(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記制御装置は、前記自立発電運転中において、前記水量センサによって検出された前記改質水タンクの水量が前記判定水量以上である場合であって、前記温度センサによって検出された前記貯湯水の温度が前記判定温度以上である場合には、ユーザが前記燃料電池の目標発電出力量を設定した場合に、前記燃料電池の目標発電出力量を前記ユーザが設定した目標発電出力量に設定する請求項2記載の燃料電池システム。
前記制御装置は、前記燃料電池の目標発電出力量を前記燃料電池の最大発電出力量以外の値に設定した場合であって、前記電力センサによって検出された前記第二負荷装置の消費電力が比較的大きく変動する場合に、前記燃料電池の目標発電出力量を前記第二負荷装置の消費電力の最大値に第三所定電力を加算した値に設定する請求項1乃至請求項3の何れか一項記載の燃料電池システム。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による燃料電池システム1の一実施形態について説明する。燃料電池システム1は、
図1に示すように、発電ユニット10および貯湯槽21を備えている。発電ユニット10は、筐体10a、燃料電池モジュール11(30)、熱交換器12、インバータ装置13、水タンク14、および制御装置15を備えている。燃料電池モジュール11(30)、熱交換器12、インバータ装置13、水タンク14、制御装置15および貯湯槽21は、筐体10a内に収容されている。なお、貯湯槽21は、発電ユニット10と別体すなわち筐体10aの外に設けるようにしてもよい。
【0010】
燃料電池モジュール11は、後述するように燃料電池34を少なくとも含んで構成されるものである。燃料電池モジュール11は、改質用原料、改質水およびカソードエアが供給されている。具体的には、燃料電池モジュール11は、一端が供給源Gsに接続されて改質用原料が供給される改質用原料供給管11aの他端が接続されている。改質用原料供給管11aは、改質用原料を改質部33に供給する原料ポンプ11a1(改質用原料供給装置)が設けられている。さらに、燃料電池モジュール11は、一端が水タンク14に接続されて改質水が供給される水供給管11bの他端が接続されている。水供給管11bは、改質水を改質部33に供給する改質水ポンプ11b1(改質水供給装置)が設けられている。さらに、燃料電池モジュール11は、一端がカソードエアブロワ11c1に接続されてカソードエアが供給されるカソードエア供給管11cの他端が接続されている。カソードエアブロワ11c1は、酸化剤ガスを燃料電池34に供給する酸化剤ガス供給装置である。
【0011】
熱交換器12は、燃料電池モジュール11から排気される燃焼排ガスが供給されるとともに貯湯槽21からの貯湯水が供給され、燃焼排ガス(燃料電池34および改質部33の各排熱を含んでいる)と貯湯水との間で熱交換が行われる熱交換器である。また、熱交換器12は、燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われ、燃焼排ガスに含まれている水蒸気を凝縮して凝縮水を生成する。貯湯水は、燃焼排ガスの排熱を回収する熱媒体(排熱回収水)である。
【0012】
熱交換器12は、ケーシング12bを備えている。ケーシング12bの上部には、燃料電池モジュール11からの排気管11dが接続されている。ケーシング12bの下部には、外部(大気)に接続されている排気管11eが接続されている。ケーシング12bの底部には、水タンク14に接続されている凝縮水供給管12aが接続されている。ケーシング12b内には、燃焼排ガスが通過する燃焼排ガス流路が形成されている。この燃焼排ガス流路に、貯湯水循環ライン22に接続されている熱交換部(凝縮部)12cが配設されている。熱交換部12c内には、貯湯水が流れ、熱交換部12cの外側には、燃焼排ガスが流れている。なお、貯湯水と燃焼排ガスとは互いに反対向きに流れるように構成されるのが好ましい。
【0013】
このように構成された熱交換器12においては、燃料電池モジュール11からの燃焼排ガスは、排気管11dを通ってケーシング12b内に導入され、貯湯水が流通する熱交換部12cを通る際に貯湯水との間で熱交換が行われ凝縮されるとともに冷却される。その後、燃焼排ガスは排気管11eを通って外部に排出される。また、凝縮された凝縮水は、凝縮水供給管12aを通って水タンク14に供給される(自重で落水する)。一方、熱交換部12cに流入した貯湯水は、加熱されて流出される。
