【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様によれば、相対向する前面及び背面を有し、かつX−Y平面内に延在するフレキシブル基板材料であって、同前面には第1の電極層が設けられ、さらには少なくとも1つの薄膜デバイススタックを形成するために少なくとも1つの薄膜が設けられており、同薄膜デバイススタックは、前記X−Y平面に垂直なZ方向にX−Y平面から距離Tまで延在しており、同基板材料は、同基板材料の複数の側、第1の電極層および少なくとも1つの薄膜のうちの少なくとも1つに適用された少なくとも1つの保護構造を有し、少なくとも1つの保護構造は、X−Y平面から距離SまでZ方向に延在しており、距離Sは距離Tよりも大きい、フレキシブル基板材料が提供される。
【0010】
有利には、フレキシブル基板材料は、複数の別個の薄膜デバイススタックを有することができる。隣接する薄膜デバイススタックは、それらの間に電気的相互接続の区域を有し、少なくとも1つの保護構造は、電気的相互接続の区域に少なくとも部分的に配置されている。少なくとも1つの保護構造を少なくとも部分的に電気的相互接続の区域に配置することにより、デバイスの性能におけるさらなる損失が低減される。その理由は、電気的相互接続の区域は、キャリア生成(ソーラーデバイス)または光子生成(LED)または電荷蓄積(バッテリ)がないか、或いは低減している不活性な領域であるからである。
【0011】
フレキシブル基板材料は、さらに、薄膜デバイススタックの上に堆積された上部電極を備えていてもよく、前記薄膜デバイススタックは、電気的に直列接続されるように配置され、電気的相互接続の各区域は、第1の膜スタックの上部電極と、隣接する薄膜スタックの第1の電極と、の間に相互接続を提供するための導電性材料を堆積させるための領域を含む。この構成は、光起電力電池モジュールの場合において有用な作動電圧および電流を達成するために必要とされるモノリシックな直列(monolithic series)相互接続構造を作製する。
【0012】
有利には、少なくとも1つの保護構造は、第1の電極の一部の上であってかつ上部電極の一部の下に配置されてもよい。第1の電極の一部を覆う保護構造が存在しなければ、薄膜デバイススタックは、それらの上部電極と第1の電極との間の短絡を経験するであろう。
【0013】
有利には、それぞれが異なる材料で形成された2つの保護構造を、フレキシブル基板材料の電気的相互接続の領域に堆積させることができる。より有利には、構造の1つは液体、グリースまたはワックスを含むことができる。グリースまたはワックスは、その表面上に金属電極または他の材料さえの堆積を防止する特性を有する。
【0014】
代替的または付随的に、フレキシブル基板材料の薄膜デバイススタックは電気的に並列接続されるように配置され、電気的相互接続の各区域は、隣接する薄膜デバイススタック間に間隙を含み、電気的相互接続の区域の少なくともいくつかは、第1の電極と出力端子との間に相互接続を形成する導電性材料を含む。この導電性材料は、第1の電極の、より小さい領域から/より小さい領域へ、電流を、収集/送達し、従って、導電性材料による小さなシャドーイング損失(shadowing loss)のトレードオフ(trade−off)を伴う効率的な抽出/送達を可能にする。
【0015】
有利には、少なくとも1つの保護構造は、導電性材料の少なくとも一部の上に堆積されてもよい。より有利には、少なくとも1つの保護構造は、導電性材料から形成される。保護部分(典型的には誘電体)と導電部分との高さの比は、導電部分が高さに主に寄与するように変化するが、保護誘電体の比較的薄い被覆の目的はこの場合電気的な絶縁を提供する。
【0016】
有利には、少なくとも1つの保護構造は、材料の連続ビード(bead)として堆積されてもよい。代替的または付随的に、少なくとも1つの保護構造は、別個のユニットまたは材料の断続的なビードとして堆積されてもよい。保護効果を提供するためには、平面(X−Y位置)内の保護構造の寸法および位置が重要である。保護効果は、薄膜デバイススタック(保護構造の間の領域)とフレキシブル基板材料が押し付けられる表面との間に、間隙または減圧領域を形成するか、または好ましくは、例えば、ロール・ツー・ロールプロセスにおける機械ローラーに対して接触しないようにすることによって達成される。
【0017】
より有利には、距離Sの距離Tに対する比は、少なくとも10:1である。
