(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1から
図7を参照して、調光シート駆動装置、調光システム、および、調光シート駆動方法の一実施形態を説明する。以下、調光システム、駆動対象である調光シート、および、調光シート駆動装置を順に説明し、次いで、調光シート駆動装置が実行する駆動方法を説明する。
【0025】
[調光システム]
図1が示すように、調光システムは、調光シート10と、撮像部20とを備える。
撮像部20は、2つの側壁面WSと天井面WTとが交差する隅部に設置されている。撮像部20の前方には撮像部20を覆い隠すように調光シート10が展開している。調光シート10は、撮像部20を視覚認識可能または視覚認識不能にする。
【0026】
調光シート10は、単一の室内空間を二つの空間に物理的兼光学的に区切る。つまり、撮像部20は、各面WS、WTおよび調光シート10によって区切られた第1空間SP内に載置、格納されている。なお、調光シート10で区切られた他方の空間は、撮像部20の撮像対象となる第2空間である。
【0027】
本実施形態の調光シート10は、側壁面WSと天井面WTとに連なるような曲面状を有する。調光シート10が三次元的な曲面状を有するため、2つの側壁面WS、天井面WT、および、調光シート10は、恰も単一の連続面であるように、視覚認識される。第1空間と第2空間とを区切る構造体の意匠性は、上述した連続性と、不透明な調光シート10が撮像部20を視覚確認不能とすることとが相まって、高められる。
なお、調光シート10は、曲面状であってもよいし、平面状であってもよい。
【0028】
撮像部20は、例えば、店舗内に設置されて、第2空間の一例である店舗の入口付近や出口付近の状況を撮像する。撮像部20は、例えば、オフィスビルなどの建築物に設置されて、第2空間の一例である廊下付近の状況や、エレベーター内の状況を撮像する。
【0029】
なお、撮像部20は、例えば、車両に搭載される観測装置であってもよい。観測装置は、車両周辺の交通状況、走行路の路面状況、車両周辺の歩行者などを撮像する。この際、調光シート10は、第1空間の一例である車内と、第2空間の一例である車外とを区切る。車外から見た車両の意匠性は、不透明な調光シート10によって、すなわち、調光シート10が観測装置を視覚確認不能とすることによって、高められる。
【0030】
[調光シート]
調光シート10の型式は、ノーマル型とリバース型とのいずれか一方である。
ノーマル型の調光シート10は、調光シート10の通電時に高い光透過率を有し、調光シート10の非通電時に低い光透過率を有する。例えば、ノーマル型の調光シート10は、調光シート10の通電時に透明であり、調光シート10の非通電時に不透明である。
【0031】
リバース型の調光シート10は、調光シート10の通電時に低い光透過率を有し、調光シート10の非通電時に高い光透過率を有する。例えば、リバース型の調光シート10は、調光シート10の通電時に不透明であり、調光シート10の非通電時に透明である。
【0032】
透明とは、調光シート10を通して物体の存否を視覚認識可能とする状態である。不透明とは、調光シート10を通して物体の存否を視覚認識不能とする状態である。あるいは、透明とは、調光シート10を通して物体の形状や種類を視覚認識可能とする状態である。不透明とは、調光シート10を通して物体の形状や種類を視覚認識不能とする状態である。
【0033】
ノーマル型の調光シート10が備える層構造の一例を
図2に示す。リバース型の調光シート10が備える層構造の一例を
図3に示す。
図2が示すように、ノーマル型の調光シート10は、第1透明電極11、第2透明電極12、および、調光層13を備える。調光層13は、第1透明電極11と第2透明電極12との間に位置する。第1透明電極11と第2透明電極12とは、別々の配線を通じて、電圧印加部33に接続されている。
【0034】
第1透明電極11と第2透明電極12とは、可視光透過性と電気伝導性とを備える。
第1透明電極11が備える光透過性は、撮像部20による調光シート10を通した撮像を可能にする。第2透明電極12が備える光透過性もまた同様である。
第1透明電極11が備える電気伝導性は、第1透明電極11の電位を第1透明電極11の面内で均一にする。第2透明電極12が備える電気伝導性もまた、第2透明電極12の電位を第2透明電極12の面内で均一にする。
【0035】
各透明電極11,12を構成する材料は、例えば、酸化インジウムスズ、フッ素ドープ酸化スズ、酸化スズ、酸化亜鉛、カーボンナノチューブ、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)からなる群から選択されるいずれか一種である。
【0036】
電圧印加部33は、第1透明電極11に第1電極電圧SIGD1を印加して、第1透明電極11を第1電位V1に設定する。電圧印加部33は、第2透明電極12に第2電極電圧SIGD2を印加して、第2透明電極12を第2電位V2に設定する。
【0037】