【0014】
上述した熱交換器12、貯湯槽21および貯湯水循環ライン22から、排熱回収システム20が構成されている。排熱回収システム20は、燃料電池モジュール11の排熱を貯湯水に回収して蓄える。
【0015】
貯湯槽21は、密封式かつ耐圧式の容器である。貯湯槽21内の温度分布は、基本的には、温度の異なる二層に分かれている。上層は比較的温度が高い層(例えば50度以上)であり、下層は比較的温度が低い層(例えば20度以下(水道水の温度))である。上下各層は、それぞれほぼ同一温度である。貯湯槽21は、貯湯水を貯湯するものであり、貯湯水が循環する(図にて矢印の方向に循環する)貯湯水循環ライン22が接続されている。
【0016】
貯湯水循環ライン22上には、下端から上端に向かって順番に貯湯水循環ポンプ22a、自立ヒータ22b、ラジエータ22c、熱交換器貯湯水入口温度センサ22d、熱交換器12、および熱交換器貯湯水出口温度センサ22eが配設されている。
【0017】
貯湯水循環ポンプ22aは、貯湯水循環ライン22の熱媒体(貯湯水)を送出して図示矢印方向へ循環させる送出装置であり、制御装置15によって制御されてその吐出量(送出量)が制御されるようになっている。
自立ヒータ22bは、自立発電運転中にインバータ装置13からの電力が供給可能に構成されており、供給された電力によって内蔵のヒータが加熱し、貯湯水循環ライン22を循環する熱媒体(貯湯水)を加熱する。自立ヒータ22bは、その電力(消費電力)が所定範囲内で可変となるように構成されている。例えば、自立ヒータ22bは、抵抗値が可変となるように構成されている。本実施形態では、自立ヒータ22bの電力は、最低0Wから最大700W(燃料電池34の最大発電出力量に設定されている。)までの範囲で可変となるように設定されている。
【0018】
ラジエータ22cは、貯湯水循環ライン22を循環する熱媒体(貯湯水)を冷却する冷却装置であり、制御装置15の指令によってオン・オフ制御されており、オン状態のときには熱媒体を冷却し、オフ状態のときには冷却しないものである。なお、ラジエータ22cは、熱媒体と空気との間で熱交換が行われる熱交換部(図示省略)と、熱交換部を空冷する冷却ファン(図示省略)とを備えている。
【0019】
熱交換器貯湯水入口温度センサ22dは、貯湯水循環ライン22であって貯湯槽21の貯湯水導出口と熱交換器12の貯湯水導入口との間に設けられている。熱交換器貯湯水入口温度センサ22dは、ラジエータ22cと熱交換器12との間に設けられるのが望ましい。熱交換器貯湯水入口温度センサ22dは、熱交換器12の貯湯水導入口付近に設けられるのが望ましい。熱交換器貯湯水入口温度センサ22dは、熱交換器12に導入される貯湯水の温度(以下、貯湯水温度ともいう。)を検出して、制御装置15に送信している。
【0020】
熱交換器貯湯水出口温度センサ22eは、貯湯水循環ライン22であって熱交換器12の貯湯水導出口と貯湯槽21の貯湯水導入口との間に設けられている。熱交換器貯湯水出口温度センサ22eは、熱交換器12の貯湯水導出口付近に設けられるのが望ましい。熱交換器貯湯水出口温度センサ22eは、熱交換器12から導出される貯湯水の温度を検出して、制御装置15に送信している。
【0021】
インバータ装置13は、燃料電池34から出力される直流電力(電圧)を入力し所定の交流電力(電圧)に変換して、交流の系統電源16aおよび外部電力負荷16c(例えば電化製品)に接続されている電源ライン16bに出力する。インバータ装置13は、燃料電池34から供給される直流電力を交流電力に変換する電力変換装置である。インバータ装置13は、電源ライン16dを介して電源ライン16bの接続部16b1に接続されている。
外部電力負荷16cは、系統電源16aからの電力およびインバータ装置13からの電力が供給される第一負荷装置である。また、インバータ装置13は、系統電源16aからの交流電力(電圧)を電源ライン16bを介して入力し所定の直流電力(電圧)に変換して補機(各ポンプ、ブロワなど)や制御装置15に出力する。
【0022】
インバータ装置13の交流電力の出力部には、センサ13aが配設されている。センサ13aは、出力電力もしくは電流または電圧の少なくともいずれか一つを検出するものである。停電の場合における自立発電運転中には、第二負荷装置16gにのみインバータ装置13からの電力が供給されるため、センサ13aは第二負荷装置16gの電流または電圧の少なくともいずれか一方もしくは電力(消費電力)を検出する。センサ13aは、第二負荷装置16gの消費電
