【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様は、環状体における原部材の繋ぎ合わせ位置の検出方法である。当該検出方法は、
ゴムを含む一定の原反長さのシート状の原部材を繋ぎあわせることにより形成される繋ぎあわせ部を有する長尺状の帯状部材の先端部から前記帯状部材を所定の引き出し長さ引き出して切断することにより、前記帯状部材を環状に巻きつけた環状体を順次作製する度に、前記環状体の周上における前記繋ぎあわせ部の周上予測位置を求めるステップと、
前記周上予測位置を求める度に、前記周上予測位置を基準にして前記周上予測位置を含む前記環状体の全周より狭い範囲で、前記環状体の周上における前記原部材の前記繋ぎあわせ部の周上位置を、測定装置を用いて検出するステップと、を含み、
前記周上予測位置を求めるステップでは、前記帯状部材の先端部から引き出す前記帯状部材の引き出し領域内にある前記原部材の繋ぎあわせ部の、前記先端部から前記繋ぎあわせ部までの繋ぎあわせ部長さと、前記帯状部材の前記引き出し長さとを用いて、前記繋ぎ合わせ部の前記周上予測位置を求める。
【0008】
前記帯状部材を引き出してM個目(Mは2以上の整数)の環状体を作製するとき、M個目より前に作製した環状体における、検出した前記周上位置と前記周上予測位置との間の差分を、前記繋ぎあわせ部長さと、前記帯状部材の前記引き出し長さとともに用いて、前記M個目の環状体における前記繋ぎあわせ部の前記周上予測位置を求める、ことが好ましい。
【0009】
前記環状体は、前記帯状部材を円柱形状のドラムの外周に巻きつけることにより作製され、
前記帯状部材の先端部は、前記ドラムの外周上の原点位置を基準として、前記外周の上で角度β度位置ずれしており、前記原反長さをL、前記引き出し長さをRとし、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体における検出した前記繋ぎあわせ部の前記周上位置と前記繋ぎあわせ部の前記周上予測位置との差分の長さに関して、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体には前記繋ぎあわせ部が存在せず前記差分の長さがない場合、及び前記繋ぎあわせ部が1つあって前記差分の長さが1つである場合は、前記差分の長さをγ
n−1・R/360(γ
n−1は、0以上の角度)で表し、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体には前記繋ぎあわせ部が複数存在して前記差分の長さが複数ある場合、複数の繋ぎあわせ部のうち、前記先端部と反対側の後端部に最も近い繋ぎあわせ部における前記差分の長さをγ
n−1・R/360(γ
n−1は、0度以上360度未満の角度)で表したとき、
M個目の環状体の前記周上予測位置を求めるときに用いる前記繋ぎあわせ部長さは、iを1以上の整数として、角度β+{L・i−R×(M−1)}・(360/R)+(γ
1+γ
2+・・・+γ
M−2+γ
M−1)が0より大きく360度未満となるような整数iを用いて、L・i−R×(M−1)+(γ
1+γ
2+γ
3+・・・+γ
M−2+γ
M−1)・R/360で表される、ことが好ましい。
【0010】
前記帯状部材の先端部の調整のために、設定された調整長さぶん前記先端部から離れた位置で前記帯状部材を切断して前記帯状部材の新たな先端部をつくり、
前記新たな先端部から前記引き出し長さだけ引き出してM個目(Mは2以上の整数)の環状体を作製するとき、さらに、前記調整長さを用いて、前記M個目の環状体における前記繋ぎあわせ部の前記周上予測位置を求める、ことが好ましい。
【0011】
前記環状体は、前記帯状部材を円柱形状のドラムの外周に巻きつけることにより作製され、
前記帯状部材の先端部は、前記ドラムの外周上の原点位置を基準として、前記外周の上で角度β度位置ずれしており、前記原反長さをL、前記引き出し長さをRとし、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体における検出した前記繋ぎあわせ部の前記周上位置と前記繋ぎあわせ部の前記周上予測位置との差分の長さに関して、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体には前記繋ぎあわせ部が存在せず前記差分の長さがない場合、及び前記繋ぎあわせ部が1つあって前記差分の長さが1つである場合は、前記差分の長さをγ
n−1・R/360(γ
n−1は、0度以上360度未満の角度)で表し、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体には前記繋ぎあわせ部が複数存在して前記差分の長さが複数ある場合、複数の繋ぎあわせ部のうち、前記先端部と反対側の後端部に最も近い繋ぎあわせ部における前記差分の長さをγ
