(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6700901
(24)【登録日】2020年5月8日
(45)【発行日】2020年5月27日
(54)【発明の名称】柑橘類果汁含有飲料
(51)【国際特許分類】
A23L 2/02 20060101AFI20200518BHJP
A23L 2/00 20060101ALI20200518BHJP
【FI】
A23L2/02 B
A23L2/00 B
【請求項の数】4
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2016-65037(P2016-65037)
(22)【出願日】2016年3月29日
(65)【公開番号】特開2017-175967(P2017-175967A)
(43)【公開日】2017年10月5日
【審査請求日】2018年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087398
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 勝文
(74)【代理人】
【識別番号】100128783
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 真
(74)【代理人】
【識別番号】100128473
【弁理士】
【氏名又は名称】須澤 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100160886
【弁理士】
【氏名又は名称】久松 洋輔
(74)【代理人】
【識別番号】100180699
【弁理士】
【氏名又は名称】成瀬 渓
(72)【発明者】
【氏名】春成 亜紀子
(72)【発明者】
【氏名】池上 有希子
【審査官】
野村 英雄
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−117063(JP,A)
【文献】
特表2006−501803(JP,A)
【文献】
特開2015−130845(JP,A)
【文献】
特開昭59−187768(JP,A)
【文献】
特表2010−521165(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/186084(WO,A1)
【文献】
特開2011−167170(JP,A)
【文献】
KAPPES, S.M., et al.,"Relationship between physical properties and sensory attributes of carbonated beverages.",JOURNAL OF FOOD SCIENCE,2007年,Vol.72, No.1,pp.S1-S11,doi: 10.1111/j.1750-3841.2006.00205.x
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 2/00−35/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
果汁率が25%以下であり、アルコール飲料でない柑橘類果汁含有飲料であって、
0.1〜3.0g/Lの含有量でリン酸を含有し、且つ
1〜5g/Lの含有量でクエン酸を含有し、
クエン酸の含有量に対するリン酸の含有量の比が0.05〜0.5である柑橘類果汁含有飲料。
【請求項2】
オレンジ類、みかん類、雑柑類、タンゴール・タンゼロ類、ライム類、ユズ類、レモン類、およびグレープフルーツ類からなる群から1種または2種以上選択される柑橘類の果汁を含有する請求項1に記載の柑橘類果汁含有飲料。
【請求項3】
果汁率が25%以下であり、アルコール飲料でない柑橘類果汁含有飲料の後味における収斂味を低減する方法であって、
当該柑橘類果汁含有飲料中に0.1〜3.0g/Lの含有量でリン酸を含有させることを含み、
前記柑橘類果汁含有飲料においてクエン酸の含有量を1〜5g/Lとするとともに、クエン酸の含有量に対するリン酸の含有量の比を0.05〜0.5とすることをさらに含む、
柑橘類果汁含有飲料の後味における収斂味を低減する方法。
【請求項4】
