特許第6700216号(P6700216)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6700216
(24)【登録日】2020年5月7日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】駐車空間検出装置
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20200518BHJP
   B60R 21/0134 20060101ALI20200518BHJP
   B60W 30/06 20060101ALI20200518BHJP
   G06T 7/60 20170101ALI20200518BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20200518BHJP
【FI】
   G08G1/16 C
   B60R21/0134 314
   B60W30/06
   G06T7/60 180B
   G06T7/00 650Z
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-92920(P2017-92920)
(22)【出願日】2017年5月9日
(65)【公開番号】特開2018-190220(P2018-190220A)
(43)【公開日】2018年11月29日
【審査請求日】2019年4月23日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】チェティン ヒクメット
(72)【発明者】
【氏名】重村 宗作
(72)【発明者】
【氏名】松浦 充保
【審査官】 佐田 宏史
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−168258(JP,A)
【文献】 特開2014−094726(JP,A)
【文献】 特開2013−220745(JP,A)
【文献】 特開2017−019435(JP,A)
【文献】 特開2007−322357(JP,A)
【文献】 特開2012−017021(JP,A)
【文献】 国際公開第2010/140458(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
B60R 21/0134
B60W 30/06
H04N 7/18
G06T 1/00,7/00−7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両(200)の駐車空間(110)を検出する駐車空間検出装置(30)であって、
前記駐車空間を探索する車載の探索部(10〜16、20〜26)から取得する探索情報に基づいて、前記駐車空間の両側の少なくとも一方側に他車両(220、230)が存在するか否かを判定するように構成された車両判定部(40、52、S400〜S404、S408、S412)と、
前記車両判定部が前記駐車空間の両側の少なくとも一方側に前記他車両が存在すると判定すると、前記駐車空間の入口側の幅(Wf)と前記駐車空間の奥側の幅(Wr)とを前記探索情報に基づいて算出するように構成された幅算出部(52、S414〜S422、S426)と、
前記幅算出部が算出する前記入口側の幅と前記奥側の幅との両方と前記自車両の大きさとに基づいて、前記駐車空間に前記自車両が駐車可能であるか否かを判定するように構成された駐車判定部(52、S424、S428)と、
を備え
前記車両判定部は、前記探索情報として、前記探索部が照射する探査波による第1の探索情報と、前記探索部が撮像する画像データによる第2の探索情報とを取得し、前記第1の探索情報に基づいて前記駐車空間の両側の少なくとも一方側に物体が存在すると判定すると、前記第2の探索情報に基づいて前記物体が前記他車両であるか否かを判定するように構成されている、
駐車空間検出装置。
【請求項2】
請求項1に記載の駐車空間検出装置であって、
並列駐車において前記駐車空間の両側に前記他車両が存在する場合、前記幅算出部は、前記駐車空間に面した前記他車両のそれぞれの入口側のタイヤと接地面とが接する入口側位置のうち、前記駐車空間の奥側の前記入口側位置における前記駐車空間の幅を入口側の幅として算出し、前記他車両のそれぞれの前記入口側位置から前記自車両の全長分を奥側の前記タイヤと前記接地面とが接する奥側位置に向けて延長した線分の2個の終端位置を前記駐車空間の入口側から見たときの前記駐車空間の幅を奥側の幅として算出し、
並列駐車において前記駐車空間の一方側に前記他車両が存在し他方側に前記他車両が存在しない場合、前記幅算出部は、前記駐車空間に面した前記他車両の前記入口側位置と、前記駐車空間の前記他車両が存在しない他方側の白線の入口側位置とのうち、前記駐車空間の奥側の前記入口側位置における前記駐車空間の幅を入口側の幅として算出し、前記他車両の前記入口側位置と前記白線の前記入口側位置とのそれぞれから、前記他車両の前記奥側位置と前記白線の奥側位置とに向けて前記自車両の全長分を延長した線分の2個の終端位置を前記駐車空間の入口側から見たときの幅を奥側の幅として算出するように構成されている、