n−1・R/360(γ
n−1は、0以上の角度)で表し、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体を作製するときの前記調整長さをδ
n−1(δ
n−1は、0以上の長さ)で表したとき、
M個目の環状体の前記周上予測位置を求めるときに用いる前記繋ぎあわせ部長さは、iを1以上の整数として、角度β+{L・i−R×(M−1)−(δ
1+δ
2+・・・+δ
M−2+δ
M−1+δ
M)}・(360/R)+(γ
1+γ
2+・・・+γ
M−2+γ
M−1)が0より大きく360度未満となるような整数iを用いて、L・i−R×(M−1)−(δ
1+δ
2+・・・+δ
M−2+δ
M−1+δ
M)+(γ
1+γ
2+γ
3+・・・+γ
M−2+γ
M−1)・R/360で表される、ことが好ましい。
【0012】
前記先端部の前記環状体における前記ドラムの外周上の位置は、予め定められており、
前記環状体を用いて前記ドラム上で作製される環状の構造体には前記構造体の識別情報を表すラベルコード表示体が、予め設定された前記ドラムの外周上の位置で貼り付けられており、
前記ラベルコード表示体の位置の情報と、前記先端部の位置の情報と、検出した前記繋ぎあわせ部の前記周上位置の情報と、を前記構造体の識別情報と関連付けて、前記構造体毎に記憶手段に記憶するステップと、を有することが好ましい。
【0013】
本発明の他の一態様は、タイヤの欠陥検査方法である。当該欠陥検査方法は、
ゴムを含む一定の原反長さのシート状の原部材を繋ぎあわせることにより形成される繋ぎあわせ部を有する長尺状の帯状部材の先端部から前記原部材を所定の引き出し長さ引き出して切断することにより、前記帯状部材を環状に巻きつけた環状体を順次作製する度に、前記環状体の周上における前記繋ぎあわせ部の周上予測位置を求めるステップと、
前記周上予測位置を求める度に、前記周上予測位置を基準にして前記周上予測位置を含む前記環状体の全周より狭い範囲で、前記環状体の周上における前記原部材の前記繋ぎあわせ部の周上位置を、測定装置を用いて検出するステップと、
検出した前記繋ぎあわせ部の前記周上位置を少なくとも用いて、前記環状体を含む生タイヤからつくられるタイヤの、前記繋ぎあわせ部に起因する欠陥の有無を少なくとも検査するステップと、を含み、
前記周上予測位置を求めるステップでは、前記帯状部材の先端部から引き出す前記帯状部材の引き出し領域内にある前記原部材の繋ぎあわせ部の、前記先端部からの繋ぎあわせ部長さと、前記帯状部材の前記引き出し長さとを用いて、前記繋ぎ合わせ部の前記周上予測位置を求める。
【0014】
前記帯状部材を引き出してM個目(Mは2以上の整数)の環状体を作製するとき、M個目より前に作製した環状体における、検出した前記周上位置と前記周上予測位置との間の差分を、前記繋ぎあわせ部長さと、前記帯状部材の前記引き出し長さとともに用いて、前記M個目の環状体における前記周上予測位置を求める、ことが好ましい。
【0015】
前記環状体は、前記帯状部材を円柱形状のドラムの外周に巻きつけることにより作製され、
前記帯状部材の先端部は、前記ドラムの外周上の原点位置を基準として、前記外周の上で角度β度位置ずれしており、前記原反長さをL、前記引き出し長さをR
とし、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体における検出した前記繋ぎあわせ部の前記周上位置と前記周上位置に対応した前記周上予測位置との差分の長さに関して、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体には前記繋ぎあわせ部が存在せず前記差分の長さがない場合、及び前記繋ぎあわせ部が1つあって前記差分の長さが1つである場合、前記差分の長さをγ
n−1・R/360(γ
n−1は、0以上の角度)で表し、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体には前記繋ぎあわせ部が複数存在して前記差分の長さが複数ある場合は、複数の繋ぎあわせ部のうち、前記先端部と反対側の後端部に最も近い繋ぎあわせ部における前記差分の長さをγ
n−1・R/360(γ
n−1は、0度以上360度未満の角度)で表したとき、
M個目の環状体の前記周上予測位置を求めるときに用いる前記繋ぎあわせ部長さは、iを1以上の整数として、角度β+{L・i−R×(M−1)}・(360/R)+(γ
1+γ
2+・・・+γ
M−2+γ
M−1)が0より大きく360度未満となるような整数iを用いて、L・i−R×(M−1)+(γ
1+γ
2+γ
3+・・・+γ
M−2+γ
M−1)・R/360で表される、ことが好ましい。