調光層13は、液晶組成物を含む。液晶組成物に含まれる液晶分子の一例は、シッフ塩基系、アゾ系、アゾキシ系、ビフェニル系、ターフェニル系、安息香酸エステル系、トラン系、ピリミジン系、シクロヘキサンカルボン酸エステル系、フェニルシクロヘキサン系、ジオキサン系からなる群から選択される一種である。
【0038】
液晶組成物の保持型式は、高分子ネットワーク型、高分子分散型、カプセル型からなる群から選択されるいずれか一種である。高分子ネットワーク型は、3次元の網目状を有した高分子ネットワークを備えて、相互に連通した網目状の空隙のなかに液晶組成物を保持する。高分子分散型は、孤立した多数の空隙を高分子層のなかに備えて、高分子層に分散した空隙のなかに液晶組成物を保持する。カプセル型は、カプセル状を有した液晶組成物を高分子層のなかに保持する。
【0039】
調光層13は、2つの透明電極11,12間の電圧を受けて、液晶分子の配向方向を変える。配向方向の変化は、調光層13に入る可視光の散乱度合い、吸収度合い、または、透過度合いの少なくとも一つを変化させる。
【0040】
第1電極電圧SIGD1と第2電極電圧SIGD2とが相互に等しいとき、すなわち、2つの透明電極11,12が共通電位に接続されるとき、ノーマル型の調光シート10は、液晶分子の配向方向を無秩序とする。液晶分子の配向方向が無秩序であるとき、ノーマル型の調光シート10での光透過率は、相対的に低い。相対的に低い光透過率を有する状態が、視覚で認識できる頻度で繰り返されるとき、あるいは、継続されるとき、ノーマル型の調光シート10は、不透明と認識され、撮像部20を第1空間で視覚認識不能とする。
【0041】
第1電極電圧SIGD1と第2電極電圧SIGD2との電位差が所定値以上であるとき、すなわち、2つの透明電極11,12間の電圧が所定値以上であるとき、ノーマル型の調光シート10は、調光層13が可視光を透過するように、液晶分子の配向方向を揃える。液晶分子の配向方向が揃っているとき、ノーマル型の調光シート10での光透過率は、相対的に高い。相対的に高い光透過率を有する状態が、視覚で認識できる頻度で繰り返されるとき、あるいは、継続されるとき、ノーマル型の調光シート10は、透明であって、撮像部20を第1空間で視覚認識可能とする。
【0042】
図3が示すように、リバース型の調光シート10は、第1透明電極11、第2透明電極12、第1配向膜14、第2配向膜15、および、調光層13を備える。
調光層13は、第1配向膜14と第2配向膜15との間に位置する。第1配向膜14は、調光層13と第1透明電極11との間に位置し、かつ、調光層13と接している。第2配向膜15は、調光層13と第2透明電極12との間に位置し、かつ、調光層13と接している。
【0043】
第1配向膜14、および、第2配向膜15を構成する材料は、例えば、ポリイミド、ポリアミド、ポリビニルアルコール、シアン化化合物等の有機化合物、シリコーン、シリコン酸化物、酸化ジルコニウム等の無機化合物、または、これらの混合物により構成されている。
【0044】
第1配向膜14、および、第2配向膜15は、例えば、垂直配向膜、あるいは、水平配向膜である。垂直配向膜は、第1透明電極11の電極面、および、第2透明電極12の電極面と垂直になるように、液晶分子の長軸方向を配向させる。水平配向膜は、第1透明電極11の電極面、および、第2透明電極12の電極面とほぼ平行となるように、液晶分子の長軸方向を配向させる。
【0045】
第1電極電圧SIGD1と第2電極電圧SIGD2とが相互に等しいとき、すなわち、2つの透明電極11,12が共通電位に接続されるとき、リバース型の調光シート10は、調光層13が可視光を透過するように、液晶分子の配向方向を各配向膜14,15によって揃える。液晶分子の配向方向が揃っているとき、リバース型の調光シート10での光透過率は、相対的に高い。相対的に高い光透過率を有する状態が、視覚で認識できる頻度で繰り返されるとき、あるいは、継続されるとき、リバース型の調光シート10は、透明であって、撮像部20を第1空間で視覚認識可能とする。
【0046】
第1電極電圧SIGD1と第2電極電圧SIGD2との電位差が所定値以上であるとき、すなわち、2つの透明電極11,12間の電圧が所定値以上であるとき、リバース型の調光シート10は、調光層13が可視光を透過しないように、液晶分子の配向方向を無秩序化させる。液晶分子の配向方向が無秩序なとき、リバース型の調光シート10での光透過率は、相対的に低い。相対的に低い光透過率を有する状態が、視覚で認識できる頻度で繰り返されるとき、あるいは、継続されるとき、リバース型の調光シート10は、不透明と認識され、撮像部20を第1空間で視覚認識不能とする。
【0047】
[撮像部]
図4は、撮像素子の配列と電荷量の転送とを概念的に説明する撮像部の構成図である。
図4が示すように、撮像部20は、イメージセンサー21を備える。イメージセンサー21は、二次元に配列された複数の撮像素子21Dを備える。各撮像素子21Dは、CCD(Charged coupled devices)、あるいは、CMOS(Complementary metal oxide semiconductor)である。二次元に配列された複数の撮像素子21Dは、単一の受像面21Sを構成する。