本発明の第1の態様の別の実施形態によれば、少なくとも1つの保護構造は、フレキシブル基板材料の裏側に適用されてもよい。有利には、少なくとも1つの保護構造は、フレキシブル基板材料の前面側の電気的相互接続の区域の少なくとも一部の下に位置するように、フレキシブル基板材料に適用されてもよい。保護構造の目的は、フレキシブル基板材料が巻かれたときに薄膜デバイススタックの活性領域を保護することである。薄膜コーティング(前面)を有する表面上の電気的相互接続の区域と係合するように、基板材料の非被覆面(背面)上に保護構造を配置することにより、電気的シャントにとって重要な領域における欠陥を回避するか、或いは少なくとも減少させることができる。
【0018】
本発明の第2の態様によれば、ロール・ツー・ロールプロセスで電子薄膜デバイスを製造する方法が提供され、同方法は、相対向する前面および背面を有するとともにその前面に第1の電極層を備えたフレキシブル基板材料を提供することと、第1の電極層上に少なくとも1つの薄膜を堆積させて少なくとも2つの薄膜デバイススタックを形成することと、隣接する薄膜デバイススタック間に電気的相互接続の区域を提供することと、電気的相互接続の区域内に少なくとも部分的に少なくとも1つの保護構造を堆積することとを含む。
【0019】
第2の態様による方法では、フレキシブル基板材料はX−Y平面内に延在し、少なくとも1つの薄膜を堆積すると、X−Y平面から同X−Y平面に垂直なZ方向に距離Tまで延在する薄膜デバイススタックが得られ、少なくとも1つの保護構造を堆積させることにより、Z方向にX−Y平面から距離Sまで延在する少なくとも1つの保護構造が得られ、距離Sは距離Tより大きい。
【0020】
本発明のさらなる態様によれば、X−Y平面内に延在し、第1電極層で被覆され、さらに1つ以上の薄膜で被覆されて薄膜デバイススタックを形成する基板材料が提供され、薄膜デバイススタックは、X−Y平面に垂直なZ方向にX−Y平面から距離Tまで延在し、少なくとも1つのスペーサ要素はZ−Y平面からZ方向に延びており、同スペーサ要素は基板表面から直接延在しているか、または第1電極層若しくは薄膜デバイススタックを形成する薄膜の任意のものの上に堆積されており、同スペーサ要素は、存在する場合、Z方向にX−Y平面から距離Sまで延在し、距離Sは距離Tより大きい。
【0021】
本発明は、それを損傷から保護するスペーサ構造を備えた薄膜電子デバイス構造を提供する。薄膜電子デバイスの保護は、その製造の様々な段階に提供することができる。例えば、ロール・ツー・ロール機での被覆された膜の輸送中に、膜の巻き出しおよび巻き戻しプロセス中に、ウェブの巻き上げ状態で、及び任意のラミネーションプロセス時に保護を与えることができる。
【0022】
保護効果を提供するためには、平面(X−Y位置)内のスペーサ構造の寸法及び位置ならびに材料は重要である。スペーサのZ方向の厚さが薄膜スタックの厚さ(Z−配向)よりも大きいことも重要である。
【0023】
本発明の別の態様によれば、複数の個別の薄膜デバイススタックを有する基板材料が提供され、同薄膜デバイススタックは、隣接する薄膜デバイススタック間に電気的相互接続の区域を有し、スペーサ構造は、少なくとも部分的に電気的相互接続の区域に配置される。
【0024】
本発明の別の態様によれば、薄膜デバイススタックの上部に堆積された上部電極をさらに有する基板材料が提供され、同薄膜スタックは、電気的に直列に接続されるように配置され、電気的相互接続の区域は、隣接する薄膜スタックの上部電極と第1電極との間に相互接続を提供するための導電性材料を堆積させるための間隙を含む。
【0025】
スペーサ構造は、好ましくは、セル要素とも呼ばれる2つの隣接する薄膜素子スタックの間のいわゆる電気的相互接続の区域に主として位置する誘電体構造を含む。
光起電力モジュールの場合の光吸収のための領域の高い利用および発光フィルムのための発光は、高性能および均質な外観にとって重要である。薄膜デバイスのセグメントの直列相互接続は、モノリシック相互接続と呼ばれる。これは、隣接する太陽電池素子の直列相互接続の断面の概略図である
図1Aに示すように、それぞれの膜を適切にパターニングすることによって達成される。簡略化のために、下部電極、光活性層および上部電極のみが示されている。
【0026】
好ましくは、本発明は、基板材料であって、電気的相互接続の区域が1つ以上のパターニング特徴部P1、P2およびP3によって提供され、ここで、P1は隣接する薄膜スタックの間の第1電極の電気的分離を提供し、P2は隣接する薄膜スタックの上部電極と第1電極との間の電気的相互接続のための間隙を提供し、P3は上部電極の電気的分離を提供する、基板材料を提供する。
【0027】
