特許第6700435号(P6700435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6700435
(24)【登録日】2020年5月7日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】モノセルの製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 10/04 20060101AFI20200518BHJP
   H01M 10/0585 20100101ALN20200518BHJP
【FI】
   H01M10/04 Z
   !H01M10/0585
【請求項の数】5
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2018-562821(P2018-562821)
(86)(22)【出願日】2017年1月20日
(86)【国際出願番号】JP2017001902
(87)【国際公開番号】WO2018134961
(87)【国際公開日】20180726
【審査請求日】2019年3月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】507357232
【氏名又は名称】株式会社エンビジョンAESCジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】山下 剛史
(72)【発明者】
【氏名】白井 賢一
【審査官】 守安 太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−172537(JP,A)
【文献】 特表2015−529957(JP,A)
【文献】 特開2008−135289(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04
H01M 10/058
H01M 2/16
H01G 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート状の正極と前記正極よりも大きいシート状の負極との間にシート状のセパレータを配置してなるモノセルの製造方法において、
複数点に配置された接着剤を介して前記セパレータの一方の面と前記負極とを接合し、
複数点に配置された接着剤を介して前記セパレータの他方の面と前記正極とを接合し、
前記モノセルの積層方向から見て、前記負極側にある接着剤が、前記正極側にある接着剤と重ならず、かつ前記負極側の周縁部にある接着剤が、前記正極側の周縁部にある接着剤よりも外側に位置するように前記接着剤を配置した、モノセルの製造方法。
【請求項3】
前記正極の周縁部において複数点に接着剤を配置し、前記正極とシート状の第2のセパレータとを接合する、請求項1に記載のモノセルの製造方法。
【請求項4】
前記負極に前記接着剤を配置する第1のディスペンサが、複数のノズルを有し、前記正極に前記接着剤を配置する第2のディスペンサが、複数のノズルを有し、前記第1のディスペンサの複数のノズルと、前記第2のディスペンサの複数のノズルとは、前記モノセルの搬送方向と直交する方向に互いにずれている、請求項1または3に記載のモノセルの製造方法。
【請求項5】
前記負極に前記接着剤を配置する第1のディスペンサが、複数のノズルを有し、前記正極に前記接着剤を配置する第2のディスペンサが、複数のノズルを有し、前記第1のディスペンサの複数のノズルと、前記第2のディスペンサの複数のノズルとは、前記モノセルの搬送方向と直交する方向における同じ位置に設けられ、前記第2のディスペンサの複数のノズルからの接着剤の塗布時期は、前記第1のディスペンサの複数のノズルからの接着剤の塗布時期とずれている、請求項1または3に記載のモノセルの製造方法。
【請求項6】
複数点に配置された接着剤を介して前記正極とシート状の第2のセパレータとを接合し、