駐車空間検出装置。
【請求項3】
自車両(200)の駐車空間(110)を検出する駐車空間検出装置(30)であって、
前記駐車空間を探索する車載の探索部(10〜16、20〜26)から取得する探索情報に基づいて、前記駐車空間の両側の少なくとも一方側に他車両(220、230)が存在するか否かを判定するように構成された車両判定部(40、52、S400〜S404、S408、S412)と、
前記車両判定部が前記駐車空間の両側の少なくとも一方側に前記他車両が存在すると判定すると、前記駐車空間の入口側の幅(Wf)と前記駐車空間の奥側の幅(Wr)とを前記探索情報に基づいて算出するように構成された幅算出部(52、S414〜S422、S426)と、
前記幅算出部が算出する前記入口側の幅と前記奥側の幅との両方と前記自車両の大きさとに基づいて、前記駐車空間に前記自車両が駐車可能であるか否かを判定するように構成された駐車判定部(52、S424、S428)と、
を備え
並列駐車において前記駐車空間の両側に前記他車両が存在する場合、前記幅算出部は、前記駐車空間に面した前記他車両のそれぞれの入口側のタイヤと接地面とが接する入口側位置のうち、前記駐車空間の奥側の前記入口側位置における前記駐車空間の幅を入口側の幅として算出し、前記他車両のそれぞれの前記入口側位置から前記自車両の全長分を奥側の前記タイヤと前記接地面とが接する奥側位置に向けて延長した線分の2個の終端位置を前記駐車空間の入口側から見たときの前記駐車空間の幅を奥側の幅として算出し、
並列駐車において前記駐車空間の一方側に前記他車両が存在し他方側に前記他車両が存在しない場合、前記幅算出部は、前記駐車空間に面した前記他車両の前記入口側位置と、前記駐車空間の前記他車両が存在しない他方側の白線の入口側位置とのうち、前記駐車空間の奥側の前記入口側位置における前記駐車空間の幅を入口側の幅として算出し、前記他車両の前記入口側位置と前記白線の前記入口側位置とのそれぞれから、前記他車両の前記奥側位置と前記白線の奥側位置とに向けて前記自車両の全長分を延長した線分の2個の終端位置を前記駐車空間の入口側から見たときの幅を奥側の幅として算出するように構成されている、
駐車空間検出装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の駐車空間検出装置であって、
前記入口側の幅と前記奥側の幅とに基づいて前記駐車空間に前記自車両が駐車可能と前記駐車判定部が判定すると、前記入口側の幅と、前記奥側の幅と、前記駐車空間の両側の前記線分のそれぞれと前記駐車空間の幅方向とが形成する傾斜角度(θ1、θ2)と、前記入口側の幅と前記奥側の幅と2個の前記傾斜角度とにより形成される四角形の少なくともいずれかの頂点の位置とを、前記駐車空間に駐車する前記自車両の走行を制御する走行制御装置に出力するように構成された通知部(52、S430)をさらに備える、
駐車空間検出装置。
【請求項5】
請求項4に記載の駐車空間検出装置であって、
前記駐車空間の両側の少なくとも一方側に存在する物体が車両ではないと前記車両判定部が判定すると、
前記駐車判定部は、前記駐車空間に前記自車両が駐車できるか否かを判定しないように構成されており、
前記通知部は、前記駐車空間の両側の少なくとも一方側に存在する物体が車両ではないことを前記走行制御装置に出力するように構成されている、
駐車空間検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自車両が駐車する駐車空間を検出する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
自車両が駐車できる駐車空間を検出する技術として、例えば、特許文献1に記載されている技術が知られている。特許文献1に記載されている技術では、超音波センサ、レーザレーダ、ミリ波レーダ等のセンサを用いて駐車空間の両側に駐車している他車両までの距離を検出し、距離データ系列から他車両の入口側の輪郭形状を特定している。
【0003】
そして、特許文献1に記載されている技術では、駐車空間の両側に駐車している他車両の入口側の輪郭形状において、駐車空間を挟んで対向する端部同士の距離を駐車空間の幅としている。この駐車空間の幅と自車両との大きさを比較して、駐車空間に自車両が駐車できるか否かが判定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5786775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、駐車空間の両側に駐車している他車両同士の入口側の距離を駐車空間の幅としているが、他車両同士の奥側の距離は考慮されていない。