好ましくは、本発明は、薄膜素子スタックが直列に接続され、電気的相互接続の区域が隣接する薄膜素子スタックの上部電極と第1電極との間の相互接続を提供する堆積された導電性材料を含む基板材料を提供する。
【0028】
隣接するセル要素の相互接続が行われる区域は、
図1Aの符号24,26および28でそれぞれ示されるP1、P2およびP3と呼ばれる3つのパターニング特徴部または区域によって特徴付けられる。典型的には、P1は下部電極の分離を提供し、P2は隣接するセルの上部電極と下部電極との間の電気的相互接続を提供し、P3は上部電極の分離を提供する。P1およびP2は、基板またはその下にある障壁および下部電極をそれぞれ露出させる。
【0029】
本発明の別の実施形態では、相互接続の区域は、P1とP3のパターニング特徴部の外側の境界の間の領域として定義される。
本発明の別の実施形態では、スペーサ構造は、第1の電極の一部の上に配置され、存在する場合には、上部電極の一部の下に、配置される。
【0030】
本明細書に記載された一実施形態では、順番に被覆することによって薄膜層を構築することができ、次に、層を露出させるべく被覆された層を介してチャネルまたはパターンが作製され、電気的相互接続の区域を形成する。スペーサ構造は、その区域に部分的に堆積させることができる。このようにして、既知のP1、P2、およびP3の露出表面の周りに電気的相互接続の区域を作製することができる。
【0031】
P1およびP2のパターニング特徴部は、光起電力モジュールの場合に有用な動作電圧および電流を達成するために必要なモノリシック直列相互接続構造を作製するレーザスクライビングプロセスを用いて形成することができる。そのようなパターニングは、大きな太陽電池モジュールを、1つのモノリシック基板上のより小さな直列相互接続セルのアレイに分割することを可能にする。P3パターニング特徴部は、上部電極の分離を提供する。
【0032】
本発明の別の実施形態では、薄膜スタックが直列に接続され、電気的相互接続の区域が、隣接する薄膜スタックの上部電極と第1電極との間の相互接続を提供する堆積された導電性材料を含む基板材料が提供される。
【0033】
本発明の別の実施形態では、2つの構造があり、それぞれが相互接続区域に堆積された異なる材料で形成され、同構造の1つがスペーサ構造である。一方がスペーサである2つの構造が存在する本発明の別のより具体的な実施形態では、構造の他方ものは液体、グリースまたはワックスを含む。
【0034】
好ましくは、上記の直列相互接続の代替的な、または潜在的に付随的なアプローは並列相互接続のアプローチである。これは、より便利にはバスバー(bus bar)と呼ばれる集電手段を設けることによって達成される。これらのバスバーは、透明電極のより小さな領域から/より小さな領域へ、電流を収集/供給するので、バスバーによる小さなシャドーイング損失のトレードオフを伴う効率的な抽出/供給が可能になる。
図A2は、並列接続の断面の概略図である。導電性グリッド線は、より小さい領域が効果的に並列に接続されるので(小さな領域は物理的に分離された電極構造ではないが)、下部電極から電流を集める。したがって、導電性グリッド線によって分離されたデバイス区画は、効果的に並列に接続される。相互接続の区域は、電流収集特徴部によって被覆される領域によって定義される。
【0035】
本発明の別の実施形態では、薄膜スタックが並列に接続されるように配置され、かつ電気的相互接続の区域が隣接する薄膜スタックの間に第1電極と出力端子との間の相互接続を形成する導電スペーサ要素をその内部に受承する間隙を含む、基板材料が提供される。
【0036】
好ましくは、特に並列に接続されたデバイススタックの場合、本発明は、電気的相互接続の区域が、導電性材料と透明電極との間の界面領域として定義される基板材料を提供する。
【0037】
本発明の別の態様によれば、導電性材料は、導電性グリッド線またはバスバーである。
特許出願WO2012/004589において、物品をパターニングする方法が、レーザスクライビングプロセスの代替物としてスレッドを用いて示されている。
【0038】
本発明の別の態様によれば、基板材料は、X−Y平面に沿って、1つ以上の薄膜層を有する離間された薄膜スタックを含む基板材料であって、同薄膜スタックは、隣接する薄膜スタック間に電気的相互接続の区域を有し、スペーサ要素が同電気的相互接続の区域に少なくとも部分的に配置されている、基板材料が存在する。
【0039】
本明細書に記載の別の実施形態では、薄膜層は印刷によって構築され、印刷アーキテクチャの結果としてチャネルまたはパターンが作製される。この例では、好ましい印刷形態はインクジェット印刷である。