前記モノセルの積層方向から見て、前記モノセルの搬送方向と直交する前記負極の対向する2つの縁に向かって、前記セパレータの他方の面と前記正極との間の接着剤、前記セパレータの一方の面と前記負極との間の接着剤、前記正極と前記第2のセパレータとの間の接着剤の順序で並ぶように前記接着剤を配置した、請求項1に記載のモノセルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート状をなす正・負の2つの電極の間にシート状のセパレータを配置してなるモノセルの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シート状の正極とシート状の負極との間にシート状の分離膜を配置してなる基本単位体の一例として、特許文献1に記載されたものが挙げられる。特許文献1の基本単位体では、正極と分離膜との間および負極と分離膜との間の接合が、例えばメッシュ形態で接合面に全体的に配置された接着剤によって行われる。
【0003】
このように接着剤を配置した状態では、基本単位体の積層方向から見て、正極と分離膜との間の接着剤の位置と負極と分離膜との間の接着剤の位置とが重なる部分、つまり分離膜の両面に接着剤が塗布された部分が存在している。従って、基本単位体の厚さが、過度に大きくなる虞がある。
【0004】
本発明はこのような課題に着目してなされたものであり、接着剤によるモノセルの厚さの増加を抑制したモノセルの製造方法を提供するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2015−529957号公報
【発明の概要】
【0006】
本発明は、シート状をなす正・負の2つの電極の間にシート状のセパレータを配置してなるモノセルの製造方法において、モノセルの積層方向から見て、セパレータの一方の面にある接着剤が、セパレータの他方の面にある接着剤と重ならないように接着剤を配置したものである。
【0007】
本発明によれば、モノセルの積層方向から見てセパレータの同じ位置で、セパレータの両面に接着剤が配置されていないので、モノセルの厚さが過度に大きくならない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施例の電極積層装置の斜視図である。
図2】モノセルの斜視図である。
図3】モノセルの側面図である。
図4】第1のディスペンサのノズルおよびセンサの説明図である。
図5】第1,第2および第3のディスペンサによる接着剤の配置工程および塗布位置を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の一実施例について説明する。
【0010】
図1には、モノセル(単位積層体)1を製造するための電極積層装置2が示されている。モノセル1は、例えば図2および図3に示すように下側から電極としてのシート状の負極3、シート状のセパレータ4、電極としてのシート状の正極5の順序で積層し、これらを一体化することで形成される。さらに、本実施例では、正極5の上にシート状のセパレータ6が接合されており、4層構造のモノセル1となっている。負極3は、活物質、導電助剤、バインダおよび有機溶媒等を混合してなるスラリーを、集電箔例えば銅箔の両面に所定の厚さで塗工して乾燥させることによりシート状に形成されている。同様に、正極5は、活物質、導電助剤、バインダおよび有機溶媒等を混合してなるスラリーを、集電箔例えばアルミニウム箔の両面に所定の厚さで塗工して乾燥させることによりシート状に形成されている。負極3は、正極5よりも薄く、かつ正極5よりも大きく形成されている。図2に示すように、負極3は、タブ部7を残すように裁断されており、一方、正極5は、タブ部8を残すように裁断されている。
【0011】
このように構成されたモノセル1を複数積層して矩形の電極積層体(発電要素)を形成し、この電極積層体を電解液とともに図示せぬラミネートフィルム外装体内に収容することにより、フィルム外装電池例えばリチウムイオン二次電池が形成される。
【0012】
セパレータ4とセパレータ6は、実質的に同じものであり、正極5と負極3との間の短絡を防止すると同時に電解液を保持する機能を有する。セパレータ4,6は、例えば、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の合成樹脂の微多孔性膜あるいは不織布からなる。また、セパレータ4,6は、負極3よりも大きく形成されている。