その結果、例えば、他車両が斜めに駐車しているために、駐車空間の入口側よりも奥側の幅が狭くなっていることがある。この場合、他車両同士の入口側の距離に基づいて自車両が駐車空間に駐車可能であると判定しても、駐車空間の奥側の幅が狭いために自車両が駐車空間に駐車できないという課題がある。
【0006】
本開示は、駐車空間の奥側の幅も考慮して自車両が駐車可能な駐車空間を検出する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、自車両(200)の駐車空間(110)を検出する駐車空間検出装置(30)であって、車両判定部(40、52、S400〜S404、S408、S412)と、幅算出部(52、S414〜S422、S426)と、駐車判定部(52、S424、S428)とを備えている。
【0008】
車両判定部は、駐車空間を探索する車載の探索部(10〜16、20〜26)から取得する探索情報に基づいて、駐車空間の両側の少なくとも一方側に他車両(220、230)が存在するか否かを判定する。幅算出部は、車両判定部が駐車空間の両側の少なくとも一方側に他車両が存在すると判定すると、駐車空間の入口側の幅(Wf)と駐車空間の奥側の幅(Wr)とを探索情報に基づいて算出する。駐車判定部は、幅算出部が算出する入口側の幅と奥側の幅との両方と自車両の大きさとに基づいて、駐車空間に自車両が駐車可能であるか否かを判定する。
【0009】
この構成によれば、例えば、車両が斜めに駐車しているために駐車空間の奥側の幅が入口側の幅より狭く、駐車空間の入口側の幅と奥側の幅とが異なっているときにも、駐車空間に自車両が駐車可能か否かを高精度に判定できる。
【0010】
尚、この欄および特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態による駐車空間検出システムを示すブロック図。
図2】駐車している他車両の状態を示す説明図。
図3】駐車空間検出処理を示すフローチャート。
図4】駐車空間を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図に基づいて説明する。
[1.構成]
図1に示す駐車空間検出システム2は、フロント超音波センサ10と右超音波センサ12と左超音波センサ14とリヤ超音波センサ16とフロントカメラ20と右カメラ22と左カメラ24とリヤカメラ26と駐車空間検出装置30とを備えている。
【0013】
フロント超音波センサ10と右超音波センサ12と左超音波センサ14とリヤ超音波センサ16とは、それぞれ自車両の前方向、右方向、左方向、後方向に探査波として超音波を照射して反射波を受信する。
【0014】
フロントカメラ20と右カメラ22と左カメラ24とリヤカメラ26とは、それぞれ自車両の前方向、右方向、左方向、後方向を撮像して画像データを出力する。
駐車空間検出装置30は、超音波処理部40と画像歪補正部50と画像処理部52とメモリ54と車載信号処理部60とを備えている。駐車空間検出装置30は、例えばドライバが駐車支援スイッチをオンにすると、駐車空間の検出処理を開始する。
【0015】
駐車空間検出装置30は、CPUとROMとRAMとフラッシュメモリとなどを備えるマイクロコンピュータにより構成されている。ROMとRAMとフラッシュメモリとは、非遷移的実体的記録媒体である半導体メモリである。駐車空間検出装置30は、一つのマイクロコンピュータを搭載してもよいし、複数のマイクロコンピュータを搭載してもよい。
【0016】
駐車空間検出装置30の各種機能は、CPUが非遷移的実体的記録媒体に記憶されているプログラムを実行することにより実現される。このプログラムをCPUが実行することで、プログラムに対応する方法が実行される。
【0017】
駐車空間検出装置30の各種機能を実現する手法は、ソフトウェアに限るものではなく、その一部または全部の要素を、論理回路やアナログ回路等を組み合わせたハードウェアを用いてもよい。
【0018】
超音波処理部40は、フロント超音波センサ10と右超音波センサ12と左超音波センサ14とリヤ超音波センサ16とから、探索情報として、超音波の照射方向と、超音波を照射してから反射波を受信するまでの時間とを取得する。そして、超音波処理部40は、取得した探索情報に基づいて、照射方向に物体が存在するか否かと、物体が存在する場合は物体までの距離とを検出する。
【0019】
図2では、白線100で区画された駐車空間に3台の他車両210、220、230が駐車している例を示している。自車両200が駐車場内を移動しているときに、超音波処理部40は、主に左右の超音波センサから取得する前述した探索情報に基づいて、自車両200に対する他車両210、220、230の方向と、他車両210、220、230までの距離とを検出する。
【0020】