力(以下、ユーザ負荷ともいう。)を検出する電力センサである。
【0023】
電源ライン16d上であってインバータ装置13と接続部16b1との間には、一端が自立用出力端子16fに接続された電源ライン16eの他端が接続部16d1で接続されている。自立用出力端子16fには、第二負荷装置16gが着脱可能に接続されている。
【0024】
自立用出力端子16fは、系統電源16aからの電力供給が停止(以下、停電とする)された場合に燃料電池34を発電させてインバータ装置13からの電力のみを第二負荷装置16gに供給するように運転(以下、自立発電運転とする)する間のみに使用されるものである。すなわち、自立用出力端子16fは、停電の場合における自立発電運転中に燃料電池34が発電する電力のみが出力されるようになっている。
【0025】
第二負荷装置16gは、自立発電運転中において、インバータ装置13に接続されて、インバータ装置13からの電力のみが供給されるものである。第二負荷装置16gは、外部電力負荷16c(第一負荷装置)と同様の電気器具であるが、停電の場合における自立発電運転中に、ユーザが使用したい電気器具について、自立用出力端子16fに接続して使用されるものである。第二負荷装置16gは、一つまたは複数の電気器具である。
【0026】
また、電源ライン16b上であって系統電源16aと接続部16b1との間には、電圧センサ16hが配設されている。電圧センサ16hは、系統電源16aからインバータ装置13へ供給される電力の電圧を検出するものである。なお、本実施形態においては、系統電源16aの電圧を検出するために電圧センサ16hを配設しているが、系統電源16aからインバータ装置13へ供給される電力を検出する電力センサを配設するようにしても良い。
【0027】
電源ライン16d上であって接続部16b1と接続部16d1との間には、第一開閉器16iが配設されている。第一開閉器16iは、開路または閉路することによりインバータ装置13と系統電源16aとを電気的に遮断または接続するものである。
インバータ装置13と第二負荷装置16gとの間には、第二開閉器16jが配設されている。第二開閉器16jは、開路または閉路することにより、インバータ装置13と第二負荷装置16gとを電気的に遮断または接続する開閉装置である。より具体的には、第二開閉器16jは、電源ライン16e上であって接続部16d1と自立用出力端子16fとの間に配設されている。
【0028】
また、電源ライン16dの接続部16d2には、一端が自立ヒータ22bに接続されている電源ライン16kの他端が接続されている。なお、電源ライン16d上であって第一開閉器16iと接続部16b1の間には、ブレーカ(図示しない)が配設されている。
【0029】
水タンク14(改質水タンク)は、熱交換器12から供給される凝縮水を貯水し、改質部33に改質水として供給するものである。水タンク14内には、水タンク14内の水量(水位:以下、タンク水量ともいう。)を検出する水量センサ14aが配設されている。水量センサ14aの検出結果は、制御装置15に出力されるようになっている。水量センサ14aは、例えば、フロート式のセンサであり、フロートの上下量を可変抵抗(ポテンショメータ)により抵抗値に変換し、抵抗値の上下動によって水量(残水量)を表示する方式のセンサである。なお、水タンク14は、凝縮水をイオン交換樹脂によって純水化するようになっている。
【0030】
燃料電池モジュール11(30)は、ケーシング31、蒸発部32、改質部33および燃料電池34を備えている。ケーシング31は、断熱性材料で箱状に形成されている。
蒸発部32は、後述する燃焼ガスにより加熱されて、供給された改質水を蒸発させて水蒸気を生成するとともに、供給された改質用原料を予熱するものである。蒸発部32は、このように生成された水蒸気と予熱された改質用原料を混合して改質部33に供給するものである。改質用原料としては天然ガス(メタンガスを主成分とする)、LPガスなどの改質用気体燃料、灯油、ガソリン、メタノールなどの改質用液体燃料があり、本実施形態においては天然ガスにて説明する。
【0031】
蒸発部32には、一端(下端)が水タンク14に接続された水供給管11bの他端が接続されている。また、蒸発部32には、一端が供給源Gsに接続された改質用原料供給管11aが接続されている。供給源Gsは、例えば都市ガスのガス供給管、LPガスのガスボンベである。