【0013】
図1に示すように、電極積層装置2では、帯状に長く連続したセパレータ4を中心として、上下一対の搬送ローラ9と、この搬送ローラ9の下流側に位置した負極用吸着ドラム10と、この負極用吸着ドラム10の上方に位置したニップローラ11と、ニップローラ11の下流側に位置した正極用吸着ドラム12と、この正極用吸着ドラム12の下方に位置したニップローラ13とが設けられている。
【0014】
上記搬送ローラ9は、セパレータ4を搬送方向Tに沿って搬送する。
【0015】
上記負極用吸着ドラム10は、所定の寸法に裁断され、かつ第1のディスペンサ15からの接着剤14A,14B,14Cが点状に配置されたシート状の負極3を吸着し、セパレータ4に重ね合わせる。
【0016】
上記ニップローラ11は、重ね合わされた負極3およびセパレータ4を負極用吸着ドラム10に対して押し付けることで、セパレータ4に負極3を貼り付ける。
【0017】
上記正極用吸着ドラム12は、所定の寸法に裁断され、かつ第2のディスペンサ21からの接着剤20A,20B,20Cが点状に配置されたシート状の正極5を吸着し、負極3に対応した位置となるようにセパレータ4に重ね合わせる。
【0018】
上記ニップローラ13は、重ね合わされた負極3、セパレータ4および正極5を正極用吸着ドラム12に対して押し付けることで、セパレータ4に正極5を貼り付ける。
【0019】
ニップローラ13の下流側には、第3のディスペンサ26と、この第3のディスペンサ26の下流側に位置した搬送ローラ29と、この搬送ローラ29の上方に位置したニップローラ40とが設けられている。
【0020】
第3のディスペンサ26は、負極3、セパレータ4および正極5が重ね合わされた状態で正極5に接着剤25A,25B,25Cを点状に配置する。
【0021】
上記搬送ローラ29は、重ね合わされた負極3、セパレータ4および正極5と、セパレータ4の上方から送られてくる帯状に長く連続したセパレータ6と、を搬送方向Tに沿って搬送する。
【0022】
上記ニップローラ40は、接着剤25A,25B,25Cを具備した正極5にセパレータ6を重ね合わせ、積層された負極3、セパレータ4、正極5およびセパレータ6を搬送ローラ29に押し付けることで、正極5にセパレータ6を貼り付ける。
【0023】
ニップローラ40の下流側には、セパレータカッター30が設けられている。セパレータカッター30は、隣接する2つの負極3等の間でセパレータ4,6を切断する。セパレータ4,6の切断により、図2および図3に示すように負極3、セパレータ4、正極5およびセパレータ6を一体化したモノセル1が形成される。
【0024】
なお、本実施例では、搬送方向Tは、図2のように長方形状をなす負極3や正極5の短辺に沿った方向である。搬送方向Tに対してタブ部7およびタブ部8は側方を向く姿勢となっている。
【0025】
ここで、以下の説明の便宜のために、搬送方向Tと直交する方向を電極積層装置2の「幅方向W」と定義する。
【0026】
また、図3に示す負極3等の姿勢で、負極3の上側の面を「上面3a」とし、負極3の下側の面を「下面3b」とする。同様に、セパレータ4の上側の面を「上面4a」とし、セパレータ4の下側の面を「下面4b」とする。同様に、正極5の上側の面を「上面5a」とし、正極5の下側の面を「下面5b」とする。同様に、セパレータ6の上側の面を「上面6a」とし、セパレータ6の下側の面を「下面6b」とする。
【0027】
さらに、負極3について、図5に示すように、搬送方向Tに対して下流側となる負極3の縁部を「前縁31」とし、上流側となる負極3の縁部を「後縁32」とし、右側となる負極3の縁部を「右縁16」とし、左側となる負極3の縁部(タブ部7を除く)を「左縁17」とする。同様に、正極5について、図5に示すように、搬送方向Tに対して下流側となる正極5の縁部を「前縁33」とし、上流側となる正極5の縁部を「後縁34」とし、右側となる正極5の縁部を「右縁27」とし、左側となる正極5の縁部(タブ部8を除く)を「左縁28」とする。
【0028】
