(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6699227
(24)【登録日】2020年5月7日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】動力伝達装置
(51)【国際特許分類】
F16D 23/06 20060101AFI20200518BHJP
F16H 3/12 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
F16D23/06 D
F16D23/06 H
F16H3/12
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2016-34278(P2016-34278)
(22)【出願日】2016年2月25日
(65)【公開番号】特開2017-150587(P2017-150587A)
(43)【公開日】2017年8月31日
【審査請求日】2019年1月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】アイシン精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】梶川 敦史
【審査官】
日下部 由泰
(56)【参考文献】
【文献】
特開平3−140630(JP,A)
【文献】
特開平6−173970(JP,A)
【文献】
特開平6−229461(JP,A)
【文献】
特表平10−500758(JP,A)
【文献】
特開2001−173677(JP,A)
【文献】
特開2012−41984(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 23/06
F16H 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スプラインを有する回転軸と、
前記回転軸と同軸上に配設され、第1歯部を有するギヤ部材と、
前記回転軸と一体回転するとともに前記回転軸の軸方向に移動自在となるように前記スプライン上に配設され、前記軸方向への移動により前記ギヤ部材の前記第1歯部に噛み合うと、前記ギヤ部材が前記回転軸と一体回転を行う回転吸収機構と、
を備え、
前記回転吸収機構は、
前記回転軸と一体回転するスリーブ部材と、
前記スリーブ部材を前記軸方向に移動させる移動部材と、
前記スリーブ部材と摩擦係合するように前記移動部材と前記スリーブ部材との間に配設され、前記スリーブ部材と相対回転するときに、前記回転軸と前記ギヤ部材との回転差を摩擦により吸収する摩擦部材と、
を備えた動力伝達装置。
【請求項2】
前記スリーブ部材は、前記ギヤ部材の前記第1歯部に噛み合う第2歯部を有し、
前記回転吸収機構は、前記軸方向への移動により前記第2歯部が前記第1歯部に噛み合うと、前記ギヤ部材が前記回転軸と一体回転を行い、
前記摩擦部材は、前記第2歯部が前記第1歯部に噛み合うときに、前記スリーブ部材と相対回転する場合に、前記回転軸と前記ギヤ部材との回転差を摩擦により吸収する、請求項1に記載の動力伝達装置。
【請求項3】
前記回転吸収機構は、前記第2歯部が前記第1歯部と噛み合う前に、前記ギヤ部材と噛み合う第3歯部を有し、
前記第3歯部が前記ギヤ部材と噛み合うときに、前記摩擦部材と前記スリーブ部材との間で相対回転が発生する、請求項2に記載の動力伝達装置。
【請求項4】
前記回転吸収機構は、付勢部材により得られる付勢力を用いて、前記摩擦部材を前記スリーブ部材に対して押圧する押圧部材を備える、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
【請求項5】
前記摩擦部材は、前記軸方向に複数並設されている、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の動力伝達装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転軸から入力される動力をギヤ部材に伝達する動力伝達装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用の動力伝達装置(トランスミッション)において、回転軸とギヤとの同期をとるためにシンクロ装置が用いられている。例えば、従来のシンクロ装置では、回転軸に固定されたシンクロナイザハブと、回転軸に相対回転自在に支持されたギヤと、シンクロナイザハブとギヤの間に配置されたシンクロナイザリングと、シンクロナイザハブに回転軸の軸線方向に摺動自在に支持されてシンクロナイザリングおよびギヤに係合可能なスリーブとを備えている。