【0032】
改質部33は、上述した燃焼ガスにより加熱されて水蒸気改質反応に必要な熱が供給されることで、蒸発部32から供給された混合ガス(改質用原料、水蒸気)から改質ガスを生成して導出するものである。改質部33内には、触媒(例えば、RuまたはNi系の触媒)が充填されており、混合ガスが触媒によって反応し改質されて水素ガスと一酸化炭素などを含んだガスが生成されている(いわゆる水蒸気改質反応)。改質ガスは、水素、一酸化炭素、二酸化炭素、水蒸気、未改質の天然ガス(メタンガス)、改質に使用されなかった改質水(水蒸気)を含んでいる。このように、改質部33は改質用原料(原燃料)と改質水とから改質ガス(燃料)を生成して燃料電池34に供給する。なお、水蒸気改質反応は吸熱反応である。
【0033】
燃料電池34は、燃料極、空気極(酸化剤極)、および両極の間に介装された電解質からなる複数のセル34aが積層されて構成されている。本実施形態の燃料電池は、固体酸化物形燃料電池であり、電解質として固体酸化物の一種である酸化ジルコニウムを使用している。燃料電池34の燃料極には、燃料として水素、一酸化炭素、メタンガスなどが供給される。動作温度は400〜1000℃程度である。
【0034】
セル34aの燃料極側には、燃料である改質ガスが流通する燃料流路34bが形成されている。セル34aの空気極側には、酸化剤ガスである空気(カソードエア)が流通する空気流路34cが形成されている。
【0035】
燃料電池34は、マニホールド35上に設けられている。マニホールド35には、改質部33からの改質ガス(アノードガス)が改質ガス供給管38を介して供給される。燃料流路34bは、その下端(一端)がマニホールド35の燃料導出口に接続されており、その燃料導出口から導出される改質ガスが下端から導入され上端から導出されるようになっている。カソードエアブロワ11c1によって送出されたカソードエアはカソードエア供給管11cを介して供給され、空気流路34cの下端から導入され上端から導出されるようになっている。
【0036】
燃料電池34においては、燃料極に供給されたアノードガスと空気極に供給された酸化剤ガス(カソードガス)によって発電が行われる。すなわち、燃料極では、下記化1および化2に示す反応が生じ、空気極では、下記化3に示す反応が生じている。すなわち、空気極で生成した酸化物イオン(O
2−)が電解質を透過し、燃料極で水素と反応することにより電気エネルギーを発生させている。したがって、燃料流路34bおよび空気流路34cからは、発電に使用されなかった改質ガスおよび酸化剤ガス(空気)が導出する。
(化1)
H
2+O
2−→H
2O+2e
−
(化2)
CO+O
2−→CO
2+2e
−
(化3)
1/2O
2+2e
−→O
2−
【0037】
そして、発電に使用されなかった改質ガス(アノードオフガス)は、燃料流路34bから燃焼空間36(燃料電池34と蒸発部32(改質部33)の間に形成された)に導出される。発電に使用されなかった酸化剤ガス(空気:カソードオフガス)は、空気流路34cから燃焼空間36に導出される。燃焼空間36にてアノードオフガスはカソードオフガスによって燃焼され、その燃焼ガスによって蒸発部32および改質部33が加熱される。さらには、燃料電池モジュール11内を動作温度に加熱している。その後、燃焼ガスは、ケーシング12bの下部に設けられた排気管11eから燃料電池モジュール11の外に燃焼排ガスとして排気される。このように、燃焼空間36が、燃料電池34からの未使用の燃料(改質ガス)を含む可燃性ガス(アノードオフガス)を導入し酸化剤ガスで燃焼して燃焼排ガス(水蒸気を含む)を導出する燃焼部である。
【0038】
燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されて火炎37(燃焼ガス)が発生している。燃焼部36では、アノードオフガスが燃焼されてその燃焼ガスが発生している。燃焼部36には、アノードオフガスを着火させるための一対の着火ヒータ36a1,36a2が設けられている。
【0039】
燃料電池システム1は、リモコン41を備えている。リモコン41は、ユーザが操作する操作部を備えている。操作部は、燃料電池34の目標発電出力量を変更することが可能である。リモコン41は、その操作信号を制御装置15に送信している。
【0040】
制御装置15は、補機を駆動して燃料電池システム1の運転を統括して制御する。制御装置15は、
