特許第6700295号(P6700295)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6700295-材料を分配するためのシステム及び方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6700295
(24)【登録日】2020年5月7日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】材料を分配するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   A61L 9/03 20060101AFI20200518BHJP
【FI】
   A61L9/03
【請求項の数】4
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2017-547088(P2017-547088)
(86)(22)【出願日】2016年3月2日
(65)【公表番号】特表2018-507735(P2018-507735A)
(43)【公表日】2018年3月22日
(86)【国際出願番号】US2016020317
(87)【国際公開番号】WO2016148912
(87)【国際公開日】20160922
【審査請求日】2017年9月7日
(31)【優先権主張番号】14/658,280
(32)【優先日】2015年3月16日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】特許業務法人 谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ステファン ゲイリー ブッシュ
(72)【発明者】
【氏名】ファイズ フェイサル シャーマン
(72)【発明者】
【氏名】ダナ ポール グルーエンバッハー
【審査官】 松井 一泰
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−206523(JP,A)
【文献】 特開2013−158937(JP,A)
【文献】 特表2009−511295(JP,A)
【文献】 特開平09−123453(JP,A)
【文献】 特開2002−254613(JP,A)
【文献】 特開平07−081061(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/086810(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0002422(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61L 9/00− 9/22
B41J 2/015− 2/16
B41J 2/205
A61M 11/00− 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体分配方法であって、
分配デバイスを設ける工程であって、前記デバイスは、
高さ(H)を有するチャンバと、直径(D)を有するノズルと、長さ(L)を有し、液体にエネルギーを印加する活性化要素とを各々が備え、前記チャンバは、再充填時間(RT)で液体を完全に再充填するための容積を有する、複数の液体分配要素と、
前記液体分配要素と流体連通する液体収容リザーバと、
前記液体分配要素と電気通信する制御要素と、を備え、
前記ノズル直径(D)とチャンバ高さ(H)との比は3〜10であり、
1/(RT)を超える周波数で前記活性化要素を繰り返し活性化する工程を含む、方法。
【請求項2】
前記活性化要素の長さ(L)と前記チャンバの高さ(H)との比は3〜11である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
液体分配デバイスであって、
高さ(H)と再充填時間(RT)で液体を完全に再充填するための容積を有するチャンバと、直径(D)を有するノズルと、長さ(L)を有し、液体にエネルギーを印加する活性化要素とを各々が備える、複数の液体分配要素と、
前記液体分配要素と流体連通する液体収容リザーバと、
前記液体分配要素と電気通信する制御要素と、を備え、
前記制御要素は、1/(RT)を超える周波数で繰り返し活性化されるように、前記活性化要素を制御し、
前記活性化要素の長さ(L)と前記チャンバの高さ(H)との比は3〜11である、デバイス。
【請求項4】
前記ノズルの直径(D)と前記チャンバの高さ(H)との比は3〜10である、請求項3に記載のデバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、材料を分配するためのシステム及び方法に関する。本発明は具体的には、熱噴射システムを使用することによって材料を分配するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送ジェットを形成するための揮発性担体の加熱によって材料を分配することは周知である。サーマルインクジェットシステムは、基材上にインク液滴を生成し、正確に付着させるための手段を提供するものである。また、同様に担体又は分配されるべき実際の材料を揮発させることによって、他の材料の分配又は分散を促進するために、熱駆動型システムが使用されることもある。
【0003】
環境内に芳香を拡げる目的でそれらを環境内に分散させるための揮発性油の「霧化」もまた知られている。典型的な分散システムは、環境内に分散する一連の油滴を生成する。多くのそのような油滴は、環境の雰囲気の外で急速に沈降し、結果として、表面上に油交じりの堆積物が生じ、より重要なことには、環境の雰囲気中における芳香性油の濃縮が低減される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