前記柑橘類果汁含有飲料がオレンジ類、みかん類、雑柑類、タンゴール・タンゼロ類、ライム類、ユズ類、レモン類、およびグレープフルーツ類からなる群から1種または2種以上選択される柑橘類の果汁を含有する請求項3に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飲料に関し、特に柑橘類果汁を含有する飲料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からオレンジなどの柑橘類の果汁を含む飲料が広く親しまれている。当該柑橘類果汁含有飲料としては、消費者の多様な好みに応えるために様々な果汁率の飲料が販売されており、例えば果汁率が30%以上である飲料が知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、果汁率が30%以上70%以下であって、リン酸を0.02g/100gの含有量で含有する容器詰果汁含有飲料に関する。特許文献1には、上記の含有量でリン酸を含有することにより容器詰飲料とするための加熱殺菌工程などにより発生するレトルト臭やイモ臭などの異風味を緩和することができ、フレッシュな果汁感のある飲料を提供可能であると記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−167170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、柑橘類果汁含有飲料としては、特許文献1に記載の飲料よりも果汁率が低い飲料も知られている。
本発明は果汁率が25%以下である柑橘類果汁含有飲料において後味がよりすっきりしている飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
果汁率が25%以下である柑橘類果汁含有飲料においては、より高果汁率である飲料と比較して果汁由来の酸味等が不足する傾向がある。本発明者は、果汁率が25%以下である柑橘類果汁含有飲料においてクエン酸を添加し、飲料の酸味を補うことを計画した。しかしながら、発明者は、果汁率が25%以下である柑橘類果汁含有飲料において飲んだ後の口中に残る味(後味)において感じられる収斂味(えぐ味、苦味または渋味と表現できる)が、クエン酸添加によりその含有量が増すことでより目立つようになり、その結果として後味のすっきり感が不足することに気が付いた。
鋭意研究の結果、発明者は、果汁率が25%以下である柑橘類果汁含有飲料において所定含有量のリン酸を含有させることで、後味における収斂味を抑えて後味をよりすっきりできることを見出し、本発明を完成させた。
一方、特許文献1はより高果汁率の飲料に関する文献であり、また、後味におけるクエン酸に由来する収斂味について何ら開示されていない。すなわち、果汁率が25%以下である柑橘類果汁含有飲料を飲んだときの後味における収斂味を抑えることができる方法については何ら示されていない。
【0007】
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1] 果汁率が25%以下である柑橘類果汁含有飲料であって、0.1〜3.0g/Lの含有量でリン酸を含有する柑橘類果汁含有飲料。
[2] 1〜5g/Lの含有量でクエン酸を含有し、クエン酸の含有量に対するリン酸の含有量の比が0.05〜2である[1]に記載の柑橘類果汁含有飲料。
[3] 1〜5g/Lの含有量でクエン酸を含有し、クエン酸の含有量に対するリン酸の含有量の比が0.05〜0.5である[1]または[2]に記載の柑橘類果汁含有飲料。
[4] オレンジ類、みかん類、雑柑類、タンゴール・タンゼロ類、ライム類、ユズ類、レモン類、およびグレープフルーツ類からなる群から1種または2種以上選択される柑橘類の果汁を含有する[1]から[3]のいずれか1つに記載の柑橘類果汁含有飲料。
[5] 果汁率が25%以下である柑橘類果汁含有飲料の後味における収斂味を低減する方法であって、
当該柑橘類果汁含有飲料中に0.1〜3.0g/Lの含有量でリン酸を含有させることを含む、柑橘類果汁含有飲料の後味における収斂味を低減する方法。
[6] 前記柑橘類果汁含有飲料においてクエン酸の含有量を1〜5g/Lとするとともに、クエン酸の含有量に対するリン酸の含有量の比を0.05〜2とすることをさらに含む、[5]に記載の方法。