【0040】
本発明の利点は、所望の上部電極が真空蒸着された金属電極である場合、スペーサ構造が堆積された後に作製されることである。スペーサ構造の堆積に先立って、薄膜素子スタックは、付随的に導電層であってもよい堆積された上部界面層を含むことができる。そのような界面および導電の複合層の例は、PEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリ(スチレンスルホネート))である。
【0041】
本発明の別の態様によれば、ロール・ツー・ロールプロセスで薄膜電子デバイスを製造する方法は、基板を提供することと、1つ以上の薄膜層を堆積させて薄膜デバイススタックを作製することと、薄膜デバイススタック間に電気的相互接続の区域を提供することと、薄膜デバイススタック間にある電気的相互接続の区域に少なくとも部分的にスペーサ要素を堆積させることと、を含む。
【0042】
上部電極は、様々な材料によって形成することができ、または異なる方法によって堆積することができる。一般に使用される電極は、スクリーンまたはグラビア印刷された銀ペーストである。より薄い電極は、ナノ粒子インクから堆積させることができる。堆積方法は、グラビア印刷、フレックス印刷またはインクジェット印刷である。また、スプレーコーティングも成功裏に実証されている。真空プロセスはまた、上部電極の堆積のために、および界面材料のために用いることができる。例示的な真空堆積プロセスは、熱蒸発、スパッタコーティング、CVD(化学気相蒸着)などである。多くの場合、電極堆積のためにこれまでに列挙した複数のプロセスは、有機機能層のコーティング速度とは異なる速度で行われる。
【0043】
実際の状況では、上部金属電極を堆積させるステップは、ウェブをロールに巻き付けて上部金属電極の堆積に適した装置にウェブを搬送するステップの後に生じる。また、好ましくはスペーサ構造が堆積されるとき、薄膜素子スタックは、光起電力(PV)層またはLED若しくはOLEDを形成する層などの活性層を含む薄膜層を含む。スペーサ構造は、好ましくは、隣接する薄膜デバイススタックの全ての薄膜層よりも大きいz軸高さを有する。光起電力デバイスの場合、電流発生層は有機半導体層を含むことができる。薄膜素子スタックが活性層の一部として少なくとも1つの有機半導体層を含む当該技術分野では、得られるデバイスは無機層の存在にもかかわらず有機半導体デバイスと呼ばれる。
【0044】
本発明は、スペーサ構造を組み込んだウェブ用のアーキテクチャを提供する。例えば薄膜ソーラーモジュールの場合、モジュールは、1マイクロメートルよりも大きな平面外寸法を有するZ軸スペーサ構造を含むことができる。
【0045】
本発明の別の態様によれば、スペーサ要素が第1の電極上に堆積される基板材料が提供される。
本発明の別の態様によれば、スペーサ要素が導電性材料の少なくとも一部の上に堆積される基板材料が提供される。
【0046】
本発明は、損傷から保護する埋め込まれたスペーサ構造を有する薄膜電子デバイスアーキテクチャを提供する。保護効果は、薄膜(スペーサ構造の間の領域)とウェブが押し付けられる表面(例えば、機械ローラー、または巻き上げ時のウェブ及び巻上げた状態のウェブの裏側)との間に、間隙または減圧領域を作製するか、または好ましくは接触しないようにすることによって達成される。これは、薄膜構造と対向する表面との間に閉じ込められた粒子、薄膜スタック中に埋め込まれた粒子、粗い表面、またはコーティングされた薄膜(複数可)と表面との間の強い接着に起因するくぼみ、傷、ピックオフによって引き起こされる損傷の可能性を低減する。
【0047】
本発明の別の実施形態では、基板材料が提供され、スペーサ要素は、薄膜の間に、かつ薄膜デバイススタックの不活性領域に配置される。
本発明の別の態様によれば、基板材料が提供され、スペーサ要素は、導電性材料および薄膜素子スタックの不活性領域内の薄膜層上に堆積される。
【0048】
本発明の別の態様によれば、スペーサ要素が材料の連続ビードとして堆積される基板材料が提供される。
代替的に、基板材料は、導電性材料であるスペーサ要素を含む。
【0049】
代替的に、基板材料は、ドット若しくは類似の形状にある別個のユニットとして、或いは材料の断続的なビードとして、堆積されるスペーサ要素を含む。
オプトエレクトロニクス薄膜デバイスに関連する2つのタイプの相互接続の概念、即ち、直列相互接続および並列相互接続、が知られている。直列相互接続および並列相互接続のための相互接続区域は、次のように定義される。
【0050】
セル要素の直列相互接続のために、相互接続の区域は、
