特許第6700895号(P6700895)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6700895
(24)【登録日】2020年5月8日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】貨幣処理装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 11/10 20190101AFI20200518BHJP
   G07D 1/00 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
   G07D11/10 141Z
   G07D11/10 121A
   G07D1/00 Z
【請求項の数】6
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-62219(P2016-62219)
(22)【出願日】2016年3月25日
(65)【公開番号】特開2017-174317(P2017-174317A)
(43)【公開日】2017年9月28日
【審査請求日】2018年11月8日
(73)【特許権者】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 弘顕
【審査官】 永石 哲也
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−052792(JP,A)
【文献】 特開2015−022711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 1/00 − 11/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に並んで設けられ、硬貨を上部から収納すると共に底部側のものから一枚ずつ払い出す金種別の硬貨収納部と、
前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前方に向けて搬送する出金搬送部と、
前記出金搬送部で前方に搬送された硬貨を受け入れて外部に取り出し可能とする出金口と、
前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前記出金口への搬送過程で識別する識別部と、
前記金種別の硬貨収納部の下側に前後方向に移動可能に設けられ、硬貨を上部から収納すると共に底部側のものから一枚ずつ払い出す補充硬貨収納部と、
前記補充硬貨収納部に設けられ、前記補充硬貨収納部から払い出された硬貨を受け入れて、上方へ向けて搬送し、前記金種別の硬貨収納部のうち前記補充硬貨収納部の鉛直上方に位置する硬貨収納部の上部に受け渡す補充搬送部と、
前記補充硬貨収納部に設けられ、前記補充硬貨収納部から払い出される過程の硬貨を判別する判別部とを備え、
前記補充硬貨収納部は、筐体に対して、前記金種別の硬貨収納部と一体で後方に引き出し可能であると共に前記金種別の硬貨収納部とは別に単独で後方に引き出し可能である
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項2】
前後方向に並んで設けられ、硬貨を上部から収納すると共に底部側のものから一枚ずつ払い出す金種別の硬貨収納部と、
前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前方に向けて搬送する出金搬送部と、
前記出金搬送部で前方に搬送された硬貨を受け入れて外部に取り出し可能とする出金口と、
前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前記出金口への搬送過程で識別する識別部と、
前記金種別の硬貨収納部の下側に前後方向に移動可能に設けられると共に、硬貨を受け渡す際に前後方向に移動して前記金種別の硬貨収納部のうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置可能に設けられ、硬貨を上部から収納すると共に底部側のものから一枚ずつ払い出す補充硬貨収納部と、
前記補充硬貨収納部に設けられ、前記補充硬貨収納部から払い出された硬貨を受け入れて、上方へ向けて搬送し、前記金種別の硬貨収納部のうち前記補充硬貨収納部の鉛直上方に位置する硬貨収納部の上部に受け渡す補充搬送部と、
前記補充硬貨収納部に設けられ、前記補充硬貨収納部から払い出される過程の硬貨を判別する判別部とを備える
ことを特徴とする貨幣処理装置。
【請求項3】
出金動作指令に基づいて、前記金種別の硬貨収納部から硬貨を払い出し、払い出した硬貨を前記出金搬送部で前記出金口へ向けて搬送する出金処理と、
補充動作指令に基づいて、前記補充硬貨収納部が前記金種別の硬貨収納部のうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置した状態で、前記補充硬貨収納部から硬貨を払い出し、前記判別部で正常と判定された硬貨を前記補充搬送部で搬送して前記所定の硬貨収納部に収納する補充処理と、をそれぞれ単独、及び、並行して行うことが可能である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の貨幣処理装置。
【請求項4】
自己計数指令に基づいて、前記補充硬貨収納部が空であることを条件に、前記補充硬貨収納部が前記金種別の硬貨収納部のうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置した状態で、当該所定の硬貨収納部から硬貨を一旦全て払い出して前記補充硬貨収納部に自然落下させて収納させた後に、前記補充硬貨収納部から硬貨を前記判別部で判別しつつ前記補充搬送部で搬送して当該所定の硬貨収納部へ戻す
ことを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項5】
前記金種別の硬貨収納部と前記出金搬送部との間に設けられ、前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前記出金搬送部に搬送する閉位置と、前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前記金種別の硬貨収納部と前記出金搬送部との間から自由落下させる開位置とに切り替え可能な振分部を更に備え、
開位置にある前記振分部は、前記補充硬貨収納部が前記金種別の硬貨収納部のうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置した状態で、当該所定の硬貨収納部からの硬貨を前記補充硬貨収納部に収納させる
ことを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【請求項6】
前記判別部で正常と判別されなかった硬貨を前記補充搬送部から受け入れて収納するリジェクト収納部を更に備え、
前記補充搬送部によって、前記判別部で正常と判別された金種の硬貨を前記金種別の硬貨収納部のうち当該金種の硬貨収納部へ搬送し、当該金種以外の硬貨を含む正常と判別されなかった硬貨を前記リジェクト収納部へ搬送する
ことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の貨幣処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貨幣処理装置においては、現金自動取引装置で知られるように、顧客による引き出しの取引対象となる硬貨が収納される取引硬貨収納スタッカとは別に、補充硬貨収納金庫を備えることによって、補充硬貨収納金庫内の硬貨を取引硬貨収納スタッカ内に補充可能とした技術が存在する(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このように構成することで、取引硬貨収納スタッカ内の硬貨残量が少なくなると、補充硬貨収納金庫内の硬貨を適宜、取引硬貨収納スタッカ内に補充できるため、自動取引装置としての利便性が向上する。
【0004】
しかしながら、補充硬貨収納金庫内の硬貨を取引硬貨収納スタッカ内に補充している最中には、顧客による硬貨の引き出し取引ができなくなるため、顧客に案内表示を行って取引を待ってもらうことになり、この点で不便さが残った。また、逆に、顧客による硬貨の引き出し取引の最中には、補充硬貨収納金庫内の硬貨を取引硬貨収納スタッカ内に補充できなくなり、補充が必要になると、結局のところ、取引を中断して補充を待ってもらうことになる。
【0005】
これに対し、金種別硬貨収納スタッカよりも装置後方に着脱可能に設けられた補充硬貨収納スタッカと、金種別硬貨収納スタッカから払い出された硬貨を装置前方の出金口及び装置後方の補充硬貨収納スタッカへ向けて選択的に搬送する可逆搬送部と、可逆搬送部で装置後方に搬送された硬貨及び補充硬貨収納スタッカから払い出された硬貨を受け入れて、上方へ向けて搬送した後に装置前方へ向けて搬送して、金種別硬貨収納スタッカの上部及び補充硬貨収納スタッカの上部へ選択的に受け渡す補充搬送部と、補充硬貨収納スタッカに設けられ、補充硬貨収納スタッカから払い出される過程の硬貨を判別する判別部とを備える貨幣処理装置がある(例えば、特許文献2,3参照)。
【0006】
このように構成することで、金種別硬貨収納スタッカから出金口に硬貨を搬送する出金のためのルートと、補充硬貨収納スタッカから金種別硬貨収納スタッカに硬貨を搬送する補充のためのルートとを別のルートにできるため、出金処理と補充処理とを並行して行うことができる。更に、補充硬貨収納スタッカが空であることを条件に、金種別硬貨収納スタッカの硬貨を可逆搬送部及び補充搬送部で搬送して一旦全て補充硬貨収納スタッカに移動させた後に、補充硬貨収納スタッカから判別部で判別しつつ補充搬送部で搬送して元の金種別硬貨収納スタッカに戻すことで、金種別硬貨収納スタッカの在高を確定する自己精査処理も行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−242125号公報
【特許文献2】特開2013−239014号公報
【特許文献3】特開2015−022711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献2,3の貨幣処理装置では、補充硬貨収納スタッカが金種別硬貨収納スタッカよりも装置後方の最後部に設けられているので、硬貨の搬送距離が長く、硬貨の搬送に時間が掛かるため、補充時間及び精査時間が長くなってしまう。
【0009】
したがって、本発明は、出金処理と補充処理とを並行して行うことが可能であると共に、処理時間を短縮することが可能な貨幣処理装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の第1の態様は、前後方向に並んで設けられ、硬貨を上部から収納すると共に底部側のものから一枚ずつ払い出す金種別の硬貨収納部と、前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前方に向けて搬送する出金搬送部と、前記出金搬送部で前方に搬送された硬貨を受け入れて外部に取り出し可能とする出金口と、前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前記出金口への搬送過程で識別する識別部と、前記金種別の硬貨収納部の下側に前後方向に移動可能に設けられ、硬貨を上部から収納すると共に底部側のものから一枚ずつ払い出す補充硬貨収納部と、前記補充硬貨収納部に設けられ、前記補充硬貨収納部から払い出された硬貨を受け入れて、上方へ向けて搬送し、前記金種別の硬貨収納部のうち前記補充硬貨収納部の鉛直上方に位置する硬貨収納部の上部に受け渡す補充搬送部と、前記補充硬貨収納部に設けられ、前記補充硬貨収納部から払い出される過程の硬貨を判別する判別部とを備え、前記補充硬貨収納部は、筐体に対して、前記金種別の硬貨収納部と一体で後方に引き出し可能であると共に前記金種別の硬貨収納部とは別に単独で後方に引き出し可能であることを特徴とする。
【0011】
第1の態様によれば、金種別の硬貨収納部が硬貨を底部側のものから払い出すと、払い出された硬貨を出金搬送部が搬送しその過程で識別部が識別して出金口に払い出す。一方で、補充硬貨収納部が硬貨を底部側のものから判別部で判別しつつ払い出すと、払い出された硬貨を補充搬送部が上方へ向けて搬送し、金種別の硬貨収納部のうち、その上方に位置する硬貨収納部の上部に受け渡す。これにより、金種別の硬貨収納部から出金口に硬貨を搬送する出金のためのルートと、補充硬貨収納部から金種別の硬貨収納部に硬貨を搬送する補充のためのルートとを別のルートにできるため、出金処理と補充処理とを並行して行うことができる。また、補充硬貨収納部が前後方向に移動可能に設けられており、金種別の硬貨収納部のうち、鉛直上方に位置する硬貨収納部に補充搬送部によって硬貨を直接搬送することができるので、従来よりも硬貨の搬送距離が短くなり、硬貨の搬送時間が短縮されることから、補充のための処理時間を短縮することができる。
また、筐体に対して、補充硬貨収納部を、金種別の硬貨収納部とは別に単独で後方に引き出して補充のための硬貨を投入することができるため、補充のための硬貨の投入作業が容易となる。また、金種別の硬貨収納部が出金処理中でも、補充硬貨収納部に補充のための硬貨の投入が可能となる。
本発明の第2の態様は、前後方向に並んで設けられ、硬貨を上部から収納すると共に底部側のものから一枚ずつ払い出す金種別の硬貨収納部と、前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前方に向けて搬送する出金搬送部と、前記出金搬送部で前方に搬送された硬貨を受け入れて外部に取り出し可能とする出金口と、前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前記出金口への搬送過程で識別する識別部と、前記金種別の硬貨収納部の下側に前後方向に移動可能に設けられると共に、硬貨を受け渡す際に前後方向に移動して前記金種別の硬貨収納部のうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置可能に設けられ、硬貨を上部から収納すると共に底部側のものから一枚ずつ払い出す補充硬貨収納部と、前記補充硬貨収納部に設けられ、前記補充硬貨収納部から払い出された硬貨を受け入れて、上方へ向けて搬送し、前記金種別の硬貨収納部のうち前記補充硬貨収納部の鉛直上方に位置する硬貨収納部の上部に受け渡す補充搬送部と、前記補充硬貨収納部に設けられ、前記補充硬貨収納部から払い出される過程の硬貨を判別する判別部とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明の第3の態様は、第1又は第2の態様において、出金動作指令に基づいて、前記金種別の硬貨収納部から硬貨を払い出し、払い出した硬貨を前記出金搬送部で前記出金口へ向けて搬送する出金処理と、補充動作指令に基づいて、前記補充硬貨収納部が前記金種別の硬貨収納部のうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置した状態で、前記補充硬貨収納部から硬貨を払い出し、前記判別部で正常と判定された硬貨を前記補充搬送部で搬送して前記所定の硬貨収納部に収納する補充処理と、をそれぞれ単独、及び、並行して行うことが可能であることを特徴とする。