[7] 前記柑橘類果汁含有飲料がオレンジ類、みかん類、雑柑類、タンゴール・タンゼロ類、ライム類、ユズ類、レモン類、およびグレープフルーツ類からなる群から1種または2種以上選択される柑橘類の果汁を含有する[5]または[6]に記載の方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、果汁率が25%以下である柑橘類果汁含有飲料において後味がよりすっきりしている飲料を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の1つの実施形態について、詳細に説明する。
本実施形態は、飲料における果汁率が25%以下である柑橘類果汁含有飲料に関する。本実施形態の柑橘類果汁含有飲料は、0.1〜3.0g/Lの含有量でリン酸を含有する。
【0010】
本明細書において柑橘類果汁含有飲料とは、柑橘類の果汁を原料として配合した飲料を意味する。
本明細書において、柑橘類の果汁とは、柑橘類を破砕して搾汁したり、あるいは裏ごししたりするなどして得られる液体成分をいう。また、本明細書の柑橘類の果汁には、当該液体成分を濃縮したものや、これらの希釈還元物も含まれる概念である。さらに、本実施形態に係る柑橘類の果汁は、パルプ分を含むもの、または、ろ過や遠心分離等の処理によりパルプ分を除去したもののいずれであってもよい。
【0011】
本明細書において柑橘類とは、ミカン科ミカン亜科に属する植物の果実を意味する。具体的な柑橘類としては、ネーブルオレンジ、バレンシアオレンジ、ブラッドオレンジなどのオレンジ類、うんしゅうみかん、マンダリンオレンジ、ぽんかん、紀州みかん、アンコール、ダンゼリン、コウジ、シークワーサー、タチバナ、不知火などのみかん類、ナツダイダイ、はっさく、ヒュウガナツ、サンボウカン、河内晩柑、キヌカワ、ナルトなどの雑柑類、タンカン、いよかん、マーコット、清見、オーランド、ミネオラ、セミノール等のタンゴール・タンゼロ類、メキシカンライム、タヒチライム等のライム類、リスボンレモン、ユーレカレモン、ディアマンテ、エトローグ等のレモン類、バンペイユ、土佐ブンタン等のブンタン、ダンカン、マーシュ、トムソン、ルビーレッド等のグレープフルーツ類、ゆず、カボス、スダチ、ハナユ、キズ等のユズ類、キンカン、カラタチが挙げられる。このうち、果汁率が25%以下である果汁含有飲料としたときの味(おいしさ)等の観点から、本実施形態においては、オレンジ類、みかん類、雑柑類、タンゴール・タンゼロ類、ライム類、ユズ類、レモン類、およびグレープフルーツ類からなる群から1種または2種以上選択される柑橘類の果汁が含有されることが好ましく、オレンジ類、みかん類、レモン類、グレープフルーツ類、いよかん、ぽんかん、ゆずおよびはっさくからなる群から1種または2種以上選択される柑橘類の果汁が含有されることがより好ましく、オレンジ類および/またはみかん類の果汁が飲料中に含有されることがさらに好ましい。
本実施形態に係る柑橘類果汁の調製に用いることのできる柑橘類について、その品種、産地、熟度、大きさなどは特に限定されず、適宜設定することができる。また、柑橘類果汁として市販のジュースや濃縮ジュース、ペーストなどを用い、本実施形態の柑橘類果汁含有飲料を調製するようにしてもよい。具体的には、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)で指定されたジュースや濃縮ジュースを挙げることができ、例えばこれらのうち1種または2種以上を本実施形態の柑橘類の果汁含有飲料調製のために用いることができる。
【0012】
本実施形態の柑橘類果汁含有飲料における果汁率は25%以下である。また、消費者の嗜好を満足させるために酸味を補うことがより多くあることから、果汁率が23%以下の場合に本実施形態に係る技術が適応されることが好ましく、より好ましくは21%以下である。また、果汁率の下限値については果汁が含まれる限り特に限定されないが、飲料の味(おいしさ)の観点から、1%以上であることが好ましく、5%以上がより好ましく、7%以上であることがさらに好ましい。
ここで、果汁率とは、柑橘類を搾汁して得られ、濃縮等の処理を行っていない柑橘類の搾汁(ストレート果汁)のBrix値または酸度を100%としたときの、相対濃度である。また、本明細書においてBrix値は、JAS規格に基づき、試料の温度(液温度)20℃における糖用屈折計の示度をいう。Brix値の測定は、公知の方法、装置を用いて行うことができる。また、酸度は、100g中に含まれる有機酸量をクエン酸に換算した場合のグラム数(無水クエン酸g/100g)で表すことができる。酸度もまた、JAS規格の酸度測定法で定められた方法、具体的には0.1mol/L水酸化ナトリウム標準液をアルカリ溶液として使用した中和滴定法(定量式)により測定できる。