超音波処理部40は、他車両210、220、230の方向と、他車両210、220、230までの距離とを画像処理部52に出力する。他車両210、220、230の方向と、他車両210、220、230までの距離とから、自車両200に対する他車両210、220、230の相対位置を算出できる。
【0021】
画像歪補正部50は、広角レンズを使用したフロントカメラ20と右カメラ22と左カメラ24とリヤカメラ26とが撮像して出力する画像データに含まれる画像の歪みを、各カメラの広角レンズの特性に基づいて補正する。
【0022】
画像処理部52は、画像歪補正部50で補正された画像データをフレーム毎にメモリ54に格納する。メモリ54は、例えばリングバッファで構成され、最も古いフレームが最新のフレームにより上書きされる。
【0023】
画像処理部52は、例えば図2において、他車両210、220、230の方向と、他車両210、220、230までの距離とに基づいて、自車両200に対する他車両210、220、230の相対位置を算出する。画像処理部52は、自車両200に対する他車両210、220、230の相対位置と後述する平面座標系における自車両200の位置とから、平面座標系における他車両210、220、230の位置を算出する。
【0024】
自車両200に対する他車両210、220、230の相対位置を超音波処理部40が算出してもよい。さらに、平面座標系における他車両210、220、230の位置を超音波処理部40が算出してもよい。
【0025】
画像処理部52は、他車両210、220、230の位置に基づいて、他車両220と他車両230との間に、自車両200が駐車可能な駐車空間の候補として駐車空間110が存在することを検出する。そして、駐車空間110の入口側の幅Wfと奥側の幅Wrとを算出し、駐車空間110に自車両200が駐車できるか否かを判定する。入口側の幅Wfと奥側の幅Wrとの算出の詳細については、後述される。
【0026】
車載信号処理部60は、車速センサから車速を取得し、操舵角センサから操舵角を取得する。車載信号処理部60は、例えば駐車支援スイッチがオンになり駐車空間の検出処理が開始されたときの自車両の前輪車軸の中心位置等の基準位置を原点とした平面座標系において、取得した車速と操舵角とに基づいて自車両の原点からの移動方向と移動量とを算出する。
【0027】
そして、算出した移動方向と移動量から平面座標系における自車両の位置を算出する。車載信号処理部60は、平面座標系と算出した自車両の位置とを画像処理部52に出力する。
【0028】
[2.処理]
以下、駐車空間検出装置30が実行する駐車空間検出処理を、図3のフローチャートに基づいて説明する。図3のフローチャートは、例えばドライバが駐車支援スイッチをオンにすると実行される。
【0029】
図4のS400において超音波処理部40は、超音波センサ10〜16の出力信号に基づいて、自車両200の周囲に存在する物体の自車両に対する方向と自車両との距離とを検出する。S402において画像歪補正部50は、フロントカメラ20と右カメラ22と左カメラ24とリヤカメラ26とが撮像する画像データの歪みを、広角レンズの特性に基づいて補正する。
【0030】
S404において画像処理部52は、S400における超音波処理部40の検出結果に基づいて、駐車空間の両側の少なくとも一方に物体が存在するか否かを判定する。S404の判定がNoである、つまり駐車空間の両側に物体が存在しない場合、S406において画像処理部52は、駐車空間の両側に白線が存在するか否かを判定する。
【0031】
S406の判定がNoである、つまり駐車空間の両側に物体が存在せず、さらに白線も存在しない場合、本処理は終了する。S406の判定がYesである、つまり駐車空間の両側に物体は存在しないが白線が存在する場合、処理はS414に移行する。S414の処理は後述される。
【0032】
S404の判定がYesである、つまり駐車空間の両側の少なくとも一方に物体が存在する場合、S408において画像処理部52は、画像歪補正部50から取得する画像データに基づいて、駐車空間の両側の少なくとも一方に存在する物体が車両であるか否かを、パターンマッチング等の処理で判定する。
【0033】
S408の判定がNoである、つまり駐車空間の両側の少なくとも一方に存在する物体が車両ではない場合、S410において画像処理部52は、駐車空間の両側の少なくとも一方に存在する物体が車両ではないことを走行制御装置70に出力する。
【0034】
S408の判定がYesである、つまり駐車空間の両側の少なくとも一方に存在する物体が車両の場合、S412において画像処理部52は、駐車空間の両側に車両が存在するか否かを判定する。
【0035】
S412の判定がNoである、つまり駐車空間の両側の一方側に車両が存在し他方側に車両が存在しない場合、処理はS414に移行する。S412の判定がYesである、つまり駐車空間の両側に車両が存在する場合、処理はS416に移行する。