【0013】
の態様によれば、出金処理と補充処理とをそれぞれ単独で行ったり、並行して行ったりすることが可能となる。
【0014】
本発明の第4の態様は、第1乃至第3の何れか一の態様において、自己計数指令に基づいて、前記補充硬貨収納部が空であることを条件に、前記補充硬貨収納部が前記金種別の硬貨収納部のうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置した状態で、当該所定の硬貨収納部から硬貨を一旦全て払い出して前記補充硬貨収納部に自然落下させて収納させた後に、前記補充硬貨収納部から硬貨を前記判別部で判別しつつ前記補充搬送部で搬送して当該所定の硬貨収納部へ戻すことを特徴とする。
【0015】
第4の態様によれば、空の補充硬貨収納部が金種別の硬貨収納部のうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置した状態で、当該所定の硬貨収納部から硬貨を一旦全て払い出して補充硬貨収納部に自然落下させて収納させて、当該所定の硬貨収納部を空の状態にした後に、補充硬貨収納部から硬貨を判別部で判別しつつ補充搬送部で搬送して鉛直上方にある当該所定の硬貨収納部へ戻すことにより、当該所定の硬貨収納部について精査処理を行うことができる。このように補充硬貨収納部から硬貨収納部に硬貨を戻す際の硬貨の搬送距離も、従来より短くなり、硬貨の搬送時間が短縮されることから、精査のための処理時間を短縮することができる。
【0016】
本発明の第5の態様は、第1乃至第4の何れか一の態様において、前記金種別の硬貨収納部と前記出金搬送部との間に設けられ、前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前記出金搬送部に搬送する閉位置と、前記金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を前記金種別の硬貨収納部と前記出金搬送部との間から自由落下させる開位置とに切り替え可能な振分部を更に備え、開位置にある前記振分部は、前記補充硬貨収納部が前記金種別の硬貨収納部のうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置した状態で、当該所定の硬貨収納部からの硬貨を前記補充硬貨収納部に収納させることを特徴とする。
【0017】
第5の態様によれば、金種別の硬貨収納部と出金搬送部との間に設けられた振分部が、閉位置にあるとき、金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を出金搬送部に搬送する一方、開位置にあるとき、金種別の硬貨収納部から払い出された硬貨を金種別の硬貨収納部と出金搬送部との間から自由落下させ、硬貨を払い出した硬貨収納部の下方に位置する補充硬貨収納部に収納させる。このように開閉する振分部で硬貨を振り分けることから、構造が簡素となる。
【0018】
本発明の第6の態様は、第1乃至第5の何れか一の態様において、前記判別部で正常と判別されなかった硬貨を前記補充搬送部から受け入れて収納するリジェクト収納部を更に備え、前記補充搬送部によって、前記判別部で正常と判別された金種の硬貨を前記金種別の硬貨収納部のうち当該金種の硬貨収納部へ搬送し、当該金種以外の硬貨を含む正常と判別されなかった硬貨を前記リジェクト収納部へ搬送することを特徴とする。
【0019】
の態様によれば、補充硬貨収納部から払い出される際に判別部で正常と判別された金種の硬貨を、補充搬送部によって、補充硬貨収納部の鉛直上方の硬貨収納部へ搬送し、当該金種以外の硬貨を含む正常と判別されなかった硬貨をリジェクト収納部へ搬送するため、正常と判別されなかった硬貨があっても処理を停止することなく続けることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、出金処理と補充処理とを並行して行うことが可能であると共に、処理時間を短縮することが可能な貨幣処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の一実施形態に係る貨幣処理装置の内部構造を概略的に示す平面図である。
図2】本発明の一実施形態に係る貨幣処理装置の内部構造を概略的に示す側面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る貨幣処理装置の内部構造を概略的に示す正面図である。
図4】本発明の一実施形態に係る貨幣処理装置を示す制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る一実施形態の貨幣処理装置を図面を参照して以下に説明する。なお、以下の説明において、「前」は前後方向の前側つまり操作者から見て手前側であり、「後」は前後方向の後側つまり操作者から見て奥側であり、「左」は操作者から見て左側であり、「右」は操作者から見て右側である。
【0025】
本実施形態の貨幣処理装置1は、例えば、バラの硬貨を出金する硬貨出金装置であり、両替機にその一部の硬貨払出ユニットとして組み込まれるものである。
【0026】
貨幣処理装置1は、図1図2に示すように、硬貨を上部から収納すると共に底部側のものから一枚ずつ払い出す金種別の硬貨収納部11A〜11Dを有している。金種別の硬貨収納部11A〜11Dは、全て、図1に示すように左右方向の位置を重ね合わせ、図2に示すように上下方向の位置を重ね合わせて、前後方向に一直線状に並んで設けられている。金種別の硬貨収納部11A〜11Dは、それぞれが他とは異なる単一金種の硬貨を収納する。貨幣処理装置1は、両替機の硬貨払出ユニットを構成するものであり、釣銭として使用される4金種(例えば、1円、5円、10円、100円)を払い出すために、4つの硬貨収納部11A〜11Dが設けられている。
【0027】
金種別の硬貨収納部11A〜11Dは、同様の構成となっている。硬貨収納部11Aは、図1図3に示すように、上部開口部12Aとこれよりも狭い下部開口部13Aとを有して下方に窄まる形状をなす筒状のホッパ部14Aと、ホッパ部14Aの下部開口部13Aを閉塞するように設けられた回転円板15Aとを有している。硬貨収納部11Aは、硬貨をその上部であるホッパ部14Aの上部開口部12Aから収納する。ホッパ部14Aに、その上部開口部12Aから投入された硬貨は、ホッパ部14A内で回転円板15A上に収納される。
【0028】