果汁率をBrix値または酸度のいずれに基づいて算出するかはJAS規格に基づき柑橘類の種類ごとに定められている。また、果汁の果汁率をJAS規格のBrix値に基づいて換算する場合、果汁に加えられた糖類、はちみつ等のBrix値は除いて算出される。
例えば、オレンジについてはBrix値(Bx11°)に基づいて算出することができ、Brix値がBx55°の冷凍濃縮オレンジジュース(Frozen Concentrate Orange Juice, FCOJ)を飲料中4.0重量%配合した場合、20%の果汁率の飲料を得ることができる。
【0013】
本実施形態に係る飲料は、柑橘類の果汁に加えて、0.1〜3.0g/Lの含有量でリン酸を含有している。当該リン酸が添加されて飲料が調製されるとき、酸味料として酸度を高めて酸味を補うことに寄与するとともに、飲料の後味における収斂味を抑えることができる。
本明細書において、リン酸(phosphoric acid)とは、オルトリン酸(orthophosphoric acid)とも呼ばれ、化学式 H
3PO
4で表される無機酸をいう。また、ポリリン酸、ピロリン酸などのリン酸骨格をもつ他の類似化合物群であるリン酸類やリン酸塩は含まれない概念である。
リン酸の含有量が0.1〜3.0g/Lであることにより、範囲外にある場合と比較して、後味における収斂味を抑え、後味をすっきりさせることができる。後味における収斂味をより抑えることができるため、リン酸含有量の下限値について好ましくは0.2g/Lであり、さらに好ましくは0.5g/Lであり、リン酸含有量の上限値について好ましくは2g/Lであり、さらに好ましくは1g/Lである。
【0014】
また、本実施形態に係る飲料においては、上記の含有量でリン酸を含有することに加えて、添加されるクエン酸を含有するようにしてもよい。なお、本実施形態の飲料は、クエン酸が添加されない場合にも果汁由来のクエン酸を含有している。
飲料中におけるクエン酸の含有量は本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、後味において収斂味をさらに抑え、後味をよりすっきりさせることができる観点から、クエン酸含有量の上限値は5g/Lが好ましく、より好ましくは4g/Lであり、さらに好ましくは3g/Lである。また、飲料の味(おいしさ)の観点から、クエン酸含有量の下限値は1g/Lが好ましく、より好ましくは2g/Lである。
【0015】
また、本実施形態に係る飲料においては、1〜5g/Lの含有量でクエン酸を含有するとともに、クエン酸の含有量(g/L)に対するリン酸の含有量(g/L)の比(リン酸/クエン酸)について、0.05〜2であることが好ましく、0.05〜1.5であることがより好ましく、0.05〜1であることがさらに好ましい。当該範囲を満足することで、範囲外にある場合と比較して後味において収斂味が感じられるのをさらに抑え、後味をよりすっきりさせることができる。
さらに、本実施形態に係る飲料においては、1〜5g/Lの含有量(好ましくは1〜4g/L、より好ましくは2〜4g/L、さらに好ましくは2〜3g/L)でクエン酸を含有するとともに、クエン酸の含有量に対するリン酸の含有量の比が0.05〜0.5であることがより一層好ましい。当該範囲を満足することで、後味のすっきり感を改善できるとともに飲料の味(おいしさ)も改善することができる。
【0016】
なお、飲料におけるクエン酸の含有量は、添加量と柑橘類果汁由来の量との合計量として算出することができる。リン酸については、果実及び/又は果皮にはほとんど含まれていない成分であることから、実質的には添加量のみから算出することができる。
また、リン酸およびクエン酸の含有量は、本実施形態に係る飲料を測定に供することによっても求めることができる。
測定を行う場合、リン酸およびクエン酸の含有量は高速液体クロマトグラフィー(HPLC)等の公知の分析装置により分析することで算出することができる。