図2に示すように、電力センサ13a、水量センサ14a、電圧センサ16h、温度センサ22d、リモコン41、インバータ装置13、第一開閉器16i、第二開閉器16j、自立ヒータ22b、ラジエータ22c、各ポンプ11a1,11b1,22aなどに接続されている。制御装置15は、マイクロコンピュータ(図示省略)を有している。マイクロコンピュータは、バスを介してそれぞれ接続された入出力インターフェース、CPU、RAMおよびROM(いずれも図示省略)を備えている。CPUは、燃料電池システム1の統括運転を実施している。RAMは制御プログラムの実行に必要な変数を一時的に記憶するものであり、ROMは制御プログラムを記憶するものである。
なお、燃料電池システム1は、水タンク14に外部から水道水を直接補給できるように構成してもよい。
【0041】
次に、上述した燃料電池システム1の作動(特に、系統電源16aが停電した場合の燃料電池システムの動作)について
図3,4に示すフローチャートに沿って説明する。制御装置15は、そのフローチャートに沿ったプログラムを所定時間(短時間でも長時間でもよい)毎に繰り返し実行する。
【0042】
制御装置15は、電圧センサ16hの検出信号に基づいて系統電源16aに停電が発生したか否かを常時監視する(ステップS102)。制御装置15は、系統電源16aに停電が発生したことを検知すると、ステップS102で「YES」と判定し、第一開閉器16iを開路とする(ステップS104)。
【0043】
そして、制御装置15は、ステップS106で燃料電池34が発電可能か否かを判断する。改質部33が所定温度以上であれば、燃料電池34は定格電力を出力することができる。よって、改質部33が所定温度以上であれば、燃料電池34は発電可能と判断され、ステップS106は「YES」と判定される。一方、改質部33が所定温度以下であれば、燃料電池34は定格電力を出力することができない。よって、改質部33が所定温度以下であれば、燃料電池34は発電不可能と判断され、ステップS106は「NO」と判定される。
【0044】
制御装置15は、燃料電池34が発電可能である場合は、自立発電運転を開始する。まず、制御装置15は、第二開閉器16jを閉路とする(ステップS108)。燃料電池34が発電する電力を自立用出力端子16fに供給するためである。このとき、第一開閉器16iは開状態であるため、燃料電池34が発電する電力のみが自立用出力端子16fへ供給される。自立用出力端子16fから燃料電池34が発電する電力を出力させることで、ユーザは停電時であっても、第二負荷装置16gを自立用出力端子16fに接続して利用することができる。
【0045】
そして、制御装置15は、ステップS110において、自立発電運転を行う。具体的には、制御装置15は、
図4に示すフローチャートに沿ったプログラムを実行する。
制御装置15は、ステップS202において、水量センサ14aによって検出されたタンク水量を取得する。制御装置15は、ステップS204において、熱交換器貯湯水入口温度センサ22dによって検出された貯湯水温度を取得する。制御装置15は、ステップS206において、センサ13aによって検出されたユーザ負荷を取得する。
【0046】
制御装置15は、ステップS208において、取得したタンク水量が判定水量以上であるか否かを判定する。判定水量は、そのまま燃料電池34の発電運転を継続した場合でも、少なくとも所定時間(例えば2時間)は発電運転を継続することができる水量に設定されている。なお、所定時間は、計画停電、輪番停電の際に、系統電源からの電力が停止される、予め設定されている時間に基づいて設定されるのが好ましく、さらにその時間に余裕を持たせた時間に設定されるようにしてもよい。
【0047】
制御装置15は、ステップS210において、取得した貯湯水温度が判定温度以上であるか否かを判定する。判定温度は、自立発電運転に必要であり、熱交換器12において生成される凝縮水量に基づいて設定されている。少なくとも、生成される凝縮水量は、発電に使用される改質水量より多くなければならない。
【0048】
制御装置15は、ステップS214において、ユーザから負荷設定変更の指示があったか否かを判定する。ユーザから負荷設定変更の指示があった旨は、ユーザがリモコン41の操作(燃料電池34の目標発電出力量の変更操作)を行なうことにより、その操作信号を制御装置15が取得したことにより判定される。
【0049】