【0048】
イメージセンサー21は、電子シャッターを備える。電子シャッターが開くことは、光電変換可能な状態を撮像素子21Dに設定することである。電子シャッターが閉じることは、光電変換後の電荷量を撮像素子21Dから転送することである。
【0049】
シャッターが開いている期間は、撮像期間T1である。シャッターが閉じている期間は、垂直ブランキング期間T2である。撮像部20は、撮像期間T1に、調光シート10を透過した光を取り込む。撮像部20は、垂直ブランキング期間T2に、光電変換された電荷量、すなわち、撮像結果の転送を行う。
【0050】
タイミング制御部32は、各種のタイミング制御信号SIGTを生成する。タイミング制御信号SIGTは、リセット信号P1、切換信号P2、垂直クロック信号P3、水平クロック信号P4を含む。リセット信号P1は、撮像期間T1の開始と、垂直ブランキング期間T2の終了とを定める。切換信号P2は、撮像期間T1の終了と、垂直ブランキング期間T2の開始とを定める。
【0051】
タイミング制御部32は、例えば、起動信号SIGFと基準クロックCKBとを用いて、リセット信号P1を生成する。タイミング制御部32は、リセット信号P1の生成から経過した時間を計時し、リセット信号P1の生成から撮像期間T1が経過したときに、切換信号P2を生成する。
【0052】
タイミング制御部32は、例えば、切換信号P2と基準クロックCKBとを用いて、垂直クロック信号P3を生成する。タイミング制御部32は、例えば、リセット信号P1と基準クロックCKBとを用いて、水平クロック信号P4を生成する。
【0053】
イメージセンサー21は、リセット信号P1が入力されるたびに、予め設定された撮像期間T1だけ、シャッターを開ける。すなわち、リセット信号P1は、撮像期間T1の開始タイミングを定める。リセット信号P1は、タイミング制御部32からイメージセンサー21に入力される。
【0054】
撮像部20は、撮像部20に取り込まれた光を、撮像部20が備える光学系を通して、受像面21Sに結像する。イメージセンサー21は、受像面21Sに結ばれた像を、各撮像素子21Dの電荷量に変換する。各撮像素子21Dの電荷量は、当該撮像素子21Dでの光の強弱を示す。
【0055】
撮像素子21Dは、光電変換によって得られる電荷量を撮像期間T1に蓄積する。すなわち、リセット信号P1は、撮像素子21Dに光電変換と電荷蓄積とを開始させる。切換信号P2は、撮像期間T1の終了タイミングを定めて、撮像素子21Dに電荷蓄積を終了させる。
【0056】
イメージセンサー21は、各撮像素子21Dの電荷量を転送する。イメージセンサー21の転送方式は、フレーム転送、インターライン転送、フレームインターライン転送のいずれか一種である。
フレームは、撮像期間T1に蓄積された各撮像素子21Dでの電荷量の集合である。フレームは、1枚の画像を生成するための画像データである。イメージセンサー21は、垂直ブランキング期間T2に、単一のフレームを転送する。
【0057】
詳述すると、イメージセンサー21は、1行分の撮像素子21Dを水平ライン21Aとして取り扱う。イメージセンサー21は、垂直クロック信号P3が入力されるたびに、1行分の水平ライン21Aの電荷量を垂直転送する。垂直転送による転送先は、水平CCD21Tである。イメージセンサー21は、垂直クロック信号P3が入力されるたびに、垂直転送の対象を、1行目の水平ライン21Aから最終行の水平ライン21Aまで、順に繰り上げる。
【0058】
次いで、イメージセンサー21は、水平クロック信号P4が入力されるたびに、水平CCD21Tの電荷量を、撮像素子21Dが並ぶ順序に従って水平転送する。水平転送による転送先は、イメージセンサー21が備えるレジスタ21Tである。これにより、イメージセンサー21は、単一のフレームをレジスタ21Tに転送する。
【0059】
垂直クロック信号P3が繰り返される期間は、単一のフレームを垂直転送するための期間であって、垂直ブランキング期間T2に含まれる。垂直クロック信号P3は、タイミング制御部32からイメージセンサー21に入力される。なお、切換信号P2は、1行目の電荷量を転送するための垂直クロック信号P3に用いることも可能である。
【0060】
水平クロック信号P4が繰り返される期間は、単一のフレームを生成するための期間であって、撮像期間T1に含まれる。撮像期間T1に含まれる水平クロック信号P4は、タイミング制御部32からイメージセンサー21に入力される。
【0061】
[調光シート駆動装置]
図5が示すように、調光シート駆動装置30は、制御部31、電圧印加部33、交流電源34、および、入力処理部35を備える。
制御部31は、制御レベルの電圧で動作する中央演算処理装置、および、メモリを備える。制御部31は、各種の処理を全てソフトウェアで処理するものに限らない。例えば、制御部31は、各種の処理のうちの少なくとも一部の処理を実行する専用のハードウェア(特定用途向け集積回路:ASIC)を備えてもよい。制御部31は、ASICなどの1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上のプロセッサ(マイクロコンピュータ)、あるいは、これらの組み合わせ、を含む回路としても構成される。なお、以下では、制御部31が、読み取り可能な可読媒体に調光シート駆動プログラムを記憶し、可読媒体が記憶する駆動プログラムを読み出して実行し、各種信号の出力を行う例を説明する。