図1に示すように、セパレータ4の下面4bに負極3の上面3aを接合するために、負極用吸着ドラム10と対向する位置に、第1のディスペンサ15が設けられている。第1のディスペンサ15は、負極3の上面3aの一部に接着剤14A,14B,14Cを点状に配置(塗布)する3つのノズル15A,15B,15Cを備えている。3つのノズル15A,15B,15Cは、実質的に同様に構成されており、幅方向Wに沿って所定の間隔でそれぞれ設けられている。ここで、両側のノズル15A,15Cは、搬送方向Tに対する負極3の右縁16および左縁17(タブ部7を除く)(図5参照)に近い位置に接着剤14A,14Cを配置することができる位置にそれぞれ設けられている。
【0029】
さらに、第1のディスペンサ15の上流側に、負極3の基準位置18(図5参照)を検出するセンサ19が設けられている。本実施例では、負極3の基準位置18は、負極3の前縁31と右縁16とが交差する点(図5参照)である。なお、基準位置18を、前縁31上の任意の点とすることができる。センサ19による基準位置18の検出は、センサ19下流側の第1のディスペンサ15のノズル15A,15B,15Cからの接着剤の配置のためのトリガとなる。図4に示すように負極3が移動しているときにセンサ19が負極3の基準位置18を検出すると、接着剤14A,14B,14Cの塗布信号が第1のディスペンサ15に送信される。そして、この塗布信号に基づいて図示せぬタイマによりカウントが開始され、所定の時間の経過後に、第1のディスペンサ15のノズル15A,15B,15Cは、負極3の上面3aに接着剤14A,14B,14Cを点状に配置する。ノズル15A,15B,15Cからの接着剤14A,14B,14Cは、タイマのカウントを用いて、搬送方向Tに沿って複数点(実施例では3点)で配置される。
【0030】
同様に、セパレータ4の上面4aに正極5の下面5bを接合するために、正極用吸着ドラム12と対向する位置に、第2のディスペンサ21が設けられている。第2のディスペンサ21は、正極5の下面5bの一部に接着剤20A,20B,20Cを点状に配置する3つのノズル21A,21B,21Cを備えている。3つのノズル21A,21B,21Cは、実質的に同様に構成されており、幅方向Wに沿って所定の間隔でそれぞれ設けられている。第2のディスペンサ21の中央のノズル21Bは、第1のディスペンサ15の中央のノズル15Bと幅方向W中央の同じ位置に設けられている。一方、第2のディスペンサ21の両側のノズル21A,21Cは、第1のディスペンサ15の両側のノズル15A,15Cよりも幅方向W内側に設けられている。
【0031】
また、第2のディスペンサ21の上流側に、正極5の基準位置23(図5参照)を検出するセンサ24が設けられている。本実施例では、正極5の基準位置23は、正極5の前縁33と右縁27とが交差する点(図5参照)である。つまり、実施例の基準位置23は、モノセル1の積層方向から見て、基準位置18と同じ角にある。なお、基準位置23を、前縁33上の任意の点とすることができる。
【0032】
さらに、正極5の上面5aにセパレータ6の下面6bを接合するために、正極用吸着ドラム12の下流側に、第3のディスペンサ26が設けられている。第3のディスペンサ26は、正極5の上面5aの一部に接着剤25A,25B,25Cを点状に配置する3つのノズル26A,26B,26Cを備えている。3つのノズル26A,26B,26Cは、実質的に同様に構成されており、幅方向Wに沿って所定の間隔でそれぞれ設けられている。第3のディスペンサ26の中央のノズル26Bは、第1および第2のディスペンサ15,21の中央のノズル15B,21Bと幅方向W中央の同じ位置に設けられている。一方、第3のディスペンサ26の両側のノズル26A,26Cは、ノズル15A,15Cよりも正極5の右縁27および左縁28(タブ部8を除く)に近い位置に接着剤25A,25Cを塗布することができる位置に設けられている。
【0033】
第2のディスペンサ21上流側のセンサ24と同様に、第3のディスペンサ26の上流側に、正極5の上記基準位置23を検出するセンサ37が設けられている。
【0034】