制御装置15は、ステップS216およびステップS222において、取得したユーザ負荷から第二負荷装置16gの負荷変動が大きいか否かを判定する。制御装置15は、ユーザ負荷が所定の振幅以上かつ所定の周期以上である場合に、第二負荷装置16gの負荷変動が大きい旨の判定をする。
【0050】
制御装置15は、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された改質水タンクの水量が判定水量以上であり、かつ、熱交換器貯湯水入口温度センサ22dによって検出された貯湯水温度によって検出された貯湯水温度が判定温度未満である場合に、ステップS208,210にてそれぞれ「YES」,「NO」と判定し、ステップS212において、燃料電池34の目標発電出力量を燃料電池34の最大発電出力量に設定する。
このときの燃料電池34の目標発電出力量とユーザ負荷電
力は、
図5にてIで示す。
【0051】
また、制御装置15は、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された改質水タンクの水量が判定水量以上であり、かつ、熱交換器貯湯水入口温度センサ22dによって検出された貯湯水温度によって検出された貯湯水温度が判定温度以上であり、かつ、ユーザから負荷設定変更の指示がある場合に、ステップS208,210,214にてそれぞれ「YES」と判定し、ステップS220において、燃料電池34の目標発電出力量をユーザが設定した出力量に設定する。
このときの燃料電池34の目標発電出力量とユーザ負荷電
力は、
図5にてIIIで示す。
【0052】
また、制御装置15は、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された改質水タンクの水量が判定水量以上であり、かつ、熱交換器貯湯水入口温度センサ22dによって検出された貯湯水温度によって検出された貯湯水温度が判定温度以上であり、かつ、ユーザから負荷設定変更の指示がない場合であって、第二負荷装置16gの負荷変動が小さい場合に、ステップS208,210,214,216にてそれぞれ「YES」,「YES」,「NO」,「NO」と判定し、ステップS218において、燃料電池34の目標発電出力量をユーザ負荷に第二所定電
力を加算した値に設定する。第二所定電
力は、
例えば150Wに設定されており、改質水量に余裕があるが凝縮水生成量が減少するため、ユーザの電力に係る使い勝手と貯湯水温度の上昇の抑制(すなわち凝縮水の生成の確保)との両立を図る電力に設定されている。
このときの燃料電池34の目標発電出力量とユーザ負荷電力は、図5にてIIで示す。
【0053】
また、制御装置15は、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された改質水タンクの水量が判定水量以上であり、かつ、熱交換器貯湯水入口温度センサ22dによって検出された貯湯水温度によって検出された貯湯水温度が判定温度以上であり、かつ、ユーザから負荷設定変更の指示がない場合であって、第二負荷装置16gの負荷変動が大きい場合に、ステップS208,210,214,216にてそれぞれ「YES」,「YES」,「NO」,「YES」と判定し、ステップS226において、燃料電池34の目標発電出力量をユーザ負荷の最大値に第三所定電
力を加算した値に設定する。第三所定電
力は、例えば30Wに設定されており、自立発電電
力よりユーザ負荷電
力が短時間でも大きくなるのを抑制する電
力に設定されている。
このときの燃料電池34の目標発電出力量とユーザ負荷電
力は、
図5にてVで示す。
【0054】
また、制御装置15は、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された改質水タンクの水量が判定水量未満であって、第二負荷装置16gの負荷変動が小さい場合に、ステップS208,222にてそれぞれ「NO」と判定し、ステップS224において、燃料電池34の目標発電出力量をユーザ負荷に第一所定電
力を加算した値に設定する。第一所定電
力は、
例えば75Wに設定されており、改質水量に比較的余裕がないため、燃料電池システム1の運転継続の優先を図る電力に設定されている。
このときの燃料電池34の目標発電出力量とユーザ負荷電力は、図5にてIVで示す。
【0055】
