透過率を有するものが望ましい。ステージ20の材質には、露光光に対する反射率の高い金属などを用いることが好ましい。
【0054】
次に、図8(b)に示すように、インプリントモールド21上に、光硬化性樹脂を主体とする転写材料22を塗布する。塗布方法は、転写材料22の種類、塗布量などに応じて適宜選択して良く、バーコート、ダイコート、スピンコートなどを用いて良い。
【0055】
次に、転写材料22が塗布された側から露光を行って、転写材料22を硬化させる。露光に用いる光源は、転写材料22に応じて、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDなどを用いて良い。このとき、転写材料22が酸素による硬化阻害を受ける場合は、転写材料22が露光される雰囲気を減圧する、あるいは不活性ガスで置換する、などの対策をすることが望ましい。
【0056】
図9は、従来の光インプリント法によるインプリント方法における問題点を示す概略断面図であり、図10は、本発明の実施の形態4おけるインプリント方法を説明する概略断面図である。
【0057】
転写材料22の各点は、ステージ30表面で光が反射しない場合(図9)よりもステージ20表面で光が反射する場合(図10)のほうがより多く露光される。このように、ステージ20表面の反射率が高いと、転写材料22には光源から照射した露光量以上の光が照射され、転写材料22が効率良く硬化する。
【0058】
ステージ20の材質としては、実施の形態1と同様に、露光光に対して反射率の高い材質が好ましく、例えば、鏡面仕上げのステンレス鋼を用いると、本発明の実施の形態に示すインプリント方法に好適である。
【0059】
次に、図8(c)に示すように、硬化した転写材料22をインプリントモールド21から剥離することで、転写パターン24を有するパターン形成体25を得る。
【0060】
(実施の形態4)
次に、本発明の別の実施の一形態に係るインプリント方法について、図11及び12に基づいて説明する。
【0061】
図11は、本発明の実施の形態4に係るパターン形成体の製造方法を示す概略断面図である。実施の形態4に係るパターン形成体の製造方法では、反射膜32が形成されたインプリントモールド31を用いる。
【0062】
まず、図11(a)に示すように、ステージ30上に、インプリントモールド31を凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置する。インプリントモールド31の材質は、適宜選択して良い。例えば、石英ガラスモールド、PDMSモールド、樹脂モールドなどの一般的な露光光に対して透過性を有するインプリントモールド31を用いると、本発明の実施の形態に示すインプリント方法に好適である。インプリントモールド31は、露光光に対して90%以上の透過率を有するものが望ましい。また、インプリントモールド31の凹凸パターンが形成されていない側の面には、反射膜32が形成されている。反射膜32の材質及び製膜方法は、適宜選択して良い。例えば、材質として、アルミニウムや金などを用いて良く、製膜方法として、真空蒸着、スパッタリング法などを用いて良い。
【0063】
次に、図11(b)に示すように、インプリントモールド31上に、光硬化性樹脂を主体とする転写材料22をディスペンスする。ディスペンス方法は、転写材料22の種類、ディスペンス量などに応じて適宜選択して良く、ピペット、ディスペンサー、インクジェットなどを用いて良い。
【0064】
次に、基材23をインプリントモールド31上の転写材料22に接触するように乗せる。基材23は、用途に応じて適宜選択して良い。例えば、PETフィルム、石英ガラスなどの一般的な露光光に対して透過性を有する基材23を用いると、本発明の実施の形態に示すインプリント方法に好適である。基材23は、露光光に対して90%以上の透過率を有するものが望ましい。
【0065】
次に、図11(c)に示すように、転写材料22をインプリントモールド31のパターンエリア全体に広げる。転写材料22を広げる方法は、転写材料22の粘度、転写材料22の量、パターン高さ(深さ)、パターンエリアの面積、パターンの配置、基材23の材質、所望のパターン形成体25の厚さ、などに応じて適宜選択して良い。例えば、ローラーで加圧しながら塗り広げる、垂直方向に加圧して押し広げる、基材23自体の重みで押し広げる、などが挙げられる。
【0066】
次に、基材23の上側から露光を行って、転写材料22を硬化させる。露光に用いる光源は、転写材料22に応じて、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、LEDなどを用いて良い。
【0067】
図12は、本発明の実施の形態4におけるインプリント方法を説明する概略断面図である。転写材料22の各点はインプリントモールド21裏面で光が反射しない場合(図3(b))よりもインプリントモールド31裏面の反射膜32で光が反射する場合(図12)のほうがより多く露光される。このように、インプリントモールド31の裏面に反射膜32を設けると、転写材料22には光源から照射した露光量以上の光が照射され、転写材料22が効率良く硬化する。
【0068】
上記の実施の形態1〜3に係るインプリント方法によれば、ステージ表面の反射率が高いことにより、転写材料に露光光を効率的に作用させることができる。この結果、高出力の光源を導入することなく短時間で転写材料を硬化させることが可能となる。
【0069】
また、上記の実施の形態4に係るインプリントモールドには、露光光に対する反射率が高い膜が形成されているため、転写材料に露光光を効率的に作用させることができる。この結果、高出力の光源を導入することなく短時間で転写材料を硬化させることが可能となる。
【実施例】
【0070】
(実施例1)