【0062】
交流電源34は、入力電圧を調光シート10の駆動レベルに変換して、変換後の直流電圧を電圧印加部33に出力する。また、交流電源34は、入力電圧を制御レベルに変換して、変換後の直流電圧を制御部31や入力処理部35に出力する。調光システムは、店舗、オフィスビル、住宅、駅、空港などの各種の建物や、車両などの移動体などに設置される。入力電圧は、移動体が搭載する直流電源、あるいは、建物が備える交流電源である。
【0063】
電圧印加部33は、交流電源34に接続されたフルブリッジ回路などを備える。電圧印加部33は、交流電源34が入力する直流電圧を用いて、第1電極電圧SIGD1と第2電極電圧SIGD2とを生成する。電圧印加部33は、第1透明電極11に第1電極電圧SIGD1を印加し、第2透明電極12に第2電極電圧SIGD2を印加する。
【0064】
第1電極電圧SIGD1と第2電極電圧SIGD2とは、2つの透明電極11,12間に、透過電圧、あるいは、不透過電圧を印加する。透過電圧は、調光シート10に可視光を透過させる大きさである。
ノーマル型での透過電圧は、2つの透明電極11,12間に駆動レベルの電圧を設定し、かつ、2つの透明電極11,12間で極性反転を繰り返す。透過電圧は、例えば20V以上である。リバース型での透過電圧は、2つの透明電極11,12を共通電位に接続させる。共通電位は、例えば、接地電位(0V)である。
【0065】
不透過電圧は、調光シートに可視光を透過させない大きさである。
ノーマル型での不透過電圧は、2つの透明電極11,12を共通電位に接続させる。共通電位は、例えば、接地電位である。リバース型での透過電圧は、2つの透明電極11,12間に駆動レベルの電圧を設定し、かつ、2つの透明電極11,12間で極性反転を繰り返す。透過電圧は、例えば20Vである。
【0066】
操作部40は、利用者の入力操作を受け付ける。操作部40は、利用者の入力操作に基づいて、調光シート10と撮像部20とを操作するための各種の信号を出力する。例えば、操作部40は、利用者のモード操作を受けて、モード設定信号SIGMを出力する。
【0067】
モード設定信号SIGMは、第1モードと第2モードとのいずれかを定める信号である。第1モードと第2モードとは、調光シート10の駆動モードである。
第1モードは、調光シート10が撮像部20を視覚認識不能としつつ、電圧印加部33が透過電圧を周期的かつ瞬間的に印加する駆動形態である。すなわち、第1モードは、相対的に低い光透過率を有する状態が視覚で認識できるように、電圧印加部33が不透過電圧を印加し、かつ、相対的に高い光透過率を有する状態が視覚で認識できない頻度かつ期間で、電圧印加部33が透過電圧を印加する駆動形態である。
第2モードは、電圧印加部33が透過電圧を印加し続ける。すなわち、第2モードは、調光シート10が撮像部20を視覚認識可能とする駆動形態である。
【0068】
入力処理部35は、操作部40での入力操作に応じた処理を制御部31が実行するように、操作部40から入力される信号を処理する。入力処理部35は、モード設定部の一例であり、例えば、入力されたモード設定信号SIGMが定めるモードを、制御部31で処理できる信号に変換する。
【0069】
制御部31は、タイミング制御部32を備える。制御部31は、例えば、入力処理部35の処理結果を受けて、起動信号SIGFを生成する。起動信号SIGFは、タイミング制御部32に入力される。また、制御部31は、入力処理部35の処理結果を受けて、タイミング制御部32に、モード設定信号SIGMに基づくモードを設定する。
【0070】
第1モードに設定されたタイミング制御部32は、入力処理部35の処理結果を受けて、透過開始信号SIGC1と不透過開始信号SIGC2とを生成する。第2モードに設定されたタイミング制御部32は、入力処理部35の処理結果を受けて、透過開始信号SIGC1を生成する。
【0071】
透過開始信号SIGC1は、電圧印加部33に透過電圧を印加させるための制御信号であって、リセット信号P1に同期している。タイミング制御部32は、リセット信号P1と同じく、起動信号SIGFと基準クロックCKBとを用いて、透過開始信号SIGC1を生成する。
【0072】
不透過開始信号SIGC2は、電圧印加部33に不透過電圧を印加させるための制御信号であって、撮像期間T1の終了を定める切換信号P2に同期している。タイミング制御部32は、切換信号P2と同じく、リセット信号P1の生成からの計時に基づいて、不透過開始信号SIGC2を生成する。
【0073】
タイミング制御部32は、透過開始信号SIGC1と不透過開始信号SIGC2とを電圧印加部33に入力する。電圧印加部33は、透過開始信号SIGC1と不透過開始信号SIGC2とに準じたタイミングで、第1電極電圧SIGD1と第2電極電圧SIGD2とを生成する。