【0016】
前記帯状部材の先端部の調整のために、設定された調整長さぶん前記先端部から離れた位置で前記帯状部材を切断して前記帯状部材の新たな先端部をつくり、
前記新たな先端部から前記引き出し長さだけ引き出してM個目(Mは2以上の整数)の環状体を作製するとき、さらに、前記調整長さを用いて、前記M個目の環状体における前記繋ぎあわせ部の前記周上予測位置を求める、ことが好ましい。
【0017】
前記環状体は、前記帯状部材を円柱形状のドラムの外周に巻きつけることにより作製され、
前記帯状部材の先端部は、前記ドラムの外周上の原点位置を基準として、前記外周の上で角度β度位置ずれしており、前記原反長さをL、前記引き出し長さをRとし、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体における検出した前記繋ぎあわせ部の前記周上位置と前記周上位置に対応した前記周上予測位置との差分の長さに関して、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体には前記繋ぎあわせ部が存在せず前記差分の長さがない場合、及び前記繋ぎあわせ部が1つあって前記差分の長さが1つである場合、前記差分の長さをγ
n−1・R/360(γ
n−1は、0度以上360度未満の角度)で表し、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体には前記繋ぎあわせ部が複数存在して前記差分の長さが複数ある場合は、複数の繋ぎあわせ部のうち、前記先端部と反対側の後端部に最も近い繋ぎあわせ部における前記差分の長さをγ
n−1・R/360(γ
n−1は、0以上の角度)で表し、(n−1)個目(nは2以上の整数)の環状体を作製するときの前記調整長さをδ
n−1(δ
n−1は、0以上の長さ)で表したとき、
M個目の環状体の前記周上予測位置を求めるときに用いる前記繋ぎあわせ位置長さは、iを1以上の整数として、角度β+{L・i−R×(M−1)−(δ
1+δ
2+・・・+δ
M−2+δ
M−1+δ
M)}・(360/R)+(γ
1+γ
2+・・・+γ
M−2+γ
M−1)が0より大きく360度未満となるような整数iを用いて、L・i−R×(M−1)−(δ
1+δ
2+・・・+δ
M−2+δ
M−1+δ
M)+(γ
1+γ
2+γ
3+・・・+γ
M−2+γ
M−1)・R/360で表される、ことが好ましい。
【0018】
前記先端部の前記環状体における前記ドラムの外周上の位置は、予め定められており、
前記環状体を用いて前記ドラム上で作製される環状の前記生タイヤには前記生タイヤの識別情報を表すラベルコード表示体が、予め設定された前記ドラムの外周上の位置で貼り付けられており、
前記ラベルコード表示体の位置の情報と、前記先端部の周上位置の情報と、検出した前記繋ぎあわせ部の前記周上位置の情報と、を前記構造体の識別情報と関連付けて、前記構造体毎に記憶手段に記憶するステップと、
前記欠陥の有無を検査するステップでは、前記生タイヤからつくられる前記タイヤに依然として貼り付けられている前記ラベルコード表示体の識別情報を検出し、前記識別情報を用いて、前記記憶手段に記憶されている前記先端部の位置の情報と、前記繋ぎあわせ部の前記周上位置の情報を取得し、前記先端部の周上位置の情報と、前記繋ぎあわせ部の前記周上位置の情報を用いて、前記帯状部材の先端部に起因する欠陥及び前記繋ぎあわせ部に起因する欠陥の有無を検査する、ことが好ましい。
【0019】
本発明の更に他の一態様は、タイヤの製造方法である。当該製造方法は、
ゴムを含む一定の原反長さのシート状の原部材を繋ぎあわせることにより形成される繋ぎあわせ部を有する長尺状の帯状部材を作製するステップと、
前記帯状部材の先端部から前記原部材を成形ドラムに所定の引き出し長さ引き出して切断することにより、環状体を順次作製するステップと、
前記環状体を作製する度に、前記帯状部材の先端部から引き出す前記帯状部材の引き出し領域内にある前記原部材の繋ぎあわせ部の、前記先端部から前記繋ぎあわせ部までの繋ぎあわせ部長さと、前記帯状部材の前記引き出し長さとを用いて、前記帯状部材の周上における前記繋ぎ合わせ部の周上予測位置を求めるステップと、
前記繋ぎあわせ部の前記周上予測位置を求める度に、前記周上予測位置を基準にして前記周上予測位置を含む前記環状体の全周より狭い範囲で、前記環状体の周上における前記繋ぎあわせ部の周上位置を測定装置を用いて検出するステップと、
前記環状体を用いて前記生タイヤを作製するステップと、
前記生タイヤを加硫してタイヤを作製するステップと、
検出した前記繋ぎあわせ部の前記周上位置を用いて、前記環状体を含む生タイヤからつくられるタイヤの、前記帯状部材の繋ぎあわせ部に起因する欠陥の有無を少なくとも検査するステップと、を含む。