そして、シンクロナイザリングには、シンクロナイザハブの回転をギヤのコーン面に伝達する摩擦面が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013−194907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の動力伝達装置においては、シンクロナイザリングの不使用時(すなわち、非係合時)にも、シンクロナイザリングの摩擦面で摩擦が発生し、いわゆるシンクロナイザリングによる引き摺り損失が発生するという問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたもので、シンクロナイザリングによる引き摺り損失をなくすことのできる動力伝達装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の動力伝達装置は、スプラインを有する回転軸と、前記回転軸と同軸上に配設され、第1歯部を有するギヤ部材と、前記回転軸と一体回転するとともに前記回転軸の軸方向に移動自在となるように前記スプライン上に配設され、前記軸方向への移動により前記ギヤ部材の前記第1歯部に噛み合うと、前記ギヤ部材が前記回転軸と一体回転を行う回転吸収機構と、を備え、前記回転吸収機構は、前記回転軸と一体回転するスリーブ部材と、前記スリーブ部材を前記軸方向に移動させる移動部材と、前記スリーブ部材と摩擦係合するように前記移動部材と前記スリーブ部材との間に配設され、前記スリーブ部材と相対回転するときに、前記回転軸と前記ギヤ部材との回転差を摩擦により吸収する摩擦部材と、を備えている。
【0007】
この構成によれば、ギヤ部材と回転軸とを同期させる場合、回転吸収機構の移動部材によってスリーブ部材を回転軸の軸方向に摺動させる。そうすると、回転吸収機構がギア部材の第1歯部(低歯部)に噛み合って、ギヤ部材が回転軸と一体回転するようになる。この場合、回転吸収機構は回転軸と一体回転しているので、回転軸とギヤ部材との間に回転差が生じる。この回転吸収機構には、移動部材とスリーブ部材との間に摩擦部材が配設され、摩擦部材とスリーブ部材とが摩擦係合している。したがって、摩擦部材とスリーブ部材とが相対回転するときに、回転軸とギヤ部材との間の回転差が摩擦部材の摩擦により吸収される。この場合、従来のようにシンクロナイザリングを設ける必要がないので、シンクロナイザリングによる非係合時の引き摺り損失(ロス)をなくすことができる。
【0008】
また、本発明の動力伝達装置では、前記スリーブ部材は、前記ギヤ部材の前記第1歯部に噛み合う第2歯部を有し、前記回転吸収機構は、前記軸方向への移動により前記第2歯部が前記第1歯部に噛み合うと、前記ギヤ部材が前記回転軸と一体回転を行い、前記摩擦部材は、前記第2歯部が前記第1歯部に噛み合うときに、前記スリーブ部材と相対回転する場合に、前記回転軸と前記ギヤ部材との回転差を摩擦により吸収してもよい。
【0009】
この構成によれば、回転吸収機構の移動部材によってスリーブ部材を回転軸の軸方向に摺動させると、スリーブ部材の第2歯部(スプライン)がギア部材の第1歯部(低歯部)に噛み合って、ギヤ部材が回転軸と一体回転するようになる。この場合、第2歯部が第1歯部に噛み合う際に、摩擦部材とスリーブ部材とが相対回転するときに、回転軸とギヤ部材との回転差を摩擦部材の摩擦により吸収することができる。
【0010】
また、本発明の動力伝達装置では、前記回転吸収機構は、前記第2歯部が前記第1歯部と噛み合う前に、前記ギヤ部材と噛み合う第3歯部を有し、前記第3歯部が前記ギヤ部材と噛み合うときに、前記摩擦部材と前記スリーブ部材との間で相対回転が発生してもよい。
【0011】
この構成によれば、第2歯部が第1歯部と噛み合う前に、回転吸収機構の第3歯部がギヤ部材と噛み合う。第3歯部がギヤ部材と噛み合う際に、摩擦部材とスリーブ部材との間で相対回転が発生するときに、回転軸とギヤ部材との回転差を摩擦部材の摩擦により吸収することができる。
【0012】
また、本発明の動力伝達装置では、前記回転吸収機構は、付勢部材により得られる付勢力を用いて、前記摩擦部材を前記スリーブ部材に対して押圧する押圧部材を備えてもよい。
【0013】
この構成によれば、付勢部材によって得られる付勢力(与圧)により、摩擦部材がスリーブ部材に対して押圧される。これにより、摩擦面に摩擦トルクを発生させることができ、回転軸とギヤ部材との回転差を摩擦により吸収することができる。なお、付勢部材は、例えば、皿バネやコイルスプリングなどで構成することができる。
【0014】
また、本発明の動力伝達装置では、前記摩擦部材は、前記軸方向に複数並設されてもよい。
【0015】
この構成によれば、摩擦部材の個数を増やすことによって、摩擦トルクを増加させることができる。これにより、摩擦トルクの設計自由度が高くなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、シンクロナイザリングによる引き摺り損失をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施の形態における動力伝達装置(シンクロ機構)の説明図である。
【
図2】本発明の実施の形態におけるギヤ部材の平面図である。
【