図A1に示すように、P3分離特徴部28の左手縁部とP1分離特徴部24の右手縁部との間の領域であるP1およびP3分離特徴部の外側の境界によって規定される。
【0051】
並列相互接続の場合、相互接続の区域/領域は、
図A2に示すように、導電性グリッド19によって覆われた相互接続30の区域である集電線、バスバーまたはグリッドによって覆われる領域として定義される。
【0052】
スペーサ構造は、好ましくは、2つの隣接するセル要素間の電気的相互接続の区域に組み込まれる。この区域は、P1、P2およびP3と呼ばれる3つのパターニング特徴部または区域によって特徴付けられる。
【0053】
典型的には、P1は下部電極の分離を提供し、P2は隣接するセルの上部電極と下部電極との間の電気的相互接続を提供し、P3は上部電極の分離を提供する。P1およびP2は、基板またはその下の障壁層および下部電極をそれぞれ露出させる。区域P1およびP2は、光起電力電池における電流の発生または発光デバイスにおける光の放出に寄与せず、したがって、区域をその内部にスペーサ構造を堆積させる領域の有利な選択とする冗長な空間である。区域P1およびP2は、スペーサ構造に対する良好な接着性を有する表面界面を提供する。スペーサ構造は、P1またはP2の特徴部または区域および隣接する領域を完全にまたは部分的に覆うことができる。
【0054】
スペーサ構造の寸法は、以下の特性を考慮して選択される:加工中に存在する粒子のサイズおよび分布;セル相互接続の区域に位置する隣接セル要素間の距離−最適距離は、透明電極の導電率によって主に決定される。セルの間隔を大きくすると張力下でのウェブの曲がりが大きくなり、従って、損傷を避けるためにはz軸構造の高さを大きくする必要がある。相互接続間の距離の典型的な値は、5〜15mm程度である。より高い電圧が必要とされる場合はより小さな距離が見いだされ、導電性の高い電極(例えば、グリッド構造によって促進される電極)または低光度の用途では、数センチメートルのより大きな距離が見いだされる。スペーサ寸法要件を考慮する場合に重要な他の特性としては、基板または複合材の厚さおよび弾性率、ロール・ツー・ロールプロセス時のウェブの張力、および表面側のローラーの表面粗さが含まれる。
【0055】
本発明の別の態様によれば、スペーサ構造の高さは、好ましくは、典型的な粒子の直径より大きく、1マイクロメートル〜500マイクロメートルのオーダー、より好ましくは10マイクロメートル〜200マイクロメートルのオーダーである。
【0056】
本発明の別の例では、基板はロールアップすることができるフレキシブル材料から形成され、ロール・ツー・ロール生産ラインに使用するのに適している。コーティングされた基板がこのように巻き上げられると、コーティングされた表面上の活性層は、取り扱い、表面上の遊離粒子または他の多くの原因によって比較的容易に損傷され得ることが見出された。
【0057】
活性領域の損傷のリスクを低減するために、基板の非被覆側に保護スペーサ要素を配置することがさらなる選択肢となる。このようなスペーサ要素は、隣接する層の摩耗または擦れによって引き起こされる巻き上げ時および巻き出し時の損傷から薄膜コーティングを保護することができる。しかしながら、スペーサ自体が、不適切に配置された場合に、コーティングされた薄膜に損傷を与える可能性があることも判明している。
【0058】
好ましくは、本発明の別の実施形態は、X−Y平面に延びる基板材料であって、厚さを有し、X−Y平面から離れるように垂直にZ方向に延在する薄膜素子スタックを形成するために、第1の表面上に1つ以上の膜で被覆される基板材料であり、第2の表面がその上に少なくとも1つのスペーサ要素を有し、スペーサ要素は、薄膜素子の厚さよりも大きな距離に、X−Y平面に垂直にかつ同X−Y平面から離れるようにZ方向に延在し、スペーサ要素は、基板材料がロール上に巻かれる場合、同スペーサ要素が、第1の表面上の薄膜層の間に形成された相互接続領域と係合するように基板上に配置される。
【0059】
有利には、基板の第2の表面上のスペーサ要素は、薄膜素子の活性領域に対する損傷の危険性を低減して、基板の被覆された第1の表面上の不活性領域と係合する。
不活性である第2の表面上のスペーサの位置決めおよびパターニングは、膜への最小限の損傷の危険性を確実にするように調節することができる。
【0060】
好ましくは、基板はフレキシブル材料から形成される。
本発明の別の態様によれば、相互接続区域が基板上のx−y平面内に延在し、X−Y平面に対して垂直で基板から離れるz方向に延在する3次元区域である基板材料を含む。