ホッパ部14Aの下端部の所定位置には、図示は略すが回転円板15Aとの間に硬貨一枚が通過できる隙間が形成されており、ホッパ部14Aに収納された硬貨は回転円板15Aの回転による遠心力でこの隙間を通過して一枚ずつ繰り出される。繰り出された硬貨は、図1図3に示す硬貨通路16Aで搬送されることになる。硬貨通路16Aには、硬貨通路16Aで搬送される硬貨の一枚ずつの通過及び停止を切り替えると共に通過する硬貨を計数する繰出部17Aが設けられている。
【0029】
回転円板15A、硬貨通路16A及び繰出部17Aは、硬貨収納部11Aの底部に配置されており、よって、硬貨収納部11Aは、硬貨をその底部側のものから一枚ずつ払い出す。硬貨収納部11Aは、回転円板15Aを駆動する図4に示す払出駆動部18A及び回転円板15A上の硬貨の有無を検知する図4に示す硬貨検知センサ19Aを更に有している。
【0030】
同様に、硬貨収納部11Bは、図1に示す上部開口部12B及び下部開口部13Bを有するホッパ部14Bと回転円板15Bと硬貨通路16Bと繰出部17Bと、図4に示す払出駆動部18Bと硬貨検知センサ19Bとを有している。同様に、硬貨収納部11Cは上部開口部12C及び下部開口部13Cを有するホッパ部14Cと回転円板15Cと硬貨通路16Cと繰出部17Cと払出駆動部18Cと硬貨検知センサ19Cとを有しており、硬貨収納部11Dは上部開口部12D及び下部開口部13Dを有するホッパ部14Dと回転円板15Dと硬貨通路16Dと繰出部17Dと払出駆動部18Dと硬貨検知センサ19Dとを有している。
【0031】
図1図2に示すように、金種別の硬貨収納部11A〜11Dの前方、つまり硬貨収納部11Aの前方には、硬貨を上部開口部22から受け入れて収納する箱状のリジェクト収納部21が設けられている。
【0032】
図1に示すように、金種別の硬貨収納部11A〜11Dは、いずれも硬貨通路16A〜16Dがホッパ部14A〜14Dから左方に延出している。貨幣処理装置1には、これらの硬貨通路16A〜16Dの末端位置を結ぶように前後方向に延びる帯板状のフラッパ25が設けられている。
【0033】
フラッパ25は、図1に示すように硬貨通路16A〜16Dに近接してこれらから硬貨を受け取り可能となる閉位置(図3に実線で示す)と、この閉位置にあるときに硬貨通路16A〜16Dとは反対側となる端部の支持軸26を中心に上方に回動して硬貨通路16A〜16Dから離間する開位置(図3に二点鎖線で示す)とに回動可能となっている。フラッパ25は、開位置にあるとき、硬貨通路16A〜16Dから硬貨を受け取り不可となる。支持軸26を含むフラッパ25と、フラッパ25を回動させて閉位置と開位置とに切り替える図4に示す開閉駆動部27とが、金種別の硬貨収納部11A〜11Dから繰り出された硬貨を二方向に振り分ける振分部28を構成している。閉位置にあるフラッパ25を開位置に位置させるとき、支持軸26を中心に下方に回動させるようにしても良い。
【0034】
フラッパ25は、図3に実線で示すように閉位置にあるとき左下がりに傾斜しており、その金種別の硬貨収納部11A〜11Dとは反対側には、出金搬送部31が設けられている。出金搬送部31は、図1に示すようにフラッパ25と同様に前後方向に延びている。振分部28は、そのフラッパ25が閉位置にあるとき、金種別の硬貨収納部11A〜11Dから払い出された硬貨を出金搬送部31に搬送する。このため、振分部28は金種別の硬貨収納部11A〜11Dと出金搬送部31との間に設けられている。
【0035】
出金搬送部31は、金種別の硬貨収納部11A〜11Dから払い出された硬貨を前方に向けて搬送する。出金搬送部31は、前後方向に延設され、金種別の硬貨収納部11A〜11Dから繰り出された硬貨を振分部28のフラッパ25から受け入れるベルトコンベア32と、ベルトコンベア32の前端部上方に設けられて硬貨を一枚ずつに分離する分離ローラ33と、ベルトコンベア32及び分離ローラ33を駆動する図4に示す出金搬送駆動部34を有している。図1に示すように、振分部28は、より具体的には、そのフラッパ25が、金種別の硬貨収納部11A〜11Dの硬貨通路16A〜16Dと出金搬送部31のベルトコンベア32との間に設けられている。
【0036】
出金搬送部31のベルトコンベア32の前方には、ベルトコンベア32で搬送されてきた硬貨をその前端位置から受け入れて外部に取り出し可能とする出金口41が設けられている。つまり、出金口41は、出金搬送部31で前方に搬送された硬貨を受け入れて外部に取り出し可能とする。出金口41は底部に底部シャッタ42が設けられており、底部シャッタ42は図4に示す底部シャッタ駆動部43で駆動されて開閉する。底部シャッタ42は図1図3に示す閉状態が待機状態となっている。出金口41は底部シャッタ42が開かれると硬貨を落下させることになり、出金口41の下側には、このように出金口41から落下する硬貨を収納する箱状の出金回収部45が設けられている。
【0037】
図1図2に示すように、出金搬送部31と出金口41との間には、出金搬送部31から出金口41に向け放出される硬貨を通過させる識別部51が設けられている。識別部51は、通過する硬貨を識別及び計数する。つまり、識別部51は、金種別の硬貨収納部11A〜11Dから払い出された硬貨を、出金搬送部31による出金口41への搬送過程で識別及び計数する。識別部51による硬貨の識別は、いずれの金種の硬貨であるかを検出する金種識別である。
【0038】
図2に示すように、金種別の硬貨収納部11A〜11Dの下側には、補充硬貨収納部11Eが設けられている。補充硬貨収納部11Eは、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのそれぞれと同様の構成となっている。補充硬貨収納部11Eは、図3に示す上部開口部12E及び下部開口部13Eを有するホッパ部14Eと回転円板15Eと硬貨通路16Eと繰出部17Eと、図4に示す払出駆動部18Eと硬貨検知センサ19Eとを有している。図3に示すように、補充硬貨収納部11Eは、ホッパ部14Eからの硬貨通路16Eの延出方向が右方となっており、ホッパ部14A〜14Dからの硬貨通路16A〜16Dの延出方向とは反対向きとなっている。
【0039】
補充硬貨収納部11Eは、硬貨をその上部であるホッパ部14Eの上部開口部12Eから収納すると共に、収納している硬貨を底部側のものから、回転円板15Eと硬貨通路16Eと繰出部17Eとによって一枚ずつ払い出す。補充硬貨収納部11Eの硬貨通路16Eの末端位置には、補充硬貨収納部11Eから払い出された硬貨を通過させる判別部55が設けられている。判別部55は、通過する硬貨を判別及び計数する。判別部55は、補充硬貨収納部11Eに、これと一体に移動するように設けられており、補充硬貨収納部11Eから払い出される過程の硬貨を判別する。判別部55による硬貨の判別は、いずれの金種の硬貨であるかを検出する金種判別である。
【0040】
図2に示すように、補充硬貨収納部11Eの下側には、補充硬貨収納部11Eを前後方向に移動させる収納部移動機構61が設けられている。収納部移動機構61は、補充硬貨収納部11Eの下側で前後方向に延びるベルトコンベア62と、ベルトコンベア62を駆動する図4に示す前後移動駆動部63とを有しており、図2に示すようにベルトコンベア62に補充硬貨収納部11Eの下部が固定されている。補充硬貨収納部11Eは、金種別の硬貨収納部11A〜11Dの下側で、前後方向に移動可能に設けられている。