図3】本発明の実施の形態における摩擦部材の平面図である。
【
図4】本発明の実施の形態におけるスリーブ部材の平面図である。
【
図5】本発明の実施の形態における動力伝達装置(シンクロ機構)のプレ係合状態を示す説明図である。
【
図6】本発明の実施の形態における動力伝達装置(シンクロ機構)の本係合状態を示す説明図である。
【
図7】他の実施の形態における動力伝達装置(シンクロ機構)の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態の動力伝達装置について、図面を用いて説明する。本実施の形態では、車両用のトランスミッション等に用いられる動力伝達装置の場合を例示する。
【0019】
本発明の実施の形態の動力伝達装置の構成を、図面を参照して説明する。
図1は、動力伝達装置であるシンクロ機構の説明図である。
図1に示すように、シンクロ機構1は、回転軸2と、ギヤ部材3と、回転吸収機構4を備えている。ギヤ部材3は、回転軸2と同軸上に設けられており、回転軸2とは独立に回転可能に構成されている。例えば、回転軸2は、エンジンなどの駆動源(図示せず)からの動力が伝達されるメインシャフトであり、ギヤ部材3は、低速段側または高速段側への変速用のギヤである。回転軸2の外周面にはスプライン5が設けられている。また、ギヤ部材3の外周面には、第1歯部である低歯部6と、高歯部7が設けられている(
図2参照)。低歯部6は、ギヤ部材3の外周の全周にわたって形成されており、高歯部7は、ギヤ部材3の外周の一部に(例えば、120度間隔で3箇所に、あるいは、90度間隔で4箇所に)形成されている。そして、回転軸2のスプライン5上には、回転軸2と一体回転するとともに回転軸2の軸方向に移動自在となるように、回転吸収機構4が設けられている。
【0020】
回転吸収機構4は、スリーブ部材8と、移動部材9と、スリーブホルダ(摩擦部材)10を備えている。スリーブ部材8の内周面には、第2歯部であるスプライン11が設けられている(
図4参照)。スプライン11は、スリーブ部材8の全周にわたって形成されている。スリーブ部材8のスプライン11は、回転軸2のスプライン5と噛み合うように構成されており、スリーブ部材8は、回転軸2と一体回転するとともに回転軸2の軸方向に移動自在とされている。スリーブ部材8のスプライン11は、スリーブ部材8が軸方向に沿ってギヤ部材3の方向に移動したときに、ギヤ部材3の低歯部6とも噛み合うように構成されている。
【0021】
スリーブ部材8は、移動部材9によって軸方向に移動させることができる。例えば、移動部材9はフォークである。摩擦部材10は、移動部材9とスリーブ部材8との間に設けられており、この摩擦部材10を介して、移動部材9とスリーブ部材8とが摩擦係合している。本実施の形態では、摩擦部材10は、本体部材12と、摩擦板13と、押圧部材14を備えている。
【0022】
本体部材12の外周面には、移動部材9(フォーク)が嵌合する溝部15が設けられている。また、本体部材12の一方のギヤ部材3側(
図1における左側)には、プレート部16が設けられている。プレート部16の先端の内周面には、第3歯部であるドグ歯部17が設けられている(
図3参照)。このドグ歯部17は、ギヤ部材3の高歯部7と係合する。ドグ歯部17は、ギヤ部材3の高歯部7と対応するように、プレート部16の内周の一部に(例えば、120度間隔で3箇所に、あるいは、90度間隔で4箇所に)形成されている。プレート部16のスリーブ部材8側(
図1における右側)の面には、摩擦面が形成されており、スリーブ部材8のプレート部16側(
図1における左側)の面にも、摩擦面が形成されている。
【0023】
また、本体部材12の内周面には、スプライン18が設けられている。摩擦板13は、本体部材12のスプライン18と噛み合うように構成されており、本体部材12と一体回転するとともに回転軸2の軸方向に移動自在とされている。押圧部材14は、回転軸2の軸方向に移動できないように、スナップ19によって本体部材12に固定されている。押圧部材14の内部には、付勢部材20が収納されている。付勢部材20は、例えば、皿バネやコイルスプリングなどで構成される。この付勢部材20から得られる付勢力によって、摩擦板13がスリーブ部材8側へ押圧されている。スリーブ部材8は、摩擦部材10(本体部材12と摩擦板13)によって両側から挟まれており、付勢部材20の付勢力によって両側から把持されているともいえる。摩擦板13のスリーブ部材8側(
図1における左側)の面には、摩擦面が形成されており、スリープ部材の摩擦板13側(
図1における右側)の面にも、摩擦面が形成されている。
【0024】
なお、押圧部材14の他方のギヤ部材3側(
図1における右側)にも、本体部材12のプレート部16と同様のプレート部21が設けられており、プレート部21の先端の内周面にも、ギヤ部材3の高歯部7と係合するドグ歯部22が設けられている。このドグ歯部22も、ギヤ部材3の高歯部7と対応するように、プレート部21の内周の一部に(例えば、120度間隔で3箇所に、あるいは、90度間隔で4箇所に)形成されている。