【0074】
透過開始信号SIGC1が電圧印加部33に入力されるとき、電圧印加部33は、第1電極電圧SIGD1と第2電極電圧SIGD2とを生成して、2つの透明電極11,12間に透過電圧を印加する。
【0075】
不透過開始信号SIGC2が電圧印加部33に入力されるとき、電圧印加部33は、第1電極電圧SIGD1と第2電極電圧SIGD2とを生成して、2つの透明電極11,12間に不透過電圧を印加する。
【0076】
[作用]
上記調光シート駆動装置が行う調光シートの駆動方法を、各種のタイミング制御信号SIGTと電極電圧SIGD1,SIGD2との推移を示すタイミングチャートを用いて説明する。
【0077】
なお、
図6は、ノーマル型の調光シート10に適用される第1モードでのタイミングチャートであり、
図7は、リバース型の調光シート10に適用される第1モードでのタイミングチャートである。まず、
図6を参照して、ノーマル型の調光シート10での例を説明し、次いで、
図7を参照して、リバース型の調光シート10での例を説明する。
【0078】
図6が示すように、制御部31が起動信号SIGFを生成すると、タイミング制御部32は、タイミングt1に、リセット信号P1を生成して、撮像部20にリセット信号P1を入力する。また、タイミング制御部32は、タイミングt1に、リセット信号P1に同期した透過開始信号SIGC1を生成して、電圧印加部33に透過開始信号SIGC1を入力する。
【0079】
撮像部20は、リセット信号P1の入力に応じて、イメージセンサー21に光電変換と電荷蓄積とを開始させる。一方で、電圧印加部33は、透過開始信号SIGC1の入力に応じて、第1電極電圧SIGD1を瞬間的に高レベルVHに設定し、かつ、第2電極電圧SIGD2を瞬間的に低レベルVLに設定する。すなわち、制御部31は、撮像部20には、イメージセンサー21に撮像を開始させると共に、調光シート10には、2つの透明電極11,12間に、ノーマル型の透過電圧を瞬間的に設定する。これにより、調光シート10は、撮像部20を第1空間で視覚認識不能としつつも、撮像部20での撮像が可能となるように、視覚で認識できない期間に高い光透過率を実現する。
【0080】
次いで、タイミング制御部32は、リセット信号P1から瞬間的である撮像期間T1が経過したタイミングt2に、切換信号P2を生成して、撮像部20に切換信号P2を入力する。さらに、タイミング制御部32は、垂直クロック信号P3を生成して、撮像部20に垂直クロック信号P3を入力する。また、タイミング制御部32は、タイミングt2に、切換信号P2に同期した不透過開始信号SIGC2を生成して、電圧印加部33に不透過開始信号SIGC2を入力する。
【0081】
撮像部20は、切換信号P2の入力に応じて、イメージセンサー21に撮像を停止させる。また、撮像部20は、垂直クロック信号P3の入力に応じて、イメージセンサー21に撮像結果であるフレームを垂直転送させる。一方で、電圧印加部33は、不透過開始信号SIGC2の入力に応じて、第1電極電圧SIGD1を低レベルVLに設定し、かつ、第2電極電圧SIGD2を低レベルVLに設定する。
【0082】
すなわち、制御部31は、撮像部20には、撮像を停止させて撮像結果を処理させると共に、調光シート10には、2つの透明電極11,12間に、ノーマル型の不透過電圧を設定する。これにより、調光シート10は、撮像部20を第1空間で視覚認識不能とし続ける。
【0083】
次いで、タイミング制御部32は、タイミングt3に、新たなリセット信号P1を生成して、撮像部20にリセット信号P1を入力する。また、タイミング制御部32は、水平クロック信号P4を生成して、撮像部20に水平クロック信号P4を入力する。さらに、タイミング制御部32は、タイミングt3に、リセット信号P1に同期した透過開始信号SIGC1を生成して、電圧印加部33に透過開始信号SIGC1を入力する。
【0084】
撮像部20は、新たなリセット信号P1の入力に応じて、イメージセンサー21に光電変換と電荷蓄積とを開始させる。また、撮像部20は、水平クロック信号P4の入力に応じて、垂直転送されたフレームを水平転送させる。一方で、電圧印加部33は、透過開始信号SIGC1の入力に応じて、第1電極電圧SIGD1を低レベルVLに設定し、かつ、第2電極電圧SIGD2を高レベルVHに設定する。
【0085】
すなわち、制御部31は、撮像部20には、イメージセンサー21に撮像を開始させると共に、調光シート10には、前回の透過電圧から極性反転させた透明電圧を、2つの透明電極11,12間に設定する。これにより、調光シート10は、撮像部20を第1空間で視覚認識不能としつつも、撮像部20での撮像が可能となるように、瞬間的に高い光透過率を実現する。
【0086】