以下、実施例1について、図2図4を参照して、石英インプリントモールドを用いて光インプリントを行いパターン形成体を製造する場合の一例を挙げながら説明を行う。実施例1においては、図中のインプリントモールド21は石英インプリントモールドである。
【0071】
まず、鏡面仕上げのステンレス鋼製ステージ20上に石英インプリントモールド21を凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置し、転写材料22として光硬化性樹脂PAK−02(東洋合成工業社製)を滴下した。
【0072】
次に、基材23として、PETフィルムを易接着面が転写材料22に接触するように乗せた。
【0073】
次に、転写材料22が石英インプリントモールド21のパターン領域に行き渡るように、ゴムローラーで転写材料22を押し広げた。
【0074】
次に、基材23を乗せた側から、ピーク波長365nmの光源を用いて70mW/cmの露光を1秒間行って転写材料22を硬化させた。
【0075】
次に、基材23を石英インプリントモールド21から剥離し、基材23であるPETフィルム上に樹脂製の転写パターン24が形成されたパターン形成体25を得た。
【0076】
(比較例1)
以下、比較例として、反射率の低いステージを用いて光インプリントを行う場合の一例を、図3を参照して説明を行う。比較例1においては、図中のインプリントモールド21は石英インプリントモールドである。
【0077】
まず、黒色のゴム製ステージ30上に石英インプリントモールド21を凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置し、転写材料22として光硬化性樹脂PAK−02(東洋合成工業社製)を滴下した。
【0078】
次に、基材23として、PETフィルムを易接着面が転写材料22に接触するように乗せた。
【0079】
次に、転写材料22が石英インプリントモールド21のパターン領域に行き渡るように、ゴムローラーで転写材料22を押し広げた。
【0080】
次に、基材23を乗せた側から、ピーク波長365nmの光源を用いて70mW/cmの露光を1秒間行って転写材料を硬化させた。
【0081】
次に、基材23を石英インプリントモールド21から剥離すると、未硬化の転写材料22が石英インプリントモールド21に付着した。
【0082】
(実施例2)
以下、実施例2について、図5図7を参照して、石英インプリントモールドを用いて光インプリントを行いパターン形成体を製造する場合の一例を挙げながら、説明を行う。実施例2においては、図中のインプリントモールド21は樹脂インプリントモールドである。
【0083】
まず、鏡面仕上げのステンレス鋼製ステージ20上に基材23としてPETフィルムの易接着面を上に向けて設置し、転写材料22として光硬化性樹脂PAK−02(東洋合成工業社製)を滴下した。
【0084】
次に、樹脂インプリントモールド21を凹凸パターンが形成された面が転写材料22に接触するように乗せた。
【0085】
次に、転写材料22が樹脂インプリントモールド21のパターン領域に行き渡るように、ゴムローラーで転写材料22を押し広げた。
【0086】
次に、PETフィルムを乗せた側から、ピーク波長365nmの光源を用いて70mW/cmの露光を1秒間行って転写材料を硬化させた。
【0087】
次に、樹脂インプリントモールド21を基材23から剥離し、基材23上に樹脂製の転写パターン24が形成されたパターン形成体25を得た。
【0088】
(実施例3)
以下、実施例3について、図11図12を参照して、石英インプリントモールドを用いて光インプリントを行いパターン形成体を製造する場合の一例を挙げながら説明を行う。
【0089】
まず、黒色のゴム製ステージ30上に石英インプリントモールド31を凹凸パターンが形成された面を上に向けて設置し、転写材料22として光硬化性樹脂PAK−02(東洋合成工業社製)を滴下した。
【0090】
次に、基材23として、PETフィルムを易接着面が転写材料22に接触するように乗せた。
【0091】
次に、転写材料22が石英インプリントモールド31のパターン領域に行き渡るように、ゴムローラーで転写材料22を押し広げた。
【0092】
次に、基材23を乗せた側から、ピーク波長365nmの光源を用いて70mW/cmの露光を1秒間行って転写材料を硬化させた。
【0093】
次に、基材23を石英インプリントモールド31から剥離し、基材23であるPETフィルム上に樹脂製の転写パターン24が形成されたパターン形成体25を得た。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明のインプリント方法及びインプリントモールドは、微細なパターンを形成することが求められる広範な分野に利用することが期待される。例えば、インプリントモールド、フォトマスク、半導体デバイス、光学素子、配線回路、データストレージメディア(ハードディスク、光学メディアなど)、医療用部材(分析検査用チップ、マイクロニードルなど)、バイオデバイス(バイオセンサ、細胞培養基板など)、精密検査機器用部材(検査プローブ、試料保持部材など)、ディスプレイパネル、パネル部材、エネルギーデバイス(太陽電池、燃料電池など)、マイクロ流路、マイクロリアクタ、MEMSデバイスなどに用いることが期待される。
【符号の説明】
【0095】
11・・・インプリントモールド
12・・・UV硬化樹脂
13・・・基材
14・・・転写パターン
15・・・パターン形成体
20・・・反射率の高いステージ
21・・・インプリントモールド
22・・・転写材料
23・・・基材
24・・・転写パターン
25・・・パターン形成体
30・・・反射率の低いステージ
31・・・裏面に反射膜を備えたインプリントモールド
32・・・反射膜
99・・・UV光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12