【0041】
補充硬貨収納部11Eは、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのそれぞれに対して、前後方向の位置を重ね合わせることが可能となっている。言い換えれば、補充硬貨収納部11Eは、その移動方向の位置、つまり金種別の硬貨収納部11A〜11Dの配列方向の位置を、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのそれぞれに対して、重ね合わせることが可能となっている。より具体的には、補充硬貨収納部11Eは、そのホッパ部14Eが、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのホッパ部14A〜14Dのそれぞれに対して、前後方向の位置を全体的に重ね合わせることが可能となっている。
【0042】
また、図3に示すように、補充硬貨収納部11Eは、金種別の硬貨収納部11A〜11Dに対して、左右方向の位置を一部重ね合わせている。より具体的には、補充硬貨収納部11Eは、そのホッパ部14Eが、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのホッパ部14A〜14Dに対して、左右方向の位置を常に一定させており、一部重ね合わせている。ホッパ部14Eは、ホッパ部14A〜14Dに対して、左右方向の位置が出金搬送部31側にずれている。ただし、ホッパ部14Eのホッパ部14A〜14Dに対する左右方向のずれ量は、左右方向の重なり量よりも小さくなっている。
【0043】
以上により、補充硬貨収納部11Eは、図2に示す金種別の硬貨収納部11A〜11Dのそれぞれに対して、鉛直方向に見て重なり合うことが可能であり、言い換えれば、鉛直下方(真下)に位置することが可能となっている。逆に言えば、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのそれぞれは、補充硬貨収納部11Eに対して鉛直上方(真上)に位置することが可能となっている。補充硬貨収納部11Eは、リジェクト収納部21に対しても、その鉛直下方(真下)に位置することが可能となっている。
【0044】
収納部移動機構61は、補充硬貨収納部11Eを、その左右方向の位置が金種別の硬貨収納部11A〜11D及びリジェクト収納部21と重なり合う状態で前後に移動させる。収納部移動機構61は、補充硬貨収納部11Eを、これが図2に実線で示すように硬貨収納部11Aに対して前後方向の位置が重なり合ってその鉛直下方つまり真下に位置する状態と、硬貨収納部11Bに対して前後方向の位置が重なり合ってその鉛直下方つまり真下に位置する状態と、硬貨収納部11Cに対して前後方向の位置が重なり合ってその鉛直下方つまり真下に位置する状態と、硬貨収納部11Dに対して前後方向の位置が重なり合ってその鉛直下方つまり真下に位置する状態と、リジェクト収納部21に対して前後方向の位置が重なり合ってその鉛直下方つまり真下に位置する状態と、に切り替える。
【0045】
収納部移動機構61は、図2に実線で示すように補充硬貨収納部11Eが硬貨収納部11Aの鉛直下方に位置することを検知する図4に示す位置センサ64Aと、同様に、補充硬貨収納部11Eが硬貨収納部11Bの鉛直下方に位置することを検知する位置センサ64Bと、補充硬貨収納部11Eが硬貨収納部11Cの鉛直下方に位置することを検知する位置センサ64Cと、補充硬貨収納部11Eが硬貨収納部11Dの鉛直下方に位置することを検知する位置センサ64Dと、補充硬貨収納部11Eがリジェクト収納部21の鉛直下方に位置することを検知する位置センサ64Eとを有している。
【0046】
図3に示すように、閉位置にあるフラッパ25の下側には、シュート67が設けられている。シュート67は、図2に示すように、硬貨収納部11Aと前後方向の位置が重なり合う案内部68Aと、硬貨収納部11Bと前後方向の位置が重なり合う案内部68Bと、硬貨収納部11Cと前後方向の位置が重なり合う案内部68Cと、硬貨収納部11Dと前後方向の位置が重なり合う案内部68Dと、を有している。図3に示すように、シュート67は、下端部の左右方向の位置が補充硬貨収納部11Eのホッパ部14Eと重なり合っている。
【0047】
ここで、金種別の硬貨収納部11A〜11Dの硬貨通路16A〜16Dと出金搬送部31のベルトコンベア32との間に設けられた振分部28のフラッパ25を図3に二点鎖線で示すように開位置にし、補充硬貨収納部11Eを硬貨収納部11Aの鉛直下方に位置させた状態で、硬貨収納部11Aから硬貨を払い出させると、硬貨収納部11Aの繰出部17Aによって硬貨通路16Aから繰り出された硬貨は、自然落下して、金種別の硬貨収納部11A〜11Dの硬貨通路16A〜16Dと出金搬送部31のベルトコンベア32との間を通り、シュート67の図2に示す案内部68Aを通過して、補充硬貨収納部11Eのホッパ部14E内に上部開口部12Eから入る。このとき、図3に二点鎖線で示すように上方に回動したフラッパ25は、硬貨収納部11Aから払い出された硬貨を、その出金搬送部31への移動を規制しつつシュート67の案内部68Aに案内する。
【0048】
同様に、フラッパ25を開位置にし、補充硬貨収納部11Eを硬貨収納部11Bの鉛直下方に位置させた状態で、硬貨収納部11Bから硬貨を払い出させると、硬貨収納部11Bから払い出された硬貨は、シュート67の案内部68Bで案内されて、補充硬貨収納部11Eのホッパ部14E内に自然落下する。また、フラッパ25を開位置にし、補充硬貨収納部11Eを硬貨収納部11Cの鉛直下方に位置させた状態で、硬貨収納部11Cから硬貨を払い出させると、硬貨収納部11Cから払い出された硬貨は、シュート67の案内部68Cで案内されて、補充硬貨収納部11Eのホッパ部14E内に自然落下する。また、フラッパ25を開位置にし、補充硬貨収納部11Eを硬貨収納部11Dの鉛直下方に位置させた状態で、硬貨収納部11Dから硬貨を払い出させると、硬貨収納部11Dから払い出された硬貨は、シュート67の案内部68Dで案内されて、補充硬貨収納部11Eのホッパ部14E内に自然落下する。
【0049】
つまり、振分部28は、開位置にあると、金種別の硬貨収納部11A〜11Dから払い出された硬貨を金種別の硬貨収納部11A〜11Dと出金搬送部31との間から自由落下させることになり、その際に、補充硬貨収納部11Eが金種別の硬貨収納部11A〜11Dのうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置した状態では、当該所定の硬貨収納部からの硬貨を補充硬貨収納部11Eに収納させる。
【0050】
補充硬貨収納部11Eには、補充搬送部71が、これと一体に移動するように設けられている。補充搬送部71は、補充硬貨収納部11Eから一枚ずつに分離されて払い出された硬貨を判別部55の通過後に受け入れて、上方へ向けて搬送し、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのうち補充硬貨収納部11Eの鉛直上方に位置する硬貨収納部の上部に受け渡す。補充搬送部71は、図3に示すように、上下方向に延在するように配置されるベルトコンベア72と、ベルトコンベア72の補充硬貨収納部11Eとは反対側にベルトコンベア72に沿って設けられたガイド73と、ベルトコンベア72の上端位置に配置されたシュート74と、ベルトコンベア72を駆動する図4に示す補充搬送駆動部75とを有している。