続いて、タイミング制御部32は、新たなリセット信号P1から撮像期間T1が経過したタイミングt4に、切換信号P2を生成して、撮像部20に切換信号P2を入力する。さらに、タイミング制御部32は、垂直クロック信号P3を生成して、撮像部20に垂直クロック信号P3を入力する。また、タイミング制御部32は、タイミングt4に、切換信号P2に同期した不透過開始信号SIGC2を生成して、電圧印加部33に不透過開始信号SIGC2を入力する。そして、制御部31は、撮像部20には、撮像を停止させて撮像結果を処理させると共に、調光シート10には、2つの透明電極11,12間に、ノーマル型の不透過電圧を設定する。これにより、調光シート10は、撮像部20を第1空間で視覚認識不能とし続ける。
【0087】
そして、タイミング制御部32は、さらなるリセット信号P1を生成するタイミングt5まで、タイミングt2からタイミングt3までの処理を行い、これにより、撮像部20を第1空間で視覚認識不能とし続ける。
【0088】
以降、調光シート駆動装置は、例えば、操作部40から新たなモード設定信号SIGMが入力されるまで、タイミングt1からタイミングt5までの処理を繰り返す。
【0089】
図7が示すように、リバース型の調光シート10においても、制御部31が起動信号SIGFを生成すると、タイミングt1には、タイミング制御部32が撮像部20にリセット信号P1を入力し、また、リセット信号P1に同期した透過開始信号SIGC1を電圧印加部33に入力する。
【0090】
タイミングt2には、タイミング制御部32が撮像部20に切換信号P2を入力し、また、垂直クロック信号P3を入力する。また、タイミング制御部32は、切換信号P2に同期した不透過開始信号SIGC2を電圧印加部33に入力する。
【0091】
タイミングt3には、タイミング制御部32が撮像部20に新たなリセット信号P1と水平クロック信号P4とを入力する。また、タイミングt3には、タイミング制御部32がリセット信号P1に同期した透過開始信号SIGC1を電圧印加部33に入力する。
【0092】
タイミングt4には、タイミング制御部32が撮像部20に切換信号P2を入力し、また、垂直クロック信号P3を入力する。また、タイミング制御部32は、切換信号P2に同期した不透過開始信号SIGC2を電圧印加部33に入力する。
【0093】
この間、タイミングt1からタイミングt2には、制御部31がイメージセンサー21に光電変換と電荷蓄積とを行わせる。タイミングt2からタイミングt3には、制御部31がイメージセンサー21に撮像を停止させてフレームを垂直転送させる。タイミングt3からタイミングt4には、制御部31が再びイメージセンサー21に光電変換と電荷蓄積とを行わせて、垂直転送されたフレームを水平転送させる。タイミングt4からタイミングt5には、制御部31が再びイメージセンサー21に撮像を停止させて新たなフレームを垂直転送させる。
【0094】
一方、タイミングt1からタイミングt2には、制御部31が第1電極電圧SIGD1に低レベルVLを設定し、かつ、第2電極電圧SIGD2に低レベルVLを設定する。すなわち、制御部31は電圧印加部33にリバース型での透過電圧を設定させる。これにより、調光シート10は、撮像部20を第1空間で視覚認識不能としつつも、撮像期間T1には、撮像部20での撮像が可能となるように、瞬間的に高い光透過率を実現する。
【0095】
また、タイミングt2からタイミングt3には、制御部31が第1電極電圧SIGD1に高レベルVHを設定し、かつ、第2電極電圧SIGD2に低レベルVLを設定する。すなわち、制御部31は電圧印加部33にリバース型の不透過電圧を設定させる。これにより、調光シート10は、撮像部20を第1空間で視覚認識不能とし続ける。
【0096】
さらに、タイミングt3からタイミングt4には、制御部31が第1電極電圧SIGD1に低レベルVLを設定し、かつ、第2電極電圧SIGD2に低レベルVLを設定する。すなわち、制御部31は電圧印加部33に再びリバース型の透過電圧を設定させる。これにより、調光シート10は、撮像部20を第1空間で視覚認識不能としつつも、撮像期間T1には、撮像部20での撮像が可能となるように、瞬間的に高い光透過率を実現する。
【0097】
そして、タイミングt4からタイミングt5には、制御部31が第1電極電圧SIGD1に低レベルVLを設定し、かつ、第2電極電圧SIGD2に高レベルVHを設定する。すなわち、制御部31は、電圧印加部33に、前回の不透過電圧から極性を反転させた不透過電圧を設定させる。これにより、調光シート10は、撮像部20を第1空間で視覚認識不能とし続ける。
【0098】
以上、上記実施形態によれば以下に列挙する効果が得られる。
(1)撮像部20を覆う調光シート10が、第1モードにおいて、撮像部20を視覚認識不能とする。そのため、調光シート10を隔てた第2空間では、第2空間に位置する人の意識から撮像部20の存在が除かれる、あるいは、撮像部20に対する意識が希薄となる。また、第2空間内から見て、同空間を区切る側壁面WS、天井面WT、および、調光シート10の意匠性を高めることもできる。
【0099】
(2)撮像部20の撮像期間T1に調光シート10が瞬間的に光透過率を高めるため、撮像部20は、視覚では撮像部20を認識不能とする空間に配置される一方で、当該空間内から第2空間を撮像することが可能ともなる。
【0100】
(3)撮像部20を視覚認識不能とする第1モードと、撮像部20を視覚認識可能とする第2モードとが設定可能となるため、適用場面に合わせて調光シート10を駆動させることが可能ともなる。