また、制御装置15は、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された改質水タンクの水量が判定水量未満であって、第二負荷装置16gの負荷変動が大きい場合に、ステップS208,222にてそれぞれ「NO」,「YES」と判定し、ステップS226において、燃料電池34の目標発電出力量をユーザ負荷の最大値に第三所定電
力を加算した値に設定する。
このときの燃料電池34の目標発電出力量とユーザ負荷電
力は、
図5にてVで示す。
【0056】
なお、上述した各ステップS212,218,220,224,226においては、制御装置15は、目標発電出力量とユーザ負荷との差分を導出しており、その差分は自立ヒータ22bで消費するように自立ヒータ22bを制御している。
【0057】
なお、制御装置15は、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された改質水タンク14の水量が判定水量以上である場合に、燃料電池34の目標発電出力量を燃料電池34の最大発電出力量に設定し、水量センサ14aによって検出された改質水タンクの水量が判定水量未満である場合に、燃料電池34の目標発電出力量をセンサ13aによって検出された第二負荷装置16gの消費電
力に第一所定電
力を加算した値に設定するようにしてもよい。この場合、制御装置15は、ステップS210,222の処理を省略し、ステップS208にて「YES」と判定したとき、プログラムをステップS212に進め、ステップS208にて「NO」と判定したとき、プログラムをステップS224に進めるようにすればよい。
【0058】
また、制御装置15は、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された改質水タンク14の水量が判定水量以上である場合には、熱交換器貯湯水入口温度センサ22dによって検出された貯湯水の温度が判定温度以上である場合に、燃料電池34の目標発電出力量をセンサ13aによって検出された第二負荷装置16gの消費電
力に第二所定電
力を加算した値に設定するようにしてもよい。この場合、制御装置15は、ステップS214,216の処理を省略し、ステップS210にて「YES」と判定したとき、プログラムをステップS218に進めるようにすればよい。
【0059】
上述した説明から明らかなように、本実施形態の燃料電池システム1は、燃料と酸化剤ガスとにより発電する燃料電池34と、改質用原料と改質水とから燃料を生成して燃料電池34に供給する改質部33と、燃料電池34から供給される直流電力を交流電力に変換するインバータ装置13(電力変換装置)と、系統電源16aからの電力およびインバータ装置13からの電力が供給される外部電力負荷16c(第一負荷装置)と、系統電源16aの送電が停止された場合に、燃料電池34を発電させてインバータ装置13からの電力のみを供給する自立発電運転中において、インバータ装置13に接続されて、インバータ装置13からの電力のみが供給される第二負荷装置16gと、燃料電池34からの燃料オフガスと燃料電池34からの酸化剤ガスオフガスとを燃焼させて燃焼排ガスを導出する燃焼部36と、貯湯水を貯水する貯湯槽21と、燃焼排ガスと貯湯水との間で熱交換が行われ、燃焼排ガスに含まれている水蒸気を凝縮して凝縮水を生成する熱交換器12と、貯湯槽21と熱交換器12との間において貯湯水を循環させるように形成された貯湯水循環ライン22と、熱交換器12から供給された凝縮水を改質水として貯水するとともに改質部33に供給する水タンク14(改質水タンク)と、水タンク14の水量を検出する水量センサ14aと、第二負荷装置16gの消費電
力を検出するセンサ13a(電力センサ)と、燃料電池34を発電させる制御を行う制御装置15と、を備えた燃料電池システム1である。制御装置15は、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された水タンク14の水量が判定水量以上である場合に、燃料電池34の目標発電出力量を燃料電池34の最大発電出力量に設定し、また、水量センサ14aによって検出された水タンク14の水量が判定水量未満である場合に、燃料電池34の目標発電出力量をセンサ13aによって検出された第二負荷装置16gの消費電
力に第一所定電
力を加算した値に設定する。
【0060】
これによれば、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された水タンク14の水量が判定水量以上である場合に、燃料電池34の目標発電出力量は、燃料電池34の最大発電出力量に設定され、また、水量センサ14aによって検出された水タンク14の水量が判定水量未満である場合に、燃料電池34の目標発電出力量は、センサ13aによって検出された第二負荷装置16gの消費電