求められているのは、材料が環境内に容易に分散され得ると共に、長期間にわたって依然として空中浮揚し続け得るように、環境中に材料を分散させるための改善されたシステム及び方法である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様では、液体分配方法が、再充填時間(RT)を有する分配デバイスを設ける工程と、約1/(RT)を超える周波数で活性化要素を繰り返し賦活する工程を含む。デバイスは、高さ(H)を有するチャンバと、直径(D)を有するノズルと、長さ(L)を有する活性化要素と、再充填時間(RT)とを各々が含む、複数の液体分配要素と、液体分配要素と流体連通する流体収容リザーバと、液体分配要素と電気通信する制御要素と、を含む。ノズルの直径(D)とチャンバの高さ(H)との比は約3〜約10である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の一実施形態の概略図を示している。
図2図1の断面線AAに沿った、本発明の一実施形態のチャンバの概略的断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本開示は、サーマルマイクロ流体ダイから作動流体を排出するように構成された流体送達システムに関する。ダイは、基材内に形成された1つ以上の加熱要素を有している。基材は、システムによる排出を目的とする作業流体との直接的な接触から加熱要素を保護する誘電層によって被覆されていてもよい。各加熱要素は、流体チャンバに隣接して、次にその流体チャンバに隣接して配設されたノズルに隣接して配設される。電子部品に関連する周知の構造及び半導体製造の詳細は、説明には含められていない。
【0008】
一態様では、本発明は、環境の中に液体を分配するための装置を含む。装置は、液体を収容するリザーバを備える。リザーバは、分配要素又はプリントヘッドと流体連通する。リザーバと分配要素との連結は、流体がリザーバから分配要素のチャンバの中へと流動することを可能にする。チャンバは一般に直角プリズムであり、高さ(H)、長さ(L)、及び幅(W)を有する。チャンバの1つの表面は、長さL2の活性化要素を有する。各チャンバはオリフィス又はノズルに隣接して配設され、そのオリフィス又はノズルは、装置の外部環境に開かれている。一実施形態では、ノズルの直径Dとチャンバの高さHとの比は約3〜約10である。活性化要素の長さL2とチャンバの高さHとの比は、約3〜約11となり得る。
【0009】
チャンバ、ダイ及びノズル要素の設計及び製造において、長さL2とチャンバの高さHとの比、及び/又は直径Dとチャンバの高さHとの比を選択的に操作することにより、システムの動作条件を好都合に有効化し得る。そのような条件には、流体がチャンバを完全に再充填する能力を越える速度でノズルから流体を放出する能力が含まれる。この動作モードの結果として、ノズルから放出される流体の液滴は、ノズルの直径Dよりも小さくなり得るが、このことは、小さな滴が望まれているものの小さなノズル直径が望ましくないか若しくは実際的でないときに、動作上の利点となり得る。
【0010】
制御要素が活性化要素と電気通信して配設され、活性化要素による液体へのエネルギーの印加を可能にする。
【0011】
チャンバ内に配設された液体は、活性化要素から液体へのエネルギー伝達によって選択的に揮発されてもよい。活性化要素は、抵抗加熱要素又は圧電要素を含んでもよい。十分なエネルギーが液体に伝達されると、(例えば、熱活性化の場合)液体の少なくとも一部分は過熱状態となり、蒸発することになる。チャンバ内の液体は、1つ以上の液滴として、ノズルを介して外部環境へと排出されることになる。
【0012】
一実施形態では、活性化要素がチャンバ内の液体にエネルギーパルスを付与する周波数は、液体がチャンバを物理的に再充填し得る周波数を超える。活性化要素は、チャンバが液体で完全に充填される前に、液体を発射及び活性化する。一実施形態では、活性化要素は、〜30μmのD、〜10μmのH、及び〜50μmのLの寸法を有するチャンバに対して、5000Hz超の周波数で、約30mN/mの表面張力及び約7mPa・sの粘度を有する流体を発射されてもよい。
【0013】
図1に示すように、デバイス1000は、複数の分配要素100と、分配要素と連通する流体リザーバ300と、分配要素と電気通信する制御要素200とを備えている。
【0014】
図2は、線AAに沿った、図1の一部分の断面図を示すものであり、チャンバ150と、ノズル120と、活性化要素160とを有する分配要素100の内部構造を示している。
【0015】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
【0016】
相互参照される又は関連する任意の特許又は特許出願、及び本願が優先権又はその利益を主張する任意の特許出願又は特許等の、本願に引用されるすべての文書は、除外又は限定することを明言しない限りにおいて、参照によりその全容が本願に援用される。いかなる文献の引用も、本明細書中で開示又は特許請求される任意の発明に対する先行技術であるとはみなされず、あるいはそれを単独で又は他の任意の参考文献(単数又は複数)と組み合わせたときに、そのような発明すべてを教示、示唆、又は開示するとはみなされない。更に、本文書における用語の任意の意味又は定義が、参照により組み込まれた文書内の同じ用語の任意の意味又は定義と競合する場合、本文書におけるその用語に与えられた意味又は定義が適用されるものとする。
【0017】
本発明の特定の実施形態を例示及び説明してきたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を行うことができる点は当業者には明白であろう。したがって、本発明の範囲内に含まれるそのようなすべての変更及び修正は、添付の特許請求の範囲にて網羅することを意図したものである。
図1
図2