【0101】
例えば、撮像部20が防犯装置として店舗内に設置される場合、タイミング制御部32が第1モードに設定されて、撮像部20が視覚認識不能となることによって、犯罪の解決機能が高められる。一方、タイミング制御部32が第2モードに設定されて、撮像部20を視覚認識可能とすることによって、犯罪の抑止機能が高められる。
【0102】
(4)ノーマル型の調光シート10であれ、リバース型の調光シート10であれ、上述した調光シートの駆動装置であれば、(1)〜(3)に準じた効果が得られる。
【0103】
(5)調光シート10を通してイメージセンサー21が光を取り入れる期間、すなわち撮像期間T1と、調光シート10が光透過率を瞬間的に高める期間とにずれが生じている場合、調光シート10を通した撮像結果において、画像の明るさやコントラストを十分に高められないおそれがある。この点、調光シート10を通してイメージセンサー21が光を取り入れる期間、すなわち撮像期間T1と、調光シート10が光透過率を瞬間的に高める期間との間で、時刻同期を図ることが可能となるから、調光シート10を通した撮像結果による画質を高めることが可能ともなる。
【0104】
(6)撮像素子21Dでの光電変換の開始タイミング、および、撮像素子21Dでの電荷蓄積の終了タイミングは、全ての撮像素子21Dを対象として時刻同期が図られる機会である。そのため、光電変換の開始タイミングと、調光シート10での透明遷移の開始タイミングとの同期を図る構成、すなわち、リセット信号P1と透過開始信号SIGC1との同期を図る構成であれば、全ての撮像素子21Dに共通するタイミングで、撮像を開始できる。
【0105】
また、電荷蓄積の終了タイミングと、調光シート10での不透明遷移の開始タイミングとの同期を図る構成、すなわち、切換信号P2と不透過開始信号SIGC2との同期を図る構成であれば、全ての撮像素子21Dに共通するタイミングで、撮像を終了できる。結果として、撮像素子21D間での撮像結果のばらつきを抑えることが可能ともなる。
【0106】
以上、上記実施形態は、以下のように変更して実施することが可能である。
[調光システム]
・調光システムは、イメージセンサー21の駆動を制御するセンサー制御部と、調光シート10を駆動する調光シート駆動装置と、を各別に備えることも可能である。
図8は、撮像駆動装置と調光シート駆動装置とを備える変更例の構成を示す構成図である。
【0107】
図8が示すように、撮像部20は、センサー制御部22と時刻同期通信部26とを備える。調光シート駆動装置30は、シート制御部37と時刻同期通信部36とを備える。
【0108】
センサー制御部22は、上記実施形態で説明した各種のタイミング制御信号SIGTを生成する。センサー制御部22は、リセット信号P1と切換信号P2とをイメージセンサー21に入力して、イメージセンサー21に撮像期間T1だけシャッターを開けさせる。センサー制御部22は、垂直クロック信号P3と水平クロック信号P4とをイメージセンサー21に入力して、イメージセンサー21にフレームを転送させる。すなわち、センサー制御部22は、上記実施形態で説明した制御部31が有する機能のうち、イメージセンサー21を駆動するための機能を別体として備える。
【0109】
シート制御部37は、上記実施形態で説明した透過開始信号SIGC1と不透過開始信号SIGC2とを生成する。シート制御部37は、透過開始信号SIGC1と不透過開始信号SIGC2とを電圧印加部33に入力して、電圧印加部33に第1電極電圧SIGD1と第2電極電圧SIGD2とを印加させる。すなわち、シート制御部37は、上記実施形態で説明した制御部31が有する機能のうち、調光シート10を駆動するための機能を別体として備える。
【0110】
撮像部20が備える時刻同期通信部26と、調光シート駆動装置30が備える時刻同期通信部36とは、撮像部20と調光シート駆動装置30との間で、時刻同期を可能とする。すなわち、各時刻同期通信部26,36は、撮像部20の基準クロックであるセンサークロックCL2と、調光シート駆動装置30の基準クロックであるシートクロックCL3とを同期させる。
【0111】
例えば、センサー制御部22は、基準時刻の提供元となるマスターである。調光シート駆動装置30は、基準時刻に同期するスレーブである。時刻同期通信部26は、時刻同期通信部36と通信可能に構成されている。各時刻同期通信部26,36は、PTP(Precision Time Protocol)パケットの送信と受信とを繰り返して、センサークロックCL2と、シートクロックCL3とのずれを算出する。調光シート駆動装置30は、センサークロックCL2にシートクロックCL3を時刻同期させるように、シートクロックCL3のずれを補正する。
【0112】