【0051】
図3に示すように、ベルトコンベア72は、無端ベルト77と、無端ベルト77の外周部から外方に突出する複数の係止片78とを有しており、複数の係止片78は無端ベルト77の周方向に等ピッチで配置されている。ベルトコンベア72は、補充硬貨収納部11Eから払い出され判別部55で判別された硬貨を一枚ずつ、下部において隣り合う係止片78と係止片78との間に受け入れ、これらのうちの回転方向後側の係止片78と無端ベルト77とガイド73とで支持して、上方に搬送し、無端ベルト77の上端部からシュート74で、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのうち補充硬貨収納部11Eの鉛直上方に位置するものの上部開口部に向け放出する。
【0052】
貨幣処理装置1は、その全体を制御する図4に示す制御部90を有している。制御部90は、繰出部17A〜17E、払出駆動部18A〜18E、硬貨検知センサ19A〜19E、開閉駆動部27、出金搬送駆動部34、底部シャッタ駆動部43、識別部51、判別部55、前後移動駆動部63、位置センサ64A〜64E及び補充搬送駆動部75に通信可能に接続されている。制御部90には、操作者の操作を受け付けると共に操作者に表示を行う操作表示部91も通信可能に接続されている。
【0053】
補充搬送部71及び判別部55が一体移動可能に連結された補充硬貨収納部11Eと、収納部移動機構61と、硬貨収納部11A〜11Dとは、貨幣処理装置1の筐体100に対して、一体的に後方に引き出し可能に設けられている。よって、これらが一体的に筐体100に対して後方に引き出されると、硬貨収納部11A〜11D及び補充硬貨収納部11Eは、外部からのアクセスが可能となる。また、補充搬送部71及び判別部55が一体移動可能に設けられた補充硬貨収納部11Eと、収納部移動機構61とは、図2に二点鎖線で示すように、補充硬貨収納部11Eが収納部移動機構61の後端に位置する状態で、硬貨収納部11A〜11Dとは別に、筐体100から単独で後方に引き出し可能となっている。よって、硬貨収納部11A〜11Dを筐体100内に配置した状態のまま、補充硬貨収納部11Eを筐体100から後方に引き出すことができる。この状態では、硬貨収納部11A〜11Dの外部からのアクセスを規制した状態のまま、補充硬貨収納部11Eへの外部からのアクセスが可能となる。
【0054】
つまり、補充硬貨収納部11Eは、筐体100に対して、金種別の硬貨収納部11A〜11Dと一体で後方に引き出し可能であり、金種別の硬貨収納部11A〜11Dとは別に単独でも後方に引き出し可能となっている。筐体100には、出金口41を覆う閉状態と、出金口41を露出させる開状態とに切り替えられる外部シャッタ105とこれを開閉駆動する図4に示す外部シャッタ駆動部106とが設けられており、外部シャッタ駆動部106も制御部90に通信可能に接続されている。外部シャッタ105は閉状態が待機状態となっている。
【0055】
次に、本実施形態の貨幣処理装置1の各種処理について説明する。
【0056】
「出金処理」
制御部90は、出金硬貨の金種別の枚数を含む出金動作指令を受け付けると、この出金動作指令に基づいて、金種別の硬貨収納部11A〜11Dから硬貨を払い出し、払い出した硬貨を出金搬送部31で出金口41へ向けて搬送する出金処理を行う。例えば、全ての硬貨収納部11A〜11Dから硬貨を払い出す場合、出金搬送部31の出金搬送駆動部34でベルトコンベア32及び分離ローラ33を回転させると共に、振分部28のフラッパ25が閉位置になければ、開閉駆動部27によりフラッパ25を閉位置に位置させて、硬貨収納部11A〜11Dの払出駆動部18A〜18Dで回転円板15A〜15Dを回転させる。そして、制御部90は、繰出部17A〜17Dによって、それぞれ出金動作指令に含まれる枚数の硬貨を硬貨通路16A〜16Dから繰り出させる。繰出部17A〜17Dのそれぞれは、出金動作指令に含まれる対応金種の枚数の硬貨を計数すると、硬貨の繰り出しを停止する。制御部90は、繰出部17A〜17Dで硬貨通路16A〜16Dから出金搬送部31のベルトコンベア32に繰り出されて出金口41へ向けて搬送された硬貨が全て識別部51で識別され、識別部51で識別された硬貨の金種別の枚数が出金動作指令に含まれる金種別の枚数と一致することが確認されると、出金搬送駆動部34によるベルトコンベア32及び分離ローラ33の回転を停止させる。
【0057】
識別部51で識別された硬貨の金種別の枚数が出金動作指令に含まれる金種別の枚数と一致すると、制御部90は、外部シャッタ駆動部106で外部シャッタ105を開く。これにより、出金口41から硬貨が取り出し可能となる。他方、識別部51で識別された硬貨の金種別の枚数が出金動作指令に含まれる金種別の枚数と不一致であると、制御部90は、外部シャッタ105を開くことなく、底部シャッタ駆動部43で底部シャッタ42を開く。これにより、出金口41の硬貨が出金回収部45に収納される。その後、制御部90は、底部シャッタ42を閉じてから出金処理をやり直す。
【0058】
「補充処理」
制御部90は、補充金種を含む補充動作指令を受け付けると、先ず、収納部移動機構61によって、補充硬貨収納部11Eを、位置センサ64Dで検出される後端位置まで移動させて硬貨収納部11Dの鉛直下方に配置する。この状態で、補充硬貨収納部11Eの筐体100からの引き出しを可能とする。補充硬貨収納部11Eが図2に二点鎖線で示すように筐体100から引き出されて補充硬貨収納部11Eに補充用の基本的には補充金種の硬貨が投入されて、補充硬貨収納部11Eが筐体100に押し込まれると、制御部90は、収納部移動機構61によって、補充硬貨収納部11Eを、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのうちの補充動作指令に含まれる補充金種のものの鉛直下方に移動させる。
【0059】
例えば、補充金種の硬貨を収納するものが硬貨収納部11Aである場合、制御部90は、収納部移動機構61によって、補充硬貨収納部11Eを、位置センサ64Aで検出される位置まで移動させて図2に実線で示すように硬貨収納部11Aの鉛直下方に配置する。そして、制御部90は、補充硬貨収納部11Eの払出駆動部18E及び補充搬送部71の補充搬送駆動部75を駆動する。すると、回転円板15Eが回転して硬貨を繰出部17Eで計数しつつ硬貨通路16Eから繰り出す。硬貨通路16Eから繰り出された硬貨を判別部55で判別及び計数し、判別部55で正常と判別された金種の硬貨を補充搬送部71によって硬貨収納部11Aに搬送する。つまり、ベルトコンベア72が回転することで無端ベルト77と係止片78とガイド73とで支持しながら硬貨を上昇させ、ベルトコンベア72の上端位置からシュート74で硬貨収納部11Aに落下させる。つまり、制御部90は、補充金種を含む補充動作指令に基づいて、補充硬貨収納部11Eが金種別の硬貨収納部11A〜11Dのうち所定の補充金種の硬貨収納部11Aの鉛直下方に位置した状態で、補充硬貨収納部11Eから硬貨を払い出し、判別部55で正常と判定された硬貨を補充搬送部71で搬送して所定の補充金種の硬貨収納部11Aに収納する補充処理を行う。