例えば、イオン排除クロマトグラフィー用カラムを用いてリン酸およびクエン酸を分離した後、カラム溶出液にpH緩衝剤溶液を混合しpHを中性付近にして電気伝導度検出器によりリン酸およびクエン酸を検出する分析システムを用いることができる。システムの構成および分離、検出条件の一例を以下に示す。なお、以下の例において検出器およびカラムはいずれも株式会社島津製作所製である。
カラム:Shim-pack SCR-102H(300mmL×8mmI.D.)。2本直列に接続、または1本。ガードカラムとしてSCR-102H(6mmI.D.×50mmL)を装着する。
移動相:5mmol/L p−トルエンスルホン酸水溶液
流量:0.8mL/min
カラム温度:40℃もしくは45℃
pH緩衝剤溶液:5 mmol/L p−トルエンスルホン酸水溶液および100μmol/L EDTAを含む20mmol/L Bis−tris水溶液
検出器: 電気伝導度 polarity:+
【0017】
本実施形態の柑橘類果汁含有飲料においては、柑橘類の果汁、クエン酸、リン酸に加えて、本発明の効果が奏される限り、他の成分を含むようにしてもよい。具体的には、パルプ成分などの固形分、食塩、糖類、香料、ビタミン、着色料、酸化防止剤、甘味料、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定化剤、他の野菜や果物の果汁などの、飲料に通常配合される成分を含有することができる。
【0018】
本実施形態の柑橘類果汁含有飲料は例えば常法にしたがって製造することができ、得られる飲料において飲料の果汁率、クエン酸およびリン酸の含有量が上記範囲を満たしている限り、各成分の配合量・割合や製造条件などについては特に限定されない。
例えば、冷凍濃縮オレンジジュース(FCOJ)を原料として用い、飲料製造後の果汁率が25%以下となる範囲でFCOJを水で希釈するとともに、当該希釈液に飲料製造後の含有量が0.1〜3.0g/Lとなる量のリン酸を添加するなどしてオレンジ果汁含有飲料を調製することができる。
【0019】
製造された本実施形態の柑橘類果汁含有飲料は、特に限定されないが、例えば容器に封入された容器詰飲料とすることができる。
容器への封入方法などは特に限定されず、例えば常法に従って行うことができる。
容器も公知のものを適宜選択して用いることができ、素材や形状など特に限定されない。容器の具体例としては、例えば、紙容器、透明又は半透明のビン、PETボトル等の透明又は半透明のプラスチック容器、スチール缶やアルミニウム缶等の金属缶等が挙げられる。
【0020】
以上、本実施形態によれば、リン酸の含有量が上記範囲を満たしていることにより、果汁率が25%以下である柑橘類果汁含有飲料において、後味における収斂味を抑え、よりすっきりとした後味の飲料を提供することができる。よって、消費者の嗜好をより満足させることができる柑橘類果汁含有飲料を提供できることが期待される。
【実施例】
【0021】
以下の実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0022】
以下の表1に示す含有量で成分を水に混合し、これを加熱殺菌(93℃、30秒)した後、500mLずつをペットボトルに充填して実施例1〜6および比較例1〜4の容器詰飲料とした。
得られた飲料について、4名のパネラーにより後味のすっきり感(後味がすっきりしているか否か)および飲料の味(おいしさ)に関し、リン酸を添加しないで製造された比較例1、2または3を基準として以下に示す評点を用いて同じ果汁率である飲料間で評価を行った。得られた評点の平均値について比較例1、2または3よりも優れている場合に改善が認められると判断した。
+2点:比較例1、2または3よりも優れる
+1点:比較例1、2または3よりもやや優れる
0:比較例1、2または3と同等
−1点:比較例1、2または3よりもやや劣る
−2点:比較例1、2または3よりも劣る
【0023】
【表1】
【0024】
表1から理解できるとおり、いずれの実施例においても、比較例と比べて後味における収斂味が抑えられており、よりすっきりした後味が得られている。また、実施例1、2、4、5においては後味のすっきり感に加えて飲料としての味(おいしさ)についてもより優れていることが理解できる。
さらに、比較例4で示されるとおり、リン酸含有量:0.1〜3.0g/Lを満足するにもかかわらず、果汁率が25%を超えると、リン酸による後味のすっきり感が得られないことが理解できる。また、おいしさについても、リン酸の添加によって差が出ないことが理解できる。