時刻同期通信部26は、リセット信号P1と切換信号P2とを、時刻同期通信部36に送信する。時刻同期通信部36は、補正されたシートクロックCL3を用いて、リセット信号P1と切換信号P2とを処理する。すなわち、センサー制御部22が生成したリセット信号P1と、シート制御部37が生成する透過開始信号SIGC1と、が時刻同期するように、時刻同期通信部36は、リセット信号P1を処理する。また、センサー制御部22が生成した切換信号P2と、シート制御部37が生成する不透過開始信号SIGC2と、が時刻同期するように、時刻同期通信部36は、切換信号P2を処理する。
【0113】
上記構成によれば、イメージセンサー21と調光シート10とが別々の制御部によって駆動を制御される構成であっても、上記(1)から(6)に準じた効果を得ることは可能である。
【0114】
[撮像期間]
・電圧印加部33が透過電圧を印加する期間は、リセット信号P1の生成ごとに定められる期間に限らず、所定回数のリセット信号P1が生成されるごとに定められる期間であってもよい。
【0115】
例えば、電圧印加部33が透過電圧を印加する期間は、リセット信号P1の生成が2回繰り返されたときに定められてもよい。この構成では、瞬間的に透明な調光シート10を用いる撮像と、不透明な調光シート10を用いる撮像とが、交互に繰り返される。そして、不透明な調光シート10を用いたフレームが介在するとは言え、透明な調光シート10を用いた撮像の結果は得られる。このような構成は、例えば、撮像部20の撮像対象に大きな変化が頻繁には起こりえないような環境下において、調光シートの駆動に要する負荷を軽減することができる点で意義がある。
【0116】
・電圧印加部33が透過電圧を印加する期間は、リセット信号P1の生成前に開始されてもよいし、リセット信号P1の生成後に開始されてもよい。すなわち、調光シート駆動装置は、撮像部20の撮像期間T1と重なるように、調光シート10を瞬間的に透明としてもよい。
【0117】
なお、リセット信号P1の生成前に透過電圧を印加する構成では、例えば、制御部31が、起動信号SIGFの入力を受けて、リセット信号P1の生成を先読みし、リセット信号P1の生成に先駆けて、透過開始信号SIGC1を生成する。
【0118】
また、リセット信号P1の生成後に透過電圧を印加する構成では、例えば、制御部31が、透過開始信号SIGC1の生成を、リセット信号P1の生成から所定時間だけ遅らせる。
【0119】
・電圧印加部33が不透過電圧を印加する期間は、切換信号P2の生成前に開始されてもよいし、切換信号P2の生成後に開始されてもよい。すなわち、調光シート駆動装置は、撮像部20の垂直ブランキング期間T2と重なるように、調光シート10を瞬間的に透明としてもよい。
【0120】
なお、切換信号P2の生成前に不透過電圧を印加する構成では、例えば、制御部31が、リセット信号P1の生成を受けて、切換信号P2の生成を先読みし、切換信号P2の生成に先駆けて、不透過開始信号SIGC2を生成する。
【0121】
また、切換信号P2の生成後に不透過電圧を印加する構成では、例えば、制御部31が、不透過開始信号SIGC2の生成を、切換信号P2の生成から所定時間だけ遅らせる。
【0122】
・第2モードは、電圧印加部33が透過電圧を印加し、かつ、相対的に低い光透過率を有する状態が視覚で認識できない頻度かつ期間で、電圧印加部33が不透過電圧を印加する駆動形態であってもよい。この際、撮像部20の撮像期間T1に調光シート10が瞬間的に光透過率を下げないように、調光シート駆動装置30は、調光シートに不透過電圧を印加する。すなわち、タイミング制御部32は、電圧印加部33の出力値を制御して、撮像部20での撮像期間T1に透過電圧を印加させる。
【0123】
この構成によれば、撮像部20が視覚で認識される期間に行われる瞬間的な光透過率の低下が、撮像部20の撮影を妨げることがない。そのため、撮像部20が視覚で認識される期間に、第1空間SP内から第2空間を確実に撮像することが可能ともなる。
【0124】
[調光シート]
・不透明な調光シート10は、無彩色であってもよいし、有彩色であってもよい。
不透明な調光シート10が有する色相や明るさは、側壁面WSや天井面WTと同じであってもよい。この構成によれば、第1空間と第2空間とを区切る構造体の意匠性が、さらに高められる。
・透明な調光シート10は、無色透明であってもよいし、有色透明であってもよい。
【0125】
[調光システム]
・調光システムが備える撮像部は、複数のフレームが連続する動画を撮像する構成であってもよいし、単一のフレームである静止画を撮像する構成であってもよい。
【0126】
・調光シートの形態は、液晶分子の配向制御によって透明と不透明とを切り換える方式に限らず、調光シートに印加される電場の大きさに応じて可逆的に酸化還元反応を進めると共に、その酸化還元反応の進行に伴って光の吸収率を変えるエレクトロクロミック方式であってもよい。
【解決手段】調光シート10の光透過率を瞬間的に高めるための電圧が透過電圧であり、調光シート10は、第1透明電極11と第2透明電極12との間に液晶組成物を備え、電圧は、第1透明電極11と第2透明電極12との間に印加される電圧であり、透明電極間に電圧を印加する電圧印加部33の出力値を制御して、調光シート10に覆われた撮像部を視覚認識不能とする状態を調光シートに維持させつつ、撮像部での撮像期間に透過電圧を印加させるタイミング制御部を備える。