【0060】
ここで、制御部90は、判別部55で、補充金種以外の硬貨を含む正常と判別されなかった硬貨があると、この硬貨を、正常と判別された硬貨の計数値に含めることなく、また、繰出部17Eによって、この硬貨より後の硬貨の繰り出しを停止させて、補充硬貨収納部11Eの払出駆動部18Eを停止させる。そして、制御部90は、この正常と判別されなかった硬貨よりも前の硬貨が硬貨収納部11Aに向け落下するのに必要な時間が経過すると、補充搬送部71の補充搬送駆動部75を停止させる。この状態で、補充搬送部71には、正常と判別されなかった硬貨のみが残ることになり、制御部90は、収納部移動機構61によって、補充硬貨収納部11Eを、位置センサ64Eで検出される位置まで移動させてリジェクト収納部21の鉛直下方に位置させる。そして、制御部90は、補充搬送部71の補充搬送駆動部75を駆動して、正常と判別されなかった硬貨を、リジェクト収納部21へ搬送する。つまり、ベルトコンベア72が回転することで、正常と判別されなかった硬貨をベルトコンベア72の上端位置からシュート74でリジェクト収納部21に落下させる。これにより、リジェクト収納部21は、判別部55で正常と判別されなかった硬貨を補充搬送部71から受け入れて収納する。
【0061】
正常と判別されなかった硬貨をリジェクト収納部21に収納するのに必要な時間が経過すると、制御部90は、収納部移動機構61によって、補充硬貨収納部11Eを、位置センサ64Aで検出される位置まで戻して硬貨収納部11Aの鉛直下方に配置する。その後、補充硬貨収納部11Eの払出駆動部18E及び補充搬送部71の補充搬送駆動部75を駆動する。すると、回転円板15Eが回転し繰出部17Eが硬貨を計数しつつ硬貨通路16Eから繰り出させる。硬貨通路16Eから繰り出された硬貨を判別部55で判別及び計数し、判別部55で正常と判別された金種の硬貨を上記と同様に硬貨収納部11Aに搬送する一方、正常と判別されなかった硬貨を上記と同様にリジェクト収納部21に搬送する。
【0062】
以上を適宜繰り返すことにより、補充硬貨収納部11Eに硬貨がなくなったことが硬貨検知センサ19Eで検知されると、制御部90は、判別部55で最後に判別された硬貨が、硬貨収納部11A或いはリジェクト収納部21に収納されるのに必要な時間が経過するのを待って補充処理を終了する。なお、他の硬貨収納部11B〜11Dに硬貨を補充する場合も同様である。
【0063】
ここで、上記した出金処理と補充処理とは、それぞれ単独で行うことが可能であり、両方を並行して行うことも可能となっている。
【0064】
「硬貨精査処理」
制御部90は、精査金種を含む自己計数指令を受け付けると、自己計数指令に基づいて、補充硬貨収納部11Eが空であることを条件に、補充硬貨収納部11Eが金種別の硬貨収納部11A〜11Dのうち所定の精査金種の硬貨収納部の鉛直下方に位置した状態で、当該所定の硬貨収納部から硬貨を一旦全て払い出して補充硬貨収納部11Eに自然落下させて収納させる。つまり、制御部90は、補充硬貨収納部11Eが空であることを硬貨検知センサ19Eで検知すると、振分部28のフラッパ25が開位置になければ、開閉駆動部27によりフラッパ25を開位置に位置させ、収納部移動機構61によって、補充硬貨収納部11Eを、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのうちの自己計数指令に含まれる精査金種のものの鉛直下方に移動させる。
【0065】
例えば、精査金種の硬貨を収納しているものが硬貨収納部11Aである場合、制御部90は、収納部移動機構61によって、補充硬貨収納部11Eを、位置センサ64Aで検出される位置まで移動させて図2に実線で示すように硬貨収納部11Aの鉛直下方に配置する。そして、硬貨収納部11Aの払出駆動部18Aで回転円板15Aを回転させ、繰出部17Aで硬貨通路16Aから硬貨を繰り出させる。すると、硬貨収納部11Aに収納されていた硬貨が、出金搬送部31と硬貨収納部11A〜11Dとの間から自由落下して、シュート67の案内部68Aを通って、硬貨収納部11Aの鉛直下方に位置する補充硬貨収納部11Eに収納される。
【0066】
硬貨検知センサ19Aが硬貨収納部11Aに硬貨がなくなったことを検知し、その後、繰出部17Aによって硬貨通路16Aから最後に繰り出された硬貨が補充硬貨収納部11Eに収納されるのに必要な時間が経過すると、制御部90は、図3に示すように、硬貨収納部11Aの払出駆動部18Aを停止させて、補充硬貨収納部11Eの払出駆動部18E及び補充搬送部71の補充搬送駆動部75を駆動する。すると、回転円板15Eが回転し繰出部17Eが硬貨を計数しつつ硬貨通路16Eから繰り出させる。硬貨通路16Eから繰り出された硬貨を判別部55で判別及び計数し、判別部55で正常と判別された金種の硬貨を補充搬送部71によって、硬貨収納部11Aに搬送する。つまり、ベルトコンベア72が回転することで無端ベルト77と係止片78とガイド73とで支持しながら硬貨を上昇させ、ベルトコンベア72の上端位置からシュート74で硬貨収納部11Aに落下させる。つまり、制御部90は、硬貨収納部11Aの全ての硬貨を一旦収納した状態の補充硬貨収納部11Eから硬貨を判別部55で判別及び計数しつつ補充搬送部71で搬送して硬貨収納部11Aへ戻す。
【0067】
ここで、制御部90は、判別部55で、精査金種以外の硬貨を含む正常と判別されなかった硬貨があると、この硬貨を、正常と判別された硬貨の計数値に含めることはなく、また、繰出部17Eによって、この硬貨より後の硬貨の繰り出しを停止させると共に補充硬貨収納部11Eの払出駆動部18Eを停止させる。そして、制御部90は、この正常と判別されなかった硬貨よりも前の硬貨が硬貨収納部11Aに向け落下するのに必要な時間が経過すると、補充搬送部71の補充搬送駆動部75を停止させる。この状態で、補充搬送部71には、正常と判別されなかった硬貨のみが残ることになり、制御部90は、収納部移動機構61によって、補充硬貨収納部11Eを、位置センサ64Eで検出される位置まで移動させてリジェクト収納部21の鉛直下方に位置させる。そして、制御部90は、補充搬送部71の補充搬送駆動部75を駆動して、正常と判別されなかった硬貨を、リジェクト収納部21へ搬送する。つまり、ベルトコンベア72が回転することで、正常と判別されなかった硬貨をベルトコンベア72の上端位置からシュート74でリジェクト収納部21に落下させる。これにより、リジェクト収納部21は、判別部55で正常と判別されなかった硬貨を補充搬送部71から受け入れて収納する。
【0068】
正常と判別されなかった硬貨をリジェクト収納部21に収納するのに必要な時間が経過すると、制御部90は、収納部移動機構61によって、補充硬貨収納部11Eを、位置センサ64Aで検出される位置まで戻して硬貨収納部11Aの鉛直下方に配置する。その後、補充硬貨収納部11Eの払出駆動部18E及び補充搬送部71の補充搬送駆動部75を駆動する。すると、回転円板15Eが回転して繰出部17Eが硬貨を計数しつつ硬貨通路16Eから繰り出させる。硬貨通路16Eから繰り出された硬貨を判別部55で判別及び計数し、判別部55で正常と判別された金種の硬貨を上記と同様に硬貨収納部11Aに搬送する一方、正常と判別されなかった硬貨を上記と同様にリジェクト収納部21に搬送する。