次に、図5を参照して、第1,第2および第3のディスペンサ15,21,26による接着剤14A,14B,14C,20A,20B,20C,25A,25B,25Cの配置工程および塗布位置を説明する。図5では、図示省略したセパレータ4の下面4bに負極3の上面3aが接合されており、セパレータ4の上面4aに正極5の下面5bが接合されている。従って、負極3の上に該負極3よりも小さい正極5がセパレータ4を介して積層されており、モノセル1の積層方向から見て、タブ部7,8を除き、正極5の周囲から負極3の周囲が僅かにはみ出ている。
【0035】
図5には、第1のディスペンサ15の接着剤14A,14B,14Cを円形で示し、第2のディスペンサ21の接着剤20A,20B,20Cを内部にドットを付した円形で示し、さらに、第3のディスペンサ26の接着剤25A,25B,25Cを内部を格子状にした円形で示してある。
【0036】
さらに、図5には、ノズル15A,15B,15C(破線の円形)、ノズル21A,21B,21C(一点鎖線の円形)およびノズル26A,26B,26C(二点鎖線の円形)の幅方向Wの位置がそれぞれ示されている。
【0037】
ここで、説明の便宜上、前縁31,33に向かう側を「前側」と定義し、後縁32,34に向かう側を「後側」と定義する。
【0038】
本実施例では、第1,第2および第3のディスペンサ15,21,26の各ノズル15A,15B,15C,21A,21B,21C,26A,26B,26Cにより、搬送方向Tに沿って接着剤14A,14B,14C,20A,20B,20C,25A,25B,25Cを点状に3回配置する。これにより、ディスペンサ15,21,26の各々は、計9点の接着剤を塗布する。
【0039】
まず、第1のディスペンサ15の3つのノズル15A,15B,15Cにより負極3の上面3aに接着剤14A,14B,14Cを点状に配置する。配置時には、両側のノズル15A,15Cにより、負極3の前縁31付近に接着剤14A,14Cを点状に配置し、そして、搬送方向Tの中央位置で接着剤14A,14Cを点状に配置し、さらに、負極3の後縁32付近に接着剤14A,14Cを点状に配置する。14A,14Cの配置後には、3つの接着剤14A,14A,14Aおよび3つの接着剤14C,14C,14Cが、右縁16および左縁17(タブ部7を除く)の付近の位置で、搬送方向Tに沿って等間隔に並んでいる。また、中央のノズル15Bにより、負極3の前縁31に接着剤14Bを配置し、そして、タイマの調整により塗布時期をずらすことで搬送方向T中央の接着剤14A,14Cよりも前側に接着剤14Bを配置し、さらに、負極3の後縁32付近に接着剤14Bを配置する。接着剤14Bの配置後には、前縁31および後縁32側の双方において、接着剤14Bは、幅方向Wに沿って接着剤14A,14Cと整列しており、搬送方向T中央において、接着剤14Bは、接着剤14A,14Cよりも前側に設けられている。
【0040】
次に、第2のディスペンサ21の3つのノズル21A,21B,21Cにより正極5の下面5bに接着剤20A,20B,20Cを点状に配置する。接着剤20A,20B,20Cを配置する際には、接着剤20A,20B,20Cが接着剤14A,14B,14Cと重ならない位置に接着剤20A,20B,20Cを配置する。具体的には、両側のノズル21A,21Cについては、両側のノズル15A,15Cよりも幅方向W内側にノズル21A,21Cを設けることにより接着剤20A,20Cを接着剤14A,14Cよりも幅方向W内側にずらし、中央のノズル21Bについては、タイマにより接着剤20Bの塗布時期を調整することにより接着剤20Bを接着剤14Bから搬送方向Tにずらす。
【0041】
配置時には、両側のノズル21A,21Cにより、正極5の前縁33付近に接着剤20A,20Cを点状に配置し、そして、搬送方向Tの中央位置で接着剤20A,20Cを点状に配置し、さらに、正極5の後縁34付近に接着剤20A,20Cを点状に配置する。20A,20Cの配置後には、3つの接着剤20A,20A,20Aおよび3つの接着剤20C,20C,20Cが、接着剤14A,14A,14Aおよび接着剤14C,14C,14Cよりも幅方向W内側の位置で搬送方向Tに沿って等間隔に並んでいる。また、中央のノズル21Bにより、前縁33側の接着剤14Bよりも後側に接着剤20Bを点状に配置し、そして、搬送方向T中央の接着剤14Bよりも後側に接着剤20Bを点状に配置し、さらに、後縁34側の14Bよりも前側に接着剤20Bを点状に配置する。接着剤20Bの配置後には、3つの接着剤20B,20B,20Bが、3つの接着剤14B,14B,14Bから搬送方向Tにそれぞれずれている。