【0036】
S414において画像処理部52は、駐車空間の両側の一方に車両が存在し片方は白線の場合、あるいは駐車空間の両側に車両が存在せず駐車空間が白線で区画される場合、上記平面座標系において自車両から見たときの白線の開始位置である入口側位置と、白線の終了位置である奥側位置とを算出する。S414の終了後、処理はS418に移行する。
【0037】
S416において画像処理部52は、駐車空間の両側の少なくとも一方に存在する車両の入口側のタイヤと接地面とが接する入口側位置と、奥側のタイヤと接地面とが接する奥側位置とを平面座標系において算出し、処理をS418に移行する。
【0038】
S418において画像処理部52は、駐車空間の両側に車両が駐車しているか、片側だけに駐車しているかのいずれの場合にも、図4に示すように、駐車空間110の右側の入口側位置240と奥側位置242とを通る直線244の式、ならびに左側の入口側位置250と奥側位置252とを通る直線254の式を算出する。
【0039】
S420において画像処理部52は、直線244、254がそれぞれ駐車空間110の幅方向と形成する傾斜角度として、例えば、入口側位置240、250のうち駐車空間110の奥側の入口側位置250を通り直線244に向けて駐車空間110の幅方句に延びる直線300と直線244、254とがそれぞれ形成する傾斜角度θ1、θ2を、画像解析により算出する。
【0040】
S422において画像処理部52は、例えば、入口側位置250の座標と、直線300と直線244との交点302の座標とに基づいて、入口側位置250における駐車空間110の幅を入口側の幅Wfとして算出する。
【0041】
S424において画像処理部52は、入口側の幅Wfが所定の閾値1よりも大きいか否かを判定する。閾値1として、例えば駐車空間110の入口に自車両200が進入するときの余裕率K1を自車両200の車幅Wに乗算した値が設定されている。K1は1よりも大きく2よりも小さい値に設定される。
【0042】
S424の判定がNoである、つまり入口側の幅Wfが所定の閾値1以下の場合、画像処理部52は、自車両200が駐車空間110に駐車することは困難であると判断し、本処理を終了する。
【0043】
S424の判定がYesである、つまり入口側の幅Wfが所定の閾値1よりも大きい場合、S426において画像処理部52は、駐車空間110の奥側の幅Wrを次のように算出する。
【0044】
画像処理部52は、駐車空間110の両側の入口側位置240、250のそれぞれから自車両200の全長分Lを奥側位置242、252に向けて延長した線分の直線244、254上の終端位置246、256を駐車空間110の入口側から見たときの駐車空間110の幅を奥側の幅Wrとして算出する。
【0045】
S428において画像処理部52は、奥側の幅Wrが所定の閾値2よりも大きいか否かを判定する。閾値2として、例えば駐車空間110の奥側に自車両200が進入するときの余裕率K2を自車両200の車幅Wに乗算した値が設定されている。閾値1と閾値2とは、同じ値であってもよいし、自車両200の形状に応じて異なる値であってもよい。
【0046】
S428の判定がNoである、つまり奥側の幅Wrが所定の閾値2以下の場合、画像処理部52は、駐車空間110に自車両200が駐車することは困難であると判断し、本処理を終了する。
【0047】
S428の判定がYesである、つまり奥側の幅Wrが所定の閾値2よりも大きい場合、画像処理部52は、自車両200は駐車空間110に駐車できると判断する。この場合、S430において画像処理部52は、傾斜角度θ1、θ2と、入口側の幅Wfと、奥側の幅Wrと、入口側の幅Wfと奥側の幅Wrと傾斜角度θ1、θ2とにより形成される四角形の少なくともいずれかの頂点の位置として、例えば駐車空間110の奥側の入口側位置250の座標とを、自車両200の操舵とブレーキと車速とを制御する走行制御装置70に出力する。
【0048】
走行制御装置70は、駐車空間検出装置30が出力する傾斜角度θ1、θ2と、入口側の幅Wfと、奥側の幅Wrと、入口側の幅Wfと奥側の幅Wrと傾斜角度θ1、θ2とにより形成される四角形の少なくともいずれかの頂点の位置の座標とに基づき、駐車空間110に駐車する自車両200の走行を制御する。
【0049】
尚、駐車空間検出装置30は、図3のフローチャートが示す駐車空間検出処理を、自車両が駐車可能な駐車空間を検出するまで、カメラ20〜26が撮像する画像データの各フレーム毎に実行する。全ての駐車空間の候補について駐車空間検出処理を実行しても駐車可能な駐車空間が検出できない場合、駐車空間検出装置30は、駐車空間が存在しないことを、音声または画像表示灯でドライバに報知する。
【0050】
[3.効果]
上記実施形態によると、以下の効果を得ることができる。