【0025】
以上のように構成されたシンクロ機構1について、図面を参照してその動作を説明する。ここでは、シンクロ機構1を用いて、回転している回転軸2と回転していないギヤ部材3の同期をとる場合の動作について説明する。
【0026】
本実施の形態のシンクロ機構1を用いて回転軸2とギヤ部材3の同期をとる場合には、まず、
図5に示すように、移動部材9を移動させることにより、スリーブ部材8を軸方向に沿って噛み合い対象であるギヤ部材3(
図5における左側のギヤ部材3)側へ摺動させる。そうすると、摩擦部材10のドグ歯部17がギヤ部材3の高歯部7と係合する。摩擦部材10がギヤ部材3と一体回転し始めると、摩擦部材10がギヤ部材3の回転抵抗となり、摩擦部材10とスリーブ部材8に回転差が生じる。すなわち、摩擦部材10とスリーブ部材8とが相対回転するようになる。この場合、スリーブ部材8は摩擦部材10によって両側から挟まれ、付勢部材20の付勢力によって両側から把持されている。したがって、摩擦部材10とスリーブ部材8との回転差が摩擦面の摩擦により吸収される。
【0027】
このようにして、摩擦部材10とスリーブ部材8に回転差がなくなり、ギヤ部材3と回転軸2との同期がとれると、
図6に示すように、移動部材9をさらに移動させることにより、スリーブ部材8のスプライン11がギヤ部材3の低歯部6に噛み合うことができる。
【0028】
このような本実施の形態のシンクロ機構1によれば、ギヤ部材3と回転軸2とを同期させる場合、回転吸収機構4の移動部材9によってスリーブ部材8を回転軸2の軸方向に摺動させると、回転吸収機構4がギヤ部材3の低歯部6に噛み合って、ギヤ部材3が回転軸2と一体回転するようになる。この場合、回転吸収機構4は回転軸2と一体回転しているので、回転軸2とギヤ部材3との間に回転差が生じる。この回転吸収機構4には、移動部材9とスリーブ部材8との間に摩擦部材10が配設されており、摩擦部材10とスリーブ部材8とが摩擦係合している。したがって、摩擦部材10とスリーブ部材8とが相対回転するときに、回転軸2とギヤ部材3との間の回転差が摩擦部材10の摩擦により吸収される。この場合、従来のようにシンクロナイザリングを設ける必要がないので、シンクロナイザリングによる非係合時の引き摺り損失(ロス)をなくすことができる。
【0029】
具体的には、回転吸収機構4の移動部材9によってスリーブ部材8を回転軸2の軸方向に摺動させると、スリーブ部材8のスプライン11がギヤ部材3の低歯部6に噛み合って、ギヤ部材3が回転軸2と一体回転するようになる。この場合、スプライン11が低歯部6に噛み合う際に、摩擦部材10とスリーブ部材8とが相対回転するときに、回転軸2とギヤ部材3との回転差を摩擦部材10の摩擦により吸収することができる。
【0030】
より具体的には、スプライン11が低歯部6と噛み合う前に、回転吸収機構4のドグ歯部17、22がギヤ部材3の高歯部7と噛み合う。ドグ歯部17、22が高歯部7と噛み合う際に、摩擦部材10とスリーブ部材8との間で相対回転が発生するときに、回転軸2とギヤ部材3との回転差を摩擦部材10の摩擦により吸収することができる。
【0031】
また、本実施の形態では、付勢部材20によって得られる付勢力(与圧)により、摩擦部材10がスリーブ部材8に対して押圧される。これにより、摩擦面に摩擦トルクを発生させることができ、回転軸2とギヤ部材3との回転差を摩擦により吸収することができる。
【0032】
以上、本発明の実施の形態を例示により説明したが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではなく、請求項に記載された範囲内において目的に応じて変更・変形することが可能である。
【0033】
例えば、
図7に示すように、摩擦部材10の摩擦板13は、軸方向に複数並設することが可能である。
図7には、3枚の摩擦板13を併設した例が示されているが、摩擦板13の枚数はこれに限定されない。この場合、摩擦部材10の個数を増やすことによって、摩擦トルクを増加させることができる。これにより、摩擦トルクの設計自由度が高くなる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上のように、本発明にかかる動力伝達装置は、シンクロナイザリングによる引き摺り損失をなくすことができるという効果を有し、車両用のトランスミッション等に用いられ、有用である。
【符号の説明】
【0035】
1 シンクロ機構(動力伝達装置)
2 回転軸
3 ギヤ部材
4 回転吸収機構
5 スプライン
6 低歯部(第1歯部)
7 高歯部
8 スリーブ部材
9 移動部材
10 スリーブホルダ(摩擦部材)
11 スプライン(第2歯部)
12 本体部材
13 摩擦板
14 押圧部材
15 溝部
16 プレート部
17 ドグ歯部(第3歯部)
18 スプライン
19 スナップ
20 付勢部材
21 プレート部
22 ドグ歯部(第3歯部)