【0042】
第2のディスペンサ21による接着剤20A,20B,20Cの配置後に、第3のディスペンサ26の3つのノズル26A,26B,26Cにより正極5の上面5aに接着剤25A,25B,25Cを点状に配置する。配置時には、中央のノズル15B,21Bと幅方向W中央の同じ位置に設けられた中央のノズル26Bにより、前縁33の付近に接着剤25Bを点状に配置し、そして、搬送方向T中央の位置で接着剤25Bを点状に配置し、さらに、後縁34の付近に接着剤25Bを点状に配置する。接着剤25Bの配置後には、3つの接着剤25B,25B,25Bが、搬送方向Tに沿って等間隔に並んでいる。また、両側のノズル15A,15Cよりも幅方向W外側に設けられた両側のノズル26A,26Cにより、前縁33の付近に接着剤25A,25Cを点状に配置し、そして、搬送方向T中央の位置で接着剤25A,25Cを点状に配置し、さらに、後縁34の付近に接着剤25A,25Cに配置する。接着剤25A,25Cの配置後には、3つの接着剤25A,25A,25Aおよび3つの接着剤25C,25C,25Cは、3つの接着剤14A,14A,14Aおよび3つの接着剤14C,14C,14Cよりも幅方向W外側の位置で搬送方向Tに沿って等間隔に配置されている。また、3つの接着剤25A,25B,25Cは、前縁33付近、搬送方向T中央および後縁34付近において、幅方向Wに沿って等間隔で並んでいる。
【0043】
上記のように、本実施例では、セパレータ4の下面4b側の接着剤14A,14B,14Cの位置と上面4a側の接着剤20A,20B,20Cの位置とがモノセル1の積層方向から見て互いに重ならないようにしてある。モノセル1の積層方向から見てセパレータ4の同じ位置で、セパレータ4の両面に接着剤14A,14B,14Cおよび接着剤20A,20B,20Cが配置されないので、モノセル1の厚さが過度に大きくならない。
【0044】
また、本実施例では、負極3側に配置された接着剤14A,14Cが、正極5側に配置された接着剤20A,20Cよりも幅方向Wの外側に設けられている。負極3は、正極5よりも薄く形成されているために正極5よりもセパレータ4から剥がれ易いので、このように負極3側の接着剤14A,14Cを外側に設けることで、負極3がセパレータ4から剥がれ難くなる。
【0045】
さらに、本実施例では、セパレータ6の下面6bを正極5の上面5aに貼り付けるのに、正極5の上面5a上の幅方向Wの最も外側に接着剤25A,25Cを配置したことから、モノセル1の最も上側にあるために例えば風によりめくれ易いセパレータ6を正極5に確実に貼り付けることができる。
【0046】
なお、図5では、モノセル1の積層方向から見て、接着剤14Aおよび接着剤25A同士、接着剤14Bおよび接着剤25B同士、接着剤20Bおよび接着剤25B同士ならびに接着剤14Cおよび接着剤25C同士が部分的に互いに重なっているが、これは、最も外側に位置する負極3やセパレータ6を剥がれ難くすることを重視したために結果的に生じたものである。
【0047】
このように、本実施例では、1つのセパレータ4の下面4bの接着剤14A,14B,14Cと上面4aの接着剤20A,20B,20Cとが互いに重なっていない。さらに必要があれば、セパレータ6を接合するための接着剤25A,25B,25Cを重ならない位置に配置することも可能である。
【0048】
なお、本実施例では、図1に示すようにセパレータ4を直線的に搬送する例を開示したが、搬送ラインの構成は、図1に示す構成に限られるものではない。
【0049】
また、本実施例では、モノセル1が負極3、セパレータ4、正極5およびセパレータ6からなる4層構造で構成されている例を開示したが、3層構造を有したモノセルも本発明に適用することができる。
図1
図2
図3
図4
図5