(a)図2に示すように、駐車空間110の両側に駐車している他車両220、230が斜めに駐車しているために駐車空間110の奥側の幅が入口側の幅より狭い場合でも、駐車空間110に自車両200が駐車可能か否かを高精度に判定できる。
【0051】
(b)駐車空間の入口側の幅が自車両の幅よりも大きいために駐車空間への駐車を開始しても、駐車の途中で駐車空間の奥側の幅が自車両の幅以下のために駐車できないことを抑制できる。これにより、駐車空間に進入中に駐車を中止して別の駐車空間を検出することを抑制できるので、駐車空間を検出するために要する時間を短縮できる。
【0052】
(c)駐車空間110に自車両200が駐車できる場合、自車両200の操舵とブレーキと車速とを制御する走行制御装置70は、駐車空間110について、傾斜角度θ1、θ2と入口側の幅Wfと奥側の幅Wrとを駐車空間検出装置30から取得する。走行制御装置70は、取得した傾斜角度θ1、θ2と入口側の幅Wfと奥側の幅Wrとに基づいて、駐車空間110に自車両200を駐車できる。
【0053】
以上説明した上記実施形態において、フロント超音波センサ10と右超音波センサ12と左超音波センサ14とリヤ超音波センサ16とフロントカメラ20と右カメラ22と左カメラ24とリヤカメラ26とが探索部に対応し、超音波処理部40が車両判定部に対応し、画像処理部52が車両判定部と幅算出部と駐車判定部と通知部とに対応する。
【0054】
また、駐車空間検出装置30がフロント超音波センサ10と右超音波センサ12と左超音波センサ14とリヤ超音波センサ16とから取得する超音波の照射方向と、超音波を照射してから反射波を受信するまでの時間とが第1の探索情報に対応し、駐車空間検出装置30がフロントカメラ20と右カメラ22と左カメラ24とリヤカメラ26とから取得する画像データが第2の探索情報に対応する。
【0055】
また、上記実施形態において、S400〜S404、S408、S412が車両判定部の処理に対応し、S414〜S422、S426が幅算出部の処理に対応し、S424、S428が駐車判定部の処理に対応し、S430が通知部の処理に対応する。
【0056】
[4.他の実施形態]
(1)上記実施形態では、奥側の幅Wrが入口側の幅Wfよりも狭い駐車空間110を検出する例について説明した。これに対し、入口側の幅Wfが奥側の幅Wrよりも狭い駐車空間についても、自車両200が駐車できる駐車空間を図3のフローチャートにより検出できる。
【0057】
(2)上記実施形態では、探査波として超音波を照射する超音波センサを駐車空間を探索する探索部として使用した。これに対し、探査波としてミリ波を照射するミリ波レーダ、または探査波としてレーザを照射するLIDARを探索部として使用してもよい。
【0058】
(3)上記実施形態では、自車両の全長方向が奥行きである並列駐車の場合の駐車空間を検出する例について説明した。これに対し、自車両の車幅方向が奥行きである縦列駐車の場合にも、駐車空間の入口側の幅と奥側の幅との両方が車両の全長よりも大きいか否かに基づいて、自車両が駐車空間に駐車可能か否かを判定してもよい。
【0059】
(4)上記実施形態では、平面座標系の自車両の位置を自車両の車速と操舵角とに基づいて算出した。これに対し、測位衛星から受信する測位信号に基づいて測位する自車両の絶対位置の精度が高い場合には、測位信号に基づいて測位する自車両の絶対位置を使用してもよい。
【0060】
(5)上記実施形態における一つの構成要素が有する複数の機能を複数の構成要素によって実現したり、一つの構成要素が有する一つの機能を複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を一つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される一つの機能を一つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。尚、特許請求の範囲に記載した文言のみによって特定される技術思想に含まれるあらゆる態様が本開示の実施形態である。
【0061】
(6)上述した駐車空間検出装置30の他、当該駐車空間検出装置30を構成要素とする駐車空間検出システム2、当該駐車空間検出装置30としてコンピュータを機能させるための駐車空間検出プログラム、この駐車空間検出プログラムを記録した記録媒体、駐車空間検出方法など、種々の形態で本開示を実現することもできる。
【符号の説明】
【0062】
2:駐車空間検出システム、10:フロント超音波センサ(探索部)、12:右超音波センサ(探索部)、14:左超音波センサ(探索部)、16:リヤ超音波センサ(探索部)、20:フロントカメラ(探索部)、22:右カメラ(探索部)、24:左カメラ(探索部)、26:リヤカメラ(探索部)、30:駐車空間検出装置、40:超音波処理部(車両判定部)、52:画像処理部(車両判定部、幅算出部、駐車判定部、通知部)、70:走行制御装置
図1
図2
図3
図4