力に第一所定電
力を加算した値に設定される。その結果、燃料電池34の実際の発電出力量は、第二負荷装置16gの消費電力より最低でも第一所定電
力より大きくなるので、燃料電池34に負荷がかかって燃料電池34の出力が停止されるのを抑制することができる。よって、自立発電運転中においてユーザの利便性を向上させることができる。
【0061】
すなわち、従来では、自立発電電
力(自立発電運転による電
力)を低く設定すると改質水の減量は少なくなるものの、ユーザ負荷が自立発電電
力以上となった場合は燃料電池34が過負荷となり、燃料電池34がアイドリング運転状態へ移行し、一時的に停電が発生する。これに対して、本実施形態によれば、燃料電池34の実際の発電出力量は、第二負荷装置16gの消費電力より最低でも第一所定電
力より大きくなるので、燃料電池34に負荷がかかって燃料電池34の出力が停止されるのを抑制することができる。
【0062】
また、従来では、自立発電電
力を多く設定すると使用可能負荷は多くなるものの、ユーザ負荷が少ない場合は、自立発電電
力とユーザ負荷との差分が自立ヒータ22bで熱となり、貯湯水温度が上昇し熱交換器12で生成される改質水が減り、燃料電池システム1を停止させる場合がある。これに対して、本実施形態によれば、自立発電電
力とユーザ負荷との差分を適切に設定することができるので、燃料電池システム1を適切に運転させることができる。
このように、燃料電池システム1において、改質水の減少の抑制と使用可能な負荷を高く維持することの両立を達成することができる。
【0063】
また燃料電池システム1は、熱交換器12に導入される貯湯水の温度を検出する熱交換器貯湯水入口温度センサ22d(温度センサ)をさらに備え、制御装置15は、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された水タンク14の水量が判定水量以上である場合には、熱交換器貯湯水入口温度センサ22dによって検出された貯湯水の温度が判定温度未満である場合に、燃料電池34の目標発電出力量を燃料電池34の最大発電出力量に設定し、また、熱交換器貯湯水入口温度センサ22dによって検出された貯湯水の温度が判定温度以上である場合に、燃料電池34の目標発電出力量をセンサ13aによって検出された第二負荷装置16gの消費電
力に第二所定電
力を加算した値に設定する。
これによれば、水タンク14の残水量だけでなく、貯湯水の熱交換器入口温度も考慮して、燃料電池34の目標発電
力をより適切に設定することが可能となる。その結果、自立発電運転中においてユーザの利便性をより向上させることができる。
【0064】
また燃料電池システム1において、制御装置15は、自立発電運転中において、水量センサ14aによって検出された水タンク14の水量が判定水量以上である場合であって、熱交換器貯湯水入口温度センサ22dによって検出された貯湯水の温度が判定温度以上である場合には、ユーザが燃料電池34の目標発電出力量を設定した場合に、燃料電池34の目標発電出力量をユーザが設定した目標発電出力量に設定する。
これによれば、水量センサ14aによって検出された水タンク14の水量が判定水量以上であり、熱交換器貯湯水入口温度センサ22dによって検出された貯湯水の温度が判定温度以上である場合であっても、ユーザが燃料電池34の目標発電出力量を設定した場合には、ユーザの意思を優先させることが可能となる。その結果、自立発電運転中においてユーザの利便性をより向上させることができる。
【0065】
また燃料電池システム1において、制御装置15は、燃料電池34の目標発電出力量を燃料電池34の最大発電出力量以外の値に設定した場合であって、センサ13aによって検出された第二負荷装置16gの消費電
力が比較的大きく変動する場合に、燃料電池34の目標発電出力量を第二負荷装置16gの消費電
力の最大値に第三所定電
力を加算した値に設定する。
これによれば、燃料電池34の目標発電出力量を燃料電池34の最大発電出力量以外の値に設定した場合であって、センサ13aによって検出された第二負荷装置16gの消費電
力が比較的大きく変動する場合に、その変動に対応して燃料電池34の目標発電出力量を適切に設定することができる。その結果、自立発電運転中においてユーザの利便性をより向上させることができる。