【0069】
以上を適宜繰り返すことにより、補充硬貨収納部11Eに硬貨がなくなったことが硬貨検知センサ19Eで検知されると、制御部90は、判別部55で最後に判別された硬貨が、硬貨収納部11A或いはリジェクト収納部21に収納されるのに必要な時間が経過するまで待って精査処理を終了する。精査処理中に判別部55で正常と判別された硬貨の枚数が、硬貨収納部11Aの硬貨の枚数となる。なお、他の硬貨収納部11B〜11Dを精査処理する場合も同様である。
【0070】
本実施形態の貨幣処理装置1によれば、金種別の硬貨収納部11A〜11Dが硬貨を底部側のものから払い出すと、払い出された硬貨を出金搬送部31が搬送しその過程で識別部51が識別して出金口41に払い出す。一方で、補充硬貨収納部11Eが硬貨を底部側のものから判別部55で判別しつつ払い出すと、払い出された硬貨を補充搬送部71が上方へ向けて搬送し、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのうち、その鉛直上方に位置する硬貨収納部の上部に受け渡す。これにより、金種別の硬貨収納部11A〜11Dから出金口41に硬貨を搬送する出金のためのルートと、補充硬貨収納部11Eから金種別の硬貨収納部11A〜11Dに硬貨を搬送する補充のためのルートとを別のルートにできるため、出金処理と補充処理とを並行して行うことができる。また、補充硬貨収納部11Eが前後方向に移動可能に設けられており、金種別の硬貨収納部11A〜11Dのうち、鉛直上方に位置する硬貨収納部に補充搬送部71によって硬貨を直接搬送することができるので、従来よりも硬貨の搬送距離が短くなり、硬貨の搬送時間が短縮されることから、補充のための処理時間を短縮することができる。
【0071】
しかも、出金処理と補充処理とをそれぞれ単独で行ったり、並行して行ったりすることができる。
【0072】
また、空の補充硬貨収納部11Eが金種別の硬貨収納部11A〜11Dのうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置した状態で、当該所定の硬貨収納部から硬貨を一旦全て払い出して補充硬貨収納部11Eに自然落下させて収納させて、当該所定の硬貨収納部を空の状態にした後に、補充硬貨収納部11Eから硬貨を判別部55で判別しつつ補充搬送部71で搬送して当該所定の硬貨収納部へ戻すことにより、当該所定の硬貨収納部について精査処理を行うことができる。このように空の補充硬貨収納部11Eが金種別の硬貨収納部11A〜11Dのうち所定の硬貨収納部の鉛直下方に位置することができるので、補充硬貨収納部11Eから硬貨収納部に硬貨を戻す際の硬貨の搬送距離も、従来より短くなり、硬貨の搬送時間が短縮されることから、精査のための処理時間を短縮することができる。
【0073】
また、金種別の硬貨収納部11A〜11Dの末端の硬貨通路16A〜16Dと出金搬送部31のベルトコンベア32との間に設けられた振分部28のフラッパ25が、閉位置にあるとき、金種別の硬貨収納部11A〜11Dから払い出された硬貨を出金搬送部31に搬送する一方、開位置にあるとき、金種別の硬貨収納部11A〜11Dから払い出された硬貨を硬貨収納部11A〜11Dと出金搬送部31との間から自由落下させ、硬貨を払い出した硬貨収納部の鉛直下方に位置する補充硬貨収納部11Eに収納させる。このように開閉する振分部28で硬貨を振り分けることから、構造が簡素となる。
【0074】
また、補充硬貨収納部11Eから払い出される際に判別部55で正常と判別された金種の硬貨を、補充搬送部71によって、補充硬貨収納部11Eの鉛直上方の硬貨収納部へ搬送し、当該金種以外の硬貨を含む正常と判別されなかった硬貨をリジェクト収納部21へ搬送するため、正常と判別されなかった硬貨があっても処理を停止することなく続けることができる。
【0075】
また、筐体100に対して、補充硬貨収納部11Eを、金種別の硬貨収納部11A〜11Dと一体で後方に引き出して補充のための硬貨を投入することができ、補充硬貨収納部11Eを、金種別の硬貨収納部11A〜11Dとは別に単独で後方に引き出して補充のための硬貨を投入することができるため、補充のための硬貨の投入作業が容易となる。また、金種別の硬貨収納部11A〜11Dが出金処理中でも、補充硬貨収納部11Eに補充のための硬貨の投入が可能となる。
【0076】
以上の実施形態においては、貨幣処理装置1が両替機にその一部の硬貨払出ユニットとして組み込まれる場合を例にとり説明したが、硬貨を出金する装置であれば、両替機以外にも適用可能である。つまり、硬貨を入出金する装置や、硬貨及び紙幣を出金する装置、硬貨及び紙幣を入出金する装置にも適用可能である。
【0077】
以上の実施形態においては、貨幣処理装置1が両替機にその一部の硬貨払出ユニットとして組み込まれる場合を例にとり説明したため、4つの金種別の硬貨収納部11A〜11Dを有しているが、硬貨収納部の数は、これに限定されるものではない。例えば、全金種の硬貨の出金が可能な貨幣出金機のバラ硬貨出金ユニットに適用する場合、1円硬貨用、5円硬貨用、10円硬貨用、50円硬貨用、100円硬貨用及び500円硬貨用の6個の硬貨収納部が設けられることになる。この場合、これら6個の硬貨収納部を前後方向に並べて配置して、これらの下側で補充硬貨収納部を前後移動可能にすれば、6個の金種別の硬貨収納部のそれぞれへの補充処理、及び、6個の金種別の硬貨収納部のそれぞれの精査処理が可能となる。また、例えば、出納機等のバラ硬貨出金ユニットに適用する場合、6個の硬貨収納部に加えて、汚損硬貨と判断された硬貨を金種混合で収納する1個の硬貨収納部を設けることも可能である。この場合、これら6個の硬貨収納部及び1個の金種混合の硬貨収納部を前後方向に並べて配置して、これらの下側で補充硬貨収納部を前後移動可能にすれば、6個の金種別の硬貨収納部のそれぞれへの補充処理、及び、6個の金種別の硬貨収納部及び1個の金種混合の硬貨収納部のそれぞれの精査処理が可能となる。
【0078】
なお、貨幣処理装置1は、ベルトコンベア72の上端位置に、硬貨検出センサを設けるようにしても良い。制御部90は、判別部55を通過した硬貨の数と、硬貨検出センサで検出した硬貨の数とが一致したことで、判別部55を通過した硬貨が硬貨収納部11A〜11Dやリジェクト収納部21等の収納部の何れかに収納されたことを認識できる。つまり、補充処理や硬貨精査処理などにおいて判別部55で正常と判別されなかった硬貨があると判断された場合、ベルトコンベア72内の正常と判別されなかった硬貨よりも前の硬貨が硬貨収納部に向け落下したことを確実に認識でき、正常と判別されなかった硬貨がリジェクト収納部21に収納したことを確実に認識できる。これにより、各種硬貨が各種収納部に収納されたタイミングをより確実に把握することができるので、各種硬貨が各種収納部に収納された直後に補充搬送部71の補充搬送駆動部75を停止させてベルトコンベア72を停止させることができ、処理時間を短縮することができる。
【符号の説明】
【0079】
1…貨幣処理装置、11A〜11D…硬貨収納部、11E…補充硬貨収納部、21…リジェクト収納部、28…振分部、31…出金搬送部、41…出金口、51…識別部、55…判別部、71…補充搬送部、100…筐体
